JP4592380B2 - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、2つのプーリの間に金属ベルトを掛け渡し、両プーリそれぞれの溝幅を変えることにより変速比を無段階に変化させることができるように構成されたベルト式無段変速機に関する。
ベルト式無段変速機は入力側の軸部材上に設けられたドライブプーリと、出力側の軸部材上に設けられたドリブンプーリとの間に金属ベルトが掛け渡された構成を有しており、ドライブプーリとドリブンプーリそれぞれの溝幅を変えることにより変速比を無段階に変化させることができるようになっている。このようなベルト式無段変速機では原動機の負荷状態等に応じたスムーズな変速が可能であるため、自動車を初めとする様々な動力機械の動力伝達装置として用いられている。
このようなベルト式無段変速機では、ドライブ及びドリブン両プーリ(以下、単にプーリと称する)と金属ベルトとの間の動力伝達はプーリと金属ベルトとの接触面における摩擦によって行われる。したがって、プーリ斜面と金属ベルトとの間には所要の摩擦力が発生し得るようにする必要があり、プーリ斜面には適当な表面粗さとなるような研磨加工が施される。また、プーリ斜面と金属ベルトとの間には焼き付け防止及び冷却のための潤滑油が供給されるが、この潤滑油は多過ぎては滑りを生じてプーリ斜面と金属ベルトとの間の摩擦係数の低下を招くので、余分な潤滑油は効率よく排出される必要がある。更には、要求される使用寿命確保の観点から、プーリ斜面には高い耐磨耗性も要求される。
このようなベルト式無段変速機の例としては、プーリ斜面に多数の微小凹凸を形成したうえで、その微小凹凸の先端部を研磨して平坦面に加工するもの(下記の特許文献1及び特許文献2参照)や、プーリ斜面に螺旋状の溝部を切削形成した上で仕上げ研磨をするもの(下記の特許文献3参照)が知られている。また、金属ベルトを構成する各エレメント又はプーリ斜面上に、互いに交叉し、かつ幅と深さとがほぼ同じ寸法となる複数の溝を設けるもの(下記の特許文献4参照)や、プーリ斜面の算術平均粗さや表面硬さを所定値内とするもの(下記の特許文献5参照)も知られている。
特開昭60−109661号公報 特開平5−10405号公報号公報 特許第2686973号公報 特開昭62−184270号公報 特開2000−130527号公報
しかしながら、上記特許文献1乃至3に記載のベルト式無段変速機では、プーリ斜面に研磨加工を施す工程があるためにコスト高となり、特許文献4に記載のものでは、潤滑油の排出は効率よくなされるものの、プーリ斜面と金属ベルトとの間の摩擦係数の向上は不充分である。また、特許文献5に記載のベルト式変速機では、プーリの耐磨耗性は向上するものの、プーリ斜面と金属ベルトとの間の摩擦係数の向上は不充分である。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、プーリ斜面と金属ベルトとの間の摩擦係数を高めることができるとともに、プーリ斜面の耐磨耗性向上をも同時に実現することが可能な構成のベルト式無段変速機を提供することを目的としている。
本発明に係るベルト式無段変速機は、入力側の軸部材(例えば、実施形態における中空軸11)上に設けられたドライブプーリと、出力側の軸部材(例えば、実施形態における出力軸20)上に設けられドリブンプーリと、ドライブプーリのプーリ斜面とドリブンプーリのプーリ斜面との間に掛け渡された金属ベルトとを有し、ドライブプーリの溝幅及びドリブンプーリの溝幅をそれぞれ変えることにより変速比を無段階に変化させることができるように構成されたベルト式無段変速機において、ドライブプーリ及びドリブンプーリの少なくとも一方のプーリ斜面が、ハードターニング処理及びその後のショットブラスト処理により表面処理され、ショットブラスト処理後のプーリ斜面の面性状が、算術平均粗さをRa、有効負荷粗さをRk、油溜まり深さをRvkとしたとき、式 Ra>0.7 かつ Rk/(Rk+Rvk)>0.7 を満たす。
