JP4619481B2 - 超音波画像診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガイダンス機能を有し、被検者や経験の浅い技師等が単独で超音波画像を取得可能な超音波画像に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波画像診断装置は、被検者の体表に超音波プローブを当てるだけの簡単な操作で、心臓の拍動や胎児の動き等を表す超音波画像をリアルタイム表示で得ることができる。また、取り扱う物理量が音波であることから、高い安全性、検査の繰り返しが可能であること、X線、CT、MRIなど他の診断機器に比べてシステムの規模が小さく、ベッドサイド等ヘ移動した検査も容易に行えること等、種々の特徴を有している。最近では、片手で持ち運べる程度の小型な超音波画像診断装置が開発されている。
【0003】
一方、過去には医者や看護婦の手技が必要であったが、現在では被検者が機器を操作して自動に測定などが行える医療器具が増えている。その代表的なものが血圧計である。現在診療所等に設置されている血圧計は、自分で血圧を測定するために必要な指示が表示されているか、あるいは音声ガイダンス機能を具備している物が多い。被検者は、これらの機能により医者や看護婦に頼らずに自分で計測を実行することができる。
【0004】
上述したように超音波診断は、X線等のように被曝の影響がなく比較的安心して使用できる医療機器である。近年の音声認識技術あるいはヒューマンインタフェース技術の発達に伴い、この超音波画像診断装置についても、将来的に医者あるいは超音波技師の補助無しに患者自身が診断画像を取得できるようになる可能性がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した患者自身が診断画像を取得できるような超音波画像診断装置の実現には、以下の問題点が挙げられる。
【0006】
第1に、超音波診断は、診断する臓器の断面を走査しながら探索して超音波画像を撮影し適切な診断画像を得るものである。しかし、この手技にはある程度の訓練が必要である。
【0007】
第2に、得られた超音波診断画像の見方には訓練が必要である。例えば、心臓断面像を見ても専門家以外には右心房、左心室などの位置が理解できないことが多い。従って、超音波画像の撮影時において、モニタに表示された超音波画像が適切なもの(所望するもの)であるか否かを判断することは困難である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、撮影に関する作業手順或いは各作業手順における装置使用の操作方法をガイダンスするガイダンス機能により、被検者や経験の浅い技師等が単独で診断画像を取得可能な超音波画像診断装置を提供することを目的とし、以下の特徴を具備するものである。
【0009】
請求項1に記載の発明は、超音波探触子により被検者の体内を走査することで超音波画像を得る超音波画像診断装置において、検査者の作業手順或いは当該超音波画像診断装置の操作方法をガイダンスするガイダンス手段を具備し、前記ガイダンス手段は、予め記憶されている模範画像と撮影中の超音波画像とを同時に表示し、前記模範画像と前記撮影中の超音波画像とが類似するか否かを判別し、類似する場合には前記撮影画像を記憶し、類似しない場合には画質に関するパラメータの変更指示を通知すること、を特徴とする超音波画像診断装置である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態及び第2実施形態を図面に従って説明する。
【0031】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る超音波画像診断装置10の概略構成を示した図である。
【0032】
図1において、超音波画像診断装置10は、超音波プローブ12、送信ユニット14、受信ユニット16、DSC(ディジタルスキャンコンバータ)18、画像合成部20、表示部22、ガイダンス用プロセッサ24、スピーカ26、操作パネル28、イメージメモリ30、ECG32、記憶媒体34、体温計36、インタフェース回路38を具備している。なお、図1中の実線枠11は、超音波画像診断装置本体を示している。
【0033】
超音波プローブ12は、被検体(患者)内に撮影用超音波を照射し、当該被検体からの反射波を受波するための探触子(プローブ)であり、圧電素子等で形成されている。
【0034】
送信ユニット14は、図示していないトリガ発生器、遅延回路およびパルサ回路を有している。送信ユニット14は、パルス状の超音波を生成しプローブの振動素子に送ることで収束超音波パルスを生成する。超音波プローブ12を介して被検体内に照射された超音波は、当該被検体の組織で散乱したエコー信号として再びプローブ12で受信される。
【0035】
