JP4614158B2 - 新規セスキテルペン系化合物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、癌細胞の増殖抑制活性を有する新規セスキテルペン系化合物及びその製造方法に関する
癌に対して、従来より種々の抗癌剤や免疫増強剤が開発されている。なかでも、従来から用いられているキノコ由来の医薬品としてクレスチンが臨床使用されている。しかし、その免疫増強効果は、臨床上何人にも発現するわけではなく、また副作用として食欲不振、下痢、嘔吐等が認められるという問題点がある。
特開2003−252876号公開公報(特許文献1)には、冬虫夏草の一種であるハナサナギタケ(Isaria japonica)から採取された癌細胞増殖抑制活性を有する化合物が開示されている。
特開2003−252876号公開公報
本発明は、癌細胞の増殖抑制活性を有する新規化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、冬虫夏草の栽培体の低級アルコール、アセトン、酢酸エチル、エーテル、又はクロロホルム等による抽出エキスより新規なセスキテルペン系化合物の単離精製に成功し、更にこの化合物が骨髄性白血病細胞の増殖抑制活性を有することを見出し、これらの知見をもとに本発明を完成させるに至った。
本発明は、即ち以下よりなる。
1.式(I):
Figure 0004614158

で表されるセスキテルペン系化合物。
2.前項1に記載の化合物を、冬虫夏草から採取することを特徴とする、セスキテルペン系化合物の製造方法。
3.前項1に記載の化合物を、既知物質4−アセチル−12,13−エポキシ−9−トリコテセン−3,15−ジオールから合成することを特徴とする、セスキテルペン系化合物の製造方法。
4.上記冬虫夏草が、穀類、又は穀類及び酵母もしくはその抽出物を添加した培地で人工栽培されたものである、前項2に記載の製造方法。
本発明の新規なセスキテルペン系化合物は、骨髄性白血病細胞の増殖抑制活性を有し、癌に対する予防及び/又は治療に有用である。また、前記化合物を含有する冬虫夏草を人工栽培することで、前記化合物を効率的、安定的に大量に製造することができる。更に、この冬虫夏草の栽培体より抽出・精製を行うことで、前記化合物を効率良く回収することができる。
以下、本発明を詳述する。
本発明のセスキテルペン系新規化合物は、冬虫夏草から採取することができ、好ましくは麦角菌科冬虫夏草属のキノコであるハナサナギタケ(Isaria japonica)から取得することができる。また本発明のセスキテルペン系新規化合物は、合成によっても取得することができる。
まず、式(I)に記載した本発明のセスキテルペン系新規化合物を、麦角菌科冬虫夏草属のキノコであるハナサナギタケから取得する方法について説明する。
本化合物が取得される麦角菌科冬虫夏草属のキノコであるハナサナギタケは、日本、台湾、中国、ネパール等に分布し、発生時期は3〜11月である。ガの蛹、幼虫等に寄生して養分を摂取して増殖し、虫の死骸より淡黄色の子実体を発生する。
式(I)に記載した本発明のセスキテルペン系化合物は、ハナサナギタケの子実体から抽出される。子実体乾燥物を、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなど)、アセトン、酢酸エチル、エーテル、クロロホルム、又はクロロホルム−メタノール等に、例えば、室温で半日から3日浸漬する。得られた抽出エキスを減圧下濃縮し、得られた飴状のエキスを水に溶解後、酢酸エチル、エーテル、クロロホルム、アセトン、ヘキサン等で抽出する。得られた抽出物を通常の分離に用いられるシリカゲルクロマトグラフィーや分取薄層クロマトグラフィー、更には高速液体クロマトグラフィー等を組合わせて精製することにより、式(I)に示した本発明のセスキテルペン系新規化合物、即ち、化合物テヌイペシン(tenuipesine)を無色不定形固体として単離精製することができる。
また、既知物質4-アセチル-12,13-エポキシ-9-トリコテセン-3,15-ジオール(4-Acetyl-12,13-epoxy-9-trichothecene-3,15-diol)(Gi-Su OH et al., Biol. Pharm. Bull., 24(7), 785(2001))から、誘導体として式(I)のセスキテルペン系新規化合物を得ることができる。上記既知物質は、ハナサナギタケより単離して得ることも可能であり、合成によって得ることも可能である。得られた4-アセチル-12,13-エポキシ-9-トリコテセン-3,15-ジオールに、ジエチル亜鉛及びヨウ化メチレンを用いた転移反応を行うことで、式(I)の本発明のセスキテルペン系新規化合物テヌイペシンを取得することができる。
得られたテヌイペシンの1H NMR、13C NMRを図1、図2に示した。またこれらのマススペクトルに関しては下記表1の通りである。
Figure 0004614158

