JP4617889B2 - 蛍光体、及びそれを用いた発光装置、照明装置、ならびに画像表示装置 - Google Patents
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Description
ディスプレイ及び照明に必須な白色光は光の加算混合原理により青、緑、赤色の発光を組み合わせによって得るのが一般的である。ディスプレイでは色度座標上の広い範囲の色を効率よく再現するために、青、緑、赤の発光体はできるだけ発光強度が高いこと、色純度がよいことが必要である。一般照明においては高い発光効率と用途によっては照らされた物体の色が自然光により照らされたときと同様に見えること、いわゆる演色性が高いことが必要となる。代表的な照明である蛍光ランプでは励起源として水銀の放電による波長254nmの紫外線を用い人間の目にとって感度の高い450,540,610nmの発光をもたらす三種類の蛍光体を混合して使用し、演色性の高い照明を実現している。しかしながら励起光の波長が近紫外〜可視領域の場合には発光効率の高い蛍光体が開発されていないのが現状である。特にこの波長範囲の励起光に対して赤色蛍光体の発光効率が青、緑に比べて低く、性能の優れた赤色蛍光体の開発が望まれている。なお前記の450,540,610nmいずれか二つまたは三つの発光が一つの蛍光体から得られれば三種類の蛍光体を混合するのに比べ調合工程が簡素化し性能の安定が期待されるが実現していない。
はBa3MgSi2O8:Eu,Mnが442,505,620nmに発光ピークを有し、
結晶構造はmerwiniteであると記載されている。
具体的には、EuおよびMnで付活されたBaとCaを含有するM2SiO4型の珪酸塩を見い出し、本発明に到達した。特に、本発明の赤色蛍光体は発光ピーク波長が590−620nm内にあるため、明るく感じられる赤みを発するという特徴を備えている。
本発明は、下記一般式[1]の化学組成を有する結晶相を有する蛍光体であり、そして、下記一般式[1]の化学組成を有する結晶相を有する蛍光体と、それに350−430nmの光を照射させるための発光源とを有する発光装置である。
素、並びに5価の元素の群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、2価の元素が占める割合が80mol%以上であり、Ba,Ca,及びSrの合計が占める割合が40mol%以上であり、BaとCaの合計に対するCaの割合(モル比)が0.2以上0.9以下という条件を満たすものである。Ba,Ca,Sr以外の元素を具体的に述べると、1価の元素としては、Li,Na,K,Rb,Cs等が挙げられ、2価の元素としては、V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Mo,Ru,Pd,Ag,Cd,Sn,Sm,Tm,Yb,W,Re,Os,Ir,Pt,Hg,Pb等が挙げられ、3価の元素としては、B,Al,Ga,In等や、Y,Sc等の希土類元素が挙げられ、5価の元素としては、P,Sb,Biが挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、2価の元素においてはV,Zn,Mo,Sn,Sm,Tm,Yb,W,Pbは性能に影響しにくい。
が、赤色又は白色の発光強度等の面から、M2がSiを80mol%以上含むことが好ま
しく、M2がSiからなることがより好ましい。Si,Ge以外の4価の元素としては、
Zn,Ti,Hf等が挙げられ、赤色又は白色の発光強度等の点から、性能を損なわない範囲でこれらを含んでいてもよい。
てもよいし、酸素基が一部ON基やN基に変わっていてもよい。また、Zは、蛍光性能には影響が少ない程度、即ち、不純物レベルの対全元素比約2mol%以下で含まれていてもよい。これは、(Z+酸素原子)に対するZのモル比としては0.035以下に相当する。よって、(Z+酸素原子)に対するZのモル比であるf/(e+f)の範囲は0≦f/(e+f)≦0.035であり、蛍光体の性能の点から、f/(e+f)≦0.01が好ましく、f/(e+f)=0がより好ましい。
