JP4597798B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りラジアルタイヤに関し、さらに詳しくはカーカスプライに用いられるスチールコードの耐疲労性を改善しタイヤの耐久性を向上した重荷重用途の大型タイヤに好適な空気入りラジアルタイヤに関するものである。
トラック・バス用など大型の空気入りラジアルタイヤのカーカスプライには、2層撚りや3層撚りなどの多層構造のスチールコードが広く使用され、中でも使用条件が過酷な重荷重用タイヤには図6に示す3+9+15×0.175+1構造のようなフィラメント径が細く、フィラメント構成数の多い3層構造スチールコード50が一般的に使用されている。
しかし、この3層構造スチールコードは、フィラメント同士及びラッピングワイヤWとシース層との摩擦によるフレッチング摩耗によってフィラメント断面積が減少して除々にコード強力の低下を進行させ、タイヤ走行中の衝撃やバットレス部に繰り返しかかる応力歪みによりコード損傷を生じるという問題がある。
また、その撚り構造からコード製造時に3回以上の撚線工程を要し、コード生産性が低くそのコストを上昇させる結果タイヤのコストに影響するものになっている。
そこで、このようなフレッチング摩耗による耐疲労性の低下とコストの問題を改善するものとして、1本のフィラメントからなるコアのまわりに2層のシースを配置し、このシース層を同一方向、同一ピッチで撚り合わせてフィラメント相互間のラインコンタクト化を図るコンパクト撚りの1+18構造のスチールコード(特許文献1)や、ゴムの浸透性を改善し、さらにラッピングワイヤを除去した1+6+(10〜11)構造のスチールコード(特許文献2)が開示され、フレッチング摩耗の低減と1回の撚線工程で効率よく低コストでコードを生産することが開示されている。
また、スチールコードをカーカスプライに使用したタイヤでは、タイヤ回転時の撓みを受けて繰り返し応力歪みがかかりやすいバットレス部において、材質疲労的な要因に基づくフィラメント破断に起因しコード損傷に至らしめタイヤ強度を低下させるという問題が見られる。特に、パンクなどによる低圧走行では極端に大きな歪みがバットレス部にかかることで、短時間の内にフィラメント破断からコード損傷に進行しタイヤの故障を引き起こすことが考えられる。
上記に開示の1+18構造等のスチールコードは、フレッチングの低減による耐疲労性の向上とコードコストの点で有利となるが、反面で構成フィラメントがコード内部に充填され配置されるためコード断面輪郭が非円形の多角形状になるという特徴を持ち、この多角形状コードに特有の特定位置のフィラメントに応力歪みがかかりやすく材質疲労を低下させるという問題が発生してくる。例えば、多角形状の頂点に位置するフィラメントが歪みを受けやすく、またコードの曲げ剛性に異方性を持つため耐疲労性を低下させているとの考えから、直径の小さいフィラメントを多角形状の頂点に配置してコード断面形状を円形に近づけ耐久性を向上させることが提案され(特許文献3)、さらに1+18構造スチールコードのフィラメントをニッケルとブラスメッキで被覆することで耐疲労性を高めることが提案されている(特許文献4)。
実公平3−29355号公報 特開平8−232179号公報 特開2004−9879号公報 特開2004−34782号公報
本発明は、上記の問題に鑑み、1+18構造のような断面輪郭が多角形状をなすスチールコードにおいて、フィラメントのラインコンタクト化による耐フレッチング性の向上とコード製造効率を維持しながら、その裏目と考えられる断面形状に基づく材質的要因による耐疲労性の低下を排除し、フレッチングと材質的要因による耐疲労性の向上を両立させることでスチールコードの耐疲労性を大幅に改良し、これをカーカスプライに使用した耐久性に優れる空気入りラジアルタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者は、1+18構造のスチールコードをカーカスプライに用いたラジアルタイヤをドラム試験機にて走行テストし、その故障部から取り出したコードの状態を詳細に観察したところ、断面多角形状のアウターシースの頂点間に位置するフィラメントの損傷が、頂点に位置するフィラメントよりも極めて多く発生していることを知り得た。このことから、断面多角形状をなすスチールコードでは、頂点間に位置するフィラメントが疲労のネックとなりやすく、まず頂点間に位置するフィラメントに先行的に損傷を生じ、これによりコード内の他のフィラメントへの負荷の増大から疲労破壊を促進させコード全体の損傷に至らせるという推定を立てた。