受信ユニット16は、図示していないプリアンプ、A/D変換器、受信遅延回路、加算器を有している。プローブ12の素子毎に受信ユニット16に出力されるエコー信号は、プリアンプによってチャンネル毎に増幅され、A/D変換器によりA/D変換される。そして、A/D変換後のエコー信号は、受信遅延回路により受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与えられ、加算器により加算される。この加算後のエコー信号は、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調されたものとなる。送受信の総合的な超音波ビームは、この送信指向性と受信指向性とにより形成される。さらに加算後のエコー信号は、対数増幅、包絡線検波処理などが施され、当該エコー信号の強度は輝度の明るさで表現されるデータとなる。
【0036】
DSC18は、受信ユニット3からの出力信号を受け取り、超音波スキャンの走査線信号列から、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換される。
【0037】
画像合成部20は、種々の設定パラメタの文字情報、目盛、または後述するガイダンス画像等を一フレームに合成し、ビデオ信号として表示部22に出力する。かくして被検体組織形状を表す断層像が表示される。
【0038】
表示部22は、CRT等からなるモニタである。
【0039】
ガイダンス用プロセッサ24は、記憶媒体34に記憶されたガイダンスに使用する種々のソフトウェアプログラム等に基づいて、診断に関する様々なガイダンス指示を、画像としては画像合成部20に或いは音声情報をスピーカ26に送る。また、ガイダンス用プロセッサ24は、種々の状況に応じて、送信ユニット14、受信ユニット16、DSC18の信号処理パラメータを変更する。さらにガイダンス用プロセッサ24は、操作パネル28からの情報を受信、またはイメージメモリ10からの画像情報を取得する。
【0040】
スピーカ26は、被検者による適切な超音波画像収集を可能とするために、ガイダンス用プロセッサ24からの制御に従って後述するガイダンス音声や警告音等を出力する。
【0041】
操作パネル28は、ボタン、キーボード、トラックボール、マウス等からなり、オペレータからの指示情報を装置本体に入力するための入力手段である。
【0042】
イメージメモリ30は、DSC18の信号を格納する記憶メモリから成る。この情報は、例えば診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、複数枚を使っての動画再生が可能となる。
【0043】
ECG32は、心筋の興奮に伴う活動電流によって体表面に発生した活動電位を心電波形として計測する心電図計測装置である。ECG32は、超音波画像診断装置10に接続されガイダンス用プロセッサ24によってガイダンス機能に従い制御される。このECG32によって計測された心電図は、ネットワークを介し診断情報として担当医等のもとへ送信される。
【0044】
体温計36は、超音波画像診断装置10に接続されガイダンス用プロセッサ24によってガイダンス機能に従い制御される。この体温計36によって計測された被検者の体温も、ネットワークを介し診断情報として担当医等のもとへ送信される。
【0045】
記憶媒体34は、ガイダンスに使用する種々のソフトウェアプログラム、音声・画像などのライブラリが保管されている。また、イメージメモリ30画像の保管等にも使用される。
【0046】
次に、上記のように構成した超音波画像診断装置10が有するガイダンス機能に従った、被検者自身が実行する超音波画像の収集動作について、図2に従って図3、図4を参照しながら説明する。
【0047】
図2は、診断画像収集動作についてのフローチャートである。フローチャートの各ステップにおいて、ガイダンス用プロセッサ24が実現するガイダンス機能を、「画像取得に関するガイダンス機能」、「サポートに関するガイダンス機能」の2種類に分類して示してある。「画像取得に関するガイダンス機能」とは、画像取得前に関する作業手順及び操作方法をガイダンスする機能である。「サポートに関するガイダンス機能」は、「画像取得に関するガイダンス」に従って実行されたオペレータの作業をサポートするためのガイダンスを行う機能である。ガイダンス用プロセッサ24は、各ステップに対応するガイダンスプログラムを記憶媒体34から読みだして、以下に述べるガイダンス機能を実現する。
【0048】
図2において、まずシステムの電源がONにされ(ステップS1)、診断の準備が行われる(ステップS2)。診断の準備とは、システムに異常が発生した場合のメンテナンス、実行しようとする診断プロトコルの決定、準備として心電図や体温を計測する必要がある場合の各計測等である。
【0049】
診断プロトコルの決定は、診断部位、撮影モード、被検者ID、オペレータ(今の場合、被検者)ID等の各項目を入力或いは選択することにより実行される。診断プロトコルの決定は、音声或いは画面に表示されたガイダンスに従って、予め登録された選択肢から選択するようになっている。オペレータは、各項目の選択肢から該当するものを選び出すだけで良いから、容易且つ迅速に診断プロトコルの決定を実行できる。
