JP4599256B2 - 磁気スイッチング素子及びこれを用いた信号処理装置 - Google Patents

磁気スイッチング素子及びこれを用いた信号処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、スピン偏極した電子を流すことにより磁場を発生させ、磁気力を利用することでオン/オフを可能としたスイッチング素子に関し、特に、インバータなどの信号処理装置に使用される。
MOSFETやダイオードに代表される半導体を用いたスイッチング素子は、極微細化及び集積化が可能であるため、現存する各種電子機器には不可欠なデバイスの一つとなっている。
一方で、昨今のナノテクノロジー技術の進歩により、マイクロマシン、ナノマシンなどの微細マシンの開発が進み、例えば、医療の分野ではナノマシンの実現も遠い将来ではなくなった。
ところで、このような微細マシンの駆動源は、バッテリー又は電波となる。このため、微細マシンにとってエネルギーロスは致命的である。
そこで、微細マシンに関わる全ての要素について省電力化が望まれる。
しかし、MOSFETやダイオードなどのスイッチング素子に関しては、オン/オフ抵抗比が小さく、また、オン抵抗が大きいため、省電力化には不利である。このため、これを微細マシンに適用した場合には、バッテリー寿命が直ぐに切れるという問題が生じる。
特開2004−221442号公報 Appl. Phys. Lett. 86, 023109 (2005) Appl. Phys. A 69, 305−308 (1999) Jpn. J. Appl. Phys. 42 , 2416 (2003)
本発明の例では、オン/オフ抵抗比が無限大で、オン抵抗が極めて小さく、微細化が可能で、さらにスイッチ状態を不揮発に保持できる新たな原理に基づく磁気スイッチング素子及びこれを用いた信号処理装置について提案する。
本発明の例に関わる磁気スイッチング素子は、磁化方向が固着される磁化固着部、スピン偏極した電子により磁化方向が変化する磁化フリー部、及び、前記磁化固着部と前記磁化フリー部との間の非磁性中間層から構成される磁性素子と、前記磁性素子を挟み込む第1及び第2電極と、前記第1及び第2電極に接続され、前記磁化固着部と前記磁化フリー部との間に電流を流すことで前記磁化フリー部の磁化方向を制御する電流制御部と、固定端と自由端を有する可動な導電性チューブと、前記導電性チューブに設けられる磁性微粒子と、前記導電性チューブの固定端に接続される第3電極とを備える。
本発明の例に関わる磁気スイッチング素子は、磁化方向が固着される磁化固着部、スピン偏極した電子により磁化方向が変化する磁化フリー部、及び、前記磁化固着部と前記磁化フリー部との間の非磁性中間層から構成される磁性素子と、前記磁性素子を挟み込む第1及び第2電極と、前記第1及び第2電極に接続され、前記磁化固着部と前記磁化フリー部との間に電流を流すことで前記磁化フリー部の磁化方向を制御する電流制御部と、固定端と自由端を有する可動な導電性チューブと、前記導電性チューブに設けられる磁性微粒子と、前記導電性チューブの固定端に接続される第3電極と、前記導電性チューブの自由端を支える支持台とを備える。
本発明の例に関わる信号処理装置は、本発明の例に関わる磁気スイッチング素子により構成される複数のスイッチユニットを備え、前記複数のスイッチユニットの組み合わせによりロジック回路を構成する。
本発明の例によれば、オン/オフ抵抗比が無限大で、オン抵抗が極めて小さく、微細化が可能で、さらにスイッチ状態を不揮発に保持できる新たな原理に基づく磁気スイッチング素子及びこれを用いた信号処理装置を提供できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の例を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
1. 概要
本発明の例では、MOSFETのような電気的にオン/オフを制御するスイッチング素子ではなく、機械的にオン/オフを制御するメカニカルスイッチング素子について提案する。
可動部としては、カーボンナノチューブなどの十分な強度と弾性力を有する導電性チューブを利用する。そして、導電性チューブの先端には磁性微粒子を配置し、磁力により磁性微粒子の物理的位置を制御し、スイッチング動作を行う。
磁力の基になる磁場は、磁性素子により発生する。磁性素子は、磁化方向が固着される磁化固着部と磁化方向が変化する磁化フリー部とを含む。磁場は、磁化フリー部の磁化方向により制御される。
磁化フリー部の磁化方向は、磁性素子にスピン偏極した電子を流すことにより変化させる。つまり、電流制御部でスピン偏極電流(又は電子)を制御することによりスイッチングを制御できる。
このようなスイッチング素子を磁気スイッチング素子と称する。
磁気スイッチング素子は、例えば、半導体プロセスを用いて半導体基板上に形成できる。このため、CMOSロジック回路やメモリ回路などの半導体集積回路と組み合せることも可能である。
また、磁気スイッチング素子によりスイッチユニットを構成すれば、複数のスイッチユニットを組み合わせてロジック回路としての信号処理装置を形成することもできる。また、半導体基板上に複数のスイッチユニットを積み重ねて3D(dimension)チップを形成することも可能である。
2. 実施の形態
実施の形態について説明する。
(1) 第1実施の形態
第1実施の形態は、スイッチをオン/オフさせる入力信号INの経路と出力信号OUTの経路とがオーバーラップしている磁気スイッチング素子に関する。
A. 基本構造
図1は、第1実施の形態の磁気スイッチング素子の平面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。
磁場発生部11は、第1及び第2電極11a,11eと、これらの間に配置される磁性素子とから構成される。磁性素子は、磁性層11b、11dと、これらの間に配置される非磁性層11cとから構成される。
2つの磁性層11b、11dのうちの一方は、磁化方向が固着される磁化固着部として機能し、他方は、スピン偏極した電子により磁化方向が変化する磁化フリー部として機能する。
中間層としての非磁性層11cは、非磁性導電層が好ましいが、例えば、トンネルバリア層として機能する非磁性絶縁層であってもよい。
電流制御部12は、第1及び第2電極11a,11eに接続され、例えば、入力信号INに基づいて、磁性層11b,11d間にスピン注入電流を流すことにより磁化フリー部の磁化方向を制御する。
導電性チューブ14は、例えば、カーボンナノチューブから構成され、可動部として機能する。導電性チューブ14は、固定端と自由端を有する。導電性チューブ14の固定端には、第3電極13が接続され、第3電極13には、リード層16が接続される。また、導電性チューブ14の自由端には、磁性微粒子15が配置される。
ここで、導電性チューブ14は、1本のみであるが、第3電極13から磁場発生部11の上部に向かって複数本延びていても構わない。
磁場発生部11、第3電極13及びリード層16は、絶縁層17内に埋め込まれる。絶縁層17上には、導電性チューブ14を取り囲む絶縁層19,20が設けられる。その結果、空洞(CAVITY)18が形成され、導電性チューブ14は、この空洞18内に配置される。
以上の要素により磁気スイッチング素子(スイッチユニット)が構成される。
B. 変形例
図3は、第1実施の形態の第1変形例を示している。
平面図は、図1と同じである。この変形例の特徴は、第3電極13の上面が第2電極11eの上面よりも上に存在する点にある。
本例では、第3電極13は、絶縁層17から突出した形となる。
但し、上記条件を満たせば、絶縁層17から突出した部分の第3電極13の側壁の一部又は全部が絶縁層で覆われていても構わない。
このような構成にすれば、導電性チューブ14の成長が容易となり、デバイスの信頼性が向上する。
図4は、第1実施の形態の第2変形例を示している。図5は、図4のV−V線に沿う断面図である。
この変形例の特徴は、磁場発生部11の構造にある。磁場発生部11を構成する各層11a〜11eは、縦方向(上下方向)ではなく、横方向(左右方向)にスタックされる。
ここで、リード層21は、第1電極11aに接続され、リード層22は、第2電極11eに接続されるが、リード層21は、第1電極11aと一体化していてもよく、また、リード層22は、第1電極11eと一体化していてもよい。
また、磁場発生部11を構成する各層11a〜11eは、縦方向でもなく、横方向でもない、斜め方向にスタックされていてもよい。
言い換えれば、各層11a〜11eをスタックする方向は、スピン注入電流が各層11a〜11eの界面を横切るように構成されていれば、いずれの方向にスタックされていても構わない。
C. 基本動作
基本動作は、スピン偏極した電子を磁性素子に流し、磁化固着部から発生する磁場と磁化フリー部から発生する磁場との合成磁場を制御することにより行う。具体的には、磁化フリー部の磁化方向に応じて磁性微粒子15の空間位置を変化させ、第3電極13と、第1又は第2電極11a,11eとの間に流れる電流量をオン/オフする。
例えば、磁性層11b,11dの磁化方向が平行状態(同じ向き)のときは、合成磁場が発生し、磁性微粒子15は、磁力により移動する。また、磁性層11b,11dの磁化方向が反平行状態(反対向き)のときは、合成磁場が消滅し、磁性微粒子15は、導電性チューブ14の弾性力により元の位置に戻る。
磁場が発生していない初期状態において、磁性微粒子15が第1又は第2電極11a,11eから離れている場合には、ノーマリオフタイプスイッチング素子となり、磁場が発生していない初期状態において、磁性微粒子15が第1又は第2電極11a,11eに接触している場合には、ノーマリオンタイプスイッチング素子となる。
D. レイアウト
第1電極11a、第2電極11e、第3電極13及びリード層16,21,22のレイアウトは、本例に限定されることはない。その形状や延在方向などは、互いに干渉し合わないことを条件に自由に設定できる。
磁場発生部11内の磁性素子の平面形状についても、本例に限定されることはない。例えば、磁性素子の平面形状は、長方形の他に、正方形、菱形、円形、楕円形などの形状を採用できる。
