JP4596966B2 - 電子楽器 - Google Patents

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Description

本発明は、電子楽器に関し、特にパーソナルコンピュータに接続されて楽音データを供給する電子楽器に関する。
従来、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)規格に適合する演奏情報などをパーソナルコンピュータ(以下、PCと称する)と送信または受信し、相互に制御することができる電子楽器が知られている。特許第3460230号公報(特許文献1)には、電子楽器とPCとをMIDI規格に適合する通信方式で接続し、相互に制御を行うことができる電子楽器システムが開示されている。
特許第3460230号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている電子楽器は、電子楽器を制御する命令(MIDI)に、対応するように構成されているため、PCで制御を行うためには、PCに電子楽器を制御することができる機能を有するソフトウエアを搭載し実行する必要があった。一方、PCには、CD(コンパクトディスク)やDVD(デジタル バーサタイル ディスク)などのメディアを再生する再生装置を制御して楽音や映像を再生するソフトウエアがある。これらのソフトウエアを利用すると、PCでメディアを再生することができるばかりでなく、曲順を並べ替えたり、自分の好みの曲だけを収録した新たなメディアを作成することや、異なるメディアへ録音(例えば、CDからMiniDisk(登録商標)へ)したり、異なるフォーマット(例えば、CDのフォーマットからMP3のフォーマットへ)に変換して記憶することができる。
したがって、CDを再生しようとする場合には、CDを再生するソフトウエアを起動し、電子楽器を制御する場合には、電子楽器を制御するソフトウエアを起動しなければならず、PCの操作が煩わしいという問題点があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、外部器機に電子楽器に特有な制御データを発生する設定が不要で使い勝手がよい電子楽器を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、請求項1記載の電子楽器は、時間情報に対応付けられて記憶手段に記憶された演奏データに応じて楽音データを発生する楽音発生手段と、時間の経過に応じて前記記憶手段に記憶された演奏データを読み出して前記楽音発生手段に供給する自動演奏手段とを備えたものであって、外部器機と通信を行う通信手段と、デジタルサンプリングされた楽音データが記憶されたメディアを再生可能なデバイスであることを示す情報を前記通信手段を介して送信する情報送信手段と、前記通信手段を介して、前記メディアに記憶された楽音データを再生するように要求する制御データを入力する入力手段と、その入力手段に入力された制御データに応じて前記自動演奏手段により前記記憶手段に記憶された演奏データに従って前記楽音発生手段を制御して楽音データを発生させる制御手段と、前記楽音発生手段により発生された楽音データを前記通信手段を介して送信する送信手段とを備えている。
請求項2記載の電子楽器は、請求項1記載の電子楽器において、前記自動演奏手段は、演奏データに基づいて画像データを形成するものであり、前記送信手段は、前記自動演奏手段により形成された画像データと前記楽音発生手段により発生された楽音データとを前記通信手段を介して出力するものである。
請求項3記載の電子楽器は、請求項2記載の電子楽器において、前記自動演奏手段は、前記記憶手段に記憶された演奏データに基づいて楽譜を示す画像データを形成するものである。
請求項4記載の電子楽器は、請求項2または3記載の電子楽器において、前記記憶手段は、歌詞を記憶するものであり、前記自動演奏手段は、前記記憶手段に記憶された歌詞を示す画像データを形成するものである。
