JP4623341B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、圧電体を駆動する電極に電圧を印加することにより、インクチャネルからインクを噴射するインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
このようなインクジェットプリンタは、インクチャネルからインクをノズルにより微細なインク液滴として飛翔させ、文字や画像等を記録する。このインクジェットプリンタのインクジェットヘッドは、複数の微細なノズルに対応してインクジェットヘッド内に設けられた複数の微細なインクチャネルに満たされたインクを、圧電素子の特性を利用した変形により、あるいは、発熱素子によりインクに瞬時に熱を与え気泡を発生させたりして、前記複数のノズルからインクを吐出させて文字や画像を記録するものであるため、それぞれのノズルからインクを飛翔させるための電気信号をヘッドに与える駆動制御回路との結合は、少なくともノズルに対応した本数かつノズルのピッチ間隔でインクジェットヘッドに設けられた接続電極と駆動制御回路の接続電極を電気的に接続させることになり、極めて微細な電極間接続が必要であった。
【0003】
例えば、PZTからなるインクジェットヘッド、またはインクジェットヘッドに液室等を備えインクが注入できるまでに完成したインクジェットプリンタに、インクを吐出させるための電圧を印加する駆動制御する回路基板の接続作業が行われる。
【0004】
従来では、インクジェットヘッドに形成された電極に、異方性導電性フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を貼付し、その上に駆動制御する回路基板に設けられたフレキシブルプリント回路(FPC)を重ねると共に、FPCを介して約170℃で約20秒ほど、約14Kg程度の荷重を均一にかけて加熱押圧することで駆動制御する回路基板と電気的に接続していた。
【0005】
ACFは、数ミクロン程度の金属粒子をのり状の溶剤の中に混入し、フィルム状に加工したものに熱を加えることで、前記のり状の溶剤を飛ばし、露出してきた金属粒子を荷重を加えて電極間に埋没させることで電気的接続を行うもので、省スペースで微細な電極間隔の電気的接続に適した結合であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ACFで接続するためには、前述のように約170℃で約20秒ほど、約14Kg程度の荷重を均一にかけて加熱押圧する必要があり、この高温度と高荷重がヘッド製造の大きな問題であった。即ち、樹脂で形成した液室等を接着等で固定したインクジェットヘッドに駆動制御する回路基板をACFで結合する場合、インクジェットヘッドの近傍に位置する液室や基体等の部材は前述の高温度の影響を避けるため、熱変形温度の高い樹脂材料で形成しなければならないが、一般に、熱変形温度の高い樹脂は種類も限られるし、高価である。インクジェットヘッドの通常の使用温度は、ヘッド自体の発熱や、回路の発熱を考慮しても50°C以下であるから、ACFのためにだけ熱変形温度の高い樹脂を用いなければならず、安価で熱変形温度の低い樹脂を使用できない不都合があった。
【0007】
また、ヘッド単体に駆動制御する回路基板をACFで接続する場合においても、PZTは、硬いが脆い材質であるため、ACFで結合する際に、温度と供に加える荷重のために、例えば駆動制御する回路基板とACF装置の荷重部材との平行度が僅かに狂っていた場合に、インクジェットヘッドを欠けさせたり、折ってしまう等の事故を発生させることがあった。
【0008】
また、インクジェットヘッドの材質がPZTの場合、キュリー温度は約300℃程度で、キュリー温度の半分の温度を超えてキュリー温度に近づくに従い、分極等の性能を含む圧電特性が低下し始める。インクジェットヘッドの特性を高精度に維持するためには、できるだけ高温度を与えないようにすべきであるが、電気的接続にACF接続方法を採用していたので、高温度の影響が少ないように、できるだけ短時間に実施するための接続時間の時間管理を厳しくするほかなかった。
【0009】
更に、ACFは、一度接続すると接続を解除することができないため、インクジェットヘッド又は回路に不良が発生した場合に、それぞれを単独で交換はできず、インクジェットヘッドと回路を一対として処分するしか方法がなかった。しかも、ACF等でインクジェットヘッドと駆動回路を電気的に接続するためのインクジェットヘッドの接続電極部分は、インクが充填された液室との接合部に隣接しており、接合が不完全でインク漏れ等を起こした場合、接続のためにインクジェットヘッドの電極面を開放する必要があるので、インク漏れ対策として液室を構成する部材でインクジェットヘッドを全周囲うことができず、インクで電極面が覆われ回路短絡の事故を起こすことがあった。
