JP4593225B2 - 定着装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば、複写機、レーザプリンタ、ファクシミリ等の電子写真式画像形成装置に用いられる定着装置に関する。
従来より、定着装置においては、省エネを目指して、高い熱変換効率が得られる誘導加熱方式の熱源を採用することが考えられている。特に、コイルによって発生する磁束を、フェライトコアなどのコア材で、定着装置の定着ローラの導電発熱層に導くような構成のものが、コンパクトさや効率の高さで着目されている。
この従来の電磁誘導加熱方式の定着装置は、定着ローラと、この定着ローラと接触してニップを形成する加圧ローラと、この定着ローラの外側に配置されて磁束を発生する磁束発生手段とを備えている。上記定着ローラは、内側から外側に順に配置された支持層、スポンジ層、電磁誘導発熱層、弾性層および離型層を備える。
そして、上記磁束発生手段の磁束によって、上記定着ローラの電磁誘導発熱層を発熱させて、上記ニップで未定着像を担持した記録材を挟持しつつ搬送してこの未定着像をこの記録材に溶融定着させている(特開2000−214713号公報:特許文献1参照、特開2000−214714号公報:特許文献2参照)。
しかしながら、上記従来の定着装置では、上記定着ローラにおいて、金属製の上記電磁誘導発熱層と上記スポンジ層とは、弾性率および熱膨張率が異なるために、使用時に、上記電磁誘導発熱層が上記スポンジ層から剥がれたり、上記電磁誘導発熱層自体が変形を起こすという問題点があった。
具体的に述べると、上記電磁誘導発熱層と上記スポンジ層とは、周面全体で接着されているため、上記電磁誘導発熱層と上記スポンジ層との境界面において、上記電磁誘導発熱層と上記スポンジ層との(弾性変形や熱変形による)変形量の差を吸収することができなかった。また、上記電磁誘導発熱層と上記スポンジ層との接着に接着力の弱い部分があると、この弱い部分に応力集中が生じて、接着剥がれが生じるおそれがあった。
特開2000−214713号公報 特開2000−214714号公報
そこで、この発明の課題は、電磁誘導発熱層とスポンジ層との間の接着剥がれや電磁誘導発熱層の変形を防止して、耐久性を向上できる定着ローラを備える定着装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の定着装置は、
定着ローラと、
この定着ローラとともに記録材を挟持して搬送する加圧ローラと、
上記定着ローラの外側に配置されると共に磁束を発生して上記定着ローラを発熱させ、かつ、励磁コイルを有する磁束発生手段と
を備え、
上記定着ローラは、
内側から外側に順に配置された支持層、スポンジ層、電磁誘導発熱層および離型層と、
上記スポンジ層と上記電磁誘導発熱層とを接着する接着剤と
を有し、
上記離型層は、軸方向の中央部に、上記記録材に対向する環状の通紙領域を有し、
上記電磁誘導発熱層は、上記磁束発生手段の磁束により発熱すると共に、軸方向の中央部に、上記励磁コイルに対向する領域である環状の発熱領域を有し、この発熱領域は、上記通紙領域よりも幅広であり、
上記スポンジ層と上記電磁誘導発熱層との間に、上記接着剤のある接着領域と上記接着剤のない非接着領域とは、軸に沿って切断して展開した状態で、交互に配置されると共に両方で少なくとも4つあり、
上記接着領域は、軸方向の両端部のみに配置され、この両端部において、上記接着領域と上記非接着領域とは、周方向に交互に配置され、
上記接着領域は、上記発熱領域よりも軸方向の外側に位置していて、上記発熱領域と径方向に重ならないことを特徴としている。
この発明の定着装置によれば、上記接着領域と上記非接着領域とは、交互に配置されると共に両方で少なくとも4つあるので、弾性率および熱膨張率の相違する上記スポンジ層と上記電磁誘導発熱層とが、使用時に、変形量の差を生じても、この変形量の差を上記非接着領域にて吸収することができ、上記スポンジ層と上記電磁誘導発熱層との間の接着剥がれや、上記電磁誘導発熱層の塑性変形を防止して、耐久性を向上できる。
