JP4620523B2 - カプセル内視鏡及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも一部の表面に異なる表面性状を付与して機能性を高めたカプセル内視鏡及び該カプセル内視鏡の製造方法に関する。
内視鏡検査は、食道癌、胃癌等の発見に有用な手段として広く活用されている。しかし、前記内視鏡検査は、口腔内にチューブ状の異物である内視鏡を挿入するため、検査時の嘔吐感などの患者に与える苦痛がないわけではなかった。
これに対し、カプセル内視鏡は、薬のカプセルと同程度の大きさであり、薬のカプセルを飲むようにして、内視鏡カプセルを飲むことで食道、胃、腸内などの口腔内検査することができるようになる。そして、内視鏡カプセルを体外から遠隔操作することで、患者の負担を軽くして必要な体内の情報を得ることができる。
ところで、生体内で使用される医用機器である内視鏡は、生体との親和性が高くなければならない。このため、生体細胞との不感作性、非侵襲性から汎用される素材の一つとして撥水性のフッ素含有ポリマーがあり、このフッ素含有ポリマーで表面が被覆されたチューブ状の内視鏡が提案されている(特許文献1参照)。
また、カテーテル、内視鏡、コンタクトレンズ等の医用材料に生体類似構造を有するホスホリルコリン誘導体を導入することによっても生体細胞との不感作性、非侵襲性を両立できることが知られている(特許文献2参照)。
したがってこれらの素材を用いてカプセル内視鏡の全面をコーティングすることは有用であると考えられるが、カプセル内視鏡では、血液やタンパク質などに対する汚染防止性に優れると共に、体外から遠隔操作で行うため、姿勢の制御、動きの制御、位置の制御が容易であることも要求され、更なる改良、開発が望まれているのが現状である。
特表2004−524081号公報 特開平10−176021号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、血液やタンパク質などに対する汚染防止性に優れると共に、姿勢の制御、動きの制御、位置の制御が容易なカプセル内視鏡及び該カプセル内視鏡の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> カプセル内視鏡の少なくとも一部の表面が、該カプセル内視鏡の他の表面と異なる表面性状を有することを特徴とするカプセル内視鏡である。
<2> 表面性状が、グラフト鎖をパターン状に形成してなる前記<1>に記載のカプセル内視鏡である。
前記<1>から<2>のいずれかに記載のカプセル内視鏡においては、該カプセル内視鏡の表面性状を、好ましくはグラフト鎖うぃパターン状にして変化させることにより、血液やタンパク質などの汚染防止性に優れると共に、姿勢制御、カプセル内視鏡への操作安定性、推進力向上などが与えられる。
<3> グラフト鎖におけるフッ素原子の含有量が、全原子の20%以上である前記<2>に記載のカプセル内視鏡である。
<4> グラフト鎖が、少なくともフッ素含有化合物を重合させて得られる前記<2>から<3>のいずれかに記載のカプセル内視鏡である。
<5> フッ素含有化合物が、重合性基を有する前記<4>に記載のカプセル内視鏡である。
前記<3>から<5>のいずれかに記載のカプセル内視鏡においては、カプセル内視鏡の表面に重合開始剤を結合させ、それを起点としてフッ素含有化合物をラジカル重合法で表面グラフトさせることにより、表面エネルギーが低く、撥水性が高いフッ素樹脂でパターンを形成するので、細胞附着防止、汚染防止能を有する。
<6> グラフト鎖が、少なくともホスホリルコリン基含有化合物を重合させて得られる前記<2>に記載のカプセル内視鏡である。
<7> ホスホリルコリン基含有化合物が、重合性基を有する前記<6>に記載のカプセル内視鏡である。
前記<6>から<7>のいずれかに記載のカプセル内視鏡においては、カプセル内視鏡の表面に重合開始剤を結合させ、それを起点としてホスホリルコリン基含有化合物をラジカル重合法で表面グラフトさせることにより、タンパク質など生体成分の吸着や変性を抑制でき、優れた生体適合性表面を有し、防汚性に優れたものである。
<8> 呼び径25mm、全長30cmの硬質塩化ビニル管の一方の端を他端より5cm上方へ持ち上げ、該ビニル管の上方端から水を1分間に100ml流しているところに、外径11mm、全長26mmである請求項1から7のいずれかに記載のカプセル内視鏡を挿入し、該カプセル内視鏡がビニル管外に排出されるまでの滞留時間A1(秒)と、表面にグラフト鎖を形成していない外径11mm、全長26mmのカプセル内視鏡の前記ビニル管内での滞留時間A2(秒)とが、次式、25%<(A1−A2)/A1×100<50%、の関係を満たすことを特徴とするカプセル内視鏡である。
<9> 重合開始剤を付与したカプセル内視鏡の表面をパターン状に露光し、該露光部でフッ素含有化合物を反応させて、カプセル内視鏡の表面にパターン状にフッ素原子を含むグラフト鎖を形成することを特徴とするカプセル内視鏡の製造方法である。
<10> 重合開始剤を付与したカプセル内視鏡の表面をパターン状に露光し、該露光部でホスホリルコリン基含有化合物を反応させて、カプセル内視鏡の表面にパターン状にホスホリルコリン基を含むグラフト鎖を形成することを特徴とするカプセル内視鏡の製造方法である。
