JP4623731B2 - ゲル粒子 - Google Patents

ゲル粒子 Download PDF

Info

Publication number
JP4623731B2
JP4623731B2 JP2005301998A JP2005301998A JP4623731B2 JP 4623731 B2 JP4623731 B2 JP 4623731B2 JP 2005301998 A JP2005301998 A JP 2005301998A JP 2005301998 A JP2005301998 A JP 2005301998A JP 4623731 B2 JP4623731 B2 JP 4623731B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solution
metal
gel
pectin
gel particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005301998A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007106965A (ja
Inventor
政哉 澄田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2005301998A priority Critical patent/JP4623731B2/ja
Publication of JP2007106965A publication Critical patent/JP2007106965A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4623731B2 publication Critical patent/JP4623731B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Colloid Chemistry (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、低メトキシ化ペクチン又はアルギン酸ナトリウムと多価金属からなるゲル粒子に関する。本発明により製造されたゲル粒子は細胞や蛋白質など生物関連物質の分離材として用いることができる。
クロマトグラフィーは蛋白質や細胞など生物関連物質の分離技術として極めて有用であるが、近年、そのうちでも特に金属とこれらの生物関連物質の相互作用を利用した、固定化金属クロマトグラフィーが注目されており(たとえば非特許文献1)、多くの市販品がある。これらは全てアガロースなどの担体に金属を固定するためのキレート官能基(ほとんどがイミノジ酢酸)を固定し、そのキレート官能基に金属を固定したものである。これらは1)キレート官能基を固定する反応が煩雑、2)キレート官能基の固定に用いる有害な試薬の残存と使用中の溶出、3)キレート官能基自体の脱離、溶出の問題があり、特に2)、3)は医薬品や食品の分離精製においては極めて深刻な問題となる。最近、これらの問題を解決する試みが散見されるようになってきた。
非特許文献2では食品分野で汎用されるゲル化剤であるアルギン酸ナトリウムに通常、食品分野でゲル化に用いるカルシウムイオンではなく、亜鉛イオン(塩化亜鉛)に接触させることでゲル化させ、クロマトグラフィー用分離材を作成することが開示されている。しかしながら、同文献では、得られたアルギン酸亜鉛ゲル粒子に関し、「球状のCa−アルギン酸ゲルとは異なり、亜鉛−アルギン酸ゲルは押しつぶしたディスク状の形状である」と述べられており、クロマトグラフィー用の分離材として用いられるような球状のアルギン酸ナトリウムのゲル粒子は存在しなかった。
また、ペクチンはリンゴなど果実の皮の主成分である多糖類で、非常に安価な天然資源であり、アルギン酸ナトリウム同様、食品分野でゲル化剤や増粘剤として用いられている(たとえば特許文献1)。ペクチンは主にガラクチュロン酸とメチル化ガラクチュロン酸で構成されており、その性質はそのエステル化度によって、性質が異なる。全ガラクチュロン酸のうち、メチル化ガラクチュロン酸の占める割合(一般にエステル化度、DEと呼ばれる)が50%より高いものを高メトキシ化ペクチン、50%以下のものを低メトキシ化ペクチンという。高メトキシ化ペクチンのゲル化には糖と酸が必要で、低メトキシ化ペクチンのゲル化にはカルシウムイオンが必要と言われている(非特許文献3)。低メトキシ化ペクチンのゲル化に用いられるカルシウムは食品中に含まれているカルシウムイオンがほとんどで、食品中のカルシウムイオンでは不足する場合は、水溶性で安全性の高いカルシウム化合物(乳酸カルシウムなど)を用いてゲル化が行われている。
また、ペクチンの食品以外の用途としてはあげられているものは、「のど飴用の鎮痛剤、傷テープ、人工肛門用接着剤、抗潰瘍剤、乳液状や懸濁液状の医薬品用の増粘安定剤」(非特許文献4)であり、本願のようなクロマトグラフィー用の分離材に関する記載は一切無い。