前記一般式[1]の結晶相EuaMnbMgcM1 dM2OeZfにおいては、Eu2+、Mn2+、Mg2+は主に2価の元素からなるM1に置換され、M2は主にSiとGeで占められ、アニオンは主に酸素であり、その基本組成は、M1、M2、酸素原子の総モル比がそれぞれ2,1,4のものであるが、カチオン欠損やアニオン欠損が多少生じていても本目的の蛍光性能に大きな影響がないので、SiとGeが主に占めるM2の全モル比を化学式上で1と
固定したときに、(M1+Eu+Mn+Mg)のモル比(a+b+c+d)は、1.8≦
(a+b+c+d)≦2.2の範囲であり、下限としては1.9≦(a+b+c+d)が好ましく、上限としては(a+b+c+d)≦2.1が好ましく、より好ましくは(a+b+c+d)=2である。又、アニオン側のサイトの全モル比である(e+f)は、3.6≦(e+f)≦4.4の範囲であり、下限としては3.8≦(e+f)が好ましく、上限としては(e+f)≦4.2が好ましく、より好ましくはe=4、かつf=0である。
(A)ハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いる粉砕と、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、又は、乳鉢と乳棒を用いる混合とを合わせた乾式混合法。
(B)粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いて、水等を加えてスラリー状態又は溶液状態で、粉砕機、乳鉢と乳棒、又は蒸発皿と撹拌棒等により混合し、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
M2、Mg、及び、付活元素の各酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩
、カルボン酸塩、ハロゲン化物等が挙げられ、これらの中から、複合酸化物への反応性、及び、焼成時におけるNOx、SOx等の非発生性等を考慮して選択される。
M1として挙げられている前記Ba、Ca、Srについて、それらのM1源化合物を具体的に例示すれば、Ba源化合物としては、BaO、Ba(OH)2・8H2O、BaCO3
、Ba(NO3)2、BaSO4、Ba(OCO)2・2H2O、Ba(OCOCH3)2、B
aCl2等が、又、Ca源化合物としては、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、Ca(
NO3)2・4H2O、CaSO4・2H2O、Ca(OCO)2・H2O、Ca(OCOCH3)2・H2O、CaCl2等が、又、Sr源化合物としては、SrO、Sr(OH)2・8H2O、SrCO3、Sr(NO3)2、SrSO4、Sr(OCO)2・H2O、Sr(OCO
CH3)2・0.5H2O、SrCl2等がそれぞれ挙げられる。
、Ge源化合物としは、GeO2、Ge(OH)4、Ge(OCOCH3)4、GeCl4等
がそれぞれ挙げられる。
Mgについて、Mg源化合物を具体的に例示すれば、MgO、Mg(OH)2、MgC
O3、Mg(OH)2・3MgCO3・3H2O、Mg(NO3)2・6H2O、MgSO4、Mg(OCO)2・2H2O、Mg(OCOCH3)2・4H2O、MgCl2等がそれぞれ挙げられる。
、Eu(NO3)3・6H2O、Mn(NO3)2・6H2O、MnO2、Mn2O3、Mn3O4
、MnO、Mn(OH)2、MnCO3、Mn(OCOCH3)2・2H2O、Mn(OCO
CH3)3・nH2O、MnCl2・4H2O等が挙げられる。
ブラッグの式
d=λ/{2×sin(θ)}・・・(式1)
θ=arcsin{λ/(2×d)}・・・(式2)
d:面間隔(Å)
θ:ブラッグ角(゜)
λ:CuKαのX線波長=1.54184Å
なお、(式2)は(式1)を変形したものである。基準回折ピークの面間隔範囲を4.17Å〜3.95Åと規定すると、(式2)より回折角(2θ)の範囲は21.3゜〜22.5゜となる。
