JP4622722B2 - 受信機および無線通信システム - Google Patents

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Description

この発明は、誘導結合を用いた無線通信に適用して好適な受信機および無線通信システムに関する。詳しくは、この発明は、送信データが送信コイルの一端に印加され、送信データを一定時間だけ遅延させた遅延データが送信コイルの他端に印加されることで送信コイルにより発生される磁界変化を受信コイルで検出し、この受信コイルの一端および他端に発生する誘導起電力に基づいて、送信データの立ち上がりおよび遅延データの立ち下がりに対応した第1のパルスおよび遅延データの立ち上がりおよび送信データの立ち下がりに対応した第2のパルスを取得し、これら第1、第2のパルスに基づいて送信データに対応した受信データを得る構成としたことによって、同期用クロックを用いることなく、簡単に受信データを得ることができるようにした受信機等に係るものである。
従来、図7に示すような、誘導結合を用いた無線通信システム200が提案されている。
送信機200Tは、送信回路201と、送信アンテナとしての送信コイル202とからなっている。送信回路201に、送信データTDが入力される。送信回路201は、送信データTDに対応した電流Iを送信コイル202に流し、この送信コイル202により送信データTDに対応した磁界変化を発生させる。
受信機200Rは、受信アンテナとしての受信コイル203と、受信回路204とからなっている。受信コイル203は、上述した送信コイル202と誘導結合され、この送信コイル202で発生される磁界変化を検出する。この受信コイル203には電流I′が流れる。受信回路204は、受信コイル203の一端および他端に発生する誘導起電力に基づいて、受信データRDを生成する。
図8Aは送信回路201に入力される送信データTDの一例を示し、図8Bはその送信データTDに対して受信回路204で得ることが期待される受信データRDを示している。ここで、受信回路204で得ることが期待される受信データRDは、送信回路201に入力される送信データTDに対し、周期tCYCが等しく、またハイレベルの期間tCHも等しいものである。
受信回路204で、上述したように期待される受信データRDを得るために、例えば、送信回路201および受信回路204は、図9に示すように構成される。図9に示す無線通信システム200は、例えば非特許文献1に記載されている。
送信回路201を説明する。この送信回路201は、Dフリップフロップ(D Flip-Flop)211と、Hブリッジ(H-Bridge)212とを有している。
送信データ(シリアルデータ)TDは、同期を取るために、Dフリップフロップ211のD端子に入力され、このDフリップフロップ211のクロック端子に入力される外部データシンクロナイズ用クロックSCKでラッチされる。
また、Dフリップフロップ211の出力端子Qに得られる、クロックSCKで同期が取られた送信データTD′は、Hブリッジ212のバッファ213を介して送信コイル202の一端に印加される。また、送信データTD′はHブリッジ212の遅延回路214に供給され、この遅延回路214からは送信データTD′を一定時間tDだけ遅延させた遅延データDTDが得られる。この遅延データDTDはバッファ215を介して送信コイル202の他端に印加される。
図10Aは送信データTDを示し、図10Bは送信コイル202の一端に印加される信号P(送信データTD′)を示し、図10Cは送信コイル202の他端に印加される信号N(遅延データDTD)を示している。この場合、信号Pと信号Nとの間には、信号Pの立ち上がり時点から一定時間tD、および信号Pの立ち下がり時点から一定時間tDにのみ、電位差が発生する。この電位差により、図10Dに示すように、送信コイル202に電流Iが流れ、磁界変化が発生する。
次に、受信回路204を説明する。
受信コイル203の一端および他端の間には、抵抗器Raおよび抵抗器Rbの直列回路が接続され、これら抵抗器Raおよび抵抗器Rbの互いの接続点にアンテナ終端のためのバイアス電圧VBが印加されている。また、受信コイル203の一端および他端の間には、アンテナの寄生容量PCが存在する。これにより、受信コイル203で上述した送信コイル202により発生される磁界変化が検出されるとき、この受信コイル203の一端および他端の間には起電力VRが発生する。
また、受信回路204は、コンパレータ241と、Dフリップフロップ242とを有している。受信コイル203の一端に発生する誘導起電力inpは、コンパレータ241の反転入力端子(負入力端子)に供給される。また、受信コイル203の他端に発生する誘導起電力innはオフセット電圧付加部243を介してコンパレータ241の非反転入力端子(正入力端子)に供給される。
オフセット電圧付加部243は、抵抗器R_offおよび定電流源I_offsetとからなる。受信コイル203の他端は抵抗器R_offおよび定電流源I_offsetの直列回路に接続され、この抵抗器R_offおよび定電流源I_offsetの互いの接続点がコンパレータ241の非反転入力端子に接続される。これにより、コンパレータ241の非反転入力端子には、オフセット電圧v_offsetが付加された誘導起電力inn′が供給される。
コンパレータ241は、非反転入力端子に供給される誘導起電力inn′が反転入力端子に供給される誘導起電力inpより大きくなるときハイレベルとなり、その他の期間はローレベルとなる信号C-OUTを出力する。このコンパレータ241の出力信号C-OUTはDフリップフロップ242のD端子に入力され、クロック端子に入力される外部データラッチクロックLCKでラッチされる。これにより、Dフリップフロップ242の出力端子Qに、上述した送信データTDに対応した、受信データRDが得られる。
図10Eは、送信コイル202に、上述した図10Dに示すような電流Iが流れ、これによる磁界変化を受信コイル203が検出した際に、コンパレータ241の反転入力端子に供給される誘導起電力inp、およびコンパレータ241の非反転入力端子に供給される誘導起電力inn′を示している。また、図10Fは、コンパレータ241の出力信号C-OUTを示し、図10GはDフリップフロップ242のクロック端子に供給される外部データラッチクロックLCKを示し、図10HはDフリップフロップ242の出力端子Qに得られる受信データRDを示している。
2004 ISSCC 発表 「A 1.2GHz Wireless Super connect Based on inductive Inter-Chip Signaling」
図9に示す無線通信システム200によれば、受信回路204に、送信データTDのビット周波数の2倍の周波数の外部データラッチクロックLCKを入力する必要があり、外部データラッチクロックLCKを得るための低ジッター特性を持つPLL(Phase-Locked Loop)回路が必要となる。
