JP4596793B2 - 冬虫夏草より見出された新規抗酸化活性物質とその利用 - Google Patents

冬虫夏草より見出された新規抗酸化活性物質とその利用 Download PDF

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Description

本発明は、冬虫夏草より見出された新規抗酸化活性物質とその利用に関するものである。本発明の新規化合物は、フリーラジカル消去活性や活性酸素消去活性を有する抗酸化剤として利用できるほか、機能性食品、医薬、化粧料等にも利用し得るものである。
冬虫夏草は、強壮、強精、不老長寿、滋養強壮の妙薬(漢方薬)として古くから民間で使用されていたが、最近では生活様式の変化や健康志向の高まりから機能性食品としての利用も進んでいる。
その中、本発明者は、下記の特許文献1において、高確率でしかも短期間に冬虫夏草の菌体の胞子から子実体を形成させる冬虫夏草の人工培養方法を提供すると共に、冬虫夏草ハナサナギタケ(Isaria japonica)からの抽出物が、フリーラジカル消去活性、スーパーオキシド消去活性などの強い抗酸化活性を有することを明らかにした。この抽出物が機能性食品(いわゆる健康食品、健康飲料、保健機能食品等)として有用であることも同文献に開示されている。
また、下記の特許文献2には、上記ハナサナギタケからの抽出物が抗酸化活性のみならずチロシナーゼ阻害活性を有し、この抽出物を含有する化粧料がしわの形成予防や改善などいわゆる皮膚の老化対策に有効であることが開示されている。
特開2002−272267号公報 特開2003−128515号公報
上述のように、ハナサナギタケからの抽出物が強い抗酸化活性を有することは本発明者によって明らかにされているが、抽出物中に存在する抗酸化活性物質は未だ同定されていなかった。抗酸化活性の有効成分がより純化された物質として取得することができれば、より安全で有効性の安定した生理活性物質として機能性食品、医薬、化粧料等に幅広く利用することができる。
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、冬虫夏草に含有される新規抗酸化活性物質を見出すこと、および同物質を利用した機能性食品、医薬などを提供することにある。
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意研究を進めた結果、冬虫夏草ハナサナギタケから分離精製された新規化合物(即ち、後述の「ハナサナギン」)がフリーラジカル消去活性やスーパーオキシド消去活性などの強い抗酸化活性を有すること、また、その前駆体であるチロシン体が上記ハナサナギンの製造などに利用可能な新規化合物であること、等を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、産業上および医療上有用な発明として、下記A)〜G)の発明を包含するものである。
A) 下記の式(1)により表される化合物(即ち、3,4-diguanidinobutanoyl-DOPA:3,4−ジグアニジノブタノイル-DOPA)、又はその薬理上許容される塩。
Figure 0004596793
B) 上記式(1)により表される化合物、又はその薬理上許容される塩を有効成分とする抗酸化剤。
C) 上記式(1)により表される化合物、又はその薬理上許容される塩を含有する機能性食品。
D) 上記式(1)により表される化合物、又はその薬理上許容される塩を有効成分とする医薬。
E) 下記の式(2)により表される化合物(3,4-diguanidinobutanoyltyrosine:3,4−ジグアニジノブタノイルチロシン)、又はその薬理上許容される塩。
Figure 0004596793
F) 上記式(2)により表される化合物をチロシナーゼで処理することにより、上記式(1)により表される化合物を製造する方法。
G) 上記式(1)により表される化合物を、2,3-diaminopropanoic acid(2,3−ジアミノプロパン酸)より化学合成する方法。
上記式(1)の化合物3,4−ジグアニジノブタノイル-DOPAには、後述の実施例に示すように、フリーラジカル(DPPH:1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)消去能やスーパーオキシドアニオン消去能などの強い抗酸化活性が認められるので、同物質並びにその薬理上許容される塩は、新規抗酸化活性物質として(あるいは他の有用な生理活性物質として)機能性食品、医薬、化粧料等に産業上幅広く利用することができる。
