JP4622703B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
補助駆動機構として油圧シリンダを有している油圧パワーステアリング装置においては、トーションバーの捩れ角に応じて開度調整されるロータリバルブを備えており、このバルブが油圧を制御することによって出力軸側に連結させた油圧シリンダを動作させ、その油圧力によって操舵補助を行っている。
補助駆動機構として電動モータを有している電動パワーステアリング装置においては、トーションバーに作用するトルク(捩れ)をトルクセンサにより検出し、検出したトルクの値に基づいて、出力軸側に連結させた電動モータを回転させ、電動モータの動力によって操舵補助を行っている。
つまり、従来のパワーステアリング装置は、ステアリングホイールから入力されたトルクがトーションバーに伝わってトーションバーが捩れ、その捩れに応じて油圧アクチュエータや電動モータを動作させ、出力軸側に対して操舵補助を行っている。
そこで、この発明は軸方向寸法を短くして小型化を図ることのできるパワーステアリング装置を提供することを目的とする。
この場合、センサにより環状部材と内側部材の位相差を検出し、その検出結果に基づいて制御手段がモータの出力を制御できる。従って、位相差に応じた操舵補助が可能となる。
この構成によれば、環状部材と内側部材との位相差と、この位相差における環状部材と内側部材との間隔の関係を予め求めておけば、変位センサで当該間隔の変化を測定することによって、環状部材と内側部材との位相差を求めることができる。このため、簡単な構成により環状部材と内側部材との位相差を求めることができる。
さらに、この変位センサを内側部材の外周部又は環状部材の内周部に取り付ければ、内側部材と環状部材との径方向の間においてセンサ部を構成させることができ、パワーステアリング装置をコンパクトにできる。
図1はこの発明の実施の一形態に係るパワーステアリング装置の概略を示す断面図であり、まず全体構成の概略を説明する。
このパワーステアリング装置は、例えば自動車に搭載され、ステアリングホイール10側と連結される入力軸11と、車輪(図示せず)を操舵するために車輪側とラックピニオン式伝達機構(図示せず)を介して連結される出力軸12とを備えている。
出力軸12はラックピニオン式伝達機構のピニオン軸と連結又は一体とされており、このピニオン軸のピニオンギヤがラック軸のラック歯に噛み合うように構成されており、ピニオン軸の回転によりラック軸が左右動し、ラック軸の両端部に連結されている車両の左右両側の車輪を操舵することができる。そして、このパワーステアリング装置はハウジング9を有しており、ハウジング9は車体フレーム(図示せず)に固定されている。入力軸11と出力軸12とは軸中心X上に同軸状とされ、双方ともこのハウジング9内において回転可能に支持されており、入力軸11の下部と出力軸12の上部が連結部5を介して連結されている。
前記センサ7は、入力軸11と出力軸12との間の連結部5において生じる位相差、及びその位相差から連結部5において作用しているトルクを検出するためのものであり、このセンサ7については後に詳しく説明する。
補助駆動機構14の構成をさらに説明すると、図1において、出力軸12に外嵌固定させたウォームホイール15と、これに噛み合うウォーム16とを有しており、このウォーム16に電動モータ17の出力軸が連結されている。そして、前記センサ7と電動モータ17が制御手段18にそれぞれ接続されており、センサ7の検出結果に応じて制御手段18の作用により電動モータ17を回転させ、電動モータ17の回転力による操舵補助力を出力軸12に付与している。なお、車両本体に設けられている制御ユニット(ECU)が前記制御手段18を備えている。
円筒ころ4は環状部材3の内周面と軸部材2の外周面に転動可能とされており、環状部材3と軸部材2とは相対回転可能となる。従って、環状部材3の内周面は円筒ころ4が転動可能となる外側軌道面31とされ、軸部材2の外周面は円筒ころ4が転動可能となる内側軌道面21とされている。
