JP4056863B2 - 電圧検出回路の故障検知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧検出回路の故障検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば二次電池等からなる複数の単位セルを直列に接続してなる組電池(バッテリ)において、各単位セルに並列に接続されたセル電圧検出回路およびバイパス回路を備え、各セル電圧検出回路により検出される端子間電圧に応じて各単位セルが満充電状態か否かを判定し、満充電状態であると判定されたセルへの充電電流をバイパス回路へ通電させることで各単位セルの端子間電圧のばらつきを調整すると共に、検出される端子間電圧に応じて各単位セルへの充電電流を設定するバッテリの充電装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−299032号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術の一例に係るバッテリの充電装置において、セル電圧検出回路によって検出される端子間電圧に応じて各単位セルが満充電状態か否かを判定する際に、セル電圧検出回路に故障が生じていると、精度の良い判定が困難になるという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、例えば故障検知用の装置等を新たに備えることで装置構成が複雑化することを抑制しつつ、電圧検出回路の故障の有無を精度良く判定することが可能な電圧検出回路の故障検知装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の電圧検出回路の故障検知装置は、複数のセル(例えば、実施の形態におけるキャパシタセル)が直列に接続されてなる蓄電装置(例えば、実施の形態におけるキャパシタ13)の各前記セルの端子間電圧を検出するセル電圧検出手段(例えば、実施の形態におけるセル電圧検出回路)を具備する電圧検出回路の故障検知装置であって、前記複数のセルの端子間電圧の和である総電圧を検出する総電圧検出手段(例えば、実施の形態における電圧センサ22)と、前記複数のセルの何れかのセルの端子間電圧が所定電圧(例えば、実施の形態における回生制限電圧VR)を超えたことを判定するセル電圧判定手段(例えば、実施の形態におけるステップS02)と、前記何れかのセルの端子間電圧が前記所定電圧を超えたときに、前記総電圧検出手段で検出された前記総電圧に基づいて解除判定電圧(例えば、実施の形態における解除判定電圧SVL)を設定する解除判定電圧設定手段(例えば、実施の形態におけるステップS08)と、前記所定電圧を超えたと判定された前記セルの端子間電圧が、前記総電圧検出手段で検出された総電圧の検出値が前記解除判定電圧を下回ったときに(例えば、実施の形態におけるステップS10の「NO」側)、前記所定電圧を超えた状態が継続している場合に(例えば、実施の形態におけるステップS02の「YES」側)、前記電圧検出回路に故障があったと判定する故障判定手段(例えば、実施の形態におけるステップS07)とを備えることを特徴としている。
【0006】
上記構成の電圧検出回路の故障検知装置によれば、セル電圧判定手段は、何れかのセルの端子間電圧が所定電圧、例えば過充電の虞があるセルの放電を実行するか否かを判定するための判定値等を超えたことを判定する。解除判定電圧設定手段は、何れかのセルの端子間電圧が所定電圧を超えた場合に、総電圧検出手段で検出された総電圧に基づいて解除判定電圧、例えば所定電圧を超えたと判定されたセルの端子間電圧がセルの放電処理を解除するための判定値に到達するときの総電圧の予測値等を設定する。
故障判定手段は、所定電圧を超えたと判定されたセルの端子間電圧が、総電圧検出手段で検出された総電圧の検出値が解除判定電圧を下回ったときにおいても、所定電圧以上である状態が継続しているときに、セルの端子間電圧の検出値が異常であると判断し、電圧検出回路に故障が生じていると判定する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る電圧検出回路の故障検知装置について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による電圧検出回路の故障検知装置10は、例えば燃料電池車両やハイブリッド車両等の車両に搭載されており、例えば図1に示すように、燃料電池11と、電流・電圧制御器12と、キャパシタ13と、出力制御器14と、走行用モータ15と、保護装置16と、制御装置17と、電流センサ21と、電圧センサ22と、キャパシタ温度センサ23と、アクセル開度センサ31と、ブレーキスイッチ32と、IGスイッチ33とを備えて構成される燃料電池車両においては、例えば、保護装置16と、制御装置17と、電圧センサ22とを備えて構成されている。