本発明に係るベルト式無段変速機では、ドライブプーリ及びドリブンプーリそれぞれの金属ベルトとの接触面であるプーリ斜面が、ハードターニング処理と、その後に行われるショットブラスト処理とにより表面処理される。すなわち、初めにハードターニング処理を施すことによりプーリ斜面に螺旋状の溝を形成し、次のショットブラスト処理により螺旋状の溝の先端部を除去するとともに、プーリ斜面に無数の凹凸部を形成する。ハードターニング処理により形成された螺旋状の溝を油路として余分な潤滑油を効率よく排出させ得ることと、ショットブラスト処理によりプーリ斜面上に形成した無数の凹凸部によって、金属ベルトとの接触面積を増大させることにより、金属ベルトとの間の摩擦係数を高い値に保持し得る。また、ショットブラスト処理によりプーリ斜面の硬度が向上し、加えて残留圧縮応力の付与がなされるので、プーリ斜面の耐磨耗性を引き上げることも可能である。また、プーリ斜面に研磨加工を施す工程を有していないので、製造コストを安価にすることもできる。
なお、このようなプーリ斜面の表面処理において、ショットブラスト処理後のプーリ斜面の面性状が、算術平均粗さをRa、有効負荷粗さをRk、油溜まり深さをRvkとしたとき、式
Ra>0.7かつRk/(Rk+Rvk)>0.7
を満たすようにすれば、プーリ斜面と金属ベルトとの間の摩擦係数を高めることと、プーリ斜面の耐摩耗性を向上させることとの双方を最適の状態において満足させることができる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係るベルト式無段変速機CVTを、図2はこのベルト式無段変速機(以下、変速機機と称する)CVTを備えた車両用動力伝達装置1を示している。この車両用動力伝達装置1はエンジンEGの回転速度やトルクを変速機CVTにより変換し、エンジンEGの回転動力をディファレンシャル機構60経由で左右の駆動輪(車両の前輪)WL,WRに伝達する構成を有している。
変速機CVTは、入力側部材である入力軸10及び中空軸11、出力側部材である出力軸20、中空軸11上に設けられたドライブプーリ12、出力軸20上に設けられドリブンプーリ22及びドライブプーリ12とドリブンプーリ22との間に掛け渡された金属ベルト30を有して構成されており、中間軸40及びディファレンシャル機構60とともに図示しない変速機ケース内に収容されている。入力軸10はエンジンEGのクランクシャフトCSにカップリング機構CPを介して連結されており、中空軸11はこの入力軸10の外周側に入力軸10に対して相対回転自在に保持されている。中空軸11と入力軸10との間には遊星歯車機構14が設けられている。出力軸20上には中間軸ドライブギヤ24及びスタートクラッチ25が設けられており、中間軸40上には中間軸ドリブンギヤ42及びファイナルドライブギヤ44が設けられている。
ドライブプーリ12は、中空軸11上に固定された固定側ドライブプーリ半体12aと、中空軸11に対して相対回転不能かつ中空軸11の軸方向に移動自在に設けられた可動側ドライブプーリ半体12bとからなり、可動側ドライブプーリ半体12bの側方(図2では紙面右方)に設けられたシリンダ室(油圧室)13内にプーリ側圧(作動油の圧力)を作用させてプーリ推力を発生させることにより、可動側ドライブプーリ半体12bを中空軸11に固定されたシリンダ壁13aに対して移動させることができる。すなわちドライブプーリ12は与えられたプーリ推力に応じて溝幅(両ドライブプーリ半体12a,12b間の間隔)を変化させることができる構成となっている。具体的には、シリンダ室13内の圧力を高めてプーリ推力を上昇させると、可動側ドライブプーリ半体12bが金属ベルト30の張力に抗して固定側ドライブプーリ半体12aに近づくことにより(図2における紙面左方に移動して)ドライブプーリ12の溝幅が狭められ、シリンダ室13内の圧力を低くしてプーリ推力を低下させると、可動側ドライブプーリ半体12bが金属ベルト30の張力により固定側ドライブプーリ半体12aから離れて(図2における紙面右方に移動して)ドライブプーリ12の溝幅が広げられる。
