JP4615806B2 - 軸方向ドレインを具備した高圧水蒸気ディフューザ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は高圧インジェクタの分野に関係し、機械又は加圧水槽を収容した設備に水を注入することを目的とする。一般的に、前記設備は蒸気ボイラーの蒸気発生槽である。これは特に加圧水型などの原子炉で使用される蒸気ジェネレータの場合である。しかし、この類のインジェクタは、原動的エネルギー源としてこの蒸気の一部及び水源として低圧槽を使用する蒸気発生槽のいずれに対しても適用可能と思われる。
【0002】
【従来技術と提起課題】
一世紀以上前から蒸気インジェクタは機関車及び船などの特に蒸気機械(エンジン)として利用されてきた(1850年のGiffard特許を参照)。今日では、こういった装置は、とりわけ従来のポンプ方式を急激に悪化させる危険性がある溶液又は廃液の移し替えを要する産業施設において使用されている。水型原子炉において、非常給水用としてのインジェクタの利用が研究されてきた。こういった給水は余熱の除去を目的とする。加圧水型原子炉におけるスチームジェネレータへの非常給水は電気式動力ポンプ又はターボ式ポンプを使用して行われる。こういった装置は回転部材のために設計が困難であり、ある特定のものは電源に依存する。このため、低圧非常給水槽の水圧を蒸気圧より高い圧力まで昇圧できる蒸気インジェクタといった受動装置の利用が調査されてきた。現在に至るまでに様々なインジェクタの原型が提議されてきたが、どれも機能が不十分で、原子炉で使用するには信頼性が低いということがわかっている。
【0003】
図1を参照すると、蒸気インジェクタの原理は、蒸気が管から出たときに達せられる速度が超音速となり、その圧力が空気圧より低くなるように、ラバールノズルなどの末広ノズル2の狭まり部分で加圧された蒸気の圧力を下げることである。混合室(mixing chamber)4に、環状型の吸水室(entry chamber)3を通じて水が流れ込む。混合室4において、吸水室3から引き込まれた水は圧力の低下を受けて吸引され、それから、蒸気は凝縮により水にエネルギーを解放する。
【0004】
混合室4は一般的に円錐形であり、首部5の方向に収束する。その位置で、水は最大速度に達する。首部5の次に排出ディフーザ7があり、それを介して混合2相流の運動エネルギーは圧力に変換され、続いて、混合室4から排出された時点では凝縮されていない蒸気が凝縮される。圧力は急激に上昇し、時折、定常衝撃波と比較される。装置を確実に始動させるためには、混合室4に配設されたドレイン6が蒸気インジェクタに必要となる。この始動を達成するには、当該ドレインを適切に位置決めする必要があるので、始動が困難となる場合もある。さらに、一旦インジェクタに吸水を行ったあと、ドレイン6を閉鎖すると、蒸気インジェクタの動力源が断たれることもある。(一般的には徐々に閉鎖することが推奨される)。最大放出圧力は混合室4とディフューザ7との間に位置する首部5の流路が狭いほど高くなる。しかし、この部分を狭めることにより装置の始動がさらに困難となる。
【0005】
さらに2箇所でドレイン6を利用すること(図2)により、任意のインジェクタは70バールから90バールの圧力を達成することができる。その場合、蒸気インジェクタが通常に機能している間、山側のドレインだけが閉鎖され、谷側のドレインは多かれ少なかれ開放したままで、高圧で機能するために非常に多量の水、約50%の水量を排水する。複雑な機能性及び排水により、このタイプの蒸気インジェクタを原子炉施設に採用することができなかった。
【0006】
従って、本発明の目的は加圧水型原子炉で使用することができ、約80バールまでの範囲の圧力で注水することができる蒸気インジェクタを利用可能にすることにより前記欠点を改善することである。
【0007】
【本発明の要旨】
そのために、本発明の主題は、
混合室と、
混合室に通じている環状型の吸水室と、
混合室の出口部に配設された首部と、
首部の出口部に配設されたディフューザと、
ディフューザの下流に配設された排出口とに通じている、
蒸気吸入口と、
混合室と、
混合室に通じている環状型の吸水室と、
混合室の出口部に配設された首部と、
首部の出口部に配設されたディフューザと、
ディフューザの下流に配設された排出口とに通じている、
蒸気ノズルと、
混合室と、
混合室に通じている環状型の吸水室と、
混合室の出口部に配設された首部と、
首部の出口部に配設されたディフューザと、
ディフューザの下流に配設された排出口と、
を含む、高圧蒸気インジェクタである。
【0008】
本発明によれば、排出管の形状の軸方向ドレインは、首部分を小さくし、凝縮されなかった一部の蒸気を取り除き、及びそれを外部に排出するために首部の中央に配設される。実際に、水流は襟首部までほぼ環状循環していることが示される。
