JP4592107B2 - 遊技用演算処理装置 - Google Patents
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Description
こうした様々な手続きは、遊技機の性能を一定の基準に規制するとともに、ホールに設置された遊技機を当局の管理下に置くことにより、不正な遊技を排除して、法令の目的(「風俗営業の健全化」等)を達成するために講じられているものである。
しかし、上記の様々な規制にも関わらず、不正な行為はあとを絶たず、例えば、正規の遊技プログラムROM(Read Only Memory)を“裏ROM”と呼ばれる大当たりが出やすいように改竄(かいざん)されたROMに付け替えるなどの行為が問題視されるようになってきた。そこで、遊技プログラムROMをCPU(Central Proccessor Unit)などと一緒に同一半導体基板上にワンチップ化して、いわゆるアミューズメントチップ化し、それを遊技制御基板に取り付けることが行われているが、このような対策であっても、アミューズメントチップもしくはそれを搭載した遊技制御基板自体を交換された場合はまったくお手上げ状態であり、抜本的な不正防止対策とは言い難かった。
なお、ワンタイムPROM(One Time Programmable Read Only Memory;略称OTP)とは、データの再書込みを物理的に不可能にしたPROM(Programmable Read Only Memory)のことである。一般にチップ構成はEPROM(Erasable PROM)と同一であるが、パッケージに紫外線照射用の窓がない点でEPROMと外観上相違する。
したがって、この構成によれば、ホールに設置された後で、遊技用演算処理装置200′が正規品から改竄品に交換された場合は、改竄品のID情報とPJ1のEEPROM54に記録されていたID情報とが不一致になるから、遊技用演算処理装置200′の不正な交換を確実に発見することができる。
(1)ワンタイムPROMで構成されたセキュリティメモリ216′は、“ワンタイム”、すなわち、情報の書込みが1回しかできないので、固有IDの不正な書き換えを防止でき、高い保全性を得ることができる点で優れている。しかし、その反面、PROMはRAM(Random Access Memory)などの高速メモリに比べて動作速度が遅いため、固有IDの要求発生から固有IDを受け取るまでの時間が長くなるという不都合がある。したがって、本発明が解決しようとする第一の課題は、固有IDの保全と高速アクセスを共に達成することにある。
前記遊技プログラムを実行して遊技機の遊技制御を行う遊技制御手段と、を備えた 遊技用演算処理装置において
外部から入力される遊技プログラムを前記不揮発性記憶手段に書き込む書込み手段と
前記書き込み手段による遊技プログラムの書き込み終了時に、書込終了コードを記録する書込終了コード記憶手段と、
前記書込終了コード記録手段によって前記書込終了コードが記録されている場合に、前記書込み手段による新たな遊技プログラムの書き込みを禁止する書き込み禁止手段と、
前記遊技制御手段に割り当てられたユニークな識別情報を書き換え不能かつ不揮発的に記憶する第1の記憶手段と、
前記遊技制御手段で利用可能なリソースに含まれず、かつ、前記第1の記憶手段の記憶内容を電源投入時またはシステムリセット時にコピーして揮発的に記憶する第2の記憶手段と、
前記遊技制御手段のワークエリアとして利用される第3の記憶手段と、
外部からの要求に応答して前記第2の記憶手段の記憶内容を要求先に出力する出力手段と、
前記第2の記憶手段を電源バックアップする第1の電源バックアップ手段と、
前記第3の記憶手段を電源バックアップする第2の電源バックアップ手段と、
電源投入時またはシステムリセット時に、前記第1の記憶手段の記憶内容と前記第2の記憶手段の記憶内容とを照合する照合手段と、