特公昭61−54383号公報 Porath,J.他,"Metal chelate affinity chromatography, a new approach to protein fractionation",Nature,1975年12月,vol.258,p598-599 Gupta,MN.他,"Immobilized Metal Affinity Chromatography without Chelating Ligands:Purification of Soybean Trypsin Inhibitor on Zinc Alginate Beads",Biotechnol.Prog.,2002年1月,vol.18,no.1,p78-81 林良純,"ペクチンの特性と利用法",Foods Food Ingredients J.Jpn.,1996年,no.167,p22-29 シーエムシー出版、"天然・生体高分子材料の新展開"、2003年11月、p104
本発明の目的は安全で、簡便、低コストで製造できる、細胞や蛋白質など生物関連物質の分離材等に利用できるゲル粒子を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を進めた。非特許文献2でアルギン酸ナトリウムがカルシウム以外の金属(ここでは亜鉛)でもディスク形状のゲルが生成することに鑑み、これを深く考察し、食品分野ではアルギン酸ナトリウムと同様汎用される低メトキシ化ペクチンもカルシウムイオン以外の金属イオン、特に食品分野では全く検討されていないランタニド類などの重金属でもゲル化し、ゲル粒子が作成できるのではないかという大胆な仮説を立て本発明を完成した。さらに、当該発明を金属固定化クロマトグラフィーなどの分離材として用いる場合は食品分野で用いられるようなゲル(ゼリー状食品)ではなくアスペクト比が1.7以下の固い球状粒子でなければならないことを考慮し、この点からも製造方法(原料金属イオン濃度、原料ペクチン又はアルギン酸のナトリウム濃度、等)の検討を行い、本発明を完成させたものである。すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)低メトキシペクチン又はアルギン酸ナトリウムと多価金属からなるゲル粒子であって、多価金属の含有量が粒子乾燥重量中の2%以上であるゲル粒子。
(2)多価金属が重金属である上記(1)に記載のゲル粒子。
(3)多価金属がアルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、カドミウム、インジウム、スズ、バリウム、ハフニウム、鉛、ビスマス、ランタニドから選ばれた1つあるいは2つ以上のものである上記(1)に記載のゲル粒子。
(4)アスペクト比が1.7以下である上記(1)から(3)のいずれかに記載のゲル粒子。
(5)低メトキシ化ペクチン又はアルギン酸ナトリウムと多価金属からなるゲル粒子であって、多価金属の含有量が粒子乾燥重量中の2%以上であるゲル粒子からなる生物関連物質分離材。
(6)アスペクト比が1.7以下である上記(5)に記載の生物関連物質分離材。
(7)固定化金属クロマトグラフィー用の分離材である上記(5)又は(6)に記載の生物関連物質分離材。
(8)1%以上の濃度の低メトキシ化ペクチン溶液又はアルギン酸ナトリウム溶液を0.005モル濃度以上の多価金属イオン溶液に接触させることからなるゲル粒子の製造方法。
本発明によれば安全で、簡便、低コストで製造できるゲル粒子、また、細胞や蛋白質など生物関連物質の分離材等に利用できるようなゲル粒子を提供することが出来る。
本発明について以下、具体的に説明する。
本発明でいう低メトキシ化ペクチンとは、ペクチンの中でもエステル化度が50%以下のものを指す。
本発明の多価金属とは2価以上の金属のことを言い、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、バナジウム、マンガン、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、カドミウム、インジウム、スズ、バリウム、ハフニウム、鉛、ビスマス、又はチタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ランタニドなどから選ばれた1つあるいは2つ以上の金属をいう。特に、細胞や蛋白質、核酸、アミノ酸、糖類といった生物関連物質の分離材に用いる場合は、カルシウム、アルミニウムまたは重金属(チタン、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、ランタニドなど)が好ましい。