また、図9に示す無線通信システム200によれば、上述したように外部データラッチクロックLCKをPLL回路で発生する必要があることから、送信データのビット周波数は、PLL回路のロッジレンジに依存する。
また、図9に示す無線通信システム200によれば、受信回路204では、Dフリップフロップ242において、コンパレータ241の出力信号C-OUTを外部データラッチクロックLCKでラッチすることで受信データRDを得るものであり、出力信号C-OUTと外部データラッチクロックLCKとの位相を精度よく制御する必要がある。この場合、出力信号C-OUTと外部データラッチクロックLCKとの位相のずれによっては、Dフリップフロップ242で出力信号C-OUTに対するセットアップまたはホールド違反が発生し、受信データRDとして、送信データTDに対応したものを得ることができなくなる。
また、図9に示す無線通信システム200によれば、送信回路201では、送信データTDをDフリップフロップ211を用いて外部データシンクロナイズ用クロックSCKでラッチして、このクロックSCKに同期させた送信データTD′を得、この送信データTD′をHブリッジ212に供給する構成となっているが、この送信回路201は、上述の受信回路204と同様に、PLL回路によりコントロールされる同期回路でなければならない。
また、図9に示す無線通信システム200によれば、送信回路201および受信回路204はPLL回路でコントロールされる同期回路であるので、非同期データの送受信を行うことができない。
この発明の目的は、同期用クロックを用いることなく、簡単に受信データを得ることができるようにした受信機等を提供することにある。
この発明の第1の概念は、
送信データが送信コイルの一端に印加され、上記送信データを一定時間だけ遅延させた遅延データが上記送信コイルの他端に印加されることで、上記送信コイルにより発生される磁界変化を検出する受信コイルと、
上記受信コイルの一端に発生する第1の誘導起電力を、上記受信コイルの他端に発生する第2の誘導起電力と比較し、上記送信データの立ち上がりおよび上記遅延データの立ち下がりに対応した第1のパルスを出力する第1のコンパレータと、
上記第2の誘導起電力を、上記第1の誘導起電力と比較し、上記遅延データの立ち上がりおよび上記送信データの立ち下がりに対応した第2のパルスを出力する第2のコンパレータと、
上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスに基づいて、上記送信データに対応した受信データを得るデータ復調器と
を備え
上記データ復調器は、
上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスに基づいて、上記第1のコンパレータから出力される上記送信データの立ち上がりと上記遅延データの立ち下がりとに対応したパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される上記遅延データの立ち上がりと上記送信データの立ち下がりとに対応したパルスのそれぞれに対応し、該パルスの開始点直後に開始点が存在し、所定のパルス幅を持つ無効期間パルスを出力するパルス発生部と、
上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスのうち、上記パルス発生部から出力される無効期間パルスのパルス期間に存在するパルスを除くパルスを通過させる第1のゲート回路と、
上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスのうち、上記パルス発生部から出力される無効期間パルスのパルス期間に存在するパルスを除くパルスを通過させる第2のゲート回路と、
上記第1のゲート回路を通過したパルスでセットまたはリセットされると共に、上記第2のゲート回路を通過したパルスでリセットまたはセットされ、上記受信データを出力するRSフリップフロップとを有する
ことを特徴とする受信機にある。
この発明の第2の概念は、
送信データが送信コイルの一端に印加され、上記送信データを一定時間だけ遅延させた遅延データが上記送信コイルの他端に印加されることで、上記送信コイルにより発生される磁界変化を検出する受信コイルと、
上記受信コイルの一端に発生する第1の誘導起電力を、上記受信コイルの他端に発生する第2の誘導起電力と比較し、上記送信データの立ち上がりおよび上記遅延データの立ち下がりに対応した第1のパルスを出力する第1のコンパレータと、
上記第2の誘導起電力を、上記第1の誘導起電力と比較し、上記遅延データの立ち上がりおよび上記送信データの立ち下がりに対応した第2のパルスを出力する第2のコンパレータと、
上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスに基づいて、上記送信データに対応した受信データを得るデータ復調器と
を備え、
上記データ復調器は、
上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスが上記送信データの立ち上がりまたは上記遅延データの立ち下がりを示すタイミングから所定の期間内に、上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスが上記遅延データの立ち上がりおよび上記送信データの立ち下がりを示すことに基づいて、上記第1のコンパレータから出力される上記送信データの立ち上がりに対応したパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される上記遅延データの立ち上がりに対応したパルスの対を検出して第1の検出パルスを出力する第1のパルス発生部と、
上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスが上記遅延データの立ち上がりおよび上記送信データの立ち下がりを示すタイミングから所定の期間内に、上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスが上記送信データの立ち上がりまたは上記遅延データの立ち下がりを示すことに基づいて、上記第2のコンパレータから出力される上記送信データの立ち下がりに対応したパルスと上記第1のコンパレータから出力される上記遅延データの立ち下がりに対応したパルスの対を検出して第2の検出パルスを出力する第2のパルス発生部と、
上記第1のパルス発生部から出力される第1の検出パルスでセットまたはリセットされると共に、上記第2のパルス発生部から出力される第2の検出パルスでリセットまたはセットされ、上記受信データを出力するRSフリップフロップとを有する
ことを特徴とする受信機にある。
この発明において、送信コイルにより発生される磁界変化が、受信コイルで検出される。なお、送信コイルでは、一端に送信データが印加されると共に、他端に遅延データが印加されることで、磁界変化が発生される。ここで、遅延データは、送信データを一定時間だけ遅延させたものである。