例えば、上記定着ローラを長時間使用した場合、劣化により上記スポンジ層の径が縮小して、上記スポンジ層の外径と上記電磁誘導発熱層の内径との差が大きくなっても、この差を上記非接着領域にて吸収すると共に、上記接着領域にて応力の集中を分散することにより、上記スポンジ層と上記電磁誘導発熱層との接着剥がれによる上記スポンジ層の破損を防止すると共に、上記電磁誘導発熱層の変形を防ぐことができる。
また、上記接着領域と上記非接着領域とは、軸方向および周方向に交互に配置されているので、応力の集中を確実に分散できると共に、変形量の差を確実に吸収することができる。また、上記接着剤の材料を省いてコストダウンを図ることができる。
また、上記定着ローラを備えているので、ライフサイクルの長い上記定着ローラにより、上記定着装置の耐久性が向上する。したがって、上記定着ローラの修理や交換や管理等の手間を省くことができる。
この発明の定着装置によれば、上記定着ローラを備えているので、寿命の長い上記定着ローラにより、上記定着装置の耐久性が向上する。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明の定着装置の一実施形態である断面構成図を示している。図1に示すように、この定着装置は、誘導加熱型であり、電磁誘導発熱式の定着ローラ1と、この定着ローラ1と接触してニップNを形成する加圧ローラ2と、この定着ローラ1の外側に配置されて磁束を発生する磁束発生手段3とを備えている。
そして、この磁束発生手段3の磁束によって上記定着ローラ1を発熱させてから、未定着像tを担持した記録材Pを上記定着ローラ1と上記加圧ローラ2との間を通過させ、上記ニップNによって上記記録材Pを挟持搬送しながら上記未定着像tをこの記録材Pに溶融定着(加熱定着)させる。
なお、この定着装置は、上記記録材Pに上記未定着像tを形成する(図示しない)作像手段と共に、複写機、レーザプリンタまたはファクシミリ等の画像形成装置を構成する。
上記記録材Pとは、例えば、用紙、OHPシート等のシートであり、上記未定着像tは、例えば、樹脂や、磁性材や、着色料等からなる加熱溶融性のトナーである。
上記定着ローラ1と上記加圧ローラ2とは、平行に対向して配置され、それぞれの両端側が、図示しない軸受部材に回転自在に支持されている。上記加圧ローラ2は、図示しないバネ等の加圧機構によって、上記定着ローラ1の軸側に付勢され、上記定着ローラ1の外面に所定圧力で圧接されて、上記ニップNを形成する。
上記定着ローラ1は、図示しないモータ等の駆動手段によって、矢印にて示す反時計廻り方向に、所定の周速度で回転駆動される。上記加圧ローラ2は、上記ニップNでの上記定着ローラ1との圧接摩擦力によって、上記定着ローラ1の回転に従動して回転する。
上記定着ローラ1は、径方向の内側から外側に順に配置された支持層11、スポンジ層12、電磁誘導発熱層13、弾性層14および離型層15を有する。上記定着ローラ1の硬度は、例えば、アスカーC硬度で30〜90度である。
なお、この実施形態では、上記定着ローラ1は、カラー画像に対応するための上記弾性層14を有するが、上記定着ローラ1は、少なくとも上記支持層11、上記スポンジ層12、上記電磁誘導発熱層13および上記離型層15を有していればよい。要するに、モノクロ定着の場合などは、熱効率を優先して、上記弾性層14を設けなくてもよい。
上記支持層11は、例えば、外径が40mmで厚さが3mmのアルミ製の芯金シリンダを用いる。なお、上記支持層11としては、材質の強度が確保できれば、例えば、鉄、PPS(ポリフェニレンサルファイド)のような耐熱性のモールドのパイプを使用することも可能であるが、芯金が発熱するのを防ぐために、電磁誘導加熱の影響が少ない非磁性材料を用いるのが望ましい。