ドリブンプーリ22は、出力軸20上に固定された固定側ドリブンプーリ半体22aと、出力軸20に対して相対回転不能かつ出力軸20の軸方向に移動自在に設けられた可動側ドリブンプーリ半体22bとからなり、可動側ドリブンプーリ半体22bの側方(図2では紙面左方)に設けられたシリンダ室(油圧室)23内にプーリ側圧を作用させてプーリ推力を発生させることにより、可動側ドリブンプーリ半体22bを出力軸20に固定されたシリンダ壁23aに対して移動させることができる。すなわちドリブンプーリ22は与えられたプーリ推力に応じて溝幅(両ドライブプーリ半体22a,22b間の間隔)を変化させることができる構成となっている。具体的には、シリンダ室23内の圧力を高めてプーリ推力を上昇させると、可動側ドリブンプーリ半体22bが金属ベルト30の張力に抗して固定側ドリブンプーリ半体22aに近づくことにより(図2における紙面右方に移動して)ドリブンプーリ22の溝幅が狭められ、シリンダ室23内の圧力を低くしてプーリ推力を低下させると、可動側ドリブンプーリ半体22bが金属ベルト30の張力により固定側ドリブンプーリ半体22aから離れて(図2における紙面左方に移動して)ドリブンプーリ22の溝幅が広げられる。
遊星歯車機構14は、入力軸10と一体となって回転するサンギヤ14aと、中空軸11と一体に形成されたリングギヤ14bと、入力軸10に対して相対回転自在に設けられたプラネタリキャリヤ14cと、このプラネタリキャリヤ14cに回転自在に支承され、サンギヤ14a及びリングギヤ14bの双方と常時噛合した複数のプラネタリギヤ14dとを有して構成される。サンギヤ14aとリングギヤ14bとの間にはフォワードクラッチ15が設けられており、プラネタリキャリヤ14cと変速機ケースとの間にはリバースブレーキ16が設けられている。フォワードクラッチ15は図示しないクラッチピストンの油圧作動を受けてサンギヤ14aとリングギヤ14bとの結合及びその解除を行い、リバースブレーキ16は図示しないブレーキピストンの油圧作動を受けてプラネタリキャリヤ14cと変速機ケース上の部材3との結合及びその解除を行う。
ここで、フォワードクラッチ15を係合(サンギヤ14aとリングギヤ14bとを結合)させると、サンギヤ14aとリングギヤ14bとは相対回転不能となり、リバースブレーキ16を係合(プラネタリキャリヤ14cと変速機ケース上の部材3とを結合)させると、プラネタリキャリヤ14cと変速機ケースとは相対回転不能となる。このため、入力軸10が回転した状態でフォワードクラッチ15を係合させると(リバースブレーキ16は非係合とする)、中空軸11は入力軸10と一体となって回転し、これによりドライブプーリ12は入力軸10と同一の方向に回転する(これを順方向回転とする)。なお、このときサンギヤ14aとリングギヤ14bとは相対回転しないので、各プラネタリギヤ14dは自転することなく、サンギヤ14a及びリングギヤ14bと一体となって、入力軸10のまわりを回転(公転)する。一方、入力軸10が回転した状態でリバースブレーキ16を係合すると(フォワードクラッチ15は非係合とする)、サンギヤ14aが入力軸10と一体となって回転する一方で、各プラネタリギヤ14dは自転してリングギヤ14bをサンギヤ14aとは反対の方向へ回転させるので、中空軸11を介してリングギヤ14bと一体に形成されたドライブプーリ12は入力軸10とは反対の方向に回転する(これを逆方向回転とする)。なお、フォワードクラッチ15とリバースブレーキ16がともに非係合となっているときには、入力軸10及びこれと一体のサンギヤ14aが回転するのみであり、エンジンEGの回転動力は中空軸11、すなわちドライブプーリ12には伝達されない。
中間軸ドライブギヤ24は出力軸20に対して相対回転自在に設けられており、スタートクラッチ25は図示しないクラッチピストンの油圧作動を受けて出力軸20と中間軸ドライブギヤ24との結合及びその解除を行う。ここで、スタートクラッチ25を係合(出力軸20と中間軸ドライブギヤ24とを結合)させると、中間軸ドライブギヤ24は出力軸20に対して相対回転不能となる。このため、出力軸20が回転した状態でスタートクラッチ25を係合させると、中間軸ドライブギヤ24は出力軸20と一体となって出力軸20とともに回転する。
ドライブプーリ12とドリブンプーリ22との間に掛け渡された金属ベルト30は、図3に示すように、多数の金属製のエレメント32が2本のスチールバンド31,31の間に嵌め込まれた構成となっている。各エレメント32はその両側面32a,32aがV字状に形成されており、これらV字状の側面がドライブプーリ12を構成する両ドライブプーリ半体12a,12bの対向するプーリ斜面PS(円錐状の斜面)及びドリブンプーリ22を構成する両ドリブンプーリ半体22a,22bの対向するプーリ斜面PSにより挟持されるように両プーリ12,22に適切な(各プーリ斜面PSに対して金属ベルト30が滑ることのない)プーリ推力を与えることにより、エンジンEGの動力をドライブプーリ12からドリブンプーリ22へ伝達することができるようになっている。
