JP4595888B2 - 浴室の排水構造 - Google Patents

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Description

本発明は、浴槽からの排水、洗い場床パンからの排水を合流させて排水するための技術に関するものである。
従来から浴室ユニットなどの浴室における排水としては主として浴槽からの排水と洗い場床パンからの排水があり、いずれの排水にあたっても、トラップにより封水して臭気の逆流、虫等の侵入を防止する必要がある。
このような浴槽排水の例として、特許文献1が知られている。この特許文献1に示された従来例は、浴槽からの排水が流れる浴槽排水トラップ部に、浴槽を設置する浴槽用床パンからの排水が流れる浴槽床パン用排水トラップ部を付設し、浴槽排水トラップ部から流れる排水を排水する浴槽排水路の途中に浴槽床パン用排水トラップ部からの排水が流れる浴槽床パン排水路の下流側端部を合流させ、更に、浴槽排水路の下流側端部を洗い場床パンの排水を流す洗い場排水トラップ部からの排水を流す洗い場排水路の側面に接続したものである。
上記の排水において浴槽からの排水が流れる場合が最も多量の排水が流れるのであるが、この浴槽からの多量の排水が浴槽排水路から洗い場排水路の途中に流れ込んで洗い場排水路を下流に向けて流れると、洗い場排水路の浴槽排水路との接続部よりも上流側(つまり洗い場排水トラップ部側)が負圧になり、これにより洗い場排水トラップ部に溜まっている溜まり水が浴槽からの大量の排水が流れる際に生じる負圧により引かれて洗い場排水トラップ部の封水が破れるおそれがあるという問題があった。
また、浴槽からの多量の排水が浴槽排水路を流れる場合、更に浴槽床パン用排水トラップ部が負圧になって、浴槽床パン用排水トラップ部内の溜め水が負圧により引かれて浴槽床パン用排水トラップ部の封水が破れるおそれがあるという問題があった。
上記のように浴槽からの大量の排水を行う際に負圧により他のトラップ部の封水が破れるのを防止するには他のトラップ部の容量を大きくしたり、他のトラップ部からの排水路の容量、長さを長くする必要があり、排水装置が大型化し、施工が面倒になるだけでなく、排水装置の配置に必要な高さが高くなるという問題がある。
特開2005−282123号公報
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、浴槽から多量の排水が流れる際に、洗い場用排水トラップ部の溜まり水が負圧によって排水管側に引かれても、簡単な構成で、浴槽の排水の一部が洗い場用排水トラップ部に流れ込んで封水が破れるのを防止し、更に、浴槽床パン排水路側が負圧になろうとしても、浴槽床パン排水路内と洗い場排水路内とが連通した一つの大きな空間となって、浴槽床パン排水路、洗い場排水路がそれぞれ負圧になりにくくて、封水が破れ難くでき、しかも、排水装置のコンパクト化が図れる浴室の排水構造を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために本発明に係る浴室の排水構造は、浴槽1からの排水が流れる浴槽排水トラップ部2と、洗い場床パン5からの排水が流れる洗い場排水トラップ部6とを備え、浴槽排水トラップ部2から排出される排水が流れる浴槽排水路7と洗い場排水トラップ部6から排出される排水が流れる洗い場排水路9とを並設すると共に合流部10で合流させて共通の排水管11で排水するものであって、上記浴槽排水路7と洗い場排水路9とを仕切る仕切り用壁部62の上端部に、浴槽排水路7と洗い場排水路9とを連通する連通部60を形成して成ることを特徴とするものである。
