JP4624595B2 - 表面改質を施したvgsタイプターボチャージャの排気ガイドアッセンブリ - Google Patents

表面改質を施したvgsタイプターボチャージャの排気ガイドアッセンブリ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用エンジン等に用いられるターボチャージャに関するものであって、特にこのものに組み込まれる排気ガイドアッセンブリに係るものである。
【0002】
【発明の背景】
自動車用エンジンの高出力化、高性能化の一手段として用いられる過給機としてターボチャージャが知られており、このものはエンジンの排気エネルギによってタービンを駆動し、このタービンの出力によってコンプレッサを回転させ、エンジンに自然吸気以上の過給状態をもたらす装置である。ところでこのターボチャージャは、エンジンが低速回転しているときには、排気流量の低下により排気タービンが効率的に回るまでのもたつき感と、その後の一挙に吹き上がるまでの所要時間、いわゆるターボラグ等が生ずることを免れないものであった。またもともとエンジン回転が低いディーゼルエンジンでは、ターボ効果を得にくいという欠点があった。
【0003】
このため低速回転域からでも効率的に作動するVGSタイプのターボチャージャが開発されてきている。このものは少ない排気量を可変翼(羽)で絞り込み、排気の速度を増し、排気タービンの仕事量を大きくすることで、低速回転時でも高出力を発揮できるようにしたものであり、特に近年その排気ガス中のNOx量が問題とされているディーゼルエンジンにおいては、低速回転時からエンジンの効率化を図ることのできる有用なターボチャージャである。
このVGSタイプのターボチャージャにおける排気ガイドアッセンブリは高温・排気ガス雰囲気下で使用されるものであり、その製造には、耐熱性を有する素材、例えばJIS規格、SUS、SUH、SCH、NCF超合金等の耐熱材料が使用されているが、非常に過酷な条件で使用されるものであるため、その耐久寿命には、一定の限界があり、更なる耐久性の向上が切望されている。
【0004】
【開発を試みた技術的課題】
本発明はこのような背景を認識してなされたものであって、700℃以上の高温を伴う熱サイクル、排気ガス雰囲気下で、長時間使用される排気ガイドアッセンブリを構成する部材の高温摩耗性、耐酸化性、高温硬度等の向上を試みたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち請求項1記載の表面改質を施したVGSタイプターボチャージャの排気ガイドアッセンブリは、
エンジンから排出される排気ガスの流量を適宜調節して排気タービンを回転させる可変翼と、
この可変翼を排気タービンの外周部において回動自在に支持するタービンフレームと、
この可変翼を適宜回動させ、排気ガスの流量を調節する可変機構とを具え、
少ない排気流量を可変翼によって絞り込み、排気の速度を増し、低速回転時にも高出力を発揮できるようにしたVGSタイプのターボチャージャにおける排気ガイドアッセンブリにおいて、
前記排気ガイドアッセンブリを構成するニッケル非含有耐熱部材の表面に、Cr 7 C 3 及び/またはCr 23 C 6 のクロム炭化物の被膜が施されて成ることを特徴として成るものである。
【0006】
また請求項2記載の表面改質を施したVGSタイプターボチャージャの排気ガイドアッセンブリは、
前記請求項1記載の要件に加え、前記部材の表面にクロム炭化物の被膜を形成するにあたっては、塩浴法またはクロマイズ法が適用されることを特徴として成るものである。
【0007】
なお上記におけるニッケル非含有耐熱部材とは、9Cr-1Mo 、12Cr−1/2Mo 、18Cr-5Al等のニッケルを全く含まない耐熱部材を言う。
更にまた被膜成分のクロム炭化物としては、Cr23C6、Cr7C3 、Cr3C2 等があり、特に成膜性や耐熱性からCr7C3 が好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明について具体的に説明する。説明にあたっては、本発明に係るVGSタイプのターボチャージャにおける排気ガイドアッセンブリについて説明し、その後、排気ガイドアッセンブリAの構成部材の表面を改質する方法について説明する。
【0009】
〔1〕排気ガイドアッセンブリ