上記スポンジ層12は、上記電磁誘導発熱層13で発生した熱を断熱保持するためのものであり、耐熱性および弾性を有するゴム材や樹脂材のスポンジ体(断熱構造体)が用いられる。このように、上記スポンジ層12に、耐熱性および弾性を有するゴム材や樹脂材のスポンジ体(断熱構造体)を用いることにより、上記電磁誘導発熱層13を確実に断熱保持するとともに、上記電磁誘導発熱層13のたわみを許容して上記ニップNの幅寸法を増やし、さらに、上記定着ローラ1のローラ硬度を上記加圧ローラ2よりも小さくして、排紙性および記録材分離性能を向上することができる。例えば、上記スポンジ層12に、シリコンスポンジ材を用いる場合、厚さが2〜10mm、望ましくは3〜7mmであって、硬度がアスカーゴム硬度計で20〜60度、望ましくは30〜50度に設定される。
上記電磁誘導発熱層13は、例えば、厚さが10〜100μm、望ましくは20〜50μmの無端状のニッケル電鋳ベルト層である。なお、上記電磁誘導発熱層13の他の材料として、例えば、磁性ステンレスのような磁性材料(磁性金属)といった、比較的透磁率μが高く、適当な抵抗率ρを有するものを用いてもよい。また、非磁性材料でも、金属などの導電性のある材料は、例えば、材料を薄膜にすることにより使用できる。また、上記電磁誘導発熱層13は、樹脂に発熱粒子を分散させたものを用いてもよく、上記電磁誘導発熱層13に、樹脂ベースのものを用いることによって、上記記録材Pの分離性を一層よくすることができる。上記電磁誘導発熱層13は、上記スポンジ層12にプライマー等で接着されている。
そして、上記電磁誘導発熱層13では、上記磁束発生手段3の磁束によって、渦電流が発生してジュール熱により発熱し、この発熱により上記定着ローラ1が加熱される。この加熱を、電磁誘導加熱という。
上記弾性層14は、耐熱性および弾性を有するゴム材や樹脂材からなり、上記記録材Pと上記定着ローラ1の表面との密着性を高める。上記弾性層14としては、例えば、定着温度での使用に耐えられるシリコンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性エラストマーを用いる。上記弾性層14には、熱伝導性や補強等を目的として各種充填剤を混入してもよく、この熱伝導性粒子としては、ダイヤモンド、銀、銅、アルミニウム、大理石、ガラス等あり、実用的には、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化ベリリウム等がある。
上記弾性層14の厚みは、例えば、10〜800μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。上記弾性層14の厚みが10μm未満であると、厚み方向の弾力性を得ることが難しくなる一方、上記弾性層14の厚みが800μmを超えると、上記電磁誘導発熱層13で発生した熱が、上記定着ローラ1の外周面に達し難くなり、熱効率が悪化する傾向がある。
上記弾性層14の硬度は、JIS硬度で1〜80度が好ましく、5〜30度がより好ましく、上記弾性層14における強度の低下および密着性の不良を防止しつつ、未定着像(トナー)tの定着性の不良を防止できる。この場合、上記弾性層14は、シリコンゴムからなることが好ましく、このシリコンゴムとしては、具体的に述べると、1成分系、2成分系又は3成分系以上のシリコンゴム、LTV型、RTV型又はHTV型のシリコンゴム、縮合型又は付加型のシリコンゴム等を使用できる。なお、この実施形態において、上記弾性層14は、JIS硬度10度、厚さ200μmのシリコンゴムである。
上記離型層15は、上記定着ローラ1の表面の離型性を高めるものであり、定着温度での使用に耐えられる上にトナー離型性を有する。上記離型層15としては、例えば、シリコンゴム、フッ素ゴムや、PFA、PTFE、FEP、PFEP等のフッ素樹脂が用いられる。上記離型層15の厚さは、5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。また、層間接着力を向上させるために、プライマ等による接着処理を行ってもよい。なお、上記離型層15の中に必要に応じて、導電材、耐摩耗材、良熱伝導材をフィラーとして添加してもよい。