図1において、連結部5におけるラジアル荷重を支持させるために、前記円筒ころ4と並列となるように別の転動体23(公知の転がり軸受により使用されているもの)が、軸部材2と環状部材3の間に設けられている。但し、前記円筒ころ4は、軸部材2と環状部材3との間におけるラジアル荷重を支持できるため、前記転動体23を省略して実施することができる。
そして、この位相差と回動付勢力(ねじりばね力)との関係は、軸部材2の外周面と環状部材3の内周面の形状や転動体としての円筒ころ4の力学的性質などによって、予め設計的に求めたり、予め測定されて求めることができる。
ステアリングホイール10を操作することによって入力軸11にトルクが入力されると、入力軸11側の軸部材2と出力軸12側の環状部材3との間にトルクが生じる。これにより、環状部材3と軸部材2は、このトルクに反対向きの回動付勢力を発生(増加)させながら相対回転する。そして、入力されたトルクと回動付勢力とがつり合えば、環状部材3と軸部材2とは所定の位相差で相対的に静止状態となる。なお、後に詳しく説明するが、環状部材3と軸部材2が相対回転して位相差が生じると、後述する異形軌道面と転動体としての円筒ころ4により、当該位相差に応じて所定の大きさの回動付勢力を、環状部材3と軸部材2の間に生じさせるように連結部5は関連付けられている。
従って、センサ7が、前記つり合い状態となっている環状部材3と軸部材2の位相差を計測することで、位相差と回動付勢力との相関に基づいて、回動付勢力とつり合っているトルクを求めることができる。そして、このトルクの値に応じて電動モータ17を回転させ、出力軸12側に対して操舵補助力を作用させることができる。
または、センサ7が、環状部材3と軸部材2との位相差を計測し、その位相差に基づいて電動モータ14を回転させ、出力軸12側に対して操舵補助力を作用させることができる。
また、図1と図3において、入力軸11側が軸部材2を有し、出力軸12側が環状部材3を有している構成としているが、これとは逆に、図示しないが入力軸11側が環状部材3を有し、出力軸12側が軸部材2を有している構成であってもよい。つまり、入力軸11と出力軸12のうちの一方が環状部材3を有し、他方がこの環状部材3の内周側に設けられている軸部材2を有していればよい。
軸部材2の外周面である前記内側軌道面21と環状部材3の内周面である前記外側軌道面31の形状は、軸中心(回転軸)Xを中心とした円周面とはされていない。つまり、内側軌道面21は、回転軸Xを中心とする円周面とは異なる異形軌道面、すなわち内側異形軌道面2kの連続により構成されている。外側軌道面31は、異形軌道面としての外側異形軌道面3kの連続により構成されている。内側軌道面21を構成する4個の内側異形軌道面2kはすべて同一形状であり、外側軌道面31を構成する4個の外側異形軌道面3kもすべて同一形状である。内側軌道面21は周方向に均等に(90度ごとに)4分割され、各分割部分がそれぞれ内側異形軌道面2kとされている。同様に、外側軌道面31も周方向に均等に(90度ごとに)4分割され、各分割部分がそれぞれ外側異形軌道面3kとされている。
そして、各異形軌道面2k,3k間に1個ずつ円筒ころ4が配置されている。内側異形軌道面2k及び外側異形軌道面3kにより、軸部材2と環状部材3の間には、円筒ころ4の周方向側方に、軌道面間隔が周方向に漸次狭くなる漸縮空間部(くさび状空間部)が形成されており、軸部材2と環状部材3の間にトルクが生じて両者が相対回転すると、軸部材2と環状部材3との相対回転に伴い所謂くさび効果によって円筒ころ4が圧縮弾性変形する。上記の如く、内側軌道面21及び外側軌道面31をそれぞれ異形軌道面2k、3kの連続により形成することで、内側軌道面21及び外側軌道面31はそれぞれ異形軌道面2k,3kのみによって占められている。しかも、各異形軌道面2k,3kは周方向に等配されている。よって、各異形軌道面2k,3kの周方向範囲はそれぞれ最大限に拡げられており、回動付勢力が得られる周方向範囲の拡大に寄与している。