前記照合手段による照合結果が異常な場合に所要の異常対応を行う異常対応手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項2記載の遊技用演算処理装置は、前記異常対応処理は、前記遊技制御手段を不能動化させるようにしたことを特徴とする。
請求項3記載の遊技用演算処理装置は、前記異常対応処理は、報知表示または報知音を出力する処理を含むことを特徴とする。
請求項4記載の遊技用演算処理装置は、前記異常対応処理は、異常を示す信号を外部に出力する処理を含むことを特徴とする。
また、前記第2の記憶手段は、前記遊技制御手段で利用可能なリソースに含まれないので、遊技制御手段(CPUコア201)で実行される遊技プログラム等のバグに起因する第2の記憶手段(IDプロパティRAM215)の不本意なアクセスを回避でき、識別情報(固有ID)の意図しない変化を防止することができるから、本発明の第二の課題、すなわち、第一の課題を達成しつつ、識別情報(固有ID)の不本意な書き換えを防止することができる。
また、前記第2の記憶手段に対する第1の電源バックアップ手段を備えたので、電源電圧ドロップ等の電源不安定時における第2の記憶手段(IDプロパティRAM215)の記憶内容の変化(ビット化け)を防止できるから、本発明の第三の課題、すなわち、第一の課題を達成しつつ、電源の不安定時におけるビット化けを防止することができる。
特に、第2の記憶手段は第1の記憶手段の記憶内容を電源投入時またはシステムリセット時にコピーして揮発的に記憶し、電源投入時またはシステムリセット時に、前記第1の記憶手段の記憶内容と前記第2の記憶手段の記憶内容とを照合し、照合結果が異常な場合に所要の異常対応処理を行うようにしたので、例えば、ノイズ等による第2の記憶手段(IDプロパティRAM215)の記憶内容の変化、または、遊技用演算処理装置に対する不正な外部アクセスなどに起因する同記憶内容の変化を遊技開始前に把握することができ、所要の対策(電源の再投入や当該遊技機の使用禁止処置等)を講じることができる。
請求項2記載の遊技用演算処理装置によれば、請求項1記載の遊技用演算処理装置において、前記異常対応処理は、前記遊技制御手段を不能動化させるので、遊技を継続できなくなり、不正を防止することができる。
請求項3記載の遊技用演算処理装置によれば、請求項1記載の遊技用演算処理装置において、前記異常対応処理は、報知表示または報知音を出力する処理を含むので、例えば、ノイズ等による第2の記憶手段(IDプロパティRAM215)の記憶内容の変化、または、遊技用演算処理装置に対する不正な外部アクセスなどに起因する同記憶内容の変化を遊技開始前にホールの従業員等に知らせることができ、所要の対策(電源の再投入や当該遊技機の使用禁止処置等)を講じることができる。
請求項4記載の遊技用演算処理装置によれば、請求項1記載の遊技用演算処理装置において、前記異常対応処理は、異常を示す信号を外部に出力する処理を含むので、例えば、同信号に応答させてポケベルの鳴動やE−mailの送信などを行うことにより、様々な伝達手段を駆使して在宅もしくは外出中の管理者等に知らせることができる。
<ホールの全体構成>
最初に、ホールの全体構成を説明する。図1はホールの全体構成を示すブロック図である。この図において、1はホールであり、ホール1にはCR(カードリーダ)式の遊技機10j(jはa、b…;以下同様)が多数設置されたパチンコ島11、状態変化情報記録装置JR、補助状態変化情報記録装置JRs、履歴処理装置12、カウンタ用コンピュータCC、FAX装置13、事務所用コンピュータHC、プリンタ14、通信制御装置15〜18、玉計数機19、島金庫20、監視カメラシステム21、アナウンスシステム22および設定・検査装置23が配置されている。なお、設定・検査装置23は常設されない。必要の都度、店内ネットワーク24に接続して用いられる。
ネットワーク中継装置25は1つのパチンコ島11について、それぞれ1台ずつ配置されるが、その他の各装置(例えば、情報収集端末装置31、球切装置33、パルスタンク34)は遊技機10a、10bと同数だけ(すなわち、遊技機10と対をなして)配置される。
