JP4599553B2 - レーザ加工方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ加工方法および装置に関し、特に、複雑で微細な構造物を作製するのに好適なレーザ加工方法および装置に関する。
マイクロメートルサイズ領域の微小な構造物(物体)の構築・作製方法として、レーザ光造形法がある。これは、光硬化性の液状樹脂中に対物レンズを通じてパルスレーザ光を集光し、照射位置における光重合反応を利用するものである。レーザ光を造形予定構造物の形状に沿って3次元的に走査し、造形予定形状に樹脂を重合・固化させ、その後に未照射の液状樹脂を洗浄/除去することにより、高分子で出来た微小な構造物を得ることができる。この方法によれば、原理的には任意の形状の微小な構造物を作製することができる。
また、レーザ光は光硬化性樹脂に対して透明である(レーザ波長において光硬化性樹脂は吸収を持たない)が、レンズによる集光焦点位置においてパルスレーザ光の高い尖頭出力により誘起される多光子吸収過程により光重合(光硬化)が開始される。従って、光子密度の高い焦点位置の中央領域でのみ光硬化が誘起されるため、光硬化性樹脂の内部に光の回折限界値以下(波長以下)の極めて精密な造形加工分解能が得られる。
このようなレーザ光造形技術において近年特に用いられる光硬化性樹脂は、造形加工前(光照射前)には液体状態である。レーザ照射後、照射/集光位置で光重合反応が誘起されて固体化し、その後、液体である未照射部分を洗い流して、所望の微細加工構造物を得る。このようなレーザ光造形技術としては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。
また、近時、従来の光硬化性樹脂を用いることなく、異方的な造形物から成る構造体を精度良くレーザ加工造形する技術が、非特許文献1に記載されている。
特開2003−1599号公報 M.Deubel, G.V.Freymann, M.Wegener, S.Pereira, K.Busch, and C.M.Soukoulis, "Direct laser writing of three-dimensional photonic-crystal templates for telecommunications", Nature Materials, vol. 3, no. 7, pp. 444-447, July 2004
しかしながら、従来のレーザ光造形技術を用いて造形加工を行う場合には、光硬化性樹脂が液体であるため、次のような問題がある。すなわち、従来のレーザ光造形技術においては、光硬化性樹脂が元来液体であるため、レーザ加工を行う際に、液状樹脂そのものの拡散や流動により、加工分解能が大きく低下するという「型くずれ」の問題がある。従って、加工工程の時間中に起こる型くずれをできるだけ低減するために、加工を迅速に行わなければならないと考えられてきた。
これを、特許文献1を例にとって説明する。特許文献1記載の技術においては、液状の光硬化性樹脂を用いて多光子吸収による微細な光造形加工を行っている。その際、液状樹脂の流動による型くずれを回避するために、まず、作製を所望する構造体の外殻部分(つまり輪郭)のみを先に硬化させることにより、加工時間を短縮する。次に、この外殻の外の未硬化不要樹脂を洗い流し、外殻部分のみを硬化させた加工物を露出させる。そして、外殻内部をランプ光等の照射により光硬化させ、目的とする微細な加工物体を得る。
しかしながら、この方法では、結局、外殻部分のレーザ光硬化過程、洗浄過程、内部の光硬化過程という3段階の工程を必要とし、トータルで迅速な加工工程とは言い難い。
さらに、液状樹脂を用いた場合には、このような流動による型くずれがさらに深刻な問題を引き起こす。それは、樹脂の流動性に起因する、加工物体の回転や移動である。加工物体が比較的に等方的な形状を有する場合、例えば、球状に近い物体の場合には、多少の回転ではその型くずれを無視することができる。しかし、加工物体が著しく異方的な形状を有する場合、例えば、棒状物体の場合には、わずかな回転でも「ぶれ」による型くずれを無視することができず、複数の棒状物体から成る複雑な構造体を精密に加工することは、極めて困難であった。