【0010】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、第1にインクジェットヘッドが熱の影響を受けることなく、簡単かつ確実に電極に電圧を印加する回路基板と電気的に接続することが可能で、小型で低電流駆動が可能な印字速度の速いインクジェットプリンタを提供することを目的としている。
【0011】
第2に、インクジェットヘッドが熱の影響を受けることなく、簡単かつ確実に電極に電圧を印加する回路基板と電気的に接続することが可能で、しかもインクジェットヘッドのインク漏れを簡単かつ確実に防止することが可能で、小型で低電流駆動が可能な印字速度の速いインクジェットプリンタを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0017】
請求項1に記載の発明は、『圧電体を含む部材でインクチャネルを形成し、前記圧電体を駆動する電極に電圧を印加することにより、前記インクチャネルからインクを噴射するインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタであり、前記電極に電圧を印加する回路基板を備え、前記回路基板と前記電極とを導電性ゴムコネクタを介して電気的に接続すると共に、前記導電性ゴムコネクタにより前記インクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドにインクを供給する部材間をシールしたことを特徴とするインクジェットプリンタ。』である。
【0018】
この請求項1に記載の発明によれば、電極に電圧を印加する回路基板とインクジェットヘッドの電極とを導電性ゴムコネクタを介して電気的に接続することで、インクジェットヘッドが熱の影響を受けることなく、簡単かつ確実に電極に電圧を印加する回路基板と電気的に接続することが可能であり、更に熱変形温度の低い樹脂部品をインクジェットヘッド近傍に使用することができるようになり、製造コストを安価にできる。
また、導電性ゴムコネクタは圧接するだけで電気的接続が可能なので組立作業性が良く、インクジェットヘッドを破損したり、圧電特性に影響を及ぼしたりすることが無く、しかも容易に接続を解除することができ、インクジェットヘッドまたは回路基板それぞれの不良が発生しても、別個に交換するなどして修理が可能となる。
また、導電性ゴムコネクタを用いることで、小型で低電流駆動が可能で、かつ印字速度を速くすることができる。
さらに、導電性ゴムコネクタによりインクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドにインクを供給する部材間をシールすることで、ゴムの特性を生かしてインク漏れを簡単かつ確実に防止することが可能で信頼性を高めることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、『前記電極が形成されたインクジェットヘッドの面に、短冊状の導電ゴムコネクタを沿わせ、且つ前記インクジェットヘッドと前記インクを供給する部材の接合面に圧接するように配置したことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。』である。
【0020】
この請求項2に記載の発明によれば、電極が形成されたインクジェットヘッドの面に、短冊状の導電ゴムコネクタを沿わせ、且つインクジェットヘッドとインクを供給する部材の接合面に圧接するように配置し、導電性ゴムコネクタを押しつぶすようにするため、確実に電気的接続がなされると共に、接合面をシールするようになる。
【0021】
また、導電性ゴムコネクタは、インクジェットヘッドと同形状の短冊状であるため、インクジェットヘッド上に配置する際も容易に配置でき、導電性ゴムコネクタをインクジェットヘッドの上面に配置する際に、この接着固定面に圧接するように配置するので、ゴムの特性も利用して電気的接続のみでなくインク漏れ防止も合わせてできる。更にインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出させているとインクジェットヘッド周辺にサテライトと呼ばれるインク微粒子が飛散して付着しインクジェットヘッド周囲を汚すことになるが、導電ゴムコネクタがインクジェットヘッドに圧接されているので、インクジェットヘッドの後方側をインクで汚すことがなく電極や回路素子の保護もできる利点がある。
【0022】
請求項3に記載の発明は、『前記電極が形成されたインクジェットヘッドの面と、前記インクジェットヘッドと前記インクを供給する部材の接合面を覆うように前記導電ゴムコネクタを配置したことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。』である。