d0=λ/{2×sin(θ0)}・・・(式3)
基準回折ピーク以外の5本のピークを低角度側からP1、P2、P3、P4、P5としそれぞれのピークが出現する角度範囲を順にR1、R2、R3、R4、R5とする。P1が出現する角度範囲R1は、次のように定まる。基準回折ピーク由来の面間隔(d0)の0.720倍の面間隔を有する回折面とし、構造のひずみに伴う面間隔の偏位を1.5%とすると角度範囲R1の開始角度(R1s)および終了角度(R1e)は(式1)より次のように導かれる。
R1e:2×arcsin{λ/(2×d0×0.720×0.985)}
それぞれに(式3)を代入すると、
R1s:2×arcsin{sin(θ0)/(0.720×1.015)}
R1e:2×arcsin{sin(θ0)/(0.720×0.985)}
となる。
R2s:2×arcsin{sin(θ0)/(0.698×1.015)}
R2e:2×arcsin{sin(θ0)/(0.698×0.985)}
R3s:2×arcsin{sin(θ0)/(0.592×1.015)}
R3e:2×arcsin{sin(θ0)/(0.592×0.985)}
R4s:2×arcsin{sin(θ0)/(0.572×1.015)}
R4e:2×arcsin{sin(θ0)/(0.572×0.985)}
R5s:2×arcsin{sin(θ0)/(0.500×1.015)}
R5e:2×arcsin{sin(θ0)/(0.500×0.985)}
すなわち、得られたX線回折測定結果について基準ピークP0からP5までの各ピークが上記の角度範囲に出現することを確認することによって本発明に言う特定の結晶構造が存在することが確認できる。この結晶相は非特許文献1及び非特許文献2に述べられているmerwiniteとは異なる結晶相である。上記角度範囲R1〜R5はより好ましくは構造のひずみに伴う面間隔の偏位は一律1.0%とする下記の通りである。
R2:2×arcsin{sin(θ0)/(0.698×1.010)}〜2×arcsin{sin(θ0)/(0.698×0.990)}
R3:2×arcsin{sin(θ0)/(0.592×1.010)}〜2×arcsin{sin(θ0)/(0.592×0.990)}
R4:2×arcsin{sin(θ0)/(0.572×1.010)}〜2×arcsin{sin(θ0)/(0.572×0.990)}
R5:2×arcsin{sin(θ0)/(0.500×1.010)}〜2×arcsin{sin(θ0)/(0.500×0.990)}
本発明を特徴づける前記結晶相を作成する方法は限定されるものではないが、例えば10μm以下の小粒径の原料を用い、特にシリカは水分を含まない原料を使用し、焼成前に組成が不均一と見られる局所的な凝集物が存在しないこと、またカーボン製の坩堝を使用し、還元雰囲気で焼成することによって所望の結晶相を得ることができる。
本発明において、前記蛍光体に光を照射する第1の発光体は、波長350−430nmの光を発生する。好ましくは波長350−430nmの範囲にピーク波長を有する光を発生する発光体を使用する。第1の発光体の具体例としては、発光ダイオード(LED)またはレーザーダイオード(LD)等を挙げることができる。消費電力が良く少ない点でより好ましくはレーザーダイオードである。その中で、GaN系化合物半導体を使用した、GaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、前記蛍光体と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系はSiC系の100倍以上の発光強度を有する。GaN系LEDやLDにおいては、AlXGaYN発光層、GaN発光層、またはInXGaYN発光層を有しているものが好ましい。GaN系LEDにおいては、それらの中でInXGaYN発光層を有するものが発光強度が非常に強いので、特に好ましく、Ga