また、磁場発生部11は、全体としては、円柱形、角柱形などの形状となるように設定することもできるし、また、磁場発生部11を構成する各層11a〜11eの平面形状を下層から上層に向かうにつれて次第に小さくし、全体としては、上層が下層に比べて先細り形になるようにしてもよい。
E. サイズ
磁場発生部11を構成する各層11a〜11eの平均サイズは、その平面形状を四角形とした場合、それぞれ一辺が200nm以下とするのが好ましく、さらには、100nm以下であるのが最も好ましい。
スピン注入電流による磁化フリー層の磁化制御に関しては、磁性素子のサイズができるだけ小さいほうが容易となるためである。
また、導電性チューブ14の直径は、100nm以下、好ましくは、数10nm程度とするのが好ましい。
磁場発生部11と第3電極13との間の距離は、導電性チューブ14の直径に比例するため、その直径があまりにも大きくなると、スイッチユニットのサイズが大きくなり、磁気スイッチング素子の微細化を実現できなくなるためである。
F. その他
導電性チューブ14の本数については、オン抵抗を低くするためには複数本設けるのが好ましい。この場合、複数本の導電性チューブ14は、互いに物理的に結合していてもよく、また、分離していてもよい。当然に、複数の導電性チューブ14の一部が結合し、他の一部が分離していても構わない。
磁気固着部と磁気フリー部との位置関係は、いずれが上でも下でもどちらでもよく、また、これらを構成する磁性層11b,11dは、磁化方向が膜面に平行である面内磁化膜であっても、磁化方向が膜面に垂直である垂直磁化膜であってもよい。
G. まとめ
以上のように、第1実施の形態によれば、機械的な接触/非接触によりスイッチのオン/オフを実行するため、オン/オフ抵抗比を無限大にすることができる。また、導電性チューブが金属特性を有する材料から構成されることで、信号経路がオールメタルとなり、オン抵抗を小さくすることができる。
さらに、後述するが、このような磁気スイッチング素子は、半導体プロセスにより形成することができるため、極微細化が可能であり、ナノレベルのスイッチング素子を実現できる。
(2) 第2実施の形態
第2実施の形態は、スイッチをオン/オフさせる入力信号INの経路と出力信号OUTの経路とを分離した磁気スイッチング素子に関する。
A. 基本構造
図6は、第2実施の形態の磁気スイッチング素子の平面図である。図7は、図6のVII−VII線に沿う断面図である。
磁場発生部11の構造は、第1実施の形態と同じであり、第1及び第2電極11a,11eと、これらの間に配置される磁性素子とから構成される。磁性素子は、磁性層11b、11dと、これらの間に配置される非磁性層11cとから構成される。
本例では、入力信号INの経路と出力信号OUTの経路とが分離されるため、磁場発生部11の第2電極11eは、絶縁層17の内部に完全に埋め込まれる。その代わりに、絶縁層17の表面領域には、第1又は第2電極11a,11eから絶縁された第4電極23が配置される。
第4電極23の位置は、例えば、磁場発生部11と磁性微粒子15との間に設定される。第4電極23は、スイッチの一端としてのA端子に接続される。
電流制御部12は、第1及び第2電極11a,11eに接続され、例えば、入力信号INに基づいて、磁性層11b,11d間にスピン注入電流を流すことにより磁化フリー部の磁化方向を制御する。
導電性チューブ14は、第1実施の形態と同様に、例えば、カーボンナノチューブから構成され、可動部として機能する。導電性チューブ14の固定端には、第3電極13が接続され、第3電極13には、リード層16が接続される。リード層16は、スイッチの他端としてのB端子に接続される。
導電性チューブ14の自由端には、磁性微粒子15が配置される。
絶縁層17上には、導電性チューブ14を取り囲む絶縁層19,20が設けられる。その結果、空洞(CAVITY)18が形成され、導電性チューブ14は、この空洞18内に配置される。
以上の要素により磁気スイッチング素子(スイッチユニット)が構成される。
B. 変形例
図8は、第2実施の形態の第1変形例を示している。
平面図は、図6と同じである。この変形例の特徴は、第3電極13の上面が第4電極23の上面よりも上に存在する点にある。
本例では、第3電極13は、絶縁層17から突出した形となる。
但し、上記条件を満たせば、絶縁層17から突出した部分の第3電極13の側壁の一部又は全部が絶縁層で覆われていても構わない。
このような構成にすれば、導電性チューブ14の成長が容易となり、デバイスの信頼性が向上する。
図9は、第2実施の形態の第2変形例を示している。図10は、図9のX−X線に沿う断面図である。
この変形例の特徴は、磁場発生部11の構造にある。磁場発生部11を構成する各層11a〜11eは、縦方向(上下方向)ではなく、横方向(左右方向)にスタックされる。
ここで、リード層21は、第1電極11aに接続され、リード層22は、第2電極11eに接続されるが、リード層21は、第1電極11aと一体化していてもよく、また、リード層22は、第1電極11eと一体化していてもよい。
また、磁場発生部11を構成する各層11a〜11eは、縦方向でもなく、横方向でもない、斜め方向にスタックされていてもよい。
言い換えれば、各層11a〜11eをスタックする方向は、スピン注入電流が各層11a〜11eの界面を横切るように構成されていれば、いずれの方向にスタックされていても構わない。
C. 基本動作
基本動作は、第1実施の形態と同様に、スピン偏極した電子を磁性素子に流し、磁化固着部から発生する磁場と磁化フリー部から発生する磁場との合成磁場を制御することにより行う。
具体的には、第1電極11aと第2電極11eとの間にスピン注入電流を流して磁場発生部11内の磁化フリー部の磁化方向を決定し、これに応じて磁性微粒子15の空間位置を変化させ、第3電極(B端子)13と第4電極(A端子)23との間の接続/切断を制御する。
例えば、磁性層11b,11dの磁化方向が平行状態(同じ向き)のときは、合成磁場が発生し、磁性微粒子15は、磁力により移動する。また、磁性層11b,11dの磁化方向が反平行状態(反対向き)のときは、合成磁場が消滅し、磁性微粒子15は、導電性チューブ14の弾性力により元の位置に戻る。
磁場が発生していない初期状態において、磁性微粒子15が第1又は第2電極11a,11eから離れている場合には、ノーマリオフタイプスイッチング素子となり、磁場が発生していない初期状態において、磁性微粒子15が第1又は第2電極11a,11eに接触している場合には、ノーマリオンタイプスイッチング素子となる。
D. レイアウト
第1電極11a、第2電極11e、第3電極13、第4電極23及びリード層16,21,22のレイアウトは、本例に限定されることはない。その形状や延在方向などは、互いに干渉し合わないことを条件に自由に設定できる。
磁場発生部11内の磁性素子の平面形状についても、本例に限定されることはない。例えば、磁性素子の平面形状は、長方形の他に、正方形、菱形、円形、楕円形などの形状を採用できる。
また、磁場発生部11は、全体としては、円柱形、角柱形などの形状となるように設定することもできるし、また、磁場発生部11を構成する各層11a〜11eの平面形状を下層から上層に向かうにつれて次第に小さくし、全体としては、上層が下層に比べて先細り形になるようにしてもよい。
E. サイズ
磁場発生部11を構成する各層11a〜11eの平均サイズは、その平面形状を四角形とした場合、それぞれ一辺が200nm以下とするのが好ましく、さらには、100nm以下であるのが最も好ましい。
スピン注入電流による磁化フリー層の磁化制御に関しては、磁性素子のサイズができるだけ小さいほうが容易となるためである。
また、導電性チューブ14の直径は、100nm以下、好ましくは、数10nm程度とするのが好ましい。
第3電極13と第4電極23との間の距離は、導電性チューブ14の直径に比例するため、その直径があまりにも大きくなると、スイッチユニットのサイズが大きくなり、磁気スイッチング素子の微細化を実現できなくなるためである。
F. その他
導電性チューブ14の本数については、オン抵抗を低くするためには複数本設けるのが好ましい。この場合、複数本の導電性チューブ14は、互いに物理的に結合していてもよく、また、分離していてもよい。当然に、複数の導電性チューブ14の一部が結合し、他の一部が分離していても構わない。
磁気固着部と磁気フリー部との位置関係は、いずれが上でも下でもどちらでもよく、また、これらを構成する磁性層11b,11dは、磁化方向が膜面に平行である面内磁化膜であっても、磁化方向が膜面に垂直である垂直磁化膜であってもよい。
G. まとめ
以上のように、第2実施の形態によれば、第1実施の形態と同様に、機械的な接触/非接触によりスイッチのオン/オフを実行するため、オン/オフ抵抗比を無限大にすることができる。また、導電性チューブが金属特性を有する材料から構成されることで、信号経路がオールメタルとなり、オン抵抗を小さくすることができる。さらに、このような磁気スイッチング素子は、半導体プロセスにより形成することができるため、極微細化が可能であり、ナノレベルのスイッチング素子を実現できる。
(3) 第3実施の形態
第3実施の形態は、導電性チューブに特徴を有する。第1及び第2実施の形態では、導電性チューブは、磁場発生部が埋め込まれた表面に略平行な平面から成長させたが、第3実施の形態では、導電性チューブは、磁場発生部が埋め込まれた表面に略平行に形成される。
A. 基本構造
図11は、第3実施の形態の磁気スイッチング素子の平面図である。図12は、図11のXII−XII線に沿う断面図である。
磁場発生部11の構造は、第1実施の形態と同じである。即ち、磁場発生部11を構成する各層は、図1及び図2に示すように、縦方向にスタックされていてもよいし、図4及び図5に示すように、横方向にスタックされていてもよい。
磁場発生部11は、第1実施の形態と同様に、絶縁層17内に埋め込まれているが、第3実施の形態では、出力信号OUTを得るための第3電極24は、絶縁層17上に配置される。
