JP4592655B2 - 屋外設置型端末装置 - Google Patents

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本発明は、密閉構造を有する筐体の内部に複数の電子部品を具えて基地局との間で無線通信を行なう屋外設置型端末装置に関するものである。
この種の屋外設置型端末装置は、屋外に設置されて使用されるため、筐体内部の複数の電子部品が屋外の気温の影響を直接に受け、冬季には例えば0℃を下回る低温となり、夏季には例えば50℃を上回る高温となる。
一般にIC等の電子部品は、所定の温度範囲では正常な動作が保証されているが、所定の温度範囲を逸脱すると、誤動作を生じる虞がある。
そこで、筐体内部の温度調節の必要な電子部品にペルチェ素子を取り付けて、該ペルチェ素子を冷却若しくは加熱制御することによって、電子部品の温度を所定の温度範囲に維持することが提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
特開2002−111263号公報[G05K 7/20] 特開2003−022135号公報[G05D23/00]
しかしながら、筐体内部の電子部品にペルチェ素子を取り付けて温度調節を行なう従来の方法では、温度調節の必要な全ての電子部品にペルチェ素子を取り付ける必要があるため、装置構成が複雑になる問題がある。
そこで本発明の目的は、簡易な構成で必要な全ての電子部品の温度調節を行なうことが出来る屋外設置型端末装置を提供することである。
本発明に係る屋外設置型端末装置においては、密閉構造を有する筐体(11)の内部に、複数の電子部品(3a)(3b)を搭載した回路基板(2)が収容されている。
前記筐体(11)の内壁には、前記回路基板(2)上の複数の電子部品(3a)(3b)の内、温度調節の必要性が最も高い1つの電子部品(3a)に対向させて、筐体(11)と一体に支持台(10)が形成されている。そして、該支持台(10)と前記1つの電子部品(3a)との間に、熱電冷却素子が介在すると共に、該熱電冷却素子と前記1つの電子部品(3a)との間に、ヒートシンク(7)が介在して、該支持台(10)と前記1つの電子部品(3a)との間に熱伝導経路が形成されている。
前記ヒートシンク(7)は、筐体(11)の内部空間へ向けて突出するフィン部(72)を有し、該フィン部(72)は、前記1つの電子部品(3a)以外の1或いは複数の電子部品(3b)が存在する空間と対向して伸びている。
具体的には、前記熱電冷却素子は、複数のペルチェ素子を直列に接続してなるペルチェモジュール(6)によって構成されている。
上記本発明の屋外設置型端末装置においては、熱電冷却素子に対する電力供給を制御することによって、該熱電冷却素子には吸熱面と放熱面が出現し、吸熱面から放熱面へ向かう熱流束が生じる。
ここで、前記1つの電子部品(3a)の温度が所定の閾値を下回るときは、該電子部品(3a)側を放熱面とする制御を行なう。これにより、支持台(10)からヒートシンク(7)を経て該電子部品(3a)へ熱伝導によって熱が流れ、ヒートシンク(7)と該電子部品(3a)とが加熱される。又、前記1つの電子部品(3a)の温度が所定の閾値を上回るときは、該電子部品(3a)側を吸熱面とする制御を行なう。これにより、該電子部品(3a)からヒートシンク(7)を経て支持台(10)へ熱伝導によって熱が流れ、ヒートシンク(7)と該電子部品(3a)が冷却される。この結果、該電子部品(3a)の温度が動作保証温度範囲内に維持されることになる。
又、上記の如くヒートシンク(7)が加熱若しくは冷却されることによって、ヒートシンク(7)のフィン部(72)が対向する空間も同時に加熱若しくは冷却され、これに伴って、該空間に存在する他の1或いは複数の電子部品(3b)が加熱若しくは冷却される。この結果、該1或いは複数の電子部品(3b)もそれぞれの動作保証温度範囲内に維持されることになる。
具体的構成において、前記筐体(11)はアルミニウムの一体成型品であり、ヒートシンク(7)は、プレート部(71)の両側に前記フィン部(72)を突設したアルミニウム板から形成されている。
これによって、前記支持台(10)と前記1つの電子部品(3a)の間を高い熱伝導率で熱が流れることとなり、複数の電子部品(3a)(3b)の冷却及び加熱を効果的に行なうことが出来る。
本発明に係る屋外設置型端末装置によれば、回路基板(2)上の複数の電子部品(3a)(3b)の内、温度調節の必要性が最も高い1つの電子部品(3a)に対向させて、ペルチェモジュール(6)等の熱電冷却素子を配置すればよいので、装置構成が簡易となる。
以下、本発明をワイヤレスブロードバンドシステムの屋外ユニットに実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
ワイヤレスブロードバンドシステムは、図1に示す如く、家庭に設置された電話機(8)やパーソナルコンピュータ(81)を、屋外ユニット(1)を介して、基地局(9)と接続して、電話通信とインターネット接続を実現するものであり、基地局(9)にはインターネット(92)と公衆電話網(93)とが接続されており、基地局(9)のアンテナ(91)と屋外ユニット(1)の間では、無線による通信が行なわれる。
