JP4620397B2 - 液体判別装置および方法 - Google Patents

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Description

この発明は、波動エネルギーの通路に介在させた液体の種別を当該液体の介在によって生ずる波動エネルギーの状態の変化にもとづいて判別するようにした液体判別装置および方法に関するものであり、特に、当該液体が容器に収納された飲料用のものか否かの判別を行うものである。
こうした液体判別装置における波動エネルギーの通路として、テラヘルツ電磁波
(1014〜1016Hz)の吸収量の変化を測定した測定結果にもとづいて、介在させた液体の種別を判別するようにした構成(以下、第1従来技術という)が周知である。
そして、この第1従来技術では、引火性液体、例えば、ベンジン、ガソリン、灯油、軽油などの場合には上記の吸収量が少なく、非引火性液体、例えば、水などの場合には上記の吸収量が多いことにもとづいて、引火性液体と非引火性液体とを判別している。
また、この判別により、交通機関に乗客が持ち込むペットボトル内の液体検査を行い、非引火性液体の持ち込みを排除して、交通機関内での火災事故を未然に防止するという産業上の利用を行っている。
波動エネルギーの通路に介在する物体を探知するために、その通路をビーム状の通路に形成するとともに、当該物体による波動エネルギーの反射波を測定することにより当該物体の存在を探知する構成、例えば、レーダ、魚群探知機、超音波診断装置などの構成(以下、第2従来技術という)が周知である。
特開2003−302666号公報(第1頁) この特許文献1は、上記の第1従来技術に用いることができるテラヘルツ電磁波の発生装置の構成を開示している。 特開2000−258363号公報(第2頁) 平成16年3月28日応用物理学会発行「第51回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集」第3分冊(第1226頁)30p−N−8「テラヘルツ分光法による引火性液体の判別」 この非特許文献1は、上記の第1従来技術を開示している。 昭和54年3月30日電子通信学会発行「電子通信ハンドブック」第28編第1部門レーダ、第31編第4部門1.超音波用変換器・発生回路、3・1超音波による計測、第33編第1部門7・1超音波応用診断装置 この非特許文献2は、上記の第2従来技術を開示している。 昭和40年2月28日コロナ社発行「無線伝送工学」第43〜45頁第2章2.2波動方程式 平成12年8月30日オーム社発行「光・電磁波工学」第12頁第2章4.構成方程式 平成5年11月30日丸善株式会社発行「理科年表 平成6年」第496頁液体中の音速度
上記の第1従来技術による液体判別装置の構成では、テラヘルツ電磁波を用いているため、テラヘルツ電磁波自体の発生装置の構成が、例えば、上記の特許文献1に開示されているように、複雑なパラメトリック効果により発生する構成を必要としているので、装置を簡便安価に構成できないないという不都合がある。
したがって、こうした複雑な構成を用いずに、簡便安価な構成によって、液体の種別を判別し得るようにした装置の提供が望まれているという課題がある。
上記課題を解決するための第1の発明は、周波数100KHz〜500KHzの亜ミリ波帯の超音波が未知の液体中で生ずる伝搬損失を計測する手段と、この計測した伝搬損失と、水中の既知の伝搬損失との大小関係にもとづいてこの未知の液体が引火性の液体であるか否かを判別する判別手段とを備えた液体判別装置である。
上記課題を解決するための第2の発明は、周波数100KHz〜500KHzの亜ミリ波帯の超音波が未知の液体と容器との界面で生ずる反射量を計測する手段と、この計測した反射量と、水と容器との界面で生ずる既知の反射量との大小関係にもとづいてこの未知の液体が引火性の液体であるか否かを判別する判別手段とを備えた液体判別装置である。
上記課題を解決するための第3の発明は、周波数100KHz〜500KHzの亜ミリ波帯の超音波が未知の液体中で生ずる伝搬損失を計測し、この計測した伝搬損失と、水中の既知の伝搬損失との大小関係にもとづいてこの未知の液体が引火性の液体であるか否かを判別する液体判別方法である。
上記課題を解決するための第4の発明は、周波数100KHz〜500KHzの亜ミリ波帯の超音波が未知の液体と容器との界面で生ずる反射量を計測し、この計測した反射量と、水と容器との界面で生ずる既知の反射量との大小関係にもとづいてこの未知の液体が引火性の液体であるか否かを判別する液体判別方法である。
