JP4601188B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷媒が車外側熱交換器内を超臨界圧力で通過して循環する冷凍サイクルを備えた車両用空調装置では、最もサイクル効率COPが高くなるように、車内側熱交換器の出口圧力を調整している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記車両用空調装置では、サイクル効率に注目するあまり、冷房運転の開始初期等の送風量が大きいときや、内気循環モードに切り替わるときに冷房能力が不足するという問題がある。
【0004】
また、必要とされる送風温度に対して車内側熱交換器の冷房能力が過剰となり、ヒータコアによる再加熱が必要である。つまり、エンジンによるコンプレッサの駆動を、サイクル効率が最適となるように維持しなければならず、燃費が悪化するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、状況に応じて適切に車内側熱交換器の冷房能力を発揮させ、又、サイクル効率を高めることのできる車両用空調装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
コンプレッサから吐出させた冷媒を、車外側熱交換器内を超臨界圧力で通過させ、車内側熱交換器からコンプレッサに戻して循環可能とする冷凍サイクルを備えた車両用空調装置において、
前記車外側熱交換器の出口側に圧力制御弁及び温度検出手段を設け、
冷房運転時、前記温度検出手段での検出温度に基づいて、サイクル効率を最大とする、前記車外側熱交換器の出口側に於ける冷媒の目標圧力値を、前記車内側熱交換器の外部を通過する空気流量に基づいて補正し、
補正後の目標圧力値に基づいて前記圧力制御弁の開度を制御するようにしたものである。
【0007】
以上の構成により、ブロア風量の増減に基づいて、乗員が希望する車内の冷房状態を推測することにより、車内の急速冷房が必要であると推測される場合には、圧力制御弁の開度を小さくして車内側熱交換器の冷房能力を増大させる一方、車内の冷房があまり必要とされない場合には、圧力制御弁の開度を大きくして車内側熱交換器の冷房能力を低下させて消費動力を抑制することができる。
【0008】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、
コンプレッサから吐出させた冷媒を車外側熱交換器内を超臨界圧力で通過させ、車内側熱交換器からコンプレッサに戻して循環可能とする冷凍サイクルを備えた車両用空調装置において、
前記車外側熱交換器の出口側に圧力制御弁及び温度検出手段を設け、
冷房運転時、前記温度検出手段での検出温度に基づいて、サイクル効率を最大とする、前記車外側熱交換器の出口側に於ける冷媒の目標圧力値を、前記コンプレッサの駆動回転数に基づいて補正し、
補正後の目標圧力値に基づいて前記圧力制御弁の開度を制御するようにしたものである。
【0009】
以上の構成により、コンプレッサの駆動回転数の変化により、車内側熱交換器内を流動する冷媒量が増減する場合には、圧力制御弁の開度を調整することにより、車内側熱交換器の冷房能力を適切に維持することが可能となる。
【0010】
また、前記目標圧力値は、前記圧力制御弁に代えて、前記コンプレッサからの吐出容量の増減により調整するようにしてもよい。
【0011】
また、前記コンプレッサを駆動制御して前記冷凍サイクルのサイクル効率が最大となるように冷媒を循環させると共に、前記ミックスダンパによりヒータコアへの空気流れを遮断することにより、送風温度が設定温度以下となる場合、前記コンプレッサの駆動を抑制して車内側熱交換器の冷房能力を低下させることにより送風温度を設定温度に維持し、その後、前記ミックスドアの開度を変更してヒータコアへの空気流量を増大させるようすると、得られる送風温度と設定温度との関係に基づいて、冷凍サイクルのサイクル効率を最大としつつ冷房を行い、送風温度が設定温度以下となる場合には、まず、コンプレッサの無駄な駆動を抑えることが可能となる点で好ましい。
【0012】
なお、フロントガラスの曇りを除去するためのデフスイッチが操作されれば、前記車内側熱交換器の出口側圧力を強制的に上昇させればよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る車両用空調装置を示す。この車両用空調装置は、車内前方部の空調ユニット1内に、上流側からブロア2、車内側熱交換器3、ミックスダンパ4、及びヒータコア5を順次配設したものである。