受信コイルの一端および他端には、それぞれ、上述の磁界変化に応じた第1の誘導起電力および第2の誘導起電力が発生する。そして、第1のコンパレータで第1の誘導起電力が第2の誘導起電力と比較され、送信データの立ち上がりおよび遅延データの立ち下がりに対応した第1のパルスが出力される。同様に、第2のコンパレータで第2の誘導起電力が第1の誘導起電力と比較され、遅延データの立ち上がりおよび送信データの立ち下がりに対応した第2のパルスが出力される。
例えば、第1、第2のコンパレータは、それぞれ、第1の誘導起電力の入力部あるいは第2の誘導起電力の入力部に、オフセット電圧の付加部を有するようにされる。また例えば、第1、第2のコンパレータは、それぞれ、ヒステリシス特性を持つコンパレータとされる。これにより、第1、第2の誘導起電力に載っているリンギング等のノイズ、あるいはコンパレータのチャタリングによる影響を軽減でき、第1、第2のパルスを良好に得ることが可能となる。
第1のコンパレータで得られる送信データの立ち上がりおよび遅延データの立ち下がりに対応した第1のパルス、および第2のコンパレータで得られる遅延データの立ち上がりおよび送信データの立ち下がりに対応した第2のパルスに基づいて、送信データに対応した受信データが得られる。
例えば、以下のようにして、第1、第2のパルスから、受信データが得られる。
すなわち、第1のパルスに含まれる送信データの立ち上がりに対応したパルスおよび第2のパルスに含まれる送信データの立ち下がりに対応したパルスのそれぞれに対応し、このパルスの開始点直後に開始点が存在し、所定のパルス幅を持つ無効期間パルスが出力される。
第1のパルスのうち、無効期間パルスのパルス期間に存在するパルスを除くパルスが取り出される。この場合、送信データの立ち上がりに対応したパルスは取り出されるが、無効期間パルスのパルス期間に存在するパルス、例えば送信データの立ち上がりに対応したパルスに続く不要なパルス、遅延データの立ち下がりに対応したパルスおよびその前後に存在する不要なパルス等は取り出されない。そして、この取り出された送信データの立ち上がりに対応したパルスにより、RSフリップフロップがセットまたはリセットされる。
また、第2のパルスのうち、無効期間パルスのパルス期間に存在するパルスを除くパルスが取り出される。この場合、送信データの立ち下がりに対応したパルスは取り出されるが、無効期間パルスのパルス期間に存在するパルス、例えば送信データの立ち下がりに対応したパルスに続く不要なパルス、遅延データの立ち上がりに対応したパルスおよびその前後に存在する不要なパルス等は取り出されない。そして、この取り出された送信データの立ち下がりに対応したパルスにより、RSフリップフロップがリセットまたはセットされる。
結局、RSフリップフロップは、送信データの立ち上がりに対応したパルスでセットまたはリセットされると共に、送信データの立ち下がりに対応したパルスでリセットまたはセットされるので、このRSフリップフロップから、送信データに対応した受信データが得られる。この場合、送信データの立ち上がり、立ち下がりに対応したパルスそのものでRSフリップフロップのセットリセットを制御するものであり、送信データに対する受信データの遅延時間を短くできる。またこの場合、無効期間パルスのパルス期間に存在する不要なパルスによる誤動作を防止できる。
また例えば、以下のようにして、第1、第2のパルスから、受信データが得られる。
すなわち、第1のパルスに含まれる送信データの立ち上がりに対応したパルスおよび第2のパルスに含まれる遅延データの立ち上がりに対応したパルスの対を検出して第1の検出パルスが得られ、この第1の検出パルスによりRSフリップフロップがセットまたはリセットされる。
また、第2のパルスに含まれる送信データの立ち下がりに対応したパルスおよび第1のパルスに含まれる遅延データの立ち下がりに対応したパルスの対を検出して第2の検出パルスが得られ、この第2の検出パルスによりRSフリップフロップがリセットまたはセットされる。
結局、RSフリップフロップは、送信データの立ち上がりに対応した第1の検出パルスでセットまたはリセットされると共に、送信データの立ち下がりに対応した第2の検出パルスでリセットまたはセットされるので、このRSフリップフロップから、送信データに対応した受信データが得られる。この場合、送信データおよび遅延データの立ち上がりに対応したパルス対、送信データおよび遅延データの立ち下がりに対応したパルス対を検出して、RSフリップフロップのセットリセットを制御するものであり、第1、第2のパルスに、このパルス対の規則に反する不要なパルスが存在していても、その不要なパルスによる誤動作を防止できる。
上述したように、この発明においては、同期用クロックを用いるものではなく、(1)低ジッター特性を持つPLL回路が必要となる、(2)送信データのビット周波数がPLL回路のロッジレンジに依存する、(3)PLL回路で発生されるクロックの位相精度を精度よく制御する等の、同期用クロックを発生するPLL回路を使用する際の問題がなくなる。また、この発明においては、同期用クロックを用いるものではなく、非同期データあるいはクロック自体の伝送にも使用できる。
この発明によれば同期用クロックを用いることなく、簡単に受信データを得ることができる。
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態としての誘導結合を用いた無線通信システム100の構成を示している。この無線通信システム100は、送信機100Tと、受信機100Rとを備えている。
送信機100Tを説明する。この送信機100Tは、送信回路101と、送信アンテナとしての送信コイル102とからなっている。送信回路101に、送信データTDが入力される。送信回路101は、送信データTDに対応した電流Iを送信コイル102に流し、この送信コイル102により送信データTDに対応した磁界変化を発生させる。
送信回路101をさらに説明する。この送信回路101は、Hブリッジ(H-Bridge)112で構成されている。送信データ(シリアルデータ)TDは、Hブリッジ112のバッファ113を介して送信コイル102の一端に印加される。また、送信データTDはHブリッジ112の遅延回路114に供給され、この遅延回路114からは送信データTDを一定時間tDだけ遅延させた遅延データDTDが得られる。この遅延データDTDはバッファ115を介して送信コイル102の他端に印加される。
図2Aは送信データTDを示し、図2Bは送信コイル102の一端に印加される信号P(送信データTD)を示し、図2Cは送信コイル102の他端に印加される信号N(遅延データDTD)を示している。この場合、信号Pと信号Nとの間には、信号Pの立ち上がり時点から一定時間tD、および信号Pの立ち下がり時点から一定時間tDにのみ、電位差が発生する。この電位差により、図2Dに示すように、送信コイル102に電流Iが流れ、磁界変化が発生する。