このような構成とすることで、浴槽排水トラップ部2、洗い場排水トラップ部6からそれぞれ個別の排水路である浴槽排水路7、洗い場排水路9に個別に排水し、上記浴槽排水路7、洗い場排水路9を流れる排水を一箇所の合流部10で合流させることができて、浴槽1からの排水、洗い場床パン5からの排水をいずれも圧力損失を少なくしてスムーズに排水できると共に、浴槽排水トラップ部2から流れる浴槽1からの多量の排水が洗い場床パン5側に逆流し難いものとなり、しかも、浴槽排水路7と洗い場排水路9とを仕切る仕切り用壁部62の上端部に、浴槽排水路7と洗い場排水路9とを連通する連通部60を形成してあるので、浴槽1からの大量の排水が浴槽排水路7から合流部10には流れて排水管11を流れる際、洗い場排水路9が負圧となって、洗い場排水トラップ部6内に溜まっている封水用の溜め水が負圧により引かれても、浴槽1からの大量の排水浴槽排水路7から合流部10に流入して洗い場側排水路9側が負圧になる場合は、浴槽排水路7、合流部10内を大量の排水が満水状態、又は満水に近い状態で流れている場合であって、この際は、浴槽排水路7の上端近くまで排水の水位が上昇して流れることになり、連通部60を介して浴槽排水路7から洗い場排水路9に浴槽1からの排水の一部が流れ込んで洗い場排水路9から洗い場排水トラップ部6に水が供給され、封水切れになることが防止される。
また、浴槽を設置する浴槽用床パン3からの排水が流れる浴槽床パン用排水トラップ部4を設け、該浴槽床パン用排水トラップ部4から排出される排水が流れる浴槽床パン排水路8を上記洗い場排水路9の浴槽排水路7と反対側の側面に並設し、上記浴槽排水路7と洗い場排水路9と浴槽床パン排水路8とを合流部10で合流させ、上記洗い場排水路9と浴槽床パン排水路8とを仕切る仕切り用壁部63の上端部に、洗い場排水路9と浴槽床パン排水路8とを連通する副連通部61を形成することを特徴とするものである。
副連通部61を介して洗い場排水路9と浴槽床パン排水路8とが連通して一つの大きな空間となり、この結果、浴槽1からの大量の排水浴槽排水路7から合流部10に流入しても洗い場排水路9と浴槽床パン排水路8とが連通した空間が負圧になりにくくて、浴槽床パン用排水トラップ部4、洗い場排水トラップ部6にそれぞれ溜まった溜まり水が負圧により引かれ難く、また、負圧により浴槽床パン用排水トラップ部4、洗い場排水トラップ部6にそれぞれ溜まった溜まり水が引かれたとしても、上記のように、連通部60を介して浴槽排水路7から洗い場排水路9に浴槽1からの排水の一部が流れ込んで洗い場排水路9から洗い場排水トラップ部6に水が供給され、封水切れになることが防止されると共に、連通部60から洗い場排水路9に流れ込んだ水の一部が洗い場排水路9の天井等を伝って副連通部61を介して浴槽床パン排水路8に流れ込んで、浴槽床パン排水路8から浴槽床パン用排水トラップ部4に水が供給され、封水切れになることが防止される。
本発明は、浴槽からの排水、洗い場床パンからの排水をいずれも圧力損失を少なくしてスムーズに排水でき、また、浴槽からの多量の排水を流す際に洗い場排水路側が負圧になって洗い場排水トラップ部に溜まっている封水用の溜め水が引かれても、連通部を介して浴槽排水路から洗い場排水路に浴槽からの排水の一部が流れ込んで洗い場排水トラップ部に水が供給され、封水切れになるのを防止でき、これにより、封水切れを防止するために洗い場排水トラップ部を必要以上に大きくしたり、洗い場排水路の容積、長さを必要以上に大きくする必要がなくて、排水装置のコンパクト化が図れ、施工が容易になり、更に、排水装置の配置に必要な高さを低くできるという利点がある。さらに、副連通部を介して洗い場排水路と浴槽床パン排水路とが連通して一つの大きな空間となり、浴槽からの大量の排水が浴槽排水路から合流部に流入しても洗い場排水路と浴槽床パン排水路とが連通した空間が負圧になりにくくなる。また、上記連通部から洗い場排水路に流れ込んだ水の一部が洗い場排水路の天井等を伝って副連通部を介して浴槽床パン排水路に流れ込んで、浴槽床パン排水路から浴槽床パン用排水トラップ部に水が供給され、封水切れになるのを防止できる利点がある。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