<11> カプセル内視鏡の全表面に重合開始剤を付与する前記<9>から<10>のいずれかに記載のカプセル内視鏡の製造方法である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、血液やタンパク質などの汚染防止性に優れると共に、十分な滞留時間を備え、姿勢の制御、動きの制御、位置の制御が容易なカプセル内視鏡及び該カプセル内視鏡の製造方法を提供することができる。
(カプセル内視鏡)
本発明のカプセル内視鏡は、該カプセル内視鏡の少なくとも一部の表面が、該カプセル内視鏡の他の表面と異なる表面性状を有する。
ここで、前記表面性状とは、広くカプセル内視鏡の表面状態を意味し、例えば、疎水性、親水性、生体適合性、などを包含する広汎な概念である。
−カプセル内視鏡−
前記カプセル内視鏡としては、大きさ、形状、材質、性能などに特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図1は、本発明の第1実施の形態を示すカプセル内視鏡の筐体内の構成の概略を示す拡大縦断面図、図2は、図1のカプセル内視鏡を前方から見た要部拡大正面図である。
図1に示すようにカプセル内視鏡100は、外観形状がカプセル型の錠剤形状をなし、その縦断面が略小判形を有するカプセル形状の樹脂等からなる外装部である筐体10を有し、その前部は透明部材10aで形成されている。
前記筐体10の材料としては、特に制限はなく、カプセル内視鏡に普通に用いられているものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機材料、及び有機材料のいずれも用いることができる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、シリコン、アルミニウム、ステンレス、金、銀、亜鉛、銅、ITO、酸化錫、アルミナ、酸化チタン、などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレー卜樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、などが挙げられる。
なお、前記有機材料は、重合開始剤との結合性を向上するため、コロナ処理、プラズマ処理などにより、表面に水酸基、カルボキシル基などの官能基が導入されたものであってもよい。
前記カプセル内視鏡の筐体10の内部には、その透明部材10aに対向する前部に配設されていて、体腔内の消化器などの撮影対象物の光像を結像する対物レンズ1aを保持するレンズ鏡筒1と、該レンズ鏡筒1の外周面に配設され、体腔内の消化器などの撮影対象物を照明する、例えばLEDからなる照明光源部(以下、「光源」と称することがある)2と、該光源2の駆動制御を行う制御回路を構成する電子制御部品3と、受光面4aを有し、後述する周辺回路基板6のドライバ回路からの駆動信号により受光面4aに入射した光に所定の光電変換処理を行って画像信号を出力する。例えば、CCD又はCMOSセンサからなる固体撮像素子(以下、「撮像素子」と称することがある)4と、ピント調整用の素子枠5と、撮像素子4の後方に配設され、該撮像素子4の駆動制御を行うドライバ回路、撮像した画像信号を体腔外に伝送出力する通信回路、カプセル内視鏡100全体の駆動制御を行う制御回路等の周辺回路を有する。例えば、リジット基板からなる周辺回路基板6と、回路素子が搭載された、立体配線部材である可撓性基板(フレキシブル基板)7と、該フレキシブル基板7を介して光源2、電子制御部品3、撮像素子4、周辺回路に電力を供給する、例えば、電池で構成された電源8が配設されて、カプセル内視鏡100の主要部が構成されている。
なお、素子枠5は、撮像素子4の前面の受光面4aの周縁部を覆うように連続的に配設される。また、前方に突出してレンズ鏡筒1の内周面と嵌合するように、立体配線部材である樹脂配線基板で形成され、組立の際に撮像素子4と対物レンズ1との間のピント調整のための距離を調整する役目をするものである。
周辺回路基板6と電源8は、筐体10の内部に配置効率良く収まるように、筐体10の内部で必要に応じて適宜折り曲げられたフレキシブル基板7により、各々の裏面又は表面に形成された接点端子と、例えば、半田又は導電性接着剤によって電気的に接続されている。また、レンズ鏡筒1は、後述するが一体形成されることによりフレキシブル基板7と電気的に接続されている。更に、該フレキシブル基板7には、電子制御部品3が前記導電性接着剤によって電気的に接続し、固着されている。また、周辺回路基板6の前記ドライバ回路、前記通信回路、前記制御回路は、半田又はAu(金)突起等の導電性材料6aを介して互いに電気的に接続されており、周辺回路基板6と撮像素子4は、導電性ワイヤ6bを介してワイヤボンディング等で電気的に接続されている。更に、レンズ鏡筒1と素子枠5は、前記導電性材料、又は導電性ワイヤを介して電気的に接続し、固着されている。また、撮像素子4は前記導電性接着剤又は絶縁性接着剤により、周辺回路基板6に固着され、素子枠5は撮像素子4の受光面4aに合わせて遮光性を有する接着剤により固着される。