この発明を実施するための最良の形態とする構成を以下の実施例1〜実施例4などによ
って説明する。
以下、図1〜図4により実施例1を説明する。この実施例1の構成は、上記の第1の構成による液体判別装置100の構成の実施例であって、上記の第1従来技術の構成と異なる箇所は、第1には、波動エネルギーを20GHz〜100GHzの電波にして構成した箇所である。
また、第2には、液体の種別を当該液体の介在によって生ずる当該電波の減衰量の変化にもとづいて判別するように構成した箇所である。そして、具体的には、次のように構成したものである。
図1の構成は送信側10の送波部12と受信検出側20の受波部22との間に形成される波動エネルギーの通路52に液体32を介在させていない状態を示し、また、図2の構成はその通路52に液体32を介在させた状態を示す。
まず、図1の送信側10の構成を説明する。送信スイッチ部13は、通路52の下方側に配置されていて、常時は、不動作状態側にスイッチされており、図2のように、送信スイッチ部13の上に、液体32・容器31が載せられたときのみ、動作状態側にスイッチされて、送信動作信号13aを送信部11に与え、送信部11を動作状態にするものであ
って、例えば、マイクロスイッチなどのばね入りスイッチである。
送信部11は、所定の出力をもつ20GHz〜100GHzの電波を送波部12から送信波51として送波するための送信波形の電気信号を発生する回路であって、例えば、周知のガンダイオードなどの電子的な素子を用いた波動発生回路である。
ここで、この発明において、20GHz〜100GHzの電波とは、20GHz〜10
0GHzのうちの任意の周波数を含む電波を言うものである。つまり、20GHz〜10
0GHzの範囲にわたる全ての周波数成分を有する電波を言うものではない。
送波部12は、送信部11で発生した送信波形の電気信号を所要の指向性をもつ電波に変換して送波する部分であって、例えば、ホーンアンテナ、すなわち、電磁ラッパである
そして、この実施例1では、送信部11で発生する送信波形を、例えば、図3の送信波51のように、周波数f1=50GHzの半サイクルに相当する幅t1をもつベースバンドパルスの波形とすることにより、送波部12から送波されて通路52に送られる波動エネルギーを50GHzの半サイクルの電波にしてある。つまり、幅t1が約3mmであり
、その2倍の約6mmが1サイクルになっている。
次に、図1の受信検出側20の構成を説明する。受波部22は、通路52を通って受波部22に到達した波動エネルギーの受信波53を電気信号に変換して受信部21に与える部分であって、例えば、送波部12と同様のホーンアンテナである。
受信部21は、受波部22から与えられた電気信号を所要の大きさに増幅して得られる電気信号を検出信号21aとして判別部23に与える部分であって、例えば、半導体増幅器を主体にして構成した増幅回路である。なお、この増幅は、所要の増幅範囲において、増幅が直線的に行える増幅、すなわち、リニア増幅になるように構成することが望ましい
比較判定部23は、検出信号21aの大きさと、後記の基準部24から与えられる基準信号24aの大きさとを比較して得られる信号を判別信号23aとして出力する部分であ
って、例えば、アナログ値による比較回路、または、ディジタル値による比較回路である
表示部25は、判別信号23aにもとづいて、所定の表示、例えば、判別した液体の種別を所定のマークまたは文字で表示するとともに、必要に応じて、特定の液体については表示を点滅させ、または、警音を発生するように構成した部分であって、例えば、LEDによる表示と、ブザーによる警音を行う部分である。
図2において、液体32は容器31に入れられており、容器31は、例えば、ペットボトル、すなわち、薄い肉厚のポリエチレンテレフタレート樹脂の容器であって、液体32の種別の判別を引火性液体か非引火性液体かを判別するものとする。
ここで、通路52の長さL2の中に液体32が介在する部分の長さL1と送信波51の周波数f1との関係は、予想される最小の容器31に対応する長さL1の中に、少なくとも、周波数f1の電波の3サイクル〜30サイクル程度が含まれるように選定してある。また、送波部12と受波部22との間の長さL2は、予想される最大の容器31が余裕をもって入れ込める程度の大きさに設定してある。