【0015】
ブロア2は、ブロアモータ2aの駆動により回転し、内外気切替ダンパ2bによって選択された内気又は外気を空調ユニット1内へと導く。
【0016】
車内側熱交換器3は、冷凍サイクルCの1つの機器を構成している。冷凍サイクルCでは、コンプレッサ6から吐出された冷媒が、車外側熱交換器7、圧力制御弁8、車内側熱交換器3、及びアキュムレータ9を介してコンプレッサ6に戻って循環するようになっている。ここでは、冷媒にCO2を使用している。
【0017】
コンプレッサ6には、エンジン10の動力がクラッチ11を介して伝達される。コンプレッサ6の駆動回転数は、クラッチ11を切り替えることにより複数段階(無段階でもよい。)に切替可能である。コンプレッサ6の駆動回転数は、通常、冷媒を超臨界圧力で循環可能な値に設定されている。車外側熱交換器7は車両前方部に配設され、冷媒を外気に放熱させる。圧力制御弁8は、冷媒を減圧し、気化しやすい状態として車内側熱交換器3に供給すると共に、後述するように、その圧力を調整する役割を果たす。車内側熱交換器3は、内部を流動する冷媒により、外部を通過する内気又は外気から吸熱する。車外側熱交換器7から流出する冷媒の温度は温度センサ12a、圧力は圧力センサ12bによってそれぞれ検出されている。アキュムレータ9は、冷媒を確実に気化させた状態でコンプレッサ6に戻すために設けられている。
【0018】
ヒータコア5は、ミックスダンパ4によって分流された一方の流路に配設されており、暖房サイクルHの1つの機器を構成している。暖房サイクルHでは、エンジン冷却水を、三方弁13の切替えにより、車両前方部に配設したラジエータ14とは別回路で循環させ、その回路途中のヒータコア5で放熱させている。
【0019】
前記圧力制御弁8の開度は、前記ブロアモータ2a及び前記コンプレッサ6の駆動回転数、前記内外気切替ダンパ2bの回動位置等に基づいて制御装置18によって制御されている。制御装置18は、内気センサ15、外気センサ16、日射センサ17等から得られる車内外諸条件に基づいて、前記ブロアモータ2a及び前記コンプレッサ6の駆動回転数、ミックスダンパ4の開度等を制御する。
【0020】
なお、デフスイッチ19は、操作することにより送風モードを、フロントガラスに直接送風して曇りを除去するモードに切り替える場合に使用される。省エネスイッチ20は、コンプレッサ6の駆動回転数を抑制することにより、そこでの消費動力を低減する場合に使用される。
【0021】
次に、前記構成の車両用空調装置の動作について、図2のフローチャートに従って説明する。
【0022】
まず、内気センサ15で検出される内気温度、外気センサ16で検出される外気温度、日射センサ17で検出される日射量等の車内外諸条件を読み込む(ステップS1)。そして、読み込んだ車内外諸条件に基づいてコンプレッサ6の駆動回転数及びミックスダンパ4の開度を決定する(ステップS2)。外気温度が高く、内気温度が目標温度よりも大幅に高い場合等、車内を急速に冷房する必要があれば(ステップS3)、コンプレッサ6の駆動回転数を、前記冷凍サイクルCのサイクル効率が最大となるように冷媒を循環可能な値とする(ステップS4)。また、ミックスダンパ4を回動させてヒータコア5への空気流れを遮断する(ステップS5)。
【0023】
また、前記ステップS1で読み込んだ車内外諸条件に基づいてブロア風量を決定する(ステップS6)。そして、決定したブロア風量の違いを考慮して、車外側熱交換器7から流出する冷媒の温度からその目標圧力値Pを数1すなわち表1(図4参照)に従って算出する(ステップS7)。
【0024】
【数1】
P=aT−b
T :車外側熱交換器7の出口側冷媒温度
a,b:ブロア風量の違いに応じて決定する定数
【0025】
【表1】
【0026】
このように、ブロア風量の違いに応じて目標圧力値Pを算出するようにしたのは次の理由による。すなわち、通常、CO2を用いたサイクルでは、サイクル効率を最大とする、車外側熱交換器7の出口側冷媒圧力が得られるように、コンプレッサ6の駆動回転数を調整している。ところが、例えば、ブロア風量が大きい場合、車内の急速な冷房が要求されていると推定される。したがって、サイクル効率よりも冷房能力を重視し、目標圧力値Pを上方修正する。また、ブロア風量が小さい場合、車内の冷房に対する要求は低下しているものと推定される。したがって、サイクル効率よりも消費動力を重視し、目標圧力値Pを下方修正する。