N系LDにおいては、InXGaYN層とGaN層の多重量子井戸構造のものが発光強度が非常に強いので、特に好ましい。なお、上記においてX+Yの値は通常0.8〜1.2の
範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたも
のやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、および基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlXGaYN層、GaN層、またはInXGaYN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが発光効率が高く、好ましく、さらにヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが発光効率がさらに高く、より好ましい。
また、第1の発光体として面発光型のものを使用し、第2の発光体として膜状のものを用いる場合、第1の発光体の発光面に、直接膜状の第2の発光体を接触させた形状とするのが好ましい。ここでいう接触とは、第1の発光体と第2の発光体とが空気や気体を介さないでぴたりと接している状態をつくることを言う。その結果、第1の発光体からの光が第2の発光体の膜面で反射されて外にしみ出るという光量損失を避けることができるので、装置全体の発光効率を良くすることができる。
iO2のモル比が1.133:0.378:0.189:0.2:0.1:1)を白金容
器中で混合し、乾燥後、4%の水素を含む窒素ガス流下1050℃で2時間加熱することにより焼成し、蛍光体Ba1.133Ca0.378Mg0.189Eu0.2Mn0.1SiO4(第2の発光体に用いる蛍光体)を製造した。GaN系発光ダイオードの紫外光領域の主波長である4
00nmでこの蛍光体を励起したときの発光スペクトルを測定した。表−1に、その発光ピークの波長、後述の比較例3の発光ピークの強度を100としたときの発光ピークの強度(以下、相対強度、という)、及び半値幅を示す。本蛍光体が、半値幅が十分広く、良好な演色性を与え、かつ、ピーク波長が590−620nm内にある浅い赤色を発光するので、明るく感じられる赤みを発することがわかる。
Ba(NO3)2の水溶液、Ca(NO3)2・4H2Oの水溶液、Mg(NO3)2・6H2Oの水溶液、Eu(NO3)3・6H2Oの水溶液、およびコロイダルシリカ(SiO2)の懸濁液(Ba(NO3)2、Ca(NO3)2・4H2O、Mg(NO3)2・6H2O、Eu(NO3)3・6H2O、SiO2のモル比が1.2:0.4:0.2:0.2:1)を仕込み原液として使用すること以外は、実施例1と同様にして蛍光体Ba1.2Ca0.4Mg0.2E
u0.2SiO4を製造した。GaN系発光ダイオードの紫外光領域の主波長である400nmでこの蛍光体を励起したときの発光スペクトルを測定した。表−1に、その発光ピークの波長、相対強度、及び半値幅を示す。実施例1の組成においてMnが添加されないと、赤色ピークが現れないことがわかる。
Ba(NO3)2の水溶液、Ca(NO3)2・4H2Oの水溶液、Eu(NO3)3・6H2Oの水溶液、およびコロイダルシリカ(SiO2)の懸濁液(Ba(NO3)2、Ca(N
O3)2・4H2O、Eu(NO3)3・6H2O、SiO2のモル比が0.72:1.08:
0.2:1)を仕込み原液として使用すること以外は、実施例1と同様にして蛍光体Ba0.72Ca1.08Eu0.2SiO4を製造した。GaN系発光ダイオードの紫外光領域の主波長である400nmでこの蛍光体を励起したときの発光スペクトルを測定した。表−1に、その発光ピークの波長、相対強度、及び半値幅を示す。Mn成分又はMg成分がない結晶では赤色ピークが現れないことがわかる。
Ba(NO3)2の水溶液、Eu(NO3)3・6H2Oの水溶液、Mn(NO3)2・6H2Oの水溶液、およびコロイダルシリカ(SiO2)の懸濁液(Ba(NO3)2、Eu(N
O3)3・6H2O、Mn(NO3)2・6H2O、SiO2のモル比が1.6:0.2:0.