【0008】
燃料電池11は、陽イオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜を、アノード触媒およびガス拡散層からなる燃料極(アノード)と、カソード触媒およびガス拡散層からなる酸素極(カソード)とで挟持してなる電解質電極構造体を、更に一対のセパレータで挟持してなる燃料電池セルを多数組積層して構成されている。
燃料電池11のアノードには、高圧の水素タンクによって水素からなる燃料ガス(反応ガス)が供給され、アノードのアノード触媒上で触媒反応によりイオン化された水素は、適度に加湿された固体高分子電解質膜を介してカソードへと移動し、この移動に伴って発生する電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギーとして利用される。カソードには、例えば酸素を含む酸化剤ガス(反応ガス)である空気がエアーコンプレッサによって供給され、このカソードにおいて、水素イオン、電子及び酸素が反応して水が生成される。
【0009】
燃料電池11から取り出される発電電流は電流・電圧制御器12に入力されており、この電流・電圧制御器12には、蓄電装置をなす、例えば電気二重層コンデンサや電解コンデンサ等からなるキャパシタ13が接続されている。
そして、燃料電池11とキャパシタ13は、出力制御器14を介して、電気的負荷である走行用モータ15に対して並列に接続されている。
電流・電圧制御器12は、例えばDC−DCチョッパ等を備えて構成されており、制御装置17から出力される電流指令値つまり燃料電池11に対する発電指令に基づいて、燃料電池11から取り出される発電電流の電流値を制御する。
【0010】
出力制御器14は、例えばパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータを備えており、制御装置17から出力される制御指令に応じて走行用モータ15の駆動および回生動作を制御する。例えば走行用モータ15の駆動時には、制御装置17から出力されるトルク指令に基づき、電流・電圧制御器12およびキャパシタ13から出力される直流電力を3相交流電力に変換して走行用モータ15へ供給する。一方、走行用モータ15の回生時には、走行用モータ15から出力される3相交流電力を直流電力に変換し、キャパシタ13を充電する。
なお、走行用モータ15は、例えば界磁として永久磁石を利用する永久磁石式の3相交流同期モータとされており、出力制御器14から供給される3相交流電力により駆動制御されると共に、車両の減速時に駆動輪側から走行用モータ15側に駆動力が伝達されると、走行用モータ15は発電機として機能していわゆる回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。
【0011】
キャパシタ13は、例えば電気二重層コンデンサや電解コンデンサ等からなる複数のキャパシタセルが直列に接続されて構成されており、キャパシタ13には各キャパシタセルの入出力端子に接続された電圧検出線を介して保護装置16が接続されている。
保護装置16は、例えば、各キャパシタセルの端子間電圧(セル電圧)を検出するセル電圧検出回路と、各キャパシタセルへ通電される充電電流をバイパスし、各キャパシタセルを放電可能なバイパス回路と、バイパス制御部と、セル電圧判定部とを備えて構成され、セル電圧検出回路およびバイパス回路は、電圧検出線を介して各キャパシタセルに並列に接続されている。
【0012】
バイパス回路は、例えば、バイパス抵抗およびバイパス抵抗への通電のオン/オフを切替可能なスイッチング素子を備えて構成されている。
バイパス制御部は、バイパス回路のスイッチング素子のオン/オフ動作を制御しており、制御装置17から出力される制御指令や、キャパシタセルのセル電圧が所定の回生制限電圧VR(例えば、VR=2.5V)を超えたことを示す判定結果に応じて、スイッチング素子をオン状態に設定する論理「ハイ」レベルのオン信号を出力する。これにより、対応するキャパシタセルはバイパス抵抗を介して放電すると共に、このキャパシタセルへ通電される充電電流はバイパス抵抗へバイパスされるようになっている。
セル電圧判定部は、各セル電圧が、所定の回生制限電圧VR(例えば、VR=2.5V)や、回生制限電圧VRよりも大きな値の回生禁止電圧VU(例えば、VU=2.7V)等の各判定値を超えたか否かを判定し、各判定結果をバイパス制御部や制御装置17へ出力する。