また、その前駆体である上記式(2)の化合物3,4−ジグアニジノブタノイルチロシンは、チロシナーゼ酵素で処理することにより、上記式(1)の化合物3,4−ジグアニジノブタノイル-DOPAを高収量で製造することができ、その原材料として有用であるほか、医薬品開発過程におけるリード化合物などにも利用できる可能性がある。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明者は、ハナサナギタケ(Isaria japonica)の抽出物から強い抗酸化活性を有する画分を得た。さらに、得られた画分に含まれる化合物について、その構造を1H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C−核磁気共鳴スペクトル法、および質量分析法(MALDI-TOF-MSとHR-FAB-MS)により決定したところ、上記式(1)の構造を有する新規化合物3,4−ジグアニジノブタノイル-DOPAであると同定し、ハナサナギタケから得られた新規物質として「ハナサナギン」と命名した。
上記ハナサナギンを精製し、その抗酸化活性を調べたところ、強い抗酸化活性が認められた。特に、スーパーオキシドアニオン消去能については、ハナサナギンはポジティブコントロールであるアスコルビン酸よりも約1.9倍強い活性を有していた。尚、これら各実験方法、実験結果の詳細は後述の実施例において説明することとするが、以下では、図1を参照しつつ簡単に上記ハナサナギンの精製方法について説明する。
まず、蚕の蛹を寄主とする冬虫夏草ハナサナギタケ子実体(湿重193g)を60%エタノールで6回抽出し、粗抽出物41.3gを得た。次に、得られた粗抽出物をDiaion HP-20カラムで簡易的に逆相分画した。その溶出物中である5%メタノール画分(2065mg)を逆相HPLC精製した結果、新規抗酸化活性物質ハナサナギン(36mg)とその前駆体(740mg)が得られた。図3には、各抽出物のHPLC分析クロマトグラムの結果が示される。
このように、本発明の新規抗酸化活性物質ハナサナギンは、天然物から単離・精製することができるが、ハナサナギンの製造方法としてはこれに限定されるものではなく、公知の化学合成法をもとに合成したものであってもよいし、天然物から得られた物質を原材料として反応等の処理を施し、製造してもよい。
一例として、本発明者が実際に化学合成法によりハナサナギンを製造した方法について、図13に基づいて説明する。
まず、市販の2,3−ジアミノプロパン酸(1)を塩基性条件下で(Boc)2Oと反応させ、アミノ基をBoc基で保護した(2)。次に、化合物(2)を酢酸エチル中クロロギ酸エチルと反応させて酸無水物とした後に、エーテル中のジアゾメタン処理ついで塩基性条件下メタノール中で安息香酸銀処理して一炭素増炭したArndt-Eistert反応生成物(3)とした。
上記生成物(3)のメチルエステルをアルカリ加水分解して、遊離のカルボン酸(4)とした後に、O-t-ブチルチロシンメチルエステル塩酸塩と塩基性条件下でEDC(1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)-carbodiimide hydrochloride)を脱水剤として縮合させ、保護ジペプチド(5)とした。
上記保護ジペプチド(5)をTFA処理してBoc保護基とt-ブチル保護基を脱離させ、ついで、塩基性条件下でO-メチルイソ尿素と処理したところ、アミノ基のグアジニル化と共にメチルエステルの加水分解も進行し、一挙にハナサナギンの前駆体である3,4−ジグアニジノブタノイルチロシン(7)が生成した。
そして、この3,4−ジグアニジノブタノイルチロシン(7)をホウ酸緩衝液中、チロシナーゼ処理すると目的の3,4−ジグアニジノブタノイル-DOPA(8)、即ち、本発明のハナサナギンが得られる。
このように、前駆体3,4−ジグアニジノブタノイルチロシンは、ハナサナギンを化学合成する際の材料に使用できる。
ハナサナギンには強い抗酸化活性が認められるので、同物質並びにその薬理上許容される塩は、新規抗酸化活性物質として機能性食品(食用組成物)の原材料、医薬等に利用可能である。例えば、鎮痛、抗エイズ、アルコール中毒改善、抗アレルギー、抗狭心症、抗不整脈、抗動脈硬化、抗喘息、抗菌、抗糖尿病、解毒、抗炎症、抗高脂血症、DNA変異抑制、抗パーキンソン病、抗乾癬、抗リウマチ、抗潰瘍、脳機能保護、細胞増殖抑制、皮膚疾患改善、肝機能賦活、降圧、免疫抑制、腎機能賦活、神経細胞保護、向知能、眼科疾患改善、放射線防御、血管賦活、抗ウイルス、傷薬、虚弱体質の改善などの予防、保健、治療に有効な効果が期待される。
また、ハナサナギタケからの抽出物は、抗酸化活性のほかに、マクロファージからの腫瘍壊死因子(TNF‐α)産生促進活性およびマクロファージからの一酸化窒素(NO)産生促進活性などの生理活性を有していたので(特開2002−272267号公報参照)、ハナサナギンもこれらの生理活性を有している可能性がある。その場合、ハナサナギンは、免疫能の増強、抗がん、抗ウイルス、強心、心筋収縮力の増強、疲労回復、肉体精神疲労の回復などの予防、保健、治療にすぐれた薬理効果が期待できる。
さらに、抗酸化作用を有するハナサナギンは、皮膚の老化防止に効果のある化粧料としても有用である(特開2003−128515号公報参照)。
