JP4620523B2 - カプセル内視鏡及びその製造方法 - Google Patents
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Description
これに対し、カプセル内視鏡は、薬のカプセルと同程度の大きさであり、薬のカプセルを飲むようにして、内視鏡カプセルを飲むことで食道、胃、腸内などの口腔内検査することができるようになる。そして、内視鏡カプセルを体外から遠隔操作することで、患者の負担を軽くして必要な体内の情報を得ることができる。
また、カテーテル、内視鏡、コンタクトレンズ等の医用材料に生体類似構造を有するホスホリルコリン誘導体を導入することによっても生体細胞との不感作性、非侵襲性を両立できることが知られている(特許文献2参照)。
<1> カプセル内視鏡の少なくとも一部の表面が、該カプセル内視鏡の他の表面と異なる表面性状を有することを特徴とするカプセル内視鏡である。
<2> 表面性状が、グラフト鎖をパターン状に形成してなる前記<1>に記載のカプセル内視鏡である。
前記<1>から<2>のいずれかに記載のカプセル内視鏡においては、該カプセル内視鏡の表面性状を、好ましくはグラフト鎖うぃパターン状にして変化させることにより、血液やタンパク質などの汚染防止性に優れると共に、姿勢制御、カプセル内視鏡への操作安定性、推進力向上などが与えられる。
<4> グラフト鎖が、少なくともフッ素含有化合物を重合させて得られる前記<2>から<3>のいずれかに記載のカプセル内視鏡である。
<5> フッ素含有化合物が、重合性基を有する前記<4>に記載のカプセル内視鏡である。
前記<3>から<5>のいずれかに記載のカプセル内視鏡においては、カプセル内視鏡の表面に重合開始剤を結合させ、それを起点としてフッ素含有化合物をラジカル重合法で表面グラフトさせることにより、表面エネルギーが低く、撥水性が高いフッ素樹脂でパターンを形成するので、細胞附着防止、汚染防止能を有する。
<7> ホスホリルコリン基含有化合物が、重合性基を有する前記<6>に記載のカプセル内視鏡である。
前記<6>から<7>のいずれかに記載のカプセル内視鏡においては、カプセル内視鏡の表面に重合開始剤を結合させ、それを起点としてホスホリルコリン基含有化合物をラジカル重合法で表面グラフトさせることにより、タンパク質など生体成分の吸着や変性を抑制でき、優れた生体適合性表面を有し、防汚性に優れたものである。
<8> 呼び径25mm、全長30cmの硬質塩化ビニル管の一方の端を他端より5cm上方へ持ち上げ、該ビニル管の上方端から水を1分間に100ml流しているところに、外径11mm、全長26mmである請求項1から7のいずれかに記載のカプセル内視鏡を挿入し、該カプセル内視鏡がビニル管外に排出されるまでの滞留時間A1(秒)と、表面にグラフト鎖を形成していない外径11mm、全長26mmのカプセル内視鏡の前記ビニル管内での滞留時間A2(秒)とが、次式、25%<(A1−A2)/A1×100<50%、の関係を満たすことを特徴とするカプセル内視鏡である。
<9> 重合開始剤を付与したカプセル内視鏡の表面をパターン状に露光し、該露光部でフッ素含有化合物を反応させて、カプセル内視鏡の表面にパターン状にフッ素原子を含むグラフト鎖を形成することを特徴とするカプセル内視鏡の製造方法である。
<10> 重合開始剤を付与したカプセル内視鏡の表面をパターン状に露光し、該露光部でホスホリルコリン基含有化合物を反応させて、カプセル内視鏡の表面にパターン状にホスホリルコリン基を含むグラフト鎖を形成することを特徴とするカプセル内視鏡の製造方法である。
<11> カプセル内視鏡の全表面に重合開始剤を付与する前記<9>から<10>のいずれかに記載のカプセル内視鏡の製造方法である。
本発明のカプセル内視鏡は、該カプセル内視鏡の少なくとも一部の表面が、該カプセル内視鏡の他の表面と異なる表面性状を有する。
ここで、前記表面性状とは、広くカプセル内視鏡の表面状態を意味し、例えば、疎水性、親水性、生体適合性、などを包含する広汎な概念である。
前記カプセル内視鏡としては、大きさ、形状、材質、性能などに特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図1は、本発明の第1実施の形態を示すカプセル内視鏡の筐体内の構成の概略を示す拡大縦断面図、図2は、図1のカプセル内視鏡を前方から見た要部拡大正面図である。
前記筐体10の材料としては、特に制限はなく、カプセル内視鏡に普通に用いられているものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機材料、及び有機材料のいずれも用いることができる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、シリコン、アルミニウム、ステンレス、金、銀、亜鉛、銅、ITO、酸化錫、アルミナ、酸化チタン、などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレー卜樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、などが挙げられる。