【0013】
制御装置17は、例えば、車両の運転状態や、燃料電池11のアノードに供給される反応ガスに含まれる水素の濃度や、燃料電池11のアノードから排出される排出ガスに含まれる水素の濃度や、燃料電池11の発電状態、例えば各複数の燃料電池セルの出力電圧や、燃料電池11から取り出される発電電流等に基づき、エアーコンプレッサおよび水素タンクから燃料電池11へ供給される各反応ガスの流量に対する指令値を出力し、燃料電池11の発電状態を制御すると共に、燃料電池11に対する発電指令を電流・電圧制御器12へ出力し、燃料電池11から取り出される発電電流の電流値を制御する。
【0014】
また、制御装置17は、出力制御器14に具備されたPWMインバータの電力変換動作を制御しており、例えば走行用モータ15の駆動時においては、運転者によるアクセルペダルの踏み込み操作量等に係るアクセル開度の信号に基づいてトルク指令を算出する。そして、制御装置17が、このトルク指令を出力制御器14に入力することで、トルク指令に応じたパルス幅変調信号がPWMインバータに入力され、要求されたトルクを発生させるための各相電流が走行用モータ15の各相へと出力される。
さらに、制御装置17は、キャパシタ13の状態、例えば保護装置16の各セル電圧検出回路から出力される各キャパシタセルのセル電圧の検出結果や、例えばキャパシタ13の温度や、複数のキャパシタセルのセル電圧の和である総電圧の検出値に基づき、走行用モータ15の回生動作を制御する。
このため、制御装置17には、例えば、燃料電池11から取り出される発電電流の電流値を検出する電流センサ21から出力される検出信号と、セル電圧の総和である総電圧を検出する電圧センサ22から出力される検出信号と、キャパシタ13の温度を検出するキャパシタ温度センサ23から出力される検出信号と、アクセル開度センサ31から出力される検出信号と、運転者によるブレーキ操作の有無を検知するブレーキスイッチ32から出力される信号と、車両の作動を指示するIGスイッチ33から出力される信号とが入力されている。
【0015】
さらに、制御装置17は、保護装置16のセル電圧判定部から出力される各判定結果、つまり各セル電圧が、所定の回生制限電圧VRや回生禁止電圧VU等の各判定値を超えたか否かの判定結果と、キャパシタ13の状態、例えばキャパシタ13の温度や、複数のキャパシタセルのセル電圧の和である総電圧の検出値(総電圧検出値SVE)に基づき、走行用モータ15の回生動作を制御する。
さらに、制御装置17は、後述するように、何れかのキャパシタセルのセル電圧が所定の回生制限電圧VRを超えたと判定されたときに、このキャパシタセルのセル電圧が、回生制限電圧VR以下の所定の判定電圧VTに到達するときの総電圧(つまり、解除判定電圧SVL)を予測する。そして、制御装置17は、何れかのキャパシタセルのセル電圧が所定の回生制限電圧VRを超えた状態が継続される状態で、検出される総電圧検出値SVEが解除判定電圧SVL未満であることを検知したときに、キャパシタセルのセル電圧の検出値が異常であると判断し、保護装置16のセル電圧検出回路に故障が生じていると判定する。
【0016】
本実施の形態による電圧検出回路の故障検知装置10は上記構成を備えており、次に、この電圧検出回路の故障検知装置10の動作について添付図面を参照しながら説明する。
【0017】
先ず、例えば図2に示すステップS01においては、キャパシタ13の各キャパシタセルのセル電圧を検出する。
次に、ステップS02においては、何れかのセル電圧が所定の回生制限電圧VR(例えば、VR=2.5V)を超えたか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS05に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS03に進む。
ステップS03においては、何れかのセル電圧が所定の回生制限電圧VRを超えた後に解除判定電圧SVLを設定したことを示すフラグFのフラグ値にゼロを設定して、フラグFをリセットする。
そして、ステップS04においては、保護装置16のセル電圧検出回路は正常であると判定し、一連の処理を終了する。
【0018】
また、ステップS05においては、フラグFのフラグ値がゼロか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS10に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS06に進む。
