JP4624597B2 - 目地削除工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は陶器、磁器のタイルとタイルの間や、ガラス系建材などの目地のセメントやシーリング材を削り取る工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は従来の目地材削除工具を用いてタイルの目地セメント10を削り落としている例を示している。手で握るための柄部に、その先端が鋭い削り刃になった熱処理されたハガネなどの硬質の刃部が固定されて成り、先端の鋭い削り刃を目地セメント10に押しつけながらひくことによって、汚れた、あるいは不要になった目地材を削り落としていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の工具によると、長年にわたって繰り返し吸った水分などによって硬化した目地セメントなどの場合は、容易には削り落とすことはできないという問題がある。電動工具を用いる方法もあるが、高価であることや、その工具の重量が重いことなどで安易には利用することができなかった。そこで、従来の工具の削り刃部分に、外観が立方体でその前面の下辺と両端辺のエッジに切り刃を有する超硬合金のチップを固着する手段が検討されたが、超硬合金は用いられているタイルよりも硬い硬度を有するために、図2に示すように、そのチップの両端辺のエッジがタイルの側面に触れる状態で矢印の方向にひかれると、タイル側面までも削り取られるという問題があった。
【0004】
この発明の課題とするところは、超硬合金などの硬質の刃を用いて、タイルの損傷を防ぎながら、目地セメントを削り落とすことのできる工具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、第1の発明は外観立方体の超硬合金などの硬質チップを用い、その前面にほぼ平坦なすくい面を設け、その最先端部が鋭い切削エッジとなり、切削エッジからつづく背面側に、すくい面と成す角度が90°を越えないにげ面を設け、前面のすくい面の刃幅よりも大きい幅の非切削拡幅コーナーをすくい面の背部方向に離れた両側面に設けたことを特徴とする硬質チップを先端に固着した刃部を柄部に固定したタイルなどの目地材の削除工具である。
【0006】
第2の発明は外観立方体の超硬合金などの硬質チップを用い、その前面にほぼ平坦なすくい面を設け、その最先端部が鋭い切削エッジとなり、切削エッジからつづく背面側に、すくい面と成す角度が90°を越えないにげ面を設け、前面のすくい面の刃幅よりも大きい幅の非切削拡幅コーナーをすくい面の背部方向に離れた両側面に、すくい面とほぼ平行に設けたことを特徴とする硬質チップを先端に固着した刃部を柄部に固定したタイルなどの目地材の削除工具である。
【0007】
第3の発明は外観立方体の超硬合金などの硬質チップを用い、その前面にほぼ平坦なすくい面を設け、その最先端部が鋭い切削エッジとなり、切削エッジからつづく背面側に、すくい面と成す角度が90°を越えないにげ面を設け、前面のすくい面の刃幅よりも大きい幅の非切削拡幅コーナーをすくい面の背部方向の両側面に、すくい面との距離が最先端部において最も大きくなるように傾斜して設けたことを特徴とする硬質チップを先端に固着した刃部を柄部に固定したタイルなどの目地材の削除工具である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0009】
図3に示す実施形態の目地セメントの削除工具によって以下説明すると、外観立方体の超硬合金などの硬質チップ1を用い、その前面にほぼ平坦なすくい面2を設け、その最先端部が鋭い切削エッジ3となり、切削エッジ3からつづく背面側に、すくい面と成す角度が90°を越えないにげ面4を設け、前面のすくい面2の刃幅w1よりも大きい幅w2の非切削拡幅コーナー5、5′をすくい面の背部方向に離れた両側面の中間にすくい面とほぼ平行に設けたことを特徴とする硬質チップを刃部6の先端に固着し、図示しない柄部に刃部6を固定して成る、タイルなどの目地材の削除工具である。
【0010】
非切削拡幅コーナー5、5′は、図示の実施例では100°を越える鈍角の所定の角度を有するコーナーであるが、そのコーナーを設ける位置によって適宜選択することが可能であり、また後で述べるような外にふくらんだ曲面状のコーナーであってもよい。
【0011】
この実施例では、非切削拡幅コーナー5、5′を設ける位置を両側面の中間と規定しているが、前面のすくい面2からわずかに後退した位置から背面とのエッジに至る2つの側面の任意の位置を選択することができる。
【0012】
