JP4593035B2 - 振動ミラー駆動装置及び光学的情報読取装置用モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光反射率の異なる部分を有するバーコード等の読取対象の情報を光ビームによって走査して光学的に読み取り、その読取対象の情報を示すコードデータを出力する光学的情報処理装置において、光ビームを走査するための振動ミラーを駆動する振動ミラー駆動装置と、それを他の主要な部品とともに共通のモジュール筐体内に組み込んだ光学的情報処理装置用モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
光学的情報読取装置として、商品の品名や価格等の情報を示すバーコードを読み取るバーコードリーダが、流通業界や小売業界で広く使用されている。
このバーコードリーダは、ハンド式と定置式に大別され、ハンド式にはさらに、ペン方式、タッチ方式、光ビーム走査方式(レーザ方式)がある。定置式は光ビーム走査方式で複数方向の走査を行えるようにしたものである。
これらのうち、この発明の対象とする光学的情報読取装置は、光ビーム走査方式によるハンド式のバーコードリーダに相当するものである。
【0003】
この光ビーム走査方式のバーコードリーダは、レーザダイオード(半導体レーザ)等の光源によって発光されるレーザ光をビーム状にして、その光ビームをバーコードに当たるように反射鏡(ミラー)で偏向させ、その反射鏡を回転あるいは振動(揺動)させて、光ビームがバーコードを横切るように走査する。
そして、バーコードからの反射光を集光し、受光センサで受光して電気信号に変換する。その電気信号をA/D変換してコード化し、バーコード読取情報として出力する。
このような従来の光ビーム走査方式の光学的情報読取装置に使用されている光ビーム走査機構としては、ポリゴンミラーと回転駆動モータを使用したものや、単面ミラーとガルバノモータとを使用したものが一般的である。
【0004】
しかし、これらの光ビーム走査機構は、ポリゴンミラーと回転駆動モータ、あるいは単面ミラーとガルバノモータとが別体となっていて、それらが回転軸によって直接あるいは減速機構を介して連結されているため、その高さ方向(回転軸方向)およびそれに直交する方向の寸法を縮小することが困難であった。
そこで、このような従来の光ビーム走査機構の欠点を解消するために、本発明者らは、反射ミラーと可動磁石と回転軸とを一体化することによって小型化した振動ミラー走査装置を提供した(特開平7−261109号公報および特開平8−129600号公報参照)。
【0005】
しかるに、その後の市場においては、このような光学的情報読取装置の更なる利便性の向上と、更なる使途の拡大と新たな使用形態を創造するために、同装置の核心部をなす振動ミラー走査部をより小型化、薄型化、及び軽量化することが要求されている。そのため、本発明者は、さらに前記小型化、薄型化、及び軽量化を意図し、且つ光ビームの走査周波数及び最大走査角度の更なる向上の必要性、並びに同ビームの走査特性及び温度特性の補正制御の必要性に対応した振動ミラー形走査装置を開発して、市場に提供している(特開平11−213086号公報参照)。
【0006】
また、上記市場の要求である光学的情報読取装置の小型化、薄型化、及び軽量化に関する技術として、モールドされた樹脂部材にレーザダイオードと光検出器および各種光学素子等を位置決め収容してアッセンブリ化あるいはモジュール化したものとして、光スキャナ用ワンピース光学アッセンブリ(特開平11−326805号公報参照)、あるいは電気光学式の再帰反射走査モジュール(特開2000−298242号公報参照)等が提供されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように光学的情報読取装置の機能部をモジュール化しても、レーザビーム走査用の振動ミラー駆動装置が最もスペースをとり、機構も複雑で製造コストもかかるので、より小型で安価な光学的情報読取装置を提供するためには、振動ミラー駆動装置の一層の小型化と構造の簡素化を計る必要がある。
この発明は、このような要求を実現するためになされたものであり、振動ミラー駆動装置の走査精度を低下させることなく、その構造の簡素化と一層の小型化を計ることを目的とする。また、その振動ミラー駆動装置を組み込んだ小型で安価な光学的情報読取装置用モジュールを提供することも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明による振動ミラー駆動装置は、上記の目的を達成するため、レーザビーム走査用の振動ミラーと、支持軸に回動自在に支持され、その支持軸を挟んで前面部に上記振動ミラーを、背面側に1個の直方体の可動磁石をそれぞれ固着した振動ミラー保持部材と、コイルと該コイルをその巻回方向に垂直な方向に貫通する板状のヨークとからなり、前記可動磁石に対して間隔を置いて対向するように固設された1個のコイルユニットとを備えている。
そして、上記可動磁石とヨークとは、非作動状態のときに互いに平行になるストレート形状であり、その平行な方向に直交する方向のヨークの断面積が可動磁石の同じ方向の断面積より小さい。
そして、上記振動ミラーは上記支持軸に平行で且つ上記可動磁石とヨークとが平行な方向に対して傾斜して上記振動ミラー保持部材に固着されており、その振動ミラー保持部材が、上記支持軸に対してその支持軸の軸線方向に所定の範囲で移動自在に支持されている。
【0009】