【0050】
システムの異常発生のメンテナンスとは、例えば、システムの電源がON時に診断システムに異常が生じた場合、ガイダンス用プロセッサ24は、表示部22にエラーメッセージ表示若しくはスピーカから警告メッセージ等を出す等である。現在、システムの各回路基板には、異常時に異常箇所に関する情報を通知する機能が具備されているものが少なくない。ガイダンス用プロセッサ24は、これらの情報を取得して表示等する構成であってもよい。逆に、異常に関する詳細を表示等しない構成であってもよいが、本装置が医療機器であることから、最小限「係員を呼んで下さい」等の指示を出すことが好ましい。この様な構成により、オペレータは、視覚或いは聴覚により異常であることをに容易に認識することができる。また、発生した異常に対し迅速な対応が可能となる。
【0051】
準備として心電図や体温を計測する必要がある場合、その装着の指示を出すと共に、装着方法を音声付きのアニメーションなどで表示する。
【0052】
図3は、心電図計測が必要である場合、ガイダンス用プロセッサ24が表示部22に表示するアニメーションによるガイダンス画面であり、電極の取り付け位置を示している。被検者は、スピーカ26からの音声ガイダンスと当該ガイダンス画面とにより、経験の有無に関らず容易に心電図計測等を実行することができる。特に、アニメーション等の画像による電極の取り付け位置の提示は、分かり易く効果的である。
【0053】
次に、ガイダンス機能に従ってスキャンを開始する(ステップS3)。
【0054】
すなわち、ガイダンス用プロセッサ24は、オペレータに対して、診断に必要な画像を得るための指示を、例えば以下に述べる手順により実行する。
【0055】
まず、超音波画像診断装置の操作経験がない操作者に対しては、プローブの持ち方、体表への当て方等一般的な操作法のガイダンスを行う。図4は、表示部22に表示されるプローブの持ち方、体表への当て方のガイダンス画面の一例を示している。このガイダンス画面表示とともに、スピーカ26からの音声ガイダンスも行われることが好ましい。操作経験の無い操作者は、このガイダンスにより、容易にプローブ操作を把握することが可能である。
【0056】
一方、経験のある操作者は、スキップボタンを押すことで、当該一般的な操作法に関するガイダンスをスキップすることができる。なお、スキップ機能は、本超音波画像診断装置が行う全てのガイダンスについて実行することができる。
【0057】
次に、所望の断層像を取得するための手技についてガイダンスを行う。例えば、心臓の四腔断面像の取得を目的とする場合、具体的なプローブの当接位置、角度等を説明する。この時、図5に示すように、表示部22には模範超音波画像501と撮影超音波画像502とが表示される。オペレータは、双方の画像を比較しながら、倣って断層画像の位置を調節することが可能である。なお、模範超音波画像501は、診断プロトコルに応じて適切な画像が選択される。この模範超音波画像501は、予め記憶された代表的な診断画像であっても良いし、更に分かりやすくコンピュータグラフィックなどで生成された画像でも良い。また、模範超音波画像に関する説明、例えば当該画像中に所定の箇所にカーソルを合わせることで、当該箇所に何が表示されているか等を説明する構成であってもよい。
【0058】
ところで、ガイダンスの指示通りに手技を変えるだけでは、良好な画がとれない場合がある。その原因として、装置の表示ゲインやダイナミックレンジが適正でないため、画像が暗い(もしくは明るすぎる)、或いは送信周波数が高すぎて深部の画像の信号が低下する、等が考えられる。これらの場合、オペレータは、次に示すガイダンスに従ってゲイン或いは送信周波数を調整することが可能である。
【0059】
例えば、画像が暗い場合を想定する。イメージメモリ30の画像情報は、随時ガイダンス用プロセッサ24へ送られている。ガイダンス用プロセッサ24は、送られてきた画像を監視し、画像内の輝度値の総和がある閾値レベルより低い場合には画像が暗いと判断し、「ゲインを上げて下さい」などの指示を出す。同様に、ガイダンス用プロセッサ24は、送られてきた画像を監視し、画像内の浅部と深部の輝度にある閾値以上の差がある場合、送信ユニット14或いは受信ユニット16に送信周波数の変更を指示する。
【0060】
なお、上述したゲイン或いは送信周波数の調整において、図6に示すように対話式に操作者に確認を取りながら画質が適正であるかを調査し、適正でないと判断された場合、条件設定の変更を指示する構成であってもよい。このとき、図6のフローチャートを表示部22にそのまま表示してもよいし、各ステップを説明する画像(例えば、ゲインを上げる場合には、ゲインのツマミをアニメーション等で表示、さらに、説明と同時にゲインツマミが点灯する等)を表示する構成であってもよい。これらの場合、オペレータはプローブを走査中であるから、対話のための複雑な操作(文字の入力等)を求めることは望ましくない。従って、Yes/Noのボタン操作のみか、或いは音声認識機能を利用する構成であることが望ましい。超音波の送受信条件や表示条件のコントロールは、経験の浅い操作者にとっては困難なものである。しかし、この様な構成によれば、容易に各条件をコントロールすることができる。また、ツマミの点滅機能、音声認識機能等は、上記コントロールの際、操作者の負担を軽減するのに効果的である。