【0009】
ドレインを一時的に使用できるように、或いは、流路部を最も狭く改良できるように、軸方向ドレインは首部に対して移動可能となるように軸方向に可動であるように組み立てられていてもよい。
【0010】
このドレインの有効性を上げるために、ドレインは可変部を有していてもよい。
【0011】
別の実施例では、徐々に蒸気を排出できるように、排出孔を具備する軸方向ドレインの第1番目の部分が円錐形状になっている。
【0012】
【本発明の実施形態の詳細な説明】
図3に記載した本発明によるインジェクタは、側面排出ドレイン6を除いて、従来技術の参照図1に記載された蒸気インジェクタの主要部を再現したものである。ラバルノズル2に通じている蒸気入口部1、排気ノズル2の出口部に配置され、首部5まで続く混合室4に通じている環状型の吸水室3がある。排出口8に通じている首部5の出口部にはディフューザ7が配置される。首部5の位置に、排出管の形状をした軸方向ドレイン10がディフューザ7を通って外部9、つまり本出願の蒸気インジェクタの外まで延びて配置される。2相流は首部までほぼ環状循環しており、水膜は当該混合室4の内壁に対して均一化されることが示された。この実験から得た事実は、吸引された水膜が多かれ少なかれ急激に噴霧するという従来の知識とは矛盾する。前記軸方向ドレイン10は首部5を通って流れる水流の中央部に位置し、よって、混合室4内で凝縮されていない大量の蒸気を捕獲する。しかし、この蒸気は混合室4の入口と出口の間で減速するので、注入される液体にその大部分のエネルギーを放出してしまっている。同様に、中央部の蒸気の流れが弱いので、ディフューザ7の水圧の上昇には利用できない。首部5を通る流れの環状部、つまり、水流だけがディフューザ7内を高速で流れて排出口8に向かう。
【0013】
さらに、当該軸方向ドレイン10により、混合室4とディフューザ7との間の首部5の流路部を狭めることも可能となり、それにより、同じディフューザで前記軸方向ドレインを使用しない場合と比べて、排出口8に流れる水流の最大圧力を上昇させることが可能となる。圧力の上昇と首部5の流路部の広さはほぼ逆比例することが一般的には認められる。
【0014】
当該軸方向ドレイン10は、蒸気インジェクタを始動する際にも使用されることに注目すべきである。その場合、蒸気注入口1は閉鎖され、給水口が開放される。つまり、水は環状型の吸水室3内で循環して混合室4内に達する。その水の全て又は一部は、流れを下って排出口8で排水するという理解に従い、軸方向ドレイン10を通って外部に排出される。蒸気注入口1が開放されると、混合室4内で強力な凝縮作用が起こる。混合室4内の圧力は、公称値に達するまで低下する。流れはノズル2の出口では超高速になる。首部5の中央部の最初は液状だった流れは蒸気になり、軸方向ドレイン10により捕獲される。首部5の内壁に対して環状の水流が発生し、ディフューザ7内まで続く。
【0015】
軸方向ドレイン10に入る際の蒸気の適当な速度を保証するために、軸方向ドレイン10は可変断面部を有していてもよい。軸方向ドレイン10は、首部5からディフューザ7の内部に進むにつれて増大する直径を有していてもよい。
【0016】
図4を参照して、さらに漸進的な蒸気の排出を保証するために、このドレイン軸10を、混合室4内を貫通可能なものとすることも検討する。当該ドレインの第1部分は十分な数の排出孔を有する円錐形11とすることも可能であろう。
【0017】
図4の点線部で描かれたように、このような技術的な特徴を組み合わせるために、軸方向ドレイン10を、本発明の蒸気インジェクタの軸方向に沿って移動可能なものとし、よって挿入及び引出しが可能なものとすることも同様に規定される。このように、蒸気インジェクタの始動中に首部5の下流、つまりディフューザ7内に引出し可能である。一旦蒸気インジェクタの流速が確立されると、軸方向ドレインは首部5内に再配置され、蒸気排出機能と首部5の流路部を狭める機能が回復する。
【0018】
軸方向ドレイン10の全ての実施形態の変形が蒸気インジェクタの働きをさらに正確に調整し、蒸気インジェクタの始動をさらに容易化し、若しくは出口部で最大圧力を得ることが可能となるが、固定ドレイン10は実施作業数を最少化する例示的な解決法である。
【0019】
図5に記載した本発明の蒸気インジェクタの第1番目の使用例は、加圧水型原子炉のスチームジェネレータ16に給水することである。蒸気インジェクタ13は、スチームジェネレータ16によって生成された蒸気エネルギーを利用して、当該スチームジェネレータに水を注入するために使用される。低圧槽17は蒸気インジェクタ13が停止している際は閉鎖される給水弁22を介してインジェクタ13の吸水室に供給する。よって、蒸気インジェクタは大気圧状態となる。軸方向ドレイン10は開放され、蒸気インジェクタ13は水又は水蒸気により清浄することができる。排水弁23はインジェクタ13の下流側に配設されると同時に閉鎖されている。