また、上記振動ミラー保持部材は上記支持軸を貫通させる軸受孔を有し、その軸受孔の中間部の径が両端部の径より大きく、中間部が緩やかに膨らむ形状をなし、上記支持軸との間に潤滑油を溜めるオイルポケットを形成するようにするとよい。
この発明による光学的情報読取装置用モジュールは、上記振動ミラー駆動装置を、レーザダイオードを光源とする発光ユニット、コリメータレンズ、集光ミラー又は集光レンズ、及び受光ユニットとともに、モジュール筐体内に設けてモジュール化したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明による振動ミラー駆動装置及び光学的情報読取装置用モジュールの実施形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1はその振動ミラー駆動装置を組み込んだ光学的情報読取装置用モジュール内の回路基板を除く各部品の配置を示す平面図であり、モジュール筐体はその輪郭のみを仮想線で示している。図2はその正面図であり、モジュール筐体は断面で示している。図3はモジュール筐体のみの外観を示す斜視図、図4は図3のIV−IV線に沿う断面図を、そのモジュール筐体の上面に回路基板を取り付けた状態で示す断面図である。
【0011】
この光学的情報読取装置用モジュール(以下単に「モジュール」という)1は、図1及び図2に示すように、モジュール筐体10と、その中に組み込まれたレーザビーム発生部20、振動ミラー駆動装置30、凹面状の集光ミラー40、受光ユニット50、およひ光軸補正用のシリンドリカルRレンズ(以下「CRレンズ」という)組立体60と、モジュール筐体10の上面に取り付けられる回路基板70とから構成されている。
モジュール筐体10は、ZDC2と呼ばれる亜鉛によってダイキャスト製法で形成されており、全体の外形として縦(D)35mm、横(W)38mm、高さ(H)8.5mmの大きさを有する。亜鉛に代えて、アルミニウムあるいはアルミ合金を用いてもよい。なお、このような金属で形成するのは、充分な精度と強度が得られることと、後述するLSIに対するシールド効果を得るためである。シールド効果を別に考慮する場合には、強化プラスチックなどの樹脂で形成してもよい。
【0012】
そして、この例では図3に示すように、底面部11とその周囲を囲む側壁部12と、レーザビーム発生部収納部13、LSI収納用凹部14、レンズ・ミラー取付部15、振動ミラー駆動装置取付部16、受光ユニット取付部17等を形成している。振動ミラー駆動装置取付部16の底面部11上には、ボス18が形成されており、そこに振動ミラーの支持軸34が植設される。側壁部12の振動ミラー駆動装置取付部16に対応する前面は開放されレーザビーム射出入用の開口部19を形成している。レーザビーム発生部収納部13の内側面には、レーザビームを射出するアパーチャ13aが形成されている。
【0013】
レーザビーム発生部20は、レーザダイオード21を含む発光ユニット22とコリメータレンズ23とOリング24から構成され、これらがモジュール筐体10のレーザビーム発生部収納部13に、図2に示すように形成された鏡筒穴13b内に固定されている。この取付構造の詳細およびその取付方法については後述する。発光ユニット22には、後方に2本の端子22aを突出させている。
【0014】
振動ミラー駆動装置30は、図1に示すように、レーザビーム走査用の金属、樹脂又はガラス製の振動ミラー31と、ピン状の支持軸34に回転自在に支持され、その支持軸34を挟んで前面部に振動ミラー31を、背面側に1個の直方体の可動磁石(永久磁石)33をそれぞれ固着した樹脂製の振動ミラー保持部材32と、可動磁石33に対向して間隔を置いて平行に配置された1個のコイルユニット35とから構成されている。そのコイルユニット35は、コイル36をその巻回方向に垂直な方向に板状のヨーク37が貫通している。
そして、振動ミラー31は図1、図2及び後述する図15からも明らかなように、支持軸34に平行で且つ可動磁石33とヨーク37とが平行な方向に対して傾斜して振動ミラー保持部材32に固着されており、その振動ミラー保持部材32が、支持軸34に対してその支持軸34の軸線方向に所定の範囲で移動自在に支持されている。
これらが、モジュール筐体10の振動ミラー駆動装置取付部16に取付られている。そして、可動磁石33とコイルユニット35の作用によって、振動ミラー保持部材32及びそれに固着された振動ミラー31を矢印A,Bで示すようにシーソ式に振動(揺動)させる。その構成および作用の詳細は後述する。
【0015】
モジュール筐体10のレンズ・ミラー取付部15には、レーザビーム発生部収納部13のアパーチャ13aが形成された面にCRレンズ組立体60が固着され、それと間隔を置いて、振動ミラー31および受光ユニット50と対向するように傾斜して、凹面状の集光ミラー40が固着されている。その集光ミラー40の中央部にはレーザビームを通過させるための方形の透孔41が形成されている。光軸補正用のCRレンズ組立体60の構成及びその作用の詳細は後述する。
、受光ユニット50は、フォトダイオード等の受光素子51を有し、モジュール筐体10の受光ユニット取付部17に装着され、その2本の端子は回路基板70に接続される。
【0016】
このように構成されたモジュール1の機能を主として図1を用いて説明する。
レーザビーム発生部20は、発光ユニット22内の光源であるレーザダイオードの発光によってレーザ光線を発生し、それをコリメータレンズ23によって平行光束にし、アパーチャ13aを通して実線で示すレーザビームL1となって射出される。