次に、図2〜図4によって、上記の判別を行う動作について説明する。まず、図2の状態では、送信スイッチ部13が送信部11を動作状態にしているので、図3のように、送波部12から所定の電力による振幅h1をもつ送信波51が通路52に送られている。
そして、送信波51は、通路52に介在した液体32・容器31によって減衰されるが
、容器31の部分では殆ど減衰されずに、主として液体32の部分で減衰され、その減衰量は液体32の種別によって異なることになる。
こうした電波の減衰量は、上記の非特許文献3によれば、伝播定数をjκ、減衰定数[N/m]をα、位相定数[rad/m]をβとしたとき、
jκ=α+jβ ……(1)
で表すことができる。
また、誘電率[F/m]をε、導電率[S/m]をχ、角周波数をω、真空中での透磁率をμとすると、媒体中での伝播定数κは、
κ2=−jωμ(jωε+χ) ……(2)
で表すことができる。
これらの(1)、(2)式から、誘電率εと導電率χとは、次の(3)、(4)式により求めることができる。
ε=(β2−α2)/(μω2) ……(3)
χ=2αβ/μω ……(4)
また、角周波数ωと位相定数βは、その伝播速度をvとすると、次の(5)式の関係になる。
v=ω/β …… (5)
したがって、ω>>0の条件において、(5)式は、(3)、(4)式との関係から、次の(6)式のように表すことができる。なお、以下の数式において、√で示される項は
、√に続く符号の項ついて平方根を求めることを意味するものである。
1/√εμ=ω/β ………… (6)
以上の(3)〜(6)式を減衰定数αと位相定数βについて解くと、誘電率εと導電率χから伝播減衰量Aが求められることになる。
ここで、一般には、誘電率εに代えて比誘電率εrが用いられており、真空中の誘電率をε0とすると、比誘電率εrは誘電率εと真空中の誘電率ε0との比で求められる。
また、上記の判別の対象とする液体や合成樹脂などの非金属媒質は、一般に、導電率χが小さいので、高周波の電波を伝播させる場合の伝播減衰量Aは減衰定数αと等しくなり
、その演算を簡素化して表すと、次の(7)式で表すことができる。
A=α=χ/2・√(μ/ε)
=χ/2・μ/√(ε・μ)
=4π×10-7×30×107×χ/2×√εr …… (7)
さらに、簡略化すれば、伝播減衰量Aは、次の(8)式で求められることになる。
A=60π×χ÷√εr ………… (8)
結局、伝播減衰量Aは、導電率χと、比誘電率εrの平方根との比に比例していることになるわけである。
そして、上記の非特許文献4によれば、実験により各種の液体に対して、図4の〔マイクロ波帯の比誘電率・比透磁率・導電率〕ような比誘電率εrと導電率χとが知られているので、図2の液体32が淡水の場合の伝播減衰量A1は、次の(9)式の値になり、
A1=60π×(10-2〜10-3)÷√81
≒0.21〜0.021 ………… (9)
また、図2の容器31がポリエチレンの場合の伝播減衰量A2は、次の(10)式の値になる。
A2=60π×(10-6)÷√2.3
≒0.000124 ………… (10)
そして、この伝搬減衰量は、実験によれば、図4の〔液体透過実験データ〕により後述するように、含水性液体、例えば、飲料用の水道水の場合には大きい値になり、非含水性液体、例えば、ガソリンの場合には小さい値になることが分かっている。
図2の状態において、送信波51が通路52に送られて受信波53として受波されるまでの経路における電波の減衰量は、概略、図3のように配列されることになり、減衰量は
、主として、液体32の差異によって大きく変化する。
そして、液体32が飲料用液体のように、含水性液体、つまり、非引火性液体の場合には、その受信波53による検出信号21aが振幅a5のように極度に小さくなり、液体3
2が飲料用液体ではなく、ベンゼンなどの引火性液体、つまり、非含水性液体の場合には
、その受信波53による検出信号21aが振幅b5のように中位以上の大きさで現れることになる。また、常空気中の部分と容器31の部分とは、その変化に殆ど影響していない
こうした変化は、具体的には、実験によれば、送信波51を連続波とし、受信部21をスーパーヘテロダイン形式の受信部とした場合に、検出信号21a、例えば、中間周波数信号の電圧の振幅値IFvが、図4の〔液体透過実験データ〕のように、含水性液体、例えば、飲料用の水道水では5mVp−pという小さい値になり、非含水性液体、例えば、レギュラーガソリンでは10〜20mVp−p、灯油では45mVp−pという大きな値になっている。