なお、前記有機材料は、重合開始剤との結合性を向上するため、コロナ処理、プラズマ処理などにより、表面に水酸基、カルボキシル基などの官能基が導入されたものであってもよい。
更に、素子枠5は、その前端部がレンズ鏡筒1の内周面に嵌合する構成としたが、レンズ鏡筒1の外周面に嵌合するようにしてもよい。
前記内視鏡における表面性状は、カプセル内視鏡の表面にグラフト鎖をパターン状に形成して付与されることが好ましい。
前記グラフト鎖におけるフッ素原子の含有量は、全原子に対し20%以上であることが好ましく、30%以上がより好ましい。前記フッ素原子の含有量が20%未満であると、生体物質による汚染の防止効果が不十分となることがある。
ここで、前記フッ素原子の含有量は、例えば、グラフト鎖を切断し、溶剤で溶出したサンプルを原子吸光分析することなどにより測定することができる。
また、前記フッ素含有化合物は、フッ素以外の重合性基を有することが好ましい。該重合性基としては、例えば、非芳香族の不飽和炭素−炭素結合(二重結合又は三重結合)を有する基、などが挙げられ、これらの中でも、エチレン性不飽和基が好適である。
前記エチレン性不飽和基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、2〜15のものがより好ましく、2〜10のものが更に好ましく、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基、シンナモイル基、等が挙げられる。
前記開環重合性基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、2〜15のものがより好ましく、2〜10のものが更に好ましく、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、等が挙げられる。
これらの中でも、フッ素モノマーが、光照射によりカプセル内視鏡表面に発生したラジカル種により直接化学的に結合し、カプセル内視鏡の少なくとも一部に疎水性を付与することができる点から特に好ましい。
前記フッ素モノマーとしては、フッ素原子が一分子中に2個以上含まれるモノマーが好ましく、一般的にパーフルオロ基と呼ばれるものが特に好ましい。
ただし、前記構造式(1)中、R1は、水素原子、又はメチル基を表す。
R2は、−CpH2p−、−C(CpH2p+1)H−、−CH2C(CpH2p+1)H−、又は−CH2CH2O−を表す。
Rfは、−CnF2n+1、−(CF2)nH、−CnF2n+1−CF3、−(CF2)pOCnH2nCiF2i+1、−(CF2)pOCmH2mCiF2iH、−N(CpH2p+1)COCnF2n+1、−N(CpH2p+1)SO2CnF2n+1を表す。ただし、Rf中、pは1〜10、nは1〜16、mは0〜10、iは0〜16の整数をそれぞれ表す。
ただし、前記構造式(2)中、Rgは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表す。
ただし、前記構造式(3)中、Rgは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表す。
ただし、前記構造式(4)中、R3及びR4は、水素原子、又はメチル基を表す。R5、及びR6は、−CqH2q−、−C(CqH2q+1)H−、−CH2C(CqH2q+1)H−又は−CH2CH2O−、Rjは−CtF2tを表す。qは1〜10、tは1〜16の整数である。
ただし、前記構造式(5)中、R7及びR8は、水素原子、又はメチル基を表す。Rkは−CyF2y+1である。yは1〜16の整数である。
前記ホスホリルコリン基含有化合物は、ホスホリルコリン基以外にも重合性基を有することが好ましい。該重合性基としては、例えば、非芳香族の不飽和炭素−炭素結合(二重結合又は三重結合)を有する基、などが挙げられ、これらの中でも、エチレン性不飽和基が好適である。
前記エチレン性不飽和基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、2〜15のものがより好ましく、2〜10のものが更に好ましく、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基、シンナモイル基、等が挙げられる。
前記開環重合性基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、2〜15のものがより好ましく、2〜10のものが更に好ましく、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、等が挙げられる。