受信機100Rを説明する。この受信機100Rは、受信アンテナとしての受信コイル103と、受信回路104とからなっている。受信コイル103は、上述した送信コイル102と誘導結合され、この送信コイル102で発生される磁界変化を検出する。この受信コイル103には電流I′が流れる。受信回路104は、受信コイル103の一端および他端に発生する誘導起電力に基づいて、受信データRDを生成する。
受信回路104をさらに説明する。受信コイル103の一端および他端の間には、抵抗器Raおよび抵抗器Rbの直列回路が接続され、これら抵抗器Raおよび抵抗器Rbの互いの接続点にアンテナ終端のためのバイアス電圧VBが印加されている。また、受信コイル103の一端および他端の間には、アンテナの寄生容量PCが存在する。これにより、受信コイル103で上述した送信コイル102により発生される磁界変化が検出されるとき、この受信コイル103の一端および他端の間には起電力VRが発生する。
また、受信回路104は、コンパレータ141,142と、データ復調器143とを有している。受信コイル103の一端に発生する誘導起電力inpは、オフセット電圧付加部144を介して、第1のコンパレータとしてのコンパレータ141の非反転入力端子(正入力端子)に供給されると共に、第2のコンパレータとしてのコンパレータ142の反転入力端子(負入力端子)に供給される。また、受信コイル103の他端に発生する誘導起電力innは、オフセット電圧付加部145を介してコンパレータ142の非反転入力端子(正入力端子)に供給されると共に、コンパレータ141の反転入力端子(負入力端子)に供給される。
オフセット電圧付加部144は、抵抗器R_offおよび定電流源I_offsetとからなる。受信コイル103の一端は抵抗器R_offおよび定電流源I_offsetの直列回路に接続され、この抵抗器R_offおよび定電流源I_offsetの互いの接続点がコンパレータ141の非反転入力端子に接続される。これにより、コンパレータ141の非反転入力端子には、オフセット電圧v_offsetが付加された誘導起電力inp′が供給される。
同様に、オフセット電圧付加部145も、抵抗器R_offおよび定電流源I_offsetとからなる。受信コイル103の他端は抵抗器R_offおよび定電流源I_offsetの直列回路に接続され、この抵抗器R_offおよび定電流源I_offsetの互いの接続点がコンパレータ142の非反転入力端子に接続される。これにより、コンパレータ142の非反転入力端子には、オフセット電圧v_offsetが付加された誘導起電力inn′が供給される。
コンパレータ141は、非反転入力端子に供給される誘導起電力inp′が反転入力端子に供給される誘導起電力innより大きくなるときハイレベルとなり、その他の期間はローレベルとなる信号(第1のパルス)outpを出力する。この信号outpは、送信データTDの立ち上がりおよび遅延データDTDの立ち下がりに対応したパルスを有するものとなる。この場合、オフセット付加部144を設け、コンパレータ141の非反転入力端子には、オフセット電圧v_offsetが付加された誘導起電力inp′が供給されるようにしているので、誘導起電力inn,inpに載っているリンギング等のノイズ、あるいはコンパレータ141のチャタリングによる影響を軽減でき、信号(第1のパルス)outpを良好に得ることができる。
コンパレータ142は、非反転入力端子に供給される誘導起電力inn′が反転入力端子に供給される誘導起電力inpより大きくなるときハイレベルとなり、その他の期間はローレベルとなる信号(第2のパルス)outnを出力する。この信号outnは、遅延データDTDの立ち上がりおよび送信データTDの立ち下がりに対応したパルスを有するものとなる。この場合、オフセット付加部145を設け、コンパレータ142の非反転入力端子には、オフセット電圧v_offsetが付加された誘導起電力inn′が供給されるようにしているので、誘導起電力inn,inpに載っているリンギング等のノイズ、あるいはコンパレータ142のチャタリングによる影響を軽減でき、信号(第2のパルス)outnを良好に得ることができる。
データ復調器143は、コンパレータ141から出力される信号outp、およびコンパレータ142から出力される信号outnに基づいて、送信データTDに対応した受信データRDを生成する。
図2Gは、送信コイル102に、上述した図2Dに示すような電流Iが流れ、これによる磁界変化を受信コイル103が検出した際に、コンパレータ141の非反転入力端子に供給される誘導起電力inp′、およびこのコンパレータ141の反転入力端子に供給される誘導起電力innを示している。そして、図2Hは、コンパレータ141の出力信号outpを示している。この出力信号outpは、図示のように、送信データTDの立ち上がりおよび遅延データDTDの立ち下がりに対応したパルスを有している。
また、図2Eは、送信コイル102に、上述した図2Dに示すような電流Iが流れ、これによる磁界変化を受信コイル103が検出した際に、コンパレータ142の反転入力端子に供給される誘導起電力inp、およびこのコンパレータ142の非反転入力端子に供給される誘導起電力inn′を示している。そして、図2Fは、コンパレータ142の出力信号outnを示している。この出力信号outnは、図示のように、遅延データDTDの立ち上がりおよび送信データTDの立ち下がりに対応したパルスを有している。
なお、誘導起電力inp′/inn、および誘導起電力inp/inn′に、信号P,Nの遷移以外から余分な遷移が起こっているのは、送信コイル102の特性インピーダンスと送信回路101のインピーダンスの不整合、および受信コイル103の特性インピーダンスと受信回路104のインピーダンスの不整合による反射などに由来するリンギング等である。
ここで、図示のように、送信データTDの立ち上がり時には、出力信号(第1のパルス)outpの遷移は、出力信号(第2のパルス)outnの遷移より早く起こる。これは、当該立ち上がり時には、送信回路101が送信コイル102に正の方向の電流Iを流し、電流オフのときこの送信コイル102に逆方向(負の方向)の電流Iが流れるためである。また、図示のように、送信データTDの立ち下がり時には、出力信号(第2のパルス)outnの遷移は、出力信号(第1のパルス)outpの遷移より早く起こる。これは、当該立ち上がり時には、送信回路101が送信コイル102に負の方向の電流Iを流し、電流オフのときこの送信コイル102に逆方向(正の方向)の電流Iが流れるためである。
また、図2Iは、図2Hに示すコンパレータ141の出力信号outpおよび図2Fに示すコンパレータ142の出力信号outnに基づいて、データ復調器143で生成される、送信データTDに対応した受信データRDを示している。
次に、図3を用いて、データ復調器143の構成例を説明する。なお、この図3において、図1と対応する部分には同一符号を付して示している。