これらの結果より、テヌイペシンの構造を以下の構造であると決定した。
Figure 0004614158

本発明のテヌイペシンの原料である冬虫夏草は、それ自体を天然から大量に入手することが非常に難しく、また、冬虫夏草中の上記化合物テヌイペシンの含有量が極微量であるため、その回収が困難である場合が多い。冬虫夏草の人工栽培方法としては種々提案されており、なかでも特開平10−42691号に示されるような、蚕の蛹成分を培地の主成分とする方法など、動物性成分を培地に含有させ、自然界と近い栄養状態を作り出すことで人工栽培する方法が多い。しかし、このような方法であっても、新規化合物は、極微量か、又は検出できない場合も多く、これを回収することが非常に困難である。
そこで本発明の化合物の製造方法は、穀類、又は穀類及び酵母もしくはその抽出物を添加した培地で上記冬虫夏草を人工栽培する工程を、さらに含むことが好ましい。
穀類等の添加した培地で栽培する上述の冬虫夏草の人工栽培法は、次のとおりである。まず、米、米糠、粟、麦等の穀類に、豆皮、おから等の豆類、サナギ粉、魚粉、煮干粉粉砕物等の動物粉、又は酵母もしくはその抽出物、のいずれか一つ又は複数を水等に添加する。又は、おが屑、コーンコブ粉砕物等の培養基材に、穀類、又は穀類及び酵母もしくはその抽出物を加え、更に豆類、動物粉等を添加しても良い。このように冬虫夏草を穀類、又は穀類及び酵母もしくはその抽出物を添加した培地で人工栽培することで、上述した本発明の新規化合物テヌイペシンを、効率よく取得することができる。
上記人工栽培は、具体的には、上述した培地にハナサナギタケ等の冬虫夏草の種菌を接種して行う。該人工栽培により、効率良く冬虫夏草の栽培体を得ることができる。その後、菌糸培養工程、菌掻き工程、芽出し工程、生育工程を経て冬虫夏草子実体の収穫が行われる。このようにして人工栽培した冬虫夏草の子実体を用いて、前述の方法を行うことにより、本発明のセスキテルペン系化合物を得ることができる。
このようにして得られた本発明のセスキテルペン系化合物は、癌細胞の増殖抑制活性を有することを特徴とする。上記化合物テヌイペシンは、骨髄性白血病細胞HL−60の増殖抑制能を有する。HL−60細胞は、癌細胞のアポトーシス研究によく利用されているが、既知物質(4-アセチル-12,13-エポキシ-9-トリコテセン-3,15-ジオール)も、HL−60の増殖抑制、アポトーシス作用があることが報告されている(Gi-Su OH et al., Biol. Pharm. Bull., 24(7), 785(2001))。
なお本発明のセスキテルペン系化合物テヌイペシンは、上述した化学構造を有するものであれば、上記効果を奏するもの、上述した本発明の製造方法にて得られたものに限定されるものではない。
本発明のセスキテルペン系化合物テヌイペシンは、医薬として許容できる担体とを含む、癌細胞の増殖抑制活性を有する医薬組成物とすることができる。この医薬組成物は、癌の予防用及び/又は治療用の医薬組成物として有用である。
本発明のセスキテルペン系化合物テヌイペシンは、癌の予防及び/又は治療に有効な食品組成物とすることができる
また、上記医薬組成物又は食品組成物は、冬中夏草からの部分精製品であって、上記セスキテルペン系化合物テヌイペシンを含むものとすることができる。
本明細書中において部分精製品とは、冬虫夏草子実体(キノコ)の乾燥物等から、例えば有機溶媒や熱水等で抽出した抽出エキス、及び抽出エキスを完全精製に至るまでの任意の純度まで精製したものをいう。部分精製品は、任意の純度の前記化合物テヌイペシンを含有する。部分精製品の形態としては、水性液や、減圧濃縮し乾固させた固体、凍結乾燥品などの液状物や固形物の形態を挙げることができる。本発明の上記化合物が生理的に有害な溶媒中に存在するようにして上記医薬組成物又は食品組成物に用いる場合には、部分精製品は、乾燥させたものか、又はその乾燥物を生理的に許容できる溶媒中に溶解、懸濁又は乳化させたものをさす。