レンズ鏡筒1は、回路素子が搭載された、立体配線部材である樹脂配線基板(以下、MID;(Molded Interconnect Devices)と称することもある)で形成されており、その鏡筒の外周面には、図2に示すように、1つ以上配設された光源2、及び電子制御部品3が、前記導電性接着剤によって電気的に接続し、固着されている。更に、レンズ鏡筒1の外周面には、フレキシブル基板7の一端がレンズ鏡筒とフレキシブル基板7とをインサート成形を用いて同一工程で一体形成することによって電気的に接続、固着されている。なお、このレンズ鏡筒1とフレキシブル基板7の電気的接続は、MIDからなるレンズ鏡筒1の接点端子に、フレキシブル基板7を前記導電性接着剤によって固着することによって行ってもよい。
このように、本実施形態におけるカプセル内視鏡100では、光源2を回路素子が形成されたMIDからなるレンズ鏡筒1の外周面に配設し、固着する。また、光源2の駆動制御を行う電子制御部品3を、レンズ鏡筒1及び該レンズ鏡筒1に一体形成されたフレキシブル基板7に配設し、固着する。そして、フレキシブル基板7を、今まで使用していなかった空間に配設した。
よって、レンズ鏡筒1及び該レンズ鏡筒1と一体形成されたフレキシブル基板7を回路基板として利用することができ、光源2並びに該光源2を駆動制御する電子制御部品3を配設し、固着する基板を、筐体10内に別途設ける必要がないため、光源2及び電子制御部品3を筐体10内に実装密度を高くして配設することができる。
このことにより、光源2の実装スペースを小型化することができるので、光源2と該光源2に対向する筐体10とで形成する内部空間を広く確保でき、この空間に、薬液タンク、光源2の外部給電部品、カプセル内視鏡自体の位置制御を行う部品等を配設することができるため、実装密度が高く、より多くの各種構成部材及び回路素子が形成された複数の電気回路基板を筐体内に配設することが可能となる。
また、フレキシブル基板7を今まで使用していなかった筐体10と周辺回路基板間等のデッドスペースに配置することにより、このフレキシブル基板7に接続し、固着されるレンズ鏡筒1、周辺回路基板6、電源8も実装密度を高くして配設することができる。よって、カプセル内視鏡自体を小型化することができ、部品数も減るため、組立も容易となり、更に、前記別途配設した基板と、他の構成部品及び筐体内壁との干渉を防ぐことができる。
更に、光源2をレンズ鏡筒1に固着することにより、照射位置が振れにくくなり、また、レンズ鏡筒1を動かすだけで、照明角度を自在に変えることができるといった利点がある。
なお、本実施の形態においては、前記ドライバ回路、前記通信回路、前記制御回路等から構成された周辺回路を搭載した前記周辺回路基板6は、リジット基板で構成したが、これは、レンズ鏡筒1と同様にMIDで形成されていてもよい。この場合、導電性材料6aをインサート成形により周辺回路基板6と一体に形成してもよい。
また、前記電源8は、電池で構成したが、これに限らず、コンデンサや、無線通信による外部給電を用いてもよいし、光源2、電子制御部品3、撮像素子4、周辺回路基板6に所定の電力を供給でき、筐体10に内蔵できるものであれば、どのようなものであっても構わない。
更に、素子枠5は、その前端部がレンズ鏡筒1の内周面に嵌合する構成としたが、レンズ鏡筒1の外周面に嵌合するようにしてもよい。
−表面性状−
前記内視鏡における表面性状は、カプセル内視鏡の表面にグラフト鎖をパターン状に形成して付与されることが好ましい。
前記グラフト鎖におけるフッ素原子の含有量は、全原子に対し20%以上であることが好ましく、30%以上がより好ましい。前記フッ素原子の含有量が20%未満であると、生体物質による汚染の防止効果が不十分となることがある。
ここで、前記フッ素原子の含有量は、例えば、グラフト鎖を切断し、溶剤で溶出したサンプルを原子吸光分析することなどにより測定することができる。
前記グラフト鎖は、少なくともフッ素含有化合物を重合させて得られるものが好ましい。
また、前記フッ素含有化合物は、フッ素以外の重合性基を有することが好ましい。該重合性基としては、例えば、非芳香族の不飽和炭素−炭素結合(二重結合又は三重結合)を有する基、などが挙げられ、これらの中でも、エチレン性不飽和基が好適である。
前記エチレン性不飽和基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、2〜15のものがより好ましく、2〜10のものが更に好ましく、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基、シンナモイル基、等が挙げられる。
前記開環重合性基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、2〜15のものがより好ましく、2〜10のものが更に好ましく、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、等が挙げられる。