そのレーザビームL1は、CRレンズ組立体60によって光軸のずれが補正されるとともに縦方向に延びた楕円光束となり、集光ミラー40の透孔41を通って振動ミラー31に達し、90°を中心として、振動ミラー31の振動により所定の角度範囲で反射され、開口部19から外部へ射出する。そのレーザビームは図示しないバーコード記号を照射する。
【0017】
バーコード記号は、周知の通り規格によって定められた所定の幅を有する複数の黒と白の縦縞を成している。それらを黒バー及びスペースと称する。その黒バー及びスペースの横幅によって反射率の異なる光が反射される。
バーコード記号から反射した光線L2は、再び開口部19を通って振動ミラー31に入射して反射される。その反射光は集光ミラー40によって集光される。このとき、振動ミラー31がコイルユニット35と可動磁石33との間に生ずる磁力によって振動するので、バーコード記号からの広範囲にわたる反射光を入射して集光ミラー40に送ることができる。そして、この集光ミラー40によって集光された光は、全て受光ユニット50の受光素子51に送られる(その光線の軌跡を破線で示す)。
【0018】
受光ユニット50は、受光素子51が受光する光の強度に応じた電気信号を出力し、その電気信号を端子52を通して回路基板70へ送る。そこでA/D変換された後、デジタル信号処理され、バーコード記号を読み取ったデータを得ることができる。
回路基板70には、図示しない所要の配線パターンが形成されると共に、図4に示すように各種のチップ状電子部品73が取り付けられ、裏面側に信号処理や制御の中心的な機能を果たすLSI71が搭載されている。
そして、この回路基板70がモジュール筐体10の上面に複数本のネジ74によって取り付け固着され、このモジュールの上蓋も兼ねる。
【0019】
このとき、LSI71がモジュール筐体10のLSI収納用凹部14に収納され、外部に突出しない。しかも、金属製のモジュール筐体10の凹部14に収納されることにより、LSI71は外周の4面を金属面によって囲まれ、望ましいシールドがなされるため、他の電子機器や携帯電話等が発生する電磁波ノイズの影響を防ぐことができる。この効果については後で詳述する。
この光学的情報読取装置用モジュール1を、電源部等と共に図示しないケース内に組み込めば、容易に小型のハンド式バーコードリーダ等の光学的情報読取装置を完成することができる。
【0020】
次に、この実施形態によるレーザビーム発生部20における発光ユニット22及びコリメータレンズ23の取付構造及びその取り付け方法について、図5及び図6を参照して説明する。
図5はモジュール筐体に設けられた鏡筒穴に冶具を用いて発光ユニットを圧入する状態を示す断面図、図6はその鏡筒穴への発光ユニット及びコリメータレンズの装着が完了した状態を示す拡大断面図である。
【0021】
図5に示す圧入用冶具80は、力学的圧力によって部材を圧入することのできる装置である。この圧入用冶具80は、第1の固定部材81および第2の固定部材82と、圧力シャフト83と、押圧部材85をボルト86で一体に固着したハンドル84等からなる。
第1の固定部材81には、モジュール筐体10を挿入して保持できるモジュール設置用凹部81aが形成されている。第2の固定部材82の中心部にはシャフトガイド孔82aが形成されており、そこに圧力シャフト83が軸方向に移動可能に挿入されている。その周囲は雌ネジ穴82bになっている。押圧部材85の外周には雄ネジ85bが形成されており、第2の固定部材82の雌ネジ穴82bにねじ込めるようになっている。
この第1の固定部材81と第2の固定部材82が複数のボルト87によって一体的に固着される。
【0022】
一方、モジュール筐体10のレーザビーム発生部収納部13には、図6に示すように、発光ユニット22およびコリメータレンズ23を収納すべき鏡筒穴13bが形成されている。
その鏡筒穴13bは、モジュール筐体10の一端面に開口し、入口部の内径が発光ユニット22の外径より若干大きく、深さに応じて内径が極く僅かずつ小さくなるテーパ状内周面13cを有し、先端部は内径が小さくなり、コリメータレンズ23取り付け面となる段部13dが設けられ、先端面にアパーチャ13aが形成されている。
【0023】
鏡筒穴13bのテーパ状内周面13cは、数十ミクロンの微小に傾斜したテーパ面を形成しており、具体的には、一番大きな径を取る発光ユニット22でも容易に挿入できるように、+方向に0、−方向に30ミクロン程度の傾斜である。
この鏡筒穴13bの先端奥部の段部13dにコリメータレンズ23をUV接着剤で封入接着する。その後、防塵用Oリング24と共に発光ユニット22をテーパ状内周面13cに軽く挿入する。
この状態のモジュール筐体10を、図5に示すように圧入用冶具80の第1の固定部材81のモジュール設置用凹部81aに挿入して支持させた後、圧力シャフト83の先端部を鏡筒穴13bの入口部に挿入し、ハンドル84を把持して押圧部材85を第2の固定部材82にねじ込む。なお、図5では図示の都合上コリメータレンズ23は図示を省略している。
【0024】
ハンドル84を回転していくと、圧力シャフト83が押圧部材85に押されて図5で左方へ移動し、その先端部が発光ユニット22の後端面に当接し、発光ユニット22を鏡筒穴13bの奥側へ圧入していく。圧力シャフト83は中空の筒状になっているので、このとき発光ユニット22後端面から突出している端子22aをその中空内に逃がし、リード線を接続して外部から発光ユニット22内のレーザダイオード21に給電して発光させることができる。
【0025】
