JP4614520B2 - ガス栓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内部を流れるガスに対する流通抵抗の改善を図ったガス栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ガス栓には、その大きさに応じて1/2インチ、3/4インチ、1インチ等のものがある。また、ガス栓に接続するフレキシブルガス管には、8A、、10A、15A、20A等のものがある。そして、使用するガス器具のガス消費量に基づいてガス栓及びフレキシブルガス管を選定されている。例えば、16号の給湯器では、1/2インチのガス栓と15Aのフレキシブルガス管が選定される。また、1/2インチのガス栓の流量の規格は、2.0m3/hであり、この流量は10A以上のフレキシブルガス管を接続しなければ満足できなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のガス栓とそれに接続されるフレキシブルガス管とは、一定の関係があったが、本出願の発明者が鋭意研究したところ、ガス栓のガスに対する流通抵抗を小さくすれば、より小さいフレキシブルガス管を用いても必要流量を確保することができ、それによって配管の費用を低減することができる。逆に、一定の大きさのフレキシブルガス管を用いれば、ガス栓を小容量のガス器具から大容量のガス器具まで兼用することができるという知見を得るに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、第1の発明は、内部にガス通路が形成された栓本体と、この栓本体に開位置と閉位置との間を変位可能に設けられ、上記ガス通路を上流側部分と下流側部分とに二分する弁体とを備え、上記弁体が上記開位置に位置しているときには、上記ガス通路の上流側部分と下流側部分とが上記弁体の内部を貫通する連通孔を介して連通し、上記弁体が閉位置に位置しているときには、上記ガス通路の上流側部分と下流側部分とが上記弁体によって遮断されるガス栓において、上記ガス通路の上記弁体より下流側部分に、下流側へ向かって拡径するテーパ孔部が形成され、上記テーパ孔部の下流側端縁が上記下流側部分の下流側の端縁と一致するように、上記テーパ孔部が上記下流側部分の下流側の開口部に配置され、上記下流側部分が開口する上記栓本体の端部の外周には接続ナットの一端部が回動可能に設けられ、この接続ナットの他端部内周にはガス管等の管部が上記下流側部分の下流側端縁から下流側に離間した状態で螺合固定される雌ねじ部が形成され、上記接続ナットの他端部内周に形成された雌ねじ部が、上記接続ナットの一端側から他端側へ向かって拡径するテーパ雌ねじ部であり、このテーパ雌ねじ部の小径側端縁の内径が上記テーパ孔部の下流側端縁の内径より大径に設定され、上記テーパ孔部の下流側端縁をそのテーパ角度で延長したとき、その延長された下流側端縁が上記テーパ雌ねじ部に螺合固定された管部の内周面の開口端縁とほぼ一致するように、上記テーパ孔部が形成されていることを特徴としている。
【0005】
また、上記の知見に基づいてなされた第2の発明は、内部にガス通路が形成された栓本体と、この栓本体に開位置と閉位置との間を変位可能に設けられ、上記ガス通路を上流側部分と下流側部分とに二分する弁体と、上記下流側部分が開口する上記栓本体の端部に基端部が回動可能に、かつ気密に設けられ、先端部外周に雄ねじ部が形成された接続筒とを備え、上記弁体が上記開位置に位置しているときには、上記ガス通路の上流側部分と下流側部分とが上記弁体の内部を貫通する連通孔を介して連通し、上記弁体が上記閉位置に位置しているときには、上記ガス通路の上流側部分と下流側部分とが上記弁体によって遮断されるガス栓において、上記接続筒の内部の下流側の開口部に上流側から下流側へ向かって拡径するテーパ孔部を形成し、このテーパ孔部の上流側端部及びこれに上流側に続く上記接続筒部の内径を上記下流側部分の内径とほぼ同一にしたことを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図1〜図4を参照して説明する。
