JP4596908B2 - 多段階成形シミュレーションシステム及び多段階成形シミュレーション用プログラム - Google Patents

多段階成形シミュレーションシステム及び多段階成形シミュレーション用プログラム Download PDF

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Description

本発明は、板状ブランクを用いた成形の結果を有限要素法を用いてシミュレーションするシステム、より詳しくは、複数工程による各中間形状を経て最終製品形状に成形する多段階成形をシミュレーションする多段階成形シミュレーションシステム及び多段階成形シミュレーション用プログラムに関し、コンピュータによる有限要素解析技術の分野に属する。
板材をブランクとし、これをプレス成形や折り曲げ成形等により所定形状の製品に成形する場合、まず、設計された製品形状を試作、検証した後、これを量産するための金型を設計、製作し、次いでこの金型を用いて製品を試作し、OKであれば量産に移行する、というプロセスを経ることになるが、このようなプロセスにおいては、金型を用いた製品の試作の段階で、しわ、われ等の欠陥の発生が判明することがあり、この場合、製品の設計形状の見直しから金型の修正、試作まで、再度上記プロセスを実行しなければならないことになり、多大なコストと時間を費やすことになる。
このような実情に対し、近年、製品設計の段階、或は金型設計の段階で、成形結果をシミュレーションし、金型製造前のできるだけ早い段階で欠陥の発生を予測し、事前にその対策をとることにより上記のような多大な無駄を回避することがおこなわれており、そのようなシミュレーションシステムとして各種のものが提供されている。
これらのシステムは、いずれも有限要素法を用いるものであって、動的陽解法、静的陽解法、静的陰解法、ワンステップ法などの手法を用いたものがある。このうち、例えば特許文献1に開示されているようなワンステップ法は、製品の設計形状を平板状に展開したときのブランクの形状をワンステップで求めると共に、その際に各要素に生じる歪や応力から製品各部の板厚の分布やしわ、われ等の欠陥の発生を評価するものであり、計算量が少ないことや、金型に関する情報が不要であるなどの長所がある。
特開2004−148381号公報
ところで、板状のブランクを製品形状に成形する際に、単一工程では製品形状を物理的に成形できないことがあり、このような場合には複数工程を経て製品形状を実現する多段階成形が実施されることになる。この多段階成形では、一般に、製品の設計者により提示された製品形状に基いて、金型の設計者がこれを実現するために各工程で成形すべき中間形状を設計すると共に中間形状を成形するための金型を設計することになる。そして、各工程の金型を製造し、製品を試作した段階で、割れやしわ等の欠陥の発生が判明した場合、各中間形状の見直しや各工程の金型の修正を行うとすると、膨大なコストと時間を費やすことになる。
一方、このような無駄を事前に回避するために多段階成形のシミュレーションを行う場合は、まず、各中間形状及び最終形状、並びに各工程で使用される金型等の外部の部材などをモデル化し、これらのモデルを用いてブランクの初期形状から最終形状に至る加工プロセスをシミュレーションし、事前にしわや割れ等の欠陥の発生を予測することが考えられる。しかしながら、このような方法では、多くのモデル化の作業が必要な上、扱うデータ量及び計算量が多くなり、データの管理が煩雑となると共にコンピュータのパワーを要求するといった問題が生じ、さらに、中間形状の設計案を多数用意してより最適となる形状の獲得を期すほどこれらの問題が増幅されることになる。このように、従来の方法では多段階成形のシミュレーションは事実上不可能であったといえる。また、最終形状のみを対象としたワンステップ法により、最終形状で生じる歪や応力からしわや割れ等の欠陥の発生の評価を行うことも考えられるが、最終形状の評価がOKでも、中間工程における歪や厚さの増減を考慮すると、中間工程の評価がOKであるとは限らない。
一方、このような板材の曲げ成形においては、板材の屈曲部の外側では材料が伸びるために離型後に縮みの応力が、内側では逆に材料が縮むために伸びの応力が発生し、離型後に板厚方向の応力差を低減するようにモーメントが生じて形状にスプリングバック等の曲率変化を生じることがある。曲げ方向と反対の方向への曲率変化をスプリングバック、曲げ方向への曲率変化をスプリングゴーといい(以下、これらを単に「スプリングバック」という)、これらによって形状の寸法精度不良を招くことになる。この寸法精度不良は、部品同士の組み付け性や外観を損なう他、多段階成形にあっては、次工程の金型に対して適正な位置に配備できずに加工不良を生じる可能性がある。そのため、シミュレーションにより事前にスプリングバックの発生を予測して、シミュレーションの結果に基いて実際の成形において余分に曲げるなどの対策をとることが考えられるが、従来では、前述の多段階成形のシミュレーションと同様に、各設計形状とや周囲の部品(ダイ、パンチ等)を全てモデル化し、接触条件を付加して実物の行程に沿ってシミュレーションする方法がとられていたため、データ量及び計算量が多くなるという問題を有していた。
そこで、本発明は、上記のような実情に鑑み、多段階成形のシミュレーションの簡素化及び高速化を図ると共に、スプリングバックのシミュレーションをも同時に行うことができるシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
まず、請求項1に記載の発明は、板材をブランクとする複数工程による成形結果を有限要素法を用いてシミュレーションするシステムであって、最終設計形状及び最終設計形状に至る1又は複数の中間設計形状を入力する入力装置と、入力された複数の設計形状について各種処理を行う処理装置と、該処理装置による処理結果を出力する出力装置とが備えられていると共に、上記処理装置は、上記入力装置で入力された設計形状を有限要素分割して解析モデルを作成する解析モデル作成手段と、該作成手段で作成した解析モデルの各要素を所定平面に平行になるようにその中心回りに回転させる要素回転手段と、該回転手段で回転された各要素を上記所定平面上に投影させた状態で、上記解析モデルで同一節点を共有していた節点同士が一致するように応力の釣合を保ちながら各要素を変形させて解析モデルの平面展開モデルを作成する展開モデル作成手段と、該作成手段で作成した平面展開モデルの各要素についてそれぞれの変形に応じた応力、歪、又は厚みの少なくとも1つを算出する演算手段と、各設計形状について同様に作成した平面展開モデルの各要素の応力、歪、又は厚みの少なくとも1つに基いて各工程による成形結果を評価する評価手段とを有することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載のシステムにおいて、要素回転手段は、要素中心の法線ベクトルと要素中心を通って所定平面に直交する所定平面直交ベクトルとを作成し、上記要素中心の法線ベクトルが上記所定平面直交ベクトルに一致するように各要素を回転させることを特徴とする。
そして、請求項3に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載のシステムにおいて、展開モデル作成手段は、回転手段で回転された各要素を所定平面上に投影させた状態で、要素回転前の解析モデルで同一節点を共有していた節点同士に各節点間距離に応じた引っ張り荷重を設定し、この引っ張り荷重により解析モデルで同一節点を共有していた節点同士が引っ張り荷重の釣合を保ちながら一致するように各要素を変形させることを特徴とする。
一方、請求項4に記載の発明は、上記請求項1から請求項3のいずれかに記載のシステムにおいて、所定の工程で展開モデル作成手段により得られた平面展開モデルとその工程前の平面展開モデルの対応する位置にそれぞれ基準点を設定し、これらの基準点を用いて両平面展開モデルの位置合せを行う位置合せ手段が備えられ、演算手段は、該位置合せ手段によって位置合せされた当該工程前後の平面展開モデルの互いに対応する要素における歪の差を演算し、その差に基いて、当該工程後の平面展開モデルにおける各要素の応力を計算することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、上記請求項1から請求項4のいずれかに記載のシステムにおいて、中間設計形状を得る少なくとも1つの工程にその中間設計形状として複数の設計形状が設定されている場合に、この複数の中間設計形状をそれぞれ経由して最終設計形状に至る複数の成形経路を設定する成形経路設定手段が備えられ、演算手段は、各経路ごとに経路を構成する各設計形状について平面展開モデルの各要素の応力、歪、又は厚みの少なくとも1つを算出すると共に、それらの算出結果に基いて最適な成形経路を判定する判定手段が備えられていることを特徴とする。
一方、請求項6に記載の発明は、上記請求項1から請求項3のいずれかに記載のシステムにおいて、平面展開モデルの各要素ごとに厚み方向に複数のレイヤー要素を設定するレイヤー要素設定手段と、所定の工程で展開モデル作成手段により得られた平面展開モデルとその工程前の平面展開モデルとの対応する位置にそれぞれ基準点を設定し、これらの基準点を用いて両平面展開モデルの位置合せを行う位置合せ手段と、当該工程前後の設計形状の曲率から平面展開モデルにおける各レイヤー要素の曲げ歪を算出する曲げ歪算出手段と、レイヤー要素ごとに、演算手段を用いて算出した歪と上記曲げ歪算出手段により算出した曲げ歪とを加算して合計歪を算出する合計歪算出手段と、当該工程前後の平面展開モデルの互いに対応するレイヤー要素における合計歪の差に基いて当該工程後の平面展開モデルにおける各レイヤー要素の応力を算出するレイヤー要素応力算出手段と、該算出手段により算出した応力を用いて各要素の厚み方向の応力分布を作成する応力分布作成手段と、該作成手段で作成した応力分布に基いて当該工程後のスプリングバックの評価を行うスプリングバック評価手段を行うスプリングバック評価手段とを有することを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、上記請求項1から請求項3のいずれかに記載のシステムにおいて、所定の工程で展開モデル作成手段により得られた平面展開モデルとその工程前の平面展開モデルとの対応する位置にそれぞれ基準点を設定し、これらの基準点を用いて両平面展開モデルの位置合せを行う位置合せ手段と、両平面展開モデルの輪郭形状に基いてトリミングラインを設定するトリミングライン設定手段を有することを特徴とする。
