JP4609176B2 - 液体噴射装置、記録装置、吸収部材及びインク収集ユニット - Google Patents

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Description

本発明は液体噴射装置に関する。より詳細には、液体噴射ヘッドに装着されたノズルプレートの開口から吐出させた液体を被記録物に付着させる液体噴射装置に関する。
液体噴射装置では、被記録物の周縁部に余白を残すことなく液体を付着させる場合に、被記録物および液体噴射ヘッドの不可避な位置ずれを見込んで、被記録物の寸法よりもやや広い領域に対して液体が噴射される。このため、被記録物の両側縁部および前後端部の近傍では、被記録物の存在しない領域に対しても液体が吐出されることになる。そこで、液体が吐出される方向について液体噴射ヘッドに対向する位置に吸収部材を配置し、被記録物に付着し得ない余剰な液体をこの吸収部材に吸収させることにより、余剰の液体が飛散したり周囲を汚染することを防止している。
なお、被記録物は液体が付着することによって伸びて皺を生じる場合がある。伸びた被記録物が自身の皺による撓みで上記の吸収部材に接触すると、吸収部材にすでに吸収されていた液体が被記録物に付着して汚染される。そこで、被記録物の伸びを見込んで、液体噴射装置では被記録物と上記吸収部材との間に2〜4mm程度の間隙が設けられる。また、液体噴射ヘッドと被記録物との間には1mm程度の間隙が設けられる。
一方、記録画像の解像度向上への要求により、昨今の液体噴射装置では、ノズルプレートの開口から吐出される液滴が数pl程度にまで微細化されている。このような微細な液滴は、自身の質量が非常に小さいので、いったん吐出されると雰囲気の粘性抵抗等により運動エネルギーを急速に失う。具体的には、例えば8pl未満の液滴は、大気中で3mm程度の行程を飛翔すると速度が略ゼロになる。運動エネルギーを失った微細な液滴は、重力加速度による落下運動と雰囲気の粘性抵抗力とが殆どつり合い、落下し切るまでに長い時間を要する。
なお、例えば、上記被記録物と吸収部材との間隔に、ノズルプレートと被記録物とのギャップを加えた3〜5mm程度の距離について、ノズルプレートから吸収部材表面まで液滴を届かせることを意図して3pl程度の液滴に対する液体噴射装置の吐出速度を高くしても、液滴に作用する雰囲気の粘性抵抗がさらに上昇して到達距離はかえって短くなる。また、吐出速度を高くすると、液滴がノズルプレートから離脱するときに生じるサテライト・インクと呼ばれる非常に微細な液滴が生じやすくなる。
更に、液体噴射装置では、フラッシングと呼ばれる動作が周期的に繰り返される。フラッシングは、被記録物の存在しない状態で液体噴射ヘッドに駆動信号を送り、液体をいわば空撃ちする動作である。このような動作により、吐出量の少ないノズルにおいて増粘した液体が除去される。ただし、このフラッシングに際して吐出される液体はフラッシングのためだけに消費され、被記録物への記録には寄与しないので、液体の消費を節約すべく小さな液滴が吐出される。また、フラッシングに要する時間は本来の記録動作のスループットを低下させることになるので、フラッシングでは短時間の内にすべてのノズルから液体を吐出させる。このようなフラッシング動作においても、大量のサテライト・インクが生じる。
上記のようなさまざまな現象の結果として生じたサテライト・インクの多くは、液体噴射ヘッド移動領域の周辺に浮遊するエアロゾルとなる。エアロゾルは、一部は液体噴射装置の外部にまで浮遊し、液体噴射装置の周辺に付着する。また、エアロゾルの多くは、やがて液体噴射装置内の各部に付着する。殊に、プラテン等の被記録物の搬送経路にエアロゾルが付着した場合は、次に搬送される被記録物が汚染される。更に、液体噴射装置の電気回路、リニアスケールあるいは各種光学センサ等にエアロゾルが付着した場合は、装置自体の誤動作を招くこともある。また更に、エアロゾルが付着したものにユーザが触れるとユーザの手も汚される。
下記特許文献1には、上記エアロゾルを能動的に収集する機能を備えた液体噴射装置が開示されている。
特開2004−202867号公報