複数の棒状物体から成る複雑な構造体の代表例としては、例えば、次の「フォトニッククリスタル(photonic-crystal)」を挙げることができる。マイクロメートル程度の微細な丸太(ログ)状の造形物を井桁状に組み上げた構造体(「ログパイル構造体」と呼ばれる)は、「フォトニックバンドギャップ(photonic bandgap)」と呼ばれる特殊な光学特性を示すことが知られており、このような構造体を「フォトニッククリスタル」と呼ぶ。フォトニッククリスタルは、その特殊な光学特性に基づき、各種の光デバイスへの応用が大きく期待されており、近時、ログパイル構造体をはじめ、類似の微細な構造体の作製が盛んに試みられている。フォトニッククリスタルは、いずれも、マイクロメートルからナノメートルのスケールで規則正しい周期的構造を有することが特徴である。
このような、異方的な造形物から成る構造体を精度良くレーザ加工(造形)する技術がごく最近報告されている(非特許文献1)。この最新の報告例においては、従来の液状の光硬化性樹脂ではなく、固体である光架橋性レジスト材料を用いて、レーザ光造形法によりログパイル構造体を形成したことが報告されている。
しかしながら、非特許文献1に掲載された電子顕微鏡写真から明らかにわかるように、ログパイル構造体のみでは機械的強度不足のために安定に存在しえず、「外枠」の取り付けにより、ハンドリング可能な構造体としてようやく存在しているに過ぎない。これは、後で詳述するが、光造形時に常に付きまとう「収縮」の問題に起因すると考えられる。従って、このような固体材料を用いた場合でさえも、加工時に所定の形状・サイズを逸脱するという問題が発生し、造形加工の精度と機械的な強度の不足が無視できない。
本発明は、かかる点を鑑みてなされたものであり、レーザ光造形法において、型くずれを起こすことなく、異方的な形状を有する物体から成る複雑で微細な構造物を作製することができるレーザ加工方法および装置を提供することを目的とする。
本発明は、光架橋反応性のレジスト固体材料にパルスレーザ光を走査しながら集光照射し、多光子吸収による光架橋反応を集光位置に生起させて、微小立体構造物を作製するレーザ加工方法において、前記光架橋反応が十分に生起するように、前記パルスレーザ光の強度および走査速度を設定するようにした。
本発明によれば、型くずれを起こすことなく、異方的な形状を有する物体から成る複雑で微細な構造物を作製することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明者は、従来の液状の光硬化性樹脂ではなく、固体であるレジスト材料の内部に、そのレジスト材料に対して透明な近赤外波長域のフェムト秒パルスレーザを、顕微鏡光学系を用いて集光し、多光子吸収による光架橋反応を集光位置に生起し、目的とする微細構造物の形状をトレースするように、この集光操作を連続的に行った。そして、光照射後、照射加工を施したレジスト材料を「現像」し、残渣した固体を電子顕微鏡観察したところ、所望の複雑な構造を正確にトレースした極めて複雑な構造を有する微細な物体が、型くずれを起こすことなく加工形成されていることを見出した。この極めて精密な加工現象に基づき、本発明者は以下詳述する本願発明を着想するに到った。
すなわち、本発明者は、光造形用の材料として、従来の液状の光硬化性樹脂ではなく、固体である光架橋反応性のネガ型レジスト材料を用い、これにパルスレーザ光を照射して多光子吸収による光架橋反応の生起により、型くずれを起こすことなく、異方的な形状を有する物体から成る複雑で微細な構造物を作製するためには、光架橋反応を制御する必要があることを見出した。また、光架橋反応を制御するためには、それを十分に生起させることを要するため、レーザ強度のみならず、走査速度(換言すれば、隣接する加工位置スポット間の距離)をも最適化する必要があることを見出した。さらに、光架橋反応を十分に生起させることにより、現像時間を大幅に短縮することができ、収縮の問題を回避できることを見出したのである。
まず、本発明の原理を説明する。
本発明では、加工材料として、液状の光硬化性樹脂ではなく、固体である光架橋性のネガ型レジスト材料を用いる。ここでは、光架橋性のネガ型レジスト材料として、例えば、SU−8(登録商標:MicroChem社)と呼ばれるネガ型レジスト材料を用いる。SU−8(登録商標)は、光架橋性高分子が有機溶剤に溶解/分散した形状で市販されている。従って、この市販品を乾燥し、有機溶剤を除去すれば、純粋なSU−8(登録商標)のみの固体材料となる。SU−8(登録商標)に光照射(通常は紫外線)を施せば、SU−8(登録商標)はその光を吸収して照射部位には光架橋反応が生起される。ここで、「架橋反応」とは、高分子鎖と高分子鎖の間に化学結合が次々に形成され、鎖状の高分子が網目ネットワークを形成する過程のことをいう。このように架橋された高分子は一般に極めて溶解性が乏しくなり、元の高分子(つまり光照射前)をよく溶解する溶剤に対しても不溶性を示す。従って、このようなレジスト材料に対し、上記のレーザ加工を施せば、固体中の光架橋反応であるため、レジスト材料の流動や加工物体の回転・拡散を完全に無視することができる加工が可能となる。レーザ照射加工後、レジスト材料を良溶剤に浸漬すれば、未照射の部分(つまり架橋していない部分)は溶剤に溶解するが、照射して架橋反応が生起された部分は溶解せずにそのまま固体としての形状を有するため、目的とした微細加工が可能となる。ここでは、この溶剤処理過程を「現像」と呼ぶ。