また、第3実施の形態では、絶縁層17上に、第3電極24に対向するように第5電極25が新たに配置される。
第5電極25は、導電性チューブ14を形成するときに、導電性チューブの成長方向を決定するために用いられる。導電性チューブ14は、第3及び第5電極24,25間に電圧を与えると、第3電極24から第5電極25に向かって直線的に成長するため、本例では、導電性チューブ14は、絶縁層17の表面に対して平行に延びている。
ここで、第3及び第5電極24,25の先端をそれぞれ尖らしておくと、その尖った部分の間に電界が集中するため、導電性チューブ14の成長時の方向制御が容易となる。
第3及び第5電極24,25の先端の尖らせ方としては、例えば、平面的には先細り形状とすると共に、断面的には、第3及び第4電極24,25をオーバーハング状とする。
電流制御部12は、例えば、入力信号INに基づいて、磁場発生部11内の磁性素子にスピン注入電流を供給することにより磁場発生部11内の磁化フリー部の磁化方向を制御する。
導電性チューブ14は、例えば、カーボンナノチューブから構成され、可動部として機能する。導電性チューブ14の固定端には、第3電極24が接続され、第3電極24からは、出力信号OUTが得られる。また、導電性チューブ14の自由端には、磁性微粒子15が配置される。
絶縁層17上には、導電性チューブ14を取り囲む絶縁層19,20が設けられる。その結果、空洞(CAVITY)18が形成され、導電性チューブ14は、この空洞18内に配置される。
以上の要素により磁気スイッチング素子(スイッチユニット)が構成される。
B. 変形例
図13は、第3実施の形態の第1変形例を示している。
断面図は、図12と同じである。この変形例の特徴は、複数本の導電性チューブ14が第3電極24から第5電極25に向かって延びている点にある。
複数本の導電性チューブ14を形成することで、スイッチング素子のオン抵抗を低減することができる。
ここで、複数本の導電性チューブ14の成長速度に差があると、そのうちの一部が第5電極25に到達し、接触する場合がある。
このような場合を想定し、第5電極25については、導電性チューブ14の成長後にはフローティング状態とし、スイッチング素子として使用する際に動作上問題が生じないようにする。
あるいは、これに代えて、導電性チューブ14の成長後に、第3電極24と第5電極25との間に電圧を印加して、第5電極25に接触したチューブを電気的に断線させてもよい。このようにすれば、第5電極25がフローティング状態でなくても、スイッチング動作上問題が生じることはない。
図14は、第3実施の形態の第2変形例を示している。
断面図は、図12と同じである。この変形例の特徴は、図13の第1変形例と同様に、複数本の導電性チューブ14が第3電極24から第5電極25に向かって延びている点にある。
但し、第2変形例では、複数本の導電性チューブ14が確実に形成されるように、第3及び第5電極24,25の先端部にそれぞれ複数の先細り部を設けている。
これにより、確実に複数本の導電性チューブ14を成長させることができるため、スイッチング素子のオン抵抗の低減には効果的である。
尚、図13の第1変形例と同様に、複数本の導電性チューブ14のうちの一部が第5電極25に到達しても、導電性チューブ14の成長後に第5電極25をフローティング状態とすれば、スイッチング動作上問題が生じることはない。
あるいは、これに代えて、導電性チューブ14の成長後に、第3電極24と第5電極25との間に電圧を印加して、第5電極25に接触したチューブを電気的に断線させてもよい。このようにすれば、第5電極25がフローティング状態でなくても、スイッチング動作上問題が生じることはない。
C. 基本動作
基本動作は、第1実施の形態と同じであるため、ここでは、その説明については省略する。
D. レイアウト
磁場発生部11、第3電極24及び第5電極25のレイアウトは、本例に限定されることはない。その形状や延在方向などは、互いに干渉し合わないことを条件に自由に設定できる。
E. サイズ
磁場発生部11のサイズは、第1実施の形態と同様に、その平面形状を四角形とした場合、それぞれ一辺が200nm以下とするのが好ましく、さらには、100nm以下であるのが最も好ましい。また、導電性チューブ14の直径は、100nm以下、好ましくは、数10nm程度とするのが好ましい。
第3電極24から第5電極25までの幅w(図12参照)は、100nmから数μmまでの範囲内の値に設定することが好ましい。但し、この幅wは、磁場発生部11のサイズと同じか、又は、それよりも大きくする。
F. その他
第3実施の形態の第1及び第2変形例では、複数本の導電性チューブ14の一部が互いに物理的に結合していても構わない。
G. まとめ
以上のように、第3実施の形態によれば、第1実施の形態と同様に、オン/オフ抵抗比を無限大にでき、かつ、オン抵抗を小さくすることができる。また、このような磁気スイッチング素子は、半導体プロセスにより形成することができるため、極微細化が可能であり、ナノレベルのスイッチング素子を実現できる。
(4) 第4実施の形態
第4実施の形態は、第2実施の形態と第3実施の形態とを組み合わせたものである。即ち、導電性チューブは、直線状に形成され、かつ、スイッチをオン/オフさせる入力信号INの経路と出力信号OUTの経路とが分離される。
A. 基本構造
図15は、第4実施の形態の磁気スイッチング素子の平面図である。図16は、図15のXVI−XVI線に沿う断面図である。
磁場発生部11の構造は、第2実施の形態と同じである。即ち、磁場発生部11を構成する各層は、図6及び図7に示すように、縦方向にスタックされていてもよいし、図9及び図10に示すように、横方向にスタックされていてもよい。
磁場発生部11は、第2実施の形態と同様に、絶縁層17内に埋め込まれているが、第4実施の形態では、スイッチの他端としてのB端子に接続される第3電極24は、絶縁層17上に配置される。
また、第4実施の形態では、絶縁層17上に、第3電極24に対向するように第5電極25が新たに配置される。
さらに、入力信号INの経路と出力信号OUTの経路とが分離されるため、磁場発生部11は、絶縁層17の内部に完全に埋め込まれる。その代わりに、絶縁層17の表面領域には、磁場発生部11と第5電極25からそれぞれ絶縁された第4電極23が配置される。
第4電極23の位置は、例えば、磁場発生部11と磁性微粒子15との間に設定される。第4電極23は、スイッチの一端としてのA端子に接続される。
電流制御部12は、例えば、入力信号INに基づいて、スピン注入電流を磁場発生部11に供給し、磁場発生部11内の磁化フリー部の磁化方向を制御する。
導電性チューブ14は、第2実施の形態と同様に、第3電極24から第5電極25に向かって直線的に成長するため、本例では、導電性チューブ14は、絶縁層17の表面に対して平行に延びている。
ここで、第3及び第5電極24,25の先端は、第3実施の形態と同様に、それぞれ尖らしておくのが好ましい。
絶縁層17上には、導電性チューブ14を取り囲む絶縁層19,20が設けられる。その結果、空洞(CAVITY)18が形成され、導電性チューブ14は、この空洞18内に配置される。
以上の要素により磁気スイッチング素子(スイッチユニット)が構成される。
B. 変形例
第4実施の形態においても、第3実施の形態の第1及び第2変形例(図13及び図14参照)をそのまま適用することができる。
C. 基本動作
基本動作は、第2実施の形態と同じであるため、ここでは、その説明については省略する。
D. レイアウト
磁場発生部11、第3電極24、第4電極23及び第5電極25のレイアウトは、本例に限定されることはない。その形状や延在方向などは、互いに干渉し合わないことを条件に自由に設定できる。
E. サイズ
磁場発生部11のサイズは、第2実施の形態と同様に、その平面形状を四角形とした場合、それぞれ一辺が200nm以下とするのが好ましく、さらには、100nm以下であるのが最も好ましい。また、導電性チューブ14の直径は、100nm以下、好ましくは、数10nm程度とするのが好ましい。
第3電極24から第5電極25までの幅w(図16参照)は、100nmから数μmまでの範囲内の値に設定することが好ましい。但し、この幅wは、磁場発生部11のサイズと同じか、又は、それよりも大きくする。
F. その他
第4実施の形態に、第3実施の形態の第1及び第2変形例を適用した場合、複数本の導電性チューブ14の一部が互いに物理的に結合していても構わない。
G. まとめ
以上のように、第4実施の形態によれば、第2実施の形態と同様に、オン/オフ抵抗比を無限大にでき、かつ、オン抵抗を小さくすることができる。また、このような磁気スイッチング素子は、半導体プロセスにより形成することができるため、極微細化が可能であり、ナノレベルのスイッチング素子を実現できる。
(5) 第5実施の形態
第5実施の形態は、磁場発生部の数に特徴を有する。即ち、第1乃至第4実施の形態では、磁場発生部は1つであったが、第5実施の形態では、複数の磁場発生部により導電性チューブの動きを制御する。
図17は、第5実施の形態の磁気スイッチング素子の平面図である。
この磁気スイッチング素子は、磁場発生部の数と位置を除き、第4実施の形態である図15及び図16の磁気スイッチング素子と同じである。
第5実施の形態では、磁場発生部11a,11bは2つ存在する。
磁場発生部11a,11bの構造は、第2実施の形態と同じである。即ち、磁場発生部11a,11bを構成する各層は、それぞれ、図6及び図7に示すように、縦方向にスタックされていてもよいし、図9及び図10に示すように、横方向にスタックされていてもよい。
磁場発生部11a,11bは、例えば、導電性チューブ14を挟み込む位置に配置される。導電性チューブ14の固定端には、第3電極(B端子)24が接続され、自由端には、磁性微粒子15が配置される。
第3電極24に対向する位置には、第5電極25が配置される。導電性チューブ14は、第3電極24から第5電極25に向かって延びている。
導電性チューブ14の直下には、第4電極(A端子)23が配置される。磁場発生部11a,11bから発生する磁場により導電性チューブ14の動きが制御され、磁性微粒子15が第4電極23に接触することによりスイッチがオン状態になる。