【0061】
次に、所望の断面が走査できた場合、当該超音波画像を取得するための画像取込指示を行う(ステップS4)。
【0062】
一般的に、良好な超音波画像取得のためには「息止め」が必要である。ガイダンス用プロセッサ24は、この息止め指示のガイダンスを行なう。息止め指示は、診断プロトコル決定時に選択或いは入力した診断部位に基づいて、「吸気状態」或いは「呼気状態」のどちらかで選択される。ガイダンス用プロセッサ24は、選択された息止め指示に従って、「息を大きく吸って下さい…そこで息を止めて下さい」といった適切な息止めイダンスを提示する。超音波画像は、この息止め指示のタイミングで自動的に取得される。取得された画像は、イメージメモリ10から記憶媒体34へ転送される。なお、当該ステップS4において、フリーズ等の取込み操作を説明するようにし、被検者がマニュアル操作的に超音波画像の取込みを実行できる構成であってもよい。この息止めガイダンスにより、経験の浅い操作者であっても、適切な息止めタイミングで画像を収集することができる。さらに、ガイダンスの息止めタイミングと連動した画像の自動取り込み機能は、操作者の負担を大幅に軽減する。
【0063】
取得された画像は、ガイダンス用プロセッサ24によってチェックされる。このチェックに使用される方法は、すでに広く利用されている画像認識法、例えば輪郭抽出の手法などを用いる。例えば、4つの腔が映像化されているかを判断基準とする、或いは模範超音波画像との相関をとることで、「似ている」か否かを判断し、基準値以下である場合、取り直しの指示を行う。このチェックの結果、ガイダンス用プロセッサ24は、取得した超音波画像が良好である場合には当該画像を記憶媒体34に記憶し、良好でない場合は取り直しを指示する。
【0064】
前述したように、操作者は、スキャン操作の際に模範画像と自身が撮影中の画像とを比較することができる(ステップS3参照)。しかし、操作者は、収集した画像が適切に診断対象を表示したものであるか否か、自らの判断のみでは不安な場合がある。当該チェック機能は、この様な場合に操作者をサポートし得るものである。換言すれば、収集した超音波画像に対し、模範画像に基づいた被検者自らの判断と、当該チェック機能による判断と二重の判断を介すことで、超音波画像撮影の撮影ミスを防止するための機能である。なお、超音波画像を取り直す場合、上記チェックにおいて適切でなかったステップを推測し、再度該当するステップからやり直す構成であることが好ましい。
【0065】
次に、取得した超音波画像が出力される(ステップS5)。
【0066】
すなわち、取得された超音波画像データは、図1に示すようにインタフェース回路38とネットワークを経由して、例えば病院内のファイリングシステムや診断医師のコンピュータ内のハードディスクに、自動的に記憶される。この記憶された超音波画像は、後で診断に使用したり、電子カルテに添付したりすることが可能である。また、言うまでもなく、ネットワーク上に接続された、或いは診断装置10に直接接続されたプリンタに写真として出力可能である。なお、画像がネットワーク転送される場合、転送した画像が操作者のそばにあるプリンタに出力される構成であれば、最終的に操作が良好であったかを即時に確認することができる。また、ステップS2において計測した心電図波形や体温の情報は、診断画像と共に転送される。
【0067】
本発明に係る超音波画像診断装置により撮影された超音波画像に基づく診断は、その場(撮影場所)にいない医師によって行われる。すなわち、超音波画像を撮影する主体及び場所と当該超音波画像に基づいて診断する主体及び場所とは同一となっていない。従って、この間の連結をスムーズに実行することが、実際の臨床現場で使用する場合の重要な課題の一つであるといえる。上述の様に、本発明に係る超音波画像診断装置によれば、自動的に診断医師の元に転送される等の構成を有しているから、撮影〜診断を隔たり無くスムーズに実行することができる。
【0068】
この時、本診断装置の使用に対する使用料、もしくは画像転送先で行われる医師の診断内容に応じた診断料を、被検者(使用者と被検者と異なる場合には、その使用者)に課金することが可能である。
【0069】
具体的には、本システムの使用時間、使用モード、使用プローブ等の情報がネットワークによってサービスセンタ(本システムの管理者、担当医師、病院の経理部、サービスプロバイダ、本システムの製造元によるアフターサービスセンタ等)に転送される。一方で、診断内容もしくは具体的な診断料が病院側から管理者に送られ、事前に登録されている認証IDに基づいた使用者の契約する口座などから、当該金額の引き去りが行われる。