【0020】
スチームジェネレータ16の作動時の圧力は10バールから80バールの間である。蒸気インジェクタ13から放出する加圧水をスチームジェネレータ16に導く導水管18は、閉鎖された仕切り弁15により閉じられている。
【0021】
給水弁22と浄化弁23が開放され、重力により蒸気インジェクタ13の内部で冷水流が発生し、軸方向ドレイン10と浄化弁23を介して流れ出る。前記インジェクタは水槽17より低い位置にある。
【0022】
それから、蒸気インジェクタ13の上流部に配設された蒸気吸気仕切り弁21が、蒸気圧に応じて数kg/sの流量が達成されるまで開放される。予め得られた冷水が流れる混合室4内の凝縮により蒸気インジェクタ13を始動することができる。一旦、混合室4と首部5の位置で環状の流れが生じ始めれば、軸方向ドレイン10は外部9の方向に蒸気を放出するだけである。それにより、浄化弁23が閉鎖され、導水管18の第1部分の圧力はディフューザ7で急上昇した圧力にまで上昇する。この導水管18の第1部分の圧力が十分になると、バルブ15が開き、当該システムは公称機能を達成したことになる。その間、水槽17から吸上げられた水は、スチームジェネレータの水の所要量に応じて5から20kg/sの割合でスチームジェネレータ16に注入される。この割合は給水弁22を調節することにより得られる。システムは蒸気補給弁21を閉鎖してから給水弁22を閉鎖することにより停止する。
【0023】
本発明による複数のインジェクタ設備の変形が可能である。例えば、給水弁22を軸方向ドレイン10の排出線上に、つまり、参照番号9の外側に配置してもよい。そうすると、システムに水を補充することが容易である。始動は、基本構造と同じ条件で行われる。
【0024】
図6に示したように、システムの始動段階で浄化弁23を抜きにして設計される場合がある。この場合、作動されなければならないのは、3つではなく、2つの弁だけである。管18の寸法に従い、該管18に直接接続されたプライマ容器(primer recipient)24を、蒸気インジェクタ13とバルブ15との間に挿入することが必要となる場合がある。まず、大気圧に達すると、プライマ容器24は放出圧力の上昇時の遅延時間を保証し、その後、弁15が開放される。
【図面の簡単な説明】
本発明及び様々な技術的な特徴が各添付図に従って本説明文を熟読することによりさらに理解されるであろう。
【図1】 図1は従来技術のインジェクタである。
【図2】 図2は従来技術のインジェクタである。
【図3】 図3は本発明によるインジェクタの第1実施形態である。
【図4】 図4は本発明によるインジェクタの第2実施形態である。
【図5】 図5は本発明による蒸気インジェクタをスチームジェネレータ上に配置した第1実施例である。
【図6】 図6は本発明による蒸気インジェクタをスチームジェネレータ上に配置した第2実施例である。

Claims (4)

  1. 混合室(4)と、
    環状型の吸水室(3)と、
    混合室(4)の出口部に配設された首部(5)と、
    首部(5)の出口部に配設されたディフューザ(7)と、
    ディフューザ(7)の下流側に配設された排出口(8)とに通じている、
    蒸気吸入口(1)と、
    混合室(4)と、
    環状型の吸水室(3)と、
    混合室(4)の出口部に配設された首部(5)と、
    首部(5)の出口部に配設されたディフューザ(7)と、
    ディフューザ(7)の下流側に配設された排出口(8)とに通じている、
    蒸気ノズル(2)と、
    混合室(4)と、
    環状型の吸水室(3)と、
    混合室(4)の出口部に配設された首部(5)と、
    首部(5)の出口部に配設されたディフューザ(7)と、
    ディフューザ(7)の下流側に配設された排出口(8)と、
    を含む、高圧用蒸気インジェクタであって、
    首部(5)を狭め、一部の蒸気を取出してそれを外部(9)に排出するための、排出管の形状をした軸方向ドレイン(10)を含むことを特徴とする前記インジェクタ。
  2. 軸方向ドレイン(10)は、混合室(4)及び/又は首部(5)で配設可能、又は首部そこから引出可能であるように軸方向に移動できることを特徴とする請求項1に記載のインジェクタ。
  3. 軸方向ドレイン(10)が可変断面部分を有することを特徴とする請求項1に記載のインジェクタ。
  4. 軸方向ドレイン(10)が、蒸気を徐々に排出することができ、排出孔を具備する円錐形(11)で終端することを特徴とする請求項1に記載のインジェクタ。
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