本明細書における「医薬として許容できる担体」は、添加剤も含む。当該「医薬として許容できる担体」としては、例えば、賦形剤(例えば、デンプン、ブドウ糖、果糖、ソルビトール、マンニトール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、乳糖、ショ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、デキストリン)、結合剤(例えば、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、カルボシキメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、デンプン、ショ糖)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース)、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、滑沢剤(例えば、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ケイ酸マグネシウム、タルク)、希釈剤(例えば、水、食塩水、大豆油、ゴマ油、オリーブ油のような植物油)、軟膏基材(例えば、パラフィン、ラノリン、白色ワセリン)、矯味剤(例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルのようなパラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸ナトリウム)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、ブドウ糖、マンニトール)などの、当業者公知の種々のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のセスキテルペン系化合物テヌイペシンを使用した医薬組成物は、上述した「医薬上許容される担体」に加えて適宜の香料、色素等をともに用いて、ペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、ゼラチン等で被覆してカプセルに加工して利用することもできる。医薬組成物の形態として、当業者公知の種々の形態の医薬製剤、例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤及びトローチ剤等の経口剤、並びに注射剤、点眼剤、エアゾール剤、経皮吸収剤及び坐剤等の非経口剤が挙げられる。注射剤の場合は、安定性の点から、バイアル等に充填後、冷凍し、通常の凍結乾燥処理により水分を除き、使用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもできる。
本発明のセスキテルペン系化合物テヌイペシンを使用した医薬組成物の投与量は、患者の年齢、体重、疾患の程度により異なるが、経口の場合、通常、成人1日当たり、テヌイペシンとして1〜1,000mgを1回から数回に分けて服用するのが適当である。非経口の場合、通常、成人1日当たり、前記化合物0.5〜500mgを1回から数回に分けて静注、皮下注射、筋肉注射するのが好ましい。
本発明のセスキテルペン系化合物は、従来から用いられてきた生薬材料を原料とするもので、有効投与量での毒性は極めて低く、副作用はほとんど認められない。したがってこのような化合物を用いた本発明の医薬組成物は、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ等の哺乳類に対し安全に投与することができる。
また、本発明のセスキテルペン系化合物テヌイペシンを使用した食品組成物においては、テヌイペシンを、例えば、ジュース、清涼飲料、茶、スープ、豆乳、豆腐、サラダ油、ドレッシング、ヨーグルト、ゼリー、プリン、フリカケ、育児用粉乳、ケーキ、パン、クッキー、スナック菓子等に含有させることもできる(このようにして得られた組成物も、本発明における「食品組成物」に含まれるものとする)。あるいは、テヌイペシンを、デキストリン、乳糖、デンプン等の賦形剤などや、香料、色素等とともに、ペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、ゼラチン等で被覆してカプセルに加工して、健康食品や栄養補助食品等として利用してもよい。
