JP4592532B2 - 低挿入力コネクタ端子、その製造方法、及び、低挿入力コネクタ端子用基板 - Google Patents

低挿入力コネクタ端子、その製造方法、及び、低挿入力コネクタ端子用基板 Download PDF

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本発明は、コネクタに用いられ、相手方コネクタとの接続を容易とする低挿入力コネクタ端子、その製造方法、及び、そのような低挿入力コネクタ端子を可能とする低挿入力コネクタ端子用基板に関する。
各種電気機器の高機能化や自動車などの車載機器の多様化に伴い、用いられるコネクタの端子数が増える、いわゆる、コネクタの多ピン化が進んでいる。
その結果、これらコネクタの相手方コネクタとの接続に要する、コネクタ挿入力が増大してしまい、その結果、低挿入力化が課題となってきた。
このような低挿入力化としては、端子バネ力の低減による接点の接触圧力の低減が考えられるが、このとき接触抵抗が増大すると云う問題があった(特開平14−110276号公報、特開平13−257022号公報、特開平05−121128号公報)。
また、低接圧な状態でコネクタを嵌合後、レバー等により接圧を増加させると云うコネクタが考案されてきたが、コネクタコストの著しい上昇を招くと云う問題が生じる(特開平14−280112号公報、特開平13−237026号公報)
あるいは、接点摩擦係数の低減として、相手方コネクタとの嵌合時の相手方コネクタの端子と摺動し合う摺動面にオイル等潤滑剤を塗布する、あるいは、多層めっきを施すなどの対策も試みられたが効果が不充分であり、あるいはコストの大幅な上昇を来すなどの問題があった。
また、相手方コネクタとの嵌合時の相手方コネクタの端子と摺動し合う摺動面に、二硫化モリブデン(MoS)等の潤滑皮膜を形成すると摺動性は向上するものの、接触抵抗が増大すると云う欠点がある(特開平14−088496号公報、特開平11−317253号公報)。
特開平14−110276号公報 特開平13−257022号公報 特開平05−121128号公報 特開平14−280112号公報 特開平13−237026号公報 特開平14−088496号公報 特開平11−317253号公報
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、接触圧力調整レバーなどの特殊な装置のコネクタへの追加が不要で、作製が容易であり、コストの大幅なアップを来さず、接触抵抗の上昇もない、極めて小さい力で相手方コネクタとの接続を容易とする低挿入力コネクタ端子を提供することを目的とする。
本発明の低挿入力コネクタ端子は上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、相手方コネクタとの嵌合時に相手方コネクタの端子と摺動し合う摺動面に自己組織化膜を有することを特徴とする低挿入力コネクタ端子である。
また、本発明の低挿入力コネクタ端子の製造方法は、上記課題を解決するため、請求項4に記載の通り、相手方コネクタとの嵌合時に相手方コネクタの端子と摺動し合う摺動面に自己組織化膜を形成する工程を有することを特徴とする低挿入力コネクタ端子の製造方法である。
また、本発明の低挿入力コネクタ端子用基板は、上記課題を解決するため、請求項7に記載の通り、コネクタ端子としたときに相手方コネクタとの嵌合時に相手方コネクタの端子と摺動し合う摺動面に自己組織化膜を有することを特徴とする低挿入力コネクタ端子用基板である。
