JP4597469B2 - 多孔性粒子及びその製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧料等に有用な多孔性粒子及びその製法、並びにそれを含有する化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来から多孔性粒子が開発されている。特許第2550262号公報では有機酸金属塩と吸油性架橋重合体からなる吸油剤であって、多量の油を吸収して膨潤し、しかも吸収した油の保油性能に優れ、且つ吸油速度を著しく向上させた吸油剤を開示している。しかし、膨潤型であるため、吸油によって粒子形状が変化するため、皮膚上の感触が満足できるものではなかった。また、製造法も簡単ではなく、コストが高くなる等の問題点があった。また、固体粒子を粒子内に内包した例はなかった。
【0003】
本発明の課題は、膨潤せずに吸油性を有し、かつ固体粒子を内包する多孔性粒子、それを含有する化粧料、及びその安価な製造法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、粒径0.001〜10μmの固体粒子を含有する、結晶性熱可塑性樹脂からなる多孔性粒子、及びその多孔性粒子を含有する化粧料、並びに結晶性熱可塑性樹脂、粒径0.001〜10μmの固体粒子、及び前記樹脂の軟化温度(又は融点)より低い融点を有する低分子化合物を、前記樹脂の軟化温度(又は融点)以上の温度で混合した後、気相中に噴霧し、得られた粒子から前記低分子化合物を除去する、多孔性粒子の製法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
[多孔性粒子]
本発明の多孔性粒子は、固体粒子を含有する、結晶性熱可塑性樹脂からなり、本発明の多孔性粒子中の固体粒子の含有量は、結晶性熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜200質量部が好ましく、10〜150質量部が更に好ましく、30〜90質量部が特に好ましい。
【0006】
本発明の多孔性粒子の平均粒径は、感触上、ざらつき感やきしみ感がないことから、0.1〜100μmが好ましく、1μm〜50μmが更に好ましい。
【0007】
この平均粒径は、レーザー回折型粒径分布測定装置(LS−230、コールター社製)により、粒子のエタノール懸濁液を室温(20℃)において測定した重量平均粒子径である(相対屈折率1.2を用いた)。
【0008】
本発明の多孔性粒子の形状は、特に限定されないが、球状体が皮膚上の感触が良好であることから好ましい。
【0009】
本発明の多孔性粒子の細孔表面積は、後述する水銀圧入法において、求められた値で、10〜300m2/gが好ましく、10〜100m2/gが更に好ましく、20〜80m2/gが特に好ましい。
【0010】
本発明の多孔性粒子は吸油性を有する。また、本発明の多孔性粒子は、更に油剤を含有することが好ましく、油剤を含有する場合には、油剤の放出剤としても機能する。
【0011】
本発明の多孔性粒子中の油剤の含有量は、結晶性熱可塑性樹脂100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、100〜900質量部が更に好ましい。
【0012】
[結晶性熱可塑性樹脂]
本発明において、結晶性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の一部又は全部が結晶性樹脂であるという意味である。即ち、熱可塑性樹脂は、そのすべてが結晶性を有するものであっても、また熱可塑性樹脂の一部だけが結晶性を有するものであっても良い。本発明の結晶性熱可塑性樹脂は、その結晶性指標が0.5以上であるものが好ましく、0.7以上であるものが更に好ましい。
【0013】
結晶性指標は、高分子分析ハンドブック(235頁 1985年1月25日発行(株)朝倉書店編者:(社)日本分析化学会、高分子分析研究懇談会)により、以下の式で求められる値を用いた。
【0014】
結晶性指標=[(d−da)/(dc−da)]×(dc/d)
[式中、dは熱可塑性樹脂の実測密度、daは非晶部の密度、dcは結晶部の密度を示す。密度はJIS K6760によって計測される。]
結晶性熱可塑性樹脂の分子量は、後記する多孔性粒子の製法において、結晶性熱可塑性樹脂と低分子化合物を溶融した粘度を好ましくは600mPa・s以下にするため、1,000〜20,000が好ましく、1,000〜10,000が更に好ましい。結晶性熱可塑性樹脂の分子量は、粘度法又は蒸気浸透圧法により、求めることができる。
【0015】
結晶性熱可塑性樹脂の融点(又は軟化温度)は、多孔性粒子の製造し易さの観点から、80℃以上が好ましく、120℃以上が更に好ましい。上限は特に無いが、熱分解性の点から200℃以下が好ましい。結晶性熱可塑性樹脂の融点は、JIS K0064:1992により測定した値である。
【0016】