中間軸ドリブンギヤ42及びファイナルドライブギヤ44はともに中間軸40上に固定して設けられており、中間軸ドリブンギヤ42は、出力軸20上に設けられた中間軸ドライブギヤ24と常時噛合している。また、ファイナルドライブギヤ44は、ディファレンシャル機構60のディファレンシャルケース61に固定されたファイナルドリブンギヤ64と常時噛合している。
ディファレンシャル機構60は、ディファレンシャルケース61の内部に2つのディファレンシャルピニオン62a,62a及び2つのサイドギヤ62b,62bからなる差動機構63が収容された構成となっており、サイドギヤ62b,62bには左右のアクスルシャフトASL,ASRが固定されている。これら左右のアクスルシャフトASL,ASRはその中心軸が中間軸40の中心軸と平行になるように配置されており、ディファレンシャルケース61はこれら左右のアクスルシャフトASL,ASRの中心軸を回転軸として回転できるように支持されている。また、左右のアクスルシャフトASL,ASRの端部には左右の駆動輪WL,WRが取り付けられている。ディファレンシャルケース61に固定されたファイナルドリブンギヤ64は上述のようにファイナルドライブギヤ44と常時噛合しているので、中間軸40が回転するとディファレンシャルケース61全体が、左右のアクスルシャフトASL,ASRとともに、これらアクスルシャフトASL,ASRの中心軸まわりに回転する。
ここで、ドライブプーリ12とドリブンプーリ22それぞれに金属ベルト30の滑りが発生することのない適切なプーリ推力を与えた状態で入力軸10にエンジンEGの回転動力を入力すると、その回転動力は、入力軸10→ドライブプーリ12→金属ベルト30→ドリブンプーリ22→出力軸20と伝達される。そして、ドライブプーリ12及びドリブンプーリ22それぞれのプーリ推力を増減させることによって両プーリ12,22それぞれの溝幅を変えることができ、金属ベルト30の両プーリ12,22に対する巻き掛け半径比(プーリ比)を変化させて滑らかな無段階変速ができるようになっている。
具体的には、ドリブンプーリ22のプーリ推力を高くし、ドライブプーリ12のプーリ推力を低くする制御を行ったときには、ドリブンプーリ22の溝幅は狭く、ドライブプーリ12の溝幅は広く設定されるので、金属ベルト30のドリブンプーリ22に対する巻き掛け半径はドライブプーリ12に対する巻き掛け半径よりも大きくなり、変速機CVTは低速走行対応の低レシオ状態(出力軸20の回転速度が入力軸10の回転速度よりも小さくなる状態)となる。また、ドライブプーリ12のプーリ推力とドリブンプーリ22のプーリ推力とを同程度とする制御を行ったときには、ドライブプーリ12の溝幅とドリブンプーリ22の溝幅とはほぼ等しくなるように設定されるので、金属ベルト30のドライブプーリ12に対する巻き掛け半径とドリブンプーリ22に対する巻き掛け半径とはほぼ等しくなり、変速機CVTは中速走行対応の中レシオ状態(出力軸20の回転速度が入力軸10の回転速度とほぼ同程度となる状態)となる。また、ドライブプーリ12のプーリ推力を高くし、ドリブンプーリ22のプーリ推力を低くする制御を行ったときには、ドライブプーリ12の溝幅は狭く、ドリブンプーリ22の溝幅は広く設定されるので、金属ベルト30のドライブプーリ12に対する巻き掛け半径はドリブンプーリ22に対する巻き掛け半径よりも大きくなり、変速機CVTは高速走行対応の高レシオ状態(出力軸20の回転速度が入力軸10の回転速度より大きくなる状態)となる。