【0070】
上記使用料や診断料、口座に関する情報、使用頻度等の個人情報は、サービスセンタのサーバや、超音波診断装置に記憶され、随時最新の情報に更新されることが好ましい。
【0071】
また、ネットワークを介した本システムの利用(例えば、ネットワークからの診断プロトコルの設定や医師のコメント、上記課金方法等)に関するコンピュータソフトは、必要に応じてサービスセンタからネットワーク経由で設定することが可能である。また、さらなる効率化や安全化の観点から、予め上記利用ソフトを超音波診断装置にインストールしておき、当該ソフトを起動するプログラムを別途改めてインストールした場合にのみ使用可能とする、或いは、プロダクトID等の特定のIDを入力して初めて当該ソフトが使用可能となるようにしてもよい。
【0072】
最後に、ガイダンス用プロセッサ24は、診断が終了したことを告げ、心電計などの取り外しを音声等により指示する(ステップS6)。
【0073】
以上、ガイダンス機能に従った超音波画像取得に関する動作の一例を説明した。このガイダンス機能は、ガイダンスプログラムを記憶媒体34に格納することで、超音波画像診断に関する種々のガイダンスを可能とする。
【0074】
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0075】
すなわち、撮影に関する作業手順或いは各作業手順における当該超音波画像診断装置の操作方法をガイダンスする構成であるから、特別な訓練を行わずに適切な超音波画像撮影を実行することができる。特に、当該ガイダンスは、音声、実画像、コンピュータグラフィックス等によって行われるので、わかりやすい説明を提供することができる。
【0076】
従って、被検者自身や経験の無い者であっても、適切な超音波画像の撮影を実行することができる。また、経験の浅い超音波検査技師の教育等にも、効果が期待できる。
【0077】
さらに、遠隔にあるサービスセンタから超音波診断装置に診断プロトコルを設定すること、遠隔にあるサービスセンタへ使用料等を自動的に支払うこと、等がネットワークを介して可能である。従って、人手をあまり必要とせず、さらに経済的、時間的にも効率的な診断作業が可能となる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。上述した第1の実施形態は、主に病院内など、常にメンテンスが良好になされていたり、経験豊富な医療技師が近くにいる等、比較的恵まれた撮影環境下に設置される超音波画像診断装置について説明した。これに対し第2の実施形態では、家庭や老人福祉施設、あるいは遠隔地の診療所など、撮影上の不具合が発生しやすい環境に設置されるものであり、より複雑な情報の授受とガイダンス機能を具備した超音波画像診断装置について説明する。
【0079】
図7は、第2実施形態に係る超音波画像診断装置の概略構成を示した図である。図1と同一の構成要素には、同符号を付してその説明は省略する。
【0080】
図7において、第2実施形態に係る超音波画像診断装置は、さらにジェルタンク50、軽量センサ52、モデム53、検出器55、認証チェック器57をさらに具備しており、電話回線60を介してサービスセンタ62に接続され、通信可能となっている。
【0081】
ジェルタンク50は、超音波診断時にプローブ12と被検体の音響的整合性を良くするために使われる音響ジェルを溜めておくタンクである。ジェルタンク50には計量センサ52が接続されており、音響ジェルの残量を計量することができる。計量センサ52の情報はガイダンス用プロセッサ24に送られる。ガイダンス用プロセッサ24は、残量が少ない場合(例えば、残量がある基準量より少ない場合等)、ジェル交換を促す警告を表示部22に表示する。
【0082】
モデム53は、電話回線60などを利用して取得した超音波画像やその他の情報を外部病院などへ転送する。
【0083】
検出器55は、プローブ12の位置情報あるいは加速度情報などを検出し、その結果をガイダンス用プロセッサ24へ送る。
【0084】
認証チェック器57は、装置を使用する際に個人の認証をとり使用許可の判断を行う。この認証チェック器57の形態は、磁気カードの場合は磁気読み取り器となる。また、指紋、声紋のような生理的なデータを認証データとすることも可能である。これらの場合、認証チェック器57は、指紋の場合は光学式読み取り器となり、音声の場合はマイクロホンとなる。認証のために認識ソフトウェアプログラムは記憶媒体34に格納されており、ガイダンス用プロセッサ24によって起動される。
【0085】
サービスセンタ62には、診断装置10を遠隔操作可能なコンピュータが設置されている。このサービスセンタ62からの遠隔操作により、後述する診断装置10のガイダンス機能を立ち上げ、家庭や老人施設等にいる被検者に当該診断装置10に関する操作指示を行なうことができる。
【0086】
次に、上記のように構成した超音波画像診断装置10を使用して、被検者自身によって行われる超音波画像取得動作を、図8に従って説明する。