本発明の低挿入力コネクタ端子によれば接触圧力調整レバーなどの特殊な装置のコネクタへの追加が不要で、作製が容易であり、コストの大幅なアップを来さず、接触抵抗の上昇もない、極めて小さい力で相手方コネクタとの接続が容易な低挿入力コネクタ端子を得ることができる。すなわち、特殊な装置を必要とせず、溶液に浸漬するだけで固体表面に有機分子の単分子膜(自己組織化膜)を形成して、摩擦係数を低減することにより、コネクタを低挿入力化することができる。また、自己組織化膜は上記溶液浸漬法以外にも、気相成膜法(例えば、チオール系有機物の蒸気雰囲気に相手方コネクタとの嵌合時に相手方コネクタの端子と摺動し合う摺動面を暴露する方法)によっても形成することができる。
また、本発明の低挿入力コネクタ端子の製造方法によれば、上記のような優れた低挿入力コネクタ端子を容易に得ることができる。
本発明における自己組織化膜とは、コネクタ端子表面の金属と有機分子とが化学結合により吸着して形成され、かつ、その有機分子は有機分子同士のファンデルワールス力により配向し集積することで形成された分子膜のうちの単分子膜を指す。このような自己組織化膜は、緻密かつ強固な薄膜となっていて、摩擦抵抗低減や表面保護などの優れた特性を示す。
このような自己組織膜はコネクタ端子金属の表面上の、少なくとも摺動面となる部分に形成するが、このような金属としては、銅(銅合金も含む。)、金、銀、錫など、あるいは、これらによるめっき面である。
ここで、安価で、導電性が高い銅ないし銅合金の表面に、めっき等により錫層を設けた基板を用いることが、錫層により酸化皮膜が薄く剥がれやすいため、容易に金属新生面が得られる等の効果が得られるために特に望ましい。
摺動面となる部分の金属表面が汚れていたり、あるいは、例えば、錫や銅、あるいは、銀のように、空気中で表面が容易に酸化されたり、あるいは、空気中の二酸化硫黄等の硫黄成分と反応しやすい金属の場合、金属表面に形成された金属酸化物層や金属硫化物が、自己組織膜の形成を大きく妨げるので、予め、洗浄等によりこれら酸化物、硫化物を除去することが望ましい。このような洗浄としては、例えば、硫酸、塩酸や硝酸等の酸水溶液を用いて行う酸洗浄が挙げられる。
ここで、錫は銅と比べて酸化膜が強固(緻密)であるため、錫からなる表面に対しては硝酸を用いる酸洗浄を行うことが望ましい。硝酸以外の酸化物除去法では酸化物の除去が困難となったり、あるいは、酸化物が除去された場合であっても副生成物の形成(副生成物は自己組織化膜形成への障害となり、本発明の効果である摩擦の低減化の妨げとなる)や表面粗さ増大などを引き起こす。
このような、錫からなる表面に対する硝酸による酸洗浄処理では、用いる水溶液中の硝酸濃度としては13wt%以上17wt%以下、また、処理時間としては8秒以上13秒以下であることが望ましい。なお、処理中、硝酸浴内では攪拌を行うことが望ましい。このような条件での硝酸による酸洗浄処理により、自己組織化膜を形成するのに最適な状態を錫表面に付与することができる。
なお、これら酸洗浄処理の前後に、溶剤、水、あるいは、アルカリ性液を用いた洗浄等から1種あるいは2種以上選ばれる他の洗浄方法と組み合わせても良い。
一方、摺動面が金、白金、あるいは、パラジウムなどの、比較的表面に、酸化物や硫化物が形成されにくい金属からなる場合には、上記のような洗浄を省くことも可能であるが、これら金属表面に有機物等からなる汚れ成分が付着していることが多く、このような汚れにより、摺動面に形成される自己組織化膜の特性(配向など)に悪影響を及ぼすことがあるので、自己組織化膜の形成に先だってやはり洗浄を行うことが望ましい。