遊技機10の側方にはカード式球貸装置32が配置されており、プリペイドカード(PC)を使用した球の貸出し操作等を遊技機10で行うことが可能である。
球切装置33は遊技機10の補給タンクへパチンコ島11から球を補給するもので、例えば、球が10個補給される毎に1パルスとなる信号(後述の図2に示す補給球数信号)が球切装置33から出力される。パルスタンク34は遊技機10から外部に回収された遊技終了後の球を計数するもので、パルスタンク34からは、例えば、球の10個流出(回収)ごとに1パルスとなる信号(後述の図2に示す回収球数信号)が出力される。
PJ2は遊技機10および遊技設備装置(球貸装置32等)より収集した主に遊技機10を監視するための状態変化情報(例えば、金枠開放信号、空皿信号等)をPJ1へ転送する処理やPJ1から発射停止要求があった場合に遊技機10を不能動化する処理(打止信号や電源断信号の発生処理)等を行うもので、PJ1と同様に、その詳細なブロック構成は後述する。
ネットワーク中継装置25は、例えば、ルータ(Router)の機能を有し、島内ネットワーク26と店内ネットワーク24の各LON間を中継接続する装置である。島内ネットワーク26にはLON(米国エシャロン社によって開発されたLON(Local Operating Network:同社の登録商標))が採用されている。
島内ネットワーク26、ネットワーク中継装置25および店内ネットワーク24は、全体としてPJ1、PJ2、JR、JRs、CCおよびHCの間を接続する通信網27(「LON通信網」ということもある)を構成する。なお、LON通信網27に接続される各ノード間では、LONTALKプロトコルを使用した認証付きメッセージで情報の転送を行い、ノード双方を相互に認証して信頼性を確保するようになっている。
JRおよびJRsはホール1に1台ずつ設けられている。例えば、遊技機500台に対して1台設置されている。または、複数階がある場合には各階毎に1台設置でもよい。JRは各パチンコ島11のPJ1から通報される遊技情報(状態変化情報)を遊技機毎に整理して記録し、JRsはJRをバックアップする。
履歴処理装置12は店内ネットワーク24に接続されているPJ1、PJ2、JR、JRs等からのエラー情報を記録する装置であり、エラー履歴を事後に分析して故障の発生したノード(PJ1、PJ2、JR、JRs等が接続されたノード)を特定するためのものである。
さらに、CCで所望の遊技機10の遊技情報を確認したい場合は、直接該当するPJ1から遊技情報を収集して表示する機能もある。CCとHCとの間は専用のネットワークケーブル28(例えば、イーサネット(登録商標))で接続されており、CCで売上や機種情報および時系列情報等の経営情報を確認したい場合は、HCから当該情報を入手して表示できるようになっている。
なお、CCにはFAX装置13が接続されており、CCで収集分析した情報を所定の印刷フォーマットに加工して外部に送信可能である。
玉計数機19は遊技者が獲得した球(例えば、景品交換のため)の計数を行い、計数値をCCおよびHCに転送するとともに、当該遊技者に対して景品交換用の計数結果紙片をプリントアウトして出力する。島金庫20はホール1に設けられた両替機や現金式球貸装置等から回収した硬貨および紙幣を収納する装置であり、現在の収納金額をHCおよびCCに逐一転送する。
監視カメラシステム21はホール1内に配置された監視カメラを管理して、撮像された画像を記録するシステムであり、アナウンスシステム22はホール1内のアナウンスを手動および自動的に行うシステムである。
既述のとおり、設定・検査装置23は“必要の都度”、店内ネットワーク24に接続される。必要の都度とは、例えば、新台に入れ替える場合(または遊技用演算処理装置200のみを入れ替える場合もしくは遊技用演算処理装置200を含む遊技制御装置41を入れ替える場合)であり、入れ替え後に設定・検査装置23を店内ネットワーク24に接続し、新台のPJ1を介してその台(入れ換えられた遊技機10)の遊技制御装置41に内蔵されている遊技用演算処理装置200をアクセスして正当性判定のための固有IDを設定する。