本発明に用いられる結晶性熱可塑樹脂としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル又はポリアセタールから選ばれる1種以上が好ましく挙げられる。
【0017】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテン、ポリブタジエン等のオレフィン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体等のオレフィン共重合体等を挙げることができ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテンが特に好ましい。また、フッ素原子を有してもよく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。
【0018】
ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−46等の脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリアミド等を挙げることができ、ナイロン−6が特に好ましい。
【0019】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族系ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート等を挙げることができ、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0020】
ポリアセタールとしては、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチルアルデヒド等を挙げることができ、ポリホルムアルデヒドが特に好ましい。
【0021】
上記のような結晶性熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これら結晶性熱可塑性樹脂のうちでは、ポリオレフィン、特にポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。また、ポリオレフィンは、直鎖状であることが好ましい。
【0022】
結晶性熱可塑性樹脂中、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂等の他の樹脂は、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。結晶性樹脂の含量が多い方が、開放孔を通して互いに連結している連通構造を形成し易く、好ましい。
【0023】
[固体粒子]
本発明に用いられる固体粒子の粒径は、噴霧ノズルを閉塞しない観点、及び金属酸化物に関しては、そのUV防御能、抗菌能、消臭能を有利に発揮する観点から、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.3μm以下である。下限は、0.001μm以上が好ましく、0.01μm以上が更に好ましい。
【0024】
固体粒子の固体とは、融点及び分解温度が、室温(25℃)以上であることをいい、固体粒子の融点(又は分解温度)は、製造工程において溶融又は分解せず、固体粒子として多孔性粒子中で形状を保ちやすくする観点から、固体粒子を含有する結晶性熱可塑性樹脂の融点(又は軟化温度)以上であることが好ましく、150℃以上が更に好ましく、300℃以上が特に好ましい。固体粒子の形状は、特に限定されない。固体粒子は、有機粒子、無機粒子何れであってもよい。
【0025】
有機粒子として、架橋メタクリル酸メチル等の架橋アクリル樹脂、架橋尿素樹脂、架橋メラミン樹脂、架橋フェノール樹脂、架橋スチレン樹脂等の架橋粒子が挙げられ、無機粒子として、水酸化アルミニウムや水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の金属水酸化物;酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等の金属酸化物;硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、炭酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、メタケイ酸アルミニウム等の金属無機塩、酢酸アルミニウム、酢酸カルシウム、アルミニウムグリシネート等の金属有機塩、シリカ、カオリナイト、タルク等の無機鉱物等が挙げられるが、無機粒子が好ましく、金属酸化物が更に好ましく、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物が特に好ましい。これらの固体粒子は、多孔性粒子の補強剤として働くと共に、金属酸化物は、UV防御能、抗菌能、消臭能等を有するため、化粧料として好ましい。
【0026】
