JP4613692B2 - 自走式作業機械 - Google Patents

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Description

本発明は、油圧ショベル等の自走式作業機械であって、階段や急斜面等の傾斜路を昇降可能な機能を有するものに関する。
近年、ビルの内装解体等を目的として、階段や急斜面等の傾斜路を安定した状態で昇降できる自走式作業機械の開発が進められている。しかしながら、このような作業機械が前記階段等を上りきって上側の目標地(例えば踊り場などの平坦地)に乗り上げると、それまでの傾斜姿勢(前記傾斜路に沿う姿勢)から水平姿勢(前記目標地に乗り上げた後の姿勢)に急変するため、車体に衝撃が加わることになる。
そこで、下記の特許文献1には、前記目標地への乗り上げの際の衝撃を抑止すべく、車体前側にフロントアタッチメントを設けたものが開示されている。このフロントアタッチメントは、走行用のクローラ下面よりもさらに下方に張出す張出し位置と、当該クローラの下面よりも上側に格納されて当該クローラによる走行を可能にする格納位置との間で切換可能となるように車体フレームにリンク機構を介して取付けられている。
このような作業機械によれば、当該作業機械が前記階段を昇りきる手前の位置で前記フロントアタッチメントを張出し、当該位置からの作業機械の前進に伴って前記フロントアタッチメントを格納位置へ移動させることにより、この作業機械がそれまでの傾斜姿勢(昇降時の姿勢)から水平姿勢に急変するのを避けて当該急変による衝撃を効果的に抑制することが可能である。
特開平7−81634号公報
前記のように傾斜路の昇降を前提とする作業機械では、その用途上、屋内や狭い路地等の限られたスペース内で走行の向きを変えたい場合がある。しかしながら、走行用のクローラにはかなりの前後長があるため、これらのクローラの走行によって旋回しようとしても、旋回半径の縮小には限りがあり、実際には、狭所にて作業機械の向きを変えることは容易でない。
また、前記特許文献1に記載される作業機械では、運転席から視認できない車体フレームの下部にフロントアタッチメントが設けられる構造なので、当該フロントアタッチメントの存在を認識せずに運転が行われることにより、当該フロントアタッチメントが他の障害物に誤って接触するおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑み、傾斜路から上側目標地への円滑な乗り上げと、狭所での向きの変更との双方を可能にし、かつ、そのために付加される装置等が走行中に誤って障害物等に接触するのを有効に抑止することができる自走式作業機械の提供を目的とする。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、車体フレームと、その左右両側に設けられ、前記車体フレームよりも後方に突出するクローラとを備え、前記クローラの作動により傾斜路の昇降が可能な自走式作業機械において、前記クローラの前半部の領域に設けられ、当該クローラの下面よりも下方に張出して前記車体フレームを前上がり状態で支持する張出し位置と前記クローラの下面よりも上方に格納されて前記クローラによる走行を可能にする格納位置とに切換可能となるように前記車体フレームに取付けられる前側張出し部材と、前記車体フレームの後端に設けられた左右方向の支軸を中心として回動可能となるように当該車体フレームに取付けられる回動基端部を有する回動アームとこの回動アームの回動先端部に回転可能に設けられる転動体を有し、前記回動アームの回動により前記転動体が前記クローラの下面よりも下方に突出して着地することにより前記転動体の転動を伴う前記車体フレームの旋回を可能にする張出し位置と前記クローラの下面よりも上方に格納されて前記クローラによる走行を可能にする格納位置とに切換可能となるように前記車体フレームに取付けられる後側張出し部材と、前記前側張出し部材及び後側張出し部材をそれぞれ前記張出し位置と前記格納位置との間で移動させる張出し切換手段とを備え、かつ、前記格納位置にある前側張出し部材及び後側張出し部材が前記車体フレームの側方から見て前記クローラの外形の内側に収まるように両張出し部材の形状及び位置が設定され、前記後側張出し部材の張出し位置における当該後側張出し部材の転動体が前記クローラの後端よりも前側に位置しかつ前記車体フレームの後端よりも後方に位置するように当該張出し位置が設定されているものである。
この構成によれば、クローラが傾斜路を昇りきる手前の位置で前側張出し部材を上側目標地側に張出し、この位置からの作業機械の前進に伴って前記前側張出し部材を徐々に格納位置へ移動させることにより、この作業機械がそれまでの傾斜姿勢(昇降時の姿勢)から水平姿勢に急変するのを避けて傾斜路から上側目標地への円滑な乗り上げを実現することができる。その一方、後側張出し部材を張出し位置に張出してその転動体を着地させ、いずれか一方のクローラを止めたまま他方のクローラを作動させれば、前記転動体の転動を伴いながら前記一方のクローラの前端部位を旋回中心として自走式作業機械全体を小回り旋回させることが可能であり、これにより狭所で自走式作業機械の向きを変えることができる。
しかも、前記両張出し部材はともに、その格納位置にあるとき、前記車体フレームの側方から見て前記クローラの外形の内側に収まるように形状及び位置が設定されているので、当該張出し部材の実際の位置をオペレータが正確に認識していなくても、誤って当該張出し部材に他の障害物が接触する等の不都合を有効に抑止することができる。
ここで、前記後側張出し部材は、その転動体が前記張出し位置において前記クローラの後端よりも前側に位置するように当該張出し位置が設定されているものが、好適である。このように張出し位置での転動体位置を前側寄りに設定することにより、一方のクローラを作動させたときの小回り旋回の旋回半径をより小さくすることができ、その狭所作業性をより向上させることができる。
前記張出し切換手段は、前記後側張出し部材とは独立して前記前側張出し部材を前記張出し位置と格納位置との間で移動させる前側切換手段と、前記前側張出し部材とは独立して前記後側張出し部材を前記張出し位置と格納位置との間で移動させる後側切換手段とを含むようにしてもよい。
その場合において、前記前側切換手段と前記後側切換手段とが択一的に作動するように両切換手段の作動を制御する切換制御手段を備えるようにすれば、前記前側張出し部材を操作しながらの昇降作業時に誤って後側張出し部材が作動してしまう不都合を回避することができ、また逆に、後側張出し部材を用いて小回り旋回する際に誤って前側張出し部材を作動させてしまう不都合も回避することができる。
その具体的な構成として、前記前側切換手段及び前記後側切換手段にそれぞれ作動流体の供給を受けて作動する流体圧アクチュエータを用いる場合、前記切換制御手段としては、前記前側切換手段及び前記後側切換手段に共通して設けられる流体圧供給源と、この流体圧供給源から供給される作動流体を前記前側切換手段にのみ導く位置と前記後側切換手段にのみ導く位置とに択一的に切換えられる前後切換弁とを含むものが、好適である。
この構成によれば、共通の流体圧供給源を用いた簡素な構成で前後の張出し部材の位置切換を行うことを可能にしながら、前記前後切換弁により、前記流体圧供給源の供給流体圧により前側切換手段が作動する状態と後側切換手段が作動する状態との択一的な切換が可能になる。
ところで、前記前側張出し部材については、その張出し位置においてなるべく上側目標地に近づくようにある程度大きな張出し量を設定しておくことが好ましいのに対し、後側張出し部材は少なくともその転動体が走行体下面よりも下方にあって着地できる程度の張出しがあれば十分であるため、前記前側張出し部材の張出し位置を前記後側張出し部材の張出し位置よりも下方の位置に設定するのが、より好ましい。その関係から、前記前側切換手段及び後側切換手段をそれぞれ前側流体圧シリンダ及び後側流体圧シリンダにより構成する場合においては、その後側流体圧シリンダの伸縮ストロークを前側流体圧シリンダの伸縮ストロークよりも小さく設定することが可能であり、このようなストローク設定において、前記両流体圧シリンダの一端が前記前側張出し部材及び後側張出し部材に連結され、各流体圧シリンダの他端がともに前記クローラの前後方向中間位置よりも後側の位置で前記車体フレームに連結されている配置とすることにより、全体をコンパクトに収めながら前後両流体圧シリンダについてそのシリンダに求められるストロークを確保することが可能になる。