2つ以上の金属が含まれる場合とは、1つの粒子に複数の金属が含まれる場合と、1つの粒子に1つの金属が含まれ、複数の金属についてそのような粒子が混合されている場合の両方が含まれる。
本発明のゲル粒子はこれらの金属を含有するものであるが、その含有量は用途に応じて適宜選択される。例えば、生物関連物質などの分離材として用いる場合は、ゲルを乾燥して測定した場合に2%以上であることが好ましい。2%未満では球状(アスペクト比1.7以下)の固いゲルとならなかったり、生物関連物質の分離材に用いた場合、満足な分離性能が得られない場合がある。また、好ましくは4%以上、さらに好ましくは6%以上である。なお、特に含有量の上限は無いが、20%以下で用いることが現実的である。
本発明の金属は、水に溶ける形態のものであればいずれでもよく、各金属の硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩、有機酸塩、フッ化物、ヨウ化物、臭化物、塩化物が用いられ、用途に応じて選択される。このうち、水への溶解性及び取り扱い性から塩化物が好ましく用いられる。
本発明で言う生物関連物質分離材とは、分析、精製、分取、分離回収などの目的のために生物関連物質を含んだ液体中から生物関連物質を分離するための材料をいい、代表的なものとして液体クロマトグラフィーカラムに用いる充填材があげられる。また、液体クロマトグラフィーカラムのうち、分離材として金属を固定化した担体を用いるものを固定化金属クロマトグラフィーという。なお、カラムに充填せずにいわゆるバッチ法で用いられる場合も本発明の分離材に含まれる。
また、分離される対象となる生物関連物質には、糖類、アミノ酸、核酸、ペプチド、蛋白質といった物質だけでなく、細胞(ヒトや動物の細胞だけでなく、微生物細胞、すなわち細菌や真菌、酵母も含む。そして、生細胞だけでなく死細胞も含む)やウイルス(不活性化されたウイルスも含む)やそれらの断片などの生体由来の物質や成分を含むものとする。
本発明のゲル粒子は、その利用に応じて所望の形状をとることができるが、生物関連物質分離材として用いる場合は、球状が好ましく、アスペクト比が1.7以下であることが望ましい。1.7より大きいと分離性能が期待できないからである。ゲル粒子のアスペクト比とは、粒子の短径に対する長径の比をいい、例えば、生成したゲルの写真をデジタルカメラで撮像し、ゲルの短径と長径を定規で測定してアスペクト比を算出することができる。
所望のアスペクト比を得るためには、例えば、後述する製造方法においてペクチン溶液の濃度、金属イオンの濃度を調整することにより行う。
本発明によるゲル粒子の製造方法は、1%以上のペクチン溶液又はアルギン酸ナトリウム溶液を0.005モル濃度(mol/l、以下Mと略す)以上の多価金属イオン溶液に接触させることにより行う。その接触の方法としては、例えば、何らかの方法でペクチン溶液等の液滴を発生させ、それを多価金属イオン溶液に接触させる方法、その逆に何らかの方法で多価金属イオン溶液の液滴を発生させ、それをペクチン溶液等に接触させる方法があげられるが、前者が簡便性の点でより好ましい。液滴を発生させる方法としては、シリンジなどから溶液を押し出す方法、アトマイザにより噴霧する方法などがあるが、これらに限定されるものではない。
ペクチン溶液又はアルギン酸ナトリウム溶液の調製方法としては水又は水を含む溶媒にペクチン又はアルギン酸ナトリウムを溶解することで調整する。水を含む溶媒とは、水に必要に応じて、水溶性の物質を添加したものをいい、例えば、アルコール、グリセリン、糖類などの各種有機物や高分子化合物、ゲル化が起こらないナトリウム塩やカリウム塩など添加したものをいう。なお、カルシウム塩などゲル化を引き起こす化合物の添加はあまり好ましくない。また、ペクチンを急速に水に投入するといわゆる「ダマ」が形成される場合があり、これを溶解するのに非常に難渋することがあるので、徐々にペクチンを投入していくことが望ましい。
また、水不溶性の物質であっても均一に分散・懸濁するような物質であれば水に添加して水を含む溶媒として用いることができる。この例として、ゲルの機械的強度増強に貢献するコロイダルシリカなどのフィラーがあげられる。
ペクチン溶液又はアルギン酸ナトリウム溶液の濃度は用途に応じてゲル化できる濃度であればよく、例えば生物関連物質分離材として用いる場合は、1%以上であることが好ましい。1%未満では球状(アスペクト比1.7以下)の固いゲルとならない可能性がある。また、高濃度ほど機械的強度の高いゲルが出来るが、一方で高濃度になると溶液の粘度が急上昇して扱いにくくなるため(特に、シリンジに入れて、手で押して液滴を作成する場合は非常な労力を要することになる)、適宜選択されるが、20%以下で用いることが望ましい。