尚、固体粒子の粒径は、有機粒子の場合は、前述のレーザー回折型粒径分布測定装置(LS−230、コールター社製)により、粒子のエタノール懸濁液を室温(20℃)において測定する重量平均粒子径であり(相対屈折率1.2)、無機粒子の場合は、水分散液を室温(20℃)で粒径分布測定装置(マイクロトラック粒度分析計UPA250、日機装(株)製)により測定する重量平均粒子径である。
【0027】
[多孔性粒子の製法]
本発明の多孔性粒子は、結晶性熱可塑性樹脂、粒径0.001〜10μmの固体粒子、及び前記樹脂の軟化温度(又は融点)より低い融点を有する低分子化合物を、前記樹脂の軟化温度(又は融点)以上の温度で、好ましくは、熱安定性の点から200℃以下の温度で混合した後、気相中に噴霧し、得られた粒子から前記低分子化合物を、除去することにより得られる。
【0028】
具体的には、まず結晶性熱可塑性樹脂、及び前記樹脂の軟化温度(又は融点)より低い融点を有する低分子化合物を、前記樹脂の軟化温度(又は融点)以上の温度で混合する。続いて固体粒子を混合し、乳鉢や3本ロールミル等の分散機を用いて均一に混合する。この時の低分子化合物の混合割合は、充分な多孔性を有する多孔性粒子を得る観点から、結晶性熱可塑性樹脂100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、50〜900質量部が更に好ましく、100〜900質量部が特に好ましい。また固体粒子の混合割合は、結晶性熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜200質量部が好ましく、10〜150質量部が更に好ましく、30〜90質量部が特に好ましい。また、その他、有機染料等の色材、界面活性剤、シリコーン化合物、酸化防止剤等を混合してもよい。
【0029】
本発明に用いられる低分子化合物とは、分子量が好ましくは50〜1,000の化合物であり、より好ましくは100〜500である。これは、低分子化合物が、結晶性熱可塑性樹脂の軟化温度(又は融点)より低い融点を有するためであり、結晶性熱可塑性樹脂の軟化温度(又は融点)と、低分子化合物の融点との差は、製造し易さから、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、特に好ましくは30℃以上であり、100℃以下が好ましい。低分子化合物は、結晶性熱可塑性樹脂と相溶性が良いために、疎水性であることが好ましい。疎水性とは、有機概念図−基礎と応用−(甲田善生著、三共出版株式会社、昭和59年5月10日発行)において、無機性(I)と有機性(O)の比率[I/O]が、1.00以下であることが好ましく、更に好ましくは0.50以下である。
【0030】
本発明に用いられる低分子化合物の例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール、イソステアリルアルコール、コレステロール等の分岐鎖又は直鎖状の高級アルコール;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸等の分岐鎖又は直鎖状の高級脂肪酸;ジステアリルエーテル等の分岐鎖又は直鎖状のアルキルエーテル;パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素化合物;スクワラン、スクワレン、ミンク油、ホホバ油、カルナバロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、ラノリン等の天然化合物;ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチン、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリミリスチン酸グリセリン、イソステアリン酸コレステリル等のエステル化合物;オクチルメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等のシリコーン及びその誘導体等が挙げられる。
【0031】
次に、この混合物を、回転ディスクアトマイザー、1流体、又は2流体以上の複数流体ノズルを使用して、好ましくは5〜50℃の気相中に噴霧し、冷却固化した粒子を回収する。好ましくは、2流体以上の複数流体ノズルを使用し、圧縮ガスと共に、気相中に噴霧する。流体として使用する圧縮ガスは、好ましくは9.8×104Pa以上、更に好ましくは9.8×104〜29.4×104Paの圧縮空気や圧縮窒素を用いることができる。この気体は、噴霧温度に加熱したものを使用することが、ノズル部での冷却によるつまりを防止し、連続的に粒子を製造できるため、好ましい。
【0032】
噴霧温度は、良好な噴霧性を得る観点から、結晶性熱可塑性樹脂と低分子化合物を溶融した粘度が、好ましくは600mPa・s以下、更に好ましくは300mPa・s以下、特に好ましくは100mPa・s以下になる温度であればよい。下限は特に無いが、5mPa・s以上が好ましい。
【0033】