このときはまだ、モジュール筐体10に振動ミラー31を装着していないので、焦点調節用ミラー8を挿入してコリメータレンズ23及びアパーチャ13aを通して射出されるレーザビームL1を反射させて外部へ導き、レーザビーム測定器(図示せず)を用いて、そのレーザビームL1の直径を精密に測定しながら、コリメータレンズ23のフォーカス点と発光ユニット22の発光点とが一致したところで、ハンドル84の操作を停止する。この時点で発光ユニット22の装着が完了する。焦点調節用ミラー8は、調整終了後に取り外す。
【0026】
この状態で、防塵用Oリング24が発光ユニット22の段部と鏡筒穴13bのテーパ状内壁面とに挟まれて若干圧縮され、コリメータレンズ23側の空間を密閉し、ゴミの侵入を防ぐ。
レーザビーム発生部20における発光ユニット22とコリメータレンズ23の取付構造及びその取り付け方法を上述のようにしたことにより、従来よりも使用する部品点数が大幅に減り、ねじ止めのためのスペースも不要になるので、光学的情報読取装置のコストダウンと小型化に大いに貢献する。
また、鏡筒穴13bの圧入部に微小な傾斜をもつテーパ状内周面13cを形成したことにより、発光ユニット22の挿入が容易であると共に、コリメータレンズ23との光軸調整を容易にし、発光ユニット22の固定も確実に行える。
【0027】
次に、図1に示した光軸調整用のCRレンズ組立体60について、図7〜図13を参照して詳細に説明する。
図1に示したレーザビーム発生部20で使用するコリメータレンズ23の直径は、製造過程において最大のものから最小のものまで0.02mm程度の差がある。これらのレンズをモジュール筐体10の鏡筒穴13bに嵌め込むには、コリメータレンズ23とモジュール筐体10との間にクリアランスを設ける必要がある。そのクリアランスを設けた結果、コリメータレンズ23の光軸ずれが0.0205mm程度存在することになる。また、発光ユニット22のレーザダイオードの発光点の位置精度は通常±0.080mmである。したがって、レーザビーム発生部20における光軸の傾きの最大角度は、次式によって求められる。
Tan−1[(0.0205+0.08+0.005)/2.4]=2.517°
【0028】
また、振動ミラー駆動装置30において、振動ミラー保持部材32が嵌る支持軸34の傾きによる軸ずれが0.4°、振動ミラー31の張り付け最大傾きによる軸ずれが0.4°のとき、振動ミラー駆動装置30での光軸の傾きは、
0.4+0.4=0.8°
となる。したがって、全体での光軸の傾きの最大は、3.317°となる。
この傾きを補正し、光軸を直行させてモジュール筐体10から射出させるのが望ましい。この実施形態では、CRレンズ組立体60を用いて光軸補正を行うようにしている。また、CRレンズ組立体60のR面である凹面を利用して、レーザビーム発生部20で発生される円形のレーザビームを縦長の楕円ビームとして射出する。
【0029】
図7は図1に示したCRレンズ組立体60の正面図、図8は図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。
このCRレンズ組立体60は、それぞれセンタ位置が異なる4枚の直角三角形のCRレンズ片3a、3b、3c及び3dを、それぞれ2辺が隣り合うように四角形に接合して構成したレンズ組立体である。4枚のCRレンズ片3a、3b、3c及び3dは、いずれも一個のシリンドリカルRレンズ(Rはアール面を持つ意味であり、単にシリンドリカルレンズと称してもよい)から切り取って成るものである。あるいは、同じ曲率のR面を有するシリンドリカルRレンズから切り取るようにすれば、必ずしも1個の同じシリンドリカルRレンズから切り取らなくてもよい。
【0030】
CRレンズ片3aは光軸から機械軸61(図8)のオフセットはゼロであり、そのCRレンズ片3aのセンタはCRレンズ組立体60の真中となる。他のCRレンズ片3b、3c及び3dはセンタが1.28mmづつずれるように、同じリンドリカルRレンズから切り取っている。つまり、図7に示すように、CRレンズ片3bが1.28mm、同3cが2.56mm、同3dが3.82mmだけセンタが機械軸61(CRレンズ組立体60の真中)からズレている。
そして、このCRレンズ組立体60の図8に示す右側の各面60aは、シリンドリカル面(R面)となる。この例では機械軸中心でのR面の厚みは各々1.0mmである。
【0031】
さらに、1個のCRレンズをレーザビームが通過する様子を示す模式図を図9に示す。CRレンズ4の表面4aの凹曲面形状により、円形のレーザビームLaが縦長楕円形のレーザビームLbに変形することが理解される。したがって、CRレンズ組立体60を構成するどのCRレンズ片を円形のレーザビームが通過しても、縦長楕円形のレーザビームとなる。
CRレンズ組立体60は、モジュール1の組立時に調節を行ってから装着する。理想的には発光ユニット22からのレーザビームは光軸に対して水平に発射される。しかし、上述したように微妙なバラツキがあり、それは個々によって異なるものである。
【0032】
そこで、このCRレンズ組立体60を発光ユニット22のアパーチャ13aと振動ミラー31との間でなるべくアパーチャ13aに近い位置に設置し、90°ずつ回転させて、それぞれセンタ位置が異なる4枚のCRレンズ片3a、3b、3c及び3dのどれかをレーザビーム通過位置に選択したときに、光線のバラツキが最小になるように調整を行う。CRレンズ片3aを選択したときは光軸調整はされず、CRレンズ片3b、3c、3dを選択したときは、この例では光軸がそれぞれ1°,2°,3°調整される。この調整は、組立時に1度設定すればそれ以降は行う必要はない。
【0033】