具体的には、2−メタクリロイオキシエチルホスホリスコリン、3−メタクリロイオキシプロピルホスホリルコリン、2−アクリロイオキシエチルホスホリルコリン、3−アクリロイオキシプロピルホスホリルコリンなどが挙げられ、これらの中でも、2−メタクリロイオキシエチルホスホリスコリンが特に好ましい。
前記その他のモノマーとしては、ラジカル重合可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類、グリシジルエステル類、スチレン、アルキル酸のビニルエステル類、ケイ素含有単量体、などが挙げられる。該その他のモノマーの添加量は、前記ホスホリルコリン基含有化合物に対して50質量%以下が好ましい。
本発明のカプセル内視鏡によれば、上記関係を満たすことにより、ビニル管内での滞留時間を十分に長くすることができので、生体内における滞留時間を長くすることができることが推測され、生体内の患部において有効な検査、治療、及び診断を行うことができる。
本発明のカプセル内視鏡の製造方法は、第1の形態では、重合開始剤を付与したカプセル内視鏡の表面をパターン状に露光し、該露光部でフッ素含有化合物を反応させて、カプセル内視鏡の表面にパターン状にフッ素原子を含むグラフト鎖を形成する。
本発明のカプセル内視鏡の製造方法は、第2の形態では、重合開始剤を付与したカプセル内視鏡の表面をパターン状に露光し、該露光部でホスホリルコリン基含有化合物を反応させて、カプセル内視鏡の表面にパターン状にホスホリルコリン基を含むグラフト鎖を形成する。
前記(2)の工程において、マスク等を用いてパターニングをすることにより、カプセル内視鏡表面にグラフト鎖をパターン状に形成することができる。
前記カプセル内視鏡表面に重合開始剤を固定する工程は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、操作の簡便性、また大面積適用性の観点から、シランカップリング剤などの結合性末端基を有する開始剤をカプセル内視鏡表面に、好ましくは所望の領域全面にわたり付着させる方法が好ましい。該付着方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布法、スプレー法、浸漬法、などが挙げられる。
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、原子移動ラジカル重合を開始する部分(以下、「開始部位」と称することがある)と基板と結合しうる部分(結合部位)とを同一分子内に持った化合物なら公知のいずれのものも使用することができる。
前記開始部位として導入されうる化合物としては、具体的には、以下に例示するような化合物が挙げられる。
C6H5−C(H)(X)CH3、又は
C6H5−C(X)(CH3)2
ただし、前記各構造式中、C6H5はフェニル基を表す。Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。
R1−C(CH3)(X)−CO2R2、
R1−C(H)(X)−C(O)R2、又は
R1−C(CH3)(X)−C(O)R2
ただし、前記各構造式中、R1及びR2は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は、炭素数7〜20のアラルキル基を表す。Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。
ただし、前記構造式中、R1及びXは、前記したものと同義である。
前記開始剤中に存在する結合部位、即ち、基板結合基(基板と結合し得る官能基)としては、例えば、チオール基、ジスルフィド基、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、等が挙げられる。これらの中でも、基板結合基としてはチオール基、架橋性シリル基が特に好ましい。
R4R5C(X)−R6−R7−C(H)(R3)CH2−
−[Si(R9)2−b(Y)bO]m−Si(R10)3−a(Y)a・・・構造式(8)
ただし、前記構造式(8)中、R3、R4、R5、R6、及びR7は、R1及びR2と同義である。
Xは、前記したXと同義である。
R9、及びR10は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は(R’)3SiO−(ただし、R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R9又はR10が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
Yは、水酸基、ハロゲン原子、又は加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
aは、0、1、2、又は3を表す。bは、0、1、又は2を表す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。
