JP4622750B2 - エンジンのオイルパン構造 - Google Patents

Description

本発明は、エンジンのシリンダブロック下面に装着されるオイルパンであって、バッフルプレートを備えるオイルパンの構造に関する。

特許文献１には、エンジンの長手方向の一方に浅底部、他方に深底部を有するオイルパンにおいて、前記浅底部の両端部に、エンジン前後方向に沿って深底部に向けて延びる管路状の油戻し通路をそれぞれ形成すると共に、バッフルプレートに対して前記油戻し通路へ潤滑油を案内する孔ガイドを設けたオイルパンの開示がある。
特開２０００−３２０３１６号公報

ところで、従来では、バッフルプレートに孔を開けてオイルパンにオイルを落とすことで、バッフルプレート上にオイルを溜めないようにし、オイル叩きによるフリクションの増大を回避するようにしていた。
しかし、クランクシャフトの回転により発生する負圧によって、オイルパンからバッフルプレートの孔を介してオイルが吸い上げられてバッフルプレート上に溜まり、オイル叩きが発生することがあった。

本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、クランクシャフトの回転により発生する負圧によってオイルパンからオイルが吸い上げられてしまうことを防ぐことができ、以って、オイル叩きによるフリクションを低減できるオイルパン構造を提供することを目的とする。

そのため、本発明に係るエンジンのオイルパン構造は、エンジンの長手方向の一方に浅底部、他方に深底部を有し、前記浅底部に前記深底部へ向かう下り勾配の傾斜面を形成したオイルパンと、エンジンの長手方向の中央に中央部、一方に浅底側端部、他方に深底側端部を有し、前記中央部、前記浅底側端部、前記深底側端部は幅方向の中央から傾斜面を経て両側が高くなる形状であり、かつ、前記中央部と前記浅底側端部との間、及び、前記中央部と前記深底側端部との間において幅方向に平らに延びる平坦面が形成されたバッフルプレートと、を有し、前記中央部、前記浅底側端部、前記２つの平坦面が前記オイルパンの前記浅底部を覆うように前記バッフルプレートを前記オイルパン内に配置し、前記バッフルプレートの前記中央部に第１オイル落とし孔を設け、これ以外のオイル落とし孔を前記第１オイル落とし孔よりも前記深底側端部側のみに設けたことを特徴とする。

上記構成によると、クランクシャフトの回転によって発生する負圧によってオイルパンのオイルが吸い上げられてバッフルプレート上に溜まることを抑止でき、オイル叩きによるフリクションを低減できる。

以下に本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図１，２は、実施形態におけるバッフルプレートを備えたオイルパンを示す図であり、図１は上面図、図２は側面断面図である。また、図３は、実施形態におけるバッフルプレートの上面図である。
図１，２に示すオイルパン１１は、例えばアルミニウム合金により一体に鋳造されるもので、上面の周縁部１２がボルト１３によって内燃機関のシリンダブロック下面に結合される。

前記オイルパン１１は、内燃機関の長手方向（クランクシャフトの延設方向）の一方に、オイル（潤滑油）を貯留する平坦な深底部１４が設けられると共に、他方には、前記深底部１４よりも相対的に浅く、前記深底部１４側に向かって下り勾配の傾斜面に形成される浅底部１５が設けられている。
前記オイルパン１１内には、前記浅底部１５側の端部から深底部１４の中間付近に渡って、図３に示すようなバッフルプレート１６が、オイルパン１１の底部を覆うようにして設けられる。

前記バッフルプレート１６は、前記オイルパン１１に対して一体的に形成される複数のボス上にボルト１７によって固定される。
前記バッフルプレート１６は、その長手方向の中央部１６ａ，浅底側端部１６ｂ，深底側端部１６ｃにおいて、幅方向の中央部から傾斜面を経て両側が僅かに高くなる形状に形成され、中央部１６ａと浅底側端部１６ｂとの間１６ｄ、及び、中央部１６ａと深底側端部１６ｃとの間１６ｅは、幅方向に平坦面になるように形成されている。

そして、前記中央部１６ａ両側の傾斜面には、内燃機関の長手方向に沿ったスリット状の第１オイル落とし孔１８がそれぞれ開口されている。
更に、中央部１６ａと深底側端部１６ｃとの間１６ｅの平坦面の両側には、内燃機関の幅方向に長い長円の第２オイル落とし孔１９がそれぞれ開口されている。
また、前記深底側端部１６ｃ両側の傾斜面には、スリット状の第３オイル落とし孔２０が、前記第１オイル落とし孔１８の延長線に沿ってそれぞれ開口されている。