請求項1記載の電子楽器によれば、外部器機と通信を行う通信手段と、その通信手段を介して所定のサンプリング周波数でサンプリングされた楽音データを記憶するメディアからその楽音データを再生するように要求する制御データを入力する入力手段と、その入力手段に入力された制御データに応じて前記自動演奏手段により前記記憶手段に記憶された演奏データに従って楽音発生手段を制御して楽音データを発生させる制御手段と、楽音発生手段により発生された楽音データを前記通信手段を介して送信する送信手段とを備えている。
よって、外部器機が、メディアに所定のサンプリング周波数で記録されている楽音データを要求する制御データを送信するものであっても、制御を行うことができる。したがって、外部器機に、電子楽器に特有の制御データを発生する設定が不要となり、使い勝手が良いという効果がある。
請求項2記載の電子楽器によれば、請求項1記載の電子楽器の奏する効果に加え、自動演奏手段は、演奏データに基づいて画像データを形成するものであり、送信手段は、自動演奏手段により形成された画像データと前記楽音発生手段により発生された楽音データとを通信手段を介して出力するように制御するものであるので、電子楽器から画像データを供給することができるという効果がある。
請求項3記載の電子楽器によれば、請求項2記載の電子楽器の奏する効果に加え、自動演奏手段は、記憶手段に記憶された演奏データに基づいて楽譜を示す画像データを形成するものであるので、外部器機に楽譜を表示することができるという効果がある。
請求項4記載の電子楽器によれば、請求項2または3記載の電子楽器の奏する効果に加え、記憶手段は、歌詞を記憶するものであり、自動演奏手段は、記憶手段に記憶された歌詞を示す画像データを形成するものであるので、外部器機に、歌詞を表示することができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である電子楽器1とその電子楽器1と通信を行う通信経路により接続されたパーソナルコンピュータ(PC)11との電気的構成を示したブロック図である。
電子楽器1は、CPU2と、ROM3と、RAM4と、操作子5と、表示器6と、フレキシブルディスク装置7と、USBインターフェース8と、音源9とを備え、これらは、バスラインにより相互に接続し構成される。音源9の出力は、USBインターフェース8およびD/A変換器10に接続されている。
CPU2は演算装置であり、ROM3には、このCPU2により実行される自動演奏プログラム3aなどの各種の制御プログラムやその実行の際に参照される固定値データが記憶される。RAM4は、ROM3等に記憶される制御プログラムの実行に当たって各種のデータやプログラム等を一時的に記憶するためのメモリであり、書き換え可能に構成される。
操作子5は、各種ボリュームやスイッチなどを有し、ユーザにより操作されることにより自動演奏の開始や停止などが指示される。表示器6は、LCD(液晶)などにより構成され、自動演奏を行うに際し、選択されている曲名や、設定されているテンポの値などが表示される。
フレキシブルディスク装置7は、フレキシブルディスクを着脱自在に装着し、フレキシブルディスクに記憶された自動演奏データなどを読み出したり、フレキスブルディスクに新たな自動演奏データを書込むことが可能である。この実施形態では、フレキシブルディスクに記憶されている自動演奏データの形式は、SMF(Standard MIDI File)と呼ばれるものである。SMFは、MIDIによる演奏データを記録する標準ファイルフォーマットで、異なるシーケンサーやシーケンスソフトで演奏することができ、その先頭部分には収容されている各曲の曲名などの情報が記憶されている。
USBインターフェース8は、USB(Universal Serial Bus)として知られているパーソナルコンピュータと各種機器との間で通信を行う規格に適合するインターフェースである。音源9は、CPU2から送られてくる発音の開始や停止を指示するMIDIメッセージに応じて、所定の音高、振幅、音色の楽音データを形成する。この楽音データは、サンプリング周波数が44.1kHzで、量子化ビット数が16のPCM信号である。
音源9により形成された楽音データは、USBインターフェース8およびD/A変換器10に出力される。USBインターフェース8に入力された楽音データは、CD再生装置がUSBインターフェースを介してPCに楽音データを送信するフォーマットと同じフォーマットでPC11に送信される。D/A変換器10に入力された楽音データは、アナログ信号に変換されて図示しないアンプにより増幅されてスピーカなどから放音される。