金属表面にこのような自己組織化膜を形成する有機分子としては、金属表面との結合による吸着に寄与する吸着官能基を有するものが挙げられ、具体的な吸着官能基としてチオール基を有するチオール系有機物(RSH)、ジスルフィド基を有するジスルフィド化合物(RSSR)、スルフィド基を有するスルフィド化合物(RSR)が挙げられる。なお、これらに式においてR、Rは直鎖炭化水素基(例えば(−(CHCH))、炭化水素基の少なくとも1つ以上の水素がフッ素に置換されてなるフッ素置換炭化水素基(例えば、(−(CHCF)、(−(CHCF−(CH(CHCF)等)、炭化水素基の少なくとも1つ以上の水素がカルボキシル基に置換されたカルボキシル基置換炭化水素基(例えば(−(CHCOOH))、炭化水素基の少なくとも1つ以上の水素がアミノ基に置換されてなるフッ素置換炭化水素基(例えば(−(CHNH)等)、あるいは炭化水素基の少なくとも1つ以上の水素が水酸基に置換されてなる水酸基置換炭化水素基(−(CHCHOH)などが挙げられる(これら式中n及びmはともに自然数(通常は3以上))。
このようなチオール系有機物としては、上記Rがアルキル基(−(CHCH;nは自然数(通常は3以上)、以下同じ)であるもの、フッ素化アルキル基(−(CHCF)であるもの、脂肪族カルボン酸基(−(CHCOOH)であるもの、あるいは、脂肪族アルコール基(−(CHCH0H)などが挙げられる。
このようなチオール系有機物を、例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒に溶解させて得た、チオール−アルコール溶液に、処理対象の端子の相手方コネクタとの嵌合時に相手方コネクタの端子と摺動し合う摺動面、あるいは、端子としたときにこのような摺動面となる部分を浸漬、塗布などの手段により、接触させることによりその表面に自己組織化膜を形成することができる。
また、自己組織化膜は上記溶液浸漬法以外にも、気相成膜法(例えば、上記のチオール系有機物の蒸気雰囲気に相手方コネクタとの嵌合時に相手方コネクタの端子と摺動し合う摺動面を暴露する方法)によっても形成することができる。
≪実施例1、硝酸での前処理による基礎検討≫
<自己組織化膜の形成>
一般的なコネクタ端子に用いられる、錫めっきが施された銅合金板、すなわち、厚さ0.2mmの板状の下地銅合金(商品名NB109:同和鉱業社製)板に錫めっきを施してなる基板を用いた。
まず、前処理として錫の金属新生面を得るため15wt%硝酸水溶液に10秒間浸漬し、その表面から酸化物を取り除く酸化物除去処理を行った。
次いで、オクタデカンチオール(アルドリッチ社より入手)を1mMとなるようにエタノール(99.5wt%)に溶解させてなる自己組織化膜形成液に、上記前処理を行った基板を以上の溶液中へ浸漬し、48時間常温で放置した。その後、基板を取り出し、エタノール中で超音波洗浄を行い、表面に自己組織化膜が形成された基板(成膜基板A)を得た。
<自己組織化膜の確認>
成膜を行った基板のXPS(X線光電子分光法)測定を行った結果、オクタデカンチオール成分が錫めっき上に形成されていることを確認した。
ここで、図1に前処理のみを行った基板のXPSスペクトル、図2には前処理のみを行った基板のXPSスペクトルのうち、炭素C1s軌道(図2(a))、酸素O1s軌道(図2(b))、錫Sn3d軌道(図2(c))、銅Cu2p軌道(図2(d))、及び、硫黄S2p軌道(図2(e))に該当する部分を拡大した部分スペクトルを示し、また、図3に製膜基板AのXPSスペクトル、図4には成膜基板AのXPSスペクトルのうち、炭素C1s軌道(図4(a))、酸素O1s軌道(図4(b))、錫Sn3d軌道(図4(c))、及び、硫黄S2p軌道(図4(d))に該当する部分を拡大した部分スペクトルを示した。
なお、上記のように成膜後に、オクタデカンチオールの溶媒であるエタノール中での超音波洗浄を行ったにもかかわらず、その後のXPS測定により成膜が確認されたことから、形成された自己組織化膜は化学結合によって錫のめっき表面に結合されていることが確認された。
<接触抵抗の評価>
また、製膜基板の接触抵抗の測定を行い、電気特性への影響の確認を行った。このとき、n=2とし、前処理のみを行った基板での接触抵抗の測定結果(n=2)を併せて調べた。