浴室を構成する浴室ユニットAは、浴槽1を設置する浴槽用床パン3と洗い場床パン5とで構成される床パンの周囲に、壁パネル及びドアを有する出入り口枠とを立設し、壁パネル及び出入り口枠で囲まれた部分の上端部に天井パネルを配設して構成してある。
該浴室ユニットAからの排水は、浴槽1からの湯水の排水、浴槽1を設置する浴槽用床パン3からの湯水の排水、洗い場床パン5からの湯水の排水の3種類の排水があり、本発明においては、この3種類の排水がそれぞれ個別に流れる3種類のトラップ、つまり、浴槽1からの排水が流れる浴槽排水トラップ部2と、浴槽1を設置する浴槽用床パン3からの排水が流れる浴槽床パン用排水トラップ部4と、洗い場床パン5からの排水が流れる洗い場排水トラップ部6とを備えている。
添付図面に示す実施形態においては、以下に説明するトラップ装置22に浴槽排水トラップ部2と、浴槽床パン用排水トラップ部4と、洗い場排水トラップ部6が設けてある。
トラップ装置22は図2、図3に示すように、浴槽側トラップ本体部23と、浴槽側固定用上筒24と、浴槽側封水筒25と、洗い場側トラップ本体部16と、本体蓋43と、洗い場側固定用上筒15と、洗い場側封水筒17とで構成してある。
浴槽側トラップ本体部23は浴槽排水トラップ部2の主体となるもので図7に示すように上方が開口した有底円筒状をしており、上端開口部の外周にフランジ部26を一体に設けてあり、また、有底円筒状をした浴槽側トラップ本体部23の側壁には浴槽側トラップ本体部23内と連通する第1排水筒部27が外方に横向きに一体に突設してあり、また、浴槽側トラップ本体部23の内周上端部には雌ねじ部が形成してあり、また、浴槽側トラップ本体部23の底部の中心から偏芯した位置に上方に向けて内筒部28が上方に向けて一体に突設してあり、更に、一端部が内筒部28内に開口した第2排水筒部29が浴槽側トラップ本体部23の底部に沿って浴槽側トラップ本体部23の側壁を貫通して外方に横方向に一体に突設してある。上記第2排水筒部29の浴槽側トラップ本体部23の底部に沿った部分においては図2に示すように該浴槽側トラップ本体部23の底部が第2排水筒部29の底部を兼用している。また、浴槽側トラップ本体部23の底部には複数の突起部53が上方に向けて突設してあり、突起部53の上面と第2排水筒部29の上記浴槽側トラップ本体部23の底部に沿った部分の上面とは同一レベルとなっている。
浴槽側固定用上筒24は上端にフランジ部30を一体に設けてあると共に外周部に雄ねじ部を設けてある。浴槽側固定用上筒24は浴槽用床パン3に設けた孔31に上方から挿入し、浴槽用床パン3の下面側において上開口が上記孔31と連通するように配置した浴槽側トラップ本体部23の内周上端部の雌ねじ部に螺合して、浴槽用床パン3を上下からフランジ部30、26で挟着することで、図1に示すように浴槽用床パン3に浴槽側トラップ本体部23と浴槽側固定用上筒24とを固着するようになっている。
浴槽側封水筒25は図8に示すように上端部が下部よりも外径が大きいはめ込み部25aとなっており、はめ込み部25aの外周にはパッキン33が設けてあり、浴槽側封水筒25の上端は一体に形成した蓋板32により閉塞してあり、該蓋板32には蓋板32から偏芯した位置に浴槽用排水孔34と床パン用排水孔35とが設けてあり、図2に示すように床パン用排水孔35から下方に垂下筒部36が一体に垂設してある。
浴槽側封水筒25は上記浴槽側固定用上筒24に上方から差し込まれてはめ込み部25aに設けたパッキン33が浴槽側固定用上筒24の内周面に圧接されることで気密的にはめ込まれる。この場合、図2に示すように浴槽側封水筒25の下端が突起部53の上面と第2排水筒部29の浴槽側トラップ本体部23の底部に沿った部分の上面とに当たるまで浴槽側封水筒25を押し込むことで、確実に浴槽側封水筒25の下端の位置決めができて一定の封水高さを確保できる。したがって、浴槽側封水筒25の取付に当たって浴槽側固定用上筒24に螺合により取付けるものは螺合深さの違いにより封水高さが異なるので、この封水高さのばらつきがあっても、法律で定められている封水高さ(5cm)を確保できるように、浴槽側封水筒25の長さを予め余裕を持たせて一定長さ余分に長いものとしなければならない従来例に比べ、浴槽側封水筒25の長さを短くしても法律で定められている封水高さ(5cm)を確保でき、従って、装置の高さを低く抑えることができて薄型化がはかれることになる。