さらに、CRレンズ片3a、3b、3c及び3dにそれぞれ反転したような部分を同じCRレンズ又は曲率が同じ他のCRレンズから切り取り、それらをCRレンズ片3a’、3b’、3c’、3d’とすれば、CRレンズ片3aと3a’、3bと3b’、3cと3c’及び3dと3d’をそれぞれ背中合わせに張り付けることによって、さらに3種、計7種のセンタを選択し得る。CRレンズ片3aと3a’は同じで、センタがCRレンズ組立体60の真中であり、CRレンズ片3b’、3c’、3d’は、それぞれCRレンズ片3b、3c、3dの反転なので、各センタはCRレンズ3b’ が−1.28mm、CRレンズ3c’が−2.56mm、CRレンズ3d’が−3.82mmだけずれることになる。
【0034】
図10は、そのCRレンズ組立体60の表側の4枚のCRレンズ片3a、3b、3c及び3dのいずれかを選択してレーザビームの光軸調整を行う場合の模式図である。CRレンズ片3a、3b、3c、3dをレーザビーム通過位置に順次選択したとき、水平な光軸5がそれぞれ0°,1°,2°,3°上方へ傾き、CRレンズ組立体60から所定の距離におけるスポット光の位置がA,B,C,Dのように変化する。そして、いずれの場合も縦長楕円形のレーザビームになる。
この場合、レーザビームが水平な光軸5より下方(矢示A方向)に曲がるのを、CRレンズ片3b、3c、3dのいずれかを選択することによって修正し、その射出方向を水平な光軸5とほぼ一致させることができる。
【0035】
図11は、そのCRレンズ組立体60の裏側の3枚のCRレンズ片3b’、3c’、3d’のいずれかを選択してレーザビームの光軸調整を行う場合の模式図である。CRレンズ片3b’、3c’、3d’をレーザビーム通過位置に順次選択したとき、水平な光軸5がそれぞれ1°,2°,3°下方へ傾き、CRレンズ組立体60から所定の距離におけるスポット光の位置が−B,−C,−Dのように変化する。CRレンズ片3aと3a’はいずれもセンタ位置が中央で変わらないため、いずれを通過する場合も光軸5は水平のままである。そして、いずれの場合も縦長楕円形のレーザビームになる。
この場合、レーザビームが水平な光軸5より上方(矢示B方向)に曲がるのを、CRレンズ片3b’、3c’、3d’のいずれかを選択することによって修正し、その射出方向を水平な光軸5とほぼ一致させることができる。
なお、図11において、CRレンズ組立体60の裏側の4枚のCRレンズ片3a’,3b’、3c’、3d’の境界線は、表側と区別するために便宜上破線で示している。
【0036】
図12は、この7種のセンタの選択が可能なCRレンズ組立体による各選択状態を模式的に示す図である。下段にCRレンズ片3a、3b、3c、3dを備える一方の面(表面)の各CRレンズ3a、3b、3c、3dの選択状態をその符号で示し、上段にCRレンズ片3a’、3b’、3c’、3d’を備えた他方の面(裏面)の各CRレンズ片3b’、3c’、3d’の選択状態をその符号で示している。CRレンズ片3a’は3aと同じでセンタの移動がゼロなので記載していない。
なお、上段のCRレンズ組立体における裏側のCRレンズ片3a’、3b’、3c’、3d’の境界線は、表側と区別するために便宜上破線で示している。そして、上段の上側には、各CRレンズ片の選択時における光軸の傾き調整角度の数値例を表示している。
【0037】
実際にレーザビーム発生部20から出射されるレーザビームの光軸調整例を図13によって説明する。
図13に示す矢印F1は、発光ユニット22におけるレーザダイオードのチップ位置の誤差により、レーザビームL1が水平な光軸5より下方に曲がることを示し、矢印F2はコリメータレンズ23とモジュール筐体10とのクリアランスにより、レーザビームL1が水平な光軸5より上方に曲がることを示している。
その結果、レーザビームの射出方向は破線で示すようにずれるはずであるが、CRレンズ組立体60の例えばCRレンズ片3c’を選択することによって、レーザビームの射出方向を実線で示すように水平な光軸5とほぼ一致させることができる。
【0038】
上述した実施形態のCRレンズ組立体は、片面についてそれぞれセンタ位置が異なる4枚CRレンズ片を接合して構成したが、同じ曲率のCRレンズから、それぞれセンタ位置が異なる2枚又は3枚、あるいは5枚以上のCRレンズ片を切り取り、それを接合して、片面用あるいは両面用のCRレンズ組立体を構成するようにしてもよい。その場合、各CRレンズを三角形以外の形状にしてもよい。
【0039】
この実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1) CRレンズ組立体60の各R面(凹曲面)により、通過するレーザビームを縦方向のみに広げて縦長楕円形にし、横方向には広げないので、縦横同じである円形のレーザビームに比べ、バーコード記号を読み取る際の解像度の高さは変わらず、印刷むらあるいは汚れやゴミなどを信号として拾ってしまう確率を低くすることができる。すなわち、レーザビームをバーコード記号のバーの方向である縦方向に広げておけば、面積的にそれらの誤検出の可能性を緩和することができる。
【0040】
(2) 同じくバーコード記号に照射するレーザビームの面積を広げるので、光ノイズを少なくすることができる。これは受光面積と光ノイズが反比例する現象を利用している。なお、バーコード記号は縦方向に情報がないので、照射スポットを縦に広げても影響はない。
(3) 複数のCRレンズ片を組み合わせてCRレンズ組立体を構成し、それを用いてレーザビームの光軸調整を行うので、複雑でスペースもとる調整機構を特別に設けることなく、光軸調整を容易に行える。理論的にはそのセンタ調整の選択数は無限であるが、現実的には上述した実施形態による7種程度で済む。