そこで、本発明者は上記の知見から、断面多角形状のスチールコードに曲げや引張、圧縮がかかった際に、個々のフィラメントにかかる応力や歪みに如何にして差が生じるかを検討したところ、例えば、図2に示す1+18構造スチールコード20(フィラメント径は全て同一径dとする)を参照し説明すると、多角形状の頂点に位置するフィラメントA,Aの中心Oa,Oa間の距離(X)と頂点間に位置するフィラメントB、Bの中心Ob,Ob間の距離(Y)とが異なることから、頂点に位置するフィラメントAは半径2dの軌跡で螺旋を描いて撚られるのに対して、頂点間のフィラメントBは半径2d・cos(360°/12)≒1.73dの軌跡で螺旋を描いて撚られることになり、すなわちフィラメントBの撚り角度が小さくなり、これによりコードが引張、圧縮を受けた時には応力歪みがこのフィラメントBに集中し、また曲げが働いた時はフィラメントBの曲げRが小さくなることから、この頂点間に位置するフィラメントBには頂点に位置するフィラメントAよりも常に過酷な負荷が作用することになる。この事実の元に本発明者は種々実験を試みた結果、この頂点間に特定のフィラメントを配置することで上記問題を解消できることを確認した。
すなわち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、左右一対のビードコアの周りにタイヤ周方向に所定間隔で配列されたスチールコードの端部を折り返して係止したカーカスプライと、前記カーカスプライのトレッド部の外周側で相互に交差して延在するスチールコードよりなる少なくとも2層のベルトプライとを備え、前記カーカスプライのスチールコードが、多数本のフィラメントを同一方向に、同一ピッチで撚り合わされたコード断面輪郭が多角形状をなす多層構造スチールコードからなる空気入りラジアルタイヤにおいて、前記多層構造スチールコードが、前記多角形状断面の頂点間に位置するシースフィラメントの抗張力が頂点に位置するシースフィラメントの抗張力よりも5%以上高く、かつ前記頂点間に位置するシースフィラメントの結節強力保持率が60%以上であるフィラメントで構成されていることを特徴とする。
本発明においては、前記多層構造スチールコードが、1本のコアフィラメントの周囲にn本のシースフィラメントを配した1+n構造スチールコードとすることができ、この場合前記コアフィラメントが前記シースフィラメントよりも太径であって、コアフィラメント径(dc)とシースフィラメント径(ds)との比dc/dsが1.03〜1.15であり、さらに前記シースフィラメントが、全て同一径のフィラメントからなることが好ましい。
また、前記頂点間に位置するシースフィラメントの抗張力が3200N/mm以上であることが好ましい。
そして、本発明の空気入りラジアルタイヤは、扁平率が80%以下であるタイヤに好適である。
本発明の空気入りラジアルタイヤは、上記構成とすることで、耐疲労性に優れるフィラメント、すなわち抗張力が他のフィラメントより5%以上高く、かつ結節強力保持率が60%以上のフィラメントを応力歪みの集中しやすい断面多角形状の頂点間の位置に配して用いることで、疲労破壊のネックとなっている頂点間に位置するフィラメントの応力歪みに対する抵抗性を向上し、他のフィラメントよりも先行的に発生する疲労現象を回避することでカーカスコードの耐久性を大幅に向上することができる。