上記のように浴槽側封水筒25を浴槽側固定用上筒24に気密的にはめ込むことで、浴槽側封水筒25の下端と浴槽側トラップ本体部23の底部との間に、浴槽側封水筒25の内部と、浴槽側トラップ本体部23の内面と浴槽側封水筒25の外面との間の隙間37とを連通する連通隙間38が形成してあり、浴槽用排水孔34、浴槽側封水筒25の内部、連通隙間38、第1排水筒部27が連通している。
また、浴槽側封水筒25を浴槽側固定用上筒24に気密的にはめ込んだ状態で、浴槽側封水筒25の蓋板32から垂下した垂下筒部36が内筒部28にはめ込まれ、垂下筒部36と内筒部28又は内筒部28と蓋板32の下面との間にパッキン40が介在されて気密的に接続され、床パン用排水孔35、垂下筒部36、内筒部28、第2排水筒部29が連通している。
洗い場側トラップ本体部16は図9に示すように上方が開口した有底円筒状をしており、この洗い場側トラップ本体部16の下部に外周部の片側半分に沿って略L型筒状をした接続部20の立ち上り筒部20aが一体に設けてあり、この立ち上がり筒部20aは上方ほど断面積が大きくなっており、この立ち上がり筒部20aの上開口に連通するように洗い場側トラップ本体部16の上部外周部の片側半分に沿って浴槽排水路7が一体に形成してある。
また、洗い場側トラップ本体部16の上部外周部の他方の片側半部に沿って洗い場側トラップ本体部16と連通する上方が開口した溝状をした洗い場排水路9が一体に形成してあり、洗い場排水路9の外側に更に上方が開口する溝状の浴槽床パン排水路8が一体に形成してあり、上記浴槽排水路7、浴槽床パン排水路8、洗い場排水路9はほぼ同じレベルで横方向に並設してある。浴槽排水路7、浴槽床パン排水路8、洗い場排水路9の下流側端部は一箇所に集まって洗い場側トラップ本体部16の一端部に設けた合流部10において合流している。
溝状をした浴槽排水路7、浴槽床パン排水路8、洗い場排水路9を一体に形成した有底筒状をした洗い場側トラップ本体部16の上端部には図10に示すような本体蓋43が取着され、溝状をした浴槽排水路7、浴槽床パン排水路8、洗い場排水路9の上開口が閉じられ、本体蓋43に設けた孔44が有底円筒状の洗い場側トラップ本体部16の上開口と連通している。
また、浴槽床パン排水路8上流側端の下面部に略L型筒状をした接続部21の立ち上り筒部21aが浴槽床パン排水路8に連通するように一体形成してある。
上記接続部20の横筒部が前述の浴槽側トラップ本体部23から横方向に突設した第1排水筒部27に連通接続してあり、また、接続部21が浴槽側トラップ本体部23から横方向に突設した第2排水筒部29に連通接続してある。ここで、接続部20、21の各横筒部の先端部が平行で、また、第1排水筒部27及び第2排水筒部29の各先端部が平行であるため、接続部20、21の各横筒部を、第1排水筒部27及び第2排水筒部29に同時に嵌め込み接続できる。
接続部20の上端である浴槽排水路7との連通部分のレベルは突起部53の上面と第2排水筒部29の浴槽側トラップ本体部23の底部に沿った部分の上面とに当接して位置決めされる浴槽側封水筒25の下端から一定高さ高い(つまり、法律で定められた封水高さである5cm、又は5cmよりも僅かに高い)レベルとなっている。したがって、浴槽側封水筒25の下端と浴槽側トラップ本体部23の底部との間の連通隙間38を介して浴槽側封水筒25の内外に連通する封水のための水溜まりが形成されることで浴槽排水トラップ部2が構成される。
また、接続部21の上端である浴槽床パン排水路8との連通部分のレベルは垂下筒部36の下端部の第2排水筒部29との連通部分から一定の高さ高い(つまり、法律で定められた封水高さである5cm、又は5cmよりも僅かに高い)レベルとなっている。したがって、第2排水筒部29を最下端として内筒部28、第2排水筒部29、L型筒状をした接続部20にわたって封水のための水溜まりが形成されることで浴槽床パン用排水トラップ部4が構成される。