一方、PC11は、パーソナルコンピュータであってCPU12と、ROM13と、RAM14と、操作子15と、表示器16と、ハードディスク17と、USBインターフェース18と、LANインターフェース19と、D/A変換器20とを備え、これらはバスラインにより相互に接続して構成される。
CPU12は、演算装置でありROM13には、このCPU12により実行される各種の制御プログラムやその実行の際に参照される固定値データが記憶される。RAM14は、ハードディスク17などに記憶されるアプリケーションプログラムが実行される際に、そのアプリケーションプログラムが転送され、CPU12により実行されるメモリであり、書き換え可能に構成される。
操作子15は、数値や文字の入力操作を行うためのキーボードと、ポインティングデバイスであるマウスとを備え、表示器16は、CRTやLCD等により構成されるものである。
ハードディスク17は、CDやDVDなどのメディアを再生する再生装置を制御するアプリケーションプログラムを記憶したり、USBインターフェース18を介して入力した楽音データなどを記憶するものである。
USBインターフェース18は、電子楽器1のUSBインターフェース8と同様に、各種機器と接続されて通信を行うUSB規格に適合するインターフェースである。LANインターフェース19は、LAN(Local Area Network)用のインターフェースであり、モデム等を介してインターネットに接続される。PC11により実行されるアプリケーションプログラムにおいて、再生を行うCDのTOC(Table of Contents)に基づいて、インターネットを介してCDに関するデータベースにアクセスし、曲名などの情報を取得することができる。
TOCは、CDに記録されている複数の曲それぞれのトラック番号と、そのトラックの演奏を開始する時刻である演奏開始時刻とにより構成されている。CDのデータベースには、市販されている各CDについて、そのCDが記憶している複数の曲のトラック番号とそのトラックの演奏開始時刻とが記憶され、TOCを入力すると、そのTOCに基づいてCDを検索し、特定することができる。CDのデータベースには、各CDについて、トラック毎の曲名や、歌手や、作曲者、作詞者などの情報が記憶されており、これらの情報をPC11は、取得することができる。
D/A変換器20は、デジタル信号をアナログ信号に変換するもので、USBインターフェース18を介して受信したオーディオ信号や、ハードディスク17に記憶されているオーディオデータを読み出して、アナログ信号に変換し図示しないアンプにより増幅されてスピーカにより放音される。
次に、図2を参照して、PC11の表示器16に表示される表示画面について説明する。この表示画面は、UCBインターフェース18を介して外部に接続される再生装置を制御するアプリケーションプログラムを実行することにより表示される画面である。図2(a)は、CDに記憶されている複数の曲の曲名が、トラック番号に対応して表示されている様子を示したものである。
この実施形態では、電子楽器1のフレキシブルディスク装置7に、SMFの演奏データが記憶されたフレキシブルディスクが装着され、PC11は、トラック毎の曲名を要求するコマンドを出力し、電子楽器1は、フレキシブルディスクに記憶されているトラック毎の曲名を出力するものとする。
図2(a)において、曲名が表示されているエリアの下部に、操作を行うための複数のアイコンが表示され、これらのアイコン上にカーソルをマウスを操作することにより合わせ、マウスをクリックすることにより各種指示を行うことができる。
演奏開始アイコン31は、演奏開始の指示を行うアイコンであり、現在の停止位置から演奏を開始させることができる。演奏停止アイコン32は、演奏停止の指示を行うアイコンであり、演奏中にこのアイコンをクリックすると、その時点で演奏が停止される。