コンパレータ141の出力信号outpは、インバータ151および立ち上がり遅延回路(R-delay)152の直列回路(パルス延長回路)に供給される。この場合、コンパレータ141の出力信号outpはインバータ151で反転され、遅延回路152でその反転された信号に含まれるパルスの立ち上がりが所定時間だけ遅延されて、信号P_exが生成される。
コンパレータ142の出力信号outnは、インバータ153および立ち上がり遅延回路(R-delay)154の直列回路(パルス延長回路)に供給される。この場合、コンパレータ142の出力信号outnはインバータ153で反転され、遅延回路154でその反転された信号に含まれるパルスの立ち上がりが所定時間だけ遅延されて、信号N_exが生成される。
遅延回路152,154における遅延時間は、それぞれ、立ち上がりが遅延されることによって、パルス幅が、上述した送信データTDから遅延データDTDを生成する際の遅延時間tD以上となるように、設定される。
これら遅延回路152の出力信号N_exおよび遅延回路154の出力信号P_exがナンド回路155に供給され、無効期間パルスignが得られる。この無効期間パルスignは、出力信号outp内の送信データTDの立ち上がりに対応したパルスおよび出力信号outn内の送信データTDの立ち下がりに対応したパルスのそれぞれに対応し、そのパルスの開始点直後に開始点が存在し、所定のパルス幅を持つものとなる。
ここで、インバータ151,153、立ち上がり遅延回路152,154およびナンド回路155は、無効期間パルスignを出力するためのパルス発生部を構成している。
この無効期間パルスignはインバータ156で反転され、その後にナンド回路157およびナンド回路158に供給される。また、ナンド回路157にはコンパレータ141の出力信号outpが供給され、ナンド回路158にはコンパレータ142の出力信号outnが供給される。
ここで、ナンド回路157は第1のゲート回路を構成し、このナンド回路157では、コンパレータ141の出力信号(第1のパルス)outpのうち、無効期間パルスignのパルス期間に存在するパルスを除くパルスが通過するようにされる。この場合、送信データTDの立ち上がりに対応したパルスは取り出されるが、無効期間パルスignのパルス期間に存在するパルス、例えば送信データTDの立ち上がりに対応したパルスに続く不要なパルス、遅延データDTDの立ち下がりに対応したパルスおよびその前後に存在する不要なパルス等は取り出されない。
また、ナンド回路158は第2のゲート回路を構成し、このナンド回路158では、コンパレータ142の出力信号(第2のパルス)outnのうち、無効期間パルスignのパルス期間に存在するパルスを除くパルスが通過するようにされる。この場合、送信データTDの立ち下がりに対応したパルスは取り出されるが、無効期間パルスignのパルス期間に存在するパルス、例えば送信データTDの立ち下がりに対応したパルスに続く不要なパルス、遅延データDTDの立ち上がりに対応したパルスおよびその前後に存在する不要なパルス等は取り出されない。
ナンド回路157の出力信号はRSフリップフロップ159のセット端子Sバーに入力され、ナンド回路158の出力信号はRSフリップフロップ159のリセット端子Rバーに入力される。この場合、ナンド回路157では上述したように送信データTDの立ち上がりに対応したパルスが取り出されることから、RSフリップフロップ159はこのパルスでセットされる。またこの場合、ナンド回路158では上述したように送信データTDの立ち下がりに対応したパルスが取り出されることから、RSフリップフロップ159はこのパルスでリセットされる。したがって、このRSフリップフロップ159の出力端子Qには、送信データTDに対応した受信データRDが得られる。
図4Cは、コンパレータ141の出力信号(第1のパルス)outpが図4Aに示すようであるとき(図2Hに対応)、立ち上がり遅延回路152から出力される信号P_exを示している。この信号P_exは、図示のように、コンパレータ141の出力信号outpが反転され、その立ち上がりが遅延され、パルス幅が一定時間tD以上とされたものとなっている。
図4Dは、コンパレータ142の出力信号(第2のパルス)outnが図4Bに示すようであるとき(図2Fに対応)、立ち上がり遅延回路152から出力される信号N_exを示している。この信号N_exは、図示のように、コンパレータ142の出力信号outnが反転され、その立ち上がりが遅延され、パルス幅が一定時間tD以上とされたものとなっている。
図4Eは、ナンド回路155より出力される無効期間パルスignを示している。この無効期間パルスingは、図示のように、出力信号outp内の送信データTDの立ち上がりに対応したパルス(図4Aの「*」が付されたパルス)、および出力信号outn内の送信データTDの立ち下がりに対応したパルス(図4Bの「*」が付されたパルス)のそれぞれに対応し、そのパルス、つまり送信データTDの立ち上がり、立ち下がりに対応したパルスの開始点の直後に開始点が存在し、所定のパルス幅を持ったものとなっている。
そして、図4Fは、RSフリップフロップ159の出力端子Qに得られる受信データRDを示している。この受信データRDは、図示のように、出力信号outp内の送信データTDの立ち上がりに対応したパルスでセットされ、出力信号outn内の送信データTDの立ち下がりに対応したパルスでリセットされて得られたものであり、送信データTDに対応したものとなっている。
データ復調器143が、図3に示すように構成されるものによれば、送信データTDの立ち上がり、立ち下がりに対応したパルスそのものでRSフリップフロップ159のセットリセットを制御するものであり、送信データTDに対する受信データRDの遅延時間を短くできる。また、無効期間パルスignにより、そのパルス期間に存在する不要なパルスが除かれるので、その不要なパルスによる誤動作を防止でき、RSフリップフロップ159の出力端子Qに得られる受信データRDが、送信データTDに対応しないものとなることを防止できる。
なお、図3では、ナンド回路157の出力信号をRSフリップフロップ159のセット端子Sバーに供給し、ナンド回路158の出力信号をRSフリップフロップ159のリセット端子Rバーに供給するようにしている。しかし、ナンド回路157の出力信号をRSフリップフロップ159のリセット端子Rバーに供給し、ナンド回路158の出力信号をRSフリップフロップ159のセット端子Sバーに供給してもよく、その場合には、受信データRDは、送信データTDを反転したデータに対応したものとなる。
次に、図5を用いて、データ復調器143の他の構成例を説明する。なお、この図5において、図1と対応する部分には同一符号を付して示している。
コンパレータ141の出力信号outpは、インバータ161および立ち上がり遅延回路(R-delay)162の直列回路(パルス延長回路)に供給される。この場合、コンパレータ141の出力信号outpはインバータ161で反転され、遅延回路162でその反転された信号に含まれるパルスの立ち上がりが所定時間だけ遅延される。そして、この遅延回路162の出力信号がインバータ163で反転されて、信号p_extが生成される。