この文献に開示された液体噴射装置では、被記録物に付着しなかった余剰な液体を吸収させる目的で、ノズルプレートに対向する位置に吸収部材が配置される。また、この吸収部材の表面上に一方の電極となる金属部材が配置され、液体を吐出する開口を有する金属製ノズルプレートが他方の電極とされる。これら電極およびノズルプレートに互いに異なる電圧が印加されると、両者の間に電界が形成される。また、このような液体噴射装置でノズルプレートから吐出される液滴は、ノズルプレートから吐出されるときにノズルプレートと同極に帯電する。このため、エアロゾルとして浮遊する液滴も帯電しているので、自身と電界との間で作用するクーロン力により減速されることなく電極に向かい、自身と逆極性の電位にある電極に吸着される。電極に吸着された液滴は、毛細管現象により吸引されて、最終的には吸収部材に吸収される。
上記のような装置においては、エアロゾル収集用の電界を形成するために非常に高い電圧を印加していた。例えば上記特許文献1では、上記電界を得るために3kVの電圧を印加したことが開示されている。この電圧は、ノズルプレートと吸収部材との距離を3mmとすると1MV/mの電界を発生させることに相当する。
そこで、上記課題を解決するために、本発明の第1の形態において、液体噴射装置は、導電性のノズルプレートを有し、ノズルプレートの開口から被記録物へ液体を吐出する液体噴射ヘッドと、液体が吐出される方向についてノズルプレートに対向して配され、被記録物へ着弾しなかった液体を吸収する吸収部材と、吸収部材に隣接して配置された電極と、ノズルプレートと電極との間に25kV/m以上かつ250kV/m以下の電界をかけることにより電位差を発生させて液体を電気的に電極側へ引き付ける電位差発生手段とを備える。これにより、低い印加電圧で発生した電界でエアロゾルを収集することが可能になる。
なお、上記の通り、この液体噴射装置では25kV/m以上の電界が形成されていればエアロゾルを収集できるが、更に、80kV/m以上の電界をかけることにより、その効果は顕著に増す。
また、この液体噴射装置では、ノズルプレートの開口から成長した液体柱が液体滴として吐き出されるまでの液体柱の高さが高いほど、電位差発生手段がノズルプレートと電極との間にかける電界を小さくしてもよい。即ち、液体中の高さが高いほど液滴に帯電する電荷が大きくなるので、液滴が電極に到達するために電位差発生手段で発生させる電界を小さくすることができる。
本発明の第2の形態においては、記録装置であって、導電性のノズルプレートを有し、ノズルプレートの開口から被記録物へインクを吐出する記録ヘッドと、インクが吐出される方向についてノズルプレートに対向して配され、被記録物へ着弾しなかったインクを吸収する吸収部材と、吸収部材に隣接して配置された電極と、ノズルプレートと電極との間に25kV/m以上かつ250kV/m以下の電界をかけることにより電位差を発生させてインクを電気的に電極側へ引き付ける電位差発生手段とを備える。これにより、記録装置において、低い印加電圧で発生した電界でインクのエアロゾルを収集することができる。
本発明の第3の形態においては、被記録物に記録ヘッドからインクを吐出する記録装置における前記記録ヘッドに対向して配される吸収部材であって、表面抵抗が10Ω以下の抵抗値を有する導電性の多孔質材により形成される。これにより、より確実にエアロゾルを回収することができる。
被記録物に記録ヘッドからインクを吐出する記録装置における前記記録ヘッドに対向して配されるインク収集ユニットであって、表面抵抗が10Ω以下の抵抗値を有する導電性の多孔質材により形成される吸収部材と、前記吸収部材を収容すると共に、前記被記録物を支持するプラテンとを備える。これにより、より確実にエアロゾルを回収することができる。このインク収集ユニットにおいて、前記吸収部材と電気的に接続された電極をさらに備えてもよい。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の実施形態のひとつとなり得る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置11を概観する斜視図であり、カバーとしての上ケース22を開いた状態で描かれている。同図に示すように、このインクジェット式記録装置11は、装置の基部となる下ケース20と、下ケース20と共に筐体を形成する上ケース22と、下ケース20の後部に装着されたホッパー10と、下ケース20の前面に形成された排出トレー30とを備えている。また、このインクジェット式記録装置11は、下ケース20内に水平に配置されたプラテン400と、プラテン400の上方に配置されたキャリッジ200とを筐体の内側に備えている。