また、上記浴槽排水路7、浴槽床パン排水路8、洗い場排水路9の各下流側端がそれぞれ出口部12、13、14となっていて3つの出口部12、13、14が一箇所に集まって筒状をした合流部10に開口して連通している。この合流部10には排水管11が接続される。なお、図の実施形態では筒状の合流部10内に排水管11の上流側端部がはめ込み接続されるので排水管11の端部が実質的な排水の合流部分となる。つまり、3つの出口部12、13、14が一箇所の合流部10で合流して該合流部10が排水管11との接続部を兼用している。
ここで、各出口部12、13、14から合流部10への排水の排出方向がほぼ平行となっている。
また、横に並んだ3つの出口部12、13、14の配列は、洗い場排水路9の出口部14の横方向の一側に浴槽排水路7の出口部12が並設しており、洗い場排水路9の出口部14の横方向の他側に浴槽床パン排水路8の出口部13が横方向に並設している。
更に、図6、図9に示すように浴槽排水路7の出口部12の下端と浴槽床パン排水路8の出口部13の下端は、洗い場排水路9の出口部14の下端よりも上方に位置しており、浴槽排水路7の出口部12の下端及び浴槽床パン排水路8の出口部13の下端と合流部10の底部との間には段部39が設けてある。
また、洗い場側トラップ本体部16の底部には上方に向けて突起部45が設けてある。
洗い場側固定用上筒15は上端にフランジ部46を一体に設けてあると共に外周部に雄ねじ部を設けてある。洗い場側固定用上筒15は洗い場床パン5に設けた孔47に上方から挿入し、洗い場床パン5の下面側に本体蓋43を配置して孔44と上記孔47とを連通させた状態で孔44の内周の雌ねじ部に螺合することで、図1に示すように洗い場床パン5を上下からフランジ部46と本体蓋43とで挟着して、洗い場床パン5に洗い場側トラップ本体部16と洗い場側固定用上筒15とを固着するようになっている。
洗い場側封水筒17は上端部が下部よりも外径が大きいはめ込み部17aとなっており、はめ込み部17aの外周にはパッキン48が設けてあり、洗い場側封水筒17の上端は洗い場用排水孔50となっている。
洗い場側封水筒17は上記洗い場側固定用上筒15に上方から差し込まれてはめ込み部17aに設けたパッキン48が洗い場側固定用上筒15の内周面に圧接されることで気密的はめ込まれる。この場合、洗い場側封水筒17の下端が突起部45の上面に当たるまで洗い場側封水筒17を押し込むことで、確実に洗い場側封水筒17の下端の位置決めができて一定の封水高さを確保できる。したがって、洗い場側封水筒17の取付に当たって洗い場側固定用上筒15に螺合により取付けるものは螺合深さの違いにより封水高さが異なるので、この封水高さのばらつきがあっても、法律で定められている封水高さ(5cm)を確保できるように、洗い場側封水筒17の長さを予め余裕を持たせて一定長さ余分に長いものとしなければならない従来例に比べ、洗い場側封水筒17の長さを短くしても法律で定められている封水高さ(5cm)を確保でき、従って、装置の高さを低く抑えることができて薄型化がはかれることになる。
上記のように洗い場側封水筒17を洗い場側固定用上筒15に気密的にはめ込むことで、洗い場側封水筒17の下端と洗い場側トラップ本体部16の底部との間に、洗い場側封水筒17の内部と、洗い場側トラップ本体部16の内面と洗い場側封水筒17の外面との間の隙間18とを連通する連通部19が形成されることになり、洗い場用排水孔50、洗い場側封水筒17の内部、連通部19、隙間18が連通することになる。上記隙間18の上端は洗い場排水路9と連通しており、突起部45に載置することで位置決めされた洗い場側封水筒17の下端から上記隙間18と洗い場排水路9との連通部分の最下端(つまり隙間18と洗い場排水路9との間の仕切り壁16aの上端)までの上下長さが封水高さとなっており、その封水高さは法律で定められた封水高さである5cm、又は5cmよりも僅かに高い長さとしてある。したがって、連通部19を介して洗い場側封水筒17の内外に連通する封水のための水溜まりが形成されることで洗い場排水トラップ部6が構成される。