図1及び図2は、第1の発明の一実施の形態を示す。この実施の形態のガス栓Aは、I型ガス栓と称されるものであり、略一直線状に延びる栓本体1を備えている。この栓本体1の内部には、栓本体1の一端面から他端面まで貫通するガス通路11が形成されている。このガス通路11は、いずれの箇所においても断面円形をなしており、後述するテーパ孔部11aを除いてほぼ一定の内径を有している。
【0007】
ガス通路11の上流側端部(図1、図2において右端部)には、金属製の蛇腹管F1、及びその外周を覆う樹脂製の被覆管F2からなるフレキシブルガス管Fが接続される。すなわち、ガス通路11の上流側端部には、周知の継手装置2が設けられるとともに、継手装置2より若干下流側に環状のパッキン3がガス通路11と同芯に固定されている。そして、継手装置2の内部を貫通した蛇腹管F1の先端部がパッキン3に押し付けられ、パッキン3と継手装置2の先端部とによって蛇腹管F1の一山又は複数山が押し潰されることにより、蛇腹管F1の内部がパッキン3を介してガス通路11に気密に接続され、蛇腹管F1からガス通路11にガスが供給されるようになっている。
【0008】
ガス通路11の上流側端部には、フレキシブルガス管Fに代えて剛性を有するガス管を接続してもよい。その場合には、継手装置2およびパッキン3が不用であり、ガス通路11の上流側端部にテーパ雌ねじ部を形成する。そして、このテーパ雌ねじ部にガス管を螺合固定すればよい。
【0009】
栓本体1の下流側端部の外周には、接続ナット4の一端部がガス通路11の軸線を中心として回動可能に、かつ気密に嵌合されている。この接続ナット4の他端部内周には、テーパ雌ねじ部41がその軸線をガス通路11の軸線と一致させて形成されている。このテーパ雌ねじ部41には、ガス管、ガスコンロ等の各種のガス器具の管部Gが螺合固定され、ガス栓Aを開状態にするとガス通路11から管部Gのガス孔G1を介してガス管又はガス器具にガスが供給される。接続ナット4には、テーパ雌ねじ部41に代えて、ストレートな雌ねじ部を形成してもよい。
【0010】
栓本体1の長手方向のほぼ中央部には、テーパ孔状をなす弁収容孔12が形成されている。この弁収容孔12は、ガス通路11を横断するように配置されている。これにより、ガス通路11が、弁収容孔12より上流側の上流側部分11Aと、弁収容孔12から下流側の下流側部分11Bとに二分されている。
【0011】
弁収容孔12には、弁体5が回動自在にかつ気密に嵌合されている。この弁体5には、その軸線と直交する方向に貫通する連通孔51が形成されている。この連通孔51は、ガス通路11とほぼ同一の内径を有している。しかも、連通孔51は、弁体5を図1に示す開位置に回動させると、ガス通路11と一直線上に並ぶように配置されている。したがって、弁体5を開位置に回動させると、ガス通路11の上流側部分11Aと下流側部分11Bとが連通孔51を介して連通する。弁体5を図1に示す開位置からほぼ90°回動させて閉位置に位置させると、弁体5が上流側部分11Aと下流側部分11Bとの間を遮断する。なお、弁体5は、ハンドル6によって回動操作されるようになっている。
【0012】
ガス通路11の下流側部分11Bの下流側端部には、テーパ孔部11aが形成されている。このテーパ孔部11aは、上流側から下流側へ向かって拡径しており、上流側端部の内径(最小径)は下流側部分11Bの内径と同一になっている。一方、テーパ孔部11aの内径は、栓本体1の他端面13において最大になっている。しかも、テーパ孔部11aは、その内周面をテーパ孔部11aのテーパ角度をもって管部G側に延長したとき、管部Gの内周面の先端縁とほぼ一致するように、その寸法及びテーパ角度が設定されている。
【0013】
上記構成のガス栓Aにおいては、ガス通路11にテーパ孔部11aが形成されており、このテーパ孔部11aが下流側へ向かって大径になっているから、テーパ孔部11aが形成されていない場合に比して、ガスの流れに対するガス通路11の内部抵抗を減らすことができる。したがって、ガスの流量を増大させることができる。逆に同一のガスの量を流すのであれば、小径のフレキシブルガス管Fを用いることができる。
【0014】