【0087】
図8は、被検者自身によって実行される超音波画像取得動作を示したフローチャートである。
【0088】
まず、所定の撮影日や撮影時刻に、スピーカ26からのアラーム音等で被検者に検査の時間が来たことを告げる(ステップS11)。
【0089】
このアラーム機能は、診断装置内の記憶媒体34に被検者ごとに予め記録されている検査スケジュールに基づいて、ガイダンス用プロセッサ24によって実行される。このアラーム機能により、被検者は超音波画像撮影に適当な日や時刻を容易に知ることができる。なお、アラームによる通告時に、システムは自動的に起動しても良いが、安全のためには時間の通知のみ行い、操作者が手動で電源を入れるのが望ましい。
【0090】
次に、診断装置起動時に、個人認証(パスワード認証)を伴うスイッチ入力を行う(ステップS12)。
【0091】
ガイダンス用プロセッサ24は、個人認証のためのガイダンス画像を表示部22に表示したり、ガイダンス音声をスピーカ26から出力する。この個人認証の方式は、操作パネルを使ってのパスワード、暗証番号の入力等が一般的に考えられるが、認証チェック器57を使用して、磁気カードに代表される個人のIDカードのデータを読み込む方式であっても良い。また、指紋、声紋のような生理的なデータを認証データとする構成であってもよい。上述の様に、認証チェック器57は、指紋の場合は光学式読み取り器となり、音声の場合はマイクロホンとなる。
【0092】
超音波画像診断装置は医療機器であるため、装置が保有するデータや機能の安全維持のため、限定された者のみ使用できる等のセキュリティ機能を有することが好ましい。この個人認証機能によれは、認証された場合にのみ当該装置が使用可能となるから、安全性を向上させることが可能である。
【0093】
次に、診断プロトコルの選択が実行される(ステップS13)。この診断プロトコルは、予め記憶媒体34に格納されており、ガイダンス用プロセッサ24によって以下に述べる手順で選択される。すなわち、ある被検者に対し毎回決まったルーチンの画像取得を行う場合には、ガイダンス用プロセッサ24は、認識された個人IDに基づき該当する診断プロトコルを記憶媒体34からロードする。また、上記ルーチンの画像取得とは異なる画像取得を行なう場合、新規の被検者の場合、記憶媒体34に記憶されていないプロトコルを実施する必要が生じた場合、毎回医者の判断が必要な場合、等については、ガイダンス用プロセッサ24は、外部の病院やサービスセンター、もしくは近隣のインターネットプロバイダなどに回線を接続し、適切なプロトコルを実現するソフトウェアをダウンロードする。この場合、医者等のコメントが書かれた電子メールなどを受信することが可能であることが好ましい。
【0094】
この様な構成によれば、新規被検者の撮影或いは通常とは異なる撮影を行う場合であっても、適切なプロトコルに従って実行することができる。
【0095】
次に、診断の準備を行う(ステップS14)。基本的な操作手順は、第1の実施形態における説明と同様であるので(図2参照)、本実施形態の特徴のみ説明する。
【0096】
計量センサ52から送られるジェル残量が基準値以下の場合、ガイダンス用プロセッサ24は、新しいジェルと交換する事を指示する。さらに、例えば家庭での使用を想定した場合、ガイダンス用プロセッサ24は、回線をサービスセンタに自動接続する、或いはインターネットを通じてジェルの補充の要求指示を出す構成であってもよい。
【0097】
また、システムの異常が生じた場合なども同様に、自動的にサービスセンターに接続し、状況を発信可能な構成であることが好ましい。これらの機能は、ガイダンス用プロセッサ24が、記憶媒体34に格納された上記内容を実行するソフトウェアプログラムを読み出し、実行することで実現することができる。
【0098】
第2の実施形態に係る超音波画像診断装置は、家庭や老人福祉施設等に設置されるものである。これらの場所には、病院内で使用される装置と比較した場合、装置に関して精通する者が存在しないのが一般的であり、装置に関する管理が不十分となる可能性がある。上記構成によれば、これらの場所においても、適切なメンテナンスや装置異常に対する迅速な対応が可能となる。
【0099】
次に、スキャンを開始する(ステップS15)。これもほぼ第1の実施形態のステップS2と同様であるので、第1の実施形態との違いのみ説明する。
【0100】
一般に、スキャンの際において、診断部位によってプローブ12を移動させる速度は異なる。例えば、肝臓の全体の画像を取得する場合などは、ゆっくりと定速度でプローブ12をスキャンしてゆく必要がある。ガイダンス用プロセッサ24は、検出器55の信号によってプローブ12がどの程度の速度で移動しているかを検知している。適切な超音波画像を取得するためには、検知したプローブ12の移動速度が早い場合には、「もう少しプローブを遅く移動さて下さい」等のメッセージを表示或いは音声出力を行う。
【0101】