洗い場排水路9の上流側は有底筒状をした洗い場側トラップ本体部16との間の仕切り壁16aの上端よりも低くなっており、更に、上流側と下流側との間に段差16bが形成してあって下流側は上流側より更に低くなっている。
浴槽排水路7と洗い場排水路9とを仕切る仕切り壁の上端部は、浴槽排水路7と洗い場排水路9とを連通する連通部60を形成してある。
また、図5、図9に示すように、浴槽排水路7と洗い場排水路9とを仕切る仕切り用壁部62の上端部に、浴槽排水路7と洗い場排水路9とを連通する連通部60を形成してあり、更に、洗い場排水路9と浴槽床パン排水路8とを仕切る仕切り用壁部63の上端部に、洗い場排水路9と浴槽床パン排水路8とを連通する副連通部61を形成してある。
上記連通部60、副連通部61の形成位置は仕切り用壁部62及び仕切り用壁部63の各後端部(つまり、合流部10と反対側の端部の)で且つ洗い場排水路9の後壁部64の両側に対応する位置の上端部に形成してある。
浴槽1は浴槽用床パン3に載置するものであり、この場合、浴槽1の底面部に設けた排水部51の下端部の筒部をシール部材52を介して浴槽側封水筒25の上端の蓋板32に設けた浴槽用排水孔34にはめ込む。
上記のような排水構造において、浴槽1からの排水が最も排水量が多く、その次に排水量が多いのは洗い場床パン5からの排水であり、浴槽用床パン3からの排水量は最も少ない。つまり、浴槽用床パン3には、浴槽1の上フランジと壁パネルとのシール部分が破れて浸入した水や、洗い場床パン5側から洗い場床パン5と浴槽用床パン3との境界部分の堤部54を越えて浴槽用床パン3に浸入した水が排水されるため、排水量が、浴槽1や洗い場床パン5からの排水に比べると少ないのである。
浴槽1の排水は浴槽排水トラップ部2から浴槽排水路7に流れ、浴槽排水路7の下流側端部の出口部12から合流部10に流れて排水管11へと流れ出る。洗い場床パン5の排水は洗い場排水トラップ部6から洗い場排水路9に流れ、洗い場排水路9の下流側端部の出口部14から合流部10に流れて排水管11へと流れ出る。また、浴槽用床パン3の排水は浴槽床パン用排水トラップ部4から浴槽床パン排水路8に流れ、浴槽床パン排水路8の下流側端部の出口部13から合流部10に流れて排水管11へと流れ出る。
このように、本発明においては、浴槽1の排水、洗い場床パン5の排水、浴槽用床パン3の排水という3つの異なる排水が、それぞれ浴槽排水トラップ部2、浴槽床パン用排水トラップ部4、洗い場排水トラップ部6で個別に封水することで異なる3箇所における排水箇所の封水を確実に行うことができることになる。また、浴槽排水トラップ部2、浴槽床パン用排水トラップ部4、洗い場排水トラップ部6からそれぞれ個別の排水路である浴槽排水路7、浴槽床パン排水路8、洗い場排水路9に個別に排水し、上記3つの個別の排水路を流れる排水を一箇所の合流部10で合流させるので、浴槽1からの排水、浴槽用床パン3からの排水、洗い場床パン5からの排水をいずれも圧力損失を少なくしてスムーズに排水でき、しかも、浴槽排水トラップ部2から流れる浴槽1からの排水が浴槽用床パン3側、洗い場床パン5側に逆流し難いものとなる。
浴槽1からの多量の排水を浴槽排水トラップ部2を経て浴槽排水路7から合流部10に流して、排水管11に排水する際、洗い場排水路9が負圧となって、洗い場排水トラップ部6内に溜まっている封水用の溜め水が負圧により引かれ、洗い場排水トラップ部6が封水切れとなるおそれがあるが、本発明においては、浴槽排水路7と洗い場排水路9とを仕切る仕切り用壁部62の上端部に、浴槽排水路7と洗い場排水路9とを連通する連通部60を形成してあるので、浴槽1からの大量の排水が浴槽排水路7から合流部10に流入して洗い場側排水路9側が負圧になる場合は、浴槽排水路7、合流部10内を大量の排水が満水状態、又は満水に近い状態で流れることになるので、この際は、浴槽排水路7の上端近くまで排水の水位が上昇して流れることになり、連通部60を介して浴槽排水路7を流れる浴槽1からの排水の一部が洗い場排水路9に流れ込んで洗い場排水路9から洗い場排水トラップ部6に水が供給され、封水切れになることが防止される。