また、多価金属イオン溶液の濃度は用途に応じてゲル化できる濃度であればよく、例えば生物関連物質分離材として用いる場合は、0.005M(モル)以上であることが好ましい。0.005M未満では、球状(アスペクト比1.7以下)の固いゲルとならなかったり、生物関連物質の分離材に用いた場合、満足な分離性能が得られない場合がある。濃度が高い場合でももちろんゲルは形成されるが、例えば5Mといった高濃度の場合、金属塩水溶液にペクチン液滴を滴下する方法の場合、水溶液が高比重となり、形成したゲルビーズがすぐには沈まず、滴下の仕方によってはアスペクト比1.7未満のビーズにならないことを本発明者らは経験しているので、注意が必要である。従って、好ましくは0.01〜5Mであり、さらに好ましくは0.05〜2Mである。
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
[ペクチンゲル粒子の製造方法]
1.ペクチン溶液の調製
低メトキシ化ペクチン(三晶社製、製品GENU pectin type LM-102AS-J、エステル化度約34%)を精製水に溶解し、4%水溶液とした。
2.金属塩溶液の調製
以下の金属塩(全て和光純薬社製)をそれぞれ精製水に溶解し、各金属塩の0.2M水溶液を調製した。
<本実施例に用いた金属塩>
塩化カルシウム2水和物
塩化亜鉛
塩化銅2水和物
塩化ランタン7水和物
塩化セリウム7水和物
塩化コバルト6水和物
3.ゲル粒子の製造
上記1.で調製した低メトキシ化ペクチン溶液5mlを18ゲージ鈍針(JMS社製)の付いた20mlディスポーザブルシリンジ(テルモ社製)に入れ、上記2.で調製した0.2M金属塩水溶液20mlの入った50mlビーカーに手で押すことで滴下した。
4.結果
結果を表1に示す。
塩化カルシウム2水和物、塩化亜鉛、塩化ランタン7水和物、塩化セリウム7水和物:低メトキシ化ペクチン液滴が金属塩水溶液に接触後、瞬時に白色の球状ゲル粒子が生成した。
塩化銅2水和物:低メトキシ化ペクチン液滴が金属塩水溶液に接触後、瞬時に淡青色の球状ゲル粒子が生成した。
塩化コバルト6水和物:低メトキシ化ペクチン液滴が金属塩水溶液に接触後、瞬時に淡紫色の球状ゲル粒子が生成した。
生成したゲルの写真をデジタルカメラで撮像し、各10個のゲルの短径と長径を定規で測定し、アスペクト比を計算したところ、いずれも1.7以下であった。
さらに、これらのうち、塩化ランタン7水和物、塩化セリウム7水和物、塩化銅2水和物で製造したゲル粒子(以下、それぞれ「ランタンゲル」、「セリウムゲル」、「銅ゲル」と略す)を純水で5日間洗浄した後、40℃で60時間乾燥し、ランタンゲルと銅ゲルは500℃で灰化後、塩酸に溶解して、セリウムゲルは加熱した硫酸と過酸化水素で溶解して、いずれもICP発光分析法にて各元素の定量分析を行った。その結果を表2に示す。
[様々なペクチンを用いたペクチンゲル粒子の製造]
1.ペクチン溶液の調製
表3に示すペクチン(いずれも三晶社製GENU pectin type。エステル化度は表3に示すとおり)を精製水に溶解し、1%及び10%水溶液とした(ただし、LM-22CG-Jは粘度が非常に高くなり、シリンジで押すことが困難だったため、5%とした)。
2.金属塩溶液の調製
以下の金属塩(全て和光純薬社製)をそれぞれ精製水に溶解し、各金属塩の0.01及び0.1M水溶液を調製した。
<本実施例に用いた金属塩>
塩化インジウム4水和物
塩化セリウム7水和物
酢酸ルテチウム4水和物
3.ゲル粒子の製造
上記1.で調製したペクチン溶液5mlを18ゲージ鈍針(JMS社製)の付いた20mlディスポーザブルシリンジ(テルモ社製)に入れ、上記2.で調製した0.01Mまたは0.1M金属塩水溶液20mlの入った50mlビーカーに手で押すことで滴下した。
4.結果
結果を表4に示す。なお、アスペクト比は球状粒子とならなかったLM-22CG-J 1%と塩化インジウム4水和物及び塩化セリウム7水和物で生成したゲル以外はいずれも1.7以下であった。
[金属塩水溶液に水不溶物を含有する場合についてのゲル粒子の製造]
1.ペクチン溶液の調製
低メトキシ化ペクチン(三晶社製、製品名GENU pectin type LM-105AS-J、エステル化度約40%)を精製水に溶解し、10%水溶液とした。
2.金属塩溶液の調製
硫酸鉄第一鉄7水和物(和光純薬社製)の0.2M水溶液を調製し、約6時間放置した。すると調製直後は黄色がかった透明な溶液であったのが褐色の沈殿を生じていた(空気中の酸素により酸化され、酸化鉄の沈殿を生じたと考えている)。
これをよく振り、2等分した、沈殿が沈むまで待ち、一方はそのまま(A液とする)、もう一方は沈殿が舞い上がらないように、注意深くピペットで上清のみを採取した(B液とする)
3.ゲル粒子の製造
上記1.で調製したペクチン溶液5mlを18ゲージ鈍針(JMS社製)の付いた20mlディスポーザブルシリンジ(テルモ社製)に入れ、上記2.で調製したA液、B液に滴下した。
4.結果
いずれもアスペクト比が1.7以下の球状粒子が生成した。B液で調製した粒子よりもA液で調製した粒子の方がより濃い褐色であった。
[アルギン酸ゲル粒子の製造]