したがって、比較判別部23に与える基準部24からの基準信号24aのレベルc5を振幅a5と振幅b5との中間程度に設定しておき、レベルc5以上のときのみ、液体32が飲料用液体ではなく、引火性液体などの危険性のある液体である旨の判別出力23aを出力させ、表示部25にその旨を表示させ、必要に応じて、警音を発することができる。
そして、この実施例1の構成の場合には、波動エネルギーが電波なので、容器32が合成樹脂材の場合には、容器32の箇所での波動エネルギーの減衰が少ないため、特に、有効に動作するわけである。
しかし、容器32が金属材の場合には、容器32の箇所での波動エネルギーの減衰が大きいので、目的とする動作が行えないものである。
以下、図5〜図8により実施例2を説明する。この実施例2の構成は、上記の第2の構成による液体判別装置100の構成であって、上記の実施例1と異なる箇所は、第1には
、送受部12から通路52に送る波動エネルギーを100kHz〜500kHzの超音波によって構成した箇所である。
また、第2には、液体の種別を当該液体の介在によって生ずる当該超音波の減衰量の変化にもとづいて判別するように構成した箇所である。そして、具体的には、次のように構成したものである。
さらに、第3には、超音波の場合には、空気中と容器31・液体32の境界面での反射が大きいので、送波部12と容器31との間と、容器31と受波部22との間とに、これらの間の空気を排除して、超音波の通りを良くするために、それぞれ、ごく柔質で変形し易い水枕状の介在体12A・22Aを介在させるように構成してある。
介在体12A・22Aは、例えば、0.2mm程度の薄い肉厚のポリエチレン樹脂の袋の中に空気を抜いた液体、例えば、水を封入したものであり、図6のように、容器31・液体32を通路52に介在させた状態では、送波部12・介在体12A・容器31・液体32・介在体22A・受波部22の各間が密着状に形成される構成したものである。
送信部11は、所定の出力をもつ100kHz〜500kHzの超音波を送波部12から送信波51として送波するための送信波形の電気信号を発生する回路であって、例えば
、周知の半導体トランジスタなどの電子的な素子を用いた波動発生回路に変更してある。
ここで、この発明において、100kHz〜500kHzの超音波とは、100kHz〜500kHzのうちの任意の周波数を含む超音波を言うものである。つまり、100kHz〜500kHzの範囲にわたる全ての周波数成分を有する超音波を言うものではない
送波部12は、送信部11で発生した送信波形の電気信号を所要の指向性をもつ超音波に変換して送波する部分であって、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛磁器による振動子を用いた電気音響変換器に変更してある。
そして、この実施例2では、送信部11で発生する送信波形を、例えば、図7の送信波51のように、周波数f11=250kHzの半サイクルに相当する幅t11をもつベースバンドパルスの波形とすることにより、送波部12から送波されて通路52に送られる波動エネルギーを250kHzの半サイクルの超音波にしてある。つまり、幅t11が約3mmであり、その2倍の約6mmが1サイクルになっている。そして、長さL1・L2と周波数f11との関係は、実施例1の場合と同様の構成になるように選定してある。
受波部22は、超音波の受信波53を電気信号に変換させるために、例えば、送波部1
2と同様の電気音響変換器に変更してあり、上記以外の箇所は、実施例1と同様の構成にしてある。
したがって、図6の状態での動作は、実施例1の場合と同様の動作を行い、実施例1の伝搬路52における電波の減衰量が、超音波の減衰量に変更されたことなるわけである。
ここで、上記の非特許文献5によれば、超音波の吸収定数[neper/m]をαとし
、初めの音の強度I0がdm先で強度Idに減少するときは、次の(11)式で表すことができる。
α=(1/2d)loge(I0/Id)neper/m …… (11)
そして、通常の液体では、吸収定数αは周波数fの2乗に比例する。そして、実験により図8のような各種の液体での吸収定数αが知られている。
そして、図8によれば、
α=f-2・10-13・neper・m-1・Hz-2の値が、
例えば、水の場合には0.33neper/mという小さい値であり、非含水性の液体