XCH2C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、
CH3C(H)(X)C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、
(CH3)2C(X)C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、
(CH3)2C(X)C(O)O(CH2)nSiCl3、
XCH2C(O)O(CH2)nSiCl3、
CH3C(H)(X)C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、又は
(CH3)2C(X)C(O)O(CH2)nSiCl3、
ただし、前記各構造式中、Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。nは0〜20の整数を表す。
(R10)3−a(Y)aSi−[OSi(R9)2−b(Y)b]m−
−CH2−C(H)(R3)−R11−C(R4)(X)−R8−R5・・・構造式(9)
ただし、前記構造式(9)中、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、a、b、m、X、及びYは前記したものと同義である。
(CH3O)3SiCH2CH2C(H)(X)C6H5、
C13SiCH2CH2C(H)(X)C6H5、
C13Si(CH2)2C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH2)2C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH2)3C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH2)3C(H)(X)−CO2R、
ただし、前記各構造式中、Xは塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表し、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。
前記重合開始剤層表面にグラフトポリマーを生成させる方法としては、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いる。該グラフト重合とは、高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に結合及び重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法を意味し、特に活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。また、本発明において生成されるグラフトポリマーは、高分子化合物鎖上の活性種に、所望のポリマーを結合させてなるものも含む。なお、本発明においては、活性種が与えられる高分子化合物は、前記固定化した重合開始層を構成する高分子化合物となる。
重合開始剤層に、活性種を与えるためのエネルギー付与方法としては、重合開始層中の重合開始剤を分解させ得るエネルギーを付与できる方法であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、露光等の活性光線照射などが、コスト、装置の簡易性の観点から好ましい。
前記エネルギー付与に使用し得る活性光線としては、例えば、紫外線、可視光、赤外光などが挙げられ、これらの活性光線の中でも、紫外線、可視光が好ましく、重合速度に優れるという点から紫外線が特に好ましい。また、活性光線の主たる波長が250nm以上800nm以下であることが好ましい。
前記光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、蛍光ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、タングステン白熱ランプ、太陽光などが挙げられる。
前記活性光線の照射の所要時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、数秒間〜24時間が好ましい。
前記フッ素含化合物又はホスホリルコリン基含有化合物としては、上述したものを使用することができる。
なお、前記溶媒を用いるグラフト重合反応は、一般的には、溶媒中にモノマーを添加し、必要に応じて触媒を添加した後、該溶媒中に開始剤を固定化してなるカプセル内視鏡を浸漬し、所定時間反応させることにより行われる。一方、無溶媒でのグラフト重合反応は、一般的には、室温下若しくは100℃までの加熱状態で行われる。
−重合開始層の形成−
図1及び図2に示すようなカプセル内視鏡(外径11mm、全長26mm)の筐体表面(材質:ポリエチレン)をプラズマ放電処理した(KEYENCE社製、ST−7000)。