尚、図17のスイッチング素子は、第4実施の形態である図15及び図16の磁気スイッチング素子を前提としたが、第1乃至第3実施の形態の磁気スイッチング素子において磁場発生部の数を複数に設定することも可能である。
(6) 第6実施の形態
第6実施の形態は、磁性微粒子の数に特徴を有する。即ち、第1乃至第4実施の形態では、導電性チューブの自由端に磁性微粒子を配置したが、第6実施の形態では、導電性チューブ内に複数の磁性微粒子を配置する。
図18は、第6実施の形態の磁気スイッチング素子の平面図である。図19は、図18のXIX−XIX線に沿う断面図である。
この磁気スイッチング素子は、導電性チューブ14の構造と磁性微粒子15の数を除き、第3実施の形態である図11及び図12の磁気スイッチング素子と同じである。
磁場発生部11の構造は、第1実施の形態と同じである。即ち、磁場発生部11を構成する各層は、図1及び図2に示すように、縦方向にスタックされていてもよいし、図4及び図5に示すように、横方向にスタックされていてもよい。
導電性チューブ14は、第3電極24から第5電極25に跨って配置される。導電性チューブ14の一端は、第3電極24に固定され、固定端となる。また、導電性チューブ14の他端は、支持台としての第5電極25上に存在するが、第5電極25に固定されることはなく、自由端となる。
導電性チューブ14内には、複数の磁性微粒子15がまんべんなく配置されている。このような構造を実現するためには、例えば、フラーレン(fullerene)内蔵カーボンナノチューブを利用する。
即ち、例えば、C(カーボン)60、C70などから構成されるフラーレンは、球殻状の構造を持つ。このため、この球殻内に磁性微粒子を内包した化合物(endohedral compound)をカーボンナノチューブに内蔵すれば、第6実施の形態に関わる構造を実現できる。
スイッチング動作は、磁力により導電性チューブ14内の磁性微粒子15を引き付けて、導電性チューブ14の中央部を磁場発生部11に接触されることにより行う。導電性チューブ14の他端は、自由端として第5電極25上に乗せられているだけなので、スイッチング動作はスムーズに行われる。
ここで、フラーレンや、金属を内包するフラーレンなどを内蔵するナノチューブについては、ピーポッドと称されている。
また、Gd@C82, Dy@C82,のような磁性元素を内包するフラーレンをナノチューブに内蔵する技術がある。フラーレンを内蔵する単層ナノチューブをシリコン基板上に形成する方法、及び、Gdを内包するフラーレンを内蔵する単層ナノチューブをシリコン基板上に形成する方法については、例えば、Appl. Phys. Lett. 86, 023109 (2005)に開示されている。
簡単に説明すると、まず、単層ナノチューブを成長させたい位置に触媒を配置し、気相成長法により単層カーボンナノチューブを成長させる。原料ガスとしては、例えば、エチレンやメタンなどの炭化水素、エタノールなどのアルコールが使用される。原料ガスには、水素、水、酸素などのガスを混入させてもよい。
単層カーボンナノチューブを成長させる気相成長法としては、熱CVD法やプラズマCVD法などを用いることができる。
このようにして形成された単層カーボンナノチューブは、窒素と酸素の割合が4:1である混合ガス雰囲気中において470℃でアニールされる。その結果、シリコン基板に接触していないカーボンナノチューブの先端が酸化により開端される。
この後、上記構造を持つシリコン基板を、磁性金属を内包させたフラーレンと共に石英アンプル内に封入し、その状態を500℃で2日間保つことで、磁性金属を内包させたフラーレンを得ることができる。
GdやDyは磁性元素であるため、Gd@C82, Dy@C82のような磁性元素を内包するフラーレンを内蔵するナノチューブは、磁力により変形させることが可能であり、この性質を用いてナノチューブの中央付近を磁場発生部に接触/非接触させることができる。
尚、図18及び図19のスイッチング素子は、第3実施の形態である図11及び図12の磁気スイッチング素子を前提としたが、例えば、第1実施の形態の磁気スイッチング素子において導電性チューブ内に複数の磁性微粒子を配置することも可能である。
(7) 第7実施の形態
第7実施の形態は、第4実施の形態と第6実施の形態とを組み合わせたものである。即ち、導電性チューブ内には複数の磁性微粒子が内蔵され、かつ、スイッチをオン/オフさせる入力信号INの経路と出力信号OUTの経路とが分離される。
図20は、第7実施の形態の磁気スイッチング素子の平面図である。図21は、図20のXXI−XXI線に沿う断面図である。
導電性チューブ14は、第3電極(B端子)24から第5電極25に跨って配置される。導電性チューブ14の一端は、第3電極24に固定され、固定端となる。また、導電性チューブ14の他端は、支持台としての第5電極25上に存在するが、第5電極25に固定されることはなく、自由端となる。
導電性チューブ14内には、第6実施の形態と同様に、複数の磁性微粒子15がまんべんなく配置されている。
また、入力信号INの経路と出力信号OUTの経路とを分離するため、磁場発生部11は、絶縁層17の内部に完全に埋め込まれる。その代わりに、絶縁層17の表面領域には、磁場発生部11と第5電極25からそれぞれ絶縁された第4電極(A端子)23が配置される。
スイッチング動作は、磁力により導電性チューブ14内の磁性微粒子15を引き付けて、導電性チューブ14の中央部を第4電極23に接触されることにより行う。導電性チューブ14の他端は、自由端として第5電極25上に乗せられているだけなので、スイッチング動作はスムーズに行われる。
尚、図20及び図21のスイッチング素子は、第4実施の形態である図15及び図16の磁気スイッチング素子を前提としたが、例えば、第2実施の形態の磁気スイッチング素子において導電性チューブ内に複数の磁性微粒子を配置することも可能である。
3. 材料例
材料例について説明する。
(1) 磁化固着部及び磁化フリー部
磁性素子を構成する磁化固着部及び磁化フリー部は、それぞれ強磁性材料から構成される。強磁性材料としては、本発明の例に関わるスイッチング素子の用途に応じて、例えば、以下の中から最適な磁気特性を有するものを選択する。
A. 「鉄(Fe)単体」、「コバルト(Co)単体」、「ニッケル(Ni)単体」、「鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)からなるグループより選択される少なくとも1つの元素を含む合金」、
B. 「パーマロイと呼ばれるNiFe系合金」、「CoNbZr系合金、FeTaC系合金、CoTaZr系合金、FeAlSi系合金、FeB系合金、CoFeB系合金などの軟磁性材料」、
C. 「ホイスラー合金、磁性半導体、CrO2、Fe3O4、La1-XSrXMnO3などのハーフメタル磁性酸化物、又は、ハーフメタル磁性窒化物」
ここで、「磁性半導体」は、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)からなるグループより選択される少なくとも1つの磁性元素と、化合物半導体又は酸化物半導体とから構成できる。具体的には、(Ga,Cr)N、(Ga,Mn)N、MnAs、CrAs、(Ga,Cr)As、ZnO:Fe、(Mg,Fe)Oなどを挙げることができる。
また、磁化固着部及び磁化フリー部に使用する材料としては、連続的な磁性体を構成していてもよく、また、非磁性マトリクス中に磁性体からなる微粒子が析出される複合体構造を有していてもよい。
複合体構造の例としては、「グラニュラー磁性体」と称されるものがある。
磁化固着部及び磁化フリー部は、反強磁性結合又は強磁性結合する複数の磁性層から構成されていてもよい。例えば、磁化固着部及び磁化フリー部は、強磁性層/非磁性層/強磁性層のスタック構造としてもよい。
SAF(synthetic antiferromagnetic)構造と呼ばれる反強磁性結合構造を採用する場合、2つの強磁性層の間に配置される非磁性層としては、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)などの非磁性金属層及び反強磁性体を用いることが好ましい。非磁性層の膜厚を0.2nm〜3nmの範囲内の値にすれば、反強磁性結合構造を形成し易くなる。
また、磁化固着部及び磁化フリー部は、複数の磁性層からなる多層構造を有していてもよい。この場合には次のような材料を用いることができる。
A. [(Co又はCoFe合金)/(NiFe若しくはNiFeCoからなるパーマロイ合金、又は、Ni)]からなる2層構造、
B. [(Co又はCoFe合金)/(NiFe若しくはNiFeCoからなるパーマロイ合金、又は、Ni)/(Co又はCoFe合金)]からなる3層構造
(2) 反強磁性層(anti-ferromagnetic layer: AF)
磁化固着部の磁化方向は、反強磁性層を接触させることにより強固に固定することができる。反強磁性層は、非磁性中間層に接しない固着部の面に接するように配置される。反強磁性層は、例えば、鉄マンガン(FeMn)、白金マンガン(PtMn)、パラジウムマンガン(PdMn)、パラジウム白金マンガン(PdPtMn)からなるグループより選択される。
(3) 非磁性層
非磁性層は、金属、絶縁体、半導体などから構成される。非磁性層は、それを構成する材料の面から低抵抗材料と高抵抗材料との2通りに分類される。
低抵抗材料としては、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、又は、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)からなるグループより選択される少なくとも1つの元素を含む合金などがある。
このような低抵抗材料からなる非磁性層(中間層)の厚さを1nm〜60nmの範囲内の値に設定すれば、磁化反転効率をよくすることができる。