このCRレンズ組立体による光軸調整によって、レーザビームの光軸のバラツキが従来の±4°から±(0.5〜1)°に激減する。
【0041】
次に、図1に示した振動ミラー駆動装置30の構成と作用について、図14乃至図16を参照して詳述する。
光学的情報読取装置用モジュールのローコスト化及び小型化に伴い、部品の細部にいたるまで改良する必要がある。しかしながら、小型化によって走査精度が低下することは避けなければならない。
従来の振動ミラー駆動装置では、ヨーク及びコイルは複数で構成していたが、両者とも単一にすれば省スペースとローコストを達成できる。
また、従来は可動磁石及びヨークは円弧状(R形状)にしていた。そうすることによって、可動磁石とヨークとの間隔がどの回動位置でも一定になり、磁束密度も一定になる。しかしながら、R形状の部品は成型するのに手間がかかり、コストも高くなってしまう。
【0042】
可動磁石を直方体の焼結磁石とし、ヨークを板状ヨークで構成することができれば、製造の手間もかからず、小型化することも可能である。
直方体の焼結磁石と板状ヨークを用いると、磁力密度の強い部分と弱い部分が存在することになるが、その両部分が互いに相殺し合い、全体として一定密度でることがわかった。
ヨークは理論的には無限に小さい点状態であっても、回転に従って磁石も回転していく性質を利用すれば使用可能であり、小型化が可能である。
部材に微細な加工を施すと必然的にコストが上がってしまう。例えば、軸受けのオイルポケットは、軸方向に溝をいくつか入れるのが一般的であるが、全体のコストを考えるならば、金型の構造がシンプルになるような単純な加工方法を採用するのが望ましい。
【0043】
この発明による光学的情報読取用モジュールの振動ミラー駆動装置は、これらの点を考慮して構造を単純化および小型化し、且つ必要な性能が得られるように工夫している。
図14はその振動ミラー駆動装置の平面図、図15は側面図である。これらの図において、31は走査用の振動ミラー、32は支持軸34に回動自在に支持された樹脂製の振動ミラー保持部材であり、その振動ミラー保持部材32には、支持軸34を挟んで前面部(前端部)に振動ミラー31を、背面下部に1個の直方体の可動磁石をそれぞれ固着している。
さらに、35は可動磁石33に対して間隔を置いて対向するように固設した1個のコイルユニットであり、コイル36と、それをその巻回方向に垂直な方向に貫通する厚板状のヨーク37とからなる。
そして、可動磁石33とヨーク37とは、非作動状態(コイル36に通電していない状態)のとき、互いに平行になるストレート形状であり、その平行な方向に直交する方向のヨーク37の断面積が、可動磁石の同じ方向の断面積より小さい。コイルユニット35の2本の端子35aは、図15に示すように回路基板70に接続される。
振動ミラー31は支持軸34に平行で且つ可動磁石33とヨーク37とが平行な方向に対して傾斜して振動ミラー保持部材32に固着されており、振動ミラー保持部材32は、支持軸34に対してその支持軸34の軸線方向に所定の範囲で移動自在に支持されている。
【0044】
コイルユニット35のヨーク37は、上述のようにコイル36をその巻線方向に垂直に貫通し、コイル36のボビンを兼ねた絶縁部材を介して、図3に示したモジュール筐体10の側壁部12と内壁部に形成された一対のスリット16a,16bに差し込んで固定されている。このヨーク37の配置すなわちコイルユニット35の配置は、磁力を考慮してはじめに調整し、その位置に固定する。
可動磁石33は、コイルユニット35から僅かに離間して配置される。振動ミラー31の背部は、モジュール筐体に垂直に固定された支持軸34を介して可動磁石33に接合する。
その支持軸34は、滑り軸受も兼ねる振動ミラー保持部材(ホルダ)32によって覆われ、その軸方向の上下両面を支持軸34に嵌合するスライダ38,39によって緩く保持している。したがって、振動ミラー保持部材32は、支持軸34に対してその軸線方向に所定の範囲で移動自在に支持され、微少な振幅運動が可能に構成されている。
【0045】
スライダ38,39は樹脂ワッシャで構成され、非接触かつ緩衝防止の役目をなし、振動ミラー保持部材32はフローティング状態になっている。その状態で、コイルユニット35と可動磁石33との電磁誘導の働きによって、振動ミラー31が支持軸34を中心にシーソ式に振動(揺動)動する。
また、振動ミラー保持部材32には、図16に示すように軸受孔32aが設けられ、滑り軸受けの構造となっている。そして、その軸受孔32aの内部の中間部の径が両端部の径に比べて僅かに大きく、中間部が緩やかに膨らむ形状になっている。この中間部分は、支持軸34との間にオイルポケット32bを形成し、振動ミラー保持部材32と支持軸34との間を潤滑するためのシリコンオイルを溜めておくことができるようにしている。
【0046】
次に、このような構造を持った振動ミラー駆動装置30における可動磁石33及びヨーク37の周辺の磁気の変化についてシミュレーションを行う。図17〜図19は、ヨーク37が移動せず、可動磁石33が回転したときのシミュレーションを示す。
図17は可動磁石33が静止している状態である。可動磁石33とヨーク37とが一番近い部分を中心として、遠方にいくほど磁束密度が弱くなる分布をしている。この状態で磁力密度の強い部分と弱い部分とが相殺し合うので全体の磁束密度は一定である。
【0047】