次に、前記カプセル内視鏡を、Macromolecules,32巻,1424頁,(1999年)に記載の方法により調製したシランカップリング剤(5−トリクロロシリルペンチル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネートの1質量%脱水トルエン溶液中に終夜浸漬した。
次いで、カプセル内視鏡を取り出し、トルエン、メタノールで順次洗滌し、表面に重合開始剤である結合性末端基を有するシランカップリング剤を固定化したカプセル内視鏡を調製した。
得られたカプセル内視鏡の重合開始剤層にパターンフイルムを通して高圧水銀灯を用いて照射エネルギー300mJ/cm2でUV照射して15分間照射した。その結果、露光領域の重合開始剤は失活した。
パターン状の重合開始剤層が形成されたカプセル内視鏡を、CH2=CHCOOCH2CH2Rf(ただし、Rfは、−CnF2n+1−CF3を表し、n=8である)(FAMAC、ダイキンファインケミカル研究所製)5gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業株式会社製)95gとを混合して均一とした溶液に浸漬し、高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2で30分間照射した。光照射後、イオン交換水でよく洗滌し、重合開始剤層の表面にパターン状にフッ素モノマーがグラフト重合されたグラフトポリマーが生成したカプセル内視鏡が得られた。
実施例1において、CH2=CHCOOCH2CH2Rf(ただし、Rfは−CnF2n+1−CF3を表し、n=8である)(FAMAC、ダイキンファインケミカル研究所製)の代わりに、2−メタクリロイオキシエチルホスホリスコリンを用いた以外は、実施例1と同等にして、重合開始剤層表面にパターン状にホスホリルコリン基を含むモノマーがグラフト重合されたグラフトポリマーが生成したカプセル内視鏡を作製した。
実施例1において、表面にパターン状にフッ素モノマーがグラフト重合されたグラフトポリマーを形成していないカプセル内視鏡、即ち、表面性状を付与する前のカプセル内視鏡を用いた。
呼び径25mm、全長30cmの硬質塩化ビニル管を用い、該ビニル管の一方の端を他端より5cm上方へ持ち上げ、上方端から水を1分間に100ml流しているところに、実施例1〜2及び比較例1の各カプセル内視鏡を挿入し、該カプセル内視鏡がビニル管外に排出されるまでの滞留時間をそれぞれ計測した。
実施例1及び2のカプセル内視鏡の滞留時間A1(秒)と、比較例1のカプセル内視鏡の滞留時間A2(秒)とから、滞留時間の差の比率:(A1−A2)/A1×100を求めた。
乾燥卵白10gを生理食塩水100gに溶解したタンパク質溶液に、実施例1〜2及び比較例1の各カプセル内視鏡を37℃で1日間浸漬した。引き続いて、生理食塩水ですすいだ後、1質量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液100ml中に浸漬し、カプセル内視鏡からタンパク質を剥離させて、水溶液を乾固することにより、この水溶液中に溶解したタンパク質を定量した。なお、ドデシル硫酸ナトリウムを1g含むとして減算した。
1a 対物レンズ
2 光源
3 電子制御部品
4 撮像素子
5 素子枠
6 周辺回路基板
7 可撓性基板
8 電源
10 筐体
100 カプセル内視鏡
Claims (9)
- カプセル内視鏡の少なくとも一部の表面が、該カプセル内視鏡の他の表面と異なる表面性状を有し、
前記表面性状が、カプセル内視鏡の表面にグラフト鎖をパターン状に形成して付与されることを特徴とするカプセル内視鏡。 - 表面性状が疎水性であり、かつグラフト鎖におけるフッ素原子の含有量が全原子の20%以上である請求項1に記載のカプセル内視鏡。
- グラフト鎖が、少なくともフッ素含有化合物を重合させて得られる請求項1から2のいずれかに記載のカプセル内視鏡。
- フッ素含有化合物が、重合性基を有する請求項3に記載のカプセル内視鏡。
- 表面性状が生体適合性であり、かつグラフト鎖が少なくともホスホリルコリン基含有化合物を重合させて得られる請求項1に記載のカプセル内視鏡。
- ホスホリルコリン基含有化合物が、重合性基を有する請求項5に記載のカプセル内視鏡。
- 重合開始剤を付与したカプセル内視鏡の表面をパターン状に露光し、該露光部でフッ素含有化合物を反応させて、カプセル内視鏡の表面にパターン状にフッ素原子を含むグラフト鎖を形成することを特徴とするカプセル内視鏡の製造方法。
- 重合開始剤を付与したカプセル内視鏡の表面をパターン状に露光し、該露光部でホスホリルコリン基含有化合物を反応させて、カプセル内視鏡の表面にパターン状にホスホリルコリン基を含むグラフト鎖を形成することを特徴とするカプセル内視鏡の製造方法。
- カプセル内視鏡の全表面に重合開始剤を付与する請求項7から8のいずれかに記載のカプセル内視鏡の製造方法。
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