まず、外側軌道面31を構成する4個の外側異形軌道面3kは、それぞれ凹曲面とされている。具体的には、外側異形軌道面3kは軸中心Xよりも軌道面(当該外側異形軌道面3k)に近くなる側に位置する外側軌道曲率中心Coを中心とする円弧面(円周面)とされている。この外側異形軌道面3kの曲率半径groは、外側軌道面31の断面輪郭線に外接する円の半径(外側軌道面31と軸中心Xとの距離の最大値)である外側軌道基準半径Roよりも小さい。また、断面視において、4つの各外側異形軌道面3kのそれぞれに関し、外側軌道曲率中心Coは、軸中心Xからの距離が外側異形軌道面3k上において最大値となる外側最大径位置3mと、軸中心Xと、を含む直線p3上にある。
内側軌道面21及び外側軌道面31がいずれも軸中心Xを中心とする円周面ではないため、内側軌道面21と外側軌道面31との間の空間(転動空間)の形状は軸部材2と環状部材3との相対位相関係により変化するが、図3の状態は、外側軌道面31の外側最大径位置3mと内側軌道面21の内側最小径位置2mとが同位相とされた状態である。以下、この状態を基準状態ということとする。基準状態において、各円筒ころ4は、内側最小径位置2m及び外側最大径位置3mと接する周方向位置に配置される(図3参照)。この基準状態は、円筒ころ4の挟持間隔(円筒ころ4の接触位置における軌道面間隔)が最も広い状態である。よって、この基準状態では、両軌道面2k、3kから円筒ころ4に作用する圧縮力は最小値(たとえば0)となる。
なお、基準状態における内側最小径位置2mと外側最大径位置3mとの間の径方向距離は円筒ころ4の直径と略一致させるが、若干のラジアル隙間(プラス隙間又はマイナス隙間)を与えても良い。
さらに、図3では異形軌道面を軸部材2の内側軌道面21と環状部材3の外側軌道面31の双方にそれぞれ形成したが、異形軌道面は、内側軌道面21と外側軌道面31の少なくとも一方に形成されていればよい。つまり、図示しないが、外輪軌道面31は図3と同様に4つの連続した外輪異形軌道面3kで構成されているが、内輪軌道面21は軸中心Xを中心とする円周面(真円)であってもよい。または、内輪軌道面21は図3と同様に4つの連続した内輪異形軌道面2kで構成されているが、外輪軌道面31は軸中心Xを中心とした円周面(真円)であってもよい。異形軌道面の成形を一方のみとすることにより加工が容易となる。
このような非接触式の変位センサ7により前記位相差を検出することができるのは、転動体としての円筒ころ4の周方向側方に形成されている漸縮空間部において、異形軌道面2k,3kの形状により、軸部材2と環状部材3とが相対回転すると異形軌道面上の周方向所定位置(例えば非接触センサ7の計測位置)における当該軸部材2の内側軌道面21と当該環状部材3の外側軌道面31との間隔が所定の関係で連続的に変化するようされているからであり、内側軌道面21と外側軌道面31の形状は前記のとおり予め所定の形状により設定されて形成されているからである。つまり、軸部材2と環状部材3との位相差と、内側軌道面21と外側軌道面31との間隔との関係が予め設定されているからである。
また、図示しないが、非接触式の変位センサ7を環状部材3の内周部に設けて、軸部材2の内側軌道面21までの距離の変化を計測するようにしてもよい。この場合も同様に、軸部材2と環状部材3との位相差を求めることができる。
さらに、この連結部5において、軸部材2と環状部材3との間に前記ねじりばね性を持たせることができるため、これらの部材に作用するトルク変動を吸収することができ、さらに、過大なトルクが生じてもそれによる衝撃を緩和させることができる。
また、入力軸11と出力軸12との間の入力トルクが変化することで軸部材2と環状部材3とが相対回転し、前記センサ7がその位相差の変化を精度よく検出できるため、微小なトルクの変化を検出することができる。これにより、良好な操舵フィーリングを実現できる。
