JP4608365B2 - 内接歯車ポンプの歯形創生方法及び内接歯車 - Google Patents
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ない歯形を備えさせるための歯形創生方法と、その方法で創生された歯形を有する内接歯
車と、その内接歯車を使用して脈動を抑えた内接歯車ポンプに関する。
あるが、これらの特許文献が開示している内接歯車ポンプは、理論吐出量に影響を与える
偏心量e(インナーロータ中心とアウターロータ中心の偏心量)の設定に自由度がなく、
インナーロータの歯先径を固定して偏心量eを一旦決めてしまうと、その偏心量eを大き
くして吐出量を大きくすることができないと言う問題を有していることから、本出願人は
、その問題を解決した内接歯車ポンプを発明して特願2003−274844号で提案し
た(以下、先願発明と言う)。
ウターロータの中心周りに直径S=(2e+t)の円を描いて公転させ、インナーロータ
中心がその円を1周公転する間にインナーロータを1/n回自転させ、こうして作られる
インナーロータの歯形曲線群の包絡線を歯形にしたアウターロータを組み合わせて構成される(ここに、e:インナーロータの中心とアウターロータの中心の偏心量、t:アウターロータとそれに押し付けたインナーロータとの間に形成される歯間隙間の最大値、n:インナーロータの歯数)。
eを大きくしてポンプの吐出量を大きくすることが可能になっている。しかしながら、一
方で、下記の問題を有することが判明した。すなわち、前掲の式の歯間隙間t(以下では
このtをΔeと置き換えて説明を進める)が規格の最小値になる寸法をもったインナーロータとアウターロータ(寸法が許容範囲内で最大のインナーロータと最小のアウターロータ)が互いに組み合わされた場合、両ロータの干渉が起こる場合がある。
内で最小のインナーロータと寸法が許容範囲内で最大のアウターロータを組み合わせたと
きの歯間隙間が最大値Δemaxとして設定され、また、寸法が許容範囲内で最大になったインナーロータと寸法が許容範囲内で最小になったアウターロータを組み合わせたときの歯間隙間が最小値Δeminとして設定される。
信頼性が低下するので、その干渉を確実に回避できる歯形が望まれる。
接歯車ポンプの歯形創生方法と、その方法で創生された歯形を有する信頼性の高まった内
接歯車と、その内接歯車を使用して脈動を抑えた内接歯車ポンプを提供することを課題としている。
数をn、インナーロータとアウターロータ間に設ける歯間隙間の規格の最小値をΔemi
n、同規格の最小値と最大値間の中央値をΔemidとして、
インナーロータの中心をアウターロータの中心周りに直径S=(2e+Δemin)の
円を描いて公転させ、インナーロータ中心がその円を1周公転する間にインナーロータを1/n回自転させ、こうして作られるインナーロータの歯形曲線群の包絡線でアウターロータの仮の歯形を形成し、次いで、インナーロータの元の歯形、アウターロータの仮の歯形もしくはインナーロータの元の歯形とアウターロータの仮の歯形の双方を、オフセット又はスケールで(Δemid−Δemin)相当量の歯間隙間を形成してインナーロータとアウターロータの最終歯形を創生する。
る場合には、図4に示すように、直径d=0.01mmの転円11を基準歯形A(これは
後述の仮の歯形に相当する)に外接させ、この転円11を基準歯形A上で滑りを発生させずに転がらせる方法で寸法調整を行うものであり、このときの転円11の軌跡によって描
かれる最終歯形B(転円11が内接する歯形)は、基準歯形Aに対して平行で全域におい
て寸法が半径で0.01mm増大したものになる。インナーロータの寸法を調整する場合
には、直径d=0.01mmの転円11を基準歯形Aに内接させて滑りを発生させずに転
がらせ、その転円11の内側の軌跡によって描かれる歯形を最終歯形となす。
増減率に応じて調整量を増減するものであり、基準歯形Aと最終歯形B間の距離が歯の各
部において変動する。
仮の歯形をアウターロータの最終歯形にする。オフセットやスケールによる調整量は、イ
ンナーロータとアウターロータに半々に振り分けてもよい。また、アウターロータの最終
歯形は、歯底部に、インナーロータの歯先との間の隙間を増大させる補正をさらに加えた
ものにしてもよい。
、その内接歯車を吸入ポートと吐出ポートを有するハウジングに組み込んだ内接歯車ポン
プも提供する。
(2)上記(1)の方法によって創生された最終歯形の歯底位置からアウターロータの歯底を掘り下げてインナーロータの歯先がアウターロータの歯底に最接近する位置でインナーロータの歯先とアウターロータの歯底との間に空間を生じさせる逃がし部を、インナーロータとアウターロータの噛み合い点にかからない状態、かつ、吸入ポートと吐出ポートを連通させない状態にして設けた内接歯車。
(3)上記(1)の方法によって創生された最終歯形の歯底位置からインナーロータの歯底を掘り下げてアウターロータの歯先がインナーロータの歯底に最接近する位置でアウターロータの歯先とインナーロータの歯底との間に空間を生じさせる逃がし部を、インナーロータとアウターロータの噛み合い点にかからない状態、かつ、吸入ポートと吐出ポートを連通させない状態にして設けた内接歯車。
(4)逃がし部を有する上記(2)のアウターロータと、同じく逃がし部を有する上記(
3)のインナーロータを組み合わせた内接歯車。
に比べて歯形の管理が容易になる利点があり、一方、スケールは、歯幅の広がりが小さく
押さえられる利点がある。
ナーロータの歯底が本来の位置(創生された歯形の歯底位置)から逃げており、それによ
って、インナーロータとアウターロータ間に作りだされるポンプ室の圧縮比(圧縮行程で
の容積変化率)が小さくなるので、逃げが無いものに比べると吐出量の変化が緩やかにな
り、そのために脈動が低減され、脈動に起因する騒音などが小さくなる。
ーロータである。
ーロータ2との噛合部3をインボリュート曲線で各々形成している。アウターロータ2と
の噛合部3を偏心量eとの関連がないインボリュート曲線で形成すると、先願発明の効果
(偏心量eの設定に自由度を持たせて吐出量を大きくする)も得られるが、歯底4と噛合
部3は例示の曲線に限定されるものではない。また、インナーロータ1の歯先5は、円弧
曲線で形成しているが、これも円弧曲線に限定されるものではなく、楕円の一部の曲線や
エピサイクロイド曲線などを用いることもできる。
を有するインナーロータ1を公転させる方向と逆方向に自転させながらそのインナーロー
タ1の中心Oiをアウターロータの中心Oo周りに直径(2e+Δemin)の円Sを描
いて公転させる。eはインナーロータの中心とアウターロータの中心の偏心量、Δemi
nは歯間隙間の規格の最小値である。
歯形6、7をオフセット又はスケールで調整する。この調整は、歯間隙間にその設定値(
実施例ではΔemid)の隙間を形成するようにオフセット又はスケールで行う。例えば、インナーロータ1については最終歯形寸法が元の歯形6の寸法よりも小さくなる方向に、また、アウターロータ2については最終歯形寸法が仮の歯形7の寸法よりも大きくなる方向に寸法を変化させて行う。また、このときの調整量は(Δemid)相当量とし、この調整を行って得られる歯形をインナーロータ1とアウターロータ2の最終歯形となす。なお、オフセットとスケールに関する説明は、図4、図5を用いて既に行ったので再説明を省く。
の歯間隙間を図8、図9に示す。図6と図8は、歯間隙間Δeが0になる位置をインナーロータ1の歯元とアウターロータ2の歯元との間に設定する場合の歯間隙間を計算して表しており、また、図7と図9は歯間隙間Δeが0になる位置をインナーロータ1の歯底とアウターロータ2の歯先との間に設定する場合の歯間隙間を計算して表している。
・インナーロータ1の歯数n=9枚
・インナーロータ1とアウターロータ2の歯数差=1
・インナーロータ1の外径=φ73.1mm
・インナーロータ1とアウターロータ2の中心の偏心量e=3.585mm
・歯間隙間の規格の最小値Δemin=0.02mm
・歯間隙間の規格の最大値Δemax=0.10mm
・歯間隙間の規格の中央値Δemid=0.06mm
の包絡線を描いてアウターロータの仮の歯形を形成し、その後、調整用の数値の(0.0
6−0.02)mmをインナーロータ1とアウターロータ2の両者に半々に振り分け、仮
の歯形を直径が0.02mm(半径で0.01mm)大きくなるように、また、インナー
ロータ1の元の歯形を直径が0.02mm(半径で0.01mm)小さくなるように、それぞれオフセットで調整してインナーロータとアウターロータの最終歯形を決定した。なお、アウターロータ2の最終歯形は、歯底部4に、インナーロータ1の歯先との間の隙間を増大させる補正をさらに加えたものにしてもよく、例示の歯形はその補正を行ったものにしている。
の方法でインナーロータの歯形曲線群の包絡線を描いてアウターロータの歯形を創生し、
そのアウターロータとインナーロータを、歯間隙間の中央値Δemidを狙って組み合わせたときの各噛合部の歯間隙間を表しており、また、図8(b)および図9(b)は、歯間隙間の最小値Δeminを狙って許容範囲内で最大寸法のインナーロータと許容範囲内で最小寸法のアウターロータを組み合わせたときの各噛合部の歯間隙間を表している。
干渉が起こる。これに対し、この発明の内接歯車は、歯間隙間が最小になる図6(a)お
よび図7(a)においても各噛合部の歯間隙間が全て正の値になっており、インナーロー
タとアウターロータの干渉が起こらない。
ターロータとの噛合部をインボリュート曲線で各々形成し、噛合部より歯先を円弧曲線、
楕円の曲線、エピサイクロイド曲線の一部として形成してもよいし、歯先全体を円弧曲線、楕円の曲線、エピサイクロイド曲線で形成してもよい。
図10の内接歯車ポンプ20Aは、図1の内接歯車をベースにしてその内接歯車のアウターロータ2の歯底8を、一点鎖線で示す本来の位置(創生された歯形の歯底位置)から掘り下げて実線で示す位置に逃がし、この歯底部8を逃がした内接歯車を、吸入ポート12と吐出ポート13を有するハウジング14に組み込んで構成されている。
So≧{(6×H×n×ds/dθ)/2×Vo}−S
ここに、So:ポンプ室の最小面積(mm2)、H:歯幅、n:ポンプの回転数(r.p.m)、
(ds/dθ):ロータ回転角θにおけるポンプ室の面積増加率(mm2/度)、S:ロータがθ回転した位置でのポンプ室の面積
に基づいて設定してもよい。
2 アウターロータ
3 噛合部
4 インナーロータの歯底部
5 インナーロータの歯先部
6 インナーロータの元の歯形
7 アウターロータの仮の歯形
8 アウターロータの歯底部
9 アウターロータの歯先部
11 オフセットのための転円
12 吸入ポート
13 吐出ポート
14 ハウジング
15、17 逃がし部
16 ポンプ室
20A〜20C 内接歯車ポンプ
A 基準歯形
B 最終歯形
S インナーロータ中心を公転させる円の直径
a 逃がし量
Claims (8)
- インナーロータの中心とアウターロータの中心の偏心量をe、インナーロータの歯数をn、インナーロータとアウターロータ間に設ける歯間隙間の規格の最小値をΔemin、同規格の最小値と最大値間の中央値をΔemidとして、
インナーロータの中心をアウターロータの中心周りに直径S=(2e+Δemin)の
円を描いて公転させ、インナーロータ中心がその円を1周公転する間にインナーロータを
1/n回自転させ、こうして作られるインナーロータの歯形曲線群の包絡線でアウターロ
ータの仮の歯形を形成し、次いで、インナーロータの元の歯形、アウターロータの仮の歯
形もしくはインナーロータの元の歯形とアウターロータの仮の歯形の双方を、オフセット
又はスケールで(Δemid−Δemin)相当量の歯間隙間を形成してインナーロータ
とアウターロータの最終歯形を創生する内接歯車ポンプの歯形創生方法。 - オフセット又はスケールによる歯間隙間の設定量をインナーロータとアウターロータに
半々に振り分けてインナーロータとアウターロータの歯形を創生する請求項1に記載の内接歯車ポンプの歯形創生方法。 - アウターロータの仮の歯形にオフセット又はスケールで歯間隙間を形成して得られるア
ウターロータの最終歯形の歯底部に、インナーロータの歯先との間の隙間を増大させる補
正をさらに加える請求項1又は2に記載の内接歯車ポンプの歯形創生方法。 - インナーロータとアウターロータが、請求項1に記載の方法で創生された歯形を有する
歯車ポンプ用内接歯車。 - インナーロータの歯のアウターロータとの噛合部をインボリュート曲線で形成した請求
項4に記載の歯車ポンプ用内接歯車。 - 創生された最終歯形の歯底位置からアウターロータの歯底を掘り下げてインナーロータ
の歯先がアウターロータの歯底に最接近する位置でインナーロータの歯先とアウターロー
タの歯底との間に空間を生じさせる逃がし部を、インナーロータとアウターロータの噛み
合い点にかからない状態、かつ、吸入ポートと吐出ポートを連通させない状態にして請求
項4又は5に記載の内接歯車に設け、その逃がし部を有する内接歯車を吸入ポートと吐出ポートを有するハウジングに組み込んで構成される内接歯車ポンプ。 - 創生された最終歯形の歯底位置からインナーロータの歯底を掘り下げてアウターロータ
の歯先がインナーロータの歯底に最接近する位置でアウターロータの歯先とインナーロー
タの歯底との間に空間を生じさせる逃がし部を、インナーロータとアウターロータの噛み
合い点にかからない状態、かつ、吸入ポートと吐出ポートを連通させない状態にして請求
項4又は5に記載の内接歯車に設け、その逃がし部を有する内接歯車を吸入ポートと吐出ポートを有するハウジングに組み込んで構成される内接歯車ポンプ。 - 創生された最終歯形の歯底位置からアウターロータの歯底を掘り下げてインナーロータ
の歯先がアウターロータの歯底に最接近する位置でインナーロータの歯先とアウターロー
タの歯底との間に空間を生じさせる逃がし部と、創生された最終歯形の歯底位置からイン
ナーロータの歯底を掘り下げてアウターロータの歯先がインナーロータの歯底に最接近す
る位置でアウターロータの歯先とインナーロータの歯底との間に空間を生じさせる逃がし
部を、それぞれ、インナーロータとアウターロータの噛み合い点にかからない状態、かつ
、吸入ポートと吐出ポートを連通させない状態にして請求項4又は5に記載の内接歯車に設け、その逃がし部を有する内接歯車を吸入ポートと吐出ポートを有するハウジングに組み込んで構成される内接歯車ポンプ。
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