上記加圧ローラ2は、径方向の内側から外側に順に配置された支持層21、スポンジ層22および離型層23を有する。上記支持層21は、例えば、外径20mmで厚さ3mmのアルミ製芯金である。上記スポンジ層22は、例えば、シリコンゴムを発泡させた3〜10mmのシリコンスポンジゴムである。上記離型層23は、例えば、厚さ10〜50μmのPTFEやPFA等のフッ素系樹脂である。
上記支持層21の材質は、強度が確保できれば、例えば、鉄、PPS(ポリフェニレンサルファイド)のような耐熱性のモールドのパイプを使用することも可能であるが、芯金が発熱するのを防ぐために、電磁誘導加熱の影響が少ない非磁性材料を用いるのが望ましい。
上記加圧ローラ2は、上記定着ローラ1に対して、300〜500Nの荷重で加圧されており、この場合、上記ニップNの幅寸法(上記記録材Pの搬送方向の寸法)は、約5〜10mmになる。もちろん、上記荷重を変化させて、上記ニップNの幅寸法を変えてもよい。
上記磁束発生手段3は、励磁コイル31と磁性体コア32とを備え、上記定着ローラ1の外側で、上記定着ローラ1に対向させて、上記定着ローラ1の長手方向に沿わせて配置している。
上記磁性体コア32は、横断面が下方開口のコップ状(台形)に形成されたコイルボビン33と、このコイルボビン33を所定の隙間を介して覆うカバー部材34とを備える。上記磁性体コア32は、上記定着ローラ1の軸方向の寸法に略対応した長さ寸法を有する長尺部材であり、上記コイルボビン33の内部にて、上記定着ローラ1の横断面略半分を覆う。
上記磁性体コア32は、中央部に上記定着ローラ1側に突出した突出部32aを有しており、上記定着ローラ1の発熱効率を高めている。上記磁性体コア32としては、高透磁率かつ低損失のものを用い、例えば、パーマロイのような合金を用いた場合、上記磁性体コア32の内部の渦電流損失が高周波で大きくなるため、積層構造にしてもよい。
上記磁性体コア32は、磁気回路の効率の向上と磁気遮蔽のために用いられる。上記励磁コイル31と上記磁性体コア32の磁気回路部分は、磁気遮蔽が十分にできる手段がある場合、上記突出部32aを省いてもよい。また、樹脂材に磁性粉を分散させたものを用いた場合、透磁率は比較的低いが、形状を自由に設定することができる。
上記励磁コイル31は、上記コイルボビン33と上記カバー部材34との間の隙間に存在し、長尺の上記コイルボビン33に沿って長手方向に渡って導線を巻いたような構造であり、横断面が台形形状となる。
この励磁コイル31には、高周波コンバータ4が接続されて、100〜2000[W]の高周波電力が供給される。このため、上記励磁コイル31としては、細い線を数十から数百本を束ねてリッツ線にしたものを用いており、巻き線に伝熱した場合を考慮して、耐熱性の樹脂で被覆したものを用いる。
そして、上記励磁コイル31には、上記高周波コンバータ4により、10〜100[kHz]の交流電流が印加される。この交流電流によって誘導された磁束は、上記磁性体コア32の内部を外部に漏れることなく通り、上記磁性体コア32の上記突出部32aで初めて上記磁性体コア32の外部に漏れて、上記定着ローラ1の上記電磁誘導発熱層13を貫き、上記電磁誘導発熱層13に渦電流が流れて、上記電磁誘導発熱層13自体がジュール発熱する。上記電磁誘導発熱層13の発熱で上記定着ローラ1が加熱状態となる。
上記定着ローラ1の表面に当接するように、温度センサ6が配置される。この温度センサ6は、例えば、サーミスタであり、上記定着ローラ1の表面温度を検出する。
上記温度センサ6には制御回路5が接続され、この制御回路5は、上記温度センサ6から入力される上記定着ローラ1の表面温度検出信号に基づいて、上記定着ローラ1の加熱と温調を制御する。具体的に述べると、上記制御回路5は、上記温度センサ6からの信号に基づいて、上記高周波コンバータ4を制御し、上記高周波コンバータ4にて上記励磁コイル31への電力供給を増減させることで、上記定着ローラ1の表面温度が所定の一定温度になるように自動制御する。