先頭位置指示アイコン33は、演奏位置を現在のトラックのスタート位置に移動するように指示するアイコンであり、次トラック指示アイコン34は、演奏位置を現在のトラックの次のトラックの先頭へ移動するように指示するアイコンである。これら演奏開始アイコン31、演奏停止アイコン32、先頭位置指示アイコン33、次トラック指示アイコン34が操作された場合は、操作に対応する指示がUSBインターフェース18から出力される。
ミュートアイコン35は、クリックすると発生している楽音の音量が0に設定され(演奏は継続される)、その状態で再びクリックすると、ボリュームアイコン36により設定されている音量で楽音が発生される。ボリュームアイコン36は、表示されている操作ノブをドラッグすることにより再生される楽音の音量を調整することができるアイコンである。これらミュートアイコン35およびボリュームアイコン36が操作された場合は、PC11内において、出力する楽音の音量が変更され、PC11から外部に指示は送信されない。
図2(b)は、演奏が開始された場合に、表示エリアに表示される楽譜を示すものである。演奏が開始されると電子楽器1は、例えば2小節毎に楽譜を描画する描画コマンド(画像データ)を作成して、PC11へ送信し、PC11は、その描画コマンドに基づいて表示を行う。
なお、PC11は、記録可能なCDやDVDディスクにデータを書き込むことができるドライブを接続し、アプリケーションプログラムにより、所定のフォーマットで、ハードディスク17に記憶した楽音データや画像データを任意に書込むこともできる。
次に、図3を参照して、電子楽器1に備えられる操作子5と表示器6について説明する。図3は、電子楽器1の操作パネルの一部を示す操作パネル図である。
操作子5としては、自動演奏の曲(ソング)を選択するためのソング選択ボタン5aと、自動演奏のテンポ値を設定するテンポ設定ボタン5bと、選択された曲の自動演奏の開始または停止を指示するスタート/ストップボタン5cとが備えられている。
ソング選択ボタン5aは、上方に尖った正三角形の第1のボタンと下方に尖った正三角形の第2のボタンとにより構成され、第1のボタンを操作する毎に、フレキシブルディスク装置7に装着されているフレキシブルディスクに順に記憶されている曲を昇順に順次に選択することができ、第2のボタンを操作することにより曲を降順に順次選択することができる。
テンポ設定ボタン5bは、ソング選択ボタン5aと同様に、上方に尖った正三角形の第1のボタンと下方に尖った正三角形の第2のボタンとにより構成され、第1のボタンを操作する毎に、テンポ値を増加することができ、第2のボタンを操作する毎に、テンポ値を減少することができる。
スタート/ストップボタン5cは、長方形のボタンであり、自動演奏が停止されているときに操作された場合には、自動演奏が開始され、自動演奏が行われているときに操作された場合は、自動演奏が停止される。
これらのソング選択ボタン5aと、テンポ設定ボタン5bと、スタート/ストップボタン5cとは、PC11から演奏の開始が指示された場合には無視され、PC11の指示が優先される。
表示器6は、液晶ディスプレイ(LCD)により構成され、ソング選択ボタン5aまたは、PC11により選択された曲名(図3では、「夜空」と表示)と、テンポ設定ボタン5bにより設定されたテンポの値(図3では、「120」と表示)が表示される。
図4は、PC11のCPU12により実行される処理を示すフローチャートであり、CD等のメディアを再生する機器を制御するアプリケーションプログラムが起動されてから終了されるまで継続して実行されるものである。まず、USBインターフェース18に接続されている機器に対し、デバイスの種類およびデバイスが再生するメディアの種類を問い合わせるコマンドを送信する(S2)。次に、USBインターフェース18に接続された機器より、デバイスの種類およびデバイスが再生するメディアの種類を示す情報を受信する(S4)。実際のUSB規格では、より複雑な情報の交換が行われるが、ここでは説明を簡単にするために、電子楽器1は、デバイスの種類は、CD機器であり、再生するメディアの種類は、CD−Gであるという回答をするものとする。なお、CD−Gは、CDグラフィックスとも呼ばれ、音楽用CDの物理構造はそのままで、サブコード領域に静止画像を表示するための描画コマンドを記憶したCDの規格である。