【0023】
この請求項3に記載の発明によれば、電極が形成されたインクジェットヘッドの面と、インクジェットヘッドとインクを供給する部材の接合面を覆うように導電ゴムコネクタを配置し、接合面部分のシール効果を狙うのではなく接合面全体を覆うことにより、より更にインク漏れ防止を強化できる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、『前記回路基板上に、前記電極が形成されたインクジェットヘッドと前記インクを供給する部材を載置し、前記回路基板と、前記インクジェットヘッド及び前記インクを供給する部材との間に導電ゴムコネクタを配置したことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。』である。
【0025】
この請求項4に記載の発明によれば、回路基板と、インクジェットヘッド及びインクを供給する部材との間に導電ゴムコネクタを配置し、直接、回路基板とインクジェットヘッドを接続させると共に、接合時のパッキンとして導電ゴムコネクタを共用することで、回路基板上に、インクジェットヘッドとインクを供給する部材を接着固定する必要もなく、電気的接続も確実で、さらに組立性がよい。
【0026】
請求項5に記載の発明は、『圧電体を含む部材でインクチャネルとエアチャネルを形成し、前記圧電体を駆動する電極に電圧を印加することにより、前記インクチャネルからインクを噴射するインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタであり、前記インクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドにインクを供給する部材間に導電性ゴムコネクタを配置し、前記導電性ゴムコネクタは、前記エアチャネルを塞ぎ、前記インクチャネルを開放し、この導電性ゴムコネクタを介して電極に電圧を印加する回路基板と前記インクジェットヘッドの電極とを電気的に接続したことを特徴とするインクジェットプリンタ。』である。
【0027】
この請求項5に記載の発明によれば、導電性ゴムコネクタが、エアチャネルを塞ぎ、インクチャネルを開放し、この導電性ゴムコネクタを介して電極に電圧を印加する回路基板とインクジェットヘッドの電極とを電気的に接続し、特別な部材を用いることなく導電性ゴムコネクタによりエアチャネルを塞ぎ、インクチャネルを開放することで、部品点数を削減して小型化することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のインクジェットプリンタの実施の形態を図面に基づいて説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。
【0029】
まず、図1乃至図6はインクジェットプリンタを示し、図1はインクジェットプリンタの平面図、図2は図1のII-II線に沿う断面図、図3は図1のIII-III線に沿う断面図、図4はインクジェットプリンタの分解斜視図、図5はインクジェットヘッドの分解斜視図、図6はインクジェットヘッドの取付部の拡大断面図である。
【0030】
この実施の形態のインクジェットプリンタ1は、インクジェットヘッド2、インクジェットヘッド2にインクを供給する部材3、基板4、回路基板5を備えている。
【0031】
インクジェットヘッド2は、圧電体を含む部材でインクチャネル2aが多数形成され、圧電体を駆動する電極2bに電圧を印加することにより、インクチャネル2bのインクがノズル2cから噴射される。
【0032】
基板4には、凹部4aが形成され、この凹部4aに形成した開口孔4bにカプラ6が挿着されている。基板4の凹部4aには、インクを供給する部材3が嵌合され、このインクを供給する部材3は、インク室3aを有する。カプラ6には、インク供給ホース7が接続され、このインク供給ホース7からインクがインク室3aに供給される。
【0033】
インクジェットヘッド2とインクを供給する部材3とは、インク室3aとインクチャネル2aとが連通するように組み付けられる。このインクジェットヘッド2とインクを供給する部材3との組み付けは、インクを供給する部材3の組付け凹部3bにインクジェットヘッド2を係合し、インクジェットヘッド2が両側の位置規制部3cにより位置がずれないようになっている。
【0034】
さらに、インクジェットヘッド2の電極2bに導電性ゴムコネクタ20を接続し、この導電性ゴムコネクタ20とフレキシブル回路基板8とを接続し、上蓋9を載置し、上蓋9の両側を取付ネジ10により基板4に締付固定する。
【0035】