プローブの移動速度を適切に調節するのは、経験を要する作業である。しかし、上述構成によれば、経験の浅い操作者であっても、ガイダンスに従うことにより適切な移動速度でプローブ12を走査することが可能である
次に実行される画像取り込み(ステップS16)は、第1の実施形態のステップS3とほぼ同様である。
【0102】
次に、取得した超音波画像の送信を行う(ステップS17)。すなわち、画像取込みの後自動的に回線接続がなされ、所定の病院、あるいはサービスセンター.等に画像と心電図波形、体温情報などが転送される。本実施形態は、一般家庭や老人施設等の場所に設置する装置を想定したものであり、画像送信は必須である。このような送信機能によれば、手間を掛けずに画像転送を行うことができる。
【0103】
最後に、ガイダンス用プロセッサ24は診断が終了したことを告げ、心電計などの取り外しを指示する(ステップS18)。
【0104】
以上、ガイダンス機能に従った超音波画像取得に関する動作の一例を説明した。このガイダンス機能は、第1の実施形態と同様に、ガイダンスプログラムを記憶媒体34に格納することで、超音波画像診断に関する種々のガイダンスを可能とする。
【0105】
以上述べた構成によれば、家庭や老人福祉施設、あるいは遠隔地の診療所等の超音波画像撮影においても、第1の実施形態と同様の効果を期待することができる。
【0106】
特に、第1及び第2の実施形態で説明した超音波画像診断装置は、近年における体重、体脂肪、血圧等に加えて、日常チェックしておくと健康状態の指標となる新たな情報を超音波画像によって被検者、医師等に提供することができる。従って、本発明に係る超音波画像診断装置によれば、従来にないヘルスケア環境を提供することが可能となる。
【0107】
以上、本発明を第1及び第2の実施形態に基いて説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下に示すように、その要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0108】
本ガイダンス機能は、超音波画像診断装置のあらゆる機能、例えばカラードプラ法、パルスドプラ法、Mモード法、ティッシュハーモニック法、CWドプラ法、などにも同様に応用可能である。
【0109】
【発明の効果】
以上本発明によれば、撮影に関する作業手順或いは各作業手順における当該超音波画像診断装置の操作方法をガイダンスするガイダンス機能により、被検者や経験の浅い技師等が単独で診断画像を取得することを可能にすることができる。また、遠隔からネットワークを介して超音波診断装置に診断プロトコルを設定することが可能であり、効率的な診断作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1実施形態に係る超音波画像診断装置10の概略構成を示した図である。
【図2】図2は、ガイダンス機能に従って実行される診断画像収集についてのフローチャートである。
【図3】図3は、心電図計測が必要である場合、ガイダンス用プロセッサ24が表示部22に表示するアニメーションによるガイダンス画面であり、電極の取り付け位置を示している。
【図4】図4は、表示部22に表示されるプローブの持ち方、体表への当て方のガイダンス画面を示している。
【図5】図5は、表示部22に表示される模範超音波画像501と撮影超音波画像52とを示している。
【図6】図6は、上述したゲイン或いは送信周波数の調整に関する例を説明するための図である。
【図7】図7は、第2実施形態に係る超音波画像診断装置10の概略構成を示した図である。
【図8】図8は、被検者自身によって実行される超音波画像取得動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
10…超音波画像診断装置
11…実線枠
12…超音波プローブ
14…送信ユニット
16…受信ユニット
18…DSC
20…画像合成部
22…表示部
24…ガイダンス用プロセッサ
26…スピーカ
28…操作パネル
30…イメージメモリ
34…記憶媒体
36…体温計
38…インタフェース回路
50…ジェルタンク
52…計量センサ
53…モデム
54…電話回線
55…検出器
57…認証チェック器
60…電話回線
62…サービスセンタ
501…模範超音波画像
502…撮影超音波画像

Claims (17)

  1. 超音波探触子により被検者の体内を走査することで超音波画像を得る超音波画像診断装置において、
    検査者の作業手順或いは当該超音波画像診断装置の操作方法をガイダンスするガイダンス手段を具備し、
    前記ガイダンス手段は、
    予め記憶されている模範画像と撮影中の超音波画像とを同時に表示し、
    前記模範画像と前記撮影中の超音波画像とが類似するか否かを判別し、類似する場合には前記撮影画像を記憶し、類似しない場合には画質に関するパラメータの変更指示を通知すること、
    を特徴とする超音波画像診断装置。
  2. 前記ガイダンス手段は、