次に、この定着装置の作用を説明する。上記定着ローラ1が回転駆動され、これに伴って、上記加圧ローラ2が従動回転する。また、上記定着ローラ1の上記電磁誘導発熱層13が、上記磁束発生手段3の発生磁束の作用により、電磁誘導発熱すると共に、上記定着ローラ1の表面温度が、所定の一定温度になるように、自動制御される。そして、上記定着ローラ1と上記加圧ローラ2との上記ニップNに、図示しない作像手段から搬送された上記未定着(トナー)像tを形成担持した上記記録材(用紙)Pが導入される。この場合、上記記録材Pにおける上記未定着像tを形成した担持面側が、上記定着ローラ1に対面する。
上記ニップNに導入された上記記録材Pは、上記ニップNにて挟持搬送され、上記定着ローラ1で加熱されて、上記未定着像tが上記記録材Pに溶融定着される。
上記ニップNを通過した上記記録材Pは、上記定着ローラ1から分離して排出搬送されていく。上記定着ローラ1の表面に当接するように、分離爪8が配置される。この分離爪8は、上記記録材Pが、上記ニップNを通過後に、上記定着ローラ1の表面に張り付いてしまった場合に、この記録材Pを上記定着ローラ1の表面から強制的に分離させて、紙つまりによる故障(ジャム)を防止する。
このとき、上記定着ローラ1では、発熱に寄与すると共に渦電流を発生させる上記電磁誘導発熱層13の熱容量は、小さくて、かつ、上記電磁誘導発熱層13は、上記スポンジ層12により断熱保持されているために、上記弾性層14および上記離型層15を迅速に加熱するように作用される。このため、上記定着ローラ1の表面が定着に必要な温度に迅速に到達すると共に、上記記録材Pに熱が奪われても熱の供給が追いつく。
また、上記スポンジ層12により断熱保持させた上記電磁誘導発熱層13自体のたわみ性を利用して、上記定着ローラ1と上記加圧ローラ2との上記ニップNの形成に対して、上記弾性層14を200μmと薄くしても、今まで以上の幅寸法のニップNが形成でき、マイクログロスの発生がなく、OHP用紙のような上記定着ローラ1に巻き付きやすい記録材に対しても、十分な分離性能を確保できる。
この発明の上記定着ローラ1では、図1と図2に示すように、上記スポンジ層12と上記電磁誘導発熱層13とを接着する接着剤16を備える。上記スポンジ層12と上記電磁誘導発熱層13との間に、上記接着剤16のある接着領域Z1と上記接着剤16のない非接着領域Z0とは、軸に沿って切断して展開した状態で、交互に配置されると共に両方で少なくとも4つある。具体的に述べると、上記接着領域Z1と上記非接着領域Z0とは、軸方向に交互に配置されている。なお、図2では、わかりやすいように、上記スポンジ層12よりも外側の層を省略すると共に、上記接着領域Z1(上記接着剤16)を黒塗りにて示しています。
このように、上記接着領域Z1と上記非接着領域Z0とは、交互に配置されると共に両方で少なくとも4つあるので、弾性率および熱膨張率の相違する上記スポンジ層12と上記電磁誘導発熱層13とが、使用時に、変形量の差を生じても、この変形量の差を上記非接着領域Z0にて吸収することができ、上記スポンジ層12と上記電磁誘導発熱層13との間の接着剥がれや、上記電磁誘導発熱層13の塑性変形を防止して、耐久性を向上できる。
例えば、上記定着ローラ1を長時間使用した場合、劣化により上記スポンジ層12の径が縮小して、上記スポンジ層12の外径と上記電磁誘導発熱層13の内径との差が大きくなっても、この差を上記非接着領域Z0にて吸収すると共に、上記接着領域Z1にて応力の集中を分散することにより、上記スポンジ層12と上記電磁誘導発熱層13との接着剥がれによる上記スポンジ層12の破損を防止すると共に、上記電磁誘導発熱層13の変形を防ぐことができる。
また、上記接着領域Z1は、周方向に環状に形成されて、上記接着領域Z1と上記非接着領域Z0とは、軸方向に交互に配置されているので、応力の集中を確実に分散できる。また、上記スポンジ層12と上記電磁誘導発熱層13とは、周方向に均質に接着されるので、熱分布や画像に対して均質な定着ローラ1になる。
