JP4621389B2 - 建物の基礎構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、液状化の危険性がある地盤上に建ち、地震時に大きな転倒モーメントが発生する建物の基礎構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
液状化の危険性がある地盤上に建ち、地震時に大きな転倒モーメントが発生する建物の基礎構造は、杭基礎構造が一般的であるが、杭基礎構造に地盤改良を併用した基礎構造も実施される。
【0003】
前記杭基礎構造としては、以下に示す技術が公知に属する。
(I)特許第3006710号公報には、地盤に打設された杭の上部を柱に兼用して建物を支持させ、地中梁又は基礎フーチングを不要とした杭基礎構造が記載されている。
【0004】
(II)特開平11−303102号公報には、地盤に打設された杭によって建物を支持させ、前記杭群よりも更に建物外周隅部の位置に転倒モーメントを負担する軸力負担杭が打設された杭基礎構造が記載されている。
【0005】
(III)特開平10−331173号公報、特開2001−64982公報には、地盤に打設された杭によって建物を支持させるが、この杭の頭部と建物の基礎躯体とを縁切りすることにより、建物の浮き上がりを許容して免震化する杭基礎構造が記載されている。
【0006】
杭基礎構造に地盤改良を併用する基礎構造としては、次のような構成が考えられる。
(IV)液状化の危険性がある地盤に地盤改良を施工して液状化の防止を図り、地盤に打設された杭によって建物を支持する併用型基礎構造。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】
上記した(I)〜(III)の杭基礎構造は、そもそも液状化の危険性がある地盤に構築することを考慮していないので、地盤の液状化に対応する技術に属さない。
【0008】
上記した(IV)の併用型基礎構造は、建物の鉛直力、及び地震時の水平力や転倒モーメントによる引抜き力を全て杭に負担させ、改良地盤に伝えない設計で構成されている。即ち、改良地盤には液状化防止機能のみを期待している。しかし、改良地盤は本質的に建物の鉛直力や、地震時の水平力を支持する能力がある。この能力を利用しないのは誠にもったいない。というよりも、全ての負担を杭にのみ負担させる設計法では、杭が大径化したり、杭の本数が多くなるので、コストが嵩み、また、工期が長引くと云う問題点もある。
【0009】
また、上記のように杭を大径化したり、多くの杭を打設しても、予期した以上の大地震時には杭が破壊され改良地盤に大きな水平力が伝わってしまい、前記改良地盤が破壊される虞もある。
【0010】
従って、本発明の目的は、改良地盤に本来の機能である液状化防止機能を発揮させるだけでなく、改良地盤に建物の鉛直力、及び地震時の水平力をも支持させることで、荷重の分担化を図り、もって杭の大径化を防ぎ、杭の本数を低減し、予期せぬ大地震時にも改良地盤が破壊されることのない基礎構造を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る建物の基礎構造は、
液状化の危険性がある地盤上に建ち、地震時に大きな転倒モーメントが発生する建物の基礎構造であって、
前記液状化の危険性がある地盤1に地盤改良が施工され、その改良地盤1aの上に基礎躯体2が構築され、建物は前記基礎躯体2を介して改良地盤1aに支持されること、
前記基礎躯体2及び改良地盤1aを貫通して地盤1中に杭3が打設され、この杭3と基礎躯体2との間は鉛直力を伝えないように縁切りされ、
前記杭3の上端部に大径の止着部3aが設けられ、前記基礎躯体2の上面へ引抜き力のみ伝えるように当接されていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載した建物の基礎構造において、
縁切りされた杭3の側面と基礎躯体2との間に、水平力は伝え、鉛直力は伝えない構成の滑り材4が設置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載した建物の基礎構造において、
基礎躯体2の下面と改良地盤1aの上面との間に、一定以上に大きい水平力を改良地盤1aに伝えない滑り材5が設置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載した建物の基礎構造において、
沈下した基礎躯体2の上面と杭3の止着部3aの下面との間に、引抜き力の伝達を補償するライナー6又は沈下修正機構が設置されていることを特徴とする。
【0016】
【本発明の実施形態及び実施例】
図1及び図2は、請求項1又は2に記載した発明に係る建物の基礎構造の実施形態を示している。本発明の基礎構造は、液状化の危険性がある地盤1の上に建ち、地震時に大きな転倒モーメントが発生する建物の基礎構造として好適に実施される。
【0017】
図示した基礎躯体2は、基礎梁2a…と、その交点に位置する基礎盤2bとで構成されている。基礎盤2bの直下部分の地盤が改良施工され、この改良地盤1aによって基礎盤2bが、ひいては建物の基礎躯体2が直接支持されている。
【0018】
上記の地盤改良は、公知の地盤改良装置を用い、地盤1を所定の深さまで掘削し、掘削土壌を一旦排土するか、又は原位置の掘削土壌と安定材とを攪拌混合する方法などにより施工される。
【0019】