次に、ReadTOCコマンドを送信する(S6)。CDは、所定の領域にTOCを記記録しているので、CDを再生する機器の場合には、その領域に記録されているTOCを読み出してUSBインターフェースを介して送信するが、電子楽器1は、後述するようにTOC自体を記憶していないので、TOCを形成して送信する。
PC11は、そのTOCを受信し(S7)、次にCDに記憶されている各トラックの曲名の送信を要求する曲名送信コマンドを送信する(S8)。この曲名送信コマンドに応じて電子楽器1は、フレキシブルディスクに記憶されている各曲の曲名を送信し、PC11は、その曲名を受信すると(S9)、曲名を表示器16に表示する(S10:図2(a)参照)。なお、SMFでは、各曲は、ファイル毎に格納され、曲をトラックとは呼ばない。
次に、表示器16の表示画面において、マウスによる操作が行われたか否かを判断する(S12)。操作が行われたと判断した場合は(S12:Yes)、その操作に応じた処理を行う(S14)。操作に応じた処理としては、表示器16に表示されている複数の曲名のいずれかにカーソルがマウスにより移動されクリックされた場合は、その曲の演奏開始位置を特定する。また、演奏停止中に演奏開始アイコン31がクリックされた場合は、選択されている曲の先頭位置から演奏を開始するようにReadCDコマンドを送信し、演奏フラグをセットする。
この演奏フラグは、RAM14に記憶され、再生中であるか否かを示すフラグであって、CDの再生を開始するように指示した場合は、セットされ、CDの再生を停止するように指示した場合はリセットされる。なお、アプリケーションプログラムが起動された場合は、リセットされる。
また、演奏中に演奏停止アイコンがクリックされた場合は、演奏フラグをリセットする。また、先頭位置指示アイコン33がクリックされた場合は、演奏位置を選択されている曲の先頭位置に設定し、次トラック指示アイコン34がクリックされた場合は、演奏位置を次の曲の先頭位置に設定する。
また、ミュートアイコン35がクリックされた場合は、楽音が発生している場合はD/A変換器20により出力される楽音の音量を0に設定し、楽音の音量が0に設定されている場合には、ボリュームアイコン36により設定されている音量に調整する。
次に、演奏フラグがセットされているか否かを判断する(S16)。演奏フラグがセットされている場合は(S16:Yes)、所定時間が経過したか否かを判断し(S18)、所定時間が経過したと判断した場合は(S18:Yes)、先に送信したReadCDコマンドに続くブロックを読み出すように指示するコマンドを送信する。
CDのデータは、フレームと呼ばれるブロック単位で記憶され、各フレームは、データやパリティなどにより構成されている。CDを再生する機器は、PCからフレーム単位で読み出しを指示するReadCDコマンドを受信し、そのReadCDコマンドに基づいて、読み出しを行う。ReadCDコマンドは、CDの再生位置を示すアドレスと、そのアドレスに続いて読み出すべきブロック数とを示すデータを有するものである。
次に、USBインターフェース18を介してデータを受信したか否かを判断する(S22)。データを受信した場合は(S22:Yes)、その受信したデータを処理する(S24)。オーディオデータを受信した場合は、そのオーディオデータをD/A変換器20に供給するとともに、ハードディスク17に記憶する。
S22の判断処理において、データを受信していないと判断した場合(S22:No)、またはS24の処理の次に、図示しないアイコン等が操作され、アプリケーションプログラムの終了が指示されているか否かを判断し(S26)、終了が指示されている場合は(S26:Yes)アプリケーションプログラムを終了し、終了が指示されていない場合は(S26:No)、S12の処理に戻る。
次に、図5を参照して電子楽器1のCPU2が行う処理について説明する。図5は、CPU2が実行するメイン処理を示すフローチャートであり、電子楽器1の電源が投入されることにより立ち上がり、電源が遮断されるまで繰り返し行われる。なお、このフローチャートは、説明を簡単にするため、PC11から再生の指示を受けていない場合に、電子楽器1の操作子5を検出し、その操作に応じた処理を行うことについては省略する。