次に、得られた粒子から前記低分子化合物を除去する。低分子化合物の除去は、結晶性熱可塑性樹脂の軟化温度(又は融点)より低い温度で、好ましくは、除去効率の点から、20℃以上の温度で、更に好ましくは、低分子化合物の融点以上の温度で、溶剤により除去することが好ましい。減圧にすることで除去してもよい。
【0034】
得られた粒子1質量部に対して、溶剤を好ましくは1〜100質量部添加し、結晶性熱可塑性樹脂の軟化温度(又は融点)より低い温度で混合し、低分子化合物を溶出させる。このような洗浄を繰り返して、多孔性粒子を得ることができる。
【0035】
溶剤としては、前記低分子化合物を溶解し、結晶性熱可塑性樹脂を溶解しないものであれば特に制限はない。例えば、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;低級ケトン化合物;ヘキサン、ヘプタン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、イソオクタン、水添トリイソブチレン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等の炭化水素系溶剤;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン系溶剤が例示される。
【0036】
本発明の多孔性粒子は、油剤を含有することが好ましい。油剤は、多孔性粒子からの放出物質として充分に機能するために、融点が25℃以下の室温(25℃)で液状である物質が好ましい。油剤の融点は、JIS K0064:1992により測定した値である。
【0037】
油剤は、皮膚上のエモリエントもしくは構造的保水作用を持つ保湿剤、皮膚及び毛髪上の保護膜として働く保護剤、抗酸化剤、キューティクルの強化及び補修作用を持つ剤、冷感剤、制汗剤、血行促進剤等が好ましく挙げられる。
【0038】
このような化合物として、前記低分子化合物で挙げたものも含まれるが、低分子量であることには限定されない。その中でも特にスクワラン、スクワレン等の天然化合物;環状シリコーン等のシリコーン及びその誘導体が挙げられる。それ以外にもビタミンA,ビタミンE、パンテノール、パントテニルエチルエーテル等のビタミン;セラミド及びその類似構造物質(例えば、特開平5−213731号公報に、一般式(1)及び(2)として記載されている物質)等が、好ましく挙げられる。油剤はこれらの混合物であってもよい。
【0039】
油剤は、多孔性粒子の製造過程において、前記低分子化合物を、結晶性熱可塑性樹脂から除去せずに、そのまま油剤として用いることができる。更に、多孔性粒子を製造後、油剤を多孔性粒子に吸油させて含有させることもできる。
【0040】
[化粧料]
本発明の化粧料中、本発明に係わる多孔性粒子の含有量は、その化粧料の目的に応じて適宜選択することができ、特に限定されるものではないが、0.1〜50質量%、特に1〜30質量%が好ましい。
【0041】
本発明の化粧料の形態は特に限定されず、油中水型又は水中油型の乳化化粧料、油性化粧料、スプレー化粧料、スティック状化粧料、水性化粧料、シート状化粧料、ゲル状化粧料等のいずれでもよい。また本発明の化粧料の種類も特に限定されず、例えばパック、ファンデーション、口紅、ローション、コールドクリーム、ハンドクリーム、皮膚洗浄剤、柔軟化化粧料、栄養化粧料、収斂化粧料、美白化粧料、シワ改善化粧料、老化防止化粧料、洗浄用化粧料、制汗剤、デオドラント剤等の皮膚化粧料;シャンプー、リンス、トリートメント、整髪剤、養毛剤等の毛髪化粧料が挙げられる。
【0042】
本発明の化粧料は、アルコールを含有することが好ましい。アルコールとしては、エタノール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール等の炭素数1〜6の一価又は多価アルコールが挙げられ、中でも一価アルコール、特にエタノールが好ましい。アルコールの配合量は、本発明の化粧料中5〜30質量%が好ましく、また本発明に係わる多孔性粒子の1〜50質量倍とすることが特に好ましい。
【0043】
本発明の化粧料には、更に化粧料成分として一般に使用されているその他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で、上記化粧料の形態、種類等に応じて適宜配合することができる。
【0044】