高抵抗材料としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、及び鉄(Fe)からなるグループより選択される少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物又はフッ化物などの絶縁体、GaAlAsなどのエネルギーギャップが大きな半導体などがある。
このような材料のうち酸化物としては、例えば、アルミナ(Al2O3-X)、酸化マグネシウム(MgO)、SiO2、Si-O-N、Ta-O、Al-Zr-Oなどがある。
(4) 第1乃至第5電極
第1乃至第5電極は低抵抗の金属材料から構成するのが好ましい。
4. 導電性チューブと磁性微粒子の製造方法
導電性チューブは、電気的特性として金属性を示すことが好ましく、例えば、カーボンナノチューブから構成される。
この場合、チューブの直径は、5nm〜200nmの範囲内の値に設定される。このようなカーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブと呼ばれる。また、直径が数10nmを超えるものについては、カーボンファイバーと呼ばれることもある。
以下では、第1実施の形態のスイッチング素子を例にとり、導電性チューブと磁性微粒子の製造方法の例について説明する。
まず、図22に示すように、磁場発生部11上に、絶縁層26を介してタングステンなどの導電材料からなる犠牲電極27を形成する。また、第3電極13上に、導電性チューブ(カーボンナノチューブ)を成長させるときの触媒となる磁性微粒子(磁性金属)15を形成する。
ここで、磁性微粒子15としては、Fe, Co, Niなどが使われる。また、これらの酢酸塩であってもよい。
磁性微粒子15は、第3電極13自体が導電性チューブを成長させるときの触媒となる場合、即ち、第3電極13が磁性金属から構成される場合には不要である(図23参照)。
この後、図24に示すように、第3電極13から犠牲電極27に向かって導電性チューブ14を成長させる。
このときの成長方法としては、熱CVD法により単層カーボンナノチューブを成長させる方法が知られている。原料ガスとしては、例えば、エチレンやメタンなどの炭化水素や、エタノールなどのアルコールが用いられる。また、原料ガスに、水素、水、酸素などのガスを混入してもよい。成長温度は、400℃〜900℃の範囲内の値に設定される。
この成長方法の詳細については、例えば、Appl. Phys. A 69, 305−308 (1999)や、Jpn. J. Appl. Phys. 42 , 2416 (2003)などに記載されている。
そして、導電性チューブ14の先端が、磁場発生部11の上部、例えば、犠牲電極27に接触するかしないか程度の位置まで達したら成長を終了する。
最後に、ウェットエッチングにより、絶縁層26及び犠牲電極27を除去すると、図25に示すように、可動部としての導電性チューブ14が形成される。
ここで、ウェットエッチングのエッチング液としては、導電性チューブ14の触媒としての磁性微粒子15(又は第3電極13)や、エッチング時にエッチング液に触れる磁場発生部11内の第2電極11eを腐蝕しない物質から構成されていなければならない。
但し、これに代えて、例えば、第2及び第3電極11e,13及び磁性微粒子15を、Ni, Fe, Co, FePt, CoFe などを含む腐蝕され難い合金から構成してもよいし、また、磁性微粒子15については、導電性チューブ14の成長が終了した後に、その表面を導電性の非磁性材料でコーティングしてもよい。
導電性チューブ14が配置される空洞(CAVITY)18は、例えば、炭素からなる犠牲層で導電性チューブ14を覆った後、絶縁層19,20を形成し、この後、犠牲層を除去すれば、容易に形成できる。
犠牲層がレジストから構成される場合には、犠牲層の除去は、アッシングという気化法により行うことができる。
ところで、上記製造方法を第2実施の形態に適用する場合には、犠牲電極27をスイッチの一端(A端子)となる第4電極として用いてもよい。この場合、犠牲電極27をエッチングするプロセスが不要になる。
また、犠牲電極27の位置は、磁場発生部11の上部に限定されない。例えば、犠牲電極27は、磁場発生部11の周囲や、第3電極13の上部などに配置しても構わない。
さらに、導電性チューブの長さなどの制御は、上記に比べて若干難しくはなるが、犠牲電極がない状態での導電性チューブの成長も可能である。この場合には、導電性チューブの長さは、成長条件で決定される成長速度により制御する。
なお、導電性チューブの材料として、上記カーボンの他に、Siナノチューブなどの機械的弾性が優れた材料を用いることができる。
5. スイッチング原理
本発明の例の磁気スイッチング素子のスイッチング原理について説明する。
磁場発生部の基本構造は、既に述べたように、磁性素子とこれを挟み込む第1及び第2電極である。磁性素子は、磁化固着部(磁性層)と磁化フリー部(磁性層)とこれらの間に配置される非磁性層(中間層)とから構成される。
本発明の例では、スピン注入電流のオン/オフにより、磁化フリー部の磁化方向を、磁化固着部の磁化方向に対して平行又は反平行とし、磁場発生部からの漏れ磁場に応じて導電性チューブの動きを制御し、スイッチングを行う。
(1) CASE A
図26は、スイッチング原理のCASE Aを示している。
CASE Aでは、磁性層11bが磁化固着部となり、磁性層11dが磁化フリー部となる。但し、これとは逆に、磁性層11bが磁化フリー部となり、磁性層11dが磁化固着部となってもスイッチング原理は変わらない。図26において、磁性層11bを磁化固着するためには、さらに、磁性層11bと第1電極11aの間に反強磁性層を設けると好ましい。
前提条件として、磁化フリー部としての磁性層11dは、ヒステリシスを有しないものとする。また、磁性層11b,11dは、初期状態において、静磁結合又は負の交換相互作用により反平行状態を維持しているものとする。
この場合、スピン注入電流がオフ(初期状態)では、第1及び第2電極11a,11eの間に電子の流れが発生することはなく、磁性層11b,11dは、反平行状態のままである。
この時、例えば、図27に示すように、磁性層11b,11dから外に出る磁力線は、磁性層11b,11dの間で閉じた状態となるため、磁性素子の外部に漏れ出る漏れ磁場の値は非常に小さくなる。
特に、磁性層11b,11dの磁化の絶対値をほぼ同じに設定すれば、この状態での漏れ磁場は、ほぼ零になる。即ち、磁場発生部内の磁性素子からの磁場の発生がないため、磁性微粒子を含む導電性チューブの空間位置を変えることはできず、スイッチは、ノーマリオフタイプの場合にはオフ、ノーマリオンタイプの場合にはオンのままである。
これに対し、スピン注入電流をオンにすると、第1及び第2電極11a,11eの間に電子の流れが発生し、磁化フリー部としての磁性層11dの磁化方向が反転し、磁性層11b,11dは、反平行状態から平行状態に変化する。
この時、例えば、図28に示すように、磁性層11b,11dの磁化がキャンセルされないため、磁力線が磁性層11b,11dから外に漏れ出し、磁性層11b,11dから発生する磁力線は開いた状態となる。
従って、磁場発生部内の磁性素子から磁場が発生している状態となり、磁性微粒子を含む導電性チューブの空間位置はこの磁場による磁力によって変化する(磁場発生部に近づく又は磁場発生部から遠ざかる)。
即ち、スイッチは、ノーマリオフタイプの場合には、オフからオンに変化し、ノーマリオンタイプの場合には、オンからオフに変化する。
ところで、CASE Aでは、磁場発生部はヒステリシス特性を持たないため、スピン注入電流を零にすると、スイッチとしては再び初期状態に戻る。
図29は、スピン注入電流と磁性素子の抵抗値との関係を示している。
抵抗値は、磁性層11b,11dの磁化状態を表している。
スピン注入電流の値が零のときは、磁性素子は、反平行状態にあり、その抵抗値は大きくなっている。
スピン注入電流をプラス方向に流すと、その電流値が所定値を超えたとき、磁性素子は、平行状態になり、その抵抗値は小さくなる。
ここで、CASE Aでは、スピン注入電流は、零か、又は、プラス方向に流すか、の2通りとする。プラス方向とは、電子が磁化固着部としての磁性層11bから磁化フリー部としての磁性層11dへ向かって流れる方向(スピン注入電流としては逆方向)とする。
(2) CASE B
図30は、スイッチング原理のCASE Bを示している。
CASE Bは、CASE Aと比べると、初期状態において磁性層11b,11dが正の交換相互作用により平行状態を維持している点に特徴を有する。
この場合、スピン注入電流がオフ(初期状態)では、磁性層11b,11dは平行状態であるため、磁場発生部から磁場が発生している状態となる。この時、スイッチとしては、ノーマリオフタイプの場合にはオフ、ノーマリオンタイプの場合にはオンである。
これに対し、スピン注入電流をオンにすると、磁化フリー部としての磁性層11dの磁化方向が反転し、磁性層11b,11dは、平行状態から反平行状態に変化する。
従って、磁場発生部から磁場が発生していない状態となり、導電性チューブ又は磁性微粒子には磁力が作用しなくなる。この時、スイッチとしては、ノーマリオフタイプの場合にはオフからオンに変化し、ノーマリオンタイプの場合にはオンからオフに変化する。
スピン注入電流を零にすると、スイッチとしては再び初期状態に戻る。
図31は、スピン注入電流と磁性素子の抵抗値との関係を示している。
抵抗値は、磁性層11b,11dの磁化状態を表している。
スピン注入電流の値が零のときは、磁性素子は、平行状態にあり、その抵抗値は小さくなっている。
スピン注入電流をマイナス方向に流すと、その電流値が所定値を超えたとき、磁性素子は、反平行状態になり、その抵抗値は大きくなる。
ここで、CASE Bでは、スピン注入電流は、零か、又は、マイナス方向に流すか、の2通りとする。マイナス方向とは、電子が磁化フリー部としての磁性層11dから磁化固着部としての磁性層11bへ向かって流れる方向(スピン注入電流としては逆方向)とする。
(3) CASE C
図32は、スイッチング原理のCASE Cを示している。図33は、スピン注入電流と磁性素子の抵抗値との関係を示している。
CASE Cは、磁性層11b,11dの層間結合は弱いが、磁化フリー部としての磁性層11dのヒステリシスが大きい場合である。