また、前記張出し切換手段は、前記のように前後の張出し部材を個別に作動させるのではなく、前記前側張出し部材及び前記後側張出し部材を、前記前側張出し部材が前記張出し位置にあって前記後側張出し部材が前記格納位置よりも上方の位置にある前側張出し状態と、前記前側張出し部材及び後側張出し部材がともに格納位置にある格納状態と、前記前側張出し部材が前記格納位置よりも上方の位置にあって前記後側張出し部材が前記張出し位置にある後側張出し状態とに切換えられるように両張出し部材を連動させる連動機構と、この連動機構により両張出し部材を連動させて前記前側張出し状態と前記中立状態と前記後側張出し状態とに択一的に切換える連動操作手段とを含むものであってもよい。
この構成によれば、共通の操作手段を用いて前後の張出し部材をそれぞれ択一的に張出し位置に切換える(すなわち前側張出し状態と後側張出し状態とにする)ことができる。また、双方の張出し部材が格納位置にある格納状態にすることにより、通常走行も支障なく行うことができる。
その具体的な構造としては、例えば、前記前側張出し部材は前記車体フレームの前側部分に設けられた左右方向の支軸回りに回動してその回動により前記張出し位置と前記格納位置とに切換えられるように前記車体フレームに取付けられ前記連動機構は、前記両支軸の間に位置する左右方向の支軸回りに回動可能となるように前記車体フレームに取付けられた中間リンクと、この中間リンクの前端部と前記前側張出し部材とを連結する前側リンクと、前記中間リンクの後端部と前記後側張出し部材とを連結する後側リンクとを含み、前側連動操作手段は、前記前側張出し部材、前記後側張出し部材、前記中間リンクのいずれかを回動させるものが、好適である。
この構成によれば、中間リンクを前側リンク及び後側リンクをそれぞれ介して前後の張出し部材に連結するだけの簡単な構造で、両張出し部材を連動させて前記前側張出し状態と前記後側張出し状態と格納状態とに択一的に切換えることができる。
また、この構造では、前記連動操作手段として流体圧シリンダの適用が可能であり、この流体圧シリンダの一端を前記前側張出し部材、後側張出し部材のいずれかに連結し、他端を前記車体フレームに連結することにより、当該流体圧シリンダの伸縮を利用して前後の張出し部材を連動操作することができる。
以上のように、本発明によれば、前側張出し部材を用いて傾斜路から上側目標地への円滑な乗り上げを実現することができるとともに、後側張出し部材に設けられる転動体の転動を利用して狭所で自走式作業機械の向きを変えることができる効果がある。
しかも、前記両張出し部材はともに、その格納位置にあるとき、前記車体フレームの側方から見て前記クローラの外形の内側に収まるように形状及び位置が設定されているので、当該張出し部材の実際の位置をオペレータが正確に認識していなくても、誤って当該張出し部材に他の障害物が接触する等の不都合を有効に抑止することができる。
本発明の第1の実施の形態を図1〜図11を参照しながら説明する。なお、この実施の形態に示す自走式作業機械10は、作業用アタッチメントとしてスクレーパー(掻き均し板部材)12が装備されたものを示すが、本発明はこれに限らず、油圧ショベルや破砕機等、種々の自走式作業機械について適用が可能である。
図1〜図7に示す自走式作業機械10は、下部走行体14と上部作業体16とを備えている。
前記下部走行体14は、図4及び図5に示す車体フレーム18と、その左右両側に設けられた走行用のクローラ20L,20Rとを備えている。これらのクローラ20L,20Rは、前後に配される図略の鉄輪と、これらの鉄輪の間に掛け渡されるクローラベルトとを有し、側方からみて前後方向に延びる略小判状をなしている。
前記車体フレーム18にはその進行方向前端に設けられた左右方向の支軸22回りに起伏フレーム24の前端が回動可能に連結され、この起伏フレーム24上に前記図1〜図3に示す上部作業体16が搭載されている。
図4及び図5に示すように、前記起伏フレーム24と前記車体フレーム18との間には、油圧シリンダからなる上部作業体操作シリンダ26が設けられている。この上部作業体操作シリンダ26の一方の端部は左右方向のピン25を介して前記車体フレーム18の前端部に回動可能に枢支され、他方の端部は前記起伏フレーム24の前後方向略中間部に左右方向のピン27を介して回動可能に連結されており、この上部作業体操作シリンダ26の伸縮によって前記起伏フレーム24が起伏し、この起伏フレーム24上に搭載されている前記上部作業体16が図3に示すような通常位置と図1及び図2に示すような傾斜位置とに切換えられるようになっている。
ここで、前記通常位置は、前記下部走行体14に対して前記上部作業体16が略水平な姿勢で支持される位置であり、この位置で通常走行が可能となる。これに対して前記傾斜位置は、前記下部走行体14に対して前記上部作業体16が所定角度θだけ前下がりに傾斜した位置であり、その所定角度θはこの自走式作業機械10の昇降が想定される傾斜路(図例では階段28)の傾斜角度と略同等の角度(図例では約45°)に設定されている。
なお、図1〜図3のうち、図1は前記自走式作業機械10が階段28上を昇降している状態を示し、図2は後に詳述するように前記自走式作業機械10が前記階段28の上端に続く上側目標地(同図の例では踊り場29)に乗り上げる直前の状態を示し、図3は前記自走式作業機械10が前記踊り場29に完全に乗り上げた後の状態を示している。
ここで、本発明に係る「上側目標地」は前記踊り場29に限らず、例えば急斜面の上端に続く広い平坦面であってもよい。
また、本発明において上部作業体16は必ずしも通常位置と傾斜位置とに切換可能なものでなくてもよく、例えば自走式作業機械10全体の重心が低い場合や、傾斜路の傾きが比較的小さい場合のように、上部作業体16を通常位置に保ったまま傾斜路の昇降が可能である場合にも本発明を有効に適用することができる。
前記起伏フレーム24は、その前後方向の略中間部に図4及び図5に示すような旋回軸受部30を有しており、この旋回軸受部30上に前記図1〜図3に示す上部作業体16が鉛直軸回りに旋回可能に支持されている。
この上部作業体16は、運転席32が搭載された旋回本体部34を備え、この旋回本体部34の前端に垂直軸35回りに回動(スイング)可能となるようにブーム支持部材36が設けられている。そして、このブーム支持部材36に左右方向の軸37回りに回動可能(起伏可能)となるようにブーム38が取付けられ、このブーム38の先端部に左右方向の軸39回りに回動可能となるようにアーム40が取付けられており、このアーム40の先端部に同じく左右方向の軸回りに回動可能となるように前記スクレーパー12が設けられている。
なお、前記ブーム38の起伏、このブーム38に対する前記アーム40の回動、及びこのアーム40に対する前記スクレーパー12の回動は、それぞれ、油圧シリンダからなるブームシリンダ42、アームシリンダ44、及びアタッチメントシリンダ46の伸縮により実現される。
この自走式作業機械10の特徴として、前記車体フレーム18の前後部には、それぞれ、図4〜図6に示すような前側張出し部材50及び後側張出し部材52が取付けられている。これらの張出し部材50,52は、図4に実線で示す格納位置と、同図に二点鎖線で示す張出し位置とに切換可能となっている。
このうち、前側張出し部材50は、その張出しによって、自走式作業機械10が前記階段28から踊り場29へ静かに乗り上げるのを援助するものである。これに対して、後側張出し部材52は、その張出しによって、下部走行体14がその左側クローラ20Lの前端または右側クローラ20Rの前端を中心として小回り旋回することを実現するためのものである。
前記前側張出し部材50は、回動アーム53と、この回動アーム53の端部に取付けられる転動体である左右一対のキャスター54とを備えている。
前記回動アーム53は、左右一対の回動側板56と、キャスター支持板58とを備えている。前記両回動側板56は、前記車体フレーム18の前半部分に回動可能に取付けられ、これらの回動側板56同士を連結するように前記キャスター支持板58が設けられている。詳しくは、前記両回動側板56の回動基端部が、前記車体フレーム18の前半部に設けられた左右方向の支軸60を中心として回動可能となるように当該支軸60に枢支され、回動先端部同士が左右方向に延びる前記キャスター支持板58によって相互連結されている。