ここで、上記請求項1〜7に記載の発明の概念を図1を用いて説明する。
図1(a)は、多段階成形における中間形状と最終形状とを設計したものである。図1(b)は、これらの入力データから、中間形状の解析モデルM1及び最終形状の解析モデルM2を作成したものである。さらに、図1(c)は、解析モデルM1を展開計算して得られる平面展開モデルO1、及び解析モデルM2を展開計算して得られる平面展開モデルO2とを作成したものである。このとき、各要素の変形に応じた応力、歪、又は厚みを計算することができ、これらの計算結果に基いて各工程による成形結果の評価、即ち各設計形状が適切か否かを評価することができる。
一方、両平面展開モデルO1、O2に、それぞれ対応する代表的な位置に基準点P1、P2を設定し、この基準点P1、P2が一致するように両モデルO1、O2を重ね合わせて位置合せを行う。このとき、両モデルO1、O2の位置関係に基いて、各要素の位置関係を特定することができ、例えば解析モデルM2の点A2に対応する平面展開モデルO2上の点A2′は、平面展開モデルO1上においてA1′に位置することを特定することができる。
そして、図2に示すように、両平面展開モデルO1、O2の輪郭形状に基いて、点A1′の位置を解析モデルM1に反映させ、同様に平面展開モデルO1における平面展開モデルO2上の全ての点について解析モデルM1に反映させることによって、トリミングラインを見出すことができる。
一方、請求項8に記載の発明は、最終設計形状及び最終設計形状に至る1又は複数の中間設計形状を入力する入力装置と、入力された複数の設計形状について各種処理を行う処理装置と、該処理装置による処理結果を出力する出力装置とが備えられ、上記入力装置で入力された設計形状を有限要素分割して解析モデルを作成する解析モデル作成機能を有するコンピュータに用いられ、板材をブランクとする複数工程による成形結果を有限要素法を用いてシミュレーションするためのプログラムであって、該コンピュータを、上記解析モデル作成機能により作成した解析モデルの各要素を所定平面に平行になるようにその中心回りに回転させる要素回転手段、該回転手段で回転された各要素を上記所定平面上に投影させた状態で、上記解析モデルで同一節点を共有していた節点同士が一致するように応力の釣合を保ちながら各要素を変形させて解析モデルの平面展開モデルを作成する展開モデル作成手段、該作成手段で作成した平面展開モデルの各要素についてそれぞれの変形に応じた応力、歪、又は厚みの少なくとも1つを算出する演算手段、各設計形状について同様に作成した平面展開モデルの各要素の応力、歪、又は厚みの少なくとも1つに基いて各工程による成形結果を評価する評価手段として機能させることを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、最終設計形状及び最終設計形状に至る1又は複数の中間設計形状を入力する入力装置と、入力された複数の設計形状について各種処理を行う処理装置と、該処理装置による処理結果を出力する出力装置とが備えられたコンピュータに用いられ、板材をブランクとする複数工程による成形結果を有限要素法を用いてシミュレーションするためのプログラムであって、該コンピュータを、上記入力装置で入力された設計形状を有限要素分割して解析モデルを作成する解析モデル作成手段、該作成手段により作成した解析モデルの各要素を所定平面に平行になるようにその中心回りに回転させる要素回転手段、該回転手段で回転された各要素を上記所定平面上に投影させた状態で、上記解析モデルで同一節点を共有していた節点同士が一致するように応力の釣合を保ちながら各要素を変形させて解析モデルの平面展開モデルを作成する展開モデル作成手段、該作成手段で作成した平面展開モデルの各要素についてそれぞれの変形に応じた応力、歪、又は厚みの少なくとも1つを算出する演算手段、各設計形状について同様に作成した平面展開モデルの各要素の応力、歪、又は厚みの少なくとも1つに基いて各工程による成形結果を評価する評価手段として機能させることを特徴とする。
そして、請求項10に記載の発明は、上記請求項8または請求項9に記載のプログラムにおいて、コンピュータを、中間設計形状を得る少なくとも1つの工程にその中間設計形状として複数の設計形状が設定されている場合に、この複数の中間設計形状をそれぞれ経由して最終設計形状に至る複数の成形経路を設定する成形経路設定手段として機能させると共に、演算手段として機能させるときは、各経路ごとに経路を構成する各設計形状について平面展開モデルの各要素の応力、歪、又は厚みの少なくとも1つを算出する一方、それらの算出結果に基いて最適な成形経路を判定する判定手段として機能させることを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、上記請求項8または請求項9に記載のプログラムにおいて、コンピュータを、平面展開モデルの各要素ごとに厚み方向に複数のレイヤー要素を設定するレイヤー要素設定手段、所定の工程で展開モデル作成手段により得られた平面展開モデルとその工程前の平面展開モデルとの対応する位置にそれぞれ基準点を設定し、これらの基準点を用いて両平面展開モデルの位置合せを行う位置合せ手段、当該工程前後の設計形状の曲率から平面展開モデルにおける各レイヤー要素の曲げ歪を算出する曲げ歪算出手段、レイヤー要素ごとに、演算手段を用いて算出した歪と上記曲げ歪算出手段により算出した曲げ歪とを加算して合計歪を算出する合計歪算出手段、当該工程前後の平面展開モデルの互いに対応するレイヤー要素における合計歪の差に基いて当該工程後の平面展開モデルにおける各レイヤー要素の応力を算出するレイヤー要素応力算出手段、該算出手段により算出した応力を用いて各要素の厚み方向の応力分布を作成する応力分布作成手段、該作成手段で作成した応力分布に基いて当該工程後のスプリングバックの評価を行うスプリングバック評価手段を行うスプリングバック評価手段として機能させることを特徴とする。
さらに、請求項12に記載の発明は、上記請求項8または請求項9に記載のプログラムにおいて、コンピュータを、所定の工程で展開モデル作成手段により得られた平面展開モデルとその工程前の平面展開モデルとの対応する位置にそれぞれ基準点を設定し、これらの基準点を用いて両平面展開モデルの位置合せを行う位置合せ手段、両平面展開モデルの輪郭形状に基いてトリミングラインを設定するトリミングライン設定手段として機能させることを特徴とする。
まず、請求項1〜3に記載の発明によれば、多段階成形において、解析モデル作成手段、要素回転手段、展開モデル作成手段によって、各設計形状についての平面展開モデルを同様に繰り返し作成し、各平面展開モデルの各要素の変形に基いて応力、歪、又は厚みの少なくとも1つを求め、各要素の応力、歪、又は厚みに基いて各工程によるしわや割れ等の欠陥の発生を評価することができる。このように、各中間形状をあたかも最終形状のように扱うことによって、欠陥の発生する可能性の高い工程を特定することができると共に、得られた応力、歪、又は厚みの情報に基いて中間形状の設計変更等を行うなどの対策をとることができる。
このように、本発明においては、各設計形状について作成された解析モデルからワンステップで平面展開モデルを作成し、展開計算結果の各要素の変形に基づいて計算された各要素の応力、歪、又は厚みのデータにより、多段階成形のシミュレーションに使用する大方のデータが揃うことになる。従って、従来のように金型や周囲の部材等をモデル化する必要がないので扱うデータ量が少なく、各平面展開モデルの各要素についての応力、歪、厚みの値を組み合わせるだけで簡単に各工程での成形結果を評価することができ、圧倒的な計算の簡素化及び高速化を実現することができる。
また、各要素を回転させるときには、具体的には請求項2に記載の発明のように、まず、要素中心の法線ベクトルと要素中心を通って所定平面に直交する所定平面直交ベクトルとを作成し、上記要素中心の法線ベクトルが上記所定平面直交ベクトルに一致するように各要素を回転させることによって、各要素を所定平面に平行にすることができる。
そして、応力の釣り合いを保ちながら各要素を変形させるときは、請求項3に記載の発明のように、回転後の各要素を所定平面に投影させた状態で、要素回転前の解析モデルで同一節点を共有していた節点同士に各節点間距離に応じた引っ張り荷重を設定し、この引っ張り荷重により解析モデルで同一節点を共有していた節点同士を一致させるように計算を行うことによって、応力の釣合を保ちながら各要素を変形させることができる。
そして、平面展開モデルの各要素について応力を計算するときは、具体的には請求項4に記載の発明のように、工程前後の平面展開モデルの互いに対応する要素における歪の値を演算し、その差に基いて、当該工程後の平面展開モデルにおける各要素の応力を計算することができる。
また、請求項5に記載の発明によれば、金型の設計者が各工程で得られる中間形状の複数の設計案を用意する場合、各設計案における各要素の応力、歪、又は厚みに基いて、最適な成形経路、即ち最適となる中間設計形状の組合せを判定することができる。
このように、複数の成形経路から最適なものを選択する際も、各設計形状ごとにワンステップ法により得られた応力、歪、又は厚みのデータを組合せるだけでよく、扱うデータ量が少なく、計算の簡素化及び高速化が実現される一方、多くの中間設計形状の設計案を用意してより適当となる中間設計形状を得ることができる。
また、請求項6に記載の発明は、各要素を分割して求めた厚み方向の応力分布によりスプリングバックの評価を行うものである。即ち、平面展開モデル作成時に得られる各要素の歪は、要素の厚み方向に対して一様であり、この歪を用いて算出した応力は、同様に厚み方向に対して一様であるため、スプリングバックの評価には使えないことになるが、各要素の厚み方向に複数のレイヤー要素を設定して各レイヤー要素において、展開計算で得られた歪と各設計形状の曲率に基いて計算された曲げ歪とを加算して合計歪とし、工程前後の平面展開モデルの対応するレイヤー要素の合計歪の差を算出して、この差に基いて各レイヤー要素の応力が計算できると共に、各要素の厚み方向の曲げ歪を考慮した応力分布が得られ、スプリングバックを適正に評価することができる。そして、金型の設計者は、厚み方向の応力分布に基いて金型を設計することができ、例えば加工の際にスプリングバック量を見込んで余分に曲げるように金型を設計する等の対策をとることができ、工程により得られる形状の寸法精度を向上させることができる。このように、ワンステップ法により得られたデータを組み合わせてスプリングバックの評価を行うことができるので、従来のシステムに比べて計算の簡素化及び高速化を実現することができる。