すなわち、1+18構造の如き断面六角形状にシースフィラメントが配されたコードでは、コード軸方向に引張、圧縮がかかった時には撚り角度の小さい頂点間のフィラメントに応力歪みが集中し、曲げがかかった時にはこの頂点間のフィラメントに小さい曲げRが作用することから、タイヤの回転毎にこのフィラメントに作用する引張、圧縮、曲げによる過酷な負荷に対する耐疲労性を付与することで、このフィラメントに先行的に発生する疲労破壊を防ぐことができる。
ここで本発明は、フィラメントが抗張力の増加と共に疲労限が向上し耐疲労性が改善されることを利用したものであるが、フィラメントの結節強力保持率を60%以上に確保することで抗張力の増加に伴う鋼の脆化に基づく靭性の低下を抑制し、疲労限の向上と靭性確保とを両立させる最適値を得てスチールコードの耐疲労性の改善を実現したものである。
本発明においては、コードのシースフィラメントが全て同一径でなることが好ましく、複数の異径フィラメントの使用によるコード形状安定性の低下や異径フィラメントの製造コスト増、撚線工程での煩雑さを抑えてコスト上昇を抑えることができる。
また、本発明は、タイヤサイド〜バットレス部に応力歪みが大きくかかりやすい扁平率が80%以下にある大型重荷重用の空気入りラジアルタイヤに好適であり、繰り返し作用する応力歪みに対するカーカスコードの耐久性を向上し、タイヤライフを延ばすものとなる。
本発明の空気入りラジアルタイヤによれば、カーカスプライが引張、圧縮や曲げを受けた際に、コードの特定フィラメントにかかる応力歪みに対する抵抗性を向上してスチールコード内のそれぞれのフィラメントの耐疲労性をバランスさせることでスチールコードの耐疲労性を向上してカーカスプライの故障を防止するとともに、フレッチングによるカーカス強度を維持して更新性を向上し使用ライフを大幅に延ばすことが可能となる。
以下に、本発明に係る実施形態の空気入りラジアルタイヤを図面を参照し説明する。
図1は、本発明のトラック・バス用の空気入りラジアルタイヤの1例を示すタイヤTの半断面図であり、符号1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部、CLはタイヤセンターラインである。
タイヤTは、左右一対のビード部3間に、タイヤ幅方向に延在するスチールコード10をタイヤ周方向に所定間隔で配列した1枚のカーカスプライ4を有し、その両端部4aがビード部3に埋設されたビードコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤの内側から外側に折り返され係止されている。トレッド部1のカーカスプライ4の外周側には、3×0.20+6×0.35などのベルト用スチールコードからなる4枚のベルトプライ7が配設されている。
カーカスプライ4に用いられるのスチールコードは、多数本のフィラメントを同一方向に、同一ピッチで撚り合わされたコード断面輪郭が多角形状をなす多層構造スチールコードが用いられており、例えば図3のコード断面図に示す1×12構造スチールコード30、図4に示す1×27構造スチールコード40、図5に示す1+18構造のスチールコード10等のいわゆる1×m構造、1+n構造のスチールコードが挙げられる。これらのスチールコードを構成するフィラメントは、全て同一径のフィラメントを用いてもよく、異径のフィラメントを組み合わせて用いてもよい。
上記構造のスチールコードは、多数本のフィラメントを鏡板等で多層構成に配列し撚り口ダイで集束しバンチャー撚線機などの撚線機に導入され、1回の撚線工程で撚られるので製造効率が高くコードコストが有利であり、かつフィラメントのラインコンタクト化によってフィラメント同士の接触圧が低くなり耐フレッチング性を改善することができる。
図3〜5に示す各スチールコード30,40,10は、コア31,41,11のフィラメント径dcがシースフィラメント32,42,14,16A,16Bのフィラメントdsよりも太径にされている。このように、コアフィラメント径dcをシースフィラメント径dsよりやや太くすることにより、シースフィラメント間に僅かの隙間Sを設けることでフィラメント相互間の接触圧を下げて疲労性を向上するとともに、この隙間Sを通してコード内にゴムを侵入させることでコード内のフィラメントを拘束してコードの形状安定性を向上し、かつ耐腐食疲労性を向上することができ、さらにコアフィラメントの抜け出しを防止することができる。
