JP4615379B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、燃料電池を駆動源として搭載する燃料電池車両として、電気二重層コンデンサや電解コンデンサ等からなるキャパシタを供え、燃料電池の発電エネルギーを蓄電すると共に走行用モータと電気エネルギーの授受を行うようにした燃料電池車両についての技術が提案されている。
すなわち、従来技術の燃料電池車両の始動時においては、燃料電池へ酸素を供給するエアーコンプレッサ等の機器はキャパシタからの電力供給によって駆動され、この電力供給によってキャパシタの端子間電圧が低下してしまう。このキャパシタの電圧低下により燃料電池との電圧差が生じるので、キャパシタに対して燃料電池を直接的に接続することで、キャパシタを充電する。そして、燃料電池およびキャパシタの端子間電圧の電圧差が所定の電圧差以下になった後に出力電流に対する制限が解除され、いわば燃料電池とキャパシタとが直結状態とされ、この後に走行用モータへ駆動電力が供給されて燃料電池車両の走行が開始される。
本発明は、燃料電池の始動時において、燃料電池を保護しつつ、システムの駆動を迅速に開始することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
このとき、前記燃料電池から取り出す電流量を一旦設定した後は、前記蓄電装置との電位差が所定電位差以下になるまで固定するように制御すると、電流指令の変動を抑え、システム操作者(車両の場合は搭乗者)に与える違和感を低減できる点で好ましい。
この発明によれば、前記燃料電池の発電特性は温度に依存するため、前記温度検知手段により検知された温度により活性状態を検知することで、活性状態の判断および燃料電池から取り出す電流量の制御を迅速に行うことが可能となる。
この発明によれば、前記燃料電池の実際の発電電圧に基づいて活性状態を検知することで、前記燃料電池の発電特性を正確に検知でき、よりきめ細かな電流量の制御を行うことが可能となる。
請求項3に係る発明によれば、燃料電池の発電特性を正確に検知でき、よりきめ細かな電流量の制御を行うことが可能となる。
本実施の形態に係る燃料電池車両1は、例えば図1に示すように、燃料電池11と、第1電流・電圧制御器12と、第2電流・電圧制御器13と、蓄電装置であるキャパシタ14と、パワードライブユニット(PDU)15と、モータ16と、コンプレッサ出力制御器17と、エアーコンプレッサ(A/C)18と、水素タンク19aおよび水素供給弁19bと、制御装置20と、各種の電気負荷21と、出力電流センサ22と、出力電圧センサ23と、端子電圧センサ24とを備えて構成されている。
この燃料電池11では、走行用のモータ16の駆動力は、例えばオートマチックトランスミッション(AT)あるいはマニュアルトランスミッション(MT)等の変速機(T/M)を介して車両の駆動輪W,Wに伝達される。また、燃料電池車両1の減速時に駆動輪W側からモータ16側に駆動力が伝達されると、モータ16は発電機として機能していわゆる回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。
燃料電池11のアノードには、高圧の水素タンク19aから水素供給弁19bを介して水素からなる燃料ガス(反応ガス)が供給され、アノードのアノード触媒上で触媒反応によりイオン化された水素は、適度に加湿された固体高分子電解質膜を介してカソードへと移動し、この移動に伴って発生する電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギーとして利用される。カソードには、例えば酸素を含む酸化剤ガス(反応ガス)である空気がエアーコンプレッサ(A/C)18によって供給され、このカソードにおいて、水素イオン、電子及び酸素が反応して水が生成される。
そして、燃料電池11および第1電流・電圧制御器12と、第2電流・電圧制御器13およびキャパシタ14とは、パワードライブユニット(PDU)15を介して、走行用のモータ16と、例えば燃料電池11やキャパシタ14の冷却装置(図示略)や空調装置(図示略)等の各種補機類からなる電気負荷21と、エアーコンプレッサ出力制御器17とに対して並列に接続されている。
例えば、燃料電池11から出力電流の取り出しを禁止する場合において、制御装置20から第1および第2電流・電圧制御器12,13に入力される制御パルスのデューティが0%に設定されると、各電流・電圧制御器12,13のDC−DCコンバータに具備されるスイッチング素子がオフ状態に固定され、燃料電池11とキャパシタ14とが電気的に遮断される。一方、制御パルスのデューティが100%とされ、スイッチング素子がオン状態に固定されると、いわば燃料電池11とキャパシタ14とが直結状態となり、燃料電池11の出力電圧とキャパシタ14の端子電圧とが同等の値となる。
また、例えば、第2電流・電圧制御器13に入力される制御パルスのデューティが0%〜100%の間の適宜の値に設定されると、第2電流・電圧制御器12は、キャパシタ14の充電電流または放電電流を制御パルスのデューティに応じて適宜に制限する。
このPDU15の電力変換動作は、制御装置20からPWMインバータの各スイッチング素子に入力されるパルス、つまりパルス幅変調(PWM)により各スイッチング素子をオン/オフ駆動させるためのパルスに応じて制御され、このパルスのデューティつまりオン/オフの比率のマップ(データ)は予め制御装置20に記憶されている。
このエアーコンプレッサ18を駆動するモータ(図示略)の回転数は、制御装置20から入力される制御指令に基づき、例えばパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータを具備するコンプレッサ出力制御器17によって制御されている。