この現像過程において、SU−8(登録商標)を使用する場合でも、造形加工対象物が「現像」過程により「収縮」してしまうことが懸念される。すなわち、造形した構造物は、予定していたサイズよりも「収縮」により、常に小さくなってしまい、加工精度が大幅に低下してしまうことが問題であった。非特許文献1の例でも、このような収縮は無視できないと考えられる。この収縮は、加工造形物内部において光架橋反応が十分進行していないレジスト材料物質が、現像過程において、造形物内部から現像液中に流出することに起因する。しかし、本発明者は、後述する実施例に示すように、この収縮を回避する最適化条件を見出した。
固体レジスト材料を用い、加工分解能を500nm以下にする原理は、基本的にはフェムト秒レーザを用いた集光位置における多光子吸収過程に基づくものであるが、波長、強度、走査(スキャン)速度などを最適化することは容易ではない。本発明者は、この点に対して最適化条件を確立し、極めて高精度の微細な光造形加工を可能にした。以下、その詳細を具体的に述べるが、本発明は以下の例のみに限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施の形態に係るレーザ加工装置の構成を示すブロック図である。
このレーザ加工装置100は、レーザ光を用いて試料102に複雑で微細な構造物を作製する装置であって、パルスレーザ光を発生するレーザ装置104と、レーザ装置104から出力されたレーザ光を試料102に集光照射する照射光学系106と、加工の様子をモニタするための観察用光学系108と、試料102を載置して3次元的に高精度に駆動する3次元駆動ステージ110と、あらかじめプログラムされた加工形状をトレースするように3次元駆動ステージ110を制御するステージコントローラ112と、上記各部を総合的に制御する制御用コンピュータ114とを有する。照射光学系106および観察用光学系108は、それぞれ、顕微鏡と一部共有している。照射光学系106の最終段階には対物レンズ116が設けられている。また、制御用コンピュータ114には、本発明により最適化された照射条件を記憶するメモリ118と、所望の加工形状をトレースするための走査形態を記憶するメモリ120とが設けられている。
図2は、本発明の一実施の形態に係るレーザ加工方法における加工造形の工程を示すフローチャートである。
まず、第1の工程(S1000)では、加工造形対象となる試料の作製を行う。この工程は、レジスト材料の固体薄膜作製の手順に対応する。具体的には、市販品のネガ型レジスト材料であるSU−8(登録商標)をガラス基板などにスピンコート法またはキャスト法により塗布し、その後、加熱乾燥(プリベイク処理)により溶剤を除去する。基板には固体薄膜となったSU−8(登録商標)が固定される。
そして、第2の工程(S1100)では、ステップS1000で作製した加工造形対象試料を3次元駆動ステージ110に載置する。
ここで、レーザ装置104におけるレーザ光源としては、例えば、フェムト秒パルス発振のレーザを使用する。パルス幅は、好ましくは1ピコ秒以下であり、より好ましくは200フェムト秒以下であり、具体的には、例えば、130フェムト秒である。波長は、加工材料であるレジスト高分子に対して透明であることが必要であり、好ましくは400nm以上であり、近赤外域の光も使用することができ、具体的には、例えば、800nmである。レーザのパルス繰り返し周波数は、高ければ高いほど加工が迅速になるものと期待できるが、上記した「収縮」の問題が生じるために、この発振繰り返し周波数は3次元駆動ステージ110の駆動速度を考慮して最適化する必要があり、本実施の形態では、例えば、100Hzである。また、パルスエネルギは、加工形状や加工の分解能に大きく影響を及ぼす重要なパラメータであり、SU−8(登録商標)を使用する場合には、1パルス当たり対物レンズ116の出射位置(つまり集光/加工位置)において1nJ(ナノジュール)以下であることが好ましい。これは、非特許文献1記載の値(数nJ程度)よりも1桁以上低い出力である。