かかる化粧料成分としては、例えばマイカ、タルク、セリサイト、カオリン、ナイロンパウダー、ポリメチルシルセスキオキサン、硫酸バリウム等の体質顔料;酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄等の固形顔料;これら粉体をシリコーン処理、金属石鹸処理、N−アシルグルタミン酸処理等の表面疎水化処理した粉体;固体状又は液状のパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、セレシン、オゾケライト、モンタンろう等の炭化水素類;オリーブ、地ろう、カルナウバろう、ラノリン、鯨ろう等の植物性油脂、動物性油脂又はろう;ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンジステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、イソプロピルミリスチン酸エステル、イソプロピルステアリン酸エステル、ブチルステアリン酸エステル等の脂肪酸又はそのエステル類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、パルミチルアルコール、ヘキシルドデシルアルコール等の高級アルコール類;カチオン化セルロース、カルボキシベタイン型ポリマー、カチオン化シリコーン等の吸着又は増粘剤;グリコール、ソルビトール等の保湿作用を有する多価アルコール類;ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル・アルキル変性シリコーン、グリセリルエーテル変性シリコーン等のシリコーン油用の乳化剤;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、トラガント、寒天、ゼラチン等の増粘剤;アルミニウムヒドロキシクロリド、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性臭化アルミニウム、アルミニウムフェノールスルホン酸、塩基性ヨウ化アルミニウム等の制汗剤;3,4,4−トリクロロカルバアニリド(TCC)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、レゾルシン、フェノール、ソルビン酸、サリチル酸、ヘキサクロロフェン等の殺菌剤;ジャ香、スカトール、レモンオイル、ラベンダーオイル、アブソリュート、ジャスミン、バニリン、ベンゾイン、ベンジルアセテート、メントール等のマスキング剤、その他、乳化安定剤、キレート剤、紫外線防御剤、pH調整剤、防腐剤、色素類、美白剤、鎮痛消炎剤、鎮痒剤、殺菌消毒剤、収斂剤、皮膚軟化剤、ホルモン剤等の薬効成分;水;界面活性剤;W/O又はO/W型乳化剤、香料等が挙げられる。
【0045】
【実施例】
以下の例において、噴霧温度での粘度は、B型粘度計、60rpm、1分間で測定した値である(ローターは、測定目盛りが5〜95の範囲を示すものを用いる)。融点は、JIS K0064:1992により測定した値である。細孔表面積の測定には、島津製作所製 水銀ポロシメーターPORE SIZER 9320を使用した。全細孔表面積を算出する際には、水銀の表面張力σ=484dyne/cm,接触角θ=130°を用いる。
【0046】
実施例1
結晶性熱可塑性樹脂としてポリエチレンワックス(三井ハイワックスHW−200P、三井ケミカル(株)製、分子量2,000、融点122℃、結晶性指標0.82(実測密度=0.97、dc=1.000、da=0.855(g/cm3)))、酸化亜鉛(FAINEX75(粒径0.03μm)、堺化学(株)製)、低分子化合物としてステアリルアルコール(融点60℃、I/O=0.28)を質量混合比率70:30:100で混合し、乳鉢で十分に解砕し、400メッシュの金網で濾過したものを180℃で加熱溶解する。次に、2流体ノズル(ガラス製噴霧器M型、SANSYO製)にて180℃の窒素気流とともに25℃気相中に噴霧冷却し、固体粒子として回収した。噴霧時の粘度は50mPa・sであった。 次に100mlの60℃エタノール中に5gの回収した粒子を混合し、2分間撹拌することでステアリルアルコールを抽出し、PTFE0.8μmのメンブランフィルターで減圧濾過し、酸化亜鉛内包多孔性粒子(重量平均粒子径30μm、細孔表面積45m2/g)を得た。800℃、2時間加熱による強熱残分の測定により酸化亜鉛含有量を求めたところ、20質量%であった。
【0047】
実施例2
実施例1において、ポリエチレンワックスと酸化亜鉛とステアリルアルコールの質量混合比率を70:30:233とした以外は同操作にて処理を行い酸化亜鉛内包多孔性粒子(重量平均粒子径20μm、細孔表面積55m2/g)を得た。 噴霧時の粘度は30mPa・sであった。800℃、2時間加熱による強熱残分の測定により酸化亜鉛含有量を求めたところ、15質量%であった。
【0048】
実施例3
実施例2において、低分子化合物としてステアリルアルコールの代わりに流動パラフィン(シグマアルドリッチジャパン(株)製、I/O=0)を使用し、エタノールに替えてノルマルヘキサンを用いた以外は、同操作にて処理を行い酸化亜鉛内包多孔性粒子(重量平均粒子径30μm、細孔表面積54m2/g)を得た。 噴霧時の粘度は30mPa・sであった。800℃、2時間加熱による強熱残分の測定により酸化亜鉛含有量を求めたところ、15質量%であった。
【0049】
実施例4