前記フッ素含有化合物としては、例えば、フッ素モノマー、該フッ素モノマーの重合体、フッ素モノマーとその他のモノマーとの共重合体、又はこれらの混合物、などが挙げられる。
これらの中でも、フッ素モノマーが、光照射によりカプセル内視鏡表面に発生したラジカル種により直接化学的に結合し、カプセル内視鏡の少なくとも一部に疎水性を付与することができる点から特に好ましい。
前記フッ素モノマーとしては、フッ素原子が一分子中に2個以上含まれるモノマーが好ましく、一般的にパーフルオロ基と呼ばれるものが特に好ましい。
前記フッ素モノマーとしては、下記構造式(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)のいずれかで表される化合物から選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
CH=CRCOORRf ・・・構造式(1)
ただし、前記構造式(1)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表す。
は、−C2p−、−C(C2p+1)H−、−CHC(C2p+1)H−、又は−CHCHO−を表す。
Rfは、−C2n+1、−(CFH、−C2n+1−CF、−(CFOC2n2i+1、−(CFOC2m2iH、−N(C2p+1)COC2n+1、−N(C2p+1)SO2n+1を表す。ただし、Rf中、pは1〜10、nは1〜16、mは0〜10、iは0〜16の整数をそれぞれ表す。
CF=CFORg ・・・構造式(2)
ただし、前記構造式(2)中、Rgは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表す。
CH=CHRg ・・・構造式(3)
ただし、前記構造式(3)中、Rgは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表す。
CH=CRCOOROCOCR=CH ・・・構造式(4)
ただし、前記構造式(4)中、R及びRは、水素原子、又はメチル基を表す。R、及びRは、−C2q−、−C(C2q+1)H−、−CHC(C2q+1)H−又は−CHCHO−、Rは−C2tを表す。qは1〜10、tは1〜16の整数である。
CH=CHRCOOCH(CH)CHOCOCR=CH ・・・構造式(5)
ただし、前記構造式(5)中、R及びRは、水素原子、又はメチル基を表す。Rは−C2y+1である。yは1〜16の整数である。
前記構造式(1)で表される単量体としては、例えば、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CFCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、C15CON(C)CHOCOC(CH)=CH、CF(CFSON(CH)CHCHOCOCH=CH、CF(CFSON(C)CHCHOCOCH=CH、CSON(C)CHCHOCOC(CH)=CH、(CFCF(CF(CHOCOCH=CH、(CFCF(CF10(CHOCOC(CH)=CH、CF(CFCH(CH)OCOC(CH)=CH、CFCHOCHCHOCOCH=CH、C(CHCHO)CHOCOCH=CH、(CFCFO(CHOCOCH=CH、CF(CFOCHCHOCOC(CH)=CH、CCON(C)CHOCOCH=CH、CF(CFCON(CH)CH(CH)CHOCOCH=CH、H(CFC(C)OCOC(CH)=CH、H(CFCHOCOCH=CH、H(CFCHOCOCH=CH、H(CF)CHOCOC(CH)=CH、CF(CFSON(CH)CHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFSON(CH)(CH10OCOCH=CH、CSON(C)CHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFSON(CH)(CHOCOCH=CH、CSON(C)C(C)HCHOCOCH=CH、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記構造式(2)又は(3)で表されるフルオロアルキル化オレフィンとしては、例えば、CCH=CH、CCH=CH、C1021CH=CH、COCF=CF、C15OCF=CF、C17OCF=CF、などが挙げられる。
前記構造式(4)又は(5)で表される単量体としては、例えば、CH=CHCOOCH(CFCHOCOCH=CH、CH=CHCOOCHCH(CH17)OCOCH=CH、などが挙げられる。
前記その他のモノマーとしては、ラジカル重合可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類、グリシジルエステル類、スチレン類、アルキル酸のビニルエステル類、ケイ素含有単量体、などが挙げられる。該その他のモノマーの添加量は、前記フッ素モノマーに対して50質量%以下が好ましい。
また、前記グラフト鎖は、少なくともホスホリルコリン基含有化合物を重合させて得られるものが好ましい。