また、前記第３オイル落とし孔２０で挟まれるように、バッフルプレート１６の幅方向に沿ったスリット状の第４オイル落とし孔２１が開口されている。
即ち、バッフルプレート１６において、第１オイル落とし孔１８を中心として浅底部側には、オイル落とし孔が設けられないが、深底部側には、第２オイル落とし孔１９，第３オイル落とし孔２０及び第４オイル落とし孔２１が開口されている。

尚、前記スリット状に形成される第１オイル落とし孔１８，第３オイル落とし孔２０及び第４オイル落とし孔２１の幅は、略同一になるように形成されている。
上記構成のオイルパン構造では、内燃機関の運転中にクランクシャフトの回転によって負圧が発生しても、バッフルプレート１６のオイル落とし孔からオイルが吸い上げられることを抑止できる。

例えば、第１オイル落とし孔１８を中心として浅底部側に、オイル落とし孔を形成した場合、オイル落とし孔が設けられる部分でのクランクシャフトからオイルパン１１の底面までの距離が短いために、クランクシャフトの回転によって負圧が発生した場合に、オイル落とし孔を介して容易にオイルが吸い上げられてしまう。
そこで、本実施形態では、バッフルプレート１６の第１オイル落とし孔１８を中心として、浅底部側にはオイル落とし孔を設けずに、深底部側にのみオイル落とし孔を設けるようにすることで、オイル落とし孔が設けられる部分におけるクランクシャフトからオイルパン１１底面（オイル面）までの距離を確保し、これによりオイル落とし孔からのオイルの吸い上げを防止する。

従って、バッフルプレート１６に設けたオイル落とし孔を介してバッフルプレート１６上にオイルが吸い上げられ、該オイルとクランクシャフトが衝突するオイル叩きが発生することを抑止できる。
また、本実施形態では、浅底部１５を、深底部１４側に向かって下り勾配の傾斜面に形成してあるので、浅底部１５から深底部１４に向けてオイルが流れ易く、浅底部１５にオイルが溜まるのが防がれ、これによってもオイルの吸い上げによるオイル叩きを抑制できる。

そして、バッフルプレート１６におけるオイル落とし孔の配置及びオイルパン１１の浅底部１５の形状によって、オイル叩きによるフリクションが低減されることで、図４に示すように、機関発生トルクを改善できる。
図４において、変更前のトルク特性は、浅底部１５が平坦で、かつ、バッフルプレート１６の浅底部側（中央部１６ａと浅底側端部１６ｂとの間１６ｄの平坦面）にもオイル落とし孔を形成した場合の特性を示す。

尚、バッフルプレート１６の形状、バッフルプレート１６に設けるオイル落とし孔の配置及び形状を、図１〜３に示したものに限定するものでないことは明らかである。
また、深底部１４側に向かって下り勾配の傾斜面を、浅底部１５の一部にのみ形成しても良い。
更に、バッフルプレート１６の深底部側にのみオイル落とし孔を設ける構成と、平坦な浅底部とを組み合わせる構造であっても、オイル落とし孔を介したオイルの吸い上げを抑止する効果を得ることができるが、バッフルプレート１６の深底部側にのみオイル落とし孔を設ける構成と深底部１４側に向かって下り勾配の傾斜面に形成される浅底部１５とを組み合わせることで、オイルの吸い上げ抑止効果をより一層高めることができる。

実施形態におけるオイルパンの上面図。 実施形態におけるオイルパンの側面断面図（図１のＡ−Ａ断面図）。 実施形態におけるバッフルプレートの上面図。 実施形態における効果を説明するための線図。

符号の説明

１１…オイルパン、１２…周縁部、１３…ボルト、１４…深底部、１５…浅底部、１６…バッフルプレート、１７…ボルト、１８…第１オイル落とし孔、１９…第２オイル落とし孔、２０…第３オイル落とし孔、２１…第４オイル落とし孔

Claims (1)

1. エンジンの長手方向の一方に浅底部、他方に深底部を有し、前記浅底部に前記深底部へ向かう下り勾配の傾斜面を形成したオイルパンと、
   エンジンの長手方向の中央に中央部、一方に浅底側端部、他方に深底側端部を有し、前記中央部、前記浅底側端部、前記深底側端部は幅方向の中央から傾斜面を経て両側が高くなる形状であり、かつ、前記中央部と前記浅底側端部との間、及び、前記中央部と前記深底側端部との間において幅方向に平らに延びる平坦面が形成されたバッフルプレートと、
   を有し、
   前記中央部、前記浅底側端部、前記２つの平坦面が前記オイルパンの前記浅底部を覆うように前記バッフルプレートを前記オイルパン内に配置し、
   前記バッフルプレートの前記中央部に第１オイル落とし孔を設け、これ以外のオイル落とし孔を前記第１オイル落とし孔よりも前記深底側端部側のみに設けた
   ことを特徴とするエンジンのオイルパン構造。
   

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