屋外ユニット(1)は、図2に示す如く屋外に設置され、ケーブル(83)及び屋内ユニット(82)を介して、屋内の電話機(8)やパーソナルコンピュータ(81)と接続される。
屋外ユニット(1)は、図3に示す如く、密閉構造を有するアルミニウム製の筐体(11)を具え、該筐体(11)の内部には、複数の電子部品(3)を搭載した回路基板(2)が水平の姿勢で収容されている。
該複数の電子部品(3)には、温度調節の必要なIC等の複数の電子部品(3a)(3b)が含まれており、その中の1つの電子部品(3a)が温度に対して敏感で動作保証温度範囲の最も狭いIC(以下、特定電子部品(3a)という)となっている。
筐体(11)の底壁には、回路基板(2)上の特定電子部品(3a)に対向させて、筐体(11)と一体に支持台(10)が突設され、該支持台(10)と特定電子部品(3a)との間には、支持台(10)側から順に、熱伝導シート(5)、ペルチェモジュール(6)、熱伝導シート(5)、ヒートシンク(7)、及び熱伝導シート(5)が積み重ねられ(図4参照)、最上層の熱伝導シート(5)の表面が特定電子部品(3a)の表面に密着している。
ここで熱伝導シート(5)は、その両面が相手部材と密着して、相手部材どうしの熱伝導を向上させるものである。
斯くして、支持台(10)と特定電子部品(3a)との間には、空隙の存在しない熱伝導経路が形成される。
ヒートシンク(7)はアルミニウム板から形成され、図4に示す如く、プレート部(71)の両端に一対のフィン部(72)(72)を下向きに突設したものである。
熱伝導シート(5)は、シリコンシートから形成されている。
ペルチェモジュール(6)は、周知の如く複数のペルチェ素子を直列に接続したものであって、1辺の長さが3cm、厚さが3〜4mmの平板状に形成されており、表面と裏面がそれぞれ熱を放出し若しくは吸収する面となる。
図3に示す様に、ヒートシンク(7)の一対のフィン部(72)(72)は、筐体(11)の底壁へ向かって伸び、特定電子部品(3a)以外の複数の電子部品(3b)(以下、非特定電子部品(3b)という)が存在する空間と対向している。
又、回路基板(2)には、特定電子部品(3a)と近接する位置に、温度センサー(4)が搭載されている。
回路基板(2)上には更に、図5に示すマイクロコンピュータ(21)と制御回路(22)が配備されている。温度センサー(4)はマイクロコンピュータ(21)の入力ポートに接続され、マイクロコンピュータ(21)の出力ポートが制御回路(22)に接続され、該制御回路(22)によってペルチェモジュール(6)への電力供給が制御されている。
制御回路(22)は、図6に示す如く、ペルチェモジュール(6)に対する通電方向を切り替えるための4つのスイッチ(23)(24)(25)(26)を具え、温度センサー(4)による検出温度に応じて、これら4つのスイッチ(23)(24)(25)(26)のオン/オフが制御される。
例えば、温度センサー(4)による検出温度が40℃以上であれば、スイッチ(25)とスイッチ(26)をオンとし、ペルチェモジュール(6)へ一方向に電流を流し、これによってペルチェモジュール(6)の表面を吸熱面、裏面を放熱面とする(冷却制御)。これに対し、温度センサー(4)による検出温度が−5℃以下であれば、スイッチ(23)とスイッチ(24)をオンとし、ペルチェモジュール(6)へ逆方向に電流を流し、これによってペルチェモジュール(6)の表面を放熱面、裏面を吸熱面とする(加熱制御)。
図7は、ペルチェモジュール(6)に対する電力供給制御の流れを表わしている。先ず、ステップS1では、温度センサー(4)による温度測定を行ない、ステップS2では、測定された温度Tが動作保証最低温度に応じた閾値T1(例えば−5℃)以下であるか否かを判断する。ここでノーと判断されたときは、ステップS3に移行し、測定された温度Tが動作保証最高温度に応じた閾値T2(例えば40℃)以上であるか否かを判断する。
ステップS2にてイエスと判断されたときはステップS4にてペルチェモジュール(6)に対する加熱制御を実行し、ステップS3にてイエスと判断されたときはステップS6にてペルチェモジュール(6)に対する冷却制御を実行し、ステップS3にてノーと判断されたときはステップS5にてペルチェモジュール(6)に対する電力供給を停止する。
そして、以上の手続を一定の制御周期で繰り返す。
ペルチェモジュール(6)に対する加熱制御においては、ペルチェモジュール(6)の裏面から表面への熱流束が生じるので、これに伴って図3に示す支持台(10)からヒートシンク(7)を経て特定電子部品(3a)へ熱伝導が生じ、ヒートシンク(7)と特定電子部品(3a)とが加熱される。
これに対し、ペルチェモジュール(6)に対する冷却制御においては、ペルチェモジュール(6)の表面から裏面への熱流束が生じるので、これに伴って特定電子部品(3a)からヒートシンク(7)を経て支持台(10)へ熱伝導が生じ、ヒートシンク(7)と特定電子部品(3a)が冷却される。