前記ホスホリルコリン基含有化合物は、ホスホリルコリン基以外にも重合性基を有することが好ましい。該重合性基としては、例えば、非芳香族の不飽和炭素−炭素結合(二重結合又は三重結合)を有する基、などが挙げられ、これらの中でも、エチレン性不飽和基が好適である。
前記エチレン性不飽和基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、2〜15のものがより好ましく、2〜10のものが更に好ましく、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基、シンナモイル基、等が挙げられる。
前記開環重合性基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、2〜15のものがより好ましく、2〜10のものが更に好ましく、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、等が挙げられる。
前記ホスホリルコリン基含有化合物としては、例えば、特開昭58−154591号公報、Polymer Journal,22巻 335−360頁(1990年)などに記載されているものなどが挙げられる。
具体的には、2−メタクリロイオキシエチルホスホリスコリン、3−メタクリロイオキシプロピルホスホリルコリン、2−アクリロイオキシエチルホスホリルコリン、3−アクリロイオキシプロピルホスホリルコリンなどが挙げられ、これらの中でも、2−メタクリロイオキシエチルホスホリスコリンが特に好ましい。
前記ホスホリルコリン基含有化合物とその他のモノマーとの共重合体を用いることもできる。
前記その他のモノマーとしては、ラジカル重合可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類、グリシジルエステル類、スチレン、アルキル酸のビニルエステル類、ケイ素含有単量体、などが挙げられる。該その他のモノマーの添加量は、前記ホスホリルコリン基含有化合物に対して50質量%以下が好ましい。
本発明のカプセル内視鏡は、呼び径25mm、全長30cmの硬質塩化ビニル管の一方の端を他端より5cm上方へ持ち上げ、該ビニル管の上方端から水を1分間に100ml流しているところに、外径11mm、全長26mmである請求項1から7のいずれかに記載のカプセル内視鏡を挿入し、該カプセル内視鏡がビニル管外に排出されるまでの滞留時間A1(秒)と、表面にグラフト鎖を形成していない外径11mm、全長26mmのカプセル内視鏡の前記ビニル管内での滞留時間A2(秒)とが、次式、25%<(A1−A2)/A1×100<50%、の関係を満たすものである。
本発明のカプセル内視鏡によれば、上記関係を満たすことにより、ビニル管内での滞留時間を十分に長くすることができので、生体内における滞留時間を長くすることができることが推測され、生体内の患部において有効な検査、治療、及び診断を行うことができる。
前記カプセル内視鏡は、グラフト鎖がパターン状に形成されてなるものであり、該パターンとしては、形状、大きさ、配置などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該カプセル内視鏡の表面に部分的にパターン形成することが好ましい。このようなカプセ内視鏡は、以下のようにして製造することができる。
(カプセル内視鏡の製造方法)
本発明のカプセル内視鏡の製造方法は、第1の形態では、重合開始剤を付与したカプセル内視鏡の表面をパターン状に露光し、該露光部でフッ素含有化合物を反応させて、カプセル内視鏡の表面にパターン状にフッ素原子を含むグラフト鎖を形成する。
本発明のカプセル内視鏡の製造方法は、第2の形態では、重合開始剤を付与したカプセル内視鏡の表面をパターン状に露光し、該露光部でホスホリルコリン基含有化合物を反応させて、カプセル内視鏡の表面にパターン状にホスホリルコリン基を含むグラフト鎖を形成する。
具体的には、本発明のカプセル内視鏡の製造方法は、(1)カプセル内視鏡表面に重合開始剤を固定化する工程、(2)固定化した重合開始剤からフッ素含有化合物あるいはホスホリルコリン基含有化合物をグラフト重合を開始し、パーフルオロ基あるいはホスホリルコリン基を有するグラフト鎖を生成する工程を経て作製することが好ましい。
前記(2)の工程において、マスク等を用いてパターニングをすることにより、カプセル内視鏡表面にグラフト鎖をパターン状に形成することができる。
<(1)カプセル内視鏡表面に重合開始剤を固定化する工程>
前記カプセル内視鏡表面に重合開始剤を固定する工程は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、操作の簡便性、また大面積適用性の観点から、シランカップリング剤などの結合性末端基を有する開始剤をカプセル内視鏡表面に、好ましくは所望の領域全面にわたり付着させる方法が好ましい。該付着方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布法、スプレー法、浸漬法、などが挙げられる。
−重合開始剤−
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、原子移動ラジカル重合を開始する部分(以下、「開始部位」と称することがある)と基板と結合しうる部分(結合部位)とを同一分子内に持った化合物なら公知のいずれのものも使用することができる。