この場合、コアフィラメントの径(dc)とシースフィラメントの径(ds)との比dc/dsは1.03〜1.15であり、さらに1.08〜1.15程度にあることが好ましい。このフィラメント径dc、dsの差を大きくしすぎると、コード全体の構成バランスが低下するとともに隙間Sが大きくなり、撚線工程での撚り不良やゴム被覆時のカレンダー工程でシースフィラメントを動きやすくし、フィラメントの偏りから耐フレッチング性や耐疲労性を低下させたり、カレンダー工程での溝付きロールからの脱線やコード乱れを起こしたり、さらにコアのdcを太くしすぎるとコアフィラメント自体の耐疲労性を低下させてしまう。また、dc/dsが1.03未満では上記隙間Sを形成することができない。
上記スチールコードを構成するコア及びシースのフィラメント径は、それぞれ0.15〜0.35mmの範囲であり、0.15mmより細いフィラメントは生産性が悪くタイヤ用スチールコードとしてコスト的に見合わず、0.35mmを越えるとコードが剛直になり、タイヤ特性や耐疲労性にも悪影響するとともに、コードの撚り線加工性を低下させる。特に、カーカス用コードとして用いられるものは、フィラメント径が0.15〜0.25mm、さらに0.175〜0.23mm程度にあるものが強度と耐疲労性や可撓性を確保する観点で好ましい。
また、上記のフィラメントは、炭素含有量が0.70〜0.95重量%程度にある高炭素鋼(例えば、JIS G3502に規定のピアノ線材)からなり、2500〜3500N/mm程度の抗張力を有し、さらに軽量化の観点から抗張力は2700N/mm以上が好ましく、さらに2900N/mm以上にある高抗張力フィラメントであることがより好ましい。しかし、抗張力が3500N/mmを越えると伸線加工性の悪化や鋼の脆化により耐疲労性が低下するので好ましくない。
さらに、フィラメント表面には、ゴムとの接着性を良好にするために銅比率が63〜67%のブラスめっきが、4〜6g/Kg程度の付着量で被覆されている。
次ぎに、本発明の空気入りラジアルタイヤに用いられるスチールコードを、図5に示す1+18構造スチールコード10に基づいてより具体的に説明する。
図5に示すスチールコード10は、コード10の中心構造であるコア11を構成する直径0.20mmの1本のコアフィラメント12と、コアフィラメント12の周りに配列されたインナーシース13を構成する6本のフィラメント14と、インナーシース13の周りに配列されたアウターシース15を構成する12本のフィラメント16A,16Bとで構成され、シースフィラメント14,16A,16Bは0.18mmの直径からなる、いわゆる0.20+18×0.18構造のスチールコードを構成している。
スチールコード10は、コアフィラメント12の周囲に配されたインナー及びアウターシース13,15のフィラメント14,16A,16Bとが同時に集束され、通常のバンチャー式撚線機やチューブラー式撚線機により1回の撚線工程で同一方向、同一のピッチで撚り合わされる。
アウターシースフィラメント16A,16Bは撚線機の鏡板で交互に配列されるように供給され、図に示すようにアウターシース15のシース内でフィラメント16Bがインナーシースフィラメント14,14間の谷間に落ち込み、フィラメント16B、16B間にフィラメント16Aが位置するようになってコード断面輪郭が六角形状をなしている。これにより、フィラメント16Aはアウターシース15の六角形状の頂点に常に位置し、フィラメント16Bは頂点間に常に位置するようになる。
このように、スチールコード10は、コアフィラメント12の径(dc)とシースフィラメント14,16A,16Bの径(ds)とに異径のものを用いたもので(dc/ds=1.11)、シースフィラメント間に隙間Sを設けて耐疲労性やゴム侵入による形状安定性、耐腐食疲労性を向上し、コア11の抜け出しを防止することは前述の通りであるが、シース内に異径のフィラメント、特により小径のものを混在させてると、撚線やその後のゴム被覆等の加工中にシースフィラメントが動いて偏りやすくなり、例えばカレンダー工程でフィラメントの動きによりコードが振動しカレンダーロールから脱線したり、コードの配列乱れを起こしやすくし、またコストも高くなるので、18本のシースフィラメントには同一径のフィラメントを用いることが好ましい。