さらに、請求項7に記載の発明によれば、工程前後の平面展開モデルの輪郭形状に基いて、各要素の対応関係を工程前の解析モデルに反映させることができ、トリミングラインを見出すことができる。これによって、金型の設計者は、各工程の中間設計形状を示すだけで、自動的にトリミングラインを設定することができる。
一方、請求項8、9に記載の発明は、上記請求項1に記載のシステムのプログラムに対応するもので、請求項8は、既存のプログラムとして解析モデル作成機能が予めインストールされたコンピュータ、請求項9は、解析モデル作成機能を有しないコンピュータに使用するプログラムであって、いずれのプログラムにおいても請求項1に記載のシステムと同様の作用が得られる。
また、請求項10〜12に記載の発明は、上記請求項5〜7に記載のシステムのプログラムに対応するもので、それぞれ請求項5〜7に記載のシステムと同様の作用が得られる。
次に、本発明の実施の形態に係る多段階成形シミュレーションシステムについて説明する。
図3は、このシステムの中心となるコンピュータの構成を示すもので、このコンピュータ10は、中央処理装置11と、各種条件の設定やシステムの制御等に用いられる入力装置12と、記録媒体20からのデータ読み込み装置13と、プログラム記録部14a及びデータファイル記録部14bが設けられた記録装置14と、入力画面や計算結果等を表示する表示装置15と、計算結果等を印刷する印刷装置16とを有する。
上記記録装置14のプログラム記録部14aには、図4に示すように、メインプログラムと複数のサブプログラムとが記録され、サブプログラムとしては、解析モデル作成サブプログラム、解析用基礎データ作成サブプログラム、解析用データ作成プログラム、解析計算サブプログラム、マッピング処理サブプログラム、描画サブプログラム、評価用データ作成サブプログラム、及び成形経路評価サブプログラムが記録されている。
また、上記記録装置14は、入力するCADデータ即ち設計形状に応じた複数のデータファイル記録部14b…14bを有し、各データファイル記録部14bには、図5に示すように、当該CADデータに係る解析モデルデータファイルと、解析用基礎データファイルと、材料属性データファイルと、解析用データファイルと、解析結果データファイルと、評価用データファイルとがそれぞれ記録されるようになっている。
これらのデータファイルのうち、解析モデルデータファイルは、一部を図6に示すような解析対象製品を有限要素分割してなる解析モデルについての各種のデータを記録したテーブルで構成され、このうち、図7に示す要素構成テーブルは、各要素E1、E2…に対してこれを構成する節点番号N1、N2…をそれぞれ記録し、例えば図6に示す要素E1の場合は、4節点N1、N2、N5、N4で構成されていることを示している。また、図8に示す節点座標テーブルは、図7のテーブルに記録された各要素E1、E2…を構成する各節点N1、N2…のx座標、y座標、z座標をそれぞれ記録するようになっている。
また、解析用基礎データファイルは、解析計算に先立ち、予め計算され或は設定された各種のデータを記録したテーブルで構成されている。
図9に示す節点構成テーブルは、前述の解析モデルデータファイルに含まれる要素構成データを図7のテーブルから読み出し、各節点を構成する要素、即ち当該節点を取り囲む要素の番号E1、E2…を記録するようになっている。例えば図6の節点N5については、これを取り囲む節点の番号E1〜E4が記録される。
図10に示す要素中心座標テーブルは、各要素の中心座標を記録するようになっている。即ち、図7の要素構成テーブルにより例えば要素E1を構成する節点N1、N2…を読み出すと共に、図8の節点座標テーブルからこれらの節点N1、N2…のx座標、y座標、z座標を読み出し、これら節点のx座標、y座標、z座標のそれぞれの平均座標が当該要素E1の中心座標として記録される。
図11に示す要素ベクトルテーブルは、各要素についての法線ベクトル(以下、「要素ベクトル」という)VE1、VE2…のx成分、y成分、z成分を記録するようになっている。
この要素ベクトルVE1、VE2…の算出方法を例えば図6に示す要素E1について説明すると、まず図7の要素構成テーブルから要素E1が節点N1、N2、N5、N4で構成されることを読み出すと共に、これらの節点N1、N2、N5、N4のx座標、y座標、z座標を図8の節点座標テーブルから読み出し、これらの座標データに基づき、要素E1を平面としたときの該要素E1の傾きを求める。そして、図10の要素中心座標テーブルから各要素の中心座標を読み出し、要素中心でその平面に直交する方向の単位ベクトルのx成分、y成分、z成分を求め、これらの成分を有するベクトルを要素E1の要素ベクトルVE1とする。
図12に示す要素回転軸ベクトルテーブルは、要素回転の際の回転軸となる回転軸ベクトルのx成分、y成分、z成分を各要素ごとに記録するようになっている。
この回転軸ベクトルVSE1、VSE2…の算出方法を図13に基いて説明すると、まず、図10の要素中心座標テーブルから各要素の中心座標を読み出し、この中心座標を通りxy平面に直交するxy平面直交ベクトルVzを生成する。そして、図11の要素ベクトルテーブルから要素ベクトルVE1、VE2…を読み出し、上記xy平面直交ベクトルVzと要素ベクトルVE1、VE2…とで決定される平面Rを定義する。次に、中心座標を通り上記平面Rに直交する方向の単位ベクトルを要素回転軸ベクトルVSE1、VSE2…として、該ベクトルVSE1、VSE2…のx成分、y成分、z成分が各要素ごとに図12の要素回転軸ベクトルテーブルに記録される。
図14に示す要素回転角度テーブルは、要素ベクトルVE1、VE2…を要素中心回りに回転させたときに、上記xy平面直交ベクトルVzに一致するために必要な回転角度θを各要素ごとに記録するようになっている。
図15の分離要素構成テーブルは、番号ES1、ES2…を付した回転後の各要素(分離要素)において、各分離要素を構成する各節点に番号NS1、NS2…を付し、各分離要素ごとにこれを構成する節点番号NS1、NS2…を記録するようになっている。つまり、要素回転により各要素は離反し、これに伴って節点N1、N2…は分離するので、この分離した後の要素(分離要素)を構成する節点番号NS1、NS2…が記録される。
図16の元節点−分離要素の節点テーブルは、分離要素の節点NS1、NS2…が、要素回転前の節点N1、N2…(元節点)のいずれに対応するかを示したテーブルであって、要素回転前の元節点N1、N2…ごとに要素回転前に共有していた分離要素の節点番号NS1、NS2…を記録するようになっている。なお、各節点N1、N2…に対応する分離要素の節点NS1、NS2…の数は、有限要素分割の結果に応じて増減するようになっている。
図17の分離要素の節点座標テーブルは、分離要素の節点NS1、NS2…ごとにx座標、y座標を記録するようになっている。
図18の節点ベクトルテーブルは、各節点ごとに、後述する曲げ歪を計算するために必要なデータである節点ベクトルVN1、VN2…のx成分、y成分、z成分を記録するようになっている。
ここで、この節点ベクトルVN1、VN2…の算出方法を例えば図19に示す節点N5について説明すると、図9の節点構成テーブルから節点N5を構成する要素、即ち節点N5を取り囲む要素を読み出す。この場合、図19の例では、要素E1、E2、E4、E3が読み出される。
そして、図11の要素ベクトルテーブルから、これらの要素E1、E2、E4、E3についての要素ベクトルVE1、VE2、VE4、VE3のx成分、y成分、z成分をそれぞれ読み出すと共に、これら4つのベクトルの各成分の平均値をx成分、y成分、z成分とする単位ベクトルを求め、これを節点N5についての節点ベクトルVN5とする。
このようにして、各節点N1、N2…についての節点ベクトルVN1、VN2…を順次求め、これを図18の節点ベクトルテーブルに書き込む。
図20の拘束条件テーブルは、後述する展開計算に際して解析モデルの位置決めをするために指定した2つ以上の節点番号NA、NB…が記録されている。そして、この拘束点NA、NBは、後述する位置合せの際の基準点となる。
図21の材料特性テーブルは、解析対象の製品に関するデータ、即ち当該材料のヤング率、ポアソン比、降伏応力等の解析に必要なデータを記録するようになっている。
図22の解析結果テーブルは、展開計算による各分離要素変形後の各節点NS1、NS2…のx座標、y座標をそれぞれ記録するようになっている。
図23の歪テーブルは、解析計算の結果生じた各分離要素ES1、ES2…の変形に基いて、設定した評価点ごとにx方向の歪εx、y方向の歪εy、z方向の歪εz、x方向にみたy方向の剪断歪εxy、同様に剪断歪εyz、εzx、及び各要素ごとに板厚減少率を記録するようになっている。ここで、上記評価点について説明すると、要素Eを図24に示すような正規化座標(r,s)に変換し、ガウス積分点とよばれる要素内部の座標(±1/√3,±1/√3)に対応する4点を評価点Da〜Ddとし、さらに、図25に示すように要素Eを7層のレイヤーL1〜L7に分割し、各レイヤーごとに4つの評価点DL1a〜DL1d、…DL7a〜DL7dを設定している。
図26の応力テーブルは、各評価点ごとに応力σxx、σyy、σzz及び剪断応力σxy、σyz、σzxを記録するようになっている。ここに記録された応力の値は、図23の歪テーブルから読み出した歪の値に基いて、図21の材料特性テーブルのヤング率やポアソン比等のデータを適宜用いて計算されたものである。
また、データファイル記録部14bの評価用データファイルに記録された評価用データファイルには、各工程の安全性評価に使用される各種テーブルが記録されている。