次に、PJ1のブロック構成について説明する。図2はPJ1のブロック図である。この図において、PJ1はCPU51、ROM52、RAM53、EEPROM54、バックアップ電源55、発振回路56、通信制御装置57、出力インターフェース(I/F)58、入力インターフェース(I/F)59およびバス60を備えている。
CPU51はROM52に格納されている処理プログラムに基づいて自分が受け持つ遊技機10および遊技設備装置(球貸装置32等)より出力された遊技情報と、PJ2より転送された遊技情報(状態変化情報)とを併せて演算加工し、収集した遊技情報より遊技情報の変化を検出する処理等を行うとともに、遊技用演算処理装置200の正当性判定を行う。ROM52は遊技用演算処理装置200の正当性判定を行う処理プログラムや遊技情報の収集・加工等のための処理プログラムを格納しており、RAM53はワークエリアとして用いられる。
バックアップ電源55はRAM53の記憶情報を停電時も保持するための電源(一次電池または二次電池)である。発振回路56はCPU51に制御クロック信号を供給する。通信制御装置57は島内ネットワーク26を介して当該PJ1と他のネットワーク端末(例えば、PJ2あるいはネットワーク中継装置25を介した店内ネットワーク24につながる各端末)との間で情報の転送等に必要な通信の制御を行う。
入力インターフェース59は遊技機10および遊技設備装置(球貸装置32等)とCPU51との間の入力インターフェース処理を行うもので、アミューズ通信信号、カード式の球貸装置32Cからのカードによる売上信号、現金式の球貸装置32Gからの現金による売上信号、球切装置33からの補給球数信号、パルスタンク34からの回収球数信号、遊技制御装置41からの特図回転信号、大当り信号、確変信号がそれぞれ入力されるようになっている。入力インターフェース59は、これらの信号をインターフェース処理してCPU51に送る。
次に、PJ2のブロック構成について説明する。図3はPJ2のブロック図である。この図において、PJ2はCPU61、ROM62、RAM63、EEPROM64、バックアップ電源65、発振回路66、通信制御装置67、出力インターフェース(I/F)68、入力インターフェース(I/F)69およびバス70を備えている。
CPU61はROM62に格納されている処理プログラムに基づいて自分が受け持つ遊技機10および遊技設備装置(金枠センサ133等)より収集した信号から状態変化を検出(例えば、金枠の開閉等)し、その情報をPJ1へ転送し、PJ1より上位ノードへ転送してもらう処理を行うとともに、PJ1から発射停止要求があった場合には遊技機10を不能動化する処理を行う。ROM62は状態変化検出等のための処理プログラムを格納しており、RAM63はワークエリアとして用いられる。ここで、本実施の形態では、遊技用演算処理装置200の非正当性が認められた場合にPJ1から発射停止要求をPJ2に出力して、遊技機10を不能動化(例えば、発射停止)する処理を行っているが、遊技用演算処理装置200の非正当性が認められた場合に、遊技機10を不能動化する処理を行う代わりに、例えば、遊技用演算処理装置200自体を不能動化する処理(例えば、遊技用演算処理装置200におけるCPUコア201(後述)の遊技プログラムの動作を停止させる処理等)を行ってもよい。
バックアップ電源65はRAM63の記憶情報を停電時も保持するための電源(一次電池または二次電池)である。発振回路66はCPU61に制御クロック信号を供給し、通信制御装置67は島内ネットワーク26を介して当該PJ2とPJ1との間の通信制御を行う。
出力インターフェース68は遊技機10とCPU61との間の出力インターフェース処理を行うもので、出力インターフェース68から遊技機10の遊技機電源装置131に対して電源断信号が出力されるとともに、発射制御装置132に対して打止信号が出力される。遊技機電源装置131は、遊技機10への電源供給をオンオフする装置であり、電源断信号が入力されると遊技機10への電源供給をオフにする。打止信号は遊技機10へ発射停止を指令する信号であり、CC等よりの指令でPJ2を介して出力される。発射制御装置132はこの打止信号の入力に応答して球の発射を停止する。