フレキシブル回路基板8は、電極に電圧を印加する駆動制御の回路基板5に接続され、回路基板5は保持板11を介して基板ネジ12により基板4に締付固定され、回路基板5には回路部品が接続される。なお、保持板11は、回路基板5の絶縁及び、又は基板4との隙間を調整するスぺーサーとしての役割がある。
【0036】
インクジェットヘッド2の電極2bは、インクチャネル2aに対応して設けられ、電極間ピッチは微細で電極数も多く、金属切片等によるコネクタでは加工困難で対応できないため、導電性ゴムコネクタ20を用いている。近年の電子機器の小型化により、ゴムベースにカーボンや金属線等の導電体を配設した導電性ゴムコネクタ20が着目されるようになり、導電体の配設間隔の微細なものを用い、微細な電極間ピッチを電気的に接続可能な導電性ゴムコネクタ20を使用して、ヘッド側電極と回路基盤側の電極を電気的に接続した。
【0037】
電極に電圧を印加する回路基板5に接続したフレキシブル回路基板8とインクジェットヘッド2の電極2bとを導電性ゴムコネクタ20を介して電気的に接続することで、インクジェットヘッド2が熱の影響を受けることなく、簡単かつ確実に電極に電圧を印加する回路基板5と電気的に接続することが可能であり、更に熱変形温度の低い樹脂部品をインクジェットヘッド近傍に使用することができるようになり、製造コストを安価にできる。
【0038】
また、導電性ゴムコネクタ20は上蓋9の両側を取付ネジ10により基板4に締付固定し、圧接するだけでフレキシブル回路基板8と電気的接続が可能なので組立作業性が良く、インクジェットヘッド2を破損したり、圧電特性に影響を及ぼしたりすることが無く、しかも容易に接続を解除することができ、インクジェットヘッド2またはフレキシブル回路基板8、回路基板5それぞれの不良が発生しても、別個に交換するなどして修理が可能となる。
【0039】
また、導電性ゴムコネクタ20のゴムの特性を生かして、インクジェットヘッド2とインクを供給する部材3の接合面からのインク漏れを防止し、信頼性を高めることができる。
【0040】
しかも、導電性ゴムコネクタ20を用いることで小型で低電流駆動が可能で、かつ印字速度を速くすることができる。
【0041】
この実施の形態の導電性ゴムコネクタ20は、導電体の種類で大別すると2種類あり、1つは、導電体としてカーボンを使用するものと、他の1つは金属線を使用するものである。
【0042】
ベースには、例えばシリコンゴムが用いられており、導電体の大きさ、配置や配列、配置の間隔等の構成の変化によって各種形態の導電性ゴムコネクタが標準品として市販されている。
【0043】
なお、一概には言えないが、電子機器に使用される使用電流で区分するとすれば、導電体としてカーボンを使用するものは、低電流用でμA単位の電流程度、金属線を使用するものは高電流用でmA単位の電流が必要な部分のコネクタとして使用されることが多い。勿論、標準品とは別に使用する装置等に合わせて特注品として製作することも可能である。
【0044】
この発明の実施の形態では、シリコンゴムベースに金属線を等間隔ピッチ、例えばインクジェットヘッドの電極間ピッチ141μm、電極間の絶縁部の幅50μmに対して、金属線径約φ30μmを50μmピッチでマトリクス配列したものを短冊状に形成して使用した。
【0045】
電極間の絶縁部の幅を考慮することは言うまでもないが、ピッチが細かいものを使用するほど、接続のための電極間のピッチ精度や対向する基板の接続電極の位置精度を考慮しなくてすむ利点がある。できれば電極間ピッチの2n(nは整数)分の1となるピッチを有する導電ゴムコネクタを選択するのが好ましい。
【0046】
また、導電性ゴムコネクタは、接続時により確実に接続できるようにするために押圧する必要があるので、押圧力を考慮してベースとなるシリコンゴムの硬度も使用する部署によって最適な硬度を有するものを選択する必要がある。
【0047】
この実施の形態のインクジェットヘッド2は、図5に示すように構成した。
[ヘッドチップの作製]
互いに反対方向に分極され、矩形状のPZTの厚板t0.9mmと薄板t0.155mmを接着し、薄板の方から深さ310μm幅70μmの溝をピッチ0.141μmで少なくとも257本以上の本数をダイシング加工することによりチャネルプレート200を作る。
【0048】
この実施の形態におけるシェブロンタイプのインクジェットヘッド2は、インクが吐出するチャネルの両側にインクのないチャネル(エアチャネル)を設ける必要があり、128個のノズルには257のチャネルが必要となるからである。
【0049】
チャネルプレート200とほぼ同形状のPZTからなる厚板t0.9mm(カバープレート201)をチャネルプレート200と接着した後、幅2mm長さ44.166mmの短冊状にフルカットしてヘッドチップ202が完成する。ダイシング加工された複数の溝がカバープレート201を貼ることにより複数の矩形の穴(チャネル)になる。