上記食品組成物における本発明のセスキテルペン系化合物テヌイペシンは、食品や組成物の種類や状態により一律に規定しがたいが、通常、0.001〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。配合量が0.001重量%未満では経口摂取による効果が期待できないおそれがあり、10重量%を超えると食品の種類によっては風味を損なったり、当該食品を調製できなくなるおそれがある。
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を記載するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)本発明の新規化合物テヌイペシンの抽出・精製
ハナサナギタケ子実体を熱風で乾燥し、得られた乾燥子実体6.5kgを70%メタノール70Lに浸漬して室温で3日間抽出した。得られたメタノールエキス2.0kgを酢酸エチル−水で分配し、酢酸エチル可溶画分149gを得た。
酢酸エチル可溶画分149gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n−ヘキサン−酢酸エチル、酢酸エチル−メタノールの混合溶媒系で溶出を行った。得られた10画分のうち、n−ヘキサン−酢酸エチル(1:1)で溶出した画分2.5gを更にシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム−メタノールの混合溶媒系で溶出を行った。得られた6画分のうち、クロロホルム−メタノール(10:1)で溶出した画分859mgをODSカラムクロマトグラフィーに付し、アセトニトリル−水の混合溶媒系で溶出を行った。得られた7画分のうち、アセトニトリル−水(1:1)で溶出した画分11mgをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n−ヘキサン−ジエチルエーテルの混合溶媒系で溶出を行い、n−ヘキサン−ジエチルエーテル(3:2)で溶出した画分より、化合物テヌイペシン(2.9mg)を得た。
得られた化合物テヌイペシンの1H NMR、13C NMRのスペクトルを、それぞれ図1、図2に示す。マススペクトルは、前記表1のとおりであった。
該酢酸エチル可溶画分は、冬中夏草からの部分精製品である。該部分精製品を乾燥させたものを部分精製品(固形物)とし、乾燥処理しないものを部分精製品(水性液)とした。
(実施例2)本発明の化合物テヌイペシンの合成
ベンゼン(2.0mL)にジエチル亜鉛(1M n-ヘキサン溶液、1.4mL)とヨウ化メチレン(120μL)を溶かし、ハナサナギタケ子実体より得られる既知化合物4-アセチル-12,13-エポキシ-9-トリコテセン-3,15-ジオール(150mg)のベンゼン溶液(1.0mL)を加えた。この溶液を24時間加熱還流後、水(10mL)に注いだ。さらに、酢酸エチル(15mL×3)で抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n−ヘキサン−酢酸エチル(1:1)で溶出した画分より化合物テヌイペシン(16mL)を得た。
(実施例3)冬虫夏草の人工栽培工程を含む、本発明の新規化合物の製造方法
割麦150g、乾燥ビール酵母30g、及び水300mlを混合し、121℃で15分間、高圧蒸気滅菌器にて殺菌してから室温になるまで放置し、その後無菌状態で、滅菌容器に培地を充填し、試験区とした。ハナサナギタケの菌糸を接種し、24℃、湿度90%以上、21日間培養する。菌糸が覆った培地の表面を菌掻き処理を行い、子実体の発生を促した後、食用キノコを栽培する時に使用する施設内において、18℃、湿度90%以上、光照射を行って子実体を発生させる。この環境下で更に20〜40日栽培した後、子実体を収穫し、乾燥させる。対照区として、おが屑150g、サナギ粉30g、グルコース3g、及び水300mlを混合した培地で同様に試験を行った。得られた子実体より30%メタノールにてエキスを抽出した後、酢酸エチル−水で分配した。その時得られた水相をn−ブタノール−水で分配し、n−ブタノール可溶画分を得、更にシリカゲルクロマトグラフィーに付し、酢酸エチルで溶出した。得られたこれらの粗精製物を、ガスクロマトグラフィーにて分析し、新規化合物の総含有量を求めた。子実体湿重量及び新規化合物総量を表2に示した。
Figure 0004614158