また、下流側部分11Bが開口する端部に接続ナット4が設けられ、この接続ナット4のテーパ雌ねじ41の最小径が下流側部分11Bの内径より大径であるため、仮にテーパ孔部11aが形成されていないと、テーパ雌ねじ部41と下流側部分11Bとの内径差が大きいため、それらの間において乱流が発生し、流通抵抗が増大する。この点、この実施の形態においては、テーパ孔部11aを下流側部分11Bの下流側開口部に形成しているので、テーパ雌ねじ部41の小径側端部の内径とテーパ孔部11aの大径側端部の内径との差を小さくすることができる。したがって、テーパ雌ねじ部41とテーパ孔部11aとの間に発生する乱流を小さくすることができ、それによってガスの流通抵抗を小さくすることができる。特に、この実施の形態においては、テーパ孔部11aの内周面をそのテーパ角度で延長したとき、その延長部分が管部Gのガス孔G1の内周面の開口端部と一致するようになっているから、テーパ孔部11aから接続ナット4内に流出したガスをより一層スムースにガス孔G1に流入させることができ、これによってガスの流通抵抗をより小さくすることができる。
【0015】
次に、上記ガス栓Aの効果を確認するために行った実験データを紹介する。この実験においては、本件発明に係るガス栓と従来のガス栓とで、前者にはガス通路11の下流側部分11Bの下流側開口部にテーパ孔部11aを形成したのに対し、後者にはテーパ孔部11aを形成することなく、図1において想像線で示すように、下流側部分11B全体を一様な内径にした。その他の構成は、本件発明品と従来品とで同一にした。そして、ガス栓の入口と出口の圧力差を0.1KPaとし、日本工業規格で定められた流量試験法に則って流量試験を行った。
その結果、従来のガス栓では、ガスの流量が3.5m3/hであったのに対し、本願発明のガス栓の流量は、5.4m3/hあり、流量効率を50%以上向上させることができた。
【0016】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態については、上記の実施の形態と異なる構成についてのみ説明することとし、同様な構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0017】
図3は、第1の発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態のガス栓Bは、L型ガス栓と称されるものであり、図3において上下に延びる栓本体1の一側部には、突出部14が形成されている。この突出部14の先端面14aにガス通路11の下流側部分11Bが開口しており、下流側部分11Bは上流側部分11Aに対してほぼ直交する方向に延びている。また、弁体5の連通孔51は、ほぼ直角に屈曲しており、その一端部は弁体5の小径側の端面に開口し、他端部は弁体5の外周面に開口している。連通孔51の一端開口部は、上流側部分11Aと軸線を一致させており、上流側部分11Aと常時連通している。連通孔51の他端開口部は、弁体5を図3に示す開位置に回動させると、下流側部分11Bと軸線を一致させて連通する。弁体5を開位置から90°回動させて閉位置に位置させると、連通孔51の他端開口部が下流側部分11Bから離れる。この結果、上流側部分11Aと下流側部分11Bとが弁体5によって遮断される。なお、連通孔51の内径は、その全長にわたってほぼ一定であり、少なくとも一端開口部の内径と他端開口部の内径とは、互いに同一で、しかも上流側端部11A及び下流側端部11Bの内径と同一になっている。
【0018】
図4は、第2の発明の一実施の形態を示す。この実施の形態のガス栓Cにおいては、突出部14に接続ナット4に代えて接続筒7の基端部が回動可能にかつ気密に嵌合されている。接続筒7の先端部外周には、ガス管、ガスコンロの接続口等の管部Gが螺合固定されるテーパ雄ねじ部(ねじ部)71が形成されている。
このテーパ雄ねじ部71に代えてストレートな雄ねじ部を形成してもよい。
【0019】
接続筒7の内部には、その基端側から先端側へ向かって、嵌合孔部72、ストレート孔部73及びテーパ孔部74が形成されている。嵌合孔72には、栓本体1の突出部14が回動可能に、かつ気密に嵌合されている。これにより、接続筒7が栓本体1に回動可能に、かつ気密に取り付けられている。ストレート孔部73は、下流側部分11Bと軸線を一致させ、かつ同径に形成されている。テーパ孔部74は、ストレート孔部72と同軸に配置されており、上流側から下流側へ向かうにしたがって大径になっている。テーパ孔部73の上流側の端部の内径(最小径)は、ストレート孔部72と同径に形成されている。