2:1)を仕込み原液として使用すること以外は、実施例1と同様にして蛍光体Ba1.6
Eu0.2Mn0.2SiO4を製造した。GaN系発光ダイオードの紫外光領域の主波長であ
る400nmでこの蛍光体を励起したときの発光スペクトルを測定した。表−1に、その発光ピークの波長、相対強度、及び半値幅を示す。結晶中にMnが含まれていても、Ca又はMgがないと、赤色ピークが現れないことがわかる。
Ca(NO3)2・4H2Oの水溶液、Eu(NO3)3・6H2Oの水溶液、Mn(NO3
)2・6H2Oの水溶液、およびコロイダルシリカ(SiO2)の懸濁液(Ca(NO3)2
・4H2O、Eu(NO3)3・6H2O、Mn(NO3)2・6H2O、SiO2のモル比が1.6:0.2:0.2:1)を仕込み原液として使用すること以外は、実施例1と同様にして蛍光体Ca1.6Eu0.2Mn0.2SiO4を製造した。GaN系発光ダイオードの紫外光領域の主波長である400nmでこの蛍光体を励起したときの発光スペクトルを測定した。表−1に、その発光ピークの波長、相対強度、及び半値幅を示す。結晶中にMnが含まれていても、Ba又はMgがないと、赤色ピークが現れないことがわかる。
Ba(NO3)2の水溶液、Mg(NO3)2・6H2Oの水溶液、Eu(NO3)3・6H2Oの水溶液、Mn(NO3)2・6H2Oの水溶液、およびコロイダルシリカ(SiO2)の
懸濁液(Ba(NO3)2、Mg(NO3)2・6H2O、Eu(NO3)3・6H2O、Mn(NO3)2・6H2O、SiO2のモル比が0.587:1.173:0.2:0.04:1)を仕込み原液として使用すること以外は、実施例1と同様にして蛍光体Ba0.587Mg1.173Eu0.2Mn0.04SiO4を製造した。GaN系発光ダイオードの紫外光領域の主波長である400nmでこの蛍光体を励起したときの発光スペクトルを測定した。表−1に、その発光ピークの波長、相対強度、及び半値幅を示す。結晶中において、CaがBaに対して適当量存在しないと、ピーク波長が620nmを超えてしまい、明るく感じられる赤みを出すことができないことがわかる。
、Mg(NO3)2・6H2O、Eu(NO3)3・6H2O、Mn(NO3)2・6H2O、S
iO2のモル比が1.173:0.391:0.196:0.2:0.04:1)を仕込
み原液として使用すること以外は、実施例1と同様にして蛍光体Ba1.173Ca0.391Mg0.196Eu0.2Mn0.04SiO4を製造した。GaN系発光ダイオードの紫外光領域の主波
長である400nmでこの蛍光体を励起したときの発光スペクトルを測定した。図4にその発光スペクトルを示す。表−2に、色を表す色度座標のx値,y値、最大ピークの波長、後述の比較例7の蛍光体の最大ピークの強度を100とした場合の、本蛍光体の最大ピークの強度(以下、最大ピークの相対強度、という)、及び、発光スペクトル中、赤成分がどの程度存在するかを知る目安となる最大ピークの強度に対する600nmでの強度の割合、ならびにピーク群の半値幅を示す。青・緑・赤成分がともに十分存在し、スペクトル幅が非常に広く、演色性が高い白色発光となっていることがわかる。
Ba(NO3)2の水溶液、Ca(NO3)2・4H2Oの水溶液、Mg(NO3)2・6H2Oの水溶液、Eu(NO3)3・6H2Oの水溶液、およびコロイダルシリカ(SiO2)の懸濁液(Ba(NO3)2、Ca(NO3)2・4H2O、Mg(NO3)2・6H2O、Eu(NO3)3・6H2O、SiO2のモル比が1.2:0.4:0.2:0.2:1)を仕込み原液として使用すること以外は、実施例1と同様にして蛍光体Ba1.2Ca0.4Mg0.2E
u0.2SiO4を製造した。GaN系発光ダイオードの紫外光領域の主波長である400nmでこの蛍光体を励起したときの発光スペクトルを測定した。表−2に、色度座標のx値、y値、最大ピークの波長、最大ピークの相対強度、最大ピークの強度に対する600nmでの強度の割合、ピーク群の半値幅を示す。実施例5の組成においてMnが添加されないと、白色スペクトルとならないことがわかる。
Ba(NO3)2の水溶液、Ca(NO3)2・4H2Oの水溶液、Eu(NO3)3・6H2Oの水溶液、およびコロイダルシリカ(SiO2)の懸濁液(Ba(NO3)2、Ca(N
O3)2・4H2O、Eu(NO3)3・6H2O、SiO2のモル比が0.72:1.08:
0.2:1)を仕込み原液として使用すること以外は、実施例1と同様にして蛍光体Ba0.72Ca1.08Eu0.2SiO4を製造した。GaN系発光ダイオードの紫外光領域の主波長である400nmでこの蛍光体を励起したときの発光スペクトルを測定した。表−2に、色度座標のx値、y値、最大ピークの波長、最大ピークの相対強度、最大ピークの強度に対する600nmでの強度の割合、ピーク群の半値幅を示す。結晶中Mn又はMgが存在しないと、白色スペクトルとならないことがわかる。
Ba(NO3)2の水溶液、Mg(NO3)2・6H2Oの水溶液、Eu(NO3)3・6H2Oの水溶液、Mn(NO3)2・6H2Oの水溶液、およびコロイダルシリカ(SiO2)の懸濁液(Ba(NO3)2、Mg(NO3)2・6H2O、Eu(NO3)3・6H2O、Mn(NO3)2・6H2O、SiO2のモル比が0.587:1.173:0.2:0.04:1)を仕込み原液として使用すること以外は、実施例1と同様にして蛍光体Ba0.587Mg1.173Eu0.2Mn0.04SiO4を製造した。GaN系発光ダイオードの紫外光領域の主波長である400nmでこの蛍光体を励起したときの発光スペクトルを測定した。表−2に、色度座標のx値、y値、最大ピークの波長、最大ピークの相対強度、最大ピークの強度に
対する600nmでの強度の割合、ピーク群の半値幅を示す。結晶中において、CaがBaに対して適当量存在しないと、赤色ピークの方の波長が620nmを超えてしまい、明るく感じられる赤みを含まない可視光スペクトルが得られる。
が1.283:0.428:0.09:0.075:0.05:1となるように計量し、フラックスとしてNH4Clを加えてボールミルで1時間混合した。この調合粉体をアル
ミナ坩堝にいれさらにこの坩堝ごとカーボン坩堝に入れて4%の水素を含む窒素ガス流下1200℃で6時間加熱することにより蛍光体Ba1.283Ca0.428Mg0.09Eu0.15Mn0.05SiO4を製造した。この蛍光体のX線回折測定は以下の条件で行った。走査範囲内
の回折角誤差がΔ2θ=0.05°以下に光学調整されたCuKαのX線源からなるブラッグーブレンターノ型の粉末X線回折装置を用い、かつ試料偏心に伴う回折角の誤差が標準シリコンの111ピークを用いてΔ2θ=0.05°以下の角度再現性が保証される条件で粉末X線回折測定を実施した。また測定時にX線の照射幅が試料の幅を超えないように発散スリットの発散角を調整し、回折ピーク位置(ピークトップ)及び回折強度(高さ)は固定スリットモードでの測定結果の値を読み取った。図6にX線回折測定結果を示す。得られた蛍光体は請求項6に記述した条件を満足していることが表3によって示され、前述した特定の相を含むことが確認された。GaN系発光ダイオードの近紫外領域の主波長である400nmでこの蛍光体を励起したときの発光スペクトルを図7に示した。発光スペクトル上で励起光源の影響を取り除くため、420nm以下の光をカットしている。本蛍光体の色度座標x及びy値、発光ピーク波長、発光ピーク強度を表4に示した。
比が1.215:0.405:0.180:0.075:0.05:1となるように計量した以外は実施例3と同様にして蛍光体Ba1.215Ca0.405Mg0.18Eu0.15Mn0.05SiO4を得た。表3にX線回折測定結果を示すが本例請求項6の条件を満たしている。図
7に発光スペクトル、表4に特性をまとめた。
:1となるように計量した以外は実施例3と同様にして蛍光体Ba0.855Ca0.285Sr0.57Mg0.09Eu0.15Mn0.05SiO4を得た。表3にX線回折測定結果を示すが本例請求
項6の条件を満たしている。図7に発光スペクトル、表4に特性をまとめた。
1となるように計量した以外は実施例3と同様にして蛍光体Ba0.81Ca0.27Sr0.54Mg0.18Eu0.15Mn0.05SiO4を得た。表3にX線回折測定結果を示すが本例は請求項
6の条件を満たしていない。図7に発光スペクトル、表4に特性をまとめた。
2 面発光型GaN系LD
3 基板
4 発光装置
5 マウントリード
6 インナーリード
7 第1の発光体(350〜430nmの発光体)
8 本発明中の蛍光体を含有させた樹脂部
9 導電性ワイヤー
10 モールド部材
11 発光素子を組み込んだ面発光照明装置