前記各キャスター54は、前記キャスター支持板58の下側にキャスターブラケット62を介して取付けられている。これらのキャスターブラケット62は、前記キャスター支持板58の板厚方向に延びる図略の軸回りに回転可能となるように当該キャスター支持板58に取付けられ、かつ、前記キャスター54を前記キャスター支持板58と平行な方向の軸64を介して回転可能に保持している。
前記回動側板56と車体フレーム18との間には、油圧シリンダからなる前側張出し部材操作シリンダ66が介設され、この前側張出し部材操作シリンダ66の伸縮によって前記前側張出し部材50が前記格納位置と前記張出し位置との間で回動操作されるようになっている。
詳しくは、前記車体フレーム18においてその前後方向中間位置よりも後方の部分に当該車体フレーム18の下面から下方に突出するシリンダブラケット68が設けられ、このシリンダブラケット68に前記前側張出し部材操作シリンダ66のへッド側端部が左右方向のピン70を介して相対回動可能に連結されるとともに、この前側張出し部材操作シリンダ66のロッド側端部が左右方向のピン72を介して前記両回動側板56の回動基端部近傍部位に相対回動可能に連結されている。
そして、前記前側張出し部材操作シリンダ66が伸長した状態で、図4の実線に示すように前側張出し部材50全体が側方からみて前記クローラ20L,20Rの外形の内側に収まる格納位置に収められる一方、前記前側張出し部材操作シリンダ66が収縮することにより同図二点鎖線に示すように前記前側張出し部材50が前記クローラ20L,20Rの下面から大きく突出する張出し位置まで張出されるようになっている。その張出し量は、前記図2に示すように、自走式作業機械10が踊り場29に到達する直前の到達直前位置において、前記張出し位置にある前側張出し部材50のキャスター54が前記踊り場29に着地するような張出し量もしくはそれに近い張出し量に設定されている。
一方、前記後側張出し部材52は、前記前側張出し部材50と同様、回動アーム73と、この回動アーム73の端部に取付けられる転動体である左右一対のキャスター74とを備えている。
前記回動アーム73は、左右一対の回動側板76と、キャスター支持板78とを備えている。前記両回動側板76は、前記車体フレーム18の後端部に回動可能に取付けられ、これらの回動側板76同士を連結するように前記キャスター支持板78が設けられている。詳しくは、前記車体フレーム18の後端から後方にブラケット79が突設され、このブラケット79に前記両回動側板76の回動基端部が左右方向の支軸80を中心として回動可能となるように当該支軸80に枢支され、両回動側板76の回動先端部同士が左右方向に延びる前記キャスター支持板78によって相互連結されている。
前記各キャスター74は、前記キャスター54と同様にして、前記キャスター支持板78の下側にキャスターブラケット82を介して取付けられている。すなわち、左右のキャスターブラケット82は、前記キャスター支持板78の板厚方向に延びる図略の軸回りに回転可能となるように当該キャスター支持板78に取付けられ、かつ、前記キャスター74を前記キャスター支持板78と平行な方向の軸84を介して回転可能に保持している。
前記回動側板76と車体フレーム18との間にも、油圧シリンダからなる後側張出し部材操作シリンダ86が介設され、この後側張出し部材操作シリンダ86の伸縮によって前記後側張出し部材52が前記格納位置と前記張出し位置との間で回動操作されるようになっている。
詳しくは、前記後側張出し部材操作シリンダ86のへッド側端部が前記シリンダブラケット68において前記ピン70よりも僅かに後側に位置する左右方向のピン90を介して当該シリンダブラケット68に相対回動可能に連結されるとともに、この後側張出し部材操作シリンダ86のロッド側端部が左右方向のピン92を介して前記両回動側板76の回動基端部近傍部位に相対回動可能に連結されている。そして、前記後側張出し部材操作シリンダ86が伸長した状態で、図4の実線に示すように後側張出し部材52全体が側方からみて前記クローラ20L,20Rの外形の内側に収まる格納位置に収められる一方、前記後側張出し部材操作シリンダ86が収縮することにより同図二点鎖線に示すように前記後側張出し部材52が前記クローラ20L,20Rの下面から下方に突出する張出し位置まで張出されるようになっている。
この後側張出し部材52の張出し位置は、前記前側張出し部材50の張出し位置よりも上側であり、かつ、その張出しによって前記キャスター54の転動に伴う下部走行体14の小回り旋回が可能となる位置に設定されている。すなわち、この後側張出し部材52が張出し位置にある状態で、例えば右側のクローラ20Rを停止させたまま左側のクローラ20Lを前進方向に作動させることにより、当該右側のクローラ20Rの前端位置を右側旋回中心として下部走行体14が右向きに小回り旋回し、逆に左側のクローラ20Lを停止させたまま右側のクローラ20Rを前進方向に作動させることにより、当該左側のクローラ20Lの前端位置を左側旋回中心として下部走行体14が左向きに小回り旋回するようになっている。
図7は、後に詳述するように、前記小回り旋回を利用して前記踊り場29で自走式作業機械10全体を180°転回させる例を示したものであり、この例では、左側クローラ20Lのみの作動によって右側クローラ20Rの前端部位を旋回中心Oとして小回り旋回を繰り返すことにより、狭い踊り場29内での転回が可能となっている。
また、この実施の形態では、前側張出し部材50の張出し位置が後側張出し部材52の張出し位置よりも下方にある(すなわち張出し量が大きい)点に鑑み、両張出し部材50,52の操作手段である張出し部材操作シリンダ66,86のへッド側端部が連結されるシリンダブラケット68の位置を下部走行体14の前後方向中心位置よりも後側にシフトさせることにより、全体をコンパクトに収めながら前後操作シリンダ66,86の双方について当該シリンダに求められるシリンダストロークを十分に確保できるように配慮がなされている。
さらに、後側張出し部材52については、その回動側板76の形状をその途中部分で下向きに屈曲する形状とすることにより、前記後側張出し部材操作シリンダ86のシリンダストロークを十分に確保しながら、前記格納位置にある後側張出し部材52全体が側方からみてクローラ20L,20Rの外形の内側に収められるように設計がなされている。
このようにして両張出し部材50,52がその格納位置においてクローラ20L,20Rの外形の内側に収められるようにすることにより、オペレータが当該張出し部材50,52の実際の位置を正確に把握していなくても、これらの張出し部材50,52が走行中に他の障害物等に接触するという不都合を有効に抑止することができる。
前記キャスター54,74の転動面については、当該キャスター54,74及びキャスター保持部材62,82が容易に回転(キャスター54,74の向きを変えるような回転)をするように幅方向中央部が径方向外側に膨らむ面とされている。さらに、これらのキャスター54,74の保護のため、各回動アーム53,73の外側端部には泥除け板55,75が取付けられている。
なお、各張出し部材50,52に設けられる転動体としては、前記キャスター54,74の他、球体を自由回転可能となるように回動アーム53,73に保持するようにしてもよい。また、前側張出し部材50については、その着地部分が踊り場29上を滑り易い形状にしておけば、転動体を適宜省略することも可能である。
次に、前記各油圧シリンダ及び図略の走行モータや旋回モータを作動させるために自走式作業機械10に搭載される流体圧回路(図例では油圧回路)を図8〜図10を参照しながら説明する。
この油圧回路は、その油圧供給源として、油圧ポンプからなるメインポンプ101,102及びパイロット用ポンプ104を備えている。これらのポンプ101,102,104はエンジン100の出力軸に連結され、その駆動により作動油を吐出する。
前記両メインポンプ101,102は、自走式作業機械10に搭載される各油圧アクチュエータに作動油を供給する。具体的には、上述の上部作業体操作シリンダ26、ブームシリンダ42、アームシリンダ44、アタッチメントシリンダ46、及び両張出し部材操作シリンダ66,86の他、左右クローラ20L,20Rのスパンを拡縮させるスパンシリンダ106、さらに、図示はしていないが左右クローラ20L,20Rをそれぞれ作動させるための左右走行モータ、上部作業体16を旋回させる旋回モータ、ブーム支持部材36を左右に回動させるためのスイングシリンダ等に作動油を供給する。