また、レーザ装置104から供給される上記パルスレーザ光は、照射光学系106を介して最終的には対物レンズ116を通じて試料102に集光照射される。対物レンズ116の開口数(NA値)は、大きい方が空間分解能が得やすく、具体的には、NA値が1以上の対物レンズを使用するのが好ましい。
そして、第3の工程(S1200)では、3次元駆動ステージ110の走査ソフトウエアに走査形態を入力する。具体的には、所望する加工対象物の形状に沿ってレーザビームの照射走査が行われるように、3次元駆動ステージ110を3次元的に制御するプログラミングソフトウエアへの入力を制御用コンピュータ114で行う。
なお、この工程は、試料にレーザを照射する前であれば、どのタイミングで行ってもよい。
そして、第4の工程(S1300)では、実際に加工造形対象試料へのレーザ照射とその走査を行う。加工の様子は、観察用光学系108によって絶えずモニタする。具体的には、ステップS1200で所望の加工形状をトレースした形であらかじめプログラミングした内容に従って、ステージコントローラ112による制御の下、3次元駆動ステージ110を駆動しながら、レーザ照射を行う。このとき、1つの加工位置スポット(以下「ボクセル」と呼ぶ)と隣接する加工位置スポット(ボクセル)との距離が、加工の最適化において極めて重要になる。これは、3次元駆動ステージ110の駆動速度とレーザの繰り返し発振周波数との比で計算される。本発明者は、SU−8(登録商標)を対象にして500nm以下の空間分解能で加工を達成するためには、1つのボクセルと隣接するボクセルとの距離は、100nm以下であることが好ましく、具体的な値としては、50nmであることを見出している。これは、100Hzの繰り返し発振周波数の場合、秒速5マイクロメートルのステージ駆動速度に対応する。これは、上記「収縮」を回避するためにも必要な条件である。
そして、第5の工程(S1400)では、加工造形対象試料の現像を行う。具体的には、ステップS1300でレーザ照射/走査を完了すると、加工対象物の試料102を3次元駆動ステージ110から取り外し、加熱処理(ポストベイク)を経て現像処理を施す。ここで、「現像」とは、加工対象物の試料を所定の現像液に浸漬し、未架橋(未照射)部の加工材料を溶解させ、所定の加工対象物を得る工程のことである。上記の「収縮」問題を回避するためにはこの現像処理が重要であり、後述する最適な工程により、この「収縮」問題を回避することができる。
ここで、本発明の工程における加工対象物の収縮の問題について説明する。現像後の収縮は、レーザ照射にもかかわらず架橋が十分でなかった場合において、照射部分の中の未架橋のレジスト材料が現像液中に流出するために生じる。従って、これを回避するためには、照射条件の最適化が必要であり、加えて現像処理工程を注意深く行う必要がある。本発明者は、実験により、収縮を実際上無視できるような条件を見出している。それは、現像時間をできるだけ短くするというものであり、具体的には、現像液に6分間浸漬した後に、1分30秒の間、有機溶剤で洗浄するというものである。照射条件の最適化により、非特許文献1記載の現像時間(1時間)よりも大幅に現像時間を短縮することができ、収縮の問題を回避することができる。
このように、加工部位におけるパルスエネルギを1nJ以下にし、隣接するボクセル間の距離を100nm以下にすることにより、つまり、小さな光強度でゆっくりとスキャンして十分に光架橋反応を進行させることにより、現像時間を6分間という極めて短い時間に短縮することができる。これにより、現像後の加工物体の収縮を回避することができる。種々の微細構造体を本発明の方法および装置によって作製し、得られた構造体の形状を電子顕微鏡により詳細に解析した結果、造形加工精度が500nm以下であることを確認した。このようにして、機械的強度も十分な微小物体の造形を行うことができる。このような最適化条件は、非特許文献1には全く示されておらず、本研究の優位性を示すものである。
現像後、電子顕微鏡などにより加工形状を観察し、さらなる最適化が必要な場合は、パルスレーザのエネルギーなどを適宜微調整して、図2のフローチャートに示す手順を再度実行する。
本発明者は、本発明の効果(非特許文献1記載の発明に対する優位性)を実証するために実験を行った。以下、実施例1として、この実験について説明する。