ここで、6角形状の頂点間に位置するフィラメント16Bは、頂点に位置するフィラメント16Aよりも、その抗張力が5%以上高く、かつその結節強力保持率が60%以上であるフィラメントが用いられている。
本発明では、断面6角形状の頂点間に位置するシースフィラメント16Bに、頂点に位置するシースフィラメント16Aより耐疲労性に優れるフィラメントを適用することで、断面形状に基づく特定位置にあるフィラメントの耐疲労性の低下要因を、そこに用いるフィラメントの材質的要素で補うことでコード内の各フィラメントの疲労に対する抵抗性をバランスさせコード全体の耐疲労性の向上を実現したものである。
すなわち、抗張力が5%以上高く、かつ結節強力保持率が60%以上である耐疲労性と靭性に優れるフィラメント16Bを頂点間の位置に用いることで、応力歪みに対する抵抗性を向上させスチールコード10全体の耐疲労性を改善するものである。
このフィラメント16Bの抗張力を高めることは、非金属介在物などの不純物の少ない清浄な線材を高加工度で加工することで、抗張力の増加とともに疲労限が向上し耐疲労性が改善されることによる。これにより、応力歪みがかかりやすく疲労のネックになっている頂点間のフィラメントBの材質的疲労強度を向上することで、頂点のフィラメント16Aより先行して発生しやすい疲労破壊を防止することができる。
このフィラメント16Bの抗張力は、鋼材の炭素含有量や加工度を大きくするなどの公知の方法で高めることができ、鋼中のパーライト組織が強固になり組織内の欠陥同士が繋がり難くなり疲労限が向上するが、加工度を大きくしすぎると抗張力が増加しても鋼の脆化により靭性を低下させ疲労限の向上は得られなくなる。すなわち、さらなる高抗張力化は可能であるが、ある臨界点を超えると鋼の脆化により耐疲労性を低下させ、またフィラメント伸線中やコード撚線工程での断線や表面傷を多発するなどのコード製造にも不具合を生じてくる。
ここで、本発明者は、スチールフィラメントの抗張力の増加に伴う靭性の低下がフィラメントの結節強力保持率と相関することに着目し、フィラメントの結節強力保持率について鋭意検討した結果、フィラメントの高抗張力化と実用上で必要な靭性とを、フィラメントの結節強力保持率との関係からその限界値を把握したものである。
すなわち、スチールフィラメントの結節強力保持率60%が、高抗張力化に伴う靭性低下を抑えることができる境界であり、かつコード製造過程で断線等の問題を発生させない限界であることを見出し、結節強力保持率を60%以上に確保することで、抗張力の増加に伴う疲労限の向上と靭性の確保とを両立させることを得たものである。
従って、本発明に用いるフィラメント16Bは、スチールフィラメント16Aよりも抗張力が5%以上高く、かつ結節強力保持率が60%以上であることが必要条件になる。
ここで、結節強力保持率とは、フィラメントの引張試験におけるフィラメントの引張強力に対する結節強力の保持率(%)であり、例えばJIS L1017の方法に準じてフィラメントに結節を設けて測定される。
この結節強力保持率を60%以上にするためには、線材の炭素含有率の上限を0.95%程度として、鋼材中に含まれる酸化アルミニウムやシリカなどの非金属介在物の大きさや量を制限する、フィラメントの最終伸線での加工度の制限、その1ダイス当たりの加工度を4%程度に抑える、などで実施でき、加工度は98.5%以下、非金属介在物の大きさは10μm以下に抑えるのが好ましい。
ここで、頂点のフィラメント16Aの抗張力も同時に高めてコード10全体の耐疲労性を向上させることが考えられるが、各フィラメントにかかる応力歪みと耐疲労性のバランスが従来の同一強度のフィラメントを用いたものと同じものとなってやはり頂点間のフィラメントが先行して疲労を受けることになってしまい、結果としてコード全体の耐疲労性改善には本発明に係るスチールコードには及ばないことが発明者の実験結果より判明している。