また、本発明においては、副連通部61を介して洗い場排水路9と浴槽床パン排水路8とが連通しているので、副連通部61を介して洗い場排水路9と浴槽床パン排水路8とが連通して一つの大きな空間が形成されることになる。
このように、副連通部61を介して洗い場排水路9と浴槽床パン排水路8とを連通させて一つの大きな空間を形成すると、浴槽1からの大量の排水浴槽排水路7から合流部10に流入しても洗い場排水路9と浴槽床パン排水路8とが連通した空間が負圧になりにくくなる。したがって、浴槽床パン用排水トラップ部4、洗い場排水トラップ部6にそれぞれ溜まった溜まり水が負圧により引かれ難くなり、また、負圧により浴槽床パン用排水トラップ部4、洗い場排水トラップ部6にそれぞれ溜まった溜まり水が引かれたとしても、上記のように、連通部60を介して浴槽排水路7から洗い場排水路9に浴槽1からの排水の一部が流れ込んで洗い場排水路9から洗い場排水トラップ部6に水が供給され、封水切れになることが防止されると共に、連通部60から洗い場排水路9に流れ込んだ水の一部が洗い場排水路9の天井や後壁部64等を伝って副連通部61を介して浴槽床パン排水路8にも流れ込んで、浴槽床パン排水路8から浴槽床パン用排水トラップ部4に水が供給され、封水切れになることが防止される。
また、本発明においては添付図面に示すように、横方向に並設した浴槽排水路7、浴槽床パン排水路8、洗い場排水路9の各下流側の出口部12、13、14の合流部10への排水の排出方向がほぼ平行となっているので、各排水路の出口部から流れる排水が別の排水路に逆流し難いものであり、更に、図9(a)、(b)(c)に示す実施形態のように各出口部12、13、14の合流部10への排水の排出方向と、合流部10からの排水方向とが同じとなるように構成することで、よりいっそう逆流がし難くなる。
更に、図9(c)に示すように、3つの並設した出口部12、13、14のうち最も大量の排水が合流部10に流れる浴槽排水路7の出口部12と、最も容量が小さい浴槽床パン用排水トラップ部4に接続した浴槽床パン排水路8の出口部14とが隣接せず、両者の間に浴槽床パン用排水トラップ部4よりも容量が大きい洗い場排水トラップ部6に連通する洗い場排水路9の出口部14が位置するように構成してあるので、浴槽1からの排水が浴槽排水路7の出口部12から合流部10に流れた際に逆流するような事態が生じたとしても隣りの洗い場排水トラップ部6に連通する洗い場排水路9の出口部14から洗い場排水トラップ部6側に逆流することになって、遠く離れている浴槽床パン排水路8の出口部13から逆流しないようにできる。したがって、容量の小さい浴槽床パン用排水トラップ部4を越えて浴槽用床パン3に逆流するのが防止されることになる。
また図9(c)に示すように浴槽床パン排水路8の出口部13の下端を、洗い場排水路9の出口部14の下端よりも上方に位置させてあるので、浴槽1からの排水が浴槽排水路7の出口部12から合流部10に流れた際に逆流するような事態が生じても、洗い場排水トラップ部6に連通する洗い場排水路9の出口部14から洗い場排水トラップ部6側に逆流して、容量の小さい浴槽床パン用排水トラップ部4側に逆流することが阻止され、容量の小さい浴槽床パン用排水トラップ部4を越えて浴槽用床パン3に逆流するのが防止される。この場合、図9(c)のように浴槽排水路7の出口部12と、最も容量が小さい浴槽床パン用排水トラップ部4に接続した浴槽床パン排水路8の出口部14とが隣接せず、両者の間に浴槽床パン用排水トラップ部4よりも容量が大きい洗い場排水トラップ部6に連通する洗い場排水路9の出口部14が位置するように構成してあることでよりいっそう浴槽床パン用排水トラップ部4側への逆流が防止できることになる。