そして、地盤1及び改良地盤1aの地表面を型枠代用として基礎躯体2が構築され、その鉛直力及び地震時の水平力が改良地盤1aにて支持されるように構成されている。即ち、前記改良地盤1aに、基礎躯体2の鉛直力及び地震時の水平力を支持させるのである。改良地盤1aは、本来の機能である地盤の液状化防止機能を発揮しつつ、確実に基礎躯体2の鉛直力及び水平力を支持する。
【0020】
前記基礎盤2bの中央部の地盤中に杭3が打設されている。杭3の杭頭部は基礎盤2bの鉛直力を伝えないように基礎盤2bと縁切りした構造で貫通させ、同基礎盤2bの上面へ突き出されている。杭3の杭頭部外周に滑り材4を設置して基礎盤2bのコンクリートを打設することにより両者の縁切りが行われ、基礎躯体2の鉛直力を杭3へ伝えない構成とされている。
【0021】
縁切りされた杭頭部の側面と基礎盤2bとは、両者の間に設置された滑り材4を介して、地震時の水平力が基礎躯体2から杭3へ伝わるように構成されている。
【0022】
基礎躯体2を貫通した杭3の上端部には大径の止着部3aが設けられ、前記基礎躯体2の上面と杭3の止着部3aとは引抜き力のみを伝えるように止着(当接)されている。
【0023】
上記構成の基礎構造は、基礎躯体2の鉛直力を改良地盤1aに支持させて杭3には負担させない。地震時の水平力も、基本的に改良地盤1aに支持させるが、杭3にも一部を負担させて荷重の分担化を図る構成となっている。結局、杭3は、鉛直力を一切負担せず、水平力の一部と引抜き力を負担するだけであるから、杭3を大径化する必要が無く、また、杭の本数を低減することができ、杭長を短くすることもできる。ひいては、コストの削減に寄与し、工期の短縮にも寄与する。
【0024】
本発明の基礎構造は、地盤1及び改良地盤1aの沈下と共に基礎躯体2が建物と共に沈下する。しかし、杭3へ流れる荷重の種類や大きさは一定であり安定している。
【0025】
なお、図3に示すように、基礎躯体2の下面と改良地盤1aの上面との間に、一定大きさ以上の水平力を改良地盤1aへ伝えない滑り材5を設置することにより、予期せぬ大地震が発生しても、過大な水平力が改良地盤1aへ伝わることを防ぎ改良地盤1aが破壊されることを防ぐことができる。
【0026】
改良地盤1aの沈下と共に基礎躯体2が沈下すると、基礎躯体2の上面と杭3の止着部3aとの間には隙間が発生するので、その場合には、図4に示すように、前記隙間へライナー6を設置することで引抜き力の伝達が補償される。前記ライナー6の代りに、ジャッキ等の沈下修正機構を設置すると、杭3の引抜き抵抗力を反力として建物の不同沈下を修正することも可能である。
【0027】
本実施形態では、基礎盤2bの直下部分の地盤に地盤改良が施工された構成を示しているが、この限りではない。地盤1を全面改良して同様に実施することもできる。
【0028】
更に、本実施形態では、沈下した基礎躯体2の上面と止着部3aの下面との間に、ライナー6が設置されているが、この限りではない。要するに、引抜き力の伝達を補償するものであれば良い。
【0029】
【本発明が奏する効果】
請求項1〜4に記載した発明に係る建物の基礎構造は、基礎躯体の鉛直力を改良地盤に支持させて杭には負担させず、地震時の水平力は、基礎躯体から改良地盤と杭とに分担して支持させ荷重の分担化を図る構成となっているので、杭の大径化を防ぎ、杭の本数を低減することができ、コストの削減に寄与し、工期の短縮にも寄与する。また、予期せぬ大地震に対しても、過大な水平力が改良地盤に伝わらないようにして、改良地盤が破壊されることを防ぐこともできる。
【0030】
もちろん、改良地盤の本来の機能である液状化防止機能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1〜3に記載した発明に係る建物の基礎構造の実施形態を示した立面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】大地震を想定した場合の実施形態を示した立面図である。
【図4】地盤沈下を想定した場合の実施形態を示した立面図である。
【符号の説明】
1 地盤
1a 改良地盤
2 基礎躯体
3 杭
3a 止着部
4、5 滑り材
6 ライナー
Claims (4)
- 液状化の危険性がある地盤上に建ち、地震時に大きな転倒モーメントが発生する建物の基礎構造であって、
前記液状化の危険性がある地盤に地盤改良が施工され、その改良地盤の上に基礎躯体が構築され、建物は前記基礎躯体を介して改良地盤に支持されること、
前記基礎躯体及び改良地盤を貫通して地盤中に杭が打設され、この杭と基礎躯体との間は鉛直力を伝えないように縁切りされ、
前記杭の上端部に大径の止着部が設けられ、同止着部は前記基礎躯体の上面へ引抜き力のみ伝えるように当接されていることを特徴とする、建物の基礎構造。 - 縁切りされた杭の側面と基礎躯体との間に、水平力は伝え、鉛直力は伝えない構成の滑り材が設置されていることを特徴とする、請求項1に記載した建物の基礎構造。
- 基礎躯体の下面と改良地盤の上面との間に、一定以上に大きい水平力を改良地盤に伝えない滑り材が設置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した建物の基礎構造。
- 沈下した基礎躯体の上面と杭の止着部の下面との間に、引抜き力の伝達を補償するライナー又は沈下修正機構が設置されていることを特徴とする、請求項1に記載した建物の基礎構造。
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