前記開始部位としては、一般に、有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するエステル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、又は、ハロゲン化スルホニル化合物等を部分構造として導入する。また、同様の重合開始剤としての機能を有するものであれば、ハロゲンの代わりになる基、例えば、ジアゾニウム基、アジド基、アゾ基、スルホニウム基、オキソニウム基などを有する化合物を用いても構わない。
前記開始部位として導入されうる化合物としては、具体的には、以下に例示するような化合物が挙げられる。
−CHX、
−C(H)(X)CH、又は
−C(X)(CH
ただし、前記各構造式中、Cはフェニル基を表す。Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。
−C(H)(X)−CO
−C(CH)(X)−CO
−C(H)(X)−C(O)R、又は
−C(CH)(X)−C(O)R
ただし、前記各構造式中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は、炭素数7〜20のアラルキル基を表す。Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。
−C−SO
ただし、前記構造式中、R及びXは、前記したものと同義である。
前記開始剤の開始部位としては、経時安定性の観点から、α−ハロゲンエステル化合物である。
前記開始剤中に存在する結合部位、即ち、基板結合基(基板と結合し得る官能基)としては、例えば、チオール基、ジスルフィド基、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、等が挙げられる。これらの中でも、基板結合基としてはチオール基、架橋性シリル基が特に好ましい。
前記開始部位と結合部位をもった開始剤、即ち、開始能を有する部分構造に基板結合性基を導入した開始剤の具体的な例としては、例えば、下記構造式(8)に示す構造を有するものが例示される。
C(X)−R−R−C(H)(R)CH
−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R103−a(Y)・・・構造式(8)
ただし、前記構造式(8)中、R、R、R、R、及びRは、R及びRと同義である。
Xは、前記したXと同義である。
、及びR10は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は(R’)SiO−(ただし、R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R又はR10が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
Yは、水酸基、ハロゲン原子、又は加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
aは、0、1、2、又は3を表す。bは、0、1、又は2を表す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。
前記構造式(8)で表される化合物を、以下に例示する。
XCHC(O)O(CH)nSi(OCH
CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(OCH
(CHC(X)C(O)O(CHSi(OCH
(CHC(X)C(O)O(CHSiCl
XCHC(O)O(CH)nSiCl
CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(CH)(OCH、又は
(CHC(X)C(O)O(CHSiCl
ただし、前記各構造式中、Xは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。nは0〜20の整数を表す。
次に、前記開始部位と結合部位をもった開始剤の他の具体的な例としては、下記構造式(9)で示される構造を有するものが挙げられる。
(R103−a(Y)Si−[OSi(R2−b(Y)
−CH−C(H)(R)−R11−C(R)(X)−R−R・・・構造式(9)
ただし、前記構造式(9)中、R、R、R、R、R、R、R10、a、b、m、X、及びYは前記したものと同義である。
前記構造式(9)で表される化合物を、以下に例示する。
(CHO)SiCHCHC(H)(X)C
C1SiCHCHC(H)(X)C
C1Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)Si(CHC(H)(X)−COR、
(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−COR、