従って、図3に示す1×12構造スチールコード30では32Bのフィラメントに、図4に示す1×27構造スチールコード40では42Bのフィラメントに適用される。また、本発明においては、図4の1×27構造のスチールコード40のように、インナーシース43が断面6角形状をなすコードでは、インナーシース43の頂点間に位置するフィラメント43Bに、頂点に位置するフィラメント43Aよりも抗張力が5%以上高く、かつ結節強力保持率が60%以上のものを配して使用することもでき、上記同様の理由でスチールコードの耐疲労性の向上が図られる。
そして、本発明の空気入りラジアルタイヤは、上記スチールコードを補強材としてカーカスプライに用いることで、フレッチング摩耗とシースフィラメントの耐疲労性を改善しカーカス耐久性に優れたロングライフ化が図られる空気入りラジアルタイヤとすることができ、特にトラックやバス、ライトトラック用などの重荷重車両に使用される扁平率が80%以下のタイヤに好適である。しかも、コード生産性を高めてコストダウンにも貢献することができる。
次に本発明を実施例によって具体的に説明する。
図5に示す1+18構造の各スチールコードを通常のバンチャー式撚線機を用い、表1に記載の仕様に従い製造し、下記の評価を行った。これらのスチールコードに用いた各フィラメントは、JIS G3502に規定のピアノ線材SWRS82A材の5.5mmロッドから、パテンティング、伸線加工を繰り返し所定径の中間線に乾式伸線し、この中間線の表面にブラスめっき(銅比率64%、めっき付着量4.5g/Kg)を施した後、通常の湿式伸線機を用いて最終伸線加工して得たもので、その特性を表1に示す。なお、各フィラメントの抗張力は、上記線材と最終湿式伸線における加工度を組み合わせて調製した。
各フィラメントの強力(切断荷重)は、JIS G3510の方法に準じて測定し、その抗張力を次式(1)により求めた。
抗張力(N/mm)=フィラメントの強力(N)/フィラメントの断面積(mm)……(1)
また、各フィラメントの結節強力保持率を、JIS L1017に準じてフィラメントに結節を設け、JIS G3510の方法に準じて結節強力を測定し、次式(2)により結節強力保持率(%)を求めた。
結節強力保持率(%)=(フィラメントの結節強力(N)/フィラメント強力(N))×100……(2)
[ベルト疲労性]
スチールコードを15本/2.5cmの打ち込み数でゴム中に埋設したベルトストリップ状の加硫サンプルを作製し、ファイアストーン型ベルト疲労試験機にて1インチプーリーを用いて屈曲疲労させ、コードが破断しサンプルが破壊されるまでの屈曲回数を測定した。比較例1を100とする指数で表1に示した。指数が大きいほど耐疲労性は良好である。
[工程通過性]
次ぎに、各スチールコードを用いたカレンダー工程において、15本/2.5cmの打ち込み数で配列した反幅1mのトッピング作業を行い、各スチールコードの工程通過性を次ぎのように評価した。
○:工程通過性に問題なし。
△:カレンダーロール通過時にコード密度に若干の乱れが発生した。
×:カレンダーロール通過時にコード密度の乱れが発生し、カレンダーの運転を一時停止し、運転条件を修正する必要があった。
[タイヤ耐久性]
上記カレンダー工程でゴム被覆した各トッピング反をカーカスプライに適用した、サイズ265/60R22.5のラジアルタイヤを試作し、耐久性を下記条件のドラム試験にて評価した。なお、カーカス以外の各部位には全て共通の部材を使用した。
ドラム試験条件:表面が平滑な鋼製の直径1700mmの回転ドラムを有するドラム試験機により、周辺温度38±3℃、タイヤ内圧900KPa、速度56Km/hで一定として、JATMA規定の最大荷重の66%で4時間、次ぎに最大荷重の84%で16時間、最大荷重の101%で24時間、さらに最大荷重の110%で24時間走行させた後、12時間毎に荷重を10%ずつ増しながら故障が発生するまで走行させた。故障発生までの走行距離を、比較例1を100とする指数で表1に示した。指数が大きいほど耐久性に優れる。