    表示された超音波画像の各画素の輝度値の総和或いは被検者体内浅部からの受信超音波強度と深部からの受信超音波強度との差に基づいて、表示された超音波画像の輝度が適切であるか否かを判別し、
    前記表示された超音波画像の輝度が適切でないと判別された場合、前記画質に関するパラメータの変更指示として、ゲイン、ダイナミックレンジ、超音波の送信周波数のうち少なくとも一つについて変更を指示すること、
    を特徴とする請求項1記載の超音波画像診断装置。
  3. 前記ガイダンス手段は、当該超音波画像診断装置に異常が生じた場合、当該異常に関する情報を通知する機能を有することを特徴とする請求項1又は2記載の超音波画像診断装置。
  4. 前記ガイダンス手段は、前記超音波探触子の操作方法に関するガイダンスを行うことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波画像診断装置。
  5. 前記ガイダンス手段は、
    走査における前記超音波探触子の移動速度を算出し、
    当該移動速度に基づいて、前記超音波探触子の操作方法に関するガイダンスを行うこと、
    を特徴とする請求項4記載の超音波画像診断装置。
  6. 前記ガイダンス手段は、被検者に対して息止のタイミングを指示し、
    前記息止指示と連動して前記撮影中の超音波画像を記憶する記憶手段をさらに具備すること、
    を具備することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項超音波画像診断装置。
  7. 前記ガイダンス手段は、
    前記記憶手段に記憶された超音波画像が診断対象を表示しているか否かを判別し、
    前記画像判別手段が診断対象を表示していないと判別した場合、当該診断対象を表示していない旨を通知すること、
    を特徴とする請求項6記載の超音波画像診断装置。
  8. 前記超音波探触子により走査する際に被検者の体表に塗布する音響ジェルを貯蔵する貯蔵手段と、
    前記貯蔵手段中の音響ジェルの残量を計測する計測手段と、
    をさらに具備し、
    前記ガイダンス手段は、前記計測された残量が所定量を下回った場合、音響ジェルの補充を指示すること、
    を具備することを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の超音波画像診断装置。
  9. 前記ガイダンス手段は、通信ネットワークを介してガイダンスプログラム、診断に関する情報、超音波画像データ、メンテナンス情報のうち少なくとも一つを送受信することを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の超音波画像診断装置。
  10. 前記ガイダンス手段は、被検者の心電図又は体温計からの体温のうち少なくとも一方を含み、前記メンテナンス情報は前記音響ジェルの残量情報を含む前記診断に関する情報を送受信することを特徴とする請求項9記載の超音波画像診断装置。
  11. 前記ガイダンス手段は、予め登録された撮影日或いは撮影時刻に基いて当該撮影日或いは撮影時刻を通知することを特徴とする請求項1乃至10のうちいずれか一項記載の超音波画像診断装置。
  12. パスワード、磁気カード、指紋、声紋のうち少なくともいずれか一つを使用した認証手段をさらに具備し、
    前記認証手段により認証された場合にのみ使用可能であること、
    を特徴とする請求項1乃至11のうちいずれか一項記載の超音波画像診断装置。
  13. 撮影した超音波画像をネットワークを介して外部記憶装置に送信する送信手段をさらに具備すること特徴とする請求項1乃至12のうちいずれか一項記載の超音波画像診断装置。
  14. 前記ガイダンス手段は、当該超音波画像診断装置に接続される外部機器に関する操作方法をガイダンスすることを特徴とする請求項1乃至13のうちいずれか一項記載の超音波画像診断装置。
  15. 前記外部機器は、心電図計、体温計のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項14記載の超音波画像診断装置。
  16. 前記ガイダンス手段は、入力される被検体の情報に基づいて、ネットワークを介して外部装置から所定の診断プロトコルを受信することを特徴とする請求項1乃至15のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
  17. 前記超音波探触子により走査する際に被検者の体表に塗布する音響ジェルを貯蔵する貯蔵手段と、
    前記貯蔵手段中の音響ジェルの残量を計測する計測手段と、
    をさらに具備し、
    前記ガイダンス手段は、前記計測された残量が所定量を下回った場合、音響ジェル補充指示をネットワークを介して外部装置に送信すること
    を具備することを特徴とする請求項1乃至16のうちいずれか一項記載の超音波画像診断装置。
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