(実施例4)本発明の新規化合物の製造方法
培地は、No.1(米120g、コーンコブ粉砕物30g、煮干粉砕物30g)、No.2(割麦120g、おが屑30g、煮干粉砕物30g)、No.3(割麦160g、酵母エキス10g、コーンコブ粉砕物10g)、No.4(割麦120g、酵母エキス15g、豆皮15g、コーンコブ粉砕物30g)、No.5(割麦50g、サナギ粉30g、コーンコブ粉砕物100g)を使用し、水300mlを加えて、実施例3と同様に培地を作成し、栽培を行い比較した。子実体乾燥重量及び新規化合物総量を表3に示した。
Figure 0004614158

(実施例5)本発明の新規化合物を含む固形組成物の製造
実施例1の方法により、適当な純度まで精製した部分精製品(固形物)に、倍量の重量のコーンスターチを加え、均一になるまで混合・練合する。この練合物を乾燥機にて60〜70℃で24時間乾燥する。乾燥物をミキサーにて粉砕して粉末とした。この粉末は、医薬組成物又は食品組成物として利用できるものである。
(実施例6)本発明の新規化合物を含む固形組成物の製造
実施例1の方法により、適当な純度まで精製した部分精製品(水性液)を、デキストリン及びグアガムの混合物に噴霧して顆粒を形成した。この顆粒は、実施例5と同様に医薬組成物又は食品組成物として利用できるものである。
(実施例7)本発明の新規化合物を含む液状組成物の製造
実施例1の方法により、適当な純度まで精製した部分精製品(固形物)150mg、精製大豆油125g、ミツロウ15mg及びビタミンE10mgを窒素ガス雰囲気下で約40℃に加温し、十分に混合し、均質な液状物とした。これをカプセル充填機に供給して1粒内容量300mgのゼラチンカプセル製剤を試作した。この製剤は、実施例5と同様に医薬組成物又は食品組成物として利用できるものである。
(実験例1)本発明の新規化合物の骨髄性白血病細胞に対する作用
ヒト白血病細胞HL−60は、前骨髄性白血病由来の癌細胞株(原ATCC株CCL−240、浮遊細胞)であり、好中球、マクロファージに分化できる能力を持ち、分化及びアポトーシス研究に多用される。この細胞をシャーレの中で静置培養し、新規化合物テヌイペシンを添加して、該細胞に対する増殖抑制能について検討した。培養液は、RPMI 1640培地に10(v/v)%牛胎児血清を含み、37℃、5%二酸化炭素混有空気(水蒸気飽和)中でpH7.2〜7.4に保った。
24穴プレート(浮遊細胞用)を用い、8〜25万細胞/mlになるように、1ml/穴の細胞懸濁液を接種し、細胞培養2〜3日目に、希釈した試料を10μl/穴で添加した。本発明の新規化合物テヌイペシン(実施例2記載の方法により調製)は、ジメチルスルホキシドに溶解・希釈し、HL−60細胞培養液に最終濃度が50〜100μg/mlになるように添加した。負対照には、希釈液ジメチルスルホキシド10μl/穴を添加した。
培養8時間後、細胞懸濁液15μl/穴を取り、培地で10倍に希釈した。この細胞希釈液のATP活性をATPアナライザー(東亜電波工業製)で測定した。また、細胞形態を顕微鏡で観察した。細胞がつぶれて、培養液中に顆粒が散乱しているものを、細胞増殖抑制+(有り)、細胞形態がきれいで変化していないものを、−(無し)とした。
各試料は、n=3穴でATP活性を測定し、平均と標準偏差を求めた。無添加(DMSOのみ)の平均値を100とし、各試料の平均値と標準偏差値を算出し、T−検定法を用いて、無添加に対する有意差を求めた。p<0.05を有意差有りとした。
以下の表4に示すように、テヌイペシンは、50μg/ml及び100μg/mlの濃度で、HL−60に対する増殖抑制能を示した。
Figure 0004614158

以上説明したように、本発明の新規なセスキテルペン系化合物は、骨髄性白血病細胞の増殖抑制活性を有し、癌に対する予防及び/又は治療において有効に用いることができる。また、本発明は、前記化合物を含有する冬虫夏草を人工栽培することにより、前記化合物を効率的、安定的に大量に製造する方法を提供することができ、この冬虫夏草の栽培体より抽出・精製を行うことで、前記化合物を効率良く回収する方法を提供することができ、有用である。更に、前記化合物を含有する組成物を製造することで、癌に対する予防用及び/又は治療用の医薬組成物及び/又は食品組成物を提供することができる。
本発明のセスキテルペン系新規化合物テヌイペシンの1H NMRのスペクトルである。 本発明のセスキテルペン系新規化合物テヌイペシンの13C NMRのスペクトルである。

Claims (4)

  1. 式(I):
    Figure 0004614158

    で表されるセスキテルペン系化合物。
  2. 請求項1に記載の化合物を、冬虫夏草から採取することを特徴とする、セスキテルペン系化合物の製造方法。
  3. 請求項1に記載の化合物を、既知物質4−アセチル−12,13−エポキシ−9−トリコテセン−3,15−ジオールから合成することを特徴とする、セスキテルペン系化合物の製造方法。
  4. 上記冬虫夏草が、穀類、又は穀類及び酵母もしくはその抽出物を添加した培地で人工栽培されたものである、請求項2に記載の製造方法。
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