Figure 0004597798
表に示す通り、比較例1(従来品)に対して、実施例はベルト疲労性が向上し、タイヤの耐久性にも優れ、工程通過性が良好であり、タイヤ性能と工程性を両立することができる。一方、アウターシースフィラメントの抗張力の差が5%未満の比較例2では、頂点間のフィラメントの応力歪みに対する抵抗性向上の効果が出ず、耐久性は向上しない。また、抗張力は5%以上高いが結節強力保持率が60%未満のフィラメントを用いた比較例3は、フィラメントの靭性低下により耐疲労性が悪化してしまう。また、頂点間に細径フィラメントを用いた比較例4は耐久性は改善されるものの工程通過性に問題があり実用的でない。
以上説明したように、本発明による空気入りラジアルタイヤは、カーカスプライに使用されるスチールコードの耐疲労性を向上することで、耐久性能に優れたトラック・バス用やライトトラック用タイヤに使用することができ、特に扁平率が80%以下の重荷重用の空気入りラジアルタイヤに好適である。
実施形態の空気入りラジアルタイヤの半断面図である。 アウターシースフィラメントの配置を説明する1+18構造スチールコードの断面図である。 1×12構造スチールコードの断面図である。 1×27構造スチールコードの断面図である。 1+18構造スチールコードの断面図である。 従来の3+9+15+1構造スチールコードの断面図である。
符号の説明
10……1+18構造スチールコード
12……コアフィラメント
14……インナーシースフィラメント
16A,16B……アウターシースフィラメント
T……空気入りラジアルタイヤ

Claims (6)

  1. 左右一対のビードコアの周りにタイヤ周方向に所定間隔で配列されたスチールコードの端部を折り返して係止したカーカスプライと、前記カーカスプライのトレッド部の外周側で相互に交差して延在するスチールコードよりなる少なくとも2層のベルトプライとを備え、
    前記カーカスプライのスチールコードが、多数本のフィラメントを同一方向に、同一ピッチで撚り合わされたコード断面輪郭が多角形状をなす多層構造スチールコードからなる空気入りラジアルタイヤにおいて、
    前記多層構造スチールコードが、前記多角形状断面の頂点間に位置するシースフィラメントの抗張力が頂点に位置するシースフィラメントの抗張力よりも5%以上高く、かつ前記頂点間に位置するシースフィラメントの結節強力保持率が60%以上であるフィラメントで構成されている
    ことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記多層構造スチールコードが、1本のコアフィラメントの周囲にn本のシースフィラメントを配した1+n構造スチールコードである
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記コアフィラメントが前記シースフィラメントよりも太径であり、コアフィラメント径(dc)とシースフィラメント径(ds)との比dc/dsが1.03〜1.15である
    ことを特徴とする請求項2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記シースフィラメントが、全て同一径のフィラメントからなる
    ことを特徴とする請求項3に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記頂点間に位置するシースフィラメントの抗張力が3200N/mm以上である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 扁平率が80%以下である
    請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
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