図27の評価点マッピングテーブルは、後述する工程前後の平面展開モデルの位置合せを行ったときの、当該工程前後の平面展開モデルの各要素の対応関係を表すものである。このテーブルは、工程後の各評価点ごとに、該評価点の座標を含む工程前の要素番号を記録すると共に、工程前の各要素のrs座標系における評価点の座標(r,s)を記録するようになっている。そして、これらが記録されたテーブルが、成形経路を構成する各工程ごとに用意されている。また、この評価点マッピングテーブルは、後述する成形経路ごとに工程数m−1(工程2後〜最終工程m後)分をワンセットとして準備されている。
図28の補間歪テーブルは、図27の評価点マッピングテーブルに記録された工程前の各要素における座標(r,s)での各歪成分を記録するようになっている。各歪成分は、各評価点ごとに、歪εx、εy、εz、剪断歪εxy、εyz、εzx、主歪ε1、ε2、及び板厚減少率である。なお、各要素の座標(r,s)における歪は、展開計算の要素の変形に伴う各評価点の変位により求めることができる。また、上記評価点マッピングテーブルと同様に、これらが記録されたテーブルが、成形経路を構成する各工程ごとに用意されている。また、補間歪テーブルは、上記評価点マッピングテーブルと同様に、成形経路ごとに工程数m−1分をワンセットとして準備されている。
図29の補間応力テーブルは、図25の評価点マッピングテーブルに記録された工程前の各要素における座標(r,s)での各応力成分を記録するようになっている。各応力成分は、各評価点ごとに応力σxx、σyy、σzz、及び剪断応力σxy、σyz、σzxである。そして、上記補間歪テーブルと同様に、これらが記録されたテーブルが、成形経路を構成する各工程ごとに用意されている。また、補間応力テーブルは、上記補間歪テーブルと同様に、成形経路ごとに工程数m−1分をワンセットとして準備されている。
また、図30の評価用応力テーブルは、後述する計算により求めた工程前の形状に依存した応力が各評価点ごとに記録され、成形経路ごとに工程数m(工程1後〜最終工程m後)分をワンセットとして準備されることになる。
次に、当該システムの作用を、上記記録装置14のプログラム記録部14aに記録されているメインプログラムの動作を示す図31のフローチャートに従って説明する。ここでは、自動車の車体を構成する一部材を成形するために実施される多段階成形として、板材をブランクとし、図32に示すようなブランクの中央部を膨出させた第1中間形状と、図33に示すような該第1中間形状をトリミングすると共に所定の加工を施した第2中間形状と、図34に示すような該第2中間形状の各部をさらに折り曲げて成形される最終形状とを設計している。なお、最終形状において、図35(b)に示すような折り曲げ方は単一工程では実現することができないため、図35(a)に示すような第2中間形状を経て複数工程で成形する多段階成形を実施するのである。
まず、プロセスP1として、図3に示すコンピュータ10のデータ読込み装置13により、記録媒体20から解析対象の多段階成形に係る各工程により成形される中間形状のCADデータを読み込む。コンピュータ10の表示装置15には、図32〜図34に示すような中間形状又は最終形状の全体を表示した画面15a,15b,15cが表示されることになる。
次に、プロセスP2〜P8で、上記各CADデータごとに展開計算を行う。以下、上記図32で示した第1中間形状のCADデータの展開計算を代表して説明する。
まず、プロセスP2で、上記プログラム記録部14aに記録されている解析モデル作成サブプログラムにより、上記CADデータに基いて当該形状を有限要素分割した解析モデルが作成される。このとき、図36の画面15dに解析モデルを示すように、設計形状が各要素に分割されて表示される。そして、各要素を構成する節点番号N1、N2…を図7の要素構成テーブルに書き込み、各節点のx座標、y座標、z座標を図8の節点座標テーブルに書き込む。
次に、プロセスP3として、上記解析モデルについての解析用基礎データが上記プログラム記録部14aに記録されている解析用基礎データ作成サブプログラムにより作成される。
ここで、この解析用基礎データ作成サブプログラムの動作を図37に示すフローチャートに従って説明する。
まず、プロセスP21で、解析モデル作製処理により得られた節点の要素構成データを図7の要素構成テーブルから読み出し、各節点N1、N2…を取り囲む要素の番号E1、E2…を図9の節点構成テーブルに書き込む。次に、プロセスP22で、節点の座標データを図8の節点座標テーブルから読み出し、要素を構成する節点の座標の平均座標を算出して、この平均座標を要素の中心座標として、これらのx座標、y座標、z座標を図10の要素中心座標テーブルに書き込む。
そして、プロセスP23〜P25で、要素回転のために使用する各データを作成する。即ち、プロセスP23では、前述のように各要素についての要素ベクトルVE1、VE2…を生成し、図11の要素ベクトルテーブルに書き込む。
次に、プロセスP24で、前述のように回転軸ベクトルVSE1、VSE2…のx成分、y成分、z成分を生成し、図12の要素回転軸テーブルに書き込む。また、プロセス25で図14の要素回転角度テーブルに要素ごとの回転角度θを書き込む。
次に、プロセスP26で、回転軸ベクトルVSE1、VSE2…及び回転角度θのデータに基いて全要素をxy平面に平行になるように回転させ、要素分離モデルを生成する。このとき、図38に示すような解析モデルを構成する各要素E1、E2…は、図39に示すように、分離されて分離要素ES1、ES2…として上記要素分離モデルを構成することになる。
一方、プロセスP27で、要素分離モデルを構成する各分離要素を構成する節点の番号NS1、NS2…を図15の分離要素構成テーブルに書き込む。
次に、プロセスP28で、図7の要素構成テーブルと図15の分離要素構成テーブルとから、要素回転前の節点N1、N2…(元節点)及び分離要素の節点NS1、NS2…を読み出して、元節点N1、N2…を共有していた分離要素の各節点番号NS1、NS2…を図16の元節点−分離要素の節点テーブルに書き込む。
また、プロセスP29で、各分離要素の節点のx座標、y座標、z座標を図17の分離要素の節点座標テーブルに書き込む。
そして、以下に説明する平面展開モデル作成においては、これらの各分離要素を図40に示すようにxy平面に投影させ、つまり各分離要素のz座標を無視して各分離要素を同一のxy平面上に並べた状態で処理を行うことになる。
プロセスP30では、拘束条件の設定を行う。まず、解析モデルで特徴的な位置にある2つの節点NA、NBを選択し、これらを図20の拘束条件テーブルに書き込む。そして、これらの節点NA、NBは、要素回転後には、各分離要素を構成する複数の節点NSA1、NSA2…に分割されることになる。例えば、図41(a)に示すように、要素EA1〜EA4で囲まれた節点NAは、要素回転後にxy平面に投影すると図41(b)に示すように分離要素ESA1〜ESA4の節点NSA1〜NSA4として分離する。そして、これらの節点NSA1〜NSA4のx座標及びy座標を図17の分離要素の節点座標テーブルから読み出し、これらの節点NSA1〜NSA4の座標の平均座標(NSAVx、NSAVy)を求める。次に、この平均座標の点を平均点NSAVとすると、図41(c)に示すように、節点NSA1〜NSA4が平均点NSAVに一致するように、各分離要素ESA1〜ESA4をxy平面に平行移動させる。そして、節点NBについても同様にして、図17の分離要素の節点座標テーブルにおいて、節点NSA1〜NSA4、NSB1〜NSB4を有する分離要素を構成する各節点の座標を、前述の分離要素を平行移動させた後の各節点の座標に書き換える。
以上により、解析用基礎データ作成サブプログラムによる解析用基礎データの作成処理が終了し、プロセスP31で、得られたデータを解析用基礎データファイルに格納する。そして、コンピュータ10の動作は、図31に示すメインプログラムによる処理に戻り、プロセスP4以下を実行する。
メインプログラムのプロセスP4では、今回の解析対象の製品に関するデータ、即ち当該材料のヤング率、ポアソン比、降伏応力、接線係数等の解析に必要なデータを図21の材料特性テーブルから読み取る。
そして、プロセスP5で上記基礎データに基いて解析用データの作成を行う。この解析用データは、上記プログラム記録部14aに記録されている解析用データ作成サブプログラムにより作成される。そして、このサブプログラムの動作を図42に示すフローチャートに従って説明すると、まず、プロセスP41で、解析計算のために必要となる各要素ごとの剛性マトリクスKeの作成を行う。例えば4節点を有する分離要素の場合、分離要素ごとの自由度は、第1〜第4節点のx変位、y変位の合計8自由度となり、要素剛性マトリクスKeは数式1のように表される。なお、行列に含まれる成分k11〜k88は、分離要素の材料に基づくヤング率に応じた値である。
Figure 0004596908
ここで、各節点の未知の変位ベクトルをUeとすると、各要素に作用する荷重ベクトルFeとの間には、数式2に示す関係式が成り立つ。
Figure 0004596908
但し、このとき荷重ベクトルFeはゼロベクトルである。
次に、プロセスP42で、解析計算のために必要となるバネ要素ごとの剛性マトリクスKsの作成を行う。例えば2節点を結びつけるバネ要素の剛性マトリクスKsは、自由度が第1節点、第2節点のx変位、y変位であり、合計で4自由度となって、数式3に示すように表される。
Figure 0004596908
ここで、Eは分離要素の材料に応じたヤング率、αは十分大きな定数である。定数αは、分離要素を適正に変形させる目的でバネ要素の剛性マトリクスKsに乗算されるパラメータであって、例えば材料が鉄の場合、鉄のヤング率Eは21000kgf/mmであり、この数値のみで上記バネ要素の剛性マトリクスKsを作成して解析計算を行った際に、分離要素に対してバネ要素が軟らかいことになって、分離要素に十分な変形が生じていない状態で釣り合うという事態が発生しうる。そのため、ヤング率Eより約6桁上のオーダーの定数αを乗算して、バネ要素を十分に硬いものとして、対応する節点が一致するまで分離要素を十分に変形させるのである。なお、定数αが過度に大きいときには、解析精度が低下するおそれがあり、定数αは前述のようにヤング率Eの約6桁上のオーダーが妥当である。また、各分離要素が同一の材料であるときは、各ヤング率に乗算する定数αは同一にすればよいが、材料の異なる分離要素間にバネ要素を設定した場合は、分離要素ごとに材料に応じて定数αが異なるようにしてもよい。