[メッキ処理]
ヘッドチップ202にメッキ処理する。チャネル内と少なくともヘッドチップ202の幅2mm方向の1側面及び底面を同時にメッキ処理する。他の部分は特にメッキする必要はなく、レジストを塗布したりしたメッキが付かないようにしても良い。
[電極形成]
各チャネルに対応して電極を形成する。メッキ処理されたヘッドチップ202の幅2mm方向の1側面及び底面をレーザーでメッキを除去することでチャネルに対応した電極を作る。
【0050】
この実施の形態では少なくとも256本のレーザー照射による絶縁部を作ることにより257本の電極2bを形成する。
[電極保護膜処理]
チャネル内の電極等、直接インクに接触する部分の電極に保護膜処理をする。
インクを介して回路ショートしないようにするためである。
[ノズルプレートと絞板の貼付]
電極処理されたヘッドチップ202にノズルプレート203と絞板を貼付けることによりインクジェットヘッド2を作る。紋板204は、エアチャネルを作るためにピッチ282μmで穴が開けられており、インクの入ったチャネルの衝撃波の効率を高めるために所定の大きさが設定されていて、インク供給口側に貼り付けられる。ノズルプレート203はインクを吐出するノズル孔を有する。絞板204と対向する1面に貼り付ける。
【0051】
次に、導電性ゴムコネクタ20の配置構造を、図6に基づいて説明する。
【0052】
この実施の形態は、電極2bが形成されたインクジェットヘッド2の面に、短冊状の導電ゴムコネクタ20を沿わせ、且つインクジェットヘッド2とインクを供給する部材3の接合面に圧接するように配置した構造である。
【0053】
インクジェットヘッド2にインクを供給する部材3を貼付けた後、基体4にインクジェットヘッド2とインクを供給する部材3を貼付ける。次に、電極2aが形成されたインクジェットヘッド2の上面に、インクジェットヘッド2の幅方向に短冊状の導電ゴムコネクタ20の幅を沿わせながら、且つインクジェットヘッド2とインクを供給する部材3の接合面に圧接するように配置し、その上に回路基板5に接続したフレキシブル回路基板8を重ね、その上方から押圧固定部材である上蓋9を取付ネジ10によりネジ止めすることにより導電性ゴムコネクタ20を押しつぶすようにするため、確実に電気的接続がなされると共に、あたかも接合面をシールするようになる。
【0054】
また、インクを供給する部材3の両側の位置規制部3cによって、インクジェットヘッド2と導電ゴムコネクタ20とフレキシブル回路基板8はそれぞれ位置規制されているため互いの位置が正確に一致するので、ずれによる電気的接続不良が生じることはない。また、導電ゴムコネクタ20は、インクジェットヘッド2と同形状の短冊状であるため、インクジェットヘッド2上に配置する際も容易に配置できる。
【0055】
特に注意すべきは、インクジェットヘッド2とインクを供給する部材3の接着固定面においては、接着不良により時としてインク漏れが生じることがあるが、この実施の形態においては導電性ゴムコネクタ20をインクジェットヘッド2の上面に配置する際に、この接着固定面に圧接するように配置するので、ゴムの特性も利用して電気的接続のみでなくインク漏れ防止も合わせてできる。
【0056】
更にインクジェットヘッド2のノズル2cからインクを吐出させているとインクジェットヘッド周辺にサテライトと呼ばれるインク微粒子が飛散して付着しインクジェットヘッド周囲を汚すことになるが、導電ゴムコネクタ20がインクジェットヘッド2に圧接されているので、インクジェットヘッド2の後方側をインクで汚すことがなく電極や回路素子の保護もできる利点がある。
【0057】
図7は導電性ゴムコネクタの他の実施の形態の配置構造を示す断面図である。
【0058】
この実施の形態は、電極2bが形成されたインクジェットヘッド2の面と、インクジェットヘッド2とインクを供給する部材3の接合面を覆うように導電ゴムコネクタ20を配置した構造である。
【0059】
この実施の形態では、導電ゴムコネクタ20をインクジェットヘッド2とインクを供給する部材3の接合面に沿わせるのではなく、前記実施の形態より幅広の導電ゴムコネクタ20をインクジェットヘッド2とインクを供給する部材3の接合面を覆うように配置したから、接合面部分のシール効果を狙うのではなく接合面全体を覆うことにより、より更にインク漏れ防止を強化できる。
【0060】
図8は導電性ゴムコネクタのさらに他の実施の形態の配置構造を示す断面図である。
【0061】
この実施の形態は、基体4上に回路基板5を載置し、この回路基板5上に、電極2bが形成されたインクジェットヘッド2とインクを供給する部材3を載置し、回路基板5と、インクジェットヘッド2及びインクを供給する部材3との間に導電ゴムコネクタ20を配置した構造である。