また、洗い場排水路9の出口部14の下端が浴槽排水路7の出口部14の下端よりも下方に位置しているので、浴槽排水路7の出口部14から合流部10に最も排水流量が多い浴槽1の排水が流れているときに、洗い場床パン5からの排水を流す際、洗い場床パン5からの排水が、浴槽排水路7の出口部12から合流部10への流入位置よりも、少し低い位置から出口部14から合流部10にスムーズに流すことができる。また、出口部14の下端が出口部12よりも下方に位置しているので、浴槽排水路7の出口部12から合流部10に最も排水流量が多い浴槽1の排水が合流部10に流れる際に洗い場排水路9の出口部14から逆流するおそれがあるが、この場合、洗い場排水路9の上流側と下流側との間に段差16bがあるので、逆流を防止でき、更に、仕切り壁16aがあるので、ここでも逆流防止が図れることになる。
なお、合流部10における出口部12、13間の壁部分、出口部13、14間の壁の端部分を軟質素材で形成したり、あるいは、ヒンジ手段により可動自在なフィンにより形成すると、排水流量により出口部12、13、14の面積を可変でき、最適流量調整が可能となり、また、これにより、ある出口部からの排水流量が多くなって開口面積が大きくなると隣の出口部の開口面積が小さくなるので、よりいっそう隣の出口部からの逆流が防止できる。
この場合、正圧がかかった場合や逆流時にフィンにより出口部を閉じるようにしてもよい。
本発明の浴室の排水構造の断面図である。 同上に用いるトラップ装置の断面図である。 同上に用いるトラップ装置の他の部分の断面図である。 同上のトラップ装置において浴槽側固定用上筒、浴槽側封水筒、本体蓋、洗い場側固定用上筒、洗い場側封水筒を省略した状態の斜視図である。 同上のトラップ装置において浴槽側固定用上筒、浴槽側封水筒、本体蓋、洗い場側固定用上筒、洗い場側封水筒を省略した状態の平面図である。 同上のトラップ装置の下流側から見た正面図である。 同上に用いる浴槽側トラップ本体を示し、(a)は斜視図であり、(b)は平面図であり、(c)は正面図であり、(d)は側面図である。 同上に用いる浴槽側封水筒の斜視図である。 同上に用いる洗い場側トラップ本体部を示し、(a)は斜視図であり、(b)は平面図であり、(c)は正面図であり、(d)は側面図である。 同上に用いる本体蓋の斜視図である。
符号の説明
1 浴槽
2 浴槽排水トラップ部
3 浴槽用床パン
4 浴槽床パン用排水トラップ部
5 洗い場床パン
6 洗い場排水トラップ部
7 浴槽排水路
8 浴槽床パン排水路
9 洗い場排水路
10 合流部
11 排水管
60 連通部
61 副連通部
62 仕切り用壁部
63 仕切り用壁部

Claims (1)

  1. 浴槽からの排水が流れる浴槽排水トラップ部と、洗い場床パンからの排水が流れる洗い場排水トラップ部とを備え、上記浴槽排水トラップ部から排出される排水が流れる浴槽排水路と上記洗い場排水トラップ部から排出される排水が流れる洗い場排水路とを並設すると共に合流部で合流させて共通の排水管で排水するものであって、上記浴槽排水路と上記洗い場排水路とを仕切る仕切り用壁部の上端部に、上記浴槽排水路と上記洗い場排水路とを連通する連通部を形成すると共に、上記浴槽を設置する浴槽用床パンからの排水が流れる浴槽床パン用排水トラップ部を設け、該浴槽床パン用排水トラップ部から排出される排水が流れる浴槽床パン排水路を上記洗い場排水路の上記浴槽排水路と反対側の側面に並設し、上記浴槽排水路と上記洗い場排水路と上記浴槽床パン排水路とを合流部で合流させ、上記洗い場排水路と上記浴槽床パン排水路とを仕切る仕切り用壁部の上端部に、上記洗い場排水路と上記浴槽床パン排水路とを連通する副連通部を形成して成ることを特徴とする浴室の排水構造。
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