一方、上記プロセスP41の要素剛性マトリクスKe作成時と同様に、一つのバネ要素について剛性マトリクスKs、変位ベクトルUs、要素に作用する荷重ベクトルFsの間には数式4に示す関係式が成り立つ。
Figure 0004596908
次に、プロセスP43で、バネ要素間に作用する荷重データを作成する。つまり、荷重データは、バネ要素が設定された節点間のx方向の距離dx、y方向の距離dyを成分とした荷重ベクトルFsであって数式5に示すように表される。
Figure 0004596908
ここで、Eは分離要素の材料に応じたヤング率、αは上記数式3で示した十分大きな定数である。
さらに、前述の拘束条件に係る分離要素の節点については、これらの節点間にバネ要素を設定してバネ要素の剛性マトリクスKsを作成すると共に、荷重ベクトルfsにおける節点間距離dx、dyはゼロになる。
以上のようにして要素剛性マトリクスKe、バネ要素の剛性マトリクスKs、バネ要素間に作用する荷重ベクトルFsを解析用データとし、図31のフローチャートのプロセスP6に進んで解析計算を行う。この解析計算は、解析計算サブプログラムにより行われる。
ここで、この解析計算について詳述すると、まず、上記のようにして算出した要素剛性マトリクスKe及びバネ要素の剛性マトリクスKsを全体剛性マトリクスKgへ足し込みを行うと共に、要素の荷重ベクトルFe及びバネ要素の荷重ベクトルFsを全体荷重ベクトルFgへ足し込みを行う。
なお、以下の説明では、図43に示すような4節点を有する2つの分離要素ES1、ES2において、節点NS2と節点NS7との間にバネ要素Sを設定した場合を例に説明する。即ち、図43に示したように節点NS1〜NS4を有する分離要素ES1と節点NS5〜NS8を有する分離要素ES2との2つの分離要素を全体剛性マトリクスKgに足し込みを行う場合、分離要素ES1は、(×)で示す節点NS1のx成分、NS1のy成分、NS2のx成分、NS2のy成分、…、NS4のx成分、NS4のy成分の順に1〜8行を構成し、分離要素ES2は、(+)で示すNS5のx成分、NS5のy成分、NS6のx成分、NS6のy成分、…、NS8のx成分、NS8のy成分の順に9〜16行を構成して全体剛性マトリクスKgは数式6に示すような16行のマトリクスとなる。なお、全体剛性マトリクスKgの行列の数は総節点数の2倍となる。
Figure 0004596908
次に、上記全体剛性マトリクスKgにバネ要素の足し込みを行う。この例においては、分離要素ES1の節点NS2と分離要素ES2の節点NS7とを結ぶバネ要素Sが設定されているので、上記バネ要素の剛性マトリクスKsの節点NS2、NS7に対応する成分を、全体剛性マトリクスKgにおける節点NS2、NS7に対応する位置(数式7で○で囲まれた箇所)にそれぞれ足し込みを行う。その結果、数式7に示すような全体剛性マトリクスKgが得られる。
Figure 0004596908
続いて、上記バネ要素の荷重ベクトルFsの全体荷重ベクトルFgへの足し込みを行う。このときも同様にバネ要素の荷重ベクトルFsの節点NS2、NS7に応じた成分を、全体荷重ベクトルFgにおける節点NS2、NS7に対応する位置に足し込みを行い、数式8に示すような荷重ベクトルFsが得られる。
Figure 0004596908
なお、この例は2節点間のバネ要素について示しているが、3節点以上の場合には総当りでバネ要素を使用する。つまり、3節点間にそれぞれバネ要素が設定された場合は、第1の節点−第2の節点、第1の節点−第3の節点、第2の節点−第3間の節点の3通り、4節点の場合は、第1の節点−第2の節点、第1の節点−第3の節点、第1の節点−第4の節点、第2の節点−第3の節点、第2の節点−第4の節点、第3の節点−第4の節点間の6通り、N節点の場合は、N×(N−1)/2通りのバネ要素が設定されることになる。
以上の手順による足し込みを全ての分離要素及びバネ要素について行うと、全体剛性マトリクスKg及び全体荷重ベクトルFgはそれぞれ数式9に示す式で表される。なお、neは分離要素の総数、nsはバネ要素の総数を表す。
Figure 0004596908
そして、全体剛性マトリクスKgの逆行列を求めて数式10に示すように変形し、これを解くことによって変位ベクトルUgが求まる。
Figure 0004596908
このとき、節点同士が一致するように各要素が変形し、全体として荷重の釣合を保持しながら、解析モデルを平面形状に展開したことになる。そして、メインプログラムのプロセスP7で、展開計算の結果の各節点のx座標及びy座標を図22の解析結果テーブルに書き込む。ここで、得られた平面形状を、図44の画面15eに平面展開モデルとして示す。なお、第1中間形状の平面展開モデルは、該形状を成形するために最適となるブランク形状である。
次に、プロセスP8で上記展開計算の結果に基いて、つまり各分離要素の変形に基いて応力、歪、厚みの算出を行い、図23の歪テーブル及び図26の応力テーブルに書き込む。
また、上記展開計算においては、要素のxy平面における変形に基いて応力、歪(面内歪)、厚みを単に算出することができるが、これに加えて曲げ歪による影響を考慮することによって、より精度の高いシミュレーションを行うと共に、スプリングバックの発生を事前に予測することができるようになる。
まず、各レイヤーの面内歪について説明すると、図25に示したように、7層のレイヤーL1〜L7で構成された要素Eは、各レイヤーL1〜L7ごとに4つの評価点DL1a〜DL1d、…DL7a〜DL7dを有している。そして、解析モデル展開時に生じた面内歪により、各評価点DL1a〜DL1d、…DL7a〜DL7dは各レイヤーL1〜L7の伸び縮みによって面内方向にずれる。このときのずれが各レイヤーL1〜L7の面内歪に相当し、例えば図45に示すように、評価点DL1a〜DL7aにおいては同様の面内歪εx′となる。そして、前述の図23の歪テーブルは、全ての評価点におけるx方向の面内歪εx′、y方向の面内歪εy′、及びz方向の面内歪εz′、また、各レイヤーの剪断方向の歪について、x方向にみたy方向の面内剪断歪γxy′、同様に面外剪断歪γyz′、γzx′を記録している。
次に、各評価点における曲げ歪の算出方法について説明すると、曲げ歪の計算においては、まず、図18の節点ベクトルテーブルを作成し、特定の要素について要素ベクトルと、周囲の4つの節点ベクトルとの差を、要素に発生した全体としての曲げ変形とみなすようにしている。
例えば図46に示すように、節点Nw1、Nw2、Nw3、Nw4で構成された要素Ewについては、各節点ベクトルVNw1、VNw2、VNw3、VNw4と、要素ベクトルVEwとのベクトル差ΔVNw1〜ΔVNw4は、それぞれ数式11のように表される。なお、要素Ewは、レイヤーL1〜L7で構成されている。
Figure 0004596908
ここで、ベクトル差ΔVNw1〜ΔVNw4をx成分、y成分、z成分に分解し、各節点ベクトルVN1、VN2…の要素ベクトルVE1、VE2…に対する角度差を算出する。そして、図47に示すように、要素Ewについて、その要素のなす面に最も近い平面にXY座標系を設定することにより、図48に示すように、上記xyz座標系における3方向で表された角度差をX軸回りの角度差ΔθとY軸回りの角度差Δθとの2方向で表すことができる。一方、曲率は角度差の変化率であるから、以下に示す数式12により求められる。なお、ΔθのX軸方向の変化率を曲率φXX、ΔθのY軸方向の変化率を曲率φXY、ΔθのX軸方向の変化率を曲率φYX、ΔθのY軸方向の変化率を曲率φYYとしている。
Figure 0004596908
そして、この数式により4つの評価点における曲率φXX、φXY、φYX、φYYをそれぞれ求める。
次に、要素Ewの板厚中心からの各評価点までの厚さ方向の距離ZLを求める。ここでは板厚を7等分して各レイヤーL1〜L7を構成しているので、レイヤーL4における板厚中心から評価点までの厚さ方向の距離ZL4はゼロ、内側のレイヤーL1〜L3の評価点までの距離ZL1〜ZL3は負の値、外側のレイヤーL5〜L7までの距離ZL5〜ZL7は正の値になる。
そして、x軸方向の曲げ歪εx″、y軸方向の曲げ歪εy″、及びx軸からみたy軸方向の曲げ剪断歪γxy″は、数式13により求められる。
Figure 0004596908
図49に示すように、例えば評価点DL5aのx方向の曲げ歪εx″は、曲率φXXに距離ZL5を乗算して求めた円弧長として求められる。
一方、これらの曲げ歪εx″、εy″、γxy″と図23の歪テーブルに記録された面内歪εx′、εy′、γxy′とを足し合わせることによりによりトータルの歪εx、εy、γxyが算出され、歪テーブルに評価点ごとに記録する。数式14にx軸方向のトータルの歪εxの算出過程を示す。
Figure 0004596908
さらに、数式εxと同様の方法で、y軸方向のトータルの歪εy、及びx軸方向からみたy軸方向のトータルの剪断歪γxyを数式15に示す。
Figure 0004596908
なお、図50に示すように、曲げ歪は、曲げの内側(L1側)が圧縮(負)で外側(L7側)が引っ張り(正)となり中央でゼロとなる直線的な分布となる。そのため、例えば面内歪が図45に示したような一様な引張特性を有する場合には、トータルの歪の分布は、図51に示すように、上記曲げ歪の分布が引張側にずれることになる。
一方、図23の歪テーブルに記録されたトータルの歪を用いて、応力―歪特性により、各評価点における応力σxx、σyy、σzz、剪断応力τxy、τyz、τzxの値が計算される。そして、このように計算された応力を、評価点ごとに図26に示す応力テーブルに書き込む。
次に、プロセスP9で、上記プロセスP1で読み込んだ全ての設計形状についての展開計算が終了したか否かを判定し、終了していない場合はプロセスP2に戻り、終了した場合はプロセスP10に進む。例えば上記説明では第1中間形状についての解析のみが終了しているので、第2中間形状及び最終形状についての解析を行うためにプロセスP2〜P8を繰り返すことになる。そして、このプロセスを繰り返すことで、各設計形状ごとにデータファイル記録部14b…14bが作成されることになる。