【0062】
このように回路基板5と、インクジェットヘッド2及びインクを供給する部材3との間に導電ゴムコネクタ20を配置し、直接、回路基板5とインクジェットヘッド2の電極2bを接続させると共に、接合時のパッキンとして導電ゴムコネクタ20を共用することで、回路基板5上に、インクジェットヘッド2とインクを供給する部材3を接着固定する必要もなく、電気的接続も確実で、さらに組立性がよい。
【0063】
次に、図9及び図10はインクジェットプリンタの他の実施の形態を示し、図9はインクジェットプリンタの要部の断面図、図10はインクジェットヘッドに導電性ゴムコネクタを組み付けた状態を示す図である。
【0064】
この実施の形態のインクジェットプリンタ1は、圧電体を含む部材でインクチャネル30とエアチャネル31を形成し、圧電体を駆動する電極32aに電圧を印加することにより、インクチャネル30からインクを噴射するインクジェットヘッド32を備えている。
【0065】
インクジェットヘッド32は、インクを供給する部材33側に電極32aが形成されている。このインクジェットヘッド32と、このインクジェットヘッド32にインクを供給する部材33間に導電性ゴムコネクタ34とフレキシブル回路基板35が重ねて配置されている。
【0066】
この導電性ゴムコネクタ34は、図10に示すように、エアチャネル31を塞ぎ、インクチャネル30を開放し、フレキシブル回路基板35も同様にエアチャネル31を塞ぎ、インクチャネル30を開放するように形成されている。
【0067】
フレキシブル回路基板35は回路基板36に接続され、導電性ゴムコネクタ34及びフレキシブル回路基板35を介して電極32aに電圧を印加する回路基板36とインクジェットヘッド32の電極32aとを電気的に接続している。
【0068】
このように特別な部材を用いることなく導電性ゴムコネクタ34によりエアチャネル31を塞ぎ、インクチャネル30を開放することで、部品点数を削減して小型化することができる。
【0069】
【発明の効果】
前記したように、請求項1に記載の発明では、電極に電圧を印加する回路基板とインクジェットヘッドの電極とを導電性ゴムコネクタを介して電気的に接続することで、インクジェットヘッドが熱の影響を受けることなく、簡単かつ確実に電極に電圧を印加する回路基板と電気的に接続することが可能であり、更に熱変形温度の低い樹脂部品をインクジェットヘッド近傍に使用することができるようになり、製造コストを安価にできる。
【0070】
また、導電性ゴムコネクタは圧接するだけで電気的接続が可能なので組立作業性が良く、インクジェットヘッドを破損したり、圧電特性に影響を及ぼしたりすることが無く、しかも容易に接続を解除することができ、インクジェットヘッドまたは回路基板それぞれの不良が発生しても、別個に交換するなどして修理が可能となる。
【0071】
また、導電性ゴムコネクタを用いることで、小型で低電流駆動が可能で、かつ印字速度を速くすることができる。
【0072】
さらに、導電性ゴムコネクタによりインクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドにインクを供給する部材間をシールすることで、ゴムの特性を生かしてインク漏れを簡単かつ確実に防止することが可能で信頼性を高めることができる。
【0073】
請求項2に記載の発明では、電極が形成されたインクジェットヘッドの面に、短冊状の導電ゴムコネクタを沿わせ、且つインクジェットヘッドとインクを供給する部材の接合面に圧接するように配置し、導電性ゴムコネクタを押しつぶすようにするため、確実に電気的接続がなされると共に、接合面をシールするようになる。
【0074】
また、導電性ゴムコネクタは、インクジェットヘッドと同形状の短冊状であるため、インクジェットヘッド上に配置する際も容易に配置でき、導電性ゴムコネクタをインクジェットヘッドの上面に配置する際に、この接着固定面に圧接するように配置するので、ゴムの特性も利用して電気的接続のみでなくインク漏れ防止も合わせてできる。更にインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出させているとインクジェットヘッド周辺にサテライトと呼ばれるインク微粒子が飛散して付着しインクジェットヘッド周囲を汚すことになるが、導電ゴムコネクタがインクジェットヘッドに圧接されているので、インクジェットヘッドの後方側をインクで汚すことがなく電極や回路素子の保護もできる利点がある。
【0075】
請求項3に記載の発明では、電極が形成されたインクジェットヘッドの面と、インクジェットヘッドとインクを供給する部材の接合面を覆うように導電ゴムコネクタを配置し、接合面部分のシール効果を狙うのではなく接合面全体を覆うことにより、より更にインク漏れ防止を強化できる。