【0027】
続いて、内気循環モードが選択されているか否かを判断する(ステップS8)。内気循環モードが選択されている場合、前記ステップS7で算出した目標圧力値Pを補正する(ステップS9)。ここでは、目標圧力値Pを10%上方修正する補正を行っている。これは、内気循環モードが選定されている場合は、より急速冷房の要求が高いと推定されるからである。一方、内気循環モードが選択されていない場合、すなわち外気導入モードが選択されている場合、ステップS7で算出した目標圧力値Pをそのまま使用する。
【0028】
次いで、コンプレッサ6の駆動回転数を読み込み(ステップS10)、読み込んだ駆動回転数に基づいて目標圧力値Pを補正する(ステップS11)。ここでは、目標圧力値Pを図5のグラフに従って補正する。すなわち、コンプレッサ6の駆動回転数が大きい程、車内側熱交換器3の冷房能力が増大するので、両者の相関関係を考慮する。例えば、コンプレッサ6の駆動回転数が3000rpmとなれば、目標圧力値Pを10%マイナス補正する。
【0029】
以上のようにした目標圧力値Pが算出されれば、その結果に基づいて圧力制御弁の開度を調整する(ステップS12)。これにより、車内を急速に冷房することが可能となる。
【0030】
その後、ヒータコア5による加熱なしに冷房運転を続行すると、内気温度の低下等に伴って車内側熱交換器3での冷房能力が必要能力を超える。そこで、車内側熱交換器3での冷房能力が予め設定した必要能力を超えたか否かを判断する。この判断は、圧力センサ12bにより、車外側熱交換器7から流出する冷媒の圧力を検出し(ステップS13)、この検出圧力pを予め設定した設定圧力Pと比較することにより行う(ステップS14)。すなわち、車外側熱交換器7から流出する冷媒の圧力は、車内側熱交換器3の冷房能力と相関関係があるため、例えば、検出圧力pが予め設定した圧力領域のいずれに属するのかに応じて車内側熱交換器3の冷房能力を推測すればよい。そして、検出圧力pが設定圧力Pを超えればコンプレッサ6の駆動回転数を抑制し、車内側熱交換器3の冷房能力を徐々に低下させる(ステップS15)。
【0031】
検出圧力が許容最低値まで低下すれば(ステップS16)、車内側熱交換器3による冷房能力をこれ以上低下させることができないものと判断し、ステップS1に戻って、今度はミックスダンパ4の開度を調整する。これにより、車内側熱交換器3で冷却・除湿した空気をミックスダンパ4で分流し、その一方をヒータコア5にて加熱することができ、加熱しない冷風と混合して所望温度とした後、車内に送風することが可能となる。
【0032】
このように、前記車両用空調装置によれば、冷房能力が過剰となった場合、ミックスダンパ4の開度を調整してヒータコア5により再加熱する前に、車内側熱交換器3の冷房能力を低下させる。つまり、車内側熱交換器3の冷房能力を低下させるために、コンプレッサ6の駆動を抑制するので、このコンプレッサ6を駆動するためのエンジン10への負担を軽減し、燃料が無駄に消費されることを防止することが可能となる。
【0033】
ところで、コンプレッサ6の駆動回転数を抑制して車内側熱交換器3の冷房能力を低下させると、同時に除湿能力も低下する。このため、車内環境によっては、窓ガラスに曇りが発生することも想定される。そこで、フロントガラスの曇りを除去するためのデフスイッチ19が操作されれば、たとえコンプレッサ6の駆動制御中であっても、コンプレッサ6の駆動回転数を、冷凍サイクルCのサイクル効率が最大となるように冷媒が循環可能な値に復帰する。そして、ミックスダンパ4の開度を調整することにより所望の送風温度を得る。これにより、所望の車内空調を達成しつつ、フロントガラスの曇りを適切に除去することが可能となる。
【0034】
なお、前記実施形態では、コンプレッサ6の駆動回転数をクラッチ11を切り替えることにより調整したが、このクラッチ11に代えて、コンプレッサ6に可変容量タイプのものを使用するようにしてもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、車内側熱交換器の外部を通過する空気流量等に基づいて車内側熱交換器の出口側での冷媒の目標圧力値を決定するようにしたので、車内側熱交換器の冷房能力を適切な値に維持して所望の車内空調を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係る車両用空調装置の概略図である。