、例えば、ベンゼンの場合には8.3neper/mという大きい値になっている。つまり、飲料用液体のような含水性液体の場合には小さく、飲料用液体ではない非含水性液体の場合には大きくなる。
また、容器31の肉厚はごく薄いので、容器31の箇所での吸収や反射があったとしても、上記の各液体には無関係に作用するので、送信波51が通路52を通って受信波53として受波されるまでの経路における上記の吸収定数αによる超音波の減衰量は、概略、図7のように配列されることになり、主として、液体32の差異によって大きく変化する
そして、液体32が飲料用液体の場合あって含水性液体、つまり、非引火性液体の場合には、その受信波53による検出信号21aが振幅a15のようにが中位以上の大きさになり、液体32が飲料用液体ではなく、非含水性の液体、つまり、ベンゼンなどの引火性液体の場合には、その受信波53による検出信号21aが振幅b15のようにごく小さくなって現れる。
したがって、比較判別部23に与える基準部24からの基準信号24aのレベルc15を振幅a15と振幅b15との中間程度に設定しておき、レベルc15以上のときのみ、液体32が飲料用液体ではなく、引火性液体などの危険性のある液体である旨の判別出力23aを出力させ、表示部25にその旨を表示させ、必要に応じて、警音を発することができる。
そして、この実施例2の構成の場合には、波動エネルギーが超音波なので、容器31が金属材の場合、合成樹脂材の場合、いずれの場合でも、容器32の箇所での波動エネルギ
ーの減衰が少ないため、いずれにも、有効に動作するが、特に、波動エネルギーが電波の場合には利用できない金属材の場合にも、有効に、目的とする動作が行えるという点に特長がある。ここで、容器31が金属材の場合には、その部分での反射により、受信波53が小さくので、それを補償し得るように、送信波51を大きくしておく必要があることは言うまでもない。
なお、この実施例2の場合には、液体32の温度によって超音波の吸収定数αが相当大きく変化するので、その変化を補正するために、温度検出器、例えば、サーミスターなどで検出した温度信号にもとづいて、受信部21での増幅量を補正する構成を付加する必要がある。
以下、図5〜図8により実施例3を説明する。この実施例3の構成は、上記の第3の構成による液体判別装置100の構成であって、上記の実施例2と異なる箇所は、第1には
、液体の種別の判別を超音波の遅延量γの変化にもとづいて行うように変更した箇所である。
また、第2には、基準部24からの基準信号24aを超音波の遅延量γに対応する基準時間長tsに変更した箇所である。また、第3には、図5・図6に点線で示したように、送信部11における送信波51の発生時点tpに対応する時間信号11aを比較判別部2
3に与えることにより、図7のように、発生時点tpから検出信号21aの受信時点trまでの時間長tx、すなわち、遅延量γを基準時間長tsと比較することにより、液体の種別を判別するように変更した箇所である。
ここで、上記の非特許文献5によれば、音速度[m/s]をcとすると、図8のように
、例えば、水の場合には1500m/sという大きい値であり、非含水性の液体、例えば
、ベンゼンの場合には1295m/sという小さい値になっている。つまり、飲料用液体のような含水性液体の場合には大きく、飲料用液体ではない非含水性液体の場合には小さくなる。
また、容器31の肉厚はごく薄いので、容器31の箇所での音速変化があったとしても
、上記の各液体には無関係に作用するので、送信波51が通路52を通って受信波53として受波されるまでの経路における超音波の所要時間、すなわち、遅延量γは、概略、図7のように配列されることになり、遅延量γは、主として、液体32の差異によって大きく変化する。
そして、液体32が水などの非引火性液体の場合には、その受信波53による検出信号21aの受信時点trまでの時間長tx、すなわち、遅延量γが遅延量γ2のように小さくなり、液体32がベンゼンなどの引火性液体の場合には、その遅延量γが遅延量γ1のように大きくなるわけである。
したがって、比較判別部23に与える基準部24からの基準信号24aの基準時間長tsを遅延量γ1と遅延量γ2との中間程度に設定しておき、基準時間長ts以上のときのみ、液体32が飲料用液体ではなく、引火性液体などの危険性のある液体である旨の判別出力23aを出力させ、表示部25にその旨を表示させ、必要に応じて、警音を発することができる。