さらに、制御装置20は、燃料電池11に対する発電指令に基づき、第1電流・電圧制御器12の電力変換動作を制御する制御パルスを出力し、燃料電池11から取り出される出力電流の電流値を制御する。
さらに、制御装置20は、キャパシタ14の状態、例えばキャパシタ14の温度や、複数のキャパシタセルのキャパシタセル電圧の和である総電圧つまりキャパシタ14の端子電圧の検出値等に基づき、モータ16の回生動作を制御する。
このため、制御装置20には、例えば、燃料電池11を構成する各複数の燃料電池セルの端子電圧(燃料電池セル電圧)を検出する燃料電池セル電圧センサ(図示略)から出力される検出信号と、燃料電池11から取り出される出力電流の電流値を検出する出力電流センサ22から出力される検出信号と、燃料電池11の出力電圧を検出する出力電圧センサ23から出力される検出信号と、キャパシタ14の端子電圧を検出する端子電圧センサ24から出力される検出信号と、キャパシタ14の温度を検出する温度センサ(図示略)から出力される検出信号とが入力されている。さらに、制御装置20には、イグニッションスイッチ26のON・OFF信号、燃料電池11の温度を検出する温度センサ25から出力する検出信号が入力される。
このように、燃料電池11の活性状態を燃料電池11の温度に基づいて判定することにより、活性状態の判断および燃料電池11から取り出す電流量の制御を迅速に行うことが可能となる。
ステップS18では、ステップS12で読み込んだ初期キャパシタ電圧と、ステップS14で検出した燃料電池11の温度とに基づいて、燃料電池11から出力する電流指令値(IFC)をマップ検索する(図3参照)。同図には、キャパシタ14の電圧に基づいて、例として4つのライン(IFC−0〜IFC−3)を示している。このラインのうち、IFC−0のラインは、通常充電指令がされたときの電流指令値である。同図に示すように、電流指令値IFC(IFC−1〜IFC−3)は、キャパシタ14の電圧が低いほど、また、燃料電池11の温度が高くなるほど、通常充電指令値IFC−0よりも大きくなるように設定されている。従って、燃料電池11の温度が高く、また、キャパシタ14の電圧が低いほど、キャパシタ14は急速に充電されることになる。
一方、ステップS20では、電流指令値をIFC−0に設定する通常充電指令を行う。
図7は、常温環境下(例えば5℃以上)で停止した燃料電池車両1を常温環境下で起動する場合における燃料電池11およびキャパシタ14の状態説明図である。同図のように、常温環境下で燃料電池車両1を起動する場合であれば、キャパシタ14の電圧VCAPが比較的高く、燃料電池11の出力電圧VFCが無負荷の状態(例えば、OCV:Open Circuit Voltage)まで上昇しても、両者の電圧差は比較的小さい。従って、電流指令値IFCが低く抑えられた通常の電流指令値IFC−0で充電処理を行っても、少ない時間で迅速に電圧差を無くすことができ、燃料電池11とキャパシタ14とを直結状態にすることが可能である。
これに対して、本実施の形態のように充電電流の制御を行うことで、燃料電池11の始動時において、燃料電池11を保護しつつ、燃料電池車両1の駆動を迅速に開始することができる点で優れていると言える。
11…燃料電池
12…第1電流・電圧制御器(取出電流制御手段、蓄電装置充電手段)
13…第2電流・電圧制御器(取出電流制御手段、蓄電装置充電手段)
14…キャパシタ(蓄電装置)
18…エアーコンプレッサ(反応ガス供給手段)
19a…水素タンク(反応ガス供給手段)
20…制御装置(活性状態検知手段、発電開始手段)
23…出力電圧センサ(発電電圧検出手段、活性状態検知手段)
24…端子電圧センサ(端子間電圧検知手段)
25…温度センサ(活性状態検知手段)
Claims (3)
- 供給される反応ガスにより発電を行い、負荷へ電力を供給する燃料電池と、
前記燃料電池の発電電圧を検出する発電電圧検出手段と、
前記燃料電池から取り出す電流を制御する取出電流制御手段と、
前記燃料電池の発電エネルギーを蓄積する蓄電装置と、
前記反応ガスを前記燃料電池へ供給する反応ガス供給手段と、
前記燃料電池の活性状態を検知する活性状態検知手段と、
前記蓄電装置の端子間電圧を検知する端子間電圧検知手段と、
前記燃料電池の始動時に、前記蓄電装置から供給される電力により前記反応ガス供給手段を駆動して前記燃料電池の発電を開始する発電開始手段と、
前記燃料電池の発電電圧と前記蓄電装置の端子間電圧が所定電圧差に達するまで前記燃料電池の発電電力により前記蓄電装置を充電する蓄電装置充電手段と、を備え、
前記活性状態検知手段により前記燃料電池が活性状態と検知され、且つ、前記端子間電圧検知手段により検知された前記蓄電装置の端子間電圧が所定値以下のときには、前記取出電流制御手段を制御して前記燃料電池から取り出す電流量を通常発電開始時に取り出す電流量より多くすることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記燃料電池の温度を検知する温度検知手段を備え、
前記活性状態検知手段は、前記温度検知手段により検知された前記燃料電池の温度が所定温度を超えたとき燃料電池を活性状態と検知することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記活性状態検知手段は、燃料電池から所定電流を取り出したときの発電電圧が所定電圧以上のとき燃料電池を活性状態と検知することを特徴とする請求項1または請求項2記載の燃料電池システム。
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