まず、初期化処理を行う(S32)。この初期化処理としては、表示器6に所定の初期画面を表示する処理などがある。次に、USBインターフェース8を介してデバイスの種類およびデバイスが再生するメディアの種類を問い合わせるコマンドを受信したか否かを判断する(S34)。デバイスの種類およびデバイスが再生するメディアの種類を問い合わせるコマンドを受信したと判断した場合は(S34:Yes)、デバイスの種類がCD機器であり、再生するメディアの種類は、CD−Gであるという回答を送信する(S36)。
S34の処理でデバイスの種類およびデバイスが再生するメディアの種類の問い合わせを受信していないと判断した場合(S34:No)、またはS36の処理で回答を送信した場合は、次に、USBインターフェース8を介してReadTOCコマンドを受信したか否かを判断する(S38)。
ReadTOCコマンドを受信したと判断した場合は(S38:Yes)、フレキシブルディスク装置7に装着されているフレキシブルディスクに記憶されている演奏データから、TOCを形成し、PC11に送信する(S40)。
SMFにより規定される演奏データには、曲毎の演奏時間が記憶されていないので、各曲毎に、演奏時間を算出する。SMFの規定では、演奏データは、各イベント毎に直前のイベントからの時間がティック(1拍の時間を所定の数、例えば96で割った時間)と呼ばれる時間を単位として記憶されているので、これらを累算し、曲毎に予め設定されているテンポの値から演奏時間を算出することができる。このようにして、フレキシブルディスクに記憶されている全ての曲の曲毎の演奏時間を求め、トラックナンバに対応した演奏時間であるTOCを形成し、PC11に送信する。
S38の処理でReadTOCコマンドを受信していないと判断した場合(S38:No)、またはS40の処理でTOCを送信した場合は、次に、曲名送信コマンドを受信したか否かを判断する(S42)。
曲名送信コマンドを受信したと判断した場合は(S42:Yes)、フレキシブルディスク装置7に装着されているフレキシブルディスクに記憶されている各曲名をPC11に送信する(S44)。S42の処理で曲名送信コマンドを受信していないと判断した場合(S42:No)、またはS44の処理で曲名を送信した場合は、次に、ReadCDコマンドを受信したか否かを判断する(S46)。ReadCDコマンドを受信した場合は(S46:Yes)、ReadCDコマンドに記憶されているアドレス情報から、何曲目に対するコマンドであるかを判断し、まだ演奏が開始されていない場合は、その曲の演奏を開始するように指示するとともに、ReadCDコマンドに記憶されているブロック数に基づいて、演奏の終了時刻を示す演奏終了時刻をRAM4に記憶する。すでに、自動演奏が開始されている場合であって、先に受信したReadCDコマンドに続く演奏の指示であれば、そのReadCDコマンドに記憶されたブロック数に基づいてRAM4に記憶された演奏終了時刻を変更する(S48)。
S46の処理でReadCDコマンドを受信していないと判断した場合(S46:No)、またはS48の処理で演奏時刻を変更した場合は、S34の処理へ戻り、以降、同様の処理を繰り返す。
次に、図6と図7とを参照して、自動演奏処理について説明する。図6は、演奏データを示す図である。演奏データは、先のイベントからの時間とイベントの種類とが対応して順に記憶されている。イベントは、MIDI規格により規定されるMIDIメッセージで音色などを設定するプログラムチェンジや、音量などを設定するコントロールチェンジや、発音の開始を指示するノートオンや、発音の停止を指示するノートオフなどが規定されている。
図6に示された例では、第1番目のデータは、時間が0に設定され、MIDIメッセージとしてプログラムチェンジが記憶されている。従って、演奏の開始と同時にこのプログラムチェンジが音源9に送られる。音源9は、このプログラムチェンジを受信すると、形成する楽音の音色をプログラムチェンジにより指定される音色に設定する。
第2番目のデータは、時間0に設定され、MIDIメッセージとして、ノートオンが記憶されている。このノートオンも演奏の開始と同時に音源9に送られる。音源9は、このノートオンを受信すると、ノートオンにより指定される指定される音高の楽音をノートオンにより指定されるベロシティ(押鍵速度)に応じた音量で発音を開始する。