図18は、可動磁石33が13.5度だけ図で左回転した場合を示す。この場合は前述した静止状態とは異なり、ヨーク37を中心に磁束密度は均等に分布する。可動磁石33は回転したことによってヨーク37に向かい合った面の一端縁aはヨーク37から遠のき、他端縁bがヨーク37に近づく。当然、遠のいた一端縁aの周辺の磁束密度は弱くなり、近づいた他端縁bの周辺の磁束密度は強くなる。しかし、可動磁石33が回転しても弱い部分と強い部分は互い相殺し合い、磁束密度は全体として一定である。
【0048】
図19は可動磁石33が−13.5度だけ図で右回転した場合を示している。回転方向が図18の場合と逆なので、可動磁石33の一端縁aがヨーク37に近づき、他端縁bがヨーク37から遠のく。この場合は図18の場合の上を下を反転したような磁束密度分布となり、この場合もまた磁束密度は全体として一定である。したがって、常に一定の磁束密度で振動ミラー31を左右に回動させることができる。
【0049】
図20は、振動ミラー31の左右回動させるためのタイミング信号とコイル36に流す電流の波形を示す図である。(a)は振動ミラー31の回動方向、(b)はタイミング信号の波形、(c)はコイル電流を示している。
タイミング信号の波形は、10mSecごとに反転する矩形波であり、コイル電流はそのタイミング信号の立ち上がり時と立下り時ごとに1〜2mSecのパルス幅で10〜20mAの電流を交互に反対方向に流す。
【0050】
この振動ミラー駆動装置の特徴は次のような点にある。
(1)コイルユニット35において、ヨーク37をコイル36の巻回方向に垂直な方向に貫通させたこと。
(2)可動磁石33及びヨーク37を円弧状にせずフラットな形状にしたこと。
(3)ヨーク37の横断面を可動磁石33の横断面より小さくしたこと。
(4)振動ミラー保持部材32を支持軸34の軸線方向にスライド可能にしたこと。
(5)オイルポケット32bを振動ミラー保持部材32の軸受孔32aの中間部の径を広げて形成したこと。
【0051】
そして、この振動ミラー駆動装置によれば、次のような効果が得られる。
(1)ヨーク37をコイル36の巻回方向に垂直にコイルユニット35に貫通させて固定したことによって、部材の数を少なくすることができる。
(2)従来はR形状(円弧状)に形成を用いていた磁石及びヨークを、直方体あるいは直棒状のようなフラットな形状にしたことにより、モジュール内のスペースを少なくすることができ、小型化を実現し、結果的にコストダウンにもなる。
(3)ヨークを小さくすることにより、駆動部の重量を軽減することができる。さらに、ヨークの横断面の大きさを可動磁石の横断面より小さくすることにより、磁気浮上による位置決め精度の向上をもたらしている。
(4)振動ミラー保持部材32およびそれと一体の振動ミラー31ならびに可動磁石33を支持軸34の軸線方向にスライド可能にしてフローティング状態にしたことにより、回動時の抵抗が少なく、小さな駆動力でもスムース゛に回動させることができ、可動磁石33及びコイルユニット35の一層の小型化が可能になり、且つ消費電力も節減できる。
(5)軸受部のオイルポケットを断面が緩やかなカーブとなる形状にしたことによって、単純な構造になり安価に作製できる。
【0052】
ここで、光学的情報読取装置用モジュールにおける電子回路、特にLSIのシールド効果について説明する。
図4によって前述したように、この発明による光学的情報読取装置用モジュールでは、その信号処理や各種の制御を司る回路基板70が、上蓋を兼ねてモジュール筐体10の上面にねじ止めされたとき、その回路基板70に搭載されているLSI71が金属製のモジュール筐体10のLSI収納用凹部14に収納され、その周囲が金属面でシールドされる。なお、回路基板70の上面側は、これだけではシールドされないが、この面だけを金属板などによってシールドするのは容易である。
したがって、モジュール筐体10の金属箱にLSI71がほぼ密閉されて望ましいシールド状態になる。それによって、他の電子機器や携帯電話等が発生する電磁波ノイズの影響を防ぐことができる。
【0053】
図21及び図22は、30KHz程度の電磁波ノイズがかかった場合のシミュレーション波形を示し、図21はこの発明の実施形態のモジュールを使用した場合、図22はLSIを回路基板の上面に配置した従来のモジュールを使用した場合のそれぞれ検出信号の波形を示している。この波形の振幅が大きく変動している部分がバーコード記号を読み取っている部分である。
この図21と図22とを比べれば明らかなように、図22の波形には0.3Vpp程度の電磁波ノイズがのっている。図21の波形ではそのノイズの振幅が極めて小さくなっている。したがって、この発明の上記実施形態によってノイズの影響を避けられることが判る。
【0054】
図23と図24は、付近で携帯電話を使用した場合のシミュレーション波形を示し、図23はこの発明の実施形態のモジュールを使用した場合、図24はLSIを回路基板の上面に配置した従来のモジュールを使用した場合のそれぞれ検出信号の波形を示している。
このシミュレーション結果を比較しても、図24に示す従来装置の場合には、携帯電話の影響を受けた0.3Vpp程度の電磁波ノイズがのっているのに対し、図23に示すこの発明の装置の場合には、そのノイズは極めて小さくなっている。したがって、前述したこの発明の実施形態によれば、携帯電話のような強い電磁波が発生してもそのノイズをかなり低減でき、バーコード記号などの情報を常に正確に読み取れることが判る。