そして、この実施例3の構成の場合には、上記の実施例2の場合と同様に、波動エネルギーが超音波なので、容器31が合成樹脂材・金属材、いずれにも、有効に動作し、特に
、金属材の場合にも、有効に、目的とする動作が行えるという点に特長がある。なお、容器31が金属材の場合には送信波51を大きくしておく必要があることは、上記の実施例2で述べたとおりである。
以下、図9〜図11により実施例4を説明する。この実施例4の構成は、上記の第4の構成による液体判別装置100の構成であって、上記の実施例2・実施例3の構成と異なる箇所は、第1には、液体の種別の判別を超音波の反射量δの変化にもとづいて行うように変更した箇所である。
また、第2には、図9・図10のように、図5・図6における送信側10と受信検出側20とを下方側に並べて配置するとともに、図5・図6における介在体12Aと同様の介在体12Bを送波部12と受波部22との上にまたがらせて配置し、介在体12Bの上に容器31・液体32を載せるように変更したものである。
さらに、第3には、送信波51が容器31の下面部分から液体32を通って容器31の上面部分とそれに接した空気の部分との境界31Xで反射して受波部22に到達して受信波53として受波されるまでの経路を通路52Aとして形成するように変更した箇所である。
そして、第4には、基準部24からの基準信号24aを所定の基準レベルc25の信号にしておき、境界31Xで反射した反射波31rの受信波53による検出信号21aの振幅を基準信号24aの基準レベルc25と比較することによって、液体32が非引火性液体か、引火性液体かを判別するように変更した箇所である。
上記の実施例2での図8によれば、超音波の吸収係数αが、例えば、水の場合には0.
33neper/mという小さい値であり、非含水性液体、例えば、ベンゼンのような引火性液体の場合には8.3neper/mという大きい値になっている。つまり、超音波は、これらの吸収定数αによって吸収される分だけ減衰されながら通るわけである。
また、容器31の肉厚はごく薄いので、容器31の下面側での反射量は、反射波31rに比べて十分に小さく、容器31の厚さでの吸収による減衰量は、液体32の箇所での吸収による減衰量に比べて十分に小さいので、送信波51が通路52Aを通って受信波53として受波されるまでの経路における超音波の減衰量は、主として、液体32の差異によ
って大きく変化することになる。
つまり、こうした吸収による減衰量の差異と、境界31Xを形成する部分での液体32
・容器31・空気という層構成における液体32の差異による反射率の差異によって、図11のように、液体32が飲料用液体で含水性液体の場合には、反射波31rの受信波5
3による検出信号21aの振幅が振幅a25のように大きくなり、液体32が飲料用液体ではなく、ベンゼンなどの引火性液体の場合には、その振幅が振幅b25のように小さくなるわけである。
したがって、比較判別部23に与える基準部24からの基準信号24aの基準レベルc25を振幅a25と振幅b25との中間程度に設定しておき、基準レベルc25以下のときのみ、液体32が飲料用液体ではなく、引火性液体などの危険性のある液体である旨の判別出力23aを出力させ、表示部25にその旨を表示させ、必要に応じて、警音を発することができる。
そして、この実施例4の構成の場合には、上記の実施例2の場合と同様に、波動エネルギーが超音波なので、容器32が合成樹脂材・金属材、いずれにも、有効に動作し、特に
、金属材の場合にも、有効に、目的とする動作が行えるという点に特長がある。なお、容器31が金属材の場合には送信波51を大きくしておく必要があることは、上記の実施例2で述べたとおりである。
〔変形実施〕
この発明は次のように変形して実施することを含むものである。
(1)各実施例における送信波51の波形を、1つのサイクル、すなわち、モノサイクル、または、複数サイクルの波形に変更して構成する。
(2)各実施例における送信波51の波形を、連続波の波形、または、所定の周波数f0で振幅変調した波形、もしくは、所定の周波数範囲に亙って周波数を掃引した波形、すなわち、チヤープ変調波形に変調して構成する。
なお、上記の振幅変調した波形による構成では、検波後の増幅を交流増幅で行えるので
、S/N比のよい増幅が行えるという特長がある。
また、チヤープ変調波形による構成では、液体32の種別が周波数によって影響を受けることを利用した判別が得られるという特長がある。