本発明には上記ハナサナギンの薬理上許容される塩も含まれるが、このような薬理上許容される塩としては、フッ化水素酸塩、塩酸塩などのハロゲン化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの無機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、スルホン酸塩、および、有機酸塩を例示することができる。
本発明のハナサナギン、又はその薬理上許容される塩を医薬品へ利用する場合、その一態様として、本発明の化合物を医薬品開発過程におけるリード化合物として利用するものであってもよい。ハナサナギンの前駆体もこのようなリード化合物に利用できる可能性がある。
本発明の化合物を医薬品(医薬用組成物)に用いる場合の一例について説明する。本発明の化合物は、これをそのまま、あるいは慣用の医薬製剤担体とともに医薬用組成物となし、ヒト(または動物)に投与することができる。医薬用組成物の剤形としては特に制限されるものではなく必要に応じて適宜選択すればよいが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤、注射剤、坐剤、塗布剤等の非経口剤が挙げられる。
錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤は、例えば、デンプン、乳糖、白糖、トレハロース、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を用いて常法に従って製造される。これらの製剤中の本発明の化合物の配合量は特に限定されるものではなく適宜設定できる。この種の製剤には、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を適宜に使用することができる。
非経口剤の場合、患者の年齢、体重、疾患の程度などに応じて用量を調節し、例えば、静注、点滴静注、皮下注射、筋肉注射などによって投与する。この非経口剤は常法に従って製造され、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水等を用いることができる。さらに必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤を加えてもよい。また、この非経口剤は安定性の点から、バイアル等に充填後冷凍し、通常の凍結乾燥処理により水分を除き、使用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもできる。さらに必要に応じて、等張化剤、安定剤、防腐剤、無痛化剤を加えてもよい。これら製剤中の本発明の化合物の配合量は特に限定されるものではなく任意に設定できる。その他の非経口剤の例として、外用液剤、軟膏等の塗布剤、直腸内投与のための坐剤等が挙げられ、これらも常法に従って製造される。
なお、公知のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を利用し、例えば、本発明の化合物をリポソームなどの運搬体に封入して体内投与してもよい。このとき標的部位の細胞を特異的に認識する運搬体などを利用すれば、標的部位に本発明の化合物を効率よく運ぶことができ効果的である。
本発明の化合物を食品(食用組成物)に用いる場合は、各種飲料や各種加工食品の原材料として本発明の化合物を飲食品に添加したり、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉等の賦形剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加工して健康食品や保健食品等として利用できる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
冬虫夏草ハナサナギタケ(Isaria japonica)から本発明の新規化合物を、以下のような手順で抽出・精製し、その構造を決定した。
(1)ハナサナギタケからの新規抗酸化活性物質の精製
図1および図2に、本実施例の精製方法(一部)が示される。
まず、ハナサナギタケを蚕蛹からピンセットでつまみ取り、湿重で193g(シヤーレ50枚分、蚕蛹750個体)得た。このハナサナギタケ(湿重193g)を液体窒素中で凍結粉砕後、60%エタノールを用い、室温で6回抽出を行いエタノール粗抽出物41.3gを得た。さらに、60%エタノール抽出残渣について、102℃、60分の条件下で、熱水抽出を2回行い、熱水粗抽出物14.6gを得た。
上記エタノール粗抽出物41.3gのうち10gをDiaion HP20(1000mL)を充填剤として用いた逆相オープンカラムクロマトグラフィーで分画した(溶出溶媒2L)。