そして、プロセスP10〜P15で、複数の成形経路が存在する場合は、各成形経路についての安全性を評価し、また、各中間形状におけるトリミングラインの設定を行う。つまり、上記プロセスP2〜P8の解析においては、各工程後の中間形状の設計案が図32の第1中間形状と図33の第2中間形状と1つずつ示したが、ここでは工程後ごとに複数の中間形状の設計案を用意して、これらの中から最適な中間形状を選び出すと共に最適成形経路を見出すことを目的としている。例えば図53に示すように、第1中間形状として2つの設計案、第2中間形状として3つの設計案、第3中間形状として3つの設計案がそれぞれ用意されている場合を考えると、初期形状から最終形状に至る成形経路としては18通りあり、この中から最適成形経路を見出すことになる。
まず、プロセスP10として18通りの成形経路の中から任意の成形経路を選び出す。そして、プロセスP11で、当該成形経路について、上記プログラム記録部14aに記録されている評価用データ作成サブプログラムにより評価用データを作成する。
ここで、この評価用データ作成サブプログラムの動作を図54に示すフローチャートに従って説明する。
まず、プロセスP51で工程m=2を設定する。そして、プロセスP52で工程m前後の設計形状による平面展開モデルの位置合せを行う。例えば、図44に示した第1中間形状の平面展開モデルと図55の画面15fに示すような第2中間形状の平面展開モデルとを、拘束点NA、NB同士を一致するように重ね合わせると、図56の画面15gに示すように両者の位置関係が決定されることになる。
そして、プロセスP53で、例えば図57に示すように、第2中間形状(工程m後)の平面展開モデルの評価点Dmの座標(x,y)から、図22の解析結果テーブルの座標データに基いて、評価点Dmを含む第1中間形状(工程m前)の平面展開モデルにおける要素の番号Em−1を読み出し、同様に第2中間形状の全ての評価点についてこれを含む要素番号E1、E2…を読み出す。
次に、プロセスP54で、図58に示すように要素Em−1にrs座標系を設定し、プロセスP55で、rs座標系における評価点Dmの座標(rm,sm)を算出する。
そして、プロセス56に進んで、工程m前後に係る評価点マッピングテーブルを作成する。即ち、工程後の評価点ごとに、上記プロセスP53で求めた当該評価点を含む工程前の要素番号、及び上記プロセスP54で求めた該要素における評価点の座標のr値、s値を図27の評価点マッピングテーブルにそれぞれ書き込む。
次に、プロセスP57に進み、図28に示す工程m前の補間歪テーブルを作成する。この補間歪テーブルは、工程m後の評価点を含む工程前の要素の座標(r,s)における歪εx、εy、εz、剪断歪εxy、εyz、εzx、及び板厚減少率を記録している。このとき、前述の展開計算により各要素は変形し、各要素を構成する各節点は変位したが、要素を構成する各節点の変位量及び変位方向に基いて、当該要素各部の歪分布をrs座標系で表された近似関数で定義することができ、上記評価点マッピングテーブルの座標データに基づいて、工程m前の平面展開モデルにおける各評価点に対応する座標(r,s)の歪を補間して求めることができる。
また、プロセスP58で、図27に示す工程m前の補間応力テーブルを作成する。この補間応力テーブルは、各評価点ごとに座標(r,s)の応力σxx、σyy、σzz、剪断応力σxy、σyz、σzxを記録している。
次に、プロセスP59で、評価用応力テーブルを作成する。この評価用応力テーブルは、工程1後は図26の応力テーブルに記録された各応力と同様であり、工程2後は特別な計算を行う。この工程2後の応力の算出方法について図59を用いて説明する。ここでは、図53で示した各中間形状の設計案の組合せにおいて、第1中間形状を第2設計案、第2中間形状を第3設計案、第3中間形状を第1設計案とした成形経路を選択した場合を例にとる。
まず、工程1後の第2設計案に係る評価用応力テーブルは、展開計算のプロセスP8で作成したものであり、ここで作成した各評価点の歪εI及び応力σIは、後述の工程の安全性評価に採用する。
ところで、応力と歪の関係が線形の場合は、数式16に示すように、歪の増分Δεから応力の増分Δσが求められ、これを工程前の対応する評価点の応力σn−1に足し合わせることによって工程後の応力σ求めることができる。
Figure 0004596908
しかしながら、工程2以降の応力の計算においては、工程前における応力の分布に依存して応力と歪の関係が非線形となり、数式12によっては正確な応力は得られない。即ち、例えば図60の応力−歪の関係のグラフで示すように、板材を曲げたときの特性は、歪に対して応力が上に凸のカーブを描きながら点Aから点Bに増加し、ここから曲げ戻しを行った場合、少しの歪の減少に対して応力は点Bから点Cに急激に減少するような特性を示し、ここから再び曲げたときには点Cから点Dに応力が急激に増加すると共に、点Dから点E間では緩やかに応力が増加するような特性を示す。このように、多段階成形においては、曲げ戻しも考慮しなければならず、上記数式12では曲げ戻しの影響を加味することができない。なお、工程1後の応力については、このような非線形性を考慮する必要がないため、数式12の式で算出した応力を安全性評価に採用することができるのである。また、歪は曲げ戻しの有無に拘らず各要素の変位に対して線形の関係にあるので、工程によらず図23の歪テーブルに記録されたものが安全性評価に採用できる。
そのため、図26の応力テーブルにおいて、図59の工程2後の第3設計案に係る各評価点の応力σIIは、上記応力と歪が線形の関係にあるという前提で算出されたものであるため正確な値でなく、以下に説明する応力σII′として別途計算し直して図30の評価用応力テーブルに記録される。即ち、以下に示す数式17により応力を計算する。
Figure 0004596908
この式においてDはεの関数である。ここで、より具体的に説明すると、数式18にようにDの関数を積分することにより応力の増分Δσを算出する。
Figure 0004596908
そして、数式19は、数式18の積分表記の応力の増分Δσをコンピュータ計算用に工程n−1から工程nまでの区間をm等分して足し算の和として表し、これにより計算された応力の増分Δσを工程前の応力σn−1に加算することになる。
Figure 0004596908
ここで、mは10程度に設定して計算量が多くならないようにしている。
一方、上記数式17において、斜体で示した項は図28の補間歪テーブルに記録された補間歪及び図29の補間応力テーブルに記憶された補間応力である。このとき、図23の歪テーブルに記録された評価点における歪から、図27の評価点マッピングテーブルにおいて当該評価点に対応する座標(r,s)における補間歪を減算して当該評価点における歪の増分を算出し、この増分に基いて応力の増分を算出する。次に、工程2前の第2設計案において補間した応力に、上記応力の増分を加算することによって、工程2後の第3設計案における応力σII′が求められる。そして、求めた応力II′を評価用応力テーブルに記録する。
図30の評価用応力テーブルの、工程3後の第1設計案に係る各評価点の応力σIII′は、数式20により算出される。なお、この数式におけるDは、上記数式17で使用したものと同じ関数である。
Figure 0004596908
工程3以降においては、応力の増分を加算する対象として、工程3後の第1設計案の各評価点に対応する点で、評価用応力テーブルに記録された工程2後の第3設計案に係る応力分布に基いて補間した応力σII′を用いることになる。
そして、プロセスP60で、工程mが最終工程4か否かを判定し、工程mが最終工程4でないときは、プロセスP61でmに1を加算して次の工程を設定し、プロセスP52に戻る。
そして、プロセスP60で工程mが最終工程4である場合は、図31のメインプログラムに戻ってプロセスP12で、評価指標値算出、即ち当該成形経路の評価を行う。
この評価指標値算出は、成形経路評価サブプログラムにより実行され、当該成形経路における加工の際の安全性、即ちしわや割れ等の欠陥の発生などを評価するものであって、各設計案及び最終形状における各評価点の応力、歪、板厚減少率に基いて、各成形経路ごとに評価即ちしわや割れ等の発生の指標となる評価指標値を求めることになる。なお、応力、歪、板厚減少率のデータを用いて安全性の評価を行う方法は各種のものがあるが、以下にその一例を説明する。
まず、図23の歪テーブルに記録された主歪ε1、ε2を用いた評価では、縦軸を主歪ε1、横軸をε2としたグラフに各評価点の主歪ε1、ε2をプロットして、成形限界線に対する位置関係を調べる。成形限界線は、材料に応じて決まる曲線であり、予め実験的又は理論的に導き出されたものである。そして、図61に示すように、プロットした点が成形限界線より上方に位置する場合(●で示す)は、成形の結果欠陥が生じる可能性が高く、成形限界線より下方に位置する場合(○で示す)は、成形の結果欠陥が生じる可能性が低いと判断できる。そして、この評価を当該成形経路を構成する各設計形状について行い、評価結果に基いて当該成形経路の評価指標値を求める。また、成形限界線から大きく下方に逸脱する点が存在する場合は評価指標値をゼロに設定する。なお、主歪ε1(最大歪)、ε2(最小歪)は、数式21により算出されたものである。
Figure 0004596908
また、図23の歪テーブルに記録された板厚減少率は、成形前の評価点における板厚が成形後に減少した割合を示し、板厚減少率が80%以上になったときにしわやわれが発生する可能性が高いなどの評価を行うことができる。そして、当該成形経路を構成する各設計形状について板厚減少率を求め、これに基いて当該成形経路の評価指標値を求める。なお、板厚減少率が80%以上の箇所が存在する場合は評価指標値をゼロに設定する。
一方、成形により一部塑性変形が生じているときには、図30の評価用応力テーブルに記録された評価点の厚み方向の応力分布に応じて、外部からの拘束が外されたときに、板厚内部では弾性変形部分が復元しようとするのに対して、塑性変形部分がこの復元を妨げるように作用する。その結果、板厚方向の応力分布に応じた所定のモーメントが生じ、スプリングバックが発生する。そして、スプリングバックが生じた後は、図62に示すように、厚み方向の残留応力分布が釣り合った状態で安定することになる。なお、スプリングバック量の算出に際しては、厚さ方向の応力分布から各節点に作用するモーメントを計算し、該モーメントによりたわみ量を計算することができ、該たわみ量により残留応力分布を得る方法が周知である。そして、求めたスプリングバック量により評価指標値を求める。