1.アルギン酸ナトリウム溶液の調製
アルギン酸ナトリウム(キミカ社製、商品名I−1)を精製水に溶解し、1重量%溶液とした。
2.金属塩溶液の調製
以下の金属塩(全て和光純薬社製)を精製水に溶解し、0.2M水溶液を調製した。
<本実施例に用いた金属塩>
塩化亜鉛
塩化銅2水和物
塩化ランタン7水和物
塩化セリウム7水和物
塩化コバルト6水和物
塩化マグネシウム6水和物
3.ゲル粒子の製造
上記1.で調製したアルギン酸ナトリウム溶液5mlを18ゲージ鈍針(JMS社製)の付いた20mlディスポーザブルシリンジ(テルモ社製)に入れ、上記2.で調製した0.2M金属塩水溶液20mlの入った50mlビーカーに手で押すことで滴下した。
4.結果
塩化亜鉛、塩化ランタン7水和物、塩化セリウム7水和物:アルギン酸ナトリウム液滴が金属塩水溶液に接触後、瞬時に白色の球状粒子が生成した。
塩化銅2水和物:アルギン酸ナトリウム液滴が金属塩水溶液に接触後、瞬時に淡青色の球状粒子が生成した。
塩化コバルト6水和物:アルギン酸ナトリウム液滴が金属塩水溶液に接触後、瞬時に淡紫色の球状粒子が生成した。
塩化マグネシウム6水和物:アルギン酸ナトリウム液滴が金属塩水溶液に接触しても変化を生じなかった。アルギン酸ナトリウム濃度を3%に、金属塩濃度を2Mに上げて行ったが、溶液の粘度が若干上昇したのみで、他の金属のような球状粒子の生成は無かった。
実施例1と同様に、生成したゲルの写真をデジタルカメラで撮像し、各10個のゲルの短径と長径を定規で測定し、アスペクト比を計算したところ、いずれも1.7以下であった。
[ゲル粒子への細胞の吸着性]
1.細胞吸着材
実施例1で作成した銅ゲルを生理食塩水で洗浄し、細胞吸着材とした。
2.細胞浮遊液
ラット内分泌細胞株RIN−5Fを生理食塩水に2×106個/ml濃度で浮遊させたものを細胞浮遊液とした。
3.細胞吸着実験
1.の細胞吸着材10個を2.の細胞浮遊液1ml(すなわち、細胞の絶対数として2×106個)の入った浮遊細胞用ポリスチレン48穴プレート(Corning社製)に添加し、室温、大気中で15分間静置することで吸着させた。
4.結果
細胞吸着材への細胞の吸着状態を光学顕微鏡にて観察した。写真を図1に示す。背景が細胞吸着材、小さい円が細胞である。細胞が細胞吸着材に多数吸着していることが観察される。
[細胞に高い吸着性を有する金属種のスクリーニング]
1.細胞試料
ラット膵内分泌細胞株RIN−5Fをそのまま(「生細胞」)、及びベクトンディキンソン社製細胞固定液(商品名Cellfix。1%パラホルムアルデヒドが主成分)を同社の取扱い説明書にしたがって固定したもの(「固定細胞」)を細胞試料とした。
2.金属イオン含有液
和光純薬社製の金属標準液(濃度1000ppm)を用いた。原液の組成は表5のとおりである。
3.細胞−金属イオン吸着実験
上記1.の細胞を生理食塩水に浮遊させた細胞浮遊液と上記2.の金属イオン含有液(0.01規定の水酸化ナトリウム水溶液にてpHを中性に調整してある)を用い、2mlの1ppm金属溶液中に細胞が2×106個存在するように調製し、37℃で1時間静置した後、0.22μmのフィルターで濾過し、「接触後溶液」とした。また、細胞非存在の生理食塩水で同様の操作を行い、「接触前溶液」とした。なお、金属イオンの吸着が無いと考えられるアクリル樹脂粒子(綜研化学社製、粒径10μm)を比較対照として置き、同様な操作を行った。
4.測定
接触前溶液と接触後溶液の金属濃度をプラズマ発光分析にて定量し、100−(100×接触後濃度/接触前濃度)=吸着率 の式より吸着率を算定した。
5.結果
各金属の吸着率の結果を表6に示す。銅、銀、ランタン、セリウム、ルテチウムの細胞への吸着率が極めて高いことが分かる。
[異なる種類の細胞間に選択性を有する金属種のスクリーニング]
1.細胞試料
実施例6で用いたラット膵内分泌細胞株RIN−5Fに加え、ラット膵外分泌細胞株AR42−Jを用いた。
2.金属イオン含有液
和光純薬社製の金属標準液(濃度1000ppm)を用いた。原液の組成は表7のとおりである。
3.細胞−金属イオン吸着実験
実施例6と同様の操作を行った。ただし、アクリル樹脂粒子は用いなかった。
4.測定
実施例6と同様な操作を行ったが、選択性の指標として、内分泌細胞株の吸着率/外分泌細胞株の吸着率=選択率 の式より選択率を算定した。
5.結果
各金属の選択率の結果を表8に示す。コバルト、亜鉛、鉄、インジウム、スズ、アルミニウム、チタンの選択率が極めて高いことが分かる。
本発明によるゲル粒子は細胞や蛋白質など生物関連物質の分離材等に利用できる。また、金属を含んだ球状ゲルという特性を活かして、細胞培養担体、抗菌性材料、栄養食品といった用途、またDDS(ドラッグデリバリー)用担体やバイオ人工臓器(膵臓など)用のマイクロカプセルといった用途の可能性がある。
実施例5における細胞吸着材への細胞の吸着状態を光学顕微鏡にて観察した結果を示す写真である。