【0055】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明によれば、振動ミラー駆動装置の走査精度を低下させることなく、その構造の簡素化と一層の小型化を計ることができ、その振動ミラー駆動装置を組み込んだ光学的情報読取装置用モジュールを使用することにより、小型で安価なハンド式バーコードリーダ等の光学的情報読取装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による光学情報読取装置用モジュールの一実施形態のモジュール内の回路基板を除く各部品の配置を示す平面図である。
【図2】同じくそのモジュール筐体の断面と共に示す正面図である。
【図3】同じくそのモジュール筐体のみの外観を示す斜視図である。
【図4】そのモジュール筐体の上面に回路基板を取り付けた状態で示す図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】モジュール筐体の鏡筒穴に冶具を用いて発光ユニットを圧入する状態を示す断面図である。
【図6】その鏡筒穴への発光ユニット及びコリメータレンズの装着が完了した状態を示す拡大断面図である。
【図7】図1に示したCRレンズ組立体60の正面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】1個のCRレンズをレーザビームが通過する様子を示す模式図である。
【図10】CRレンズ組立体の表側のCRレンズ片のいずれかを選択してレーザビームの光軸調整を行う場合の模式図である。
【図11】CRレンズ組立体の裏側のCRレンズ片のいずれかを選択してレーザビームの光軸調整を行う場合の模式図である。
【図12】7種のセンタの選択が可能なCRレンズ組立体による各選択状態を模式的に示す図である。
【図13】実際にレーザビーム発生部から出射されるレーザビームの光軸調整例を示す説明図である。
【図14】図1に示した振動ミラー駆動装置の平面図である。
【図15】同じくその側面図である。
【図16】同じくその振動ミラー保持部材及びそれに固着された部材の断面図である。
【図17】図14に示した可動磁石とヨークとの間の磁束密度分布の説明に供する図で、可動磁石33が静止している状態の模式図である。
【図18】同じくその可動磁石が13.5度だけ回転した場合を示す模式図である。
【図19】同じくその可動磁石が−13.5度だけ回転した場合を示す模式図である。
【図20】図14の振動ミラーを左右に回動させるためのタイミング信号とコイル電流の波形を示す図である。
【図21】この発明によるモジュールを使用して30KHz程度の電磁波ノイズがかかった場合の検出信号のシミュレーション波形図である。
【図22】従来のモジュールを使用して30KHz程度の電磁波ノイズがかかった場合の検出信号のシミュレーション波形図である。
【図23】この発明によるモジュールに対して付近で携帯電話を使用した場合の検出信号のシミュレーション波形図である。
【図24】従来のモジュールに対して付近で携帯電話を使用した場合の検出信号のシミュレーション波形図である。
【符号の説明】
1:光学的情報読取装置用モジュール
3a〜3d,3a’〜3d’:CRレンズ片
5:光軸 10:モジュール筐体
13:レーザビーム発生部収納部
13a:アパーチャ 13b:鏡筒穴
13c:テーパ状内周面 14:LSI収納用凹部
15:レンズ・ミラー取付部
16:振動ミラー駆動装置取付部
17:受光ユニット取付部 19:開口部
20:レーザビーム発生部
21:レーザダイオード 22:発光ユニット
23:コリメータレンズ 24:Oリング
30:振動ミラー駆動装置 31:振動ミラー
32:振動ミラー保持部材 32a:軸受孔
32b:オイルポケット 33:可動磁石
34:支持軸 35:コイルユニット
36:コイル 37:ヨーク
38,39:スライダ
40:集光ミラー 50:受光ユニット
60:シリンドリカルRレンズ組立体(CRレンズ組立体)
70:回路基板 71:LSI
80:圧入用冶具 81:第1の固定部材
82:第2の固定部材 83:圧力シャフト
84:ハンドル 85:押圧部材
Claims (3)
- レーザビーム走査用の振動ミラーと、
支持軸に回動自在に支持され、該支持軸を挟んで前面部に前記振動ミラーを、背面側に1個の直方体の可動磁石をそれぞれ固着した樹脂製の振動ミラー保持部材と、
コイルと該コイルをその巻回方向に垂直な方向に貫通する板状のヨークとからなり、前記可動磁石に対して間隔を置いて対向するように固設された1個のコイルユニットとを備え、
前記可動磁石と前記ヨークとは、非作動状態のときに互いに平行になるストレート形状であり、その平行な方向に直交する方向の前記ヨークの断面積が前記可動磁石の同じ方向の断面積より小さく、
前記振動ミラーは前記支持軸に平行で且つ前記可動磁石とヨークとが平行な方向に対して傾斜して前記振動ミラー保持部材に固着されており、
前記振動ミラー保持部材が、前記支持軸に対して該支持軸の軸線方向に所定の範囲で移動自在に支持されていることを特徴とする振動ミラー駆動装置。 - 請求項1記載の振動ミラー駆動装置において、
前記振動ミラー保持部材は前記支持軸を貫通させる軸受孔を有し、その軸受孔は中間部の径が両端部の径より大きく、中間部が緩やかに膨らむ形状をなし、前記支持軸との間に潤滑油を溜めるオイルポケットを形成するようにしたことを特徴とする振動ミラー駆動装置。 - 請求項1又は2に記載の振動ミラー駆動装置を、レーザダイオードを光源とする発光ユニット、コリメータレンズ、集光ミラー又は集光レンズ、及び受光ユニットとともに、モジュール筐体内に設けてモジュール化した光学的情報読取装置用モジュール。
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