前記メインポンプ101,102と前記各油圧アクチュエータとの間には、制御弁ブロック110が介在している。この制御弁ブロック110は、前記メインポンプ101から供給油路121を通じて供給される作動油をタンク108に導くセンターバイパス流路111と、前記メインポンプ102から供給油路122を通じて供給される作動油をタンク108に導くセンターバイパス流路112とを有するとともに、これらのセンターバイパス流路111,112に沿って複数の制御弁が直列に配されている。
具体的に、前記センターバイパス流路111側には、前記アームシリンダ44に接続されるアーム制御弁113と、前記旋回モータに接続される旋回制御弁114と、左走行モータに接続される左走行制御弁115とが配列され、前記センターバイパス流路112側には、前記アタッチメントシリンダ46に接続されるアタッチメント制御弁116と、前記ブームシリンダ42に接続されるブーム制御弁117と、前記スイングシリンダに接続されるスイング制御弁118と、右走行モータに接続される右走行制御弁119と、前記スパンシリンダ106、上部作業体操作シリンダ26、及び前後張出し部材操作シリンダ66,86について共通して設けられる共通制御弁120とが配列されている。
これらの制御弁113〜120は、流量調節機能をもった3位置方向切換弁(スイング制御弁117は手動切換弁、それ以外の制御弁は油圧パイロット切換弁)により構成されており、その中立位置(図では中段位置)では、前記メインポンプ101またはメインポンプ102から供給される作動油をそのままタンク108側にバイパスさせる一方、当該中立位置から前記パイロット用ポンプ104のパイロット圧によるパイロット操作または手動操作を受けると、その操作量に見合った流量で、接続されている油圧アクチュエータに前記作動油を導くものとなっている。
前記パイロット用ポンプ104と各走行制御弁115,118との間には、走行リモコン弁124が介在している。この走行リモコン弁124は、図11(a)(b)に示すような左右走行レバー125L,125Rを有し、その走行レバーに対応する走行制御弁に対し、その操作方向に対応するパイロット部にその操作量に対応する大きさのパイロット圧を導くように構成されている。従って、この走行リモコン弁124の走行レバー125L,12Rを操作することにより、その操作量に見合った速度で左右クローラ20L,20Rをそれぞれ走行動作させることが可能となっている。
また、この実施の形態では、前記供給油路121,122からタンク108側にそれぞれ逃がし油路126A,126Bが分岐しており、各逃がし油路126A,126Bには流量調整弁127A,127B及び切換弁128A,128Bがそれぞれ直列に配されている。
両切換弁128A,128Bは、前記逃がし油路126A,126Bをそれぞれ遮断する遮断位置(図の左位置)と同油路126A,126Bを連通する逃がし位置(図の右位置)とに切換可能であり、これらの遮断位置と逃がし位置とに互いに連動して切換操作されるようになっている。従って、両切換弁128A,128Bが前記遮断位置に切換えられたときには、メインポンプ101,102の吐出油全量が前記制御弁ブロック110に送られることにより、前記走行レバーの操作量に対応する正規の作動油供給流量及び正規の走行速度が確保される一方、前記両切換弁128A,128Bが前記逃がし位置に切換えられたときには、その逃がし量分だけ作動油供給流量が減り、走行レバーをフル操作したときの走行速度すなわち最高速度が制限されるようになっている。
次に、前記メインポンプ102から前記共通制御弁120を経由してのシリンダ106,26,66,86に対する油圧供給系統について説明する。
前記共通制御弁120は、パイロット部131,132を有し、これらのパイロット部131,132と前記パイロット用ポンプ104との間にはそれぞれ電磁切換弁133,134が設けられている。各電磁切換弁133,134は、それぞれソレノイドb1,b2を有し、当該ソレノイドb1,b2が通電されていないオフ状態では前記パイロット用ポンプ104からのパイロット用油をタンク108に逃がす一方、当該ソレノイドb1,b2が通電されたオン状態では前記パイロット用油を前記パイロット部131,132に導いてパイロット圧を発生させるように構成されている。
共通制御弁120は、両パイロット部131,132にパイロット圧が供給されず、あるいは同等のパイロット圧が供給されたときには、中立位置(センターバイパス位置)を保持する一方、パイロット部131にのみパイロット圧が供給されたときにはポンプ吐出油を油路137に導いて油路138をタンク108側に接続する位置(図の下段位置)に切換えられ、パイロット部132にのみパイロット圧が供給されたときにはポンプ吐出油を油路138に導いて油路137をタンク108側に接続する位置(図の上段位置)に切換えられる。
前記油路137は2つの分岐油路141,142に分岐し、前記油路138は2つの分岐油路144,145に分岐している。その下流側には、前記スパンシリンダ106または上部作業体操作シリンダ26を作動状態と停止状態とに切換えるための電磁切換弁148と、前記前側張出し部材操作シリンダ66または後側張出し部材操作シリンダ86を作動状態と停止状態とに切換えるための電磁切換弁147と、手動操作によって前記スパンシリンダ106と上部作業体操作シリンダ26とを択一的に作動可能状態に切換えるための選択弁150と、手動操作によって前記前側張出し部材操作シリンダ66と後側張出し部材操作シリンダ86とを択一的に作動可能状態に切換えるための前後切換弁152,154とが設けられている。
具体的に、前記分岐油路141,142,144,145のうち、分岐油路141は電磁切換弁147を通じて前記前後切換弁152に至っており、この前後切換弁152は、その手動操作により、前記分岐油路141を前側張出し部材操作シリンダ66のへッド側室に接続する前側選択位置(図の下側位置)と後側張出し部材操作シリンダ86のへッド側室に接続する後側選択位置(図の上側位置)とに択一的に切換えられる。また、分岐油路142は、電磁切換弁148を通じて前記選択弁150に至っており、この選択弁150は、その手動操作により、前記分岐油路142を前記スパンシリンダ106のロッド側室に接続するスパン選択位置(図の左側位置)と前記各上部作業体操作シリンダ26のロッド側室に接続する上部作業体操作選択位置(図の右側位置)とに択一的に切換えられる。
一方、前記分岐油路144は前記電磁切換弁147を通じて前記前後切換弁154に至っている。この前後切換弁154は、その手動操作により、前記分岐油路144を前記前側張出し部材操作シリンダ66のロッド側室に接続する前側選択位置(図の下側位置)と後側張出し部材操作シリンダ86のロッド側室に接続する後側選択位置(図の上側位置)とに択一的に切換えられる。また、前記分岐油路145は前記電磁切換弁148を通じて前記各上部作業体操作シリンダ26のへッド側室と前記スパンシリンダ106のへッド側室とに至っている。
前記電磁切換弁147は、ソレノイドa1を有し、このソレノイドa1が通電していないオフ状態では前記分岐油路141,144をともに遮断する閉弁位置(図の右側位置)に切換えられる一方、前記ソレノイドa1が通電しているオン状態では前記分岐油路141,144をともに開通する開弁位置(図の左側位置)に切換えられる。同様に、前記電磁切換弁148は、ソレノイドa2を有し、このソレノイドa2が通電していないオフ状態では前記分岐油路142,145をともに遮断する閉弁位置(図の右側位置)に切換えられる一方、前記ソレノイドa2が通電しているオン状態では前記分岐油路142,145をともに開通する開弁位置(図の左側位置)に切換えられる。
この油圧回路にはマイクロコンピュータ等からなるコントローラ(弁制御手段)156が付設され、このコントローラ156の出力する制御信号により、前記電磁切換弁133,134のソレノイドb1,b2及び前記電磁切換弁147,148のソレノイドa1,a2のオンオフ切換が行われるようになっている。
前記走行リモコン弁124は、図11(a)(b)に示すような操作ボックス160に組み込まれ、この操作ボックス160とともに前記運転席32の近傍部位に着脱可能に装着されている。この操作ボックス160は図略の配線を介して前記コントローラ156に接続されている。そして、階段28の昇降時には、当該走行リモコン弁124及び操作ボックス160を上部作業体16から外して当該走行リモコン弁124及び操作ボックス160から図略の油圧ホース及び前記配線を介して自走式作業機械10を遠隔操作することが可能となっている。