成膜基板Aにインデントを接触させたときの接触荷重を0.098〜9.8N間で変化させ、このときの接触抵抗値(R)を4端子法にて測定した、サンプルへの通電前後(サンプル上流側とサンプル下流側との間)で生じる電圧降下値(V)と印加電流Iとから次式(1)により求めた。結果を図5に示す。
<数1>
R=V/I …(1)
なお、このときの測定条件は、接触荷重:0.098〜9.8N、印加電流(I):10mAであり、リフロー錫めっき銅合金からなるインデント(基板との接触部は半球状の凸部となっており、その半球の半径は1.0mm)を使用した。なお、測定に先立ち、インデントはトリクロロエタンで充分に洗浄した。
図5より、自己組織化膜を成膜した基板の接触抵抗は、現状の接点使用時の条件に近い加重5N下で0.9〜4mΩ程度と未成膜サンプルとほぼ同程度の接触抵抗を示した。有機物によって膜を形成したにも拘わらず、接触抵抗がほとんど変化しない原因としては、自己組織化膜が数10Å以下の単分子層薄膜であるためトンネル電流が生じていると考えられる。このように、自己組織化膜を形成したにも拘わらず電気特性への影響がほとんどなく、コネクタ端子のような電気接点への応用に適していると云える。
さらに、上記のように、荷重5Nと云う高荷重下で摩擦係数低減が確認されたことから、上記自己組織化膜では有機分子同士の配向により強固な膜になっていることが確認された。
<摩擦係数の評価>
また、成膜基板Aと前処理のみを行った基板とについて、それらの摩擦係数を調べた。すなわち、コネクタ端子挿入時に即した測定を行うため、端子との接点形状に近いインデントを使用する測定方法を採用した。試験では、図6に示すように試験基板にインデントを一定の荷重(5N)で接触させ、摺動方向に試験基板を摺動したときに試験基板へ加わる力(動摩擦力)を摺動試験器(山崎精機研究所製)を用いて測定し、次式(2)により摩擦係数を調べた。
<数2>
摩擦係数=動摩擦力/接触荷重 …(2)
このときの測定条件は、接触荷重:5N,テストスピード:24mm/min,変位:5mm(一方向、一回のみ)で、スズめっき銅合金からなるインデント(基板との接触部は半球状の凸部となっており、その半球の半径は1.0mm)を使用した。前処理のみを行った基板での結果を図7(a)に、成膜基板Aでの結果を図7(b)にそれぞれ示す。
これら図より本発明に係る成膜基板Aによれば、動摩擦係数が成膜を行わない基板に比べ1/3程度と、大幅に低減できることが判る。
≪実施例2、硝酸による前処理によるコネクタでの検討≫
黄銅に錫めっきを施してなる雄コネクタ用端子18個と、銅合金に錫めっきを施してなる雌コネクタ用端子18個を上記成膜基板Aと同様に、15wt%硝酸水溶液による前処理を施した後、1mM−オクタデカンチオール−エタノール溶液(自己組織化膜形成液)に48時間浸漬して、自己組織化膜を形成させ、その後充分にエタノールで超音波洗浄した。このとき、成膜された端子の表面に硫黄成分が存在していることをオージェ電子分光分析(AES)装置によって確認した。図8にそのスペクトルを示す。
これら成膜されたコネクタ端子を、対となる18ピンの雄コネクタ及び18ピンの雌コネクタにそれぞれセットし、その接続時の挿入力について調べた。なお、通常のコネクタには雄コネクタと雌コネクタとの接続がはずれないようにロックピンを有するものがあるが、ここではロックピンを除去して、端子同士の摩擦による抵抗をより検出されやすくしたコネクタを用いた。
挿入力測定は、島津製作所社製EZGraph試験機を用いて、雄コネクタを接続方向が上になるように固定し、接続方向が下方になるようにロードセルに取り付けた雌コネクタを雄コネクタの上方からクロスヘッドスピードが25mm/min(JASOD606準拠)となるように下方へ移動させ、最終的に挿入による接続が完了するまでの、端子間の摺動時の荷重変化を測定した。