CASE Cでは、磁性層11bが磁化固着部となり、磁性層11dが磁化フリー部となるが、これとは逆に、磁性層11bが磁化フリー部となり、磁性層11dが磁化固着部となってもよい。磁性層11bを磁化固着するためには、さらに、磁性層11bと第1電極11aの間に反強磁性層を設けると好ましい。
まず、スピン注入電流をマイナス方向に流すと、その電流値が所定値(臨界電流)を超えたとき、磁性素子は、反平行状態になり、その抵抗値は大きくなる。反平行状態では、例えば、図27に示すように、磁性層11b,11dから外に出る磁力線は、磁性層11b,11dの間で閉じた状態となるため、磁性素子の外部に漏れ出る漏れ磁場の値は小さくなる。
従って、磁性微粒子を含む導電性チューブの空間位置を変えることはできず、スイッチは、オフである。
この後、スピン注入電流を遮断しても、磁化フリー部がヒステリシスを有するため、この状態は維持される。即ち、磁場発生部内の磁性素子は、反平行状態のままで、不揮発性スイッチとなる。
これに対し、スピン注入電流をプラス方向に流すと、その電流値が所定値(臨界電流)を超えたとき、磁性素子は、平行状態になり、その抵抗値は小さくなる。平行状態では、例えば、図28に示すように、磁性層11b,11dから発生する磁力線は開いた状態となるため、磁性素子の外部に漏れ出る漏れ磁場の値は大きくなる。
従って、磁性微粒子を含む導電性チューブの空間位置はこの磁場による磁力によって変化する(磁場発生部に近づく又は磁場発生部から遠ざかる)。
即ち、スイッチは、オフからオンに変化する。
この後、スピン注入電流を遮断しても、磁化フリー部がヒステリシスを有するため、この状態は維持される。即ち、磁場発生部内の磁性素子は、平行状態のままで、不揮発性スイッチとなる。
CASE Cでは、スピン注入電流は、零か、マイナス方向に流すか、又は、プラス方向に流すか、の3通りとなる。
(4) CASE D
図34は、スイッチング原理のCASE Dを示している。
CASE Dは、初期状態において、磁化固着部としての磁性層11bがSAF(synthetic antiferromagnetic)構造を有し、磁化フリー部としての磁性層11dが熱揺らぎ状態(全体として磁極が定まっていない状態)にある点に特徴を有する。
スピン注入電流がオフ(初期状態)では、第1及び第2電極11a,11eの間に電子の流れが発生することはなく、磁化フリー部としての磁性層11dは、熱揺らぎ状態にある。
この時、SAF構造を有する磁化固着部では、反強磁性結合する複数の磁性層の磁化がキャンセルされるため、磁化固着部からの漏れ磁場はない。また、磁化フリー部を構成する磁性層11dも、熱揺らぎ状態であるため、スピン注入電流が流れていない状態では磁化方向が定まらず、磁場の発生もない。
従って、磁場発生部内の磁性素子からの磁場の発生がないため、磁性微粒子を含む導電性チューブの空間位置を変えることはできず、スイッチはオフである。
これに対し、スピン注入電流をオンにすると、第1及び第2電極11a,11eの間に電子の流れが発生し、磁化フリー部としての磁性層11dの磁化方向が定まる。例えば、電子の流れが磁化固着部から磁化フリー部に向かう場合には、磁化フリー部としての磁性層11dの磁化は右を向く。 この時、上述のように、SAF構造を有する磁化固着部では、反強磁性結合する複数の磁性層の磁化がキャンセルされるため、磁化固着部からの漏れ磁場をほぼゼロにできる。このため、全体として磁極が定まった磁性層11dから磁場が発生している状態となる。
従って、磁性微粒子を含む導電性チューブの空間位置はこの磁場による磁力によって変化する(磁場発生部に近づく又は磁場発生部から遠ざかる)。
即ち、スイッチはオフからオンに変化する。
ところで、CASE Dでは、スピン注入電流を遮断すると、スイッチとしては、再び、初期状態(磁性層11dの熱揺らぎ状態)に戻る。
尚、CASE Dでは、電子を磁化固着部から磁化フリー部に向かう方向(スピン注入電流としては逆方向)に流し、磁性層11dの磁化を右向きとしたが、これに代えて、電子を磁化フリー部から磁化固着部に向かう方向に流し、磁性層11dの磁化を左向きとしてもよい。
(5) CASE E
図35は、スイッチング原理のCASE Eを示している。
CASE Eは、磁化固着部としての磁性層11bがSAF構造を有し、磁化フリー部としての磁性層11dがヒステリシスを有する点に特徴を有する。磁性層11bを磁化固着するために、磁性層11bと第1電極11aの間に反強磁性層を設けると好ましい。
まず、スピン注入電流をプラス方向に流すと、その電流値が所定値(臨界電流)を超えたとき、磁化フリー部としての磁性層11dの磁化方向は右を向き、磁性素子としては平行状態となる。
この時、SAF構造を有する磁化固着部では、反強磁性結合する複数の磁性層の磁化がキャンセルされるため、スピン注入電流の有無や方向にかかわらず、磁化固着部からの漏れ磁場をほぼゼロにできる。
従って、磁性微粒子を含む導電性チューブは、磁化フリー部としての磁性層11dからの磁場に作用する。
この後、スピン注入電流を遮断しても、磁化フリー部がヒステリシスを有するため、この状態は維持される。即ち、磁場発生部内の磁性素子は、平行状態のままである。
これに対し、スピン注入電流をマイナス方向に流すと、その電流値が所定値(臨界電流)を超えたとき、磁化フリー部としての磁性層11dの磁化方向は左を向き、磁性素子としては反平行状態となる。
この時、SAF構造を有する磁化固着部では、反強磁性結合する複数の磁性層の磁化がキャンセルされるため、スピン注入電流の有無や方向にかかわらず、磁化固着部からの漏れ磁場をほぼゼロにできる。
従って、磁性微粒子を含む導電性チューブは、磁化フリー部としての磁性層11dからの先ほどと逆向きの磁場に作用する。 この後、スピン注入電流を遮断しても、磁化フリー部がヒステリシスを有するため、この状態は維持される。即ち、磁場発生部内の磁性素子は、反平行状態のままである。
CASE Eでは、スピン注入電流の向き(磁性層11dの磁化方向)により発生磁場の磁力線の向きが変わる。この磁力線の向きの違いでスイッチングが行われるように、例えば、導電性チューブに設けられた磁性微粒子の保磁力及び磁気異方性を調節し、微粒子の極性を制御することで,磁性微粒子と磁場発生部との間に働く斥力と引力を利用してスイッチングを行う。
なお、CASE AからCASE Eにおいて、磁性層11dの厚さや平面形状を磁性層11bとは異なるようにしてもよい。例えば、磁場発生部の全体としての形状を台形とし、第1電極11aから第2電極11eに向かうに従い、次第に平面形状が小さくなるようにしても構わない。
6. 実施例
実施例について説明する。
この実施例では、第2実施の形態に関わる図6及び図7の磁気スイッチング素子を実際に製造する場合の例を説明する。
図6及び図7において、磁場発生部11内の磁性素子は、CoFe(6nm)/ Cu(8nm)/ CoFeB(8nm)から構成する。即ち、磁性層11bは、磁化固着部とし、厚さ6nmのCoFeから構成する。また、磁性層11dは、磁化フリー部とし、厚さ8nmのCoFeBから構成する。非磁性層(中間層)11cは、厚さ8nmのCuから構成する。
磁気スイッチング素子は、以下の製造方法により形成される。
まず、ウェハ上に第1電極11aを形成し、この後、このウェハを超高真空スパッタ装置内へ配置する。そして、CoFe(6nm)/ Cu(8nm)/ CoFeB(8nm)からなる積層を形成した後、この積層上に第2電極11eを形成する。
次に、EB(electron beam)レジストが塗布され、EB露光が行われる。その結果、例えば、サイズ70mm×100nmの四角形のマスクが形成される。ここで、四角形の長辺は、磁性層11b,11dの磁化容易軸方向(磁気異方性を有する方向)に平行であるものとする。
また、イオンミリング装置を用いて、マスクに被覆されない領域の第1及び第2電極11a,11e及びCoFe(6nm)/ Cu(8nm)/ CoFeB(8nm)からなる積層をエッチングし、磁場発生部11を形成する。この後、マスクは剥離される。
次に、例えば、SiO2からなる絶縁層により磁場発生部11を覆い、かつ、その絶縁層の表面をイオンミリングにより平滑化し、磁場発生部11の第2電極11eの上面を絶縁層から露出させる。この露出した第2電極11eにリード層が接続される。
同様に、EB露光とエッチングにより、例えば、直径20nmの柱状のNiからなる第3電極13を形成する。この後、ウェハを真空チャンバー内に配置し、温度400℃で、ウェハに向けてアルコールガスを導入する。その結果、第3電極13上にはカーボンナノチューブが成長する。
以上の製造方法により磁気スイッチング素子が形成される。
7. 応用例
本発明の例に関わる磁気スイッチング素子は、ロジック回路からなる信号処理装置に応用できる。
(1) 第1応用例
図36は、本発明の例に関わる磁気スイッチング素子をインバータ回路として用いた場合の例を示している。
本発明の例に関わる磁気スイッチング素子をインバータ回路として用いる場合には、スイッチユニットを1つ用意すればよい。
第1電極11aと第2電極11eとの間には、入力信号Vinが“0”のときには電圧が印加されず、入力信号Vinが“1”のときに電圧が印加される。第1電極11aと第2電極11eとの間に電圧が印加されている状態では、50μAのスピン注入電流が磁性素子に流れる。
ここで、第1応用例では、磁気スイッチング素子をインバータ回路として機能させるため、入力信号Vinの経路と出力信号Ioutの経路とを分離し、さらに、磁気スイッチング素子を、例えば、スイッチング原理のCASE Bが適用されるノーマリオンタイプとする。
例えば、図38及び図39に示すように、磁場発生部11内の磁化固着部と磁化フリー部とを、非磁性層(中間層)の材料や厚さなどを制御することにより強磁性結合(初期状態において平行状態)させる。
ここでは、非磁性層として、厚さ1.5nm のCuを用い、磁化フリー部として、厚さ4nmのCoFeBを用いる。磁化固着部としては、ピン層(pinned layer)として機能する厚さ3nmのCoFeと、ピン層の磁化を固着する反強磁性層としてのPtMnとから構成する。