上記のようにエンジンEGの回転動力が入力軸10から出力軸20に伝達されている状態でスタートクラッチ25を係合させると、中間軸ドライブギヤ24が出力軸20と一体となって回転するので、出力軸20に伝達されたエンジンEGの回転動力は更に中間軸ドライブギヤ24から中間軸ドリブンギヤ42に伝達されて、中間軸40が回転する。これにより中間軸40上のファイナルドライブギヤ44がファイナルドリブンギヤ64、すなわちディファレンシャルケース61を回転させるので、左右のサイドギヤ62b,62bに連結されたアクスルシャフトASL,ASRを介して左右の駆動輪WL,WRが駆動される。一方、スタートクラッチ25が非係合の状態では中間軸ドライブギヤ24と出力軸20とは連結されず、出力軸20の回転動力は中間軸ドライブギヤ24に伝達されないので、左右の駆動輪WL,WRは駆動されない。
変速機CVTの作用は上記の通りであるが、変速機CVTでは、ドライブプーリ12及びドリブンプーリ22それぞれの金属ベルト30との接触面である各プーリ斜面PSの表面処理工程に特徴があり、以下にこれについて説明する。
ドライブプーリ12及びドリブンプーリ22は通常、熱処理した浸炭鋼を粗加工し、鍛造等により全体形状を整えた後、金属ベルト30と接触する各プーリ斜面PSについて研磨を施す。しかし、変速機CVTでは、各プーリ斜面PSは鍛造等の後に研磨するのではなく、ハードターニング処理の後、ショットブラスト処理を施す。
各プーリ斜面PSに対し、初めにハードターニング処理を施すのは、鍛造後のプーリ斜面PSに螺旋状の溝を形成させるためである。これは、変速機CVTが使用されているとき、両プーリ12,22のプーリ斜面PSと金属ベルト30の各エレメント32との間には焼き付け防止及び冷却をするための潤滑油が供給されるが、この潤滑油が多過ぎては滑りを生じるので、プーリ斜面PSと各エレメント32との接触面に薄い油膜が張られる程度とされる。このため余分な潤滑油は効率よく排出される必要があるが、これら螺旋状の溝は、その余分な潤滑油の排出油路として機能することになる。
また、上記ハードターニング処理の次にプーリ斜面PSにショットブラスト処理を施すのは、ハードターニングにより形成された螺旋状の溝の先端部を除去するとともに、プーリ斜面PSに無数の微小な凹凸部を形成するためである。このように、ハードターニング処理により形成された螺旋状の溝を油路として余分な潤滑油を効率よく排出させ得ることと、ショットブラスト処理によりプーリ斜面PS上に形成した無数の凹凸部によって、金属ベルト30の各エレメント32との接触面積を増大させることにより、金属ベルト30との間の摩擦係数を高い値に保持し得る。また、ショットブラスト処理によりプーリ斜面PSの硬度が向上し、加えて残留圧縮応力の付与がなされるので、プーリ斜面PSの耐磨耗性を引き上げることも可能である。また、プーリ斜面PSに研磨加工を施す工程を有していないので、製造コストも安価にすることができる。
上記のように各プーリ斜面PSにハードターニング処理及びその後のショットブラスト処理を施すことによってエレメント32との接触面積を増大させて高摩擦係数を確保できるが、これをプーリ斜面PSの表面粗さの観点から見ると、次のようになる。
図4の各グラフは負荷曲線のグラフであって、各グラフの横軸は負荷長さ率tp(%)、縦軸は表面粗さRである。そして、図4(A)はハードターニング処理もショットブラスト処理もなされていない場合の負荷曲線のグラフ、図4(B)はハードターニング処理のみがなされてショットブラスト処理がなされていない場合の負荷曲線のグラフ、図4(C)はハードターニング処理の後ショットブラスト処理がなされた場合の負荷曲線のグラフ、図4(D)はハードターニング処理をすることなくショットブラスト処理がなされた場合の負荷曲線のグラフである。ここで、図4を(A)→(B)→(C)の順に見れば、ハードターニング処理の後にショットブラスト処理を施すによって表面粗さが(従って表面粗さの一つの指標となる算術平均粗さRaが)大きくなることが分かる。また、図4(D)を参照することにより、ハードターニング処理をすることなくショットブラスト処理のみを行った場合には、ハードターニング処理の後ショットブラスト処理を行った場合のみならず、ハードターニング処理のみを行ってショットブラスト処理を行わなかった場合よりも表面粗さは小さくなることが分かる。