入力インターフェース69は遊技機10および遊技設備装置(金枠センサ133等)とCPU61との間の入力インターフェース処理を行うもので、入力インターフェース69には、遊技機10の金枠センサ133からの金枠開閉信号、木枠センサ134からの木枠開閉信号、補給検出センサ135からの空皿信号、電磁波検出装置136からの異常信号がそれぞれ入力されている。入力インターフェース69は、これらの信号をインターフェース処理してCPU61に送る。
ここで、PJ1およびPJ2は、全体として、遊技機10の遊技制御装置41に含まれる遊技用演算処理装置200の固有IDを監視して当該遊技用演算処理装置200の正当性を評価する監視装置を構成する。
図4は遊技機10を示す図であり、遊技機10は額縁状の前面枠71と、ガラスを支持する金枠(ガラス枠)72と、遊技領域が形成された遊技盤73と、前面表示パネル74と、前面表示パネル74の下方に設けられた操作パネル75とを有している。前面枠71は遊技機10を設置している木製の機枠(図示略)に対して上部蝶番77および下部蝶番78によって開閉可能に支持され、金枠72は前面枠71に開閉可能に支持されている。
表示パネル74は一端側が前面枠71に開閉可能に支持され、賞球を受ける上皿81が形成されるとともに、上皿81の球を球貯留皿(受皿ともいう)82に移すために両者を接続する通路を開閉するための開閉レバー83が設けられている。操作パネル75には、灰皿84および前述の球貯留皿82が形成されるとともに、球貯留皿82に貯留された球を外部下方に抜くための球抜きレバー85が設けられている。また、操作パネル75の右端部側には玉発射用の操作ノブ86が設けられており、遊技機10の前面枠71の上部には大当り時に点灯または点滅する大当り表示器87が設けられている。
普通変動入賞装置91内の入賞流路には特図始動スイッチ100が設けられており、普図始動ゲート93内の通過流路には普図始動ゲートスイッチ101が設けられている。また、特別変動入賞装置90の大入賞口内における継続入賞流路には継続スイッチ102が設けられており、一般入賞流路にはカウントスイッチ103が設けられている(上記各スイッチは図5参照)。
特図始動スイッチ100は普通変動入賞装置91に玉が入賞したことを検出し、普図始動ゲートスイッチ101は普図始動ゲート93を玉が通過したことを検出し、カウントスイッチ103は特別変動入賞装置90の大入賞口に入った全ての玉を検出し、継続スイッチ102は大入賞口に入った玉のうち継続入賞(いわゆるV入賞)した玉を検出する。
なお、遊技盤73の遊技領域には、天釘やヨロイ釘などと呼ばれる多数の障害釘が設けられているが、ここでは図面の輻輳を避けるために省略している。また、遊技盤73には、その他の各種装飾ランプやLED等が設けられていてもよい。
遊技盤における遊技領域の種類は、いわゆる「第1種」に属するものや図柄表示装置を備えた「第3種」に属するものを含め種々のものがあるが、本発明は何れの種類にも適用できる。要は、遊技制御を司る遊技用演算処理装置200を備えるものであればよい。ちなみに、本実施の形態のものは「第1種」に属するタイプである。
図5は遊技制御装置41のブロック図であり、遊技制御装置41は、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行うマイクロコンピュータからなる遊技用演算処理装置200と、振動素子の固有振動数を分周して所定のクロック信号を発生する発振器111と、遊技制御装置41への電源投入を検出してシステムリセット信号(RST)を発生する電源投入検出回路(図ではRST発生器と表記)112と、各種センサ信号を入力する入力インターフェース113と、各種駆動信号を出力する出力インターフェース114と、遊技に必要な効果音(電子音や音声合成音)を生成するサウンドジェネレータ115と、サウンドジェネレータ115からの効果音信号を増幅して遊技機10の所定箇所に設置されたスピーカー116に出力するアンプ117と、遊技制御装置41と情報収集端末装置31j(図1の情報収集端末装置31a、31b参照)との間で信号の受け渡しを行う外部通信用端子118と、を含んで構成される。