排気ガイドアッセンブリAは、特にエンジンの低速回転時において排気ガスGを適宜絞り込んで排気流量を調節するものであり、一例として図1に示すように、排気タービンTの外周に設けられ実質的に排気流量を設定する複数の可変翼1と、可変翼1を回動自在に保持するタービンフレーム2と、排気ガスGの流量を適宜設定すべく可変翼1を一定角度回動させる可変機構3とを具えて成るものである。
【0010】
まず可変翼1について説明する。このものは一例として図1に示すように排気タービンTの外周に沿って円弧状に複数(一基の排気ガイドアッセンブリAに対して概ね10個から15個程度)配設され、そのそれぞれが、ほぼ同程度づつ回動して排気流量を適宜調節するものである。そして各可変翼1は、翼部11と、軸部12とを具えて成る。翼部11は、主に排気タービンTの幅寸法に応じて一定幅を有するように形成されるものであり、その幅方向における断面が概ね翼状に形成され、排気ガスGが効果的に排気タービンTに向かうように構成されている。なおここで翼部11の幅寸法を便宜上、羽根高さhとする。軸部12は、翼部11と一体で連続するように形成されるものであり、翼部11を動かす際の回動軸に相当する部位となる。
【0011】
また翼部11と軸部12との接続部位には、軸部12から翼部11に向かって窄まるようなテーパ部13と、軸部12より幾分大径の鍔部14とが連なるように形成されている。なお鍔部14の底面は、翼部11の軸部12側の端面と、ほぼ同一平面上に形成され、この平面によって、可変翼1をタービンフレーム2に取り付けた状態において円滑な回動状態を確保している。更に軸部12の先端部には、可変翼1の取付状態の基準となる基準面15が形成される。この基準面15は、後述する可変機構3に対しカシメ等によって固定される部位であり、一例として図1に示すように、軸部12を対向的に切り欠いた平面が、翼部11に対してほぼ一定の傾斜状態に形成されて成るものである。
【0012】
にタービンフレーム2について説明する。このものは、複数の可変翼1を回動自在に保持するフレーム部材として構成されるものであって、一例として図1に示すように、フレームセグメント21と保持部材22とによって可変翼1を挟み込むように構成される。そしてフレームセグメント21は、可変翼1の軸部12を受け入れるフランジ部23と、後述する可変機構3を外周に嵌めるボス部24とを具えて成る。なおこのような構造からフランジ部23には、周縁部分に可変翼1と同数の受入孔25が等間隔で形成されるものである
【0013】
また保持部材22は、図1に示すように中央部分が開口された円板状に形成されている。そしてこれらフレームセグメント21と保持部材22とによって挟み込まれた可変翼1の翼部11を、常に円滑に回動させ得るように、両部材間の寸法は、ほぼ一定(概ね可変翼1の翼幅寸法程度)に維持されるものであり、一例として受入孔25の外周部分に、四カ所設けられたカシメピン26によって両部材間の寸法が維持されている。ここで上記カシメピン26を受け入れるためにフレームセグメント21及び保持部材22に開口される孔をピン孔27とする。
【0014】
なおこの実施の形態では、フレームセグメント21のフランジ部23は、保持部材22とほぼ同径のフランジ部23Aと、保持部材22より幾分大きい径のフランジ部23Bとの二つのフランジ部分から成るものであり、これらを同一部材で形成するものであるが、同一部材での加工が複雑になる場合等にあっては、径の異なる二つのフランジ部を分割して形成し、後にカシメ加工やブレージング加工等によって接合することも可能である。
【0015】
次に可変機構3について説明する。このものはタービンフレーム2のボス部24の外周側に設けられ、排気流量を調節するために可変翼1を回動させるものであり、一例として図1に示すように、アッセンブリ内において実質的に可変翼1の回動を生起する回動部材31と、この回動を可変翼1に伝える伝達部材32とを具えて成るものである。回動部材31は、図示するように中央部分が開口された略円板状に形成され、その周縁部分に可変翼1と同数の伝達部材32を等間隔で設けるものである。なおこの伝達部材32は、回動部材31に回転自在に取り付けられる駆動要素32Aと、可変翼1の基準面15に固定状態に取り付けられる受動要素32Bとを具えて成るものであり、これら駆動要素32Aと受動要素32Bとが接続された状態で、回動が伝達される。具体的には四角片状の駆動要素32Aを、回動部材31に対して回転自在にピン止めするとともに、この駆動要素32Aを受け入れ得るように略U字状に形成した受動要素32Bを、可変翼1の先端の基準面15に固定し、四角片状の駆動要素32AをU字状の受動要素32Bに嵌め込み、双方を係合させるように、回動部材31をボス部24に取り付けるものである。