このようなスイッチング素子では、図37の波形図に示すように、入力信号Vinが“0”のときは、磁性素子としては平行状態で、磁場発生部11から磁場が発生しているため、A端子とB端子は短絡し、スイッチとしてはオンとなり、出力信号Ioutは、“1”となる。
また、入力信号Vinが“1”のときは、磁性素子としては反平行状態で、磁場発生部11から磁場が発生していないため、A端子とB端子は切り離され、スイッチとしてはオフとなり、出力信号Ioutは“0”となる。
このように、本発明の例によれば、1つのスイッチユニットを用いてインバータ回路を構成することができる。
(2) 第2応用例
図40は、本発明の例に関わる磁気スイッチング素子をアンド(AND)ゲート回路として用いた場合の例を示している。
本発明の例に関わる磁気スイッチング素子をアンドゲート回路として用いる場合には、直列接続された2つのスイッチユニットを用いればよい。
各々のスイッチユニットにおいて、第1電極11aと第2電極11eとの間には、入力信号V1,V2が“0”のときには電圧が印加されず、入力信号V1,V2が“1”のときに電圧が印加される。第1電極11aと第2電極11eとの間に電圧が印加されている状態では、50μAのスピン注入電流が磁性素子に流れる。
ここで、第2応用例では、磁気スイッチング素子をアンドゲート回路として機能させるため、入力信号V1,V2の経路と出力信号Ioutの経路とを分離し、さらに、磁気スイッチング素子を、例えば、スイッチング原理のCASE Dが適用されるノーマリオフタイプとする。
例えば、各々のスイッチユニットにおいて、磁場発生部11内の磁化固着部をSAF構造(図34参照)とする。即ち、磁化固着部内の非磁性層の材料や厚さなどを制御することにより磁化固着部内の2つの強磁性層を反強磁性結合させる。
ここでは、磁化固着部として、CoFe/ Ru/ CoFeからなる反強磁性結合膜を用いる。また、反強磁性結合膜と第1電極との間にはPtMnを配置し、交換バイアスにより磁化方向を強く固着する。また、磁化フリー部は、NiFeとし、室温で熱揺らぎ状態となるサイズとする。
このようなスイッチング素子では、図41の波形図に示すように、入力信号V1,V2が“00”,“01”,“10”のときは、2つのスイッチユニットのうちの少なくとも1つ内の磁化フリー部が熱揺らぎ状態で、磁場発生部11から磁場が発生していない状態にある。
このため、2つのスイッチユニットのうちの少なくとも1つはオフであり、出力信号Ioutとしては、“0”となる。
また、入力信号V1,V2が“11”のときは、2つのスイッチユニット内の磁化フリー部の磁化方向が定まるため、2つのスイッチユニットは、共にオンであり、出力信号Ioutとしては、“1”となる。
このように、本発明の例によれば、2つのスイッチユニットを用いてアンドゲート回路を構成することができる。
(3) 第3応用例
図42は、本発明の例に関わる磁気スイッチング素子をオア(OR)ゲート回路として用いた場合の例を示している。
本発明の例に関わる磁気スイッチング素子をオアゲート回路として用いる場合には、並列接続された2つのスイッチユニットを用いればよい。
各々のスイッチユニットにおいて、第1電極11aと第2電極11eとの間には、入力信号V1,V2が“0”のときには電圧が印加されず、入力信号V1,V2が“1”のときに電圧が印加される。第1電極11aと第2電極11eとの間に電圧が印加されている状態では、50μAのスピン注入電流が磁性素子に流れる。
ここで、第3応用例では、磁気スイッチング素子をオアゲート回路として機能させるため、入力信号V1,V2の経路と出力信号Ioutの経路とを分離し、さらに、磁気スイッチング素子を、例えば、スイッチング原理のCASE Dが適用されるノーマリオフタイプとする。
例えば、各々のスイッチユニットにおいて、磁場発生部11内の磁化固着部をSAF構造(図34参照)とする。即ち、磁化固着部内の非磁性層の材料や厚さなどを制御することにより磁化固着部内の2つの強磁性層を反強磁性結合させる。
ここでは、第2応用例と同様に、磁化固着部として、CoFe/ Ru/ CoFeからなる反強磁性結合膜を用いる。また、反強磁性結合膜と第1電極との間にはPtMnを配置し、交換バイアスにより磁化方向を強く固着する。また、磁化フリー部は、NiFeとし、室温で熱揺らぎ状態となるサイズとする。
このようなスイッチング素子では、図43の波形図に示すように、入力信号V1,V2が“00”のときは、2つのスイッチユニット内の磁化フリー部は、共に熱揺らぎ状態で、磁場発生部11から磁場が発生していない状態にある。
このため、2つのスイッチユニットは、共にオフであり、出力信号Ioutとしては、“0”となる。
また、入力信号V1,V2が“01”,“10”,“11”のときは、2つのスイッチユニットのうちの少なくとも1つ内の磁化フリー部の磁化方向が定まるため、その少なくとも1つのスイッチユニットがオンであり、出力信号Ioutとしては、“1”となる。
このように、本発明の例によれば、2つのスイッチユニットを用いてオアゲート回路を構成することができる。
(4) その他
本発明の例に関わる磁気スイッチング素子を用いて情報処理装置とする場合、複数のスイッチユニットを互いに関連付ける方法としては2通り存在する。
一つは、前段スイッチユニットの出力信号を後段のスイッチユニットの制御信号として用いる方法である。
例えば、図44に示す情報処理装置では、前段スイッチユニットのスイッチング原理としてCASE Aを用い、後段スイッチユニットのスイッチング原理としてCASE A及びCASE Bを用いると、制御信号V1の値に基づいて選択的に出力信号V2,V3を出力するマルチプレクサ(選択回路)を実現できる。
また、図45に示す情報処理装置では、各々のスイッチユニットのスイッチング原理としてCASE A又はCASE Dを用い、これらをバッファとして機能させることにより、3段のバッファからなる遅延回路を実現できる。
他の一つは、複数のスイッチユニットに対し、A端子同士、B端子同士又はAA端子とB端子とを互いに接続する方法である。
この方法によれば、第2及び第3応用例に示すようなアンドゲート回路やオアゲート回路などのロジック回路を実現できる。
7. 適用例
適用例について説明する。
本発明の例に関わる磁気スイッチング素子は、シリコン基板上に形成できるという特徴を有するため、半導体メモリ、ロジックLSIや、メモリ混載ロジックLSIなどの半導体集積回路に適用できる。
また、本発明の例は、1チップ内に1つの機能(例えば、インバータ、マルチプレクサなど)のみが形成されるディスクリート製品にも適用できる。
以下、本発明の例を半導体メモリに適用した場合について説明する。
図46は、メモリセルアレイが積層された半導体メモリを示している。
半導体メモリを構成する要素としては、大きなものとして、メモリセルアレイと周辺回路とがある。チップ28上に平面的にメモリセルアレイと周辺回路とを配置する2次元レイアウトでは、既に、微細化による素子の高密度化に限界が生じている。
そこで、半導体メモリの3D化が検討されているが、メモリセルアレイについては比較的容易に積層構造を実現できる反面、ロジック回路としての周辺回路については、3D化が非常に困難である。これは、スイッチとしてのMOSトランジスタを積み重ねることが難しいことに起因している。
本発明の例では、MOSトランジスタに代えて、磁気スイッチング素子により周辺回路を構成するため、周辺回路についても、比較的容易に積層構造を実現できる。従って、本発明の例によれば、真の3D化を実現できる。
図47は、3D化された半導体メモリの積層構造のイメージを示している。
半導体基板(チップ)28の表面領域には、CMOS回路が形成される。メモリセルアレイ領域においては、メモリセル(例えば、磁気抵抗効果素子)が積み重ねられ、周辺回路領域では、本発明の例に関わるスイッチユニットが積み重ねられる。
配線も積み重ねられるが、スイッチユニットに必要な空洞を利用して、配線の周囲も空洞とし、いわゆる空中配線構造を実現することができる。この場合、配線間に生じる寄生容量が低減され、さらなる高速動作に貢献できる。
尚、本発明の例の適用は、半導体メモリの種類に限定されない。例えば、PRAM(programmable random access memory)、MRAM(magnetic random access memory)などへの適用が可能である。
また、本発明の例によれば、例えば、マイコン、マイクロプロセッサ、グラフィックプロセッサ、DSP、演算処理回路などの信号処理装置について3D化を図ることができる。
これら信号処理装置における3D化の一番のメリットは、情報伝達速度を向上させることができる点、言い換えると、バンド幅を広げられる点にある。これは、3次元レイアウトでは、回路ブロック同士が、線ではなく、面で隣接する形となるため、2次元レイアウトに比べ、回路ブロック同士を接続するバスを短く、かつ、その本数を増やすことができることに起因する。
また,本発明の不揮発性スイッチイング素子は、FPGA(Field Programmable Gate Allay)などのプログラマブルロジックに適用できる。
図48は,FPGAの構造イメージを示している。
チップ28内には、複数の論理ブロック29と共に、予め、配線チャネル30が縦横に配置される。論理ブロック29間の接続に必要なスイッチマトリックスとして、本例では、アンチフューズやSRAMに代えて、磁気スイッチング素子(スイッチユニット)31を使用する。この場合、スイッチング素子に対する再書き込みが可能になると共に、電源を落としても状態を不揮発に維持できるために省電力化に大きく貢献できる。
8. その他
本発明の例によれば、オン/オフ抵抗比が無限大で、オン抵抗が極めて小さく、微細化が可能で、さらにスイッチ状態を不揮発に保持できる新たな原理に基づく磁気スイッチング素子及びこれを用いた信号処理装置を提供できる。