コンパレータ142の出力信号outnは、インバータ164および立ち上がり遅延回路(R-delay)165の直列回路(パルス延長回路)に供給される。この場合、コンパレータ142の出力信号outnはインバータ164で反転され、遅延回路165でその反転された信号に含まれるパルスの立ち上がりが所定時間だけ遅延される。そして、この遅延回路165の出力信号がインバータ166で反転されて、信号n_extが生成される。
ここで、遅延回路162,165における遅延時間は、それぞれ、立ち上がりが遅延されることによって、パルス幅が、上述した送信データTDから遅延データDTDを生成する際の遅延時間tD以上となるように、設定される。
インバータ163の出力信号p_extはナンド回路167に供給され、このナンド回路167にさらにコンパレータ142の出力信号outnが供給されて、第1の検出パルスp_togが得られる。この第1の検出パルスp_togは、出力信号outp内の送信データTDの立ち上がりに対応したパルスおよび出力信号outn内の遅延データDTDの立ち上がりに対応したパルスの対を検出したものとなる。ここで、インバータ161、立ち上がり遅延回路162、インバータ163およびナンド回路167は、第1のパルス発生部を構成している。
インバータ166の出力信号n_extはナンド回路168に供給され、このナンド回路168にさらにコンパレータ141の出力信号outpが供給されて、第2の検出パルスn_togが得られる。この第2の検出パルスn_togは、出力信号outn内の送信データTDの立ち下がりに対応したパルスおよび出力信号outp内の遅延データDTDの立ち下がりに対応したパルスの対を検出したものとなる。ここで、インバータ164、立ち上がり遅延回路165、インバータ166およびナンド回路168は、第2のパルス発生部を構成している。
ナンド回路167で得られる第1の検出パルスp_togはRSフリップフロップ169のセット端子Sバーに入力され、ナンド回路168で得られる第2の検出パルスn_togはRSフリップフロップ169のリセット端子Rバーに入力される。この場合、第1の検出パルスp_togは送信データTDの立ち上がりおよび遅延データDTDの立ち上がりの対を検出したものであることから、RSフリップフロップ169は送信データTDの立ち上がりに対応してセットされる。また、第2の検出パルスn_togは、送信データTDの立ち下がりおよび遅延データDTDの立ち下がりの対を検出したものであることから、RSフリップフロップ169は送信データTDの立ち下がりに対応してリセットされる。したがって、このRSフリップフロップ169の出力端子Qには、送信データTDに対応した受信データRDが得られる。
図6Cは、コンパレータ141の出力信号(第1のパルス)outpが図6Aに示すようであるとき(図2Hに対応)、インバータ163から出力される信号p_extを示している。この信号p_extは、図示のように、コンパレータ141の出力信号outpが反転され、その立ち上がりが遅延され、さらのその後に再び反転されて、パルス幅が一定時間tD以上とされたものとなっている。
図6Dは、コンパレータ142の出力信号(第2のパルス)outnが図6Bに示すようであるとき(図2Fに対応)、インバータ166から出力される信号n_extを示している。この信号n_extは、図示のように、コンパレータ142の出力信号outnが反転され、その立ち上がりが遅延され、さらにその後に再び判定されて、パルス幅が一定時間tD以上とされたものとなっている。
図6Eは、ナンド回路167より出力される第1の検出パルスp_togを示している。この第1の検出パルスp_togは、図示のように、出力信号outp内の送信データTDの立ち上がりに対応したパルス(図6Aの「r」が付されたパルス)および出力信号outn内の遅延データDTDの立ち上がりに対応したパルス(図6Bの「r」が付されたパルス)の対に対応して得られており、この対を検出したものとなっている。
図6Fは、ナンド回路168より出力される第2の検出パルスn_togを示している。この第2の検出パルスn_togは、図示のように、出力信号outn内の送信データTDの立ち下がりに対応したパルス(図6Bの「d」が付されたパルス)および出力信号outn内の遅延データDTDの立ち下がりに対応したパルス(図6Aの「d」が付されたパルス)の対に対応して得られており、この対を検出したものとなっている。
そして、図6Gは、RSフリップフロップ169の出力端子Qに得られる受信データRDを示している。この受信データRDは、図示のように、送信データTDの立ち上がりに対応した第1の検出パルスp_togでセットされると共に、送信データTDの立ち下がりに対応した第2の検出パルスn_togでリセットされて得られたものであり、送信データTDに対応したものとなっている。
データ復調器143が、図5に示すように構成されるものによれば、送信データTDおよび遅延データDTDの立ち上がりに対応したパルス対、送信データTDおよび遅延データDTDの立ち下がりに対応したパルス対を検出して、RSフリップフロップ169のセットリセットを制御するものであり、コンパレータ141の出力信号(第1のパルス)outpおよびコンパレータ142の出力信号(第2のパルス)outnに、このパルス対の規則に反する不要なパルスが存在していても、その不要なパルスによる誤動作を防止でき、RSフリップフロップ169の出力端子Qに得られる受信データRDが、送信データRDに対応しないものとなることを防止できる。
なお、図5では、ナンド回路167の出力信号をRSフリップフロップ169のセット端子Sバーに供給し、ナンド回路168の出力信号をRSフリップフロップ169のリセット端子Rバーに供給するようにしている。しかし、ナンド回路167の出力信号をRSフリップフロップ169のリセット端子Rバーに供給し、ナンド回路168の出力信号をRSフリップフロップ169のセット端子Sバーに供給してもよく、その場合には、受信データRDは、送信データTDを反転したデータに対応したものとなる。
図1に示す無線通信システム100によれば、同期用クロックを用いるものではなく、(1)低ジッター特性を持つPLL回路が必要となる、(2)送信データTDのビット周波数がPLL回路のロッジレンジに依存する、(3)PLL回路で発生されるクロックの位相精度を精度よく制御する、等の同期用クロックを発生するPLL回路を使用する際の問題がなくなる。
また、図1に示す無線通信システム100によれば、同期用クロックを用いるものではないので、非同期データあるいはクロック自体の伝送にも使用できる。