【0076】
請求項4に記載の発明では、回路基板と、インクジェットヘッド及びインクを供給する部材との間に導電ゴムコネクタを配置し、直接、回路基板とインクジェットヘッドを接続させると共に、接合時のパッキンとして導電ゴムコネクタを共用することで、回路基板上に、インクジェットヘッドとインクを供給する部材を接着固定する必要もなく、電気的接続も確実で、さらに組立性がよい。
【0077】
請求項5に記載の発明では、導電性ゴムコネクタが、エアチャネルを塞ぎ、インクチャネルを開放し、この導電性ゴムコネクタを介して電極に電圧を印加する回路基板とインクジェットヘッドの電極とを電気的に接続し、特別な部材を用いることなく導電性ゴムコネクタによりエアチャネルを塞ぎ、インクチャネルを開放することで、部品点数を削減して小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリンタの平面図である。
【図2】図1のII-II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】インクジェットプリンタの分解斜視図である。
【図5】インクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図6】インクジェットヘッドの取付部の拡大断面図である。
【図7】導電性ゴムコネクタの他の実施の形態の配置構造を示す断面図である。
【図8】導電性ゴムコネクタのさらに他の実施の形態の配置構造を示す断面図である。
【図9】インクジェットプリンタの他の実施の形態を示す要部の断面図である。
【図10】インクジェットヘッドに導電性ゴムコネクタを組み付けた状態を示す図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
2,32 インクジェットヘッド
2a,30 インクチャネル
2b,32a 電極
5,36 回路基板
20,34 導電性ゴムコネクタ
31 エアチャネル
Claims (5)
- 圧電体を含む部材でインクチャネルを形成し、前記圧電体を駆動する電極に電圧を印加することにより、前記インクチャネルからインクを噴射するインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタであり、
前記電極に電圧を印加する回路基板を備え、
前記回路基板と前記電極とを導電性ゴムコネクタを介して電気的に接続すると共に、
前記導電性ゴムコネクタにより前記インクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドにインクを供給する部材間をシールしたことを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 前記電極が形成されたインクジェットヘッドの面に、短冊状の導電ゴムコネクタを沿わせ、
且つ前記インクジェットヘッドと前記インクを供給する部材の接合面に圧接するように配置したことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。 - 前記電極が形成されたインクジェットヘッドの面と、前記インクジェットヘッドと前記インクを供給する部材の接合面を覆うように前記導電ゴムコネクタを配置したことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記回路基板上に、前記電極が形成されたインクジェットヘッドと前記インクを供給する部材を載置し、
前記回路基板と、前記インクジェットヘッド及び前記インクを供給する部材との間に導電ゴムコネクタを配置したことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。 - 圧電体を含む部材でインクチャネルとエアチャネルを形成し、前記圧電体を駆動する電極に電圧を印加することにより、前記インクチャネルからインクを噴射するインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタであり、
前記インクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドにインクを供給する部材間に導電性ゴムコネクタを配置し、
前記導電性ゴムコネクタは、前記エアチャネルを塞ぎ、前記インクチャネルを開放し、この導電性ゴムコネクタを介して電極に電圧を印加する回路基板と前記インクジェットヘッドの電極とを電気的に接続したことを特徴とするインクジェットプリンタ。
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