得られた18画分について電子スピン共鳴(ESR)法によりDPPHラジカル消去活性を測定した。その結果、5%メタノール溶出画分(500mg)の比活性、活性総量が高かったため、この画分の半量を逆相HPLCで分離精製した。その結果、フラクション26と27に強い活性が認められ、後述の構造解析の結果、新規抗酸化活性物質(ドーパ体:収量4.4mg)であると同定された。また、フラクション30〜34には、その前駆体(チロシン体:収量90mg)が得られた。図3には、各抽出物のHPLC分析クロマトグラムの結果が示される。
同様の方法により、残りのエタノール粗抽出物から新規抗酸化活性物質とその前駆体を精製した。その結果、前回のクロマトグラフィーにおける収量を加え、新規抗酸化活性物質36mgとその前駆体740mgを得た。
さらに、前記の熱水粗抽出物について逆相HPLCによる精製を行い、新規抗酸化活性物質88mgとその前駆体1653mgを得た。
最終的に、湿重193gのハナサナギタケを試料として、124mgの新規抗酸化活性物質と2393mgの前駆体が得られた。
(2)新規抗酸化活性物質とその前駆体の構造決定
上記方法により得られた新規抗酸化活性物質とその前駆体の各構造を決定する目的で、一次元NMR,MALDI−TOF−MS,HR−FAB−MSを測定した。それらのうち、1H,13C−NMRデータ(重水中)が図4および図5に示される。
さらに、二次元NMRを測定し、各構造を推測した。その結果、新規抗酸化活性物質については、下記の式(1)に示される構造を有する新規化合物(3,4-diguanidinobutanoyl-DOPA:3,4−ジグアニジノブタノイル-DOPA)であると判断され、本発明者は、この新規化合物を「ハナサナギン」と命名した。
Figure 0004596793
また、その前駆体については、下記の式(2)に示される構造を有する新規化合物(3,4-diguanidinobutanoyltyrosine:3,4−ジグアニジノブタノイルチロシン)であると判断された。
Figure 0004596793
〔化学誘導〕
上記のように、ハナサナギンおよびその前駆体の2つの化合物は、分子内に官能基として二つのグアニジノ基を有していると推測された。
そこで、この推測を確かめるために新規抗酸化活性物質についてアセチルアセトンと反応させることにより誘導体として(下記Scheme.1)、得られた化合物についてNMR,MALDI−TOF−MSを測定し、その構造を決定した。前駆体についても同様の方法を用いて誘導化を行い、その構造を決定した。それらのうち、1H−NMRデータ(重ピリジン中)が図6および図7に示される。
これにより、誘導化を行う前に推定していた平面構造を確定した。
Figure 0004596793
〔チロシナーゼ誘導〕
構造決定した前駆体(Natural)をチロシナーゼ(酵素)で処理し、ハナサナギン(Enzymatic)へと誘導する反応を行った(下記Scheme.2)。図8には、ハナサナギン(Natural)、チロシナーゼ添加前の前駆体(Natural)、チロシナーゼ添加後、ハナサナギン(Enzymatic)の各HPLC分析クロマトグラムの結果が示される。また、この反応により得られたハナサナギン(Enzymatic)についてNMR,MALDI−TOF−MSを測定し、生合成的前駆体であると決定した。1H−NMRデータ(重水中)が図9に示される。
Figure 0004596793
(3)ハナサナギンの抗酸化活性
〔DPPHラジカル消去能〕
上記ハナサナギンとアスコルビン酸(ポジティブコントロール)についてDPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)ラジカル消去能をESRにより測定した。
試験方法
試験管内の水:エタノール(100:80)の混合水溶液180μLに試料の50%エタノール水溶液200μLを加え、さらに300μM DPPHエタノール溶液を20μL加えてよく攪拌し、一部をセルに採取し、90秒後にESR測定した。コントロールは試料の代わりに50%エタノール水溶液を用いた。
ESR測定条件(DPPH)は、次のとおりである。
温度 室温
マイクロ波出力 4mW
磁場 336.0mT
変調 100kHz,0.63×1mT
増幅率 7.9×100
応答時間 0.03秒
掃引時間 2分
測定溶媒 50%エタノール
試験結果
試験結果が図10のグラフに示される。アスコルビン酸とハナサナギンは、それぞれ3.1μM、8.1μMで50%のラジカル消去能を示した(同グラフ中、破線)。ハナサナギンはアスコルビン酸より約2.6倍弱い結果であったが、DPPHラジカル消去能は認められた。尚、同グラフ中、横軸に示した濃度は試験管内における最終濃度である。また、縦軸のラジカル消去率は次式で求めた。
消去率=[1−{試料の(B/A)/コントロールの(B/A)}]×100
A:MnO(内部標準)のシグナルの高さ
B:DPPH
〔スーパーオキシドアニオン消去能〕
次に、ハナサナギンとアスコルビン酸(ポジティブコントロール)についてスーパ−オキシドアニオン消去能をESRにより測定した。
試験方法