上記のようなインクジェット式記録装置11では、ホッパー10に収容された被記録物300が、図示されていない搬入部により1枚ずつプラテン400上に送り出され、更に、図示されていない排出部により排出トレー30に送り出される。また、このインクジェット式記録装置11では、プラテン400の上方で、キャリッジ200が被記録物300の搬送方向と直交する方向に往復移動する。従って、被記録物300の搬送とキャリッジ200の往復移動を交互に行うことにより、被記録物300の上面全体をキャリッジ200で走査でき、被記録物300上の任意の位置で記録動作が行える。
図2は、図1に示したインクジェット式記録装置11の内部機構12を、フレーム100および側面部110、111ごと抜き出して示す斜視図である。同図に示すように、この内部機構12は、後方に略鉛直に配置されたフレーム100と、フレーム100の両側端部から互いに平行に前方に向かって延在する1対の側面部110、111とによって画成される領域の内側に概ね形成されている。
同図に示す通り、この内部機構12において、キャリッジ200は、自身を貫通するガイド軸220に支持されている。ガイド軸220は、その端部を側面部110と側面部111とに支持され、フレーム100に平行に配置されている。従って、キャリッジ200はガイド軸220に沿って水平に移動できる。
キャリッジ200の後方では、1対のプーリ242、244と、プーリ242、244に掛けわたされたタイミングベルト230がフレーム100の前面に配置されている。一方のプーリ244はキャリッジモータ246により回転駆動される。また、タイミングベルト230はキャリッジ200の後部に結合されている。従って、キャリッジモータ246の動作に応じてキャリッジ200を往復移動させることができる。
また、キャリッジ200は、インクカートリッジ250を装荷されると共に、その下面に記録ヘッド210を備えている。記録ヘッド210は、インクを吐出するための開口を含む金属製のノズルプレート260を備えている。これにより、図2に示す形態において、インクは、キャリッジ200から下方に向かって吐出される。
更に、キャリッジ200は、テープ状の多芯ケーブル270を介して、フレーム100後方の電子回路120に結合されている。多芯ケーブル270は、キャリッジ200の移動に従って柔軟に撓むので、キャリッジ200の往復移動を妨げることはない。
キャリッジ200が通過する領域の下方には、プラテン400が配置されている。プラテン400は、キャリッジ200の下を通過する被記録物300を下方から支持して、ノズルプレート260と被記録物300との間隔を一定に維持する。また、プラテン400の上面には陥没部410が形成されており、この陥没部410に吸収部材420が収容されている。吸収部材420は、被記録物300の存在していない領域に対して記録ヘッド210から吐出されたインクを収受する。ここで、ノズルプレート260と吸収部材420との間には、3〜5mm程度の間隙が設けられている。
なお、インクジェット式記録装置11の稼働時間が経過するにつれて吸収部材420にはインクが付着する。このインクが付着した吸収部材420に被記録物300が接触すると被記録物300がインクにより汚染される。そこで、プラテン400の上面に突起状の部位を形成して被記録物300を下方から持ち上げて支持させることにより、両者の間隔を保って接触を防止している。
また、プラテン400に内蔵されている吸収部材420は、表面における吸収速度を重視して材料を選択されているので吸収容量に限りがある。そこで、より大きな廃液吸収部材600をプラテン400の下方に配置し、これを吸収部材420と連通させている。廃液吸収部材600は、その吸収容量が重視されると共に、毛細管現象による吸収力の大きな材料が選択されている。従って、廃液吸収部材600は、吸収部材420から大量のインクを吸収することができる。
プラテン400の後方には搬送ローラ310が配置されている。搬送ローラ310は、フレーム100の後方に配置された搬送モータ320により駆動され、図示されていない従動ローラと共働して被記録物300をプラテン400上に送り出す。前述の通り、キャリッジ200は被記録物300の搬送方向と直交する方向に往復移動できる。従って、被記録物300の搬送とキャリッジ200の往復移動を交互に行う一方で、キャリッジ200下面の記録ヘッド210を断続的に作動させて、被記録物300上の任意の領域に対してインクを吐出し、付着させることができる。
更に、この内部機構12では、プラテン400に対して側面部110側の側方に、キャップ部材500が配置されている。キャップ部材500は上下に移動可能で、キャリッジ200が側面部110に近いホームポジションで停止したときに上昇してノズルプレート260の表面を封止する。また、キャップ部材500の内部はポンプユニット510に結合されている。ポンプユニット510は、ノズルプレート260表面に付着したインクを吸引できる。ポンプユニット510に吸引されたインクは、図示されていないパイプを介して、廃液吸収部材600に吸収される。
更に、プラテン400とキャップ部材500との間には、ワイピング手段520が配置されている。キャップ部材500から開放されたキャリッジ200がその上方を通過するとき、ワイピング手段520はノズルプレート260の下面を払拭して清浄にする。
図3は、図1に示すインクジェット式記録装置11で用い得るエアロゾル収集機構13の実施形態を示す斜視図である。また、図3は、吸収部材420側の電極430とノズルプレート260との電気的な関係も併せて示す。
同図に示すように、電位差発生手段700の一端は、電極430に電気的に結合されている。電極430は、吸収部材420の上面に載置され、さらに、吸収部材420は、図2に示したようにプラテン400上面の陥没部410に収容されている。
電位差発生手段700の他端は、ノズルプレート260に電気的に結合されている。ノズルプレート260は、それ自体が金属等の導体材料で形成されており、インクを吐出するための開口262を複数備えている。図3に示す形態において、電位差発生手段700の上記一端がプラス極に、上記他端がマイナス極または接地に設定される。
図4は、図1に示すインクジェット式記録装置11で用い得るエアロゾル収集機構14の他の実施形態を示す斜視図である。また、図4も、吸収部材420側の電極431とノズルプレート260との電気的な関係を併せて示す。
同図に示すように、電位差発生手段700の一端は電極431に電気的に結合されている。電極431の末端近傍は、吸収部材420の内部に挿通されている。さらに、吸収部材420は、図2に示したように、プラテン400上面の陥没部410に収容されている。電位差発生手段700の他端がノズルプレート260に結合されていることは、図3に示した実施形態と同様である。
なお、図3、図4に示すエアロゾル収集機構13、14において、電極430、431は、インクジェット式記録装置11のインクに対して耐蝕性のある金属、例えば金、ステンレスまたはニッケルの線材、板材または箔材、あるいは、これらの金属でメッキした線材、板材または箔材、若しくは、これらの材料を組み合わせた網状または格子状の部材で形成できる。また、吸収部材420及びプラテン400は、本発明におけるインク収集ユニットの一例である。さらにインク収集ユニットには上記電極が含まれてもよい。
また、吸収部材420は、ノズルプレート260から吐出されながら被記録物300に付着しなかった液滴を直接に受け止める。このとき、吸収部材420表面でのインクの吸収速度が遅いと、液滴が衝突する衝撃でいわゆるミルククラウンを生じる。ミルククラウンの周縁からは微細な液滴が生じ、これもまたエアロゾル発生の原因となる。そこで、吸収部材420の材料は、吸収速度の高さを重視して空隙率の高い発泡材料が選択される。
更に、上記吸収部材420を表面抵抗が10Ω以下の抵抗値を有する導電性材料で形成してもよい。具体的には、ポリエチレン、ポリウレタン等の樹脂に金属、炭素等の導電性材料を混入した上で発泡させたもの、ポリエチレン、ポリウレタン等の樹脂発泡材に金属、炭素等の導電性材料を付着させたもの、または、メッキしたもの等を用いることができる。また、ポリエチレン、ポリウレタン等の樹脂発泡材に電解質溶液を含浸させたものを吸収部材420として用いることもできる。
図5は、図1および図4に示したインクジェット式記録装置11における、エアロゾル収集機構15示す概念図である。図5においても、図1から図4までに示したものと同じ構成要素には同じ参照符号を付して重複する説明を省いている。
同図に示すように、ノズルプレート260にはインクを吐出する複数の開口262が形成されている。ノズルプレート260の直下に被記録物300がある場合は、ノズルプレート260から吐出された液滴268は被記録物300に付着する。
しかしながら、被記録物300の縁部に余白無くインクを付着させようとした場合、被記録物300の側縁部並びに先端及び後端において、一部の開口262の直下に被記録物300が存在しないことがある。このような場合、開口262から吐出することによって液滴266に与えられた運動エネルギーは雰囲気の粘性抵抗により急速に失われ、一部の液滴では吸収部材420に到達する遥か前に完全に失われる。また、液滴266の質量は非常に小さいので、重力加速度による落下運動と前記粘性抵抗力とが殆どつり合い、液滴266の落下速度は極めて遅くなる。こうして、ノズルプレート260の下方に浮遊するエアロゾルが発生する。
ここで、図5に示すように、電位差発生手段700の一端がノズルプレート260に、電位差発生手段700他端が電極430に、それぞれ接続されている。従って、ノズルプレート260と電極430との間には、印加電位差Vに応じた電界Eが形成されている。
図6は、図5に示したノズルプレート260の表面におけるインク柱264を拡大して示す図である。ここでも、他の図と共通の構成要素には同じ参照符号を付して重複する説明を省いている。
このインクジェット式記録装置11において開口262から押し出されるインクは、液滴266となる直前の瞬間に、ノズルプレート260から下垂するインク柱264となる。このとき、インク柱264の先端Aとインク柱264付近Bのノズルプレート260下面との間でいわゆる避雷針効果が生じる。即ち、ここでいう避雷針効果とは、インク柱264の先端A(図中では下端)を頂点とする頂角50°から60°の円錐形で包囲されるノズルプレート260表面の領域Bが液滴266の帯電に寄与することをいう。この避雷針効果により、液滴266は、インク柱264の水平断面積に対応する電荷よりも大きな電荷を有する。
インク柱264は、やがてノズルプレート260から離れて液滴266となるが、この液滴266は後述のような避雷針効果により蓄積された電荷qで帯電している。従って、電荷qを有する液滴266は、電界Eからクーロン力Fe(qE)により運動エネルギーを得て減速されること無く下方に移動し、最終的に吸収部材420に到達する。
ここで、上記開口262の直径を「d」、同半径を「r」、インク柱264の高さを「h」としたとき、上記領域Aの面積Sは「πr」と表すことができる。
一方、高さ「h」のインク柱264の先端で避雷針効果が生じる領域Bの頂角を30°としたとき、ノズルプレート260の表面でこれに包囲される領域の面積Sは「π{h・tan(30°)}」と表すことができ、更に、これは「π{h/√3}」と変形できる。
ここで、両者の比「S/S」は「π(h/√3)/πr」と表せる。インク柱264の高さは開口径dの6〜10倍程度であり、平均的には8倍程度と見なすことができる。従って、開口262の半径rが「1」で、インク柱264の高さhが「8」であるとすると、面積比「S/S」は「85.3」となる。これは、避雷針効果により液滴に蓄積される電荷が、インク柱264の水平断面積分だけが帯電に寄与すると見なした場合に蓄積される電荷の85.3倍に及ぶことを意味する。
更に、電荷qに帯電した液滴に対して電界E中で作用するクーロン力Fは「qE」と表せる。このとき、印加電圧を「V」、ノズルプレート260と電極430との間の距離を「D」、誘電率を「ε」とすると、クーロン力Fは約「q(V/D)」となる。これに帯電に寄与する面積Sを導入すると、クーロン力Fは「εS(V/D)」であり、更に「εSE」と表せる。このことから、クーロン力Fは、寄与面積Sに比例し、電界Eの2乗に比例することが判る。換言すれば、寄与面積がSからSに変化したときに、変化前と同じクーロン力Fを電荷qに帯電した液滴に作用させるために必要な電界Eは「E・√(S/S)」と表すことができる。
上記の式1を、前記した開口径dの8倍の高さhを有するインク柱の場合について適用すると、同じクーロン力を得るために必要な電界Eは「1/√(85.3)」でよいことになる。更に、これを前記特許文献1に開示された数値に対応させると、同公報に開示された液体噴射装置では有効な電界を得るために1MV/mの電界を形成していたのに対して、この実施形態に係る液体噴射装置では110kV/m程度の電界で等しい効果が得られることになる。
なお、上記の説明からも判るように、液滴266が吐出される直前の瞬間にノズルプレート260の表面に形成されるインク柱264の高さが高くなると、そこから形成される液滴に帯電する電荷qも大きくなる。液滴266が帯びる電荷qが大きくなれば、電界Eから液滴266に作用するクーロン力Fe(qE)も大きくなるので、一定の効果を得るために必要な印加電界Eを一段と低減することが可能になる。
図7は、上記のようなインクジェット式記録装置11の一実施形態における印加電界とエアロゾルの浮遊数との関係を示すグラフである。即ち、ノズルプレート260と電極430との間にさまざまな強さの電界を形成した上で記録動作を行い、その結果発生したエアロゾルの浮遊量を測定してプロットした。測定に際しては、液滴の大きさを1.5pl、3pl、7plの粒径別にそれぞれA4サイズの5枚の被記録物に対して印刷開始から7分38秒の時間をかけて記録動作させ、更に、印刷開始後8分が経過するまでに計数できたエアロゾルの総数を8で割って、1分当たりのエアロゾル数とした。
同図に示すように、全く電界がなかった場合に比較して、電界が25kV/mを越えるとエアロゾル数は顕著に減少し始める。更に、電界が80kV/mを越えると、エアロゾル数はそのサイズにかかわらず1000から2000個程度になり、十分なエアロゾル収集が実施されたことが判る。
図8は、図7に示すグラフのエアロゾル数(縦軸)と印加電界(横軸)を対数表示化したグラフである。同図から判るように、印加電界を80kV/mよりも高くしていった場合もエアロゾル数の減少は続くが、印加電界が250kV/mを越える領域になると、減少の度合に乱れが生じて印加電界に対するエアゾル減少の直進性が失われ、電界を上げても効果に差が無いことが判る。これらのことから、印加電界は電界が25kV/m以上、250kV/m以下とすることが好ましい。
以上詳細に説明したように、この液体噴射装置では、低い電界で有効なエアロゾル収集機能を実現することができる。従って、エアロゾルの発生を抑制した液体噴射装置を、広範な分野で利用できるようになる。
なお、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることができることは当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
また、本発明の実施形態となり得る液体噴射装置の具体例として、液晶ディスプレイ用カラーフィルタの製造における色材噴射装置、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の製造における電極形成装置またはバイオチップ製造に使用する試料噴射ヘッド等をあげられるが、これらに限定されるわけではない。
インクジェット式記録装置11の全体を概観する斜視図。 図1に示す噴射装置の内部機構12近傍を抜き出して示す斜視図。 図1に示す噴射装置のエアロゾル収集機構13を示す斜視図。 図1に示す噴射装置のエアロゾル収集機構14の他の形態を示す斜視図。 エアロゾル収集機構15の動作を説明する側面図。 図5に示すノズルプレート260付近を拡大して示す斜視図。 実施形態における印加電界とエアロゾル数との関係を示すグラフ。 図7に示すグラフのエアロゾル数を対数表示化して示すグラフ。
符号の説明
10 ホッパー、11 インクジェット式記録装置、12 内部機構、13、14 エアロゾル収集機構、15 エアロゾル収集機構、20 下ケース、22 上ケース、30 排出トレー、100 フレーム、110、111 側面部、120 電子回路、200 キャリッジ、210 記録ヘッド、220 ガイド軸、230 タイミングベルト、242、244 プーリ、246 キャリッジモータ、250 インクカートリッジ、260 ノズルプレート、262 開口、264 インク柱、266、268 液滴、270 多芯ケーブル、300 被記録物、310 搬送ローラ、320 搬送モータ、400 プラテン、410 陥没部、420 吸収部材、430、431 電極、500 キャップ部材、510 ポンプユニット、520 ワイピング手段、600 廃液吸収部材、700 電位差発生手段

Claims (2)

  1. 導電性のノズルプレートを有し、前記ノズルプレートの開口から被記録物へ液体を吐出する液体噴射ヘッドと、
    液体が吐出される方向について前記ノズルプレートに対向して配され、被記録物へ着弾しなかった液体を吸収する吸収部材と、
    前記吸収部材に隣接して配置された電極と、
    前記ノズルプレートと前記電極との間に電界をかけることにより電位差を発生させて液体を電気的に電極側へ引き付ける電位差発生手段と
    を備え、
    前記ノズルプレートと前記吸収部材との間隔が3mmから5mmであって、
    前記電位差発生手段は、前記開口の径の6倍から10倍の高さを有する液体柱に成長して前記液体柱より1.5plから7plの液体滴となって前記開口から吐出される液体に対し、25kV/m以上かつ250kV/m以下であって、前記開口から成長した液体柱が液体滴として吐き出されるまでの液体柱の高さが高いほど、前記ノズルプレートと前記電極との間に小さい電界をかける液体噴射装置。
  2. 前記電位差発生手段は、前記ノズルプレートと前記電極との間に、80kV/m以上の電界をかける、請求項1に記載の液体噴射装置。
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