ここで、通常のコネクタ挿入時には図9にモデル的に示すような荷重変動曲線が観測される。挿入時にはコネクタ筐体内部では図10のように雌端子のバネ内部に雄端子のタブが挿入される。その挿入の過程において雄端子のタブが雌端子のバネ間に入り始めるときに図10中で符号Aを付して示された荷重の最大値が観測される。さらにその後雄端子タブが雌端子のバネを摺動しながら雌端子内部に挿入されるときに図10で符号Bを付して示されたような、ほぼ一定の荷重が観測される。この符号Bでの、観測される一定の荷重は雄端子タブと雌端子バネとの間に形成される摺動部の摩擦係数に依存すると考えられる。
ここで、実際に本実験で測定されたコネクタ挿入時の荷重変化を図11に示した。図11での荷重変動曲線は図9での一般的なコネクタ挿入時のモデル荷重変化曲線と同等な特徴が見られた。したがって、図11における摺動距離0.1mm付近のピークは雄端子タブの雌端子のバネへの挿入開始時にかかる荷重、摺動距離0.12mm以降の一定荷重部分は雄端子タブと雌端子のバネとの摺動時にかかる荷重に相当すると考えられる(その他、雄コネクタ自体と雌コネクタ自体との間の摺動による荷重が考えられるが、これはロックピンが除去してあるので、常に一定と考えることができる)。
ここで、摺動距離0.12mm以降の一定荷重部分の荷重値は、自己組織化膜を成膜したコネクタ端子を用いた場合、成膜していないコネクタ端子を用いたコネクタ同士の接続の場合の約2/3に低下し、本発明により実際のコネクタにおいてもその挿入力を低下させることができることが確認された。
なお、成膜していないコネクタ端子を用いたコネクタ同士の接続では摺動時(摺動距離0.12mm以降)で荷重が上昇を示すのに対し、成膜したコネクタ端子を用いたコネクタ同士の接続では、ほぼ一定の値が得られた。これは自己組織化膜により摺動時の端子の錫の凝着や摩耗を防ぐ役割をしていることによるものと考えられる。また、雄端子タブの雌端子のバネへの挿入開始時の最大荷重値(摺動距離0.1mm部分)も同様に低下しており、コネクタ端子の摺動部の自己組織化膜は摺動開始時の静摩擦係数の低減にも効果があると考えられる。
≪実施例3、硫酸での前処理による基礎検討≫
上記実施例1での15wt%硝酸水溶液の代わりに、10wt%硫酸水溶液を用いて前処理を行った他は実施例1と同様にして、銅合金(NB109 同和鉱業社製)基板上に自己組織化膜を形成した。
このときの、膜が形成された基板表面のXPSスペクトルを図12(a)、その炭素C1s軌道該当の拡大図を図12(b)、硫黄S2p軌道該当の拡大図を図12(c)にそれぞれ示す。また硫酸による前処理のみを行った基板表面のXPSスペクトルを図13(a)、その炭素C1s軌道該当の拡大図を図13(b)、硫黄S2p軌道該当の拡大図を図13(c)にそれぞれ示す。これら図により、成膜品ではオクタデカンチオール成分が銅基板上に形成されていることが確認された。
これら基板について実施例1同様にして摩擦抵抗の評価について、インデントを一定の荷重(5N)で接触させたときの、成膜していない前処理のみの基板の摩擦係数が0.17であるのに対して、0.08と、1/2程度となることが確認された。
これら基板について実施例1同様に接触抵抗の評価を行った。結果を図14に示す。図14より自己組織化膜を成膜した基板の接触抵抗は、荷重5N下で1mΩ程度と未成膜サンプルとほぼ同程度の接触抵抗を示すことが確認された。
本発明のコネクタ端子によれば、接触圧力調整レバーなどの特殊な装置のコネクタへの追加が不要で、作製が容易であり、コストの大幅なアップを来さず、接触抵抗の上昇もない、極めて小さい力で相手方コネクタとの接続を容易とする低挿入力コネクタ端子が可能となり、このような本発明に係る低挿入力コネクタ端子は、接触圧力調整レバーなどの特殊な装置のコネクタへの追加が不要となるため、低コスト化、軽量小型化が特に望まれる分野、例えば自動車や電気自動車用のコネクタに好適に応用できる。