ただし、前記各構造式中、Xは塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表し、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。
−グラフト重合方法−
前記重合開始剤層表面にグラフトポリマーを生成させる方法としては、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いる。該グラフト重合とは、高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に結合及び重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法を意味し、特に活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。また、本発明において生成されるグラフトポリマーは、高分子化合物鎖上の活性種に、所望のポリマーを結合させてなるものも含む。なお、本発明においては、活性種が与えられる高分子化合物は、前記固定化した重合開始層を構成する高分子化合物となる。
本発明において、前記グラフト重合は、前記カプセル内視鏡表面に、全面又は画像様に設けられた重合開始剤層を、プラズマ、若しくは電子線にて処理し、表面にラジカルを発生させて重合開始能を発現させ、その後、その活性表面とフッ素含化合物又はホスホリルコリン基含有化合物とを反応させることによりグラフトポリマーを生成させるものである。
−重合開始剤層に活性種を与えるためのエネルギー付与−
重合開始剤層に、活性種を与えるためのエネルギー付与方法としては、重合開始層中の重合開始剤を分解させ得るエネルギーを付与できる方法であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、露光等の活性光線照射などが、コスト、装置の簡易性の観点から好ましい。
前記エネルギー付与に使用し得る活性光線としては、例えば、紫外線、可視光、赤外光などが挙げられ、これらの活性光線の中でも、紫外線、可視光が好ましく、重合速度に優れるという点から紫外線が特に好ましい。また、活性光線の主たる波長が250nm以上800nm以下であることが好ましい。
前記光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、蛍光ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、タングステン白熱ランプ、太陽光などが挙げられる。
前記活性光線の照射の所要時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、数秒間〜24時間が好ましい。
前記グラフト重合を用いたグラフトポリマーの生成するために、重合開始層が設けられたカプセル内視鏡の表面を、フッ素含化合物又はホスホリルコリン基含有化合物を含む溶液中に浸漬し、その後、光照射を行い、重合開始剤層表面に活性種を生成させ、その活性種に対し該化合物をグラフト重合させる方法を用いる。
前記フッ素含化合物又はホスホリルコリン基含有化合物としては、上述したものを使用することができる。
前記グラフト重合反応は、無溶媒、即ち溶媒を用いることなくモノマー単独で行ってもよく、また、各種の溶媒中で行ってもよい。該重合反応に用い得る溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;水、などが挙げられる。これらは、1種を単独又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、前記溶媒を用いるグラフト重合反応は、一般的には、溶媒中にモノマーを添加し、必要に応じて触媒を添加した後、該溶媒中に開始剤を固定化してなるカプセル内視鏡を浸漬し、所定時間反応させることにより行われる。一方、無溶媒でのグラフト重合反応は、一般的には、室温下若しくは100℃までの加熱状態で行われる。
以上のようにして製造されたカプセル内視鏡は、その表面にグラフト鎖がパターン状に形成されており、カプセル表面上で摩擦係数の異なる部位が存することによって、一部を支点としてカプセルを保持、回転などの移動の制御をすることもできる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−重合開始層の形成−
図1及び図2に示すようなカプセル内視鏡(外径11mm、全長26mm)の筐体表面(材質:ポリエチレン)をプラズマ放電処理した(KEYENCE社製、ST−7000)。
次に、前記カプセル内視鏡を、Macromolecules,32巻,1424頁,(1999年)に記載の方法により調製したシランカップリング剤(5−トリクロロシリルペンチル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネートの1質量%脱水トルエン溶液中に終夜浸漬した。
次いで、カプセル内視鏡を取り出し、トルエン、メタノールで順次洗滌し、表面に重合開始剤である結合性末端基を有するシランカップリング剤を固定化したカプセル内視鏡を調製した。
−パターン露光及び現像−