【0019】
ステップS06においては、総電圧検出値SVEが所定の総電圧判定値よりも大きいか否かを判定する。ここで、所定の総電圧判定値とは、例えば、何れかのセル電圧が所定の回生制限電圧VR(例えば、VR=2.5V)を超えた場合に検出される総電圧検出値SVEの検出下限値等である。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS07に進み、キャパシタセルのセル電圧の検出値が異常であると判断し、保護装置16のセル電圧検出回路に故障が生じていると判定して、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS08に進む。
ステップS08においては、解除判定電圧SVLを設定する。
ここでは、例えば、所定の回生制限電圧VRを超えたキャパシタセルのセル電圧が、回生制限電圧VR(例えば、VR=2.5V)以下の所定の判定電圧VT(例えば、VT=2.4V等)に到達するときの総電圧を予測し、この予測値を解除判定電圧SVLとして設定する。例えば、この時点で検出されるキャパシタ13の総電圧検出値SVEから、回生制限電圧VRと判定電圧VTとの差分のキャパシタセルの個数N分の総和((VR−VT)×N)を減算して得た値を、解除判定電圧SVLとして設定する。
【0020】
そして、ステップS09においては、何れかのセル電圧が所定の回生制限電圧VRを超えた後に解除判定電圧SVLを設定したことを示すフラグFのフラグ値に1を設定し、ステップS10に進む。
そして、ステップS10においては、総電圧検出値SVEが解除判定電圧SVLよりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS07に進み、キャパシタセルのセル電圧の検出値が異常であると判断し、保護装置16のセル電圧検出回路に故障が生じていると判定して、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS04に進み、保護装置16のセル電圧検出回路は正常であると判定し、一連の処理を終了する。
【0021】
上述したように、本実施の形態による電圧検出回路の故障検知装置10によれば、各キャパシタセルのセル電圧の検出値と、総電圧検出値SVEとに基づき、例えば専用の検査装置等を新たに備える必要無しに、セル電圧を検出する電圧検出回路の故障の有無を精度良く容易に判定することができる。
【0022】
なお、上述した実施の形態においては、走行用モータ15と電気エネルギーの授受を行う蓄電装置をキャパシタ13としたが、これに限定されず、例えばリチウムイオン電池等の二次電池からなる複数のセルを直列に接続してなる組電池等であってもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明の電圧検出回路の故障検知装置によれば、例えば装置構成が複雑化することを抑制しつつ、電圧検出回路の故障の有無を精度良く容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る電圧検出回路の故障検知装置の構成図である。
【図2】 図1に示す電圧検出回路の故障検知装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 電圧検出回路の故障検知装置
13 キャパシタ(蓄電装置)
22 電圧センサ(電圧検出手段)
ステップS02 セル電圧判定手段
ステップS08 解除判定電圧設定手段
ステップS07 故障判定手段
Claims (1)
- 複数のセルが直列に接続されてなる蓄電装置の各前記セルの端子間電圧を検出するセル電圧検出手段を具備する電圧検出回路の故障検知装置であって、
前記複数のセルの端子間電圧の和である前記蓄電装置の総電圧を検出する総電圧検出手段と、
前記複数のセルの何れかのセルの端子間電圧が所定電圧を超えたことを判定するセル電圧判定手段と、
前記何れかのセルの端子間電圧が前記所定電圧を超えたときに、前記総電圧検出手段で検出された前記総電圧に基づいて解除判定電圧を設定する解除判定電圧設定手段と、
前記所定電圧を超えたと判定された前記セルの端子間電圧が、前記総電圧検出手段で検出された総電圧の検出値が前記解除判定電圧を下回ったときに、前記所定電圧を超えた状態が継続している場合に、前記電圧検出回路に故障があったと判定する故障判定手段と
を備えることを特徴とする電圧検出回路の故障検知装置。
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