【図2】 図1の制御装置による空調制御を示すフローチャートである。
【図3】 図1の制御装置による空調制御を示すフローチャートである。
【図4】 図1のコンプレッサの出口側冷媒温度と目標圧力値の関係を示すグラフである。
【図5】 図1のコンプレッサの駆動回転数と圧力変化率の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…空調ユニット
2…ブロア
3…車内側熱交換器
4…ミックスダンパ
5…ヒータコア
6…コンプレッサ
7…車外側熱交換器
8…圧力制御弁
10…エンジン
11…クラッチ
12a…温度センサ
12b…圧力センサ
Claims (6)
- コンプレッサから吐出させた冷媒を、車外側熱交換器内を超臨界圧力で通過させ、車内側熱交換器からコンプレッサに戻して循環可能とする冷凍サイクルを備えた車両用空調装置において、
前記車外側熱交換器の出口側に圧力制御弁及び温度検出手段を設け、
冷房運転時、前記温度検出手段での検出温度に基づいて、サイクル効率を最大とする、前記車外側熱交換器の出口側に於ける冷媒の目標圧力値を、前記車内側熱交換器の外部を通過する空気流量に基づいて補正し、
補正後の目標圧力値に基づいて前記圧力制御弁の開度を制御することを特徴とする車両用空調装置。 - コンプレッサから吐出させた冷媒を車外側熱交換器内を超臨界圧力で通過させ、車内側熱交換器からコンプレッサに戻して循環可能とする冷凍サイクルを備えた車両用空調装置において、
前記車外側熱交換器の出口側に圧力制御弁及び温度検出手段を設け、
冷房運転時、前記温度検出手段での検出温度に基づいて、サイクル効率を最大とする、前記車外側熱交換器の出口側に於ける冷媒の目標圧力値を、前記コンプレッサの駆動回転数に基づいて補正し、
補正後の目標圧力値に基づいて前記圧力制御弁の開度を制御することを特徴とする車両用空調装置。 - 前記目標圧力値は、内気循環モードの場合、外気導入モードの場合に比べて上方修正することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用空調装置。
- 前記目標圧力値は、前記圧力制御弁に代えて、前記コンプレッサからの吐出容量の増減により調整することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
- 前記コンプレッサを駆動制御して前記冷凍サイクルのサイクル効率が最大となるように冷媒を循環させると共に、前記ミックスダンパによりヒータコアへの空気流れを遮断することにより、送風温度が設定温度以下となる場合、前記コンプレッサの駆動を抑制して車内側熱交換器の冷房能力を低下させることにより送風温度を設定温度に維持し、その後、前記ミックスドアの開度を変更してヒータコアへの空気流量を増大させるようにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
- フロントガラスの曇りを除去するためのデフスイッチが操作されれば、前記車内側熱交換器の出口側圧力を上昇させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
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JPS6192914A (ja) * | 1984-10-12 | 1986-05-10 | Hitachi Ltd | 自動車用空気調和機の制御方法 |
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JP2000146329A (ja) * | 1998-08-24 | 2000-05-26 | Nippon Soken Inc | ヒ―トポンプサイクル |
-
2001
- 2001-02-21 JP JP2001044917A patent/JP4601188B2/ja not_active Expired - Fee Related
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