得られたカプセル内視鏡の重合開始剤層にパターンフイルムを通して高圧水銀灯を用いて照射エネルギー300mJ/cmでUV照射して15分間照射した。その結果、露光領域の重合開始剤は失活した。
−グラフト重合−
パターン状の重合開始剤層が形成されたカプセル内視鏡を、CH=CHCOOCHCHRf(ただし、Rfは、−C2n+1−CFを表し、n=8である)(FAMAC、ダイキンファインケミカル研究所製)5gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業株式会社製)95gとを混合して均一とした溶液に浸漬し、高圧水銀灯を用いて300mJ/cmで30分間照射した。光照射後、イオン交換水でよく洗滌し、重合開始剤層の表面にパターン状にフッ素モノマーがグラフト重合されたグラフトポリマーが生成したカプセル内視鏡が得られた。
(実施例2)
実施例1において、CH=CHCOOCHCHRf(ただし、Rfは−C2n+1−CFを表し、n=8である)(FAMAC、ダイキンファインケミカル研究所製)の代わりに、2−メタクリロイオキシエチルホスホリスコリンを用いた以外は、実施例1と同等にして、重合開始剤層表面にパターン状にホスホリルコリン基を含むモノマーがグラフト重合されたグラフトポリマーが生成したカプセル内視鏡を作製した。
(比較例1)
実施例1において、表面にパターン状にフッ素モノマーがグラフト重合されたグラフトポリマーを形成していないカプセル内視鏡、即ち、表面性状を付与する前のカプセル内視鏡を用いた。
次に、実施例1〜2及び比較例1の各カプセル内視鏡について、以下のようにして、ビニル管内での滞留時間、及びタンパク質の吸着量を測定した。結果を表1に示す。
<ビニル管内での滞留時間の測定>
呼び径25mm、全長30cmの硬質塩化ビニル管を用い、該ビニル管の一方の端を他端より5cm上方へ持ち上げ、上方端から水を1分間に100ml流しているところに、実施例1〜2及び比較例1の各カプセル内視鏡を挿入し、該カプセル内視鏡がビニル管外に排出されるまでの滞留時間をそれぞれ計測した。
実施例1及び2のカプセル内視鏡の滞留時間A1(秒)と、比較例1のカプセル内視鏡の滞留時間A2(秒)とから、滞留時間の差の比率:(A1−A2)/A1×100を求めた。
<タンパク質の吸着量の測定>
乾燥卵白10gを生理食塩水100gに溶解したタンパク質溶液に、実施例1〜2及び比較例1の各カプセル内視鏡を37℃で1日間浸漬した。引き続いて、生理食塩水ですすいだ後、1質量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液100ml中に浸漬し、カプセル内視鏡からタンパク質を剥離させて、水溶液を乾固することにより、この水溶液中に溶解したタンパク質を定量した。なお、ドデシル硫酸ナトリウムを1g含むとして減算した。
Figure 0004620523
本発明のカプセル内視鏡は、血液やタンパク質などの汚染防止性に優れると共に、姿勢の制御、動きの制御、位置の制御が容易であり、十分な滞留時間を有し、安全かつ操作性に優れたカプセル内視鏡として好適に用いられる。
図1は、本発明のカプセル内視鏡の筐体内の構成の一例の概略を示す拡大縦断面図である。 図2は、図1のカプセル内視鏡を前方から見た正面図である。
符号の説明
1 レンズ鏡筒
1a 対物レンズ
2 光源
3 電子制御部品
4 撮像素子
5 素子枠
6 周辺回路基板
7 可撓性基板
8 電源
10 筐体
100 カプセル内視鏡

Claims (9)

  1. カプセル内視鏡の少なくとも一部の表面が、該カプセル内視鏡の他の表面と異なる表面性状を有し、
    前記表面性状が、カプセル内視鏡の表面にグラフト鎖をパターン状に形成して付与されることを特徴とするカプセル内視鏡。
  2. 表面性状が疎水性であり、かつグラフト鎖におけるフッ素原子の含有量が全原子の20%以上である請求項1に記載のカプセル内視鏡。
  3. グラフト鎖が、少なくともフッ素含有化合物を重合させて得られる請求項1から2のいずれかに記載のカプセル内視鏡。
  4. フッ素含有化合物が、重合性基を有する請求項3に記載のカプセル内視鏡。
  5. 表面性状が生体適合性であり、かつグラフト鎖が少なくともホスホリルコリン基含有化合物を重合させて得られる請求項1に記載のカプセル内視鏡。
  6. ホスホリルコリン基含有化合物が、重合性基を有する請求項5に記載のカプセル内視鏡。
  7. 重合開始剤を付与したカプセル内視鏡の表面をパターン状に露光し、該露光部でフッ素含有化合物を反応させて、カプセル内視鏡の表面にパターン状にフッ素原子を含むグラフト鎖を形成することを特徴とするカプセル内視鏡の製造方法。
  8. 重合開始剤を付与したカプセル内視鏡の表面をパターン状に露光し、該露光部でホスホリルコリン基含有化合物を反応させて、カプセル内視鏡の表面にパターン状にホスホリルコリン基を含むグラフト鎖を形成することを特徴とするカプセル内視鏡の製造方法。
  9. カプセル内視鏡の全表面に重合開始剤を付与する請求項7から8のいずれかに記載のカプセル内視鏡の製造方法。
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