実施例の削除工具を用いて、汚れたあるいは不要になったセメントなどの目地材を削り落とす場合には、刃部6の先端の切削エッジ3を目地セメント10に押しつけながらひくと、すくい面2によって目地セメントが削り取られる。削り取られる目地セメントの削り幅は、すくい面2の幅w1とほぼ等しくなるため、目地セメント10には削り残り部分が生じることになるが、実用上は、目地セメントは1回の工具操作では必要な深さを削り落とすことはできないため、同じ箇所を何度か繰り返してひくことになり、その間に工具の傾きや蛇行によってほぼ全幅の目地セメントが削り落とされることになる。また、セメントはもろい性質があり、わずかな厚さでタイルの側面に残ったものは、刃部6の硬質チップの後端のエッジや、非切削拡幅コーナー5、5′がこすりつけられることでもくずれて削り取られる。その点において、この発明では非切削拡幅コーナー5、5′がタイルを削らない程度において、いくらかの切削能力を残すことを妨げるものではない。
【0013】
図4のaに示す断面図は、図3に示す実施例の硬質チップの横断面を示している。この種の工具は手動、すなわち手びきの工具であることが多く、手前にひく際に必ずしもまっすぐに保持することはできず、この図に示すように、若干左右に傾くのが一般的である。よく知られた従来の硬質チップを用いると、図2に示すように、すくい面の両端辺のエッジがタイル側面11を削り取り損傷することがある。図4のaに戻ると、そのような若干の傾斜が生じても、この発明の工具によれば非切削拡幅コーナー5または5′がタイルの側面に当接することによって滑り、タイル側面11を傷つけることを防ぐことができる。
【0014】
図4のbには他の実施例を示している。すくい面2から非切削拡幅コーナー5または5′に至る間の側面を外にふくらむ曲面状にした例を示し、この実施例においても、非切削拡幅コーナー5または5′がタイルの側面11に当接するので、すくい面はタイルの側面11に接触することができない。
【0015】
非切削拡幅コーナー5、5′は最先端部の切削エッジ3の背面側に離れた位置から始まるが、このコーナー5、5′は硬質チップ1の他の終端に至る全長に設けてもよいし、途中で終わるようにしてもよい。
【0016】
図5に示す他の実施例では、非切削拡幅コーナー5または5′が、すくい面2の背部方向の両側面の中間に、すくい面との距離が最先端部において最も大きくなるように傾斜して設けている。この実施例によれば、すくい面2の切削幅は最先端部へ向けて徐々に狭くなる構成となるため、タイル目地10の幅が狭い箇所であっても、その先端を目地に挿入しやすくなる。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、この発明によると、タイルなどの目地材を削り落とす作業において、経済的で簡易な工具を用いることができ、硬質チップを用いることで、硬くなった目地材であっても比較的容易に削り落とすことができる一方で、タイルなどの建材の側面を破損することは少ないという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の工具の使用状態を示す斜視図である。
【図2】従来の硬質チップとタイル、目地セメントを示す部分断面図である。
【図3】この発明の工具の使用状態を示す刃部の斜視図である。
【図4】a、bはこの発明の工具の硬質チップとタイル、目地セメントを示す部分断面図である
【図5】この発明の工具の他の実施例の使用状態を示す刃部の斜視図である。
【符号の説明】
1.硬質チップ
2.すくい面
3.切削エッジ
4.にげ面
5.5′.非切削拡幅コーナー
6.刃部
w1.すくい面の刃幅
w2.非切削拡幅コーナーの幅
Claims (3)
- 外観立方体の超硬合金などの硬質チップを用い、その前面にほぼ平坦なすくい面を設け、その最先端部が鋭い切削エッジとなり、切削エッジからつづく背面側に、すくい面と成す角度が90°を越えないにげ面を設け、前面のすくい面の刃幅よりも大きい幅の非切削拡幅コーナーをすくい面の背部方向に離れた両側面に設けたことを特徴とする硬質チップを先端に固着した刃部を柄部に固定したタイルなどの目地材の削除工具。
- 外観立方体の超硬合金などの硬質チップを用い、その前面にほぼ平坦なすくい面を設け、その最先端部が鋭い切削エッジとなり、切削エッジからつづく背面側に、すくい面と成す角度が90°を越えないにげ面を設け、前面のすくい面の刃幅よりも大きい幅の非切削拡幅コーナーをすくい面の背部方向に離れた両側面に、すくい面とほぼ平行に設けたことを特徴とする硬質チップを先端に固着した刃部を柄部に固定したタイルなどの目地材の削除工具。
- 外観立方体の超硬合金などの硬質チップを用い、その前面にほぼ平坦なすくい面を設け、その最先端部が鋭い切削エッジとなり、切削エッジからつづく背面側に、すくい面と成す角度が90°を越えないにげ面を設け、前面のすくい面の刃幅よりも大きい幅の非切削拡幅コーナーをすくい面の背部方向の両側面に、すくい面との距離が最先端部において最も大きくなるように傾斜して設けたことを特徴とする硬質チップを先端に固着した刃部を柄部に固定したタイルなどの目地材の削除工具。
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2001
- 2001-04-16 JP JP2001156175A patent/JP4624597B2/ja not_active Expired - Fee Related
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