本発明の例は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、上述の実施の形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施の形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
第1実施の形態の磁気スイッチング素子の平面図。 図1のII−II線に沿う断面図。 第1実施の形態の第1変形例を示す断面図。 第1実施の形態の第2変形例を示す平面図。 図4のV−V線に沿う断面図。 第2実施の形態の磁気スイッチング素子の平面図。 図6のVII−VII線に沿う断面図。 第2実施の形態の第1変形例を示す断面図。 第2実施の形態の第2変形例を示す平面図。 図9のX−X線に沿う断面図。 第3実施の形態の磁気スイッチング素子の平面図。 図11のXII−XII線に沿う断面図。 第3実施の形態の第1変形例を示す断面図。 第3実施の形態の第2変形例を示す断面図。 第4実施の形態の磁気スイッチング素子の平面図。 図15のXVI−XVI線に沿う断面図。 第5実施の形態の磁気スイッチング素子の平面図。 第6実施の形態の磁気スイッチング素子の平面図。 図18のXIX−XIX線に沿う断面図。 第7実施の形態の磁気スイッチング素子の平面図。 図20のXXI−XXI線に沿う断面図。 本発明の例に関わる製造方法の一工程を示す断面図。 本発明の例に関わる製造方法の一工程を示す断面図。 本発明の例に関わる製造方法の一工程を示す断面図。 本発明の例に関わる製造方法の一工程を示す断面図。 本発明の例に関わるスイッチング原理のCASE Aを示す図。 反平行状態の磁性素子から発生する磁力線を示す図。 平行状態の磁性素子から発生する磁力線を示す図。 CASE Aの磁性素子に流れる電流と抵抗値との関係を示す図。 本発明の例に関わるスイッチング原理のCASE Bを示す図。 CASE Bの磁性素子に流れる電流と抵抗値との関係を示す図。 本発明の例に関わるスイッチング原理のCASE Cを示す図。 CASE Cの磁性素子に流れる電流と抵抗値との関係を示す図。 本発明の例に関わるスイッチング原理のCASE Dを示す図。 本発明の例に関わるスイッチング原理のCASE Eを示す図。 磁気スイッチング素子を用いたインバータ回路を示す回路図。 図36のインバータ回路の入出力波形を示す波形図。 図36のインバータ回路のオン時の状態を示す図。 図36のインバータ回路のオフ時の状態を示す図。 磁気スイッチング素子を用いたアンドゲート回路を示す回路図。 図40のアンドゲート回路の入出力波形を示す波形図。 磁気スイッチング素子を用いたオアゲート回路を示す回路図。 図42のオアゲート回路の入出力波形を示す波形図。 磁気スイッチング素子を用いた信号処理装置の例を示す回路図。 磁気スイッチング素子を用いた信号処理装置の例を示す回路図。 本発明の例が適用される半導体メモリを示す図。 本発明の例が適用される3Dチップのイメージを示す図。 FPGAの構造イメージを示す図。
符号の説明
11,11a,11b: 磁場発生部、 11a: 第1電極、 11b,11d: 磁性層、 11c: 非磁性層(中間層)、 11e: 第2電極、 12,12a,12b: 電流制御部、 13,24: 第3電極、 14: 導電性チューブ、 15: 磁性微粒子、 16,21,22: リード層、 17,19,20,26: 絶縁層、 18: 空洞、 23: 第4電極、 25,27: 第5電極(犠牲電極)、 28: チップ。

Claims (21)

  1. 磁化方向が固着される磁化固着部、スピン偏極した電子により磁化方向が変化する磁化フリー部、及び、前記磁化固着部と前記磁化フリー部との間の非磁性中間層から構成される磁性素子と、
    前記磁性素子を挟み込む第1及び第2電極と、
    前記第1及び第2電極に接続され、前記磁化固着部と前記磁化フリー部との間に電流を流すことで前記磁化フリー部の磁化方向を制御する電流制御部と、
    固定端と自由端を有する可動な導電性チューブと、
    前記導電性チューブに設けられる磁性微粒子と、
    前記導電性チューブの固定端に接続される第3電極とを具備する
    ことを特徴とする磁気スイッチング素子。
  2. 前記磁性微粒子が前記第1電極、前記第2電極又は前記磁性素子に接触しているときをオン状態、前記第1電極、前記第2電極又は前記磁性素子から離れているときをオフ状態とすることを特徴とする請求項1に記載の磁気スイッチング素子。
  3. 請求項1に記載の磁気スイッチング素子において、さらに、前記第1、第2及び第3電極とは独立した第4電極を具備し、前記磁性微粒子が前記第4電極に接触しているときをオン状態、前記第4電極から離れているときをオフ状態とすることを特徴とする磁気スイッチング素子。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気スイッチング素子において、さらに、前記第3電極と対向する位置に配置される犠牲電極を具備することを特徴とする磁気スイッチング素子。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁気スイッチング素子において、前記磁性微粒子は前記導電性チューブの自由端に配置されることを特徴とする磁気スイッチング素子。
  6. 磁化方向が固着される磁化固着部、スピン偏極した電子により磁化方向が変化する磁化フリー部、及び、前記磁化固着部と前記磁化フリー部との間の非磁性中間層から構成される磁性素子と、
    前記磁性素子を挟み込む第1及び第2電極と、
    前記第1及び第2電極に接続され、前記磁化固着部と前記磁化フリー部との間に電流を流すことで前記磁化フリー部の磁化方向を制御する電流制御部と、
    固定端と自由端を有する可動な導電性チューブと、
    前記導電性チューブの固定端に接続される第3電極と、
    前記導電性チューブに設けられる磁性微粒子と、
    前記導電性チューブの自由端を支える支持台とを具備する
    ことを特徴とする磁気スイッチング素子。
  7. 前記磁性微粒子が前記第1電極、前記第2電極又は前記磁性素子に接触しているときをオン状態、前記第1電極、前記第2電極又は前記磁性素子から離れているときをオフ状態とすることを特徴とする請求項6に記載の磁気スイッチング素子。
  8. 請求項6に記載の磁気スイッチング素子において、さらに、前記第1、第2及び第3電極とは独立した第4電極を具備し、前記磁性微粒子が前記第4電極に接触しているときをオン状態、前記第4電極から離れているときをオフ状態とすることを特徴とする磁気スイッチング素子。
  9. 請求項6乃至8のいずれか1項に記載の磁気スイッチング素子において、前記磁性微粒子は前記導電性チューブ内に複数包含されることを特徴とする磁気スイッチング素子。
  10. 前記電流が流れていない状態では、前記磁性素子の磁化は反平行状態にあり、前記電流が流れている状態では、前記磁性素子の磁化は平行状態にあることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の磁気スイッチング素子。
  11. 前記電流が流れていない状態では、前記磁性素子の磁化は平行状態にあり、前記電流が流れている状態では、前記磁性素子の磁化は反平行状態にあることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の磁気スイッチング素子。
  12. 前記電流が第1方向に流れると、その後、前記電流が遮断されても前記磁性素子は平行状態にあり、前記電流が第2方向に流れると、その後、前記電流が遮断されても前記磁性素子は反平行状態にあることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の磁気スイッチング素子。
  13. 前記磁化固着部は、SAF構造を有し、前記電流が流れていない状態では、前記磁化フリー部の磁化は熱揺らぎ状態にあり、前記電流が流れている状態では、前記磁化フリー部の磁化は一方向を向いていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の磁気スイッチング素子。
  14. 前記磁化固着部は、SAF構造を有し、前記電流が第1方向に流れている状態では、前記磁化フリー部の磁化は一方向を向き、前記電流が第2方向に流れている状態では、前記磁化フリー部の磁化は前記一方向とは反対の他方向を向いていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の磁気スイッチング素子。
  15. 前記電流が流れていない状態において、前記磁気スイッチング素子は、オフ状態であることを特徴とする請求項1乃至11及び13のいずれか1項に記載の磁気スイッチング素子。
  16. 前記電流が流れていない状態において、前記磁気スイッチング素子は、オン状態であることを特徴とする請求項1乃至11及び13のいずれか1項に記載の磁気スイッチング素子。
  17. 前記電流が第1方向に流れている状態では、前記磁気スイッチング素子は、オフ状態であり、前記電流が第2方向に流れている状態では、前記磁気スイッチング素子は、オン状態であることを特徴とする請求項12又は14のいずれか1項に記載の磁気スイッチング素子。
  18. 前記非磁性中間層は、非磁性導電層から構成されることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の磁気スイッチング素子。
  19. 前記導電性チューブは、絶縁層に覆われた空洞内に配置されることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の磁気スイッチング素子。
  20. 請求項1乃至19のいずれか1項に記載の磁気スイッチング素子により構成される複数のスイッチユニットを具備し、前記複数のスイッチユニットの組み合わせによりロジック回路を構成することを特徴とする信号処理装置。
  21. 前記複数のスイッチユニットは、半導体基板上に積み重ねられることを特徴とする請求項20に記載の信号処理装置。
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