なお、前記コントローラ156は前記操作ボックス160側に設けられていてもよい。
前記操作ボックス160には、その中央に前記走行リモコン弁124が格納可能な空間162が確保されるとともに、その左右の上面適所にドロー(上部作業体起伏)/スパン操作スイッチ163、キャスター操作(張出し部材操作)スイッチ164、同調切換スイッチ166、及び非常停止ボタン168が設けられている。
前記ドロー/スパン操作スイッチ163は、通常保持されている中立位置からその上側または下側に操作されることにより、上部作業体16の上げ下げ(すなわち傾斜位置と通常位置との間での起伏)指令またはクローラ20L,20R同士の幅の拡縮指令を前記コントローラ156に出力するものである。
前記キャスター操作スイッチ164は、通常保持されている中立位置から上側または下側に操作されることにより、前側張出し部材50または後側張出し部材52の上げ下げ(すなわち格納位置と張出し位置との間での回動)指令を前記コントローラ156に出力するものである。
同調切換スイッチ166は、そのオンオフ操作により、前記コントローラ156の制御モードを同調制御モードと独立制御モードとに切換える指令を出力する。ここで、同調制御モードとは、次のような同調制御を実行するモードである。
a)階段上昇時において、図2に示すように自走式作業機械10が階段28からその上端に続く踊り場29に到達する直前の到達直前位置(両クローラ20L,20Rの前端が階段28の領域よりも踊り場29側に突出していてかつ当該踊り場29上には両クローラ20L,20Rが乗り上げていない位置)において、前記前側張出し部材50が前記張出し位置に張出されてそのキャスター54が前記踊り場29上に着地している状態から、当該前側張出し部材50がその格納位置へ格納される際に前記上部作業体16が略水平状態を維持するように、前記上部作業体操作シリンダ26の収縮による前記傾斜位置から前記通常位置への前記上部作業体16の戻し操作と前記前側張出し部材操作シリンダ66の伸長による前記張出し位置から前記格納位置への格納操作とを同調させる。
b)逆に階段降下時において、自走式作業機械10を後退させながらそのクローラ20L,20Rの後端が踊り場29から階段28側に突出する位置まで移動させた状態において、前記前側張出し部材50が前記格納位置から前記張出し位置へ張出されることにより自走式作業機械10の両クローラ20L,20Rが階段28上に乗る角度まで傾斜する際に、その傾斜にかかわらず前記上部作業体16が略水平状態を維持するように、前側張出し部材操作シリンダ66の収縮による前記前側張出し部材50の前記格納位置から張出し位置への張出し操作と、前記上部作業体操作シリンダ66による前記通常位置から前記傾斜位置への前記上部作業体16の傾き操作とを同調させる。
また、非常停止ボタン168は、作業中に何らかのアクシデントが生じたときに各アクチュエータの動きを緊急停止させるために押圧操作されるものである。
このような操作ボックス160においてなされる指令操作に基づき、コントローラ156は、電磁切換弁147,148のソレノイドa1,a2及び電磁切換弁133,134のソレノイドb1,b2のオンオフ制御を行う。その内容は次のとおりである。
まず、ソレノイドa1,a2については、同調切換スイッチ166がオンの場合にはソレノイドa1,a2をともにオンにする。同調切換スイッチ166がオフの場合、ドロー/スパン操作スイッチ163が操作されるとソレノイドa2をオンにし、キャスター操作スイッチ164が操作されるとソレノイドa1をオンにする。それ以外はソレノイドa1,a2をオフに保つ。
一方、ソレノイドb1,b2については、ドロー/スパン操作スイッチ163が「下げ」側に操作され、あるいはキャスター操作スイッチ164が「上げ」側に操作されると、ソレノイドb1をオンにし、逆に、ドロー/スパン操作スイッチ163が「下げ」側に操作され、あるいはキャスター操作スイッチ164が「上げ」側に操作されると、ソレノイドb2をオンにする。それ以外はソレノイドb1,b2をオフに保つ。
次に、この自走式作業機械10を階段28に沿って上昇させる際の運転要領及びその運転に伴う作用について説明する。
A.登坂準備
まず、自走式作業機械10に階段28を昇らせる前に、次のような準備作業を行う。
1)クローラ20L,20R間の幅(スパン)を最小にする。この操作をするには、図8に示す油圧回路中の選択弁150を手動で同図左側のスパン選択位置に切換え、かつ、操作ボックス160の同調切換スイッチ166をオフに切換えた上で、ドロー/スパン操作スイッチ163を「下げ」側に操作すればよい。このスイッチ操作により出力される指令信号を受けたコントローラ156は、電磁切換弁147,148のソレノイドa1,a2のうちのソレノイドa2のみをオンにして電磁切換弁148を開弁するとともに、電磁切換弁133,134のソレノイドb1,b2のうちのソレノイドb1のみをオンに切換える。これにより、共通制御弁120は図8の中立位置から下段位置に切換えられ、メインポンプ102から吐出される作動油がセンターバイパス流路112から前記共通制御弁120、前記電磁切換弁148、および前記選択弁150を順に経由してスパンシリンダ106のロッド側室に導入される。この油圧供給によって前記スパンシリンダ106が収縮し、クローラ20L,20R間が縮幅される。
2)アーム40をフルに引き、かつ、ブーム38をフルに上げてから、これらのアーム40及びブーム38をブーム支持部材36とともに左方向にフルにスイングさせる。この操作により、ブーム38及びアーム40の前方への突出量を最小にする。ただし、図1〜図3では便宜上、前記スイングをしていない状態が描かれている。
3)前後の張出し部材50,52をいずれも格納位置まで引き上げておく。前側張出し部材50の格納は、前記同調切換スイッチ160をオフにした状態(すなわち独立制御モードに切換えた状態)で、手動により両前後切換弁152,154をともに前側選択位置(図9の下段位置)に切換えておいた上で、キャスター操作スイッチ164を「上げ」側に操作すればよい。これにより当該スイッチ164から出力される指令信号を受けたコントローラ156は、前記ソレノイドa1,a2,b1,b2のうちのソレノイドa1,b1のみをオンに切換える。これにより、共通制御弁120は、図9の中立位置から下段位置に切換えられ、電磁切換弁147が開弁位置に切換えられて、同図太線で示されるように、メインポンプ102から吐出される作動油がセンターバイパス流路112から前記共通制御弁120、前記電磁切換弁147、および前記前後切換弁152を順に経由して前側張出し部材操作シリンダ66のへッド側室に導入される。この油圧供給によって前記前側張出し部材操作シリンダ66が伸長し、前側張出し部材50が図4の実線で示す格納位置に切換えられる。
また、この状態から前記前後切換弁152,154を同図上段の後側選択位置に切換えれば、前記作動油は後側張出し操作シリンダ86のへッド側室に供給されるため、これにより同シリンダ86が伸長して後側張出し部材52も図4に実線で示す格納位置に切換えられる。
これら張出し部材50,52の格納位置は、図例では、いずれも側方からみてクローラ20L,20Rの外形の内側に収まっており、当該クローラ20L,20Rによる走行を可能にするとともに、その走行中に他の障害物等を接触しにくい位置となっている。
なお、この格納操作が終了した後は、予め前記前後切換弁152,154を前側切換位置に切換えておくようにする。
4)走行リモコン弁124を操作ボックス160とともに運転席32から取外し、所定の遠隔操作位置まで移動させる。
5)切換弁128A,128Bを逃がし位置(図8〜図10の右側位置)に切換えて両逃がし油路126A,126Bを開通しておく。
B.階段登坂
前記準備作業が終了した後、次の手順で階段28の登坂を行う。
1)自走式作業機械10を階段28と直交する方向に向ける。