【0016】
なお複数の可変翼1を取り付けた初期状態において、これらを周状に整列させるにあたっては、各可変翼1と受動要素32Bとが、ほぼ一定の角度で取り付けられる必要があり、本実施の形態においては、主に可変翼1の基準面15がこの作用を担っている。また回動部材31を単にボス部24に嵌め込んだままでは、回動部材31がタービンフレーム2と僅かに離反した際、伝達部材32の係合が解除されてしまうことが懸念されるため、これを防止すべく、タービンフレーム2の対向側から回動部材31を挟むようにリング33等を設け、回動部材31のタービンフレーム2側への押圧傾向を賦与するものである。
このような構成によって、エンジンが低速回転を行った際には、可変機構3の回動部材31を適宜回動させ、伝達部材32を介して軸部12に伝達し、図1に示すように可変翼1を回動させ、排気ガスGを適宜絞り込んで、排気流量を調節するものである。
【0017】
〔2〕表面改質
本発明におけるニッケル非含有耐熱部材の表面を改質する方法としては、改質性、作業性、寸法精度等から、塩浴法、クロマイズ法等を使用して被膜処理を行うのが好ましく、具体的には以下の工程で製造される。
【0018】
(1)被膜
ニッケル非含有耐熱部材で構成される排気ガイドアッセンブリ部品を、塩浴法の場合は、ホウ砂、塩化物、クロム酸化物から成る塩浴中で、またクロマイズ法の場合はクロム粉及び助剤から成る粉末中で処理を行い、それぞれ炭化物被膜を形成させる。
【0019】
(2)耐久性
この被膜形成により高温硬度が50%以上向上し、耐酸化性が向上して、焼きつきも生じなくなり、高温耐久性が著しく増加した。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、ニッケル非含有の耐熱性を有する素材で構成されるVGSタイプのターボチャージャにおける排気ガイドアッセンブリの耐久寿命を大幅に延長することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るタービンフレームを組み込んだVGSタイプのターボチャージャを示す斜視図(a)、並びに排気ガイドアッセンブリを示す分解斜視図(b)である。
【符号の説明】
1 可変翼
2 タービンフレーム
3 可変機構
11 翼部
12 軸部
13 テーパ部
14 鍔部
15 基準面
21 フレームセグメント
22 保持部材
23 フランジ部
23A フランジ部(小)
23B フランジ部(大)
24 ボス部
25 受入孔
26 カシメピン
27 ピン孔
31 回動部材
32 伝達部材
32A 駆動要素
32B 受動要素
33 リング
A 排気ガイドアッセンブリ
h 羽根高さ
G 排気ガス
T 排気タービン

Claims (2)

  1. エンジンから排出される排気ガスの流量を適宜調節して排気タービンを回転させる可変翼と、
    この可変翼を排気タービンの外周部において回動自在に支持するタービンフレームと、
    この可変翼を適宜回動させ、排気ガスの流量を調節する可変機構とを具え、
    少ない排気流量を可変翼によって絞り込み、排気の速度を増し、低速回転時にも高出力を発揮できるようにしたVGSタイプのターボチャージャにおける排気ガイドアッセンブリにおいて、
    前記排気ガイドアッセンブリを構成するニッケル非含有耐熱部材の表面に、Cr 7 C 3 及び/またはCr 23 C 6 のクロム炭化物の被膜が施されて成ることを特徴とする、
    表面改質を施したVGSタイプターボチャージャの排気ガイドアッセンブリ。
  2. 前記部材の表面にクロム炭化物の被膜を形成するにあたっては、塩浴法またはクロマイズ法が適用されることを特徴とする、
    請求項1記載の表面改質を施したVGSタイプターボチャージャの排気ガイドアッセンブリ。
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JPH084544A (ja) * 1992-09-21 1996-01-09 Asea Brown Boveri Ag 重油運転用ターボ過給器
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