図5は表面粗さの別の指標となる、有効負荷粗さと油溜まり深さの求め方の説明をするための負荷曲線のグラフである。この負荷曲線m上の点で負荷長さ率tpの値の差が40%になるような2点A,Bを通る直線の中で傾きが最も小さい直線nを求める。そして、この直線nと負荷長さ率tp=0%、100%との交点をそれぞれ点C,Dとした上で、点Dを通る切断レベルの線sと負荷曲線mとの交点を点Eとし、負荷曲線mと負荷長さ率tp=100%との交点を点Fとする。そして、線分DE、線分DF及び曲線EFで囲まれる領域の面積と三角形DEGの面積が等しくなるようなtp=100%上の点Gを求める。このとき、点Cと点Dとの切断レベルの差を有効負荷粗さRk(μm)といい、対象となる面(ここではプーリ斜面PS)が長期間の摩耗で使用できなくなるまでに摩耗する高さ(深さ)を表す。また、点Dと点Gとの距離を油溜まり深さRvk(μm)といい、油溜まりの谷深さを表す。
このように本変速機CVTは、ドライブプーリ11及びドリブンプーリ22において金属ベルト30と接触するそれぞれのプーリ斜面PSが、ハードターニング処理と、その後に行われるショットブラスト処理とにより表面処理されることにより、両プーリ12,22と金属ベルト30との間における高摩擦係数と耐磨耗性との双方を十分に満足し得る構成が得られるようにしているが、ショットブラスト処理後のプーリ斜面PSの面性状が、式
Ra>0.7 かつ Rk/(Rk+Rvk)>0.7 ・・・(1)
を満たしているのであれば、プーリ斜面PSと金属ベルト30(各エレメント32)との間の摩擦係数を高めることと、プーリ斜面PSの耐磨耗性を向上させることとの双方を最適の状態において満足させることができる。なお、上述の実施形態では、ドライブプーリ11とドリブンプーリ22双方のプーリ斜面PSに対してハードターニング処理及びその後のショットブラスト処理による表面処理が施される例を示したが、両プーリ11,22の少なくとも一方のプーリ斜面PSに対して上記表面処理が施される場合であっても金属ベルト30との接触面積を増大させることができ、上記効果が得られるのは勿論である。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されない。例えば、本発明が適用されるベルト式無段変速機を構成するドライブプーリ及びドリブンプーリの作動形態は、上述の実施形態において示した油圧作動式に限られず、モータを用いた電動作動式であってもよい。また、上述の実施形態では、本発明に係るベルト式無段変速機が車両用動力伝達装置に適用された場合を示したが、これは一例であり、本発明に係るベルト式無段変速機は、他の動力機械の動力伝達装置一般に適用することが可能である。
本発明の一実施形態に係るベルト式無段変速機の断面図である。 上記ベルト式無段変速機を備えた車両用動力伝達装置の構成を示すスケルトン図である。 上記ベルト式無段変速機を構成する金属ベルトの一部を示す斜視図である。 ハードターニング処理とショットブラスト処理とによってプーリ斜面の表面粗さが大きくなる様子を示す負荷曲線のグラフである。 有効負荷粗さと油溜まり深さの求め方の説明をするための負荷曲線のグラフである。
符号の説明
1 車両用動力伝達装置
10 入力軸
11 中空軸(入力側の軸部材)
12 ドライブプーリ
20 出力軸(出力側の軸部材)
22 ドリブンプーリ
30 金属ベルト
31 スチールバンド
32 エレメント
CVT ベルト式無段変速機
PS プーリ斜面

Claims (1)

  1. 入力側の軸部材上に設けられたドライブプーリと、出力側の軸部材上に設けられドリブンプーリと、前記ドライブプーリのプーリ斜面と前記ドリブンプーリのプーリ斜面との間に掛け渡された金属ベルトとを有し、前記ドライブプーリの溝幅及び前記ドリブンプーリの溝幅をそれぞれ変えることにより変速比を無段階に変化させることができるように構成されたベルト式無段変速機において、
    前記ドライブプーリ及び前記ドリブンプーリの少なくとも一方の前記プーリ斜面が、ハードターニング処理及びその後のショットブラスト処理により表面処理され
    前記ショットブラスト処理後の前記プーリ斜面の面性状が、算術平均粗さをRa、有効負荷粗さをRk、油溜まり深さをRvkとしたとき、式
    Ra>0.7 かつ Rk/(Rk+Rvk)>0.7
    を満たすことを特徴とするベルト式無段変速機。
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