この様にして、ペルチェモジュール(6)による直接の温度調節の対象となる特定電子部品(3a)は、屋外の気温が低い場合は加熱され、屋外の気温が高い場合は冷却されて、屋外の気温に係わらず、動作保証温度範囲内の温度に維持されることになる。
又、ペルチェモジュール(6)に対する加熱制御においては、ヒートシンク(7)の一対のフィン部(72)(72)が加熱されることによって、該フィン部(72)(72)が対向する空間も同時に加熱され、これに伴って、該空間に存在する複数の非特定電子部品(3b)が加熱される。又、ペルチェモジュール(6)に対する冷却制御においては、ヒートシンク(7)の一対のフィン部(72)(72)が冷却されることによって、該フィン部(72)(72)が対向する空間も同時に冷却され、これに伴って、該空間に存在する複数の非特定電子部品(3b)が冷却される。
ここで、複数の非特定電子部品(3b)に対する間接的な温度調節は、特定電子部品(3a)に対する直接的な温度調節よりも緩慢となるが、非特定電子部品(3b)の動作保証温度範囲は、特定電子部品(3a)の動作保証温度範囲よりも広いため、非特定電子部品(3b)の温度がその動作保証温度範囲を逸脱することはない。
上述の如く、本発明に係る屋外設置型端末装置によれば、回路基板(2)上の複数の電子部品(3a)(3b)の内、1つの特定電子部品(3a)に対してのみ、ペルチェモジュール(6)による直接的な温度調整を実施し、非特定電子部品(3b)に対してはペルチェモジュール(6)を配置することなく、ヒートシンク(7)による間接的な温度調節を行なうに過ぎないので、全ての電子部品(3a)(3b)に対して直接的な温度調節を行なう場合に比べて装置構成が簡易となる。
ワイヤレスブロードバンドシステムの構成を示す図である。 屋外ユニットの設置例を示す図である。 本発明を実施した屋外ユニットの断面図である。 支持台上のペルチェモジュール及びヒートシンクの積層構造を示す分解斜視図である。 ペルチェモジュールを制御する回路構成のブロック図である。 制御回路の構成を示す図である。 電力供給制御のフローチャートである。
符号の説明
(1) 屋外ユニット
(11) 筐体
(10) 支持台
(2) 回路基板
(3a) 特定電子部品
(3b) 非特定電子部品
(4) 温度センサー
(5) 熱伝導シート
(6) ペルチェモジュール
(7) ヒートシンク
(71) プレート部
(72) フィン部

Claims (5)

  1. 密閉構造を有する筐体(11)の内部に、複数の電子部品(3a)(3b)を搭載した回路基板(2)が収容され、基地局(9)との間で無線通信を行なう屋外設置型端末装置において、前記筐体(11)の内壁には、前記回路基板(2)上の複数の電子部品(3a)(3b)の内、温度調節の必要性が最も高い1つの電子部品(3a)に対向させて、筐体(11)と一体に支持台(10)が形成され、該支持台(10)と前記1つの電子部品(3a)との間には、熱電冷却素子が介在すると共に、該熱電冷却素子と前記1つの電子部品(3a)との間に、ヒートシンク(7)が介在して、該支持台(10)と前記1つの電子部品(3a)との間に熱伝導経路が形成され、前記ヒートシンク(7)は、筐体(11)の内部空間へ向けて突出するフィン部(72)を有し、該フィン部(72)は、前記1つの電子部品(3a)以外の1或いは複数の電子部品(3b)が存在する空間と対向して伸びており、前記熱電冷却素子による温度調節が可能となっていることを特徴とする屋外設置型端末装置。
  2. 前記筐体(11)はアルミニウムの一体成型品であり、ヒートシンク(7)は、プレート部(71)の両側に前記フィン部(72)を突設したアルミニウム板から形成されている請求項1に記載の屋外設置型端末装置。
  3. 前記熱電冷却素子は、複数のペルチェ素子を直列に接続してなるペルチェモジュール(6)によって構成されている請求項1又は請求項2に記載の屋外設置型端末装置。
  4. 前記筐体(11)の内部には、前記1つの電子部品(3a)と近接する位置に、温度センサー(4)が設置されると共に、前記ペルチェモジュール(6)には制御回路(22)が接続され、該制御回路(22)は、前記温度センサー(4)によって検出される温度が所定の範囲内に維持される様、ペルチェモジュール(6)への電力供給を制御する請求項3に記載の屋外設置型端末装置。
  5. 前記支持台(10)と前記1つの電子部品(3a)との間には、支持台(10)側から順に、熱伝導シート(5)、前記熱電冷却素子、熱伝導シート(5)、前記ヒートシンク(7)、及び熱伝導シート(5)が積み重ねられ、該熱伝導シート(5)が前記1つの電子部品(3a)の表面に接触している請求項1乃至請求項4の何れかに記載の屋外設置型端末装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH08130385A (ja) * 1994-10-31 1996-05-21 Toshiba Corp 電子回路基板及びその冷却方法
JP2004013685A (ja) * 2002-06-10 2004-01-15 Fujitsu Ltd 情報機器

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