まず、ガラス基板をよく洗浄し、その表面を十分に清浄にした。そして、ネガ型レジスト材料であるSU−8(登録商標)をこのガラス基板上にスピンコート法により塗布した。これを、65℃で3分間、95℃で6分間加熱し(プリベイク工程)、十分に溶媒を蒸発させ、固体薄膜とした。
そして、この固体薄膜試料に、図1に示すレーザ加工装置を用いてレーザ照射の書き込みを施した。照射条件は、次の通りである。
・対物レンズ116:倍率=100倍、開口数(NA値)=1.35
・レーザ:フェムト秒パルス発振のチタンサファイアレーザ、パルス幅=130フェムト秒、波長=800nm、発振繰り返し周波数=100Hz
・3次元駆動ステージ110:走査速度=秒速5μm
従って、この場合、発振繰り返し周波数が100Hzであるため、書き込みにおいて隣接するボクセル間の距離は50nmとなる。
本実施例では、造形を所望した構造体の形状は、多数の「スパイラル(らせん)」を配列した3次元フォトニッククリスタルである。加工用のレーザビームの光軸(ビームの進行方向)とスパイラルの長軸方向とが平行であるような光学配置で作製することが特徴である。上記の照射条件により、スパイラルをその長軸方向に成長させるように3次元駆動ステージ110を走査し、スパイラルを1つずつ形成し、所望の3次元フォトニッククリスタルの形状になるように書き込みを行った。個々のスパイラルはその末端において互いにリンクされており、ここでは、リンク部分の長さはスパイラルの格子定数に一致するようにした。これにより、支持用の外枠なしにハンドリング可能な強度を有する構造体を作製することができた。
そして、上記の手順によりレーザ書き込みを施した試料を、65℃で1分間、95℃で5分間加熱した(ポストベイク工程)。
そして、このポストベイク工程を終えた加工対象物試料を現像した。SU−8(登録商標)用の現像液で6分間現像した後、イソプロピルアルコールで1分30秒間洗浄し、所望のスパイラル型フォトニッククリスタルを得ることに成功した。
図3は、上記工程により作製(造形加工)したスパイラル型フォトニッククリスタルの電子顕微鏡写真であって、同図(A)は全体像を示し、同図(B)は拡大図である。これは、丸型スパイラルで構成されるフォトニッククリスタルである。スパイラルを構成する構造物の「線」の直径は約500nm以下であり、このような線から成る丸型スパイラルが極めて精緻かつ高精度に配列され、本発明が優れた微細加工造形技術であることがわかる。
本発明は、丸型スパイラル構造体に限定されるものではない。図4は、同様の工程により作製(造形加工)した角型スパイラルで構成される3次元フォトニッククリスタルの電子顕微鏡写真であって、同図(A)は全体像を示し、同図(B)は拡大図である。この場合においても、スパイラルを構成する構造物の「線」の直径は1μmであり、このような線から成る角型スパイラルが極めて精緻かつ高精度に配列されている。
ここで、レーザの光軸方向とビームの走査方向との関係について説明しておく。
集光レーザビームを用いたレーザ光造形法により異方的な形状を有する構造体を作製する場合、レーザの光軸方向とビームの走査方向との相対関係が特に重要になる。断面が真円である丸太状の構造体を作製する場合を例にとって説明する。
丸太状の構造物をレーザ光造形法で作製する場合、レーザビームの走査には次の2つの態様がある。第1の態様は、レーザの光軸方向と垂直な方向にビームを走査する場合である。この場合、丸太状構造物の長軸方向とレーザの光軸も垂直な関係にある。第2の態様は、レーザの光軸方向と平行な方向にビームを走査する場合である。この場合、丸太状構造物の長軸方向とレーザの光軸も平行な関係にある。
第1の態様と第2の態様では、作製される丸太状構造物の断面形状には大きな差異が現れる。すなわち、物質中にレンズを用いてレーザビームを集光した時の焦点位置付近における集光の様子を考える。光軸に対して垂直な方向においては、理想的には光は回折限界値のサイズにまで集光され、そのサイズの目安は光の波長をλ とすると0.6×λ程度である。本発明のように、例えば、波長λ=800nmのレーザ光を用いた場合、集光スポットの光軸に対して垂直な方向におけるサイズは、500nm以下であり、その形状は真円である。一方、光軸に対して平行な方向においては、集光位置ではビームは近似的に平行光と見なすことができる形状に集光され(「ビームウェスト」と呼ばれる)、ビームウェスト領域全体が集光スポットと見なすことができる。ビームウェストの光軸方向の長さは波長や対物レンズ116に依存するが、波長λ=800nmのレーザ光の場合は500nm以上となる。従って、加工材料にレーザ光を集光した場合、加工されるスポットの形状は、球体ではなく、光軸方向に若干伸張した楕円体の形状となる。