Claims (3)

  1. 低メトキシ化ペクチン又はアルギン酸ナトリウムと多価金属からなるゲル粒子であって、多価金属の含有量が粒子乾燥重量中の2%以上であり、アスペクト比が1.7以下であるゲル粒子からなる固定化金属クロマトグラフィー用分離材。
  2. 多価金属がアルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、 コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、カドミウム、インジウム、スズ、バリウム、ハフニウム、鉛、ビスマス、ランタニドから選ばれた1つあるいは2つ以上のものである請求項1に記載の分離材。
  3. 1%以上の濃度の低メトキシ化ペクチン溶液又はアルギン酸ナトリウム溶液を0.005モル濃度以上の多価金属イオン溶液に接触させることからなるアスペクト比が1.7以下であるゲル粒子からなる固定化金属クロマトグラフィー用分離材の製造方法。
JP2005301998A 2005-10-17 2005-10-17 ゲル粒子 Expired - Fee Related JP4623731B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005301998A JP4623731B2 (ja) 2005-10-17 2005-10-17 ゲル粒子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005301998A JP4623731B2 (ja) 2005-10-17 2005-10-17 ゲル粒子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007106965A JP2007106965A (ja) 2007-04-26
JP4623731B2 true JP4623731B2 (ja) 2011-02-02