実施例3において、流動パラフィンの除去処理を省略し、流動パラフィン担持酸化亜鉛内包多孔性粒子(重量平均粒子径30μm、細孔表面積54m2/g)を得た。800℃、2時間加熱による強熱残分の測定により酸化亜鉛含有量を求めたところ、9質量%であった。
【0050】
比較例1
実施例1において、酸化亜鉛を配合せず、ポリエチレンワックスとステアリルアルコールを質量混合比率50:50で配合した以外は同操作にて処理を行い、多孔性粒子(重量平均粒子径30μm、細孔表面積48m2/g)を得た。800℃、2時間加熱による強熱残分は0質量%であった。
【0051】
比較例2
実施例1において、ポリエチレンワックスの代わりに分子量500のポリエチレン(東洋ペトロライト(製)、融点75℃、結晶性指標0.82)を使用し、ステアリルアルコールの代わりにベヘン酸(分子量340.56、融点80℃、I/O=0.38)を使用した以外は、同操作にて処理を行い固体粒子(重量平均粒子径15μm)を得た。噴霧時の粘度は20mPa・sであった。800℃、2時間加熱による強熱残分の測定により酸化亜鉛含有量を求めたところ、10質量%であった。
【0052】
試験例1
上記実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた酸化亜鉛内包多孔性粒子を酸化亜鉛質量換算で0.1g計り採り、酪酸とスクワレンを質量比率0.2:99.8で混合した液体0.5gを混合し、330ml/minのN2気流と接触させ回収した気体中の酪酸濃度をガス検知管で測定し、これを本粒子の酸捕捉能とした。ブランクは10ppmであった。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
Figure 0004597469
【0054】
試験例2
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた粒子について、展延性を下記方法で評価し、また化粧料としての感触を専門パネラー(1名)により評価した。結果を表2に示す。
【0055】
<展延性の評価法>
専門パネラー(1名)の指間に、複数の粒子をはさみ、指を擦りあわせることにより、粒子の指間の拡散状態を下記の基準により判定した。
○:均一に広がる。
△:不均一に広がる。
×:粒子が潰れて、広がらない。
【0056】
【表2】
Figure 0004597469
【0057】
表2から明らかなように、本発明の多孔性粒子は、展延性及び感触に優れるものである。
【0058】
処方例1(消臭パウダー)
下記成分a)〜c)をヘンシェルミキサーで混合し、この混合物に対して成分d)〜f)を添加した後、解砕器で粉砕し、消臭パウダーを得た。
a)実施例1の多孔性粒子 45.0質量%
b)N−ラウロイルリジン 10.0質量%
c)タルク 30.0質量%
d)ジメチコーン20cs 2.0質量%
e)ジメチコーン6cs 8.0質量%
f)エタノール 5.0質量%
*ジメチコーン20cs:信越シリコーン(株)製 KF96−20cs
*ジメチコーン6cs:信越シリコーン(株)製 KF96−6cs。
【0059】
【発明の効果】
本発明の多孔性粒子は、安価で製造でき、金属酸化物を含有した場合、消臭能を有しており、更に皮膚上にサラサラ感触を与えることができる。また、液状油剤を含有した多孔性粒子は、油剤の担持徐放剤として、皮膚上にしっとり感を与えることができる。酸化亜鉛は、一般に用いられているカーボポール(登録商標、BF-Goodrich社製)等の酸性増粘剤に対して不安定であるが、粒子の中に存在することで、他の化粧料成分と混合しても、安定に存在することができる。

Claims (5)

  1. 粒径0.001〜10μmの酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物粒子を含有する、結晶性熱可塑性樹脂からなり、結晶性熱可塑性樹脂が、粘度法又は蒸気浸透圧法により求めた分子量1,000〜20,000のポリオレフィンであり、細孔表面積が10〜300m2/gであり且つ平均粒径が0.1〜100μmである多孔性粒子。
  2. 結晶性熱可塑性樹脂の結晶性指標が、0.5以上である請求項1記載の多孔性粒子。
  3. 油剤を含有する、請求項1又は2記載の多孔性粒子。
  4. 請求項1〜いずれかの項記載の多孔性粒子を含有する化粧料。
  5. 粘度法又は蒸気浸透圧法により求めた分子量1,000〜20,000のポリオレフィンからなる結晶性熱可塑性樹脂、粒径0.001〜10μmの酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物粒子、及び前記樹脂の軟化温度(又は融点)より低い融点を有する低分子化合物を、前記樹脂の軟化温度(又は融点)以上の温度で混合した後、気相中に噴霧し、得られた粒子から前記低分子化合物を除去する、細孔表面積が10〜300m2/gであり且つ平均粒径が0.1〜100μmである多孔性粒子の製法。
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