試験管に5.5mMジエチレンアミン五酢酸リン酸緩衝液70μL、2mMヒポキサンチンリン酸緩衝液100μLを入れ、試料のリン酸緩衝液100μL、0.92M DMPO(5,5-Dimethyl-1-Pyrroline-N-oxide)リン酸緩衝液30μLを順次加え、最後に0.4Unit/mLキサンチンオキシダーゼリン酸緩衝液100μLを加えてよく攪拌し、一部をセルに採取し、40秒後にESR測定した。コントロールは試料の代わりにリン酸緩衝液を用いた。
ESR測定条件(スーパーオキシド)は、次のとおりである。
温度 室温
マイクロ波出力 8mW
磁場 336.0mT
変調 100kHz,0.79×1mT
増幅率 10×100
応答時間 0.03秒
掃引時間 2分
測定溶媒 100mMリン酸緩衝液(pH=7.8)
試験結果
試験結果が図11のグラフに示される。アスコルビン酸とハナサナギンは、それぞれ40μM、21μMでY=5の値を示し(同グラフ中、破線)、ハナサナギンはアスコルビン酸より約1.9倍強い結果となった。尚、同グラフ中、横軸に示した濃度は試験管内における最終濃度である。また、縦軸のY値は、直線変換型検量線方式により次式で求めた。
Y={コントロールの(B/A)/試料の(B/A)}−1
A:MnO(内部標準)のシグナルの高さ
B:DMPO−OOHのシグナルの高さ
また、今回スーパーオキシドアニオン消去活性試験を行うにあたって、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)での検量線を作成し、それぞれのSOD活性を計算した。その活性は、ハナサナギンで 152 SOD units/umole、アスコルビン酸で 81 SOD units/umoleであった。図12は、図11の結果をSOD単位に換算するためのグラフである。
以上のように、上記ハナサナギンには強い抗酸化活性が認められ、本発明の新規化合物は、機能性食品、医薬、化粧料等として産業上幅広く利用することができる。
本発明に係る新規抗酸化活性物質の精製方法(一部)の概略を示すフローチャートである。 本発明に係る新規抗酸化活性物質の精製方法(一部)を示すフローチャートである。 冬虫夏草ハナサナギタケからの各抽出物のHPLC分析クロマトグラムの結果を示す図である。 冬虫夏草ハナサナギタケから得られた新規抗酸化活性物質ハナサナギンの1H,13C−NMRデータを示す図である。 上記ハナサナギンの前駆体の1H,13C−NMRデータを示す図である。 上記ハナサナギン誘導体の1H−NMRデータを示す図である。 上記前駆体の誘導体の1H−NMRデータを示す図である。 ハナサナギン(Natural)他の各HPLC分析クロマトグラムの結果を示す図である。 ハナサナギン(Enzymatic)の1H−NMRデータを示す図である。 ハナサナギンのDPPHラジカル消去能を検討した結果を示すグラフである。 ハナサナギンのスーパーオキシドアニオン消去能を検討した結果を示すグラフである。 図11の結果をSOD単位に換算するためのグラフである。 化学合成法によりハナサナギンを製造した方法について説明する図である。

Claims (5)

  1. 下記の式(1)により表される化合物、又はその薬理上許容される塩。
    Figure 0004596793
  2. 請求項1記載の式(1)により表される化合物、又はその薬理上許容される塩を有効成分とする抗酸化剤。
  3. 下記の式(2)により表される化合物、又はその薬理上許容される塩。
    Figure 0004596793
  4. 請求項記載の式(2)により表される化合物をチロシナーゼで処理することにより、請求項1記載の式(1)により表される化合物を製造する方法。
  5. 請求項1記載の式(1)により表される化合物を、以下の工程(I)〜(V)により化学合成する方法、
    (I)2,3−ジアミノプロパン酸を塩基性条件下で(Boc)2Oと反応させ、アミノ基をBoc基で保護する工程、
    (II)上記で得られた生成物を酢酸エチル中クロロギ酸エチルと反応させて酸無水物とした後に、エーテル中のジアゾメタン処理ついで塩基性条件下メタノール中で安息香酸銀処理して一炭素増炭したArndt-Eistert反応生成物とする工程、
    (III)上記生成物のメチルエステルをアルカリ加水分解して、遊離のカルボン酸とした後に、O-t-ブチルチロシンメチルエステル塩酸塩と塩基性条件下でEDC(1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)-carbodiimide hydrochloride)を脱水剤として縮合させ、保護ジペプチドとする工程、
    (IV)上記保護ジペプチドをTFA処理してBoc保護基とt-ブチル保護基を脱離させ、ついで、塩基性条件下でO-メチルイソ尿素と処理し、3,4−ジグアニジノブタノイルチロシンを生成する工程、及び
    (V)3,4−ジグアニジノブタノイルチロシンをホウ酸緩衝液中、チロシナーゼ処理する工程。
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