図6は遊技用演算処理装置200のブロック図である。この図において、遊技用演算処理装置200はいわゆるアミューズチップ用のICとして製造され、遊技制御を行う遊技ブロック200Aと、情報管理を行う管理ブロック200Bとに区分される。
遊技ブロック200AはCPUコア201(発明の要旨に記載の遊技制御手段に相当)、プログラムROM202、ユーザワークRAM203(発明の要旨に記載の第3の記憶手段に相当)、外部バスインターフェース204、乱数生成回路205、クロックジェネレータ206、リセット/割込制御回路207、アドレスデコーダ208、出力制御回路209およびCPUバス210により構成される。
ユーザワークRAM203は、遊技ブロック200Aにおける遊技プログラムに基づく処理を実行する際にワークエリア(作業領域)として用いられるものである。このユーザワークRAM203は、遊技用演算処理装置200の端子群の一つに割り当てられた専用の端子(以下、便宜的に「VCAP0」という)を用いて、電源バックアップ機能を付加できるようになっており、遊技機10の電源オフ後もその記憶内容を保持することが可能になっている。なお、VCAP0の使用法は後述する。
クロックジェネレータ206は、発振器111からのクロック信号CLKを基に、CPUコア201を含む遊技用演算処理装置200の各ブロックに動作クロック信号を供給する。
リセット/割込制御回路207は電源投入検出回路112からのシステムリセット信号(RST)に応答してCPUコア201をシステムリセット(詳細は後述)するとともに、演算処理装置200の内部の各種リソースを初期状態に設定する。
出力制御回路209はアドレスデコーダ208からの信号制御を行って外部端子より8ビットのチップセレクト信号(CS0〜CS7)を外部に出力する。
CPUバス210はデータバス、アドレスバスおよびコントロールバスを含むものであり、管理ブロック200Bまで延びている。
管理用ワークRAM217は、バスモニタ回路214を介して読み込まれた遊技ブロック200Aの情報(プログラムRAM202の内容やユーザワークRAM203の内容など)を一時的に保持するための記憶領域である。
外部通信回路219は前述のPJ1(図2参照)との通信を行うもので、例えば、外部からの指令に基づいて、管理用ワークRAM217やIDプロパティRAM215の記憶内容を外部へ転送する等の処理を行う。なお、外部通信回路219から外部に転送される情報に対して暗号化処理を施してもよい。
図7(a)は、二つの端子VCAP0、VCAP1に電源(以下「Vcc」)を加える使い方(第一のパターン)である。Vccは遊技機10の電源をオンにしている間、所定の電位を保持する直流電源である。このパターンで使用すると、遊技機10の電源をオンにしている間だけユーザワークRAM203とIDプロパティRAM215の双方に電源(Vcc)が供給されるので、ユーザワークRAM203とIDプロパティRAM215の電源バックアップを行わない使い方をすることができる。したがって、このパターンでは、遊技機10の電源をオンにしている間だけユーザワークRAM203とIDプロパティRAM215の記憶内容を保持することができ、言い換えれば、遊技機10の電源オフ時にユーザワークRAM203とIDプロパティRAM215の記憶内容を消去することができる。
図7(c)は、二つの端子VCAP0、VCAP1にVccを加えるとともに、VCAP1にコンデンサC2(発明の要旨に記載の電源バックアップ手段または第2の電源バックアップ手段に相当)を接続する使い方(第三のパターン)である。このパターンで使用すると、遊技機10の電源をオフにした後もVCAP1を介してコンデンサC2の充電電圧がIDプロパティRAM215に供給され続けるので、IDプロパティRAM215に対する電源バックアップを行うことができる。したがって、このパターンでは、遊技機10の電源オフ後もIDプロパティRAM215の記憶内容を保持し続けることができるとともに、遊技機10の電源オフ時にユーザワークRAM203の記憶内容を消去することができる。