12 保持ケース
13 発光装置
14 拡散板
Claims (13)
- 下記一般式[1]の化学組成を有する結晶相を有し、波長400nm励起における発光ピークが590−620nmの範囲内に存在することを特徴とする蛍光体。
Eu a Mn b Mg c M 1 d M 2 O e ・・・[1]
(但し、M1は、Li,Na,K,Rb及びCsよりなる群から選ばれる1価の元素、Ba,Ca,Sr,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Mo,Ru,Pd,Ag,Cd,Sn,Sm,Tm,Yb,W,Re,Os,Ir,Pt,Hg及びPbよりなる群から選ばれる2価の元素、B,Al,Ga,In,Y及びScよりなる群から選ばれる3価の元素、並びに、P,Sb及びBiよりなる群から選ばれる5価の元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であって、BaとCaとSrの合計が占める割合が80mol%以上であり、BaとCaの合計が占める割合が80mol%以上であり、BaとCaの合計に対するCaの割合(モル比)が0.2以上0.9以下である。M2は、Si,Ge,Zn,Ti及びHfよりなる群から選ばれる少なくとも一種の4価の元素であって、Siが占める割合が80mol%以上である。aは0.001≦a≦0.8、bは0<b≦0.8、c,dは0<c/(c+d)≦0.2、a,b,c,dは1.8≦(a+b+c+d)≦2.2、eは3.6≦e≦4.4を満足する数である。) - 前記一般式[1]の化学組成において、M 1 の中でBaとCaの合計に対するCaの割合(モル比)が0.2以上0.8以下であり、M2がSiであり、aは0.01≦a≦0.5、bは0<b≦0.7、a,b,c,dは1.9≦(a+b+c+d)≦2.1、eは3.8≦e≦4.2を満足する数であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
- 蛍光体が、前記一般式[1]の化学組成を満たすように、M 1 源、M 2 源、Mg源、付活元素であるEuとMnの元素源を混合し、混合物を還元雰囲気下で焼成することにより製造されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光体。
- 白色に発光することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の蛍光体。
- 赤色に発光することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の蛍光体。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の蛍光体を樹脂中に分散させたことを特徴とする蛍光体含有樹脂。
- 350−430nmの光を発生する第1の発光体と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発生する第2の発光体とを有する発光装置において、第2の発光体が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蛍光体を含有してなることを特徴とする発光装置。
- 第1の発光体がレーザーダイオード又は発光ダイオードであることを特徴とする請求項7に記載の発光装置。
- 第1の発光体としてGaN系化合物半導体を使用することを特徴とする請求項7または8に記載の発光装置。
- 白色に発光することを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の発光装置。
- 赤色に発光することを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の発光装置。
- 請求項7〜11の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする照明装置。
- 請求項7〜11の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする画像表示装置。
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