要するに、上記定着ローラ1を長時間使用すると、上記スポンジ層12の径が縮小する場合があり、このとき、上記スポンジ層12の径が縮小していくのに対して、上記電磁誘導発熱層13は、鉄、ニッケル、ステンレス等の金属で形成されているために、上記電磁誘導発熱層13の径の変動は、ほとんど生じない。この結果として、上記スポンジ層12の外径と上記電磁誘導発熱層13の内径とに差が生じ、この差が所定以上になると、上記スポンジ層12と上記電磁誘導発熱層13との接着剥がれが生じて、上記スポンジ層12と上記電磁誘導発熱層13との部分的な接着部位に応力が集中して、上記スポンジ層12は破損するおそれがある。
上記構成の定着装置によれば、上記定着ローラ1を備えるので、ライフサイクルの長い上記定着ローラ1により、上記定着装置の耐久性が向上する。
(第2の実施形態)
図3は、この発明の他の実施形態を示している。上記第1の実施形態の定着ローラと相違する点を説明すると、この第2の実施形態の定着ローラでは、上記接着領域Z1と上記非接着領域Z0とは、周方向に交互に配置されている。
このように、上記接着領域Z1は、軸方向に帯状に形成され、上記接着領域Z1と上記非接着領域Z0とは、周方向に交互に配置されているので、応力の集中を確実に分散できると共に、変形量の差を確実に吸収することができる。また、例えば、上記接着剤16を塗布した上記スポンジ層12に、上記電磁誘導発熱層13を軸方向に重ねていくことで、上記スポンジ層12と上記電磁誘導発熱層13とを組み付けることができて、製造工程が簡単で、低コストで製造できる。
(第3の実施形態)
図4は、この発明の別の実施形態を示している。上記第1の実施形態の定着ローラと相違する点を説明すると、この第3の実施形態の定着ローラでは、上記接着領域Z1は、軸方向に沿って螺旋状に形成されている。このように、上記接着領域Z1は、軸方向に沿って螺旋状に形成されているので、上記スポンジ層12と上記電磁誘導発熱層13とは、周方向に均質に接着され、熱分布や画像に対して均質な定着ローラ1になる。
(第4の実施形態)
図5は、この発明のさらに他の実施形態を示している。上記第1の実施形態の定着ローラと相違する点を説明すると、この第4の実施形態の定着ローラでは、上記接着領域Z1と上記非接着領域Z0とは、軸方向および周方向に交互に配置されている。具体的に述べると、上記接着領域Z1と上記非接着領域Z0とは、市松模様に形成されている。
このように、上記接着領域Z1と上記非接着領域Z0とは、軸方向および周方向に交互に配置されているので、応力の集中を確実に分散できると共に、変形量の差を確実に吸収することができる。また、上記接着剤16の材料を省いてコストダウンを図ることができる。また、市松模様の上記接着領域Z1および上記非接着領域Z0により、上記接着領域Z1と上記非接着領域Z0とを、周方向および軸方向に、略均等にかつ強固に、接着することができる。
(第5の実施形態)
図6は、この発明のさらに別の実施形態を示している。上記第4の実施形態の定着ローラと相違する点を説明すると、この第5の実施形態の定着ローラでは、上記接着領域Z1は、軸方向の両端部のみに配置されおり、上記電磁誘導発熱層13の剥がれおよび変形を、一層確実に防ぐことができる。なお、上記両端部にある接着領域Z1の軸方向の長さは、上記定着ローラ1の軸方向の全体長さの1/2以下、望ましくは1/3以下とするのがよく、上記電磁誘導発熱層13の剥離および変形を確実に防止できる。すなわち、上記接着領域Z1の軸方向の長さが上限値を越えると、上記電磁誘導発熱層13の剥離防止、変形防止の効果が得られにくくなる。
また、この定着ローラ1では、図1と図6に示すように、上記離型層15は、軸方向の中央部に、上記記録材Pに対向する環状の通紙領域Aを有し、上記接着領域Z1は、上記通紙領域Aよりも軸方向の外側に位置していて、上記通紙領域Aと径方向に重ならない。上記通紙領域Aは、上記記録材Pに接触し、上記通紙領域Aの幅は、(予め設定された)上記記録材Pの幅と略同一になる。
このように、上記接着領域Z1が、上記記録材Pに対向しない環状の非通紙領域に重なって、上記通紙領域Aに重ならないので、上記接着剤16の接着による熱伝達および圧力の変動が、上記記録材Pの画像に対して、悪影響を及ぼすことがなくて、良好な画質にすることができる。すなわち、上記接着領域Z1が上記通紙領域Aに重なると、熱伝達と圧力の状態に差が生じて、画像に悪影響が出るおそれがある。