第3番目のデータは、時間24に設定され、MIDIメッセージとして、ノートオンが記憶されている。従って第2番目のMIDIメッセージが音源9に送信した後、24ティックの後、この第3番目のノートオンが音源9に送られる。同様に、第4番目のデータは、時間が1に設定され、MIDIメッセージとして、ノートオフが記憶されている。従って第3番目のMIDIメッセージが音源9に送信した後、1ティックの後、この第4番目のノートオフが音源9に送られる。音源9は、ノートオフを受信すると、ノートオフにより指定される音高の楽音の発生を停止するように制御する。なお、演奏データとして、歌詞を示すデータも記憶されているものとする。
図7は、自動演奏処理を示すフローチャートであり、テンポに対応する時間間隔で発生されるタイマーインターラプトにより起動されるものである。まず、前回、楽譜を形成するための描画コマンドを送信してから自動演奏が2小節経過したか否かを判断する(S61)。この自動演奏処理では、図2(b)に示すように演奏データを読み出して4小節の楽譜を表示するための描画コマンドを作成しPC11に送信する。楽譜は、演奏データのノートオンから音高と、その音高が発音を開始してから停止されるまでの時間から音符の長さを判定し、その音符を5線譜の上に表示するとともに、歌詞が記憶されている場合には、その音符に対応する歌詞を表示するものである。
曲の先頭から演奏が開始された場合は、曲の先頭から4小節の楽譜を表示するための描画コマンドをPC11に送信する。自動演奏が2小節進む毎に、その演奏時点から先の4小節の楽譜を表示するための描画コマンドをPC11に送信する。
したがって、2小節が経過した場合は(S61:Yes)、その時点から4小節先までの楽譜を表示するための描画コマンドを形成しPC11に送信する(S62)。2小節が経過していない場合(S61:No)または、S62の処理で楽譜を表示するための描画コマンドをPC11に送信した場合は、演奏時刻を進める(S64)。
次に、演奏時刻が、ReadCDコマンドにより設定されている演奏終了時刻に達しているか否かを判断する(S66)。演奏時刻が、演奏終了時刻に達していないと判断した場合は(S66:No)、前回、音源9に演奏データを送信してからの時間が、現在ポインタで示されている演奏データの時間に達しているかを判断する(S68)。現在の時間が、演奏データの時間に達していると判断した場合は(S68:Yes)、その演奏データを音源9に送信し(S70)、ポインタを次の演奏データに進め(S72)、S68の処理へ戻る。S68の判断処理において、現在の時間が、演奏データの時間に達していないと判断した場合は(S68:No)、メイン処理へ戻る。
S66の処理で、演奏時刻が、演奏終了時刻に達している場合は(S66:Yes)、自動演奏を停止する処理を行い(S74)、この自動演奏処理からメイン処理へ戻る。自動演奏を停止する処理は、タイマーインターラプトが発生しないようにする処理である。
なお、音源9は、自動演奏処理において演奏データを入力すると、その演奏データに応じて楽音データの発生などを行う。音源9により発生された楽音データは、一時RAM4に記憶され、USBインターフェース8の要求に応じて所定にデータ形式で出力される。
以上、説明したように、PC11から電子楽器1が再生するメディアの種類の問い合わせを受信した場合は、電子楽器1は、CD−Gであると回答するとともに、CD−Gを再生するように指示するコマンドを受信した場合は、CD−Gを再生している場合と同一のフォーマットで楽音データおよび描画コマンドを送信する。よって、PC11において、特に電子楽器と交信するためのコマンドあるいはメッセージを送受信する必要がなく、電子楽器ではないメディアを再生するためのソフトウエアで、電子楽器から楽音および画像のデータを受信することができる。