また、図5において説明したように、回転角度θ(位相差)とねじり剛性とは単調増加の関係にあり、かつ、回転角度θが大きくなるにつれてねじり剛性の増加度(増加割合)が大きくなる関係(非線形の関係)にある。これにより、回転角度θが大きい場合は剛性のあるステアリングとでき、操舵フィーリングの良いものとできる。
この補助駆動機構は、図外の油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)と、入力軸11の回転(トルク)による位相差に応じて開度調整されるロータリバルブ19を備えている。そして、入力軸11の回転に応じてこのバルブ19の開度が変化し、このバルブ19が油圧(流量)を制御することによって出力軸12側に連結させた油圧アクチュエータを動作させ、油圧力によって操舵補助を行っている。なお、油圧アクチュエータは前記ラックピニオン式伝達機構のうちのラック側に対して操舵補助力を付与するよう構成することができる。
円筒ころ4は環状部材3の内周面と軸部材2の外周面に転動可能とされており、環状部材3と軸部材2とは相対回転可能となる。従って、環状部材3の内周面は円筒ころ4が転動可能となる外側軌道面31とされ、軸部材2の外周面は円筒ころ4が転動可能となる内側軌道面21とされている。
以上のように、油圧パワーステアリング装置によれば、入力軸11を回転させると連結部5において前記回動付勢力の発生により出力軸12を共に回転させることが可能となって、ステアリングホイール10の動作に応じて車輪(図示せず)の操舵を行うことができると共に、入力軸11と出力軸12との間、つまり環状部材3と軸部材2の間に生じる位相差(捩れ角)に応じて油圧アクチュエータ(図示せず)により操舵補助を行わせることができる。従って、従来では必要であった長いトーションバーが不要となり、コンパクト化が可能となる。
なお、図1と図2の実施形態において、電動と油圧のそれぞれの補助駆動機構の構成はこれに限らず、従来知られているものを適用することができ、他の形態のものであってもよい。
3 環状部材
4 円筒ころ(転動体)
5 連結部
7 センサ
11 入力軸
12 出力軸
14 補助駆動機構
21 内側軌道面(外周面)
2k 内側異形軌道面
31 外側軌道面(内周面)
3k 外側異形軌道面
X 軸中心
Claims (3)
- ステアリングホイール側の入力軸と、この入力軸と連結部を介して連結されている車輪側の出力軸と、前記入力軸に付与されるトルクに応じて操舵補助を行う補助駆動機構と、を備え、
前記連結部は、前記入力軸と前記出力軸のうちの一方と一体回転する環状部材と、前記環状部材の内周側に設けられて他方と一体回転する内側部材と、前記環状部材と前記内側部材とが相対回転可能となるように当該環状部材の内周面と当該内側部材の外周面との間に転動可能に介在した転動体と、を有し、
前記環状部材の内周面と前記内側部材の外周面の少なくとも一方が、前記環状部材と前記内側部材の相対回転に伴い前記転動体を転動させつつ当該転動体の挟持間隔を漸次狭くして、前記相対回転により生じた位相差を解消する方向の回動付勢力を当該環状部材と当該内側部材の間に生じさせる異形軌道面を少なくとも一部に有していることを特徴とするパワーステアリング装置。 - 前記補助駆動機構は、操舵補助力を出力するモータと、前記環状部材と前記内側部材の相対回転により生じる位相差を検出するためのセンサと、このセンサによる検出結果に基づいて前記モータの出力を制御する制御手段と、を備えている請求項1に記載のパワーステアリング装置。
- 前記センサは、前記環状部材と前記内側部材との相対回転による当該環状部材と当該内側部材との間隔の変化を測定する変位センサである請求項2に記載のパワーステアリング装置。
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