2)両走行レバー125L,125Rを前進方向に操作する。この操作により、左走行制御弁115及び右走行制御弁118の前進側パイロット部にパイロット用ポンプ104からのパイロット圧が供給されて両制御弁115,118が前進位置側(図では上段位置側)に切換えられ、メインポンプ101,102の吐出油が前記走行制御弁115,118を通じて左右の走行モータに供給される。このとき、前記切換弁128A,128Bが開弁していれば各逃がし油路126A,126Bから両メインポンプ101,102の吐出油の一部がタンク108に逃がされるため、走行リモコン弁124の走行レバー125L,125Rをフル操作しても、その時の速度(最高速度)は階段昇降に適した低い速度に頭打ちされることになる。従って、両走行レバー125L,125Rをフル操作しながらもゆっくりと階段28を登坂することが可能であり、これによりオペレータの負担が軽減されるとともに高い安全性が確保される。
3)前記要領でクローラ20L,20Rが最初の階段28に乗り上げると、自走式作業機械10全体が前上がりに傾斜し始めるが、この時点から上部作業体16を下部走行体14に対して少しずつ前下がりに傾けさせて(いわゆるドロー操作して)、下部走行体14の傾斜にかかわらず上部作業体16を略水平に保つようにする。このようなドロー操作をするには、予め図8に示す油圧回路中の選択弁150を手動で同図右側のドロー選択位置に切換えておき、その状態で、操作ボックス160の同調切換スイッチ166をオフにしたままドロー/スパン操作スイッチ163を「上げ」側に操作すればよい。
このスイッチ操作により出力される指令信号を受けたコントローラ156は、電磁切換弁147,148のソレノイドa1,a2のうちのソレノイドa2のみをオンにして電磁切換弁148を開弁位置に切換えるとともに、電磁切換弁133,134のソレノイドb1,b2のうちのソレノイドb2のみをオンに切換える。これにより、共通制御弁120は図8の中立位置から上段位置に切換えられ、同図太破線で示されるように、メインポンプ102から吐出される作動油がセンターバイパス流路112から前記共通制御弁120、前記電磁切換弁148、および前記選択弁150を順に経由して上部作業体操作シリンダ26のへッド側室に導入される。この油圧供給によって当該上部作業体操作シリンダ26が伸長して上部作業体16の後部を持ち上げ、当該上部作業体16を下部走行体14に対して前下がりに傾斜させる。
このようなドロー操作と下部走行体14の前進操作との並行操作が完了してクローラ20L,20Rの全体が階段28に完全に乗り上がると、図1に示すように階段28の傾斜角度と略同等の角度θだけ上部作業体16が下部走行体14に対して傾く傾斜位置に至る。この状態で、前記上部作業体16を略水平に維持しながら階段28の登坂を行うことができる。
C.踊り場への乗上げ
前記登坂が進み、踊り場29に乗り上げる直前の位置(すなわち、図2に示すようにクローラ20L,20Rの前端が階段28の領域を過ぎてその上側に突出しているがまだ踊り場29側に重心は移動していない位置)に到達した段階で、一旦クローラ20L,20Rの駆動を止めて自走式作業機械10を停止させ、以下の手順で踊り場29への乗上げを行う。
1)前側張出し部材50を前記格納位置から張出し位置まで下げ、そのキャスター54を図2に示すように踊り場29上に着地させる。このような張出し操作をするには、予め手動で前後切換弁152,154を前側切換位置(図9の下段位置)に切換えておいた状態で、操作ボックス160の同調切換スイッチ166をオフにしたままキャスター操作スイッチ163を「下げ」側に操作すればよい。
このスイッチ操作により出力される指令信号を受けたコントローラ156は、電磁切換弁147,148のソレノイドa1,a2のうちのソレノイドa1のみをオンにして電磁切換弁147を開弁位置に切換えるとともに、電磁切換弁133,134のソレノイドb1,b2のうちのソレノイドb2のみをオンに切換える。これにより、共通制御弁120は図9の中立位置から上段位置に切換えられ、同図太破線で示されるように、メインポンプ102から吐出される作動油がセンターバイパス流路112から前記共通制御弁120及び前記電磁切換弁147を順に経由して前側張出し部材操作シリンダ66のロッド側室に導入される。この油圧供給によって当該前側張出し部材操作シリンダ66が収縮し、前側張出し部材50を図4に実線で示される格納位置から同図二点鎖線で示される張出し位置まで引き下げる。
なお、この張出し位置は必ずしも前記キャスター54が着地するまで下方に張出した位置でなくてもよく、ある程度まで当該踊り場29の上面までキャスター54が近づく位置であればよい。この時点でキャスター54が着地しない場合は、次の徐行前進時に着地することになる。
また、このときに前後切換弁152,154はメインポンプ102と後側張出し部材操作シリンダ86との間を遮断して当該シリンダ86に作動油が供給されない状態にあるため、前記前側張出し部材50の張出し時に誤って後側張出し部材52が張出されるおそれがない。
2)前記図2に示す状態から、走行レバー125L,125Rを僅かずつ操作して下部走行体14を徐行前進させる一方、操作ボックス160の同調切換スイッチ166をオンに切換えて(すなわち同調制御モードに切換えて)、スパン/ドロー操作スイッチ163を「下げ」側に操作するかもしくはキャスター操作スイッチ164を「上げ」側に操作する(自動同調運転)。
この操作による指令信号を受けたコントローラ156は、電磁切換弁147,148のソレノイドa1,a2をともにオンにして両切換弁147,148を開弁位置に切換え、かつ、電磁切換弁133,134のソレノイドb1,b2のうちのソレノイドb1のみをオンにする。これにより、共通制御弁120は、図10の中立位置から下段位置に切換えられ、同図太線で示されるように、メインポンプ102から吐出される作動油がセンターバイパス流路112から前記共通制御弁120、前記電磁切換弁147、および前記前後切換弁152を順に経由して前側張出し部材操作シリンダ66のロッド側室に導入されるのと同時に、前記共通制御弁120から電磁切換弁148及び前記選択弁150を経由して上部作業体操作シリンダ26のロッド側室に供給される。
このような上部作業体操作シリンダ26と張出し部材操作シリンダ66とへの同時油圧供給によって、前記上部作業体操作シリンダ26の収縮による傾斜位置(図2)から通常位置(図3)への上部作業体16の戻し操作と、前記前側張出し部材操作シリンダ66の伸長による前側張出し部材50の張出し位置から格納位置へ格納操作とが同調して行われることになり、この同調操作と並行して下部走行体14を徐行前進させることにより、上部作業体16を略水平な状態に維持しつつ、前記下部走行体14を静かに(すなわちそのクローラ20L,20Rの上端が踊り場29上に急激に着地するのを避けながら)図3に示すように踊り場29上に完全に乗り上げさせることが可能になる。
このとき、前記のように同調切換スイッチ166をオンに切換えておけば、オペレータは、ドロー/スパン操作スイッチ163の下げ操作またはキャスター操作スイッチ164の上げ操作のいずれかをするだけで前記同調操作を自動的に行わせることが可能であり、その負担が軽減されることになるが、もしオペレータの好みで前記同調操作を手動で行いたい場合には、同調切換スイッチ166をオフにしたまま、ドロー/スパン操作スイッチ163の下げ操作及びキャスター操作スイッチ164の上げ操作を適宜並行して進めればよい。
この場合、オペレータがキャスター操作スイッチ164を上げ操作している期間のみ電磁切換弁133のソレノイドb1及び電磁切換弁147のソレノイドa1がオンに切換えられて前側張出し部材操作シリンダ66が伸長し、また、ドロー/スパン操作スイッチ163を下げ操作している期間のみ電磁切換弁133のソレノイドb1及び電磁切換弁148のソレノイドa2がオンに切換えられて上部作業体操作シリンダ26が収縮する。また、前記ドロー/スパン操作スイッチ163の下げ操作と前記キャスター操作164の上げ操作とを同時に行った時には、前記ソレノイドa1,a2,b1が同時にオンに切換えられて前側張出し部材操作シリンダ66の伸長と上部作業体操作シリンダ26の収縮とが同時に行われることになる。
なお、この作業と逆に踊り場29から階段28に降りるときには、基本的に前記と逆の操作を行えばよい。すなわち、次のような操作を順に行えばよい。
1′)下部走行体14を踊り場29から階段28側へ後退させる。
2′)前記下部走行体14のクローラ20L,20Rが踊り場29から階段28側に突出する位置であってかつ自走式作業機械10の重心が階段28側に移る手前の位置で当該下部走行体14の後退を一旦止める。