硝酸による前処理のみが行われた基板のXPSスペクトルを示す図である。 硝酸による前処理のみを行った基板のXPSスペクトルのうち、炭素C1s軌道、酸素O1s軌道、錫Sn3d軌道、銅Cu2p軌道、及び、硫黄S2p軌道に該当する部分を拡大した部分スペクトルを示す図である。 実施例1の自己組織化膜が成膜された基板AのXPSスペクトルを示す図である。 実施例1の自己組織化膜が成膜された基板AのXPSスペクトルのうち、炭素C1s軌道、酸素O1s軌道、錫Sn3d軌道、銅Cu2p軌道、及び、硫黄S2p軌道に該当する部分を拡大した部分スペクトルを示す図である。 実施例1の自己組織化膜が成膜された基板Aと硝酸による前処理のみを行った基板との接触抵抗を、接触力を変化させたときの経緯について調べた結果を示す図である。 摩擦抵抗を測定する方法を説明するためのモデル図である。 実施例1の自己組織化膜が成膜された基板Aと硝酸による前処理のみを行った基板との摩擦抵抗測定結果を示す図である(2回の繰り返し実験での結果を併せて示す)。(a)硝酸による前処理のみを行った基板での結果を示す図である。(b)成膜基板Aでの結果を図7(a)に、成膜基板Aでの結果を示す図である。 実施例2の成膜されたコネクタ端子のオージェ電子分光分析(AES)スペクトルである。 通常のコネクタ挿入時に観察される荷重変動曲線のモデルを示す図である。 通常のコネクタ挿入時のコネクタ筐体内部の雌端子のバネ内部に雄端子のタブが挿入されて摺動部が形成される状態を示すモデル図である。 実際に本測定されたコネクタ挿入時の荷重変化を示す図である。 実施例3で自己組織化膜が形成された基板表面のXPSスペクトルを示す図である。(a)ワイドスキャンでのスペクトルである。(b)炭素C1s軌道該当の拡大図である。(c)硫黄S2p軌道該当の拡大図である。 硫酸による前処理のみが行われた基板表面のXPSスペクトルを示す図である。(a)ワイドスキャンでのスペクトルである。(b)炭素C1s軌道該当の拡大図である。(c)硫黄S2p軌道該当の拡大図である。 硫酸での前処理の検討に関し、自己組織化膜が形成された基板及び前処理のみの基板における接触抵抗を調べた結果を示す図である。

Claims (7)

  1. 相手方コネクタとの嵌合時に相手方コネクタの端子と摺動し合う摺動面に自己組織化膜を有することを特徴とする低挿入力コネクタ端子。
  2. 上記摺動面がオクタデカンチオールで処理されていることを特徴とする請求項1に記載の低挿入力コネクタ端子。
  3. 上記自己組織化膜形成前の摺動面が錫により形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の低挿入力コネクタ端子。
  4. 相手方コネクタとの嵌合時に相手方コネクタの端子と摺動し合う摺動面に自己組織化膜を形成する工程を有することを特徴とする低挿入力コネクタ端子の製造方法。
  5. 上記自己組織化膜を形成する工程の前に、自己組織化膜形成前の摺動面に対して、表面の金属酸化物を除去する工程を有することを特徴とする請求項4に記載の低挿入力コネクタ端子の製造方法。
  6. 上記表面の金属酸化物を除去する工程が酸性水溶液を用いる酸洗浄であることを特徴とする請求項5に記載の低挿入力コネクタ端子の製造方法。
  7. コネクタ端子として相手方コネクタとの嵌合時に相手方コネクタの端子と摺動し合う摺動面に自己組織化膜を有することを特徴とする低挿入力コネクタ端子用基板。
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