そして、得られた各成形経路ごとの評価指標値を一旦記憶し、図31のメインプログラムに戻ってプロセスP13に進む。ここでは全成形経路、即ち図53の例においては18通り全ての成形経路についての評価が完了したか否かを判定し、完了していない場合はプロセスP10に戻って未評価の成形経路について評価を行うことになる。そして、全成形経路について評価が完了している場合は、プロセスP14に進み、記憶された成形経路の評価結果に基いて最適成形経路を決定する。具体的には、各成形経路の評価指標値を比較して、所定の閾値を越えているものから、最も数値の高いものを最適成形経路とする。また、各種の評価手法により得られた評価指標値を複合的に評価して最適成形経路を求めるようにしてもよい。例えば主歪、板厚減少率により求めた評価指標値のうち、所定の閾値を超えているものに対して、スプリングバック量による評価指標値が最も良いものを最適成形経路にする等である。
なお、ここでは各成形経路について初期形状から最終形状に至る評価結果を全て揃えた上で安全性評価を行うようにしているが、各工程ごとに評価を行い、評価指標値により欠陥の発生が判明した時点でその成形経路については評価をNGとして、次の成形経路についての評価を開始するようにしてもよく、さらに、欠陥の発生が判明した設計案を含む成形経路すべてについて以後シミュレーションを中止するようにしてもよく、これらによって計算量の削減を図ることができる。
さらに、プロセスP15では、トリミングラインの決定を行う。図32に示した第1中間形状に対してトリミングを施して図33に示した第2中間形状に成形するときを例に説明すると、評価点マッピングテーブルで第1中間形状の平面展開モデルにおいて第2中間形状の平面展開モデルの各評価点の座標を含む要素を、第1中間形状に反映させる。つまり、図63の表示装置15hの画面に斜線の領域で示すように反映され、斜線の領域の輪郭がトリミングラインとなる。これによって、金型の設計者は、各工程の中間設計形状を示すだけで、自動的にトリミングラインを設定することができる。
以上のような方法によれば、多段階成形において、各設計形状についての平面展開モデルを同様に繰り返し作成し、各平面展開モデルの各要素の変形に基いて応力、歪、又は厚みの少なくとも1つを求め、各要素の応力、歪、又は厚みに基いて各工程によるしわや割れ等の欠陥の発生などを評価することができる。このように、各中間形状をあたかも最終形状のように扱うことによって、欠陥の発生する可能性の高い工程を特定することができると共に、得られた応力、歪、又は厚みの情報(例えば、工程前後の歪の差)に基いて中間形状の設計変更等を行うなどの対策をとることができる。
また、各設計形状について作成された解析モデルからワンステップで平面展開モデルを作成し、展開計算結果の各要素の変形に基づいて計算された各要素の応力、歪、又は厚みのデータにより、多段階成形のシミュレーションに使用する大方のデータが揃うことになる。従って、従来のように金型や周囲の部材等をモデル化する必要がないので扱うデータ量が少なく、各平面展開モデルの各要素についての応力、歪、厚みの値を組み合わせるだけで簡単に各工程での欠陥の発生を評価することができ、圧倒的な計算の簡素化及び高速化を実現することができる。
さらに、金型の設計者が各工程で得られる中間形状の複数の設計案を用意する場合、各設計案における各要素の応力、歪、又は厚みに基いて、最適な成形経路、即ち最適となる中間設計形状の組合せを判定することができる。
このように、複数の成形経路から最適なものを選択する際も、各設計形状ごとにワンステップ法により得られた応力、歪、又は厚みのデータを組合せるだけでよく、扱うデータ量が少なく、計算の簡素化及び高速化が実現される一方、多くの中間設計形状の設計案を用意してより適当となる中間設計形状を得ることができる。
また、各要素の厚み方向に複数のレイヤー要素を設定して各レイヤー要素において、展開計算で得られた歪と各設計形状の曲率に基いて計算された曲げ歪とを加算して合計歪とし、工程前後の平面展開モデルの対応するレイヤー要素の合計歪の差を算出して、この差に基いて各レイヤー要素の応力が計算できると共に、各要素の厚み方向の曲げ歪を考慮した応力分布が得られ、スプリングバックを適正に評価することができる。そして、金型の設計者は、厚み方向の応力分布に基いて金型を設計することができ、例えば加工の際にスプリングバック量を見込んで余分に曲げるように金型を設計する等の対策をとることができ、工程により得られる形状の寸法精度を向上させることができる。このように、ワンステップ法により得られたデータを組み合わせてスプリングバックの評価を行うことができるので、従来のシステムに比べて計算の簡素化及び高速化を実現することができる。
ところで、プログラム記録部14aに記録されたマッピング処理サブプログラム及び描画サブプログラムは、応力、歪、板厚の分布等を表示装置15に出力するためのプログラムであって、マッピング処理サブプログラムにより平面展開モデル又は製品形状に各分布を反映させ、描画サブプログラムにより分布図として表示することになる。
なお、上記解析モデル作成プログラム、解析計算プログラム、描画サブプログラム、及びマッピング処理サブプログラムは、コンピュータ10に予めインストールされた既存のプログラムを用いたものであってもよい。この場合、既存の解析モデル作成サブプログラムにより作成された解析モデルは解析用基礎データ作成サブプログラム等のフォーマットに統一され、他のプログラムとの互換性が確保される。一方、解析用データ作成サブプログラムにより作成した解析用データは、既存の解析計算サブプログラムのフォーマットに統一され、解析用データは解析計算サブプログラムとの互換性が確保される。同様に、既存の解析計算サブプログラムの解析結果は、描画サブプログラム及び加工用データ作成サブプログラムのフォーマットに統一され、これらのプログラムとの互換性が確保される。また、評価用データ作成サブプログラムにより作成した評価用データは、成形経路評価サブプログラムのフォーマットに統一され、評価用データは成形経路評価サブプログラムのフォーマットに統一される。
本発明は、上記のような実情に鑑み、多段階成形のシミュレーションの簡素化及び高速化を図ると共に、スプリングバックのシミュレーションをも同時に行うことができるシステムを提供する。本発明は、板状ブランクを用いた成形の結果を有限要素法を用いてシミュレーションするシステム、より詳しくは、複数工程による各中間形状を経て最終製品形状に成形する多段階成形をシミュレーションする多段階成形シミュレーションシステム及び多段階成形シミュレーション用プログラムに関し、コンピュータによる有限要素解析技術の分野に広く好適である。
本発明の概念の説明に係る製品形状及び解析モデルの説明図である。 同じくトリミングラインの説明図である。 本発明の実施の形態に係るシステムの全体構成を示すブロック図である。 同システムの記録装置に記録されているプログラムの説明図である。 同じくデータファイルの説明図である。 解析モデルの一部を拡大した各要素及び節点の説明図である。 解析モデルデータファイルに含まれる要素構成テーブルの説明図である。 同じく節点座標テーブルの説明図である。 解析用基礎データファイルに含まれる節点構成テーブルの説明図である。 同じく要素中心座標テーブルの説明図である。 同じく要素ベクトルテーブルの説明図である。 同じく要素回転軸ベクトルテーブルの説明図である。 要素回転軸ベクトル生成方法の説明図である。 解析用基礎データファイルに含まれる要素回転角度テーブルの説明図である。 同じく分離要素構成テーブルの説明図である。 同じく元節点−分離要素の節点テーブルの説明図である。 同じく分離要素の節点座標テーブルの説明図である。 同じく節点ベクトルテーブルの説明図である。 節点ベクトルテーブル算出過程の説明図である。 同じく拘束条件テーブルの説明図である。 材料属性データファイルを構成する材料特性テーブルの説明図である。 解析結果データファイルに含まれる解析結果テーブルの説明図 である。 同じく歪テーブルの説明図である。 評価点の説明図である。 レイヤーの説明図である。 解析結果データファイルに含まれる応力テーブルの説明図である。 評価用データファイルに含まれる評価点マッピングテーブルの説明図である。 同じく補間歪テーブルの説明図である。 同じく補間応力テーブルの説明図である。 同じく評価用応力テーブルの説明図である。 システム全体を制御するメインプログラムの動作を示すフローチャートである。 第1中間形状のCAD図面を表示する画面の説明図である。 第2中間形状のCAD図面を表示する画面の説明図である。 最終形状のCAD図面を表示する画面の説明図である。 図30中のA−A線及び図31中のB−B線による断面図である。 第1中間形状を有限要素分割した解析モデルを表示する画面の説明図である。 解析用基礎データ作成サブプログラムの動作を示すフローチャートである。 図29の領域Pの拡大図である。 図31の各要素を回転させた要素分離モデルの説明図である。 図32の各要素をxy平面に投影したときの説明図である。 拘束条件に係る節点の扱いの説明図である。 解析用データ作成プログラムの動作を示すフローチャートである。 2節点間にバネ要素を設定した例を示す説明図である。 第1中間形状の平面展開モデルを表示する画面の説明図である。 面内歪分布の説明図である。 曲げ歪の計算に係る要素の説明図である。 座標変換の説明図である。 XY座標系における角度差の説明図である。 曲げ歪算出過程の説明図である。 曲げ歪分布の説明図である。 トータルの歪分布の説明図である。 塑性変形を含む時の応力分布の説明図である。 工程に複数の中間形状の設計案があるときの成形経路の説明図である。 評価用データ作成サブプログラムの動作を示すフローチャートである。 第2中間形状の平面展開モデルを表示する画面の説明図である。 第1、第2中間形状による平面展開モデルを重ね合わせたときの画面の説明図である。 評価点マッピングの説明図である。 評価点のrs座標系における位置の説明図である。 設計案の組合せ例と各設計案における応力算出の説明図である。 応力―歪特性の非線形性を表すグラフである。 主歪による安全性評価の例を示すグラフである。 残留応力分布の説明図である。 トリミングラインの説明図である。
符号の説明
10 コンピュータ
11 中央処理装置
12 入力装置