従って、丸太状構造物をレーザ光造形法によって作製する場合、第1の態様では、丸太状構造物の断面は、ビームウェストの形状を反映して光軸方向に若干伸張した楕円形となってしまい、所望した断面が真円の形状からは逸脱してしまう。また、断面のサイズもビームウェストの光軸方向のサイズになる。
これに対し、第2の態様では、上記の理由により、作製する丸太状構造物の断面は真円となることが期待される。また、断面のサイズもビームウェストの光軸に垂直な方向のサイズ(集光スポットの光軸に対して垂直な方向におけるサイズ)になり、第1の態様の場合よりも小さくなる。
従って、このような理由により、丸太状のような異方的な構造体を作製する場合は、異方体構造物の長軸方向に対してレーザ光軸と走査方向を共に平行にした方が、加工精度(形状とサイズ)は向上することになる。
実施例1に示す例は、上記の理由により、個々のスパイラルを1つずつ、スパイラルの長軸方向と、レーザ光軸および走査方向とを共に平行にして本発明の造形加工法により作製したものである。
このように、本発明は、500nm以下の高い空間分解能により、所望の形状とサイズで制御された、微細な任意形状の造形物を加工することができる、汎用性の高い技術を提供するものである。
本発明に係るレーザ加工方法および装置は、エレクトロニクスやフォトニクスデバイスの分野において要求される、様々な形状の微細構造物を作製する技術を提供するものであり、特に、従来の半導体加工技術では作製することが全く不可能な、極めて複雑な形状を有する微細な構造体を加工することができるレーザ加工方法および装置として有用である。
本発明の一実施の形態に係るレーザ加工装置の構成を示すブロック図 本発明の一実施の形態におけるレーザ加工工程の手順を示すフローチャート 本発明の一実施例において造形加工した丸型スパイラルから構成されるフォトニッククリスタルの電子顕微鏡写真であって、(A)は全体像を示す図、(B)は拡大図 本発明の一実施例において造形加工した角型スパイラルから構成されるフォトニッククリスタルの電子顕微鏡写真であって、(A)は全体像を示す図、(B)は拡大図
符号の説明
100 レーザ加工装置
102 試料
104 レーザ装置
106 照射光学系
108 観察用光学系
110 3次元駆動ステージ
112 ステージコントローラ
114 制御用コンピュータ
116 対物レンズ
118 照射条件用メモリ
120 走査形態用メモリ

Claims (3)

  1. 集光レンズを通して集光させたパルスレーザ光で、光架橋反応性のレジスト固体材料内を3次元に走査し、多光子吸収による光架橋反応を集光位置に生起させて、前記レジスト固体材料の架橋反応物からなり、かつ直径が1μm以下の線状構造物で構成される微小立体構造物を作製するレーザ加工方法において、
    前記集光レンズの開口数は、1以上であり、
    前記パルスレーザ光の強度は、前記集光位置において1パルスあたり1nJ以下であり、
    前記パルスレーザ光の走査速度は、隣接する加工位置スポット間の距離が100nm以下になるように設定される、
    ことを特徴とするレーザ加工方法。
  2. 前記微小立体構造物の長軸方向に対して前記パルスレーザ光の光軸方向および走査方向は共に平行であることを特徴とする請求項1記載のレーザ加工方法。
  3. パルスレーザ光で光架橋反応性のレジスト固体材料内を3次元に走査し、多光子吸収による光架橋反応を集光位置に生起させて、前記レジスト固体材料の架橋反応物からなり、かつ直径が1μm以下の線状構造物で構成される微小立体構造物を作製するレーザ加工装置であって、
    パルスレーザ光を発生するレーザ光発生手段と、
    前記パルスレーザ光を集光レンズを通して光架橋反応性のレジスト固体材料に集光照射する光学系と、
    前記パルスレーザ光を3次元方向に走査する走査手段と、を有し、
    前記集光レンズの開口数は、1以上であり、
    前記パルスレーザ光の強度は、前記集光位置において1パルスあたり1nJ以下であり、
    前記パルスレーザ光の走査速度は、隣接する加工位置スポット間の距離が100nm以下になるように設定される、
    ことを特徴とするレーザ加工装置。
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