3′)下部走行体14を後退側に徐行させながら、同調切換スイッチ166をオンにし、ドロー/スパン操作スイッチ163を「上げ」側に操作するか、もしくは、キャスター操作スイッチ164を「下げ」側に操作する。これにより、電磁切換弁147のソレノイドa1、電磁切換弁148のソレノイドa2、及び電磁切換弁134のソレノイドb2が同時にオンに切換えられ、上部作業体操作シリンダ26の伸長による上部作業体16の傾き操作と、前側張出し操作シリンダ66の収縮による前側張出し部材50の張出し操作とが同時に行われる。これにより、自走式作業機械10はその上部作業体16を略水平な状態に維持しながら図3に示す踊り場29上の位置から図2に示すように階段28に沿って傾斜する位置へ静かに移行することとなる。
4′)同調切換スイッチ166をオフに切換え、キャスター操作スイッチ164を「上げ」側に操作して前側張出し部材50を格納位置に格納する。この状態で下部走行体14を後進させることにより、階段28を降りることができる。
D.踊り場での転回
前記C.の作業で下部走行体14が踊り場29に完全に乗り上げた後は、自走式作業機械10の通常走行が可能であるが、この自走式作業機械10の向きを狭所で大きく変えたい場合、例えば図7に示すようにきわめて限られた踊り場29のスペース内で自走式作業機械10を180°転回させたいような場合には、後側張出し部材52を格納位置から張出し位置まで下げるようにする。この操作は、予め手動で前後切換弁152,154を後側切換位置(図9の上段位置)に切換えておいた状態で、操作ボックス160の同調切換スイッチ166をオフにしたままキャスター操作スイッチ163を「下げ」側に操作すればよい。
このスイッチ操作により出力される指令信号を受けたコントローラ156は、電磁切換弁147,148のソレノイドa1,a2のうちのソレノイドa1のみをオンに切換えるとともに、電磁切換弁133,134のソレノイドb1,b2のうちのソレノイドb2のみをオンに切換える。これにより、共通制御弁120は図9の中立位置から下段位置に切換えられ、メインポンプ102から吐出される作動油がセンターバイパス流路112から前記共通制御弁120、前記電磁切換弁147、及び前後切換弁154を順に経由して後側張出し部材操作シリンダ86のロッド側室に導入される。この油圧供給によって当該後側張出し部材操作シリンダ86が収縮し、後側張出し部材52を図4に実線で示される格納位置から同図二点鎖線で示される張出し位置まで引き下げる。
このように後側張出し部材52が下方に張出すことにより、そのキャスター74が踊り場29上に着地し、かつ、その張出し分だけ下部走行体14の後部が持ち上げられて前下がりに傾いた状態となる。この状態で、例えば右走行レバー125Rは中立位置のままにして右側クローラ20Rを停止させたまま、左走行レバー125Lのみを前進方向に操作して左側クローラ20Lを前進方向に作動させると、図7に示すように前記右側クローラ20Rの前端部位を旋回中心Oとして、前記キャスター74の転動を伴いながら自走式作業機械10全体が小回り旋回することとなり、これにより狭所で自走式作業機械10の向きを変えることができる。この小回り旋回を利用して、同図に示すように自走式作業機械10を狭い踊り場29内で180°転回させるといったことが可能になる。
なお、本発明において各張出し部材50,52を操作する手段は前記張出し部材操作シリンダ66,86のような流体圧シリンダに限らず、例えば高い駆動力を要しない場合には電動モータ等の使用も可能である。
次に、本発明の第2の実施の形態を図12〜図14を参照しながら説明する。
前記第1の実施の形態では、前記前側張出し部材50及び後側張出し部材52がそれぞれ専用の操作シリンダ66,86の伸縮によって個別に操作されるものとなっているが、図12〜図14に示す第2の実施の形態では、両張出し部材50,52が車体フレーム18に回動可能に連結される構造は前記第1の実施の形態と共通するものの、これらの張出し部材50,52が連動機構200により相互連結され、かつ、共通の連動操作シリンダ220によって次の3つの状態に択一的に切換えられるようになっている。
a)前側張出し部材50が図12の二点鎖線50Dに示すように張出し位置にあり、後側張出し部材52が同図の二点鎖線52Uに示すようにその正規の格納位置(同図実線で示される位置)よりもさらに上方の位置にある状態(前側張出し状態)。
b)両張出し部材50,52がともに同図実線で示される格納位置にある状態(格納状態)。
c)前側張出し部材50が図12の二点鎖線50Uに示すようにその正規の格納位置よりもさらに上方の位置にあり、後側張出し部材52が同図の二点鎖線52Dに示すように張出し位置にある状態(後側張出し状態)。
具体的に、前記連動機構200は、左右一対の中間リンク202と、左右方向中央に配される前側リンク204と、左右一対の後側リンク206とを含むリンク機構により構成されている。
前記各中間リンク202は、側方からみて略V字状をなし、その中間部が前記車体フレーム18の左右後端部から下方に突出するリンクブラケット208に左右方向のピン210を介して回動可能に連結されている。
前記前側リンク204は、前記前側張出し部材50と前記中間リンク202とを連結するものであり、前側のリンク軸203と後側の二股状の連結部材205とが前後に連結されてなっている。そして、前記リンク軸203の前端(図12及び図14では右端)が左右方向のピン212を介して前記前側張出し部材50の左右回動側板56(正確には両回動側板56を連結する連結板57の中間部)に回動可能に連結される一方、前記連結部材205の左右後端部(図12及び図14では左端部)が前記各中間リンク202の前端部(図12及び図14では右端部)にそれぞれ左右方向のピン214を介して回動可能に連結されている。
一方、左右の後側リンク206は、前記各中間リンク202と後側張出し部材50とを連結する棒状をなすものであり、この後側リンク206の前端(図12及び図14では右端)が左右方向のピン216を介して前記中間リンク202の後端部(図12及び図14では右端部)に連結される一方、当該後側リンク206の後端(図12及び図14では左端)が前記後側張出し部材52の左右回動側板76にそれぞれ左右方向のピン218を介して回動可能に連結されている。
前記連動操作シリンダ220は、前記車体フレーム18と後側張出し部材52との間に設けられており、当該連動操作シリンダ220のへッド側端部が左右方向のピン222を介して後側張出し部材52のキャスター支持板78に回動可能に連結される一方、当該連動操作シリンダ220のロッド側端部が前記車体フレーム18の後端から下方に突設されたシリンダブラケット224に左右方向のピン226を介して連結されている。
この構造において、前記連動操作シリンダ220を最も伸長させると、後側張出し部材52が正規の格納位置よりも上側の位置(図12に二点鎖線52Uで示される位置)まで押し上げられるとともに、この後側張出し部材52に連結されている連動機構20の中間リンク202が図12の時計回り方向に回動して前側張出し部材50が図12に二点鎖線50Dで示される張出し位置まで引き下げられる(前側張出し状態)。この前側張出し部材50の張出し量は前記図4等に示した第1の実施の形態に係る前側張出し部材50の張出し量よりも少ないが、その張出し分だけ、図2に示す踊り場到達直前位置から図3に示す踊り場到達位置に移行する際の当該踊り場29への下部走行体14の倒れ込み角度を減らし、その分、当該倒れ込みに伴う衝撃を緩和することが可能となる。
また、前記連動操作シリンダ220をそのストロークの中間位置で止めると、図12に二点鎖線50実線で示されるように両張出し部材50,52が格納位置に収められ、両クローラ20L,20Rによる通常走行が可能になる(格納状態)。このとき、両張出し部材50,52はともに車体側方から見てクローラ20L,20Rの外形の内側に収められているため、走行時に前記張出し部材50,52が他の障害物等に接触するという不都合が有効に抑止される。
一方、前記連動操作シリンダ220を最も収縮させると、後側張出し部材52が図12に二点鎖線52Dで示される張出し位置まで引下げられるとともに、この後側張出し部材52に連結されている連動機構20の中間リンク202が図12の反時計回り方向に回動して前側張出し部材50が正規の格納位置よりも上側の位置(図12に二点鎖線50Uで示される位置)まで押上げられる(後側張出し状態)。この状態で、左右クローラ20L,20Rのいずれか一方のみを走行作動させることにより、他方のクローラの前端を旋回中心として前記後側張出し部材52のキャスター54の転動を伴いながら自走式作業機械10全体を小回り旋回させることができ、例えば前記図7に示したような踊り場29での転回も可能になる。