なお、上述実施の形態においては、受信コイル103の一端に発生する誘導起電力inpをコンパレータ141の非反転入力端子に供給する際に、オフセット電圧付加部144でオフセット電圧v_offsetを付加している。しかし、このように誘導起電力inpにオフセット電圧v_offsetを付加する代わりに、受信コイル103の他端に発生し、コンパレータ141の反転入力端子に供給される誘導起電力innに、上述のオフセット電圧v_offsetとは逆極性のオフセット電圧を印加するようにしてもよい。これは、コンパレータ142に関しても同様である。
また、上述実施の形態においては、誘導起電力inp,innに載っているリンギング等のノイズ、あるいはコンパレータ141,142のチャタリングによる影響を軽減するためにコンパレータ141,142は、その誘導起電力inp,innの入力部にオフセット電圧付加部144,145を有するものとしている。しかし、このようにオフセット電圧付加部144,145を有する代わりに、これらコンパレータ141,142としてヒステリシス特性を持つものを使用し、誘導起電力inp,innに載っているリンギング等のノイズ、あるいはコンパレータ141,142のチャタリングによる影響を軽減するようにしてもよい。
この発明は、誘導結合を用いた無線通信システムで、同期用クロックを用いることなく、簡単に受信データを得ることができるものであり、例えばSIP(System In Package)において、パッケージ内の各IC(集積回路)間の通信等に良好に適用できる。
実施の形態としての誘導結合を用いた無線通信システムの構成を示す系統図である。 送信回路、受信回路の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。 データ復調器の構成例を示す系統図である。 データ復調器の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。 データ復調器の他の構成例を示す系統図である。 データ復調器の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。 従来の誘導結合を用いた無線通信システムの概要を説明するための図である。 無線通信システムにおける送信データ、および期待される受信データを示す図である。 従来の無線通信システムにおける送信回路および受信回路の構成を示す系統図である。 従来の無線通信システムにおける送信回路、受信回路の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
符号の説明
100・・・誘導結合を用いた無線通信システム、100T・・・送信機、100R・・・受信機、101・・・送信回路、102・・・送信コイル、103・・・受信コイル、104・・・受信回路、112・・・Hブリッジ、113,115・・・バッファ、114・・・遅延回路、141,142・・・コンパレータ、143・・・データ復調器、144,145・・・オフセット電圧付加部、151,153,156・・・インバータ、152,154・・・立ち上がり遅延回路、155,157,158・・・ナンド回路、159・・・RSフリップフロップ、161,163,164,166・・・インバータ、162,165・・・立ち上がり遅延回路、167,168・・・ナンド回路、169・・・RSフリップフロップ

Claims (4)

  1. 送信データが送信コイルの一端に印加され、上記送信データを一定時間だけ遅延させた遅延データが上記送信コイルの他端に印加されることで、上記送信コイルにより発生される磁界変化を検出する受信コイルと、
    上記受信コイルの一端に発生する第1の誘導起電力を、上記受信コイルの他端に発生する第2の誘導起電力と比較し、上記送信データの立ち上がりおよび上記遅延データの立ち下がりに対応した第1のパルスを出力する第1のコンパレータと、
    上記第2の誘導起電力を、上記第1の誘導起電力と比較し、上記遅延データの立ち上がりおよび上記送信データの立ち下がりに対応した第2のパルスを出力する第2のコンパレータと、
    上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスに基づいて、上記送信データに対応した受信データを得るデータ復調器と
    を備え
    上記データ復調器は、
    上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスに基づいて、上記第1のコンパレータから出力される上記送信データの立ち上がりと上記遅延データの立ち下がりとに対応したパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される上記遅延データの立ち上がりと上記送信データの立ち下がりとに対応したパルスのそれぞれに対応し、該パルスの開始点直後に開始点が存在し、所定のパルス幅を持つ無効期間パルスを出力するパルス発生部と、
    上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスのうち、上記パルス発生部から出力される無効期間パルスのパルス期間に存在するパルスを除くパルスを通過させる第1のゲート回路と、
    上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスのうち、上記パルス発生部から出力される無効期間パルスのパルス期間に存在するパルスを除くパルスを通過させる第2のゲート回路と、
    上記第1のゲート回路を通過したパルスでセットまたはリセットされると共に、上記第2のゲート回路を通過したパルスでリセットまたはセットされ、上記受信データを出力するRSフリップフロップとを有する
    ことを特徴とする受信機。
  2. 送信データが送信コイルの一端に印加され、上記送信データを一定時間だけ遅延させた遅延データが上記送信コイルの他端に印加されることで、上記送信コイルにより発生される磁界変化を検出する受信コイルと、
    上記受信コイルの一端に発生する第1の誘導起電力を、上記受信コイルの他端に発生する第2の誘導起電力と比較し、上記送信データの立ち上がりおよび上記遅延データの立ち下がりに対応した第1のパルスを出力する第1のコンパレータと、
    上記第2の誘導起電力を、上記第1の誘導起電力と比較し、上記遅延データの立ち上がりおよび上記送信データの立ち下がりに対応した第2のパルスを出力する第2のコンパレータと、
    上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスに基づいて、上記送信データに対応した受信データを得るデータ復調器と
    を備え、
    上記データ復調器は、
    上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスが上記送信データの立ち上がりまたは上記遅延データの立ち下がりを示すタイミングから所定の期間内に、上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスが上記遅延データの立ち上がりおよび上記送信データの立ち下がりを示すことに基づいて、上記第1のコンパレータから出力される上記送信データの立ち上がりに対応したパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される上記遅延データの立ち上がりに対応したパルスの対を検出して第1の検出パルスを出力する第1のパルス発生部と、