Family

ID=38033078

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005301998A Expired - Fee Related JP4623731B2 (ja) 2005-10-17 2005-10-17 ゲル粒子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4623731B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007211060A (ja) * 2006-02-07 2007-08-23 Japan Advanced Institute Of Science & Technology Hokuriku 超分子ポリマー及びその合成方法
JP5280432B2 (ja) * 2007-04-27 2013-09-04 ヒュンジン ヤン 比重の増加した細胞培養用支持体及びその製造方法
JP4857417B2 (ja) * 2007-07-19 2012-01-18 国立大学法人佐賀大学 リンの吸着剤及びリンの除去方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01229048A (ja) * 1988-03-09 1989-09-12 Kibun Kk ゲルの製造方法
JPH06329542A (ja) * 1993-05-21 1994-11-29 Kibun Food Chemifa Co Ltd 不溶性アルギン酸塩粒子を含む局所血管止血用組成物および動脈化学塞栓用組成物
JPH0880166A (ja) * 1994-07-12 1996-03-26 Takeda Chem Ind Ltd 粒状ゲルの製造法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01229048A (ja) * 1988-03-09 1989-09-12 Kibun Kk ゲルの製造方法
JPH06329542A (ja) * 1993-05-21 1994-11-29 Kibun Food Chemifa Co Ltd 不溶性アルギン酸塩粒子を含む局所血管止血用組成物および動脈化学塞栓用組成物
JPH0880166A (ja) * 1994-07-12 1996-03-26 Takeda Chem Ind Ltd 粒状ゲルの製造法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007106965A (ja) 2007-04-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Nicomel et al. Technologies for arsenic removal from water: current status and future perspectives
EP3050902B1 (en) Process for producing porous cellulose beads using alkali aqueous solution, and porous cellulose beads produced by this process
TWI709571B (zh) 免疫球蛋白結合蛋白質及使用此之親和性載體
Balasooriya et al. Applications of nano hydroxyapatite as adsorbents: A review
US20150297820A1 (en) Adsorbent
JP2009530102A (ja) 組成吸着材料、その製造及びその使用
CN104760950A (zh) 一种石墨烯水凝胶的制备方法及产品的用途
EP0621074B1 (en) Hydrophilic polymer coated perfluorocarbon polymer-based matrices, their preparation and use in bioaffinity separations
CN108636374B (zh) 一种多巴胺接枝磺化海藻酸钠双交联微球及其制备方法和用途
JP4623731B2 (ja) ゲル粒子
CN111849475B (zh) 氮和硫共掺杂碳点及其制备方法和应用
CN106310978A (zh) 一种基于壳聚糖和氧化石墨烯的复合空气滤膜及其制备方法
CN110327894A (zh) 一种高吸附量的血液净化高分子微球及其制备方法
JP2019000063A (ja) 未分化細胞の剥離回収方法
JP2013213272A (ja) レアアースの回収方法
CN105618003B (zh) 一种固定化丝胶蛋白凝胶颗粒吸附材料及其制备方法
KR102118413B1 (ko) 폴리에틸렌이민-그래프트된 나노셀룰로오스 성형체, 이의 제조방법, 및 이를 사용하는 백금족 금속의 선택적 흡착제
CN104707570A (zh) 8-羟基喹啉改性胺基壳聚糖铀吸附剂的制备方法
Lei et al. Multifunctional oxidized dextran cross-linked alkylated chitosan/drug-loaded and silver-doped mesoporous bioactive glass cryogel for hemostasis of noncompressible wounds
JP4606524B2 (ja) ポリリジン、及びポリリジンの製造方法、及びポリリジン組成物、及びエンドトキシンを除去する医薬品の生産方法
Uzunoğlu et al. Cholesterol removal from human plasma with biologically modified cryogels
JP4804344B2 (ja) 反応性色素結合磁性粒子及びタンパク質分離精製法
Yang et al. Preparation of Polyoxometalate-Based Composite by Solidification of Highly Active Cobalt-Containing Polytungstate on Polymeric Ionic Liquid for the Efficient Isolation of Proteinase K
JP6517145B2 (ja) 多孔質セルロースビーズの製造方法及びそれを用いた吸着体
EP3059251B1 (en) Method for manufacturing porous cellulose beads

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080319

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20100319

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100805

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100810

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101008

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101028

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101101

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131112

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees