しかしながら、このような従来のパッケージにおいて、圧力検出の感度を向上させることを目的に、例えば、静電容量形成用の第1の電極および第2の電極のうち一方の電極が他方の電極より小さく形成された構造を採用するとともに、小型化を図る場合には、第1の電極と第2の電極との位置合わせの精度をより向上させる必要があった。すなわち、圧力検出装置の感度を向上させつつ小型化を図る場合には、第1の電極と第2の電極との位置ずれによる検出精度の低下が顕著に現れるため、第1の電極が形成された絶縁基体と第2の電極が形成されたダイアフラムとの位置合わせの精度をさらに向上させる必要があった。
また、従来のパッケージにおいて小型化を図る場合に、第1の金属層と第2の金属層との間に介在する余分な接合材が絶縁基体等に流れ出て、絶縁基体に余分な接合材の塊が形成される可能性があった。そして、この余分な接合材が固まる際に、余分な接合材が第1の金属層および第2の金属層を引き剥がす可能性があった。第1の金属層および第2の金属層が引き剥がされてしまうと、絶縁基体にダイアフラムを接合することが困難となる。
本発明はかかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、圧力の検出精度を向上させつつ小型化を図り、信頼性の高い圧力検出装置用のパッケージおよび圧力検出装置を提供することにある。
本発明の圧力検出装置用パッケージは、半導体素子が搭載される搭載部を有する絶縁基体と、該絶縁基体の表面に形成された静電容量形成用の第1の電極と、前記絶縁基体の表面に形成され、前記半導体素子の電極に電気的に接続される第1の金属層と、前記絶縁基体の前記表面と対向して配置された、八角平板状のダイアフラムと、該ダイアフラムの表面に、前記第1の電極に対向するように形成された静電容量形成用の第2の電極と、前記ダイアフラムの前記表面に形成され、前記第2の電極に電気的に接続されているとともに接合材を介して前記第1の金属層に電気的に接続された第2の金属層と、前記絶縁基体の前記表面の前記第1の電極の周囲に形成され、前記ダイアフラムが配置される領域を規定する、四角の枠状の突起部とを備え、前記ダイアフラムと前記枠状の突起部との間に空白領域が部分的に形成されていることを特徴とするものである。
本発明の圧力検出装置用パッケージは、絶縁基体の表面とダイアフラムの前記表面との間に設けられ、前記第1の電極と前記第2の電極との間隔を規定するスペーサを備えていることを特徴とするものである。
本発明の圧力検出装置用パッケージは、絶縁基体、ダイアフラム、枠状の突起部、スペーサが同じ材料からなることを特徴とするものである。
本発明の圧力検出装置用パッケージは、第1の金属層の一部が絶縁基体と枠状の突起部とに挟まれて形成されていることを特徴とするものである。
本発明の圧力検出装置は、本発明の圧力検出装置用パッケージと、この圧力検出装置用パッケージの搭載部に搭載され、ダイアフラムに加わる圧力を検出する半導体素子とを備えていることを特徴とするものである。
本発明の圧力検出装置用パッケージは、半導体素子が搭載される搭載部を有する絶縁基体の表面の第1の電極の周囲に形成され、ダイアフラムが配置される領域を規定する枠状の突起部を備え、ダイアフラムと枠状の突起部との間に空白領域が部分的に形成されていることにより、圧力の検出精度を向上させつつ小型化を図り、信頼性を向上させることができる。
すなわち、本発明の圧力検出装置用パッケージは、絶縁基体の表面の第1の電極の周囲に形成され、ダイアフラムが配置される領域を規定する枠状の突起部を備えることにより、ダイアフラムを絶縁基体の表面に対向する位置に配置する際に、枠状の突起部をダイアフラムと絶縁基体との位置合わせに用いてダイアフラムの全周にわたって位置ずれを抑制し、ダイアフラムを絶縁基体の表面の所定の位置に精度良く配置することができ、第1の電極と第2の電極との位置精度を高いものとすることができる。従って、検出精度のばらつきを低減させ、また、外部圧力の検出精度を向上させつつ小型化を図ることが可能となる。
また、ダイアフラムと枠状の突起部との間に、部分的に空白領域が形成されていることにより、絶縁基体にダイアフラムを接合させる際に発生する余分な接合材は、部分的に形成された空白領域に分散されて逃げるため、接合材の塊が形成されることがなく、接合材の塊の形成によって第1の金属層が絶縁基体から引き剥がされるのを有効に抑制することができるようになる。従って、ダイアフラムを絶縁基体の所定の位置に精度よく接合させることが可能となる。
また、本発明の圧力検出装置用パッケージは、空白領域が、ダイアフラムの周辺に複数形成されていることにより、絶縁基体にダイアフラムを接合させる際に発生する余分な接合材は、複数形成された空白領域に分散されて逃げることから、各空白領域における余分な接合材の量が少なくなり接合材の塊の形成を抑制できるため、第1の金属層が絶縁基体から引き剥がされるのを有効に抑制することができるようになる。従って、ダイアフラムを絶縁基体の所定の位置に精度よく接合させることが可能となる。
また、本発明の圧力検出装置用パッケージは、複数の空白領域が、ダイアフラムの周辺に均等に配置されていることにより、絶縁基体にダイアフラムを接合させる際に発生する余分な接合材は、複数の空白領域に各々均等に分散されて逃げることとなり、各空白領域における余分な接合材の量が少なくなり接合材の塊の形成を抑制できるため、第1の金属層が絶縁基体から引き剥がされるのを有効に抑制することができる。従って、ダイアフラムを絶縁基体の所定の位置に精度よく接合させることが可能となる。また、第1の金属層と第2の金属層との間に介在する接合材の厚みを均一に保つことができるため、第1の電極と第2の電極との間隔も均一にすることができる。従って、外部の圧力の検出精度のばらつきを低減して検出精度を向上させることが可能となる。
また、本発明の圧力検出装置用パッケージは、絶縁基体の表面とダイアフラムの表面との間に設けられ、第1の電極と第2の電極との間隔を規定するスペーサを備えていることにより、スペーサを薄く形成して、静電容量を形成する第1の電極と第2の電極との間隔を小さなものとすることができる。すなわち、第1の電極と第2の電極との間隔を小さくすることにより、所望の静電容量を形成する第1の電極と第2の電極との対向面積を小さくしてダイアフラムを小さく形成することができる。従って、本発明の圧力検出装置用パッケージをより小型化することが可能となる。
また、スペーサにより第1の電極と第2の電極との間隔が規定されることにより、精度の高い静電容量を検出することができる。すなわち、スペーサは、ダイアフラムに外圧が繰り返し印加された際に、ダイアフラムの撓みが外圧に対して常に比例して撓むようにダイアフラムを支持固定させることが可能となり、ダイアフラムの一定の圧力に対する撓みのばらつきを抑制させることができる。従って、外部の圧力を精度精度を向上させ、また、検出精度のばらつきを低減させることが可能となる。
また、本発明の圧力検出装置用パッケージは、絶縁基体、ダイアフラム、枠状の突起部、スペーサが同じ材料からなることにより、外部の圧力を精度良く検出することができる。すなわち、ダイアフラムを絶縁基体の表面に対向する位置に配置する際に、ダイアフラムと突起部とが擦れてしまってダイアフラムや突起部が欠けたり、擦れた際に屑が発生したりして、屑が絶縁基体とダイアフラムとの間に介在してしまう可能性を低減させることができる。従って、外部の圧力を精度良く検出することが可能となる。
また、静電容量を検出するための絶縁基体とダイアフラム、ダイアフラムが配置される領域を規定する枠状の突起部、および絶縁基体とダイアフラムの間隔を規定するスペーサは同じ材質から成ることから、各々の機械的強度が同じものであるため、外部の圧力に対して各々の当接部に塑性変形が発生しにくく、かつ、各々の熱膨張に差がないため、外気の温度変化によって各々の間に歪みが発生しにくくなり、各々を所定の位置に精度よく配置させることができる。従って、外部の圧力を精度良く検出することができるとともに、広範囲の温度環境の元に使用することができ、汎用性の高い圧力検出装置用パッケージとすることが可能となる。
また、本発明の圧力検出装置用パッケージは、第1の金属層の一部が絶縁基体と枠状の突起部とに挟まれて形成されていることにより、ダイアフラムを絶縁基体の所定の位置に精度よく接合させることができる。すなわち、絶縁基体にダイアフラムを接合させる際に、発生する余分な接合材の塊が形成されて第1の金属層が絶縁基体から引き剥がされようとしても第1の金属層の一部が絶縁基体と枠状の突起部とに挟まれて形成されていることから、第1の金属層が絶縁基体から引き剥がされるのを有効に抑制することができる。従って、ダイアフラムを絶縁基体の所定の位置に精度よく接合させることが可能となる。
本発明の圧力検出装置は、本発明の圧力検出装置用パッケージと、この圧力検出装置用パッケージの搭載部に搭載され、ダイアフラムに加わる圧力を検出する半導体素子とを備えていることにより、外部の圧力の検出精度を向上させつつ小型化を図ることが可能となる。
本発明の圧力検出装置用パッケージを添付の図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の圧力検出装置用パッケージの実施の形態の構造を示す平面図であり、図2は、図1に示した圧力検出装置用パッケージのX−X’線における断面図である。本発明の圧力検出装置用パッケージは、表面に第1の電極7が形成された絶縁基体1と、第2の電極9を有するダイアフラム2と、絶縁基体1とダイアフラム2との間に形成されたスペーサ13と、絶縁基体1の表面の第1の電極7の周囲に形成された突起部12とを備えている。
絶縁基体1は、酸化アルミニウム質焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,炭化珪素質焼結体,窒化珪素質焼結体,ガラス−セラミックス等の電気絶縁材料から成る積層体である。絶縁基体1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、次のようにして製造される。まず、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等のセラミック原料粉末に、適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤,分散剤を添加混合して泥漿状となすとともに、これをドクターブレード法を用いてシート状に成形することにより複数枚のセラミックグリーンシートを得る。しかる後、これらのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工,積層加工,切断加工を施すことにより絶縁基体1用の生セラミック成形体を得る。そして、この生セラミック成形体を約1600℃の温度で焼成することにより、絶縁基体1が製造される。
絶縁基体1は、一方の面(図2では下面)に、半導体素子3が収容される凹部1aが形成されており、半導体素子3を収容する容器として機能する。そして、この凹部1aの底面の中央部に、半導体素子3が搭載される搭載部1bが形成されている。この搭載部1bに半導体素子3が搭載されるとともに、半導体素子3が凹部1a内において例えばエポキシ樹脂等の樹脂製封止材4により覆われることにより、半導体素子3が封止される。
なお、この例では、半導体素子3は、樹脂製封止材4によって覆われることにより封止されるが、絶縁基体1の一方の面に金属やセラミックスから成る蓋体を凹部1aを塞ぐように接合させることにより封止されてもよい。
また、搭載部1bには半導体素子3の各電極と電気的に接続される複数の配線導体5が導出されており、この配線導体5と半導体素子3の各電極を半田バンプ等の導電性材料から成る導電性接合材6を介して接合させることにより、半導体素子3の各電極と各配線導体5とが電気的に接続されるとともに半導体素子3が搭載部1bに固定される。なお、図2に示した例では、半導体素子3の電極と配線導体5とが半田バンプを介して接続される構造としたが、半導体素子3の電極と配線導体5とはボンディングワイヤ等の他の電気的接続手段により接続されてもよい。
配線導体5は、半導体素子3の各電極を外部電気回路および第1の電極7,第2の電極9に電気的に接続するための導電路として機能し、その一部は絶縁基体1の一方の面(図2では下面)の外周部に導出され、別の一部は第1の電極7,第2の電極9に電気的に接続されている。そして、半導体素子3の各電極がこれら配線導体5に半田バンプ等の導電性接合材6を介して電気的に接続されるとともに半導体素子3が樹脂製封止材4で封止された後、配線導体5の絶縁基体1の一方の面(図2では下面)の外周部に導出された部位が外部電気回路基板の配線導体(図示せず)に半田等の導電性接合材を介して接合されることにより、内部に収容される半導体素子3が外部電気回路に電気的に接続されることとなる。
このような配線導体5は、W,Mo,Cu,Ag等の金属粉末メタライズから成り、W等の金属粉末に適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤,分散剤等を添加混合して得たメタライズペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用して絶縁基体1用のセラミックグリーンシートに所定のパターンに印刷塗布し、これを絶縁基体1用の生セラミック成形体とともに焼成することによって絶縁基体1の内部および表面に所定のパターンに形成される。なお、配線導体5の露出表面には、配線導体5が酸化腐食することを防止するとともに、配線導体5と半田等の導電性接合材6との接合を良好なものとするために、厚みが1〜10μm程度のニッケル(Ni)メッキ層と厚みが0.1〜3μm程度の金(Au)メッキ層とが順次被着されていることが好ましい。
ダイアフラム2は、絶縁基体1の表面(図2では、絶縁基体1の上面)に対向する位置に配置されている。このダイアフラム2は、絶縁基体1との間に密閉空間を形成するように取着されている。ダイアフラム2は、酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,窒化珪素質焼結体,炭化珪素質焼結体,ガラスセラミックス等の電気絶縁材料から成る厚みが0.01〜5mmの八角平板状のものであり、外部の圧力に応じて絶縁基体1側に撓む。
このとき、ダイアフラム2は八角平板状であることから、ダイアフラム2の各辺の中央部と角部とで接合材11の幅の差が小さく、そのため第1の金属層8の上面に第2の金属層10を接合する際に、接合材11が一部分に大きく集中することなく、接合材11の厚みが均一となる。したがって、本発明の圧力センサ素子収納用パッケージによれば、第1の電極7と第2の電極9との間に形成される静電容量が大きくばらつくことがない。
なお、接合材11は、Ag−Cu合金やAu−Sn合金等の導電性のろう材が使用され、通常であれば、その厚みが10〜150μmであることが好ましい。10μ未満の場合、十分な接合強度を得ることができないとともに、メニスカスの形成も難しくなる。150μを超えると、接合材11が第1の金属層8および第2の金属層10の表面から取れてしまう可能性があり不適である。
また、静電容量型の圧力検出装置は、80kPa(低圧用圧力検出装置)〜2000kPa(高圧用圧力検出装置)の圧力の元で使用されることが一般的であり、ダイアフラム2は、その厚みが0.01mm未満では、その機械的強度が小さくなり、これに例えば80kPa程度の大きな外部圧力が加わった場合に破損しやすくなり、他方、5mmを超えると、例えば2000kPa程度の圧力では撓みにくくなり、圧力検出用のダイアフラム2としては不適なものとなりやすい。したがって、ダイアフラム2の厚みは0.01〜5mmの範囲が好ましい。
このようなダイアフラム2は、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、次のようにして製造される。まず、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等のセラミック原料粉末に適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤,分散剤を添加混合して泥漿状となすとともに、これをドクターブレード法を用いてシート状に成形することによりセラミックグリーンシートを得る。しかる後、このセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工や切断加工を施すことによりダイアフラム2用の生セラミック成形体を得る。そして、この生セラミック成形体を約1600℃の温度で焼成することにより、ダイアフラム2が製作される。
また、ダイアフラム2の密閉空間の内側となる面(図2では下面)の中央部には、静電容量形成用の第2の電極9が被着されている。この第2の電極9は、第1の電極7と対向するように配置されていることによって、感圧素子用の静電容量を形成するための電極として機能する。
第1の電極7は、絶縁基体1の他方の面(図2では上面)の中央部に形成されている。この第1の電極7は、第2の電極9とともに感圧素子用の静電容量を形成するためのものであり、例えば円形状のパターンに形成されている。そして、この第1の電極7には、配線導体5aが電気的に接続され、この配線導体5aに半導体素子3の電極が半田バンプ等の導電性接合材6を介して接続されることにより、半導体素子3の電極と第1の電極7とが電気的に接続される。
このような第1の電極7は、W,Mo、Cu、Ag等の金属粉末メタライズから成り、W等の金属粉末に適当な有機バインダ、溶剤、可塑剤、分散剤を添加混合して得たメタライズペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用して絶縁基体1用のセラミックグリーンシートに印刷塗布し、これを焼成することによって絶縁基体1の上面中央部に所定のパターンに形成される。なお、第1の電極7の露出する表面には、第一電極7が酸化腐食するのを防止するために、厚みが1〜10μm程度のNiめっき層が被着されていることが好ましい。
また、第2の電極9は、ダイアフラム2の絶縁基体1と対向する面(図2では下面)の表面に形成されている。W,Mo、Cu、Ag等の金属粉末メタライズからなり、W等の金属粉末に適当な有機バインダ、溶剤、可塑剤、分散剤を添加混合して得たメタライズペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用してダイアフラム2用のセラミックグリーンシートに印刷塗布し、これを焼成することによってダイアフラム2の下面中央部に所定のパターンに形成される。なお、第2の電極9の露出する表面には、第2の電極9が酸化腐食することを防止するために、厚みが1〜10μm程度のNiめっき層が被着されているのが好ましい。
突起部12は、絶縁基体1の表面(図2では上面)の第1の電極7の周囲に枠状に形成されている。突起部12は、ダイアフラム2が配置される領域を規定するものである。すなわち、突起部12は、ダイアフラム2を絶縁基体1の表面の対向する位置に配置する際に、位置合わせに用いて、ダイアフラム2を絶縁基体1の表面の所定の位置に精度良く配置させることができ、第1の電極7と第2の電極9との位置精度を高いものとすることができる。
なお、突出部12は、四角の枠状に形成されているとともに、ダイアフラム2より突出して形成されている。この構成により、圧力検出装置用パッケージを取り扱う際に、ダイアフラム2の外辺や角部に装置等が接触する可能性を低減させ、ダイアフラム2が割れることを防止することができる。
このような突起部12は、酸化アルミニウム質焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,炭化珪素質焼結体,窒化珪素質焼結体,ガラス−セラミックス等の電気絶縁材料から成る。例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、次のようにして形成される。まず、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等のセラミック原料粉末に適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤,分散剤を添加混合して泥漿状となすとともに、これをドクターブレード法を用いてシート状に成形することによりセラミックグリーンシートを得る。しかる後、このセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工や切断加工を施すことによりダイアフラム2用の生セラミック成形体を得る。そして、この生セラミック成形体を絶縁基体1となる生セラミック成形体とともに、約1600℃の温度で焼成することにより絶縁基体1の表面の第1の電極7の周囲に枠状に形成される。
第1の金属層8は、絶縁基体1の他方の面(図2は上面)の第1の電極7の周囲に被着されている。第1の金属層8は、第2の金属層10にAg−Cu合金やAu−Sn合金等の導電性の接合材11にて接合されることでダイアフラム2の第2の電極9に電気的に接合される。この第1の金属層8には、配線導体5の一つである配線導体5bが電気的に接続されており、この配線導体5bに半導体素子3の電極が半田バンプ等の導電性接合材6を介して電気的に接続されることにより、第1の金属層8に電気的に接続された第2の電極9と半導体素子3の電極とが電気的に接続される。
このような第1の金属層8は、W,Mo、Cu、Ag等の金属粉末メタライズから成り、W等の金属粉末に適当な有機バインダ、溶剤、可塑剤、分散剤、を添加混合して得たメタライズペーストを、スクリーン印刷法により絶縁基体1用のセラミックグリーンシートに印刷塗布し焼成することによって、絶縁基体1の他方の面の第1の電極7の周囲に枠状の所定のパターンで形成される。
なお、第1の金属層8の露出する表面には、第1の金属層8が酸化腐食することを防止するとともに、後述する第2の金属層10との接合を強固にするために、厚みが1〜10μm程度のNiメッキ層が被着されているのが好ましい。
第2の金属層10は、ダイアフラム2の第2の電極9の周囲(図2ではダイアフラム2の下面)に形成されている。第2の金属層10は、第2の電極9および第1の金属層8に接続されているとともに、配線導体5bに半導体素子3の電極が半田バンプ等の導電性接合材6を介して接続されることにより、半導体素子3の電極と第2の電極9とが電気的に接続される。
第2の金属層10は、W,Mo、Cu、Ag等の金属粉末メタライズから成り、W等の金属粉末に適当な有機バインダ、溶剤、可塑剤、分散剤、を添加混合して得たメタライズペーストをスクリーン印刷法によりダイアフラム2用のセラミックグリーンシートに印刷塗布し焼成することによって、ダイアフラム2の第2の電極9の周囲に枠状のパターンで形成される。なお、第2の金属層10の露出する表面には、第2の金属層10が酸化腐食することを防止するとともに、第1の金属層8との接合を強固にするために、厚みが1〜10μm程度のニッケルめっき層が被着されている。
なお、第2の電極9は、図2の本発明の実施の形態の例において、第2の電極9をダイアフラム2の絶縁基体1と対向する面(図2では下面)の中央部に被着させるとともに、第2の電極9の周囲のダイアフラム2の主面に第2の電極9と電気的に接続される第2の金属層10を別に形成しているが、ダイアフラム2の絶縁基体1と対向する面(図2では下面)に、スペーサ13の接する部位を除くほぼ全面に被着させ、第2の電極9の外周部を第2の金属層10としてもよい。
このような、第1の金属層8と第2の金属層10とが、第1の電極7と第2の電極9との間に空間が形成されるようにして接合されることで、第1の電極7および第2の電極9の対向面積および第1の電極7および第2の電極9の間隔に応じた所定の静電容量が形成される。そして、ダイアフラム2の上面に外部の圧力が加わると、その圧力に応じてダイアフラム2が絶縁基体1側に撓んで第1の電極7と第2の電極9との間隔が変わり、それにより第1の電極7と第2の電極9との間の静電容量が変化するので、外部の圧力の変化を静電容量の変化として感知する感圧素子として機能する。そして、この静電容量の変化が、配線導体5a,5bを介して凹部1a内に収容される半導体素子3に伝達され、これを半導体素子3で演算処理されることによって外部の圧力の大きさを検出することができる。すなわち、半導体素子3は、第1の電極7と第2の電極9との間の静電容量の変化に基づいてダイアフラム2に加わる圧力を検出する。
本発明の圧力検出装置用パッケージは、半導体素子3が搭載される搭載部1bを有する絶縁基体1の表面の第1の電極7の周囲に形成され、ダイアフラム2が配置される領域を規定する枠状の突起部12を備えていることにより、圧力の検出精度を向上させつつ小型化を図ることができる。すなわち、本発明の圧力検出装置用パッケージは、絶縁基体1の表面の第1の電極7の周囲に形成され、ダイアフラム2が配置される領域を規定する枠状の突起部12を備えることにより、ダイアフラム2を絶縁基体1の表面に対向する位置に配置する際に、枠状の突起部12をダイアフラム2と絶縁基体1との位置合わせに用いてダイアフラム2の全周にわたって位置ずれを抑制し、ダイアフラム2を絶縁基体1の表面の所定の位置に精度良く配置することができ、第1の電極7と第2の電極9との位置精度を高いものとすることができる。従って、検出精度のばらつきを低減させ、また、外部圧力の検出精度を向上させつつ小型化を図ることが可能となる。
なお、ダイアフラム2と絶縁基体1との位置合わせは、ダイアフラム2の外辺を枠状の突起部12の内壁にて位置合わせさせるため、ダイアフラム2の外辺と枠状の突起部12の内壁とは少なくとも2箇所で接するようにすることで、位置合わせの精度を高くすることができる。
また、ダイアフラム2と枠状の突起部12との間に、部分的に空白領域14が形成されていることにより、絶縁基体1にダイアフラム2を接合させる際に発生する余分な接合材11は、部分的に形成された空白領域14に分散されて逃げるため、接合材11の塊が形成されることがなく、接合材11の塊の形成によって第1の金属層8が絶縁基体1から引き剥がされるのを有効に抑制することができるようになる。従って、ダイアフラム2を絶縁基体1の所定の位置に精度よく接合させることが可能となる。
また、本発明の圧力検出装置用パッケージは、空白領域14は、ダイアフラム2の周辺に複数形成されているのが好ましい。この構成により、絶縁基体1にダイアフラム2を接合させる際に発生する余分な接合材11は、複数形成された空白領域14に分散されて逃げることから、各空白領域14における余分な接合材11の量が少なくなり接合材11塊の形成を抑制できるため、第1の金属層8が絶縁基体1から引き剥がされるのを有効に抑制することができるようになる。従って、ダイアフラム2を絶縁基体1の所定の位置に精度よく接合させることが可能となる。
また、本発明の圧力検出装置用パッケージは、複数の空白領域14がダイアフラム2の周辺に均等に配置されているのが好ましい。この構成により、絶縁基体1にダイアフラム2を接合させる際に発生する余分な接合材11は、複数の空白領域14に各々均等に分散されて逃げることとなり、各空白領域14における余分な接合材11の量が少なくなり接合材11の塊の形成を抑制することができるため、第1の金属層8が絶縁基体1から引き剥がされるのを有効に抑制することができるようになる。従って、ダイアフラム2を絶縁基体1の所定の位置に精度よく接合させることが可能となる。また、第1の金属層8と第2の金属層10との間に介在する接合材11の厚みを均一に保つことができるため、第1の電極7と第2の電極9との間隔も均一にすることができる。従って、外部の圧力の検出精度のばらつきを低減して検出精度を向上させることが可能となる。
また、本発明の圧力検出装置用パッケージは、絶縁基体1の表面とダイアフラム2の表面との間に設けられ、第1の電極7と第2の電極9との間隔を規定するスペーサ13を備えていることが好ましい。この構成により、スペーサ13を薄く形成して、静電容量を形成する第1の電極7と第2の電極9との間隔を小さなものとすることができる。すなわち、第1の電極7と第2の電極9との間隔を小さくすることにより、所望の静電容量を形成する第1の電極7と第2の電極9との対向面積を小さくしてダイアフラム2を小さく形成することができる。従って、本発明の圧力検出装置用パッケージをより小型化することが可能となる。
また、スペーサ13により第1の電極7と第2の電極9との間隔が規定されることにより、精度の高い静電容量を検出することができる。すなわち、スペーサ13は、ダイアフラム2に外圧が繰り返し印加された際に、ダイアフラム2の撓みが外圧に対して常に比例して撓むようにダイアフラム2を支持固定させることが可能となり、ダイアフラム2の一定の圧力に対する撓みのばらつきを抑制させることができる。従って、外部の圧力の検出精度のばらつきを低減して検出精度を向上させることが可能となる。
スペーサ13は、絶縁基体1の表面とダイアフラム2の間に形成され、第1の電極7と第2の電極9との間隔を規定している。そして、ダイアフラム2に外圧が繰り返し印加された際に、ダイアフラム2の撓みが外圧に対して常に比例して撓むようにダイアフラム2を支持固定させることが可能となり、ダイアフラム2の一定の圧力に対する撓みのばらつきが抑制される。
なお、スペーサ13は、スペーサ13による絶縁基体1とダイアフラム2との間隔を精度よく保つために、第1の電極7および第2の電極9の外周を取り囲むように枠状に設けてもよいし、第1の電極7および第2の電極9の外周に、少なくとも3箇所に等間隔に形成された円柱状,四角柱等の形状のものでも構わない。また、絶縁基体1の表面(図2は上面)に形成されてダイアフラム2に接するようにしてもよいし、ダイアフラム2の表面に形成され、絶縁基体1に接するように形成されても構わない。
このようなスペーサ13は、外部の圧力が印加された際に応力による塑性変形が小さいもので形成されるのが好ましく、例えば、酸化アルミニウム質焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス質焼結体等の高硬度のセラミックス等がある。例えば、スペーサ13が絶縁基体1の表面に形成され、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、次のようにして形成される。まず、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等のセラミック原料粉末に適当な有機バインダ・溶剤・可塑剤・分散剤を添加混合して泥漿状の絶縁ペーストと成し、このようにして得たペーストを、絶縁基体1用のセラミックグリーンシートの所定の位置にスクリーン印刷法等を用いて形成し、これを絶縁基体1用の生セラミック成形体とともに約1600℃の温度で焼成することによって所定の位置に形成される。
また、本発明の圧力検出装置用パッケージは、絶縁基体1、ダイアフラム2、枠状の突起部12、スペーサ13は同じ材料から成ることにより、外部の圧力を精度良く検出することができる。すなわち、ダイアフラム2を絶縁基体1の表面に対向する位置に配置する際に、ダイアフラム2と突起部12とが擦れてしまってダイアフラム2や突起部12が欠けたり、擦れた際に屑が発生したりして、その屑が絶縁基体1とダイアフラム2との間に介在して第1の電極7と第2の電極9との電気的な短絡を招いて静電容量を検出できなくなってしまうという可能性を低減させることができる。従って、外部の圧力を精度良く検出することが可能となる。
また、静電容量を検出するための絶縁基体1とダイアフラム2、ダイアフラム2が配置される領域を規定する枠状の突起部12、および絶縁基体1とダイアフラム2の間隔を規定するスペーサ13は同じ材質から成ることから、各々の機械的強度が同じものであるため、外部の圧力に対して各々の当接部に塑性変形が発生しにくく、かつ、各々の熱膨張に差がないため、外気の温度変化によって各々の間に歪みが発生しにくくなり、各々を所定の位置に精度よく配置させることができる。従って、外部の圧力を精度良く検出することができるとともに、広範囲の温度環境の元に使用することができ、汎用性の高い圧力検出装置用パッケージとすることが可能となる。
また、本発明の圧力検出装置用パッケージは、第1の金属層8は、その一部が絶縁基体1と枠状の突起部12とに挟まれて形成されているのが好ましい。この構成により、ダイアフラム2を絶縁基体1の所定の位置に精度よく接合させることができる。すなわち、絶縁基体1にダイアフラム2を接合させる際に発生する余分な接合材11の塊が形成されて、第1の金属層8が絶縁基体1から引き剥がされようとしても、第1の金属層8の一部が絶縁基体1と枠状の突起部12とに挟まれて形成されていることから、第1の金属層8が絶縁基体1から引き剥がされるのを有効に抑制することができる。従って、ダイアフラム2を絶縁基体1の所定の位置に精度よく接合させることが可能となる。
本発明の圧力検出装置は、本発明の圧力検出装置用パッケージと、この圧力検出装置用パッケージの搭載部に搭載され、ダイアフラム2に加わる圧力を検出する半導体素子3とを備えていることにより、外部の圧力の検出精度を向上させつつ小型化を図ることが可能となる。
なお、本発明は、上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更は可能である。例えば、図2において、ダイアフラム2は八角形状とし、突起部12は四角の枠状としているが、空白領域を効率よく形成できるように、ダイアフラム2の形状を四角形状や円形状等とし、また、突起部2を円形等の枠状としても構わない。