    上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスが上記遅延データの立ち上がりおよび上記送信データの立ち下がりを示すタイミングから所定の期間内に、上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスが上記送信データの立ち上がりまたは上記遅延データの立ち下がりを示すことに基づいて、上記第2のコンパレータから出力される上記送信データの立ち下がりに対応したパルスと上記第1のコンパレータから出力される上記遅延データの立ち下がりに対応したパルスの対を検出して第2の検出パルスを出力する第2のパルス発生部と、
    上記第1のパルス発生部から出力される第1の検出パルスでセットまたはリセットされると共に、上記第2のパルス発生部から出力される第2の検出パルスでリセットまたはセットされ、上記受信データを出力するRSフリップフロップとを有する
    ことを特徴とする受信機。
  3. 誘導結合を用いた無線通信システムであって、
    送信機と受信機とを備え、
    上記送信機は、
    送信コイルと、
    送信データを上記送信コイルの一端に印加すると共に、上記送信データを一定時間だけ遅延させた遅延データを生成し、該遅延データを上記送信コイルの他端に印加する送信回路とを有し、
    上記受信機は、
    上記送信コイルにより発生される磁界変化を検出する受信コイルと、
    上記受信コイルの一端に発生する第1の誘導起電力を、上記受信コイルの他端に発生する第2の誘導起電力と比較し、上記送信データの立ち上がりおよび上記遅延データの立ち下がりに対応した第1のパルスを出力する第1のコンパレータと、
    上記第2の誘導起電力を、上記第1の誘導起電力と比較し、上記遅延データの立ち上がりおよび上記送信データの立ち下がりに対応した第2のパルスを出力する第2のコンパレータと、
    上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスに基づいて、上記送信データに対応した受信データを得るデータ復調器と
    を有し、
    上記データ復調器は、
    上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスに基づいて、上記第1のコンパレータから出力される上記送信データの立ち上がりと上記遅延データの立ち下がりとに対応したパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される上記遅延データの立ち上がりと上記送信データの立ち下がりとに対応したパルスのそれぞれに対応し、該パルスの開始点直後に開始点が存在し、所定のパルス幅を持つ無効期間パルスを出力するパルス発生部と、
    上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスのうち、上記パルス発生部から出力される無効期間パルスのパルス期間に存在するパルスを除くパルスを通過させる第1のゲート回路と、
    上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスのうち、上記パルス発生部から出力される無効期間パルスのパルス期間に存在するパルスを除くパルスを通過させる第2のゲート回路と、
    上記第1のゲート回路を通過したパルスでセットまたはリセットされると共に、上記第2のゲート回路を通過したパルスでリセットまたはセットされ、上記受信データを出力するRSフリップフロップとを有する
    ことを特徴とする無線通信システム。
  4. 誘導結合を用いた無線通信システムであって、
    送信機と受信機とを備え、
    上記送信機は、
    送信コイルと、
    送信データを上記送信コイルの一端に印加すると共に、上記送信データを一定時間だけ遅延させた遅延データを生成し、該遅延データを上記送信コイルの他端に印加する送信回路とを有し、
    上記受信機は、
    上記送信コイルにより発生される磁界変化を検出する受信コイルと、
    上記受信コイルの一端に発生する第1の誘導起電力を、上記受信コイルの他端に発生する第2の誘導起電力と比較し、上記送信データの立ち上がりおよび上記遅延データの立ち下がりに対応した第1のパルスを出力する第1のコンパレータと、
    上記第2の誘導起電力を、上記第1の誘導起電力と比較し、上記遅延データの立ち上がりおよび上記送信データの立ち下がりに対応した第2のパルスを出力する第2のコンパレータと、
    上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスに基づいて、上記送信データに対応した受信データを得るデータ復調器と
    を有し、
    上記データ復調器は、
    上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスが上記送信データの立ち上がりまたは上記遅延データの立ち下がりを示すタイミングから所定の期間内に、上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスが上記遅延データの立ち上がりおよび上記送信データの立ち下がりを示すことに基づいて、上記第1のコンパレータから出力される上記送信データの立ち上がりに対応したパルスおよび上記第2のコンパレータから出力される上記遅延データの立ち上がりに対応したパルスの対を検出して第1の検出パルスを出力する第1のパルス発生部と、
    上記第2のコンパレータから出力される第2のパルスが上記遅延データの立ち上がりおよび上記送信データの立ち下がりを示すタイミングから所定の期間内に、上記第1のコンパレータから出力される第1のパルスが上記送信データの立ち上がりまたは上記遅延データの立ち下がりを示すことに基づいて、上記第2のコンパレータから出力される上記送信データの立ち下がりに対応したパルスと上記第1のコンパレータから出力される上記遅延データの立ち下がりに対応したパルスの対を検出して第2の検出パルスを出力する第2のパルス発生部と、
    上記第1のパルス発生部から出力される第1の検出パルスでセットまたはリセットされると共に、上記第2のパルス発生部から出力される第2の検出パルスでリセットまたはセットされ、上記受信データを出力するRSフリップフロップとを有する
    ことを特徴とする無線通信システム。
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