なお、この実施の形態において、前記連動操作シリンダ220は必ずしも後側張出し部材52に連結しなくてもよく、例えば前側張出し部材50と車体フレーム18との間に設けるようにしてもよい。
また、前記連動操作シリンダ220に代え、例えば電動モータや油圧モータで前記中間リンク202を回動させるようにしても、前記各状態の切換が可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る自走式作業機械が階段を登坂している状態を示す側面図である。 前記自走式作業機械が前記階段から踊り場に乗り上げる直前の位置にある状態を示す側面図である。 前記自走式作業機械が前記踊り場に乗り上げた後の状態を示す側面図である。 前記自走式作業機械の車体フレーム及びこれに取付けられる前側張出し部材及び後側張出し部材を示す側面図である。 前記車体フレーム及び張出し部材を示す平面図である。 (a)は前記前側張出し部材の要部を示す正面図、(b)は前記後側張出し部材の要部を示す正面図である。 前記自走式作業機械が踊り場内で転回する例を示す平面図である。 前記自走式作業機械に搭載される油圧回路において上部作業体操作シリンダのロッド側室に作動油が供給される状態を示す回路図である。 前記自走式作業機械に搭載される油圧回路において前側張出し部材操作シリンダのへッド側室に作動油が供給される状態を示す回路図である。 前記自走式作業機械に搭載される油圧回路において同調制御時に前記上部作業体操作シリンダのロッド側室と前記張出し部材操作シリンダのへッド側室の双方に作動油が供給される状態を示す回路図である。 (a)は前記自走式作業機械に装備される操作ボックスの平面図、(b)はその正面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る自走式作業機械の車体フレーム及びこれに取付けられる前側張出し部材及び後側張出し部材を示す側面図である。 図12に示される自走式作業機械の車体フレーム及び両張出し部材を示す平面図である。 図12に示される自走式作業機械の両張出し部材及びその連動機構を示す平面図である。
符号の説明
10 自走式作業機械
12 スクレーパー
14 下部走行体
16 上部作業体
18 車体フレーム
20L 左側クローラ
20R 右側クローラ
28 階段(傾斜路)
29 踊り場(上側目標地)
50 前側張出し部材
52 後側張出し部材
66 前側張出し部材操作シリンダ
74 キャスター
86 後側張出し部材操作シリンダ
102 メインポンプ(流体圧供給源)
152,154 前後切換弁
200 連動機構
202 中間リンク
204 前側リンク
206 後側リンク
220 連動操作シリンダ

Claims (8)

  1. 車体フレームと、その左右両側に設けられ、前記車体フレームよりも後方に突出するクローラとを備え、前記クローラの作動により傾斜路の昇降が可能な自走式作業機械において、
    前記クローラの前半部の領域に設けられ、当該クローラの下面よりも下方に張出して前記車体フレームを前上がり状態で支持する張出し位置と前記クローラの下面よりも上方に格納されて前記クローラによる走行を可能にする格納位置とに切換可能となるように前記車体フレームに取付けられる前側張出し部材と、
    前記車体フレームの後端に設けられた左右方向の支軸を中心として回動可能となるように当該車体フレームに取付けられる回動基端部を有する回動アームとこの回動アームの回動先端部に回転可能に設けられる転動体を有し、前記回動アームの回動により前記転動体が前記クローラの下面よりも下方に突出して着地することにより前記転動体の転動を伴う前記車体フレームの旋回を可能にする張出し位置と前記クローラの下面よりも上方に格納されて前記クローラによる走行を可能にする格納位置とに切換可能となるように前記車体フレームに取付けられる後側張出し部材と、
    前記前側張出し部材及び後側張出し部材をそれぞれ前記張出し位置と前記格納位置との間で移動させる張出し切換手段とを備え、かつ、前記格納位置にある前側張出し部材及び後側張出し部材が前記車体フレームの側方から見て前記クローラの外形の内側に収まるように両張出し部材の形状及び位置が設定され
    前記後側張出し部材の張出し位置における当該後側張出し部材の転動体が前記クローラの後端よりも前側に位置しかつ前記車体フレームの後端よりも後方に位置するように当該張出し位置が設定されていることを特徴とする自走式作業機械。
  2. 請求項記載の自走式作業機械において、前記張出し切換手段は、前記後側張出し部材とは独立して前記前側張出し部材を前記張出し位置と格納位置との間で移動させる前側切換手段と、前記前側張出し部材とは独立して前記後側張出し部材を前記張出し位置と格納位置との間で移動させる後側切換手段とを含むことを特徴とする自走式作業機械。
  3. 請求項記載の自走式作業機械において、前記前側切換手段と前記後側切換手段とが択一的に作動するように両切換手段の作動を制御する切換制御手段を備えたことを特徴とする自走式作業機械。
  4. 請求項記載の自走式作業機械において、前記前側切換手段及び前記後側切換手段はそれぞれ作動流体の供給を受けて作動する流体圧アクチュエータであり、前記切換制御手段は、前記前側切換手段及び前記後側切換手段に共通して設けられる流体圧供給源と、この流体圧供給源から供給される作動流体を前記前側切換手段にのみ導く位置と前記後側切換手段にのみ導く位置とに択一的に切換えられる前後切換弁とを含むことを特徴とする自走式作業機械。
  5. 請求項2〜4のいずれかに記載の自走式作業機械において、前記前側張出し部材の張出し位置が前記後側張出し部材の張出し位置よりも下方の位置に設定されるとともに、前記前側切換手段が作動流体の供給を受けて伸縮する前側流体圧シリンダにより構成され、前記後側切換手段が作動流体の供給を受けて伸縮する流体圧シリンダであって前記前側流体圧シリンダよりも伸縮ストロークの小さい後側流体圧シリンダにより構成され、これら流体圧シリンダの一端が前記前側張出し部材及び後側張出し部材に連結され、各流体圧シリンダの他端がともに前記クローラの前後方向中間位置よりも後側の位置で前記車体フレームに連結されていることを特徴とする自走式作業機械。
  6. 請求項記載の自走式作業機械において、前記張出し切換手段は、前記前側張出し部材及び前記後側張出し部材を、前記前側張出し部材が前記張出し位置にあって前記後側張出し部材が前記格納位置よりも上方の位置にある前側張出し状態と、前記前側張出
    し部材及び後側張出し部材がともに格納位置にある格納状態と、前記前側張出し部材が前記格納位置よりも上方の位置にあって前記後側張出し部材が前記張出し位置にある後側張出し状態とに切換えられるように両張出し部材を連動させる連動機構と、この連動機構により両張出し部材を連動させて前記前側張出し状態と前記中立状態と前記後側張出し状態とに択一的に切換える連動操作手段とを含むことを特徴とする自走式作業機械。
  7. 請求項記載の自走式作業機械において、前記前側張出し部材は前記車体フレームの前側部分に設けられた左右方向の支軸回りに回動してその回動により前記張出し位置と前記格納位置とに切換えられるように前記車体フレームに取付けられ前記連動機構は、前記両支軸の間に位置する左右方向の支軸回りに回動可能となるように前記車体フレームに取付けられた中間リンクと、この中間リンクの前端部と前記前側張出し部材とを連結する前側リンクと、前記中間リンクの後端部と前記後側張出し部材とを連結する後側リンクとを含み、前側連動操作手段は、前記前側張出し部材、前記後側張出し部材、前記中間リンクのいずれかを回動させるものであることを特徴とする自走式作業機械。
  8. 請求項記載の自走式作業機械において、前記連動操作手段が作動流体の供給を受けて伸縮する流体圧シリンダで構成されるとともに、この流体圧シリンダの一端が前記前側張出し部材、後側張出し部材のいずれかに連結され、他端が前記車体フレームに連結されていることを特徴とする自走式作業機械。
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