なお、請求項1記載の自動演奏手段は、図7に記載のフローチャートの処理が該当し、御手段は、図7に記載のフローチャートにおけるS68およびS70の処理が該当し、情報送信手段は、図5に記載のフローチャートにおけるS36の処理が該当する。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、電子楽器1は、再生するメディアをCD−Gとし、楽音データと静止画像である楽譜を表示するため描画コマンドを送信する場合について記載したが、再生するメディアをDVDとするようにしてもよく、その場合には、楽音データとともに、動画を示す画像データをPC11へ送信するようにしてもよい。動画としては、演奏の進行に合わせて表示されている楽譜上の演奏位置を表示したり、リズムに合わせて画像が移動するような表示とすることができる。なお、メディアが異なれば、楽音データや画像データを送受信するフォーマットがそれぞれ異なるので、メディアの種類に対応するフォーマットで、PC11に楽音データや映像データを送信する。
また、楽音データは、MP3やMPEG4などのように圧縮されて記憶されたり転送されたりするようなものでもよいし、転送時にサンプリング周波数やビット数などのデータ形式を変換するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、静止画像として楽譜を例示したが、演奏される楽音に対応する楽器のイラストや、曲に関する文字、例えば、歌詞などとしてもよい。
また、上記実施形態では、PC11は、電子楽器1からメディアに記憶されている曲名を取得するものとしたが、PC11は、インターネットを介してCDのデータベースにアクセスし、TOCに基づいて曲名を取得するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、自動演奏処理は、テンポに対応する速さで演奏が行われるものとしたが、テンポに対応する速さに関わらず、出力するデータを高速で作成して送信するようにしてもよい。
本発明の実施形態における電子楽器およびパーソナルコンピュータの電気的な構成を示すブロック図である。 パーソナルコンピュータの表示器に表示される表示画面を示す図である。 電子楽器の操作パネルを示す図である。 パーソナルコンピュータのCPUが実行する処理を示すフローチャートである。 電子楽器のCPUが実行する処理を示すフローチャートである。 演奏データを示すテーブルである。 自動演奏処理を示すフローチャートである。
1 電子楽器
2 CPU
3 ROM
3a 自動演奏プログラム(自動演奏手段)
7 フレキシブルディスク装
8 USBインターフェース(通信手段、入力手段および出力手段)
9 音源(楽音発生手段)
11 パーソナルコンピュータ(外部機器)

Claims (4)

  1. 時間情報に対応付けられて記憶手段に記憶された演奏データに応じて楽音データを発生する楽音発生手段と、時間の経過に応じて前記記憶手段に記憶された演奏データを読み出して前記楽音発生手段に供給する自動演奏手段とを備えた電子楽器において、
    外部器機と通信を行う通信手段と、
    デジタルサンプリングされた楽音データが記憶されたメディアを再生可能なデバイスであることを示す情報を前記通信手段を介して送信する情報送信手段と、
    前記通信手段を介して、前記メディアに記憶された楽音データを再生するように要求する制御データを入力する入力手段と、
    その入力手段に入力された制御データに応じて前記自動演奏手段により供給される前記記憶手段に記憶された演奏データに従って前記楽音発生手段を制御して、前記制御データに対応する形式の楽音データを発生させる制御手段と、
    前記楽音発生手段により発生された楽音データを前記通信手段を介して送信する送信手段とを備えていることを特徴とする電子楽器。
  2. 前記自動演奏手段は、演奏データに基づいて画像データを形成するものであり、前記送信手段は、前記自動演奏手段により形成された画像データと前記楽音発生手段により発生された楽音データとを前記通信手段を介して出力するものであることを特徴とする請求項1記載の電子楽器。
  3. 前記自動演奏手段は、前記記憶手段に記憶された演奏データに基づいて楽譜を示す画像データを形成するものであることを特徴とする請求項2記載の電子楽器。
  4. 前記記憶手段は、歌詞を記憶するものであり、前記自動演奏手段は、前記記憶手段に記憶された歌詞を示す画像データを形成するものであることを特徴とする請求項2または3記載の電子楽器。
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