(第6の実施形態)
図7は、この発明の定着ローラのさらに他の実施形態を示している。上記第5の実施形態の定着ローラと相違する点を説明すると、この第6の実施形態の定着ローラでは、図1と図7に示すように、上記電磁誘導発熱層13は、軸方向の中央部に環状の発熱領域Bを有し、上記接着領域Z1は、上記発熱領域Bよりも軸方向の外側に位置していて、上記発熱領域Bと径方向に重ならない。上記発熱領域Bは、上記励磁コイル31に対向する領域であり、上記発熱領域Bは、上記通紙領域Aよりも幅広である。
このように、上記接着領域Z1が、上記発熱領域Bと重ならないので、上記接着領域Z1を、高温領域から外して、熱に対する影響を低く抑え、耐久性を高く保つことができる。もし、上記接着領域Z1が上記発熱領域Bに重なるとすると、上記発熱領域Bにより、上記接着剤16の温度が上昇して、接着性に悪影響を与える。
具体的に述べると、用紙サイズがA3対応の定着装置の場合、A4サイズ等の小さいサイズの用紙を通紙させると、この小サイズ用紙が通過しない上記定着ローラ1の端部の温度が上昇して、接着性に悪影響を与える。しかし、この第6の実施形態の定着ローラでは、上記接着領域Z1が、上記発熱領域Bに重ならないので、上記定着ローラ1の接着性を向上させて、耐久性を向上できる。
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、上記定着ローラ1は、支持層11、スポンジ層12、電磁誘導発熱層13、弾性層14および離型層15を備えるが、これらの他に、他の層を備えてよいのはもちろんである。
本発明の定着装置の一実施形態を示す断面構成図である。 本発明の定着ローラの一実施形態を示す簡略平面図である。 本発明の定着ローラの他の実施形態を示す簡略平面図である。 本発明の定着ローラの別の実施形態を示す簡略平面図である。 本発明の定着ローラのさらに他の実施形態を示す簡略平面図である。 本発明の定着ローラのさらに別の実施形態を示す簡略平面図である。 本発明の定着ローラのさらに他の実施形態を示す簡略平面図である。
1 定着ローラ
11 支持層
12 スポンジ層
13 電磁誘導発熱層
14 弾性層
15 離型層
16 接着剤
2 加圧ローラ
21 支持層
22 スポンジ層
23 離型層
3 磁束発生手段
A 通紙領域
B 発熱領域
P 記録材
t 未定着像
Z0 非接着領域
Z1 接着領域

Claims (1)

  1. 定着ローラと、
    この定着ローラとともに記録材を挟持して搬送する加圧ローラと、
    上記定着ローラの外側に配置されると共に磁束を発生して上記定着ローラを発熱させ、かつ、励磁コイルを有する磁束発生手段と
    を備え、
    上記定着ローラは、
    内側から外側に順に配置された支持層、スポンジ層、電磁誘導発熱層および離型層と、
    上記スポンジ層と上記電磁誘導発熱層とを接着する接着剤と
    を有し、
    上記離型層は、軸方向の中央部に、上記記録材に対向する環状の通紙領域を有し、
    上記電磁誘導発熱層は、上記磁束発生手段の磁束により発熱すると共に、軸方向の中央部に、上記励磁コイルに対向する領域である環状の発熱領域を有し、この発熱領域は、上記通紙領域よりも幅広であり、
    上記スポンジ層と上記電磁誘導発熱層との間に、上記接着剤のある接着領域と上記接着剤のない非接着領域とは、軸に沿って切断して展開した状態で、交互に配置されると共に両方で少なくとも4つあり、
    上記接着領域は、軸方向の両端部のみに配置され、この両端部において、上記接着領域と上記非接着領域とは、周方向に交互に配置され、
    上記接着領域は、上記発熱領域よりも軸方向の外側に位置していて、上記発熱領域と径方向に重ならないことを特徴とする定着装置。
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