13 データ読み込み装置
14 記憶装置
15 表示装置

Claims (12)

  1. 板材をブランクとする複数工程による成形結果を有限要素法を用いてシミュレーションするシステムであって、最終設計形状及び最終設計形状に至る1又は複数の中間設計形状を入力する入力装置と、入力された複数の設計形状について各種処理を行う処理装置と、該処理装置による処理結果を出力する出力装置とが備えられていると共に、上記処理装置は、上記入力装置で入力された設計形状を有限要素分割して解析モデルを作成する解析モデル作成手段と、該作成手段で作成した解析モデルの各要素を所定平面に平行になるようにその中心回りに回転させる要素回転手段と、該回転手段で回転された各要素を上記所定平面上に投影させた状態で、上記解析モデルで同一節点を共有していた節点同士が一致するように応力の釣合を保ちながら各要素を変形させて解析モデルの平面展開モデルを作成する展開モデル作成手段と、該作成手段で作成した平面展開モデルの各要素についてそれぞれの変形に応じた応力、歪、又は厚みの少なくとも1つを算出する演算手段と、各設計形状について同様に作成した平面展開モデルの各要素の応力、歪、又は厚みの少なくとも1つに基いて各工程による成形結果を評価する評価手段とを有することを特徴とする多段階成形シミュレーションシステム。
  2. 要素回転手段は、要素中心の法線ベクトルと要素中心を通って所定平面に直交する所定平面直交ベクトルとを作成し、上記要素中心の法線ベクトルが上記所定平面直交ベクトルに一致するように各要素を回転させることを特徴とする請求項1に記載の多段階成形シミュレーションシステム。
  3. 展開モデル作成手段は、回転手段で回転された各要素を所定平面上に投影させた状態で、要素回転前の解析モデルで同一節点を共有していた節点同士に各節点間距離に応じた引っ張り荷重を設定し、この引っ張り荷重により解析モデルで同一節点を共有していた節点同士が引っ張り荷重の釣合を保ちながら一致するように各要素を変形させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多段階成形シミュレーションシステム。
  4. 所定の工程で展開モデル作成手段により得られた平面展開モデルとその工程前の平面展開モデルの対応する位置にそれぞれ基準点を設定し、これらの基準点を用いて両平面展開モデルの位置合せを行う位置合せ手段が備えられ、演算手段は、該位置合せ手段によって位置合せされた当該工程前後の平面展開モデルの互いに対応する要素における歪の差を演算し、その差に基いて、当該工程後の平面展開モデルにおける各要素の応力を計算することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の多段階成形シミュレーションシステム。
  5. 中間設計形状を得る少なくとも1つの工程にその中間設計形状として複数の設計形状が設定されている場合に、この複数の中間設計形状をそれぞれ経由して最終設計形状に至る複数の成形経路を設定する成形経路設定手段が備えられ、演算手段は、各経路ごとに経路を構成する各設計形状について平面展開モデルの各要素の応力、歪、又は厚みの少なくとも1つを算出すると共に、それらの算出結果に基いて最適な成形経路を判定する判定手段が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の多段階成形シミュレーションシステム。
  6. 平面展開モデルの各要素ごとに厚み方向に複数のレイヤー要素を設定するレイヤー要素設定手段と、所定の工程で展開モデル作成手段により得られた平面展開モデルとその工程前の平面展開モデルとの対応する位置にそれぞれ基準点を設定し、これらの基準点を用いて両平面展開モデルの位置合せを行う位置合せ手段と、当該工程前後の設計形状の曲率から平面展開モデルにおける各レイヤー要素の曲げ歪を算出する曲げ歪算出手段と、レイヤー要素ごとに、演算手段を用いて算出した歪と上記曲げ歪算出手段により算出した曲げ歪とを加算して合計歪を算出する合計歪算出手段と、当該工程前後の平面展開モデルの互いに対応するレイヤー要素における合計歪の差に基いて当該工程後の平面展開モデルにおける各レイヤー要素の応力を算出するレイヤー要素応力算出手段と、該算出手段により算出した応力を用いて各要素の厚み方向の応力分布を作成する応力分布作成手段と、該作成手段で作成した応力分布に基いて当該工程後のスプリングバックの評価を行うスプリングバック評価手段を行うスプリングバック評価手段とを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の多段階成形シミュレーションシステム。
  7. 所定の工程で展開モデル作成手段により得られた平面展開モデルとその工程前の平面展開モデルとの対応する位置にそれぞれ基準点を設定し、これらの基準点を用いて両平面展開モデルの位置合せを行う位置合せ手段と、両平面展開モデルの輪郭形状に基いてトリミングラインを設定するトリミングライン設定手段を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の多段階成形シミュレーションシステム。
  8. 最終設計形状及び最終設計形状に至る1又は複数の中間設計形状を入力する入力装置と、入力された複数の設計形状について各種処理を行う処理装置と、該処理装置による処理結果を出力する出力装置とが備えられ、上記入力装置で入力された設計形状を有限要素分割して解析モデルを作成する解析モデル作成機能を有するコンピュータに用いられ、板材をブランクとする複数工程による成形結果を有限要素法を用いてシミュレーションするためのプログラムであって、該コンピュータを、上記解析モデル作成機能により作成した解析モデルの各要素を所定平面に平行になるようにその中心回りに回転させる要素回転手段、該回転手段で回転された各要素を上記所定平面上に投影させた状態で、上記解析モデルで同一節点を共有していた節点同士が一致するように応力の釣合を保ちながら各要素を変形させて解析モデルの平面展開モデルを作成する展開モデル作成手段、該作成手段で作成した平面展開モデルの各要素についてそれぞれの変形に応じた応力、歪、又は厚みの少なくとも1つを算出する演算手段、各設計形状について同様に作成した平面展開モデルの各要素の応力、歪、又は厚みの少なくとも1つに基いて各工程による成形結果を評価する評価手段として機能させることを特徴とする多段階成形シミュレーション用プログラム。
  9. 最終設計形状及び最終設計形状に至る1又は複数の中間設計形状を入力する入力装置と、入力された複数の設計形状について各種処理を行う処理装置と、該処理装置による処理結果を出力する出力装置とが備えられたコンピュータに用いられ、板材をブランクとする複数工程による成形結果を有限要素法を用いてシミュレーションするためのプログラムであって、該コンピュータを、上記入力装置で入力された設計形状を有限要素分割して解析モデルを作成する解析モデル作成手段、該作成手段により作成した解析モデルの各要素を所定平面に平行になるようにその中心回りに回転させる要素回転手段、該回転手段で回転された各要素を上記所定平面上に投影させた状態で、上記解析モデルで同一節点を共有していた節点同士が一致するように応力の釣合を保ちながら各要素を変形させて解析モデルの平面展開モデルを作成する展開モデル作成手段、該作成手段で作成した平面展開モデルの各要素についてそれぞれの変形に応じた応力、歪、又は厚みの少なくとも1つを算出する演算手段、各設計形状について同様に作成した平面展開モデルの各要素の応力、歪、又は厚みの少なくとも1つに基いて各工程による成形結果を評価する評価手段として機能させることを特徴とする多段階成形シミュレーション用プログラム。
  10. コンピュータを、中間設計形状を得る少なくとも1つの工程にその中間設計形状として複数の設計形状が設定されている場合に、この複数の中間設計形状をそれぞれ経由して最終設計形状に至る複数の成形経路を設定する成形経路設定手段として機能させると共に、演算手段として機能させるときは、各経路ごとに経路を構成する各設計形状について平面展開モデルの各要素の応力、歪、又は厚みの少なくとも1つを算出する一方、それらの算出結果に基いて最適な成形経路を判定する判定手段として機能させることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の多段階成形シミュレーション用プログラム。
  11. コンピュータを、平面展開モデルの各要素ごとに厚み方向に複数のレイヤー要素を設定するレイヤー要素設定手段、所定の工程で展開モデル作成手段により得られた平面展開モデルとその工程前の平面展開モデルとの対応する位置にそれぞれ基準点を設定し、これらの基準点を用いて両平面展開モデルの位置合せを行う位置合せ手段、当該工程前後の設計形状の曲率から平面展開モデルにおける各レイヤー要素の曲げ歪を算出する曲げ歪算出手段、レイヤー要素ごとに、演算手段を用いて算出した歪と上記曲げ歪算出手段により算出した曲げ歪とを加算して合計歪を算出する合計歪算出手段、当該工程前後の平面展開モデルの互いに対応するレイヤー要素における合計歪の差に基いて当該工程後の平面展開モデルにおける各レイヤー要素の応力を算出するレイヤー要素応力算出手段、該算出手段により算出した応力を用いて各要素の厚み方向の応力分布を作成する応力分布作成手段、該作成手段で作成した応力分布に基いて当該工程後のスプリングバックの評価を行うスプリングバック評価手段を行うスプリングバック評価手段として機能させることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の多段階成形シミュレーション用プログラム。
  12. コンピュータを、所定の工程で展開モデル作成手段により得られた平面展開モデルとその工程前の平面展開モデルとの対応する位置にそれぞれ基準点を設定し、これらの基準点を用いて両平面展開モデルの位置合せを行う位置合せ手段、両平面展開モデルの輪郭形状に基いてトリミングラインを設定するトリミングライン設定手段として機能させることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の多段階成形シミュレーション用プログラム。
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