(3)送信スイッチ部13を容器31・液体32の重さで動作させている箇所を、送信スイッチ部13を手動で操作するスイッチ、例えば、押しボタン型のスイッチに変更して構成する。
(4)上記(2)の構成において、送信スイッチ部13を送信部11の適宜の箇所、例えば、操作パネルに配置して構成する。
(5)実施例4の配置に、超音波の減衰量の変化で判別する上記の第2の構成を適用し得るように変更し、または、超音波の遅延量の変化で判別する上記の第3の構成を適用し得るように変更する。これらの適用が可能であることは、図11の動作構成から容易に理解し得るところである。
(6)各実施例における表示部25での表示と警音とを、液体32が非引火性液体の場合のみ、表示を行い、必要に応じて警音を発生するように変更して構成し、または、引火性液体の場合と非引火性液体の場合とを識別可能な表示、例えば、色分けなどの表示を行い、必要に応じて、警音を識別可能な警音、例えば、音色または断続の異なる警音などで行うように変更して構成する。
(7)比較判別部23・基準部24・表示部25をディジタル信号による回路構成、または、マイクロコンピュータを用いた構成に変更して構成する。
(8)実施例1における容器31の材質をガラス、陶器、その他の電波を通す材質に変更して構成する。
(9)実施例2〜実施例4における容器31の材質をガラス、陶器、その他の超音波を通す材質に変更して構成する。
(10)各実施例において、異なる複数の材質による容器31に入った液体32の判別を行えるように構成するために、容器31の材質に対応して、送信波51の大きさまたは基準信号23aのレベルの大きさもしくはその両方を切換られるように構成する。
この発明による液体判別装置は、交通機関における飲料用液体の持ち込みに似せて、非含水性の引火性液体を秘匿持ち込みされたことによる火災発生事故などを未然に防止するために、乗客が持ち込むペットボトル入り、缶入り、ガラス容器入り、陶器入りなどの液体を確認検査するための装置として利用することができる。
図1〜図11は、この発明の実施例を示し、各図の内容は次のとおりである。
実施例1の不動作状態における全体ブロック構成図 実施例1の動作状態における全体ブロック構成図 実施例1の判別動作構成図 電波の特性図 実施例2・実施例3の不動作状態における全体ブロック構成図 実施例2・実施例3の動作状態における全体ブロック構成図 実施例2・実施例3の判別動作構成図 超音波の特性図 実施例4の不動作状態における全体ブロック構成図 実施例4の動作状態における全体ブロック構成図 実施例4の判別動作構成図
符号の説明
10 送信側
11 送信部
11a 時間信号
12 送波部
13 送信スイッチ
13a 送信動作信号
20 受信検出側
21 受信部
21a 検出信号
22 受波部
23 比較判別部
23a 判別信号
24 基準部
24a 基準信号
25 表示部
31 容器
32 液体
51 送信波
52 通路
53 受信波
L1 介在部分の長さ
L2 通路の長さ

Claims (4)

  1. 周波数100KHz〜500KHzの亜ミリ波帯の超音波が未知の液体中で生ずる伝搬損失を計測する手段と、
    この計測した伝搬損失と、水中の既知の伝搬損失との大小関係にもとづいてこの未知の液体が引火性の液体であるか否かを判別する判別手段と
    を備えたことを特徴とする液体判別装置。
  2. 周波数100KHz〜500KHzの亜ミリ波帯の超音波が未知の液体と容器との界面で生ずる反射量を計測する手段と、
    この計測した反射量と、水と容器との界面で生ずる既知の反射量との大小関係にもとづいてこの未知の液体が引火性の液体であるか否かを判別する判別手段と
    を備えたことを特徴とする液体判別装置。
  3. 周波数100KHz〜500KHzの亜ミリ波帯の超音波が未知の液体中で生ずる伝搬損失を計測し、この計測した伝搬損失と、水中の既知の伝搬損失との大小関係にもとづいてこの未知の液体が引火性の液体であるか否かを判別することを特徴とする液体判別方法。
  4. 周波数100KHz〜500KHzの亜ミリ波帯の超音波が未知の液体と容器との界面で生ずる反射量を計測し、この計測した反射量と、水と容器との界面で生ずる既知の反射量との大小関係にもとづいてこの未知の液体が引火性の液体であるか否かを判別することを特徴とする液体判別方法。
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