【0020】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、弁体5を回動させることによって開閉するように構成されているが、弁体を直動させることによって開閉状態を切り替えるようにしてもよい。
また、テーパ孔部11aをガス通路11の下流側部分11Bの下流側の開口端部に形成しているが、下流側部分11Bのうちの上流側端部又は中間部に形成してもよい。その場合、テーパ孔部11aより下流側の部分については、テーパ孔部11aの下流側端部の内径(最大内径)と同等にするのが望ましい。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ガス栓の内部を流れるガスの流量を増大させることができる。したがって、ガスの流量を一定にするのであれば、ガス栓を小型化したり、あるいはガス栓に接続される供給側のガス管の内径を小さくすることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の第1の実施の形態を開弁状態で示す断面図である。
【図2】同実施の形態のガス通路の上流側部分にフレキシブルガス管を接続した状態で示す図1と同様の断面図である。
【図3】第1の発明の第2の実施の形態を示す図1と同様の断面図である。
【図4】第2の発明の一実施の形態を示す図1と同様の断面図である。
【符号の説明】
A ガス栓
B ガス栓
C ガス栓
G 管部
G1 ガス孔
1 栓本体
4 接続ナット
5 弁体
7 接続筒
11 ガス通路
11A 上流側部分
11B 下流側部分
11a テーパ孔部
41 テーパ雌ねじ部
71 テーパ雄ねじ部(雄ねじ部)
74 テーパ孔部
Claims (2)
- 内部にガス通路が形成された栓本体と、この栓本体に開位置と閉位置との間を変位可能に設けられ、上記ガス通路を上流側部分と下流側部分とに二分する弁体とを備え、上記弁体が上記開位置に位置しているときには、上記ガス通路の上流側部分と下流側部分とが上記弁体の内部を貫通する連通孔を介して連通し、上記弁体が閉位置に位置しているときには、上記ガス通路の上流側部分と下流側部分とが上記弁体によって遮断されるガス栓において、
上記ガス通路の上記弁体より下流側部分に、下流側へ向かって拡径するテーパ孔部が形成され、
上記テーパ孔部の下流側端縁が上記下流側部分の下流側端縁と一致するように、上記テーパ孔部が上記下流側部分の下流側の開口部に配置され、
上記下流側部分が開口する上記栓本体の端部の外周には接続ナットの一端部が回動可能に設けられ、この接続ナットの他端部内周にはガス管等の管部が上記下流側部分の下流側端縁から下流側に離間した状態で螺合固定される雌ねじ部が形成され、
上記接続ナットの他端部内周に形成された雌ねじ部が、上記接続ナットの一端側から他端側へ向かって拡径するテーパ雌ねじ部であり、このテーパ雌ねじ部の小径側端縁の内径が上記テーパ孔部の下流側端縁の内径より大径に設定され、
上記テーパ孔部の下流側端縁をそのテーパ角度で延長したとき、その延長された下流側端縁が上記テーパ雌ねじ部に螺合固定された管部の内周面の開口端縁とほぼ一致するように、上記テーパ孔部が形成されていることを特徴とするガス栓。 - 内部にガス通路が形成された栓本体と、この栓本体に開位置と閉位置との間を変位可能に設けられ、上記ガス通路を上流側部分と下流側部分とに二分する弁体と、上記下流側部分が開口する上記栓本体の端部に基端部が回動可能に、かつ気密に設けられ、先端部外周に雄ねじ部が形成された接続筒とを備え、上記弁体が上記開位置に位置しているときには、上記ガス通路の上流側部分と下流側部分とが上記弁体の内部を貫通する連通孔を介して連通し、上記弁体が上記閉位置に位置しているときには、上記ガス通路の上流側部分と下流側部分とが上記弁体によって遮断されるガス栓において、
上記接続筒の内部の下流側の開口部に上流側から下流側へ向かって拡径するテーパ孔部を形成し、このテーパ孔部の上流側端部及びこれに上流側に続く上記接続筒部の内径を上記下流側部分の内径とほぼ同一にしたことを特徴とするガス栓。
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