なお、図7(b)〜(d)において、VccとコンデンサC1(VccとコンデンサC2)の間にダイオードD1(D2)を挿入することが望ましい。Vccを正電源とするならば、ダイオードD1(D2)のアノードをVccに接続し、カソードをコンデンサC1(C2)に接続する。電源オフ時にVccの電位が0V方向に低下しても、コンデンサC1(C2)からVccへと電流が逆流せず、バックアップ端子VCAP0(VCAP1)へのコンデンサC1(C2)からの電源供給を支障なく行うことができる。また、ダイオードD1(D2)にはショットキー型のものを使用することが好ましい。ショットキー型のダイオードは、アノード−カソード間の順方向電圧が小さく、ダイオードD1(D2)の挿入に伴う電圧降下を低く抑えることができるからである。
<遊技用演算処理装置200の正当性の判定動作>
遊技用演算処理装置200の正当性の判定動作は、PJ1、PJ2、JR、JRsおよび遊技用演算処理装置200が相互に関連しあって行われる。
図8(a)、(b)はPJ1のメインルーチンおよび割り込みルーチンをそれぞれ示すフローチャートである。PJ1のメインルーチンは、PJ1の電源投入(パワーオン)時に開始される。PJ1がパワーオンすると、まずステップS1でCPU51のイニシャライズ、RAM53のチェックおよびイニシャライズを行う。これにより、CPU51が初期化され、システム内部のレジスタの設定処理、フラグのイニシャライズ等が行われるとともに、RAM53の正常判定処理、ワークエリアのイニシャライズ等が行われる。
ここで、遊技機10等より出力される各信号およびPJ2より転送されてくる遊技情報を加工したものとしては、例えば時刻(時分:遊技情報を収集したときの発生時刻)、累計セーフ、累計アウト、累計特賞回数、累計確変回数、累計特賞中セーフ、累計特賞中アウト、累計確変中セーフ、累計確変中アウト、累計確変中スタート、累計スタート、累計カード売上、累計現金売上、最終スタート回数、打止回数、打止目標値、最終アウト玉数、金枠開放回数、木枠開放回数および電磁波異常回数等がある。また、遊技情報の状態変化を監視するステータスおよびその内容としては、特賞、確変、稼働中検出、自動打止、手動打止、アウト異常、セーフ異常、ベース異常、出過ぎ異常、入賞異常、特賞異常、演算処理装置異常(遊技用演算処理装置200の固有IDが異常のときに状態1となるビットである)、ノード異常(端末装置間の相互認証が異常のときに状態1となるビットである。なお、相互認証はLONプロトコルによって行われる)、金枠開、金枠開異常、木枠開、木枠開異常、電磁波異常、空皿検出、空皿検出異常およびコール等がある。
次いで、ステップS8で設定・検査装置要求処理を行う。これは、設定・検査装置23よりのメモリ内容(RAM53:作業メモリの内容)の要求指令、もしくはROM52に格納されている基準遊技プログラムの要求指令等を遊技用演算処理装置200へ連絡したり、遊技用演算処理装置200より設定・検査装置23へ上記要求指令に対して応答する情報(メモリ内容、遊技プログラム)を中継する処理を行うものである。なお、設定・検査装置23はホール1における当局の立入検査時のみならず、遊技機10の検定検査を行うときにも使用できる。
なお、PJ2についても、図8(a)(b)に示す内容と同様の処理が行われるので、ここでの説明は省略する。但し、PJ2は遊技機10および遊技設備装置より収集した状態変化情報(例えば、金枠開放信号、空皿信号等)をPJ1へ転送し、PJ1より上位ノードの端末装置(例えば、JRやJRs)に転送してもらうとともに、発射停止要求に応答して遊技機10を不能動化する処理を行う点でPJ1と相違する。
既述のとおり、遊技用演算処理装置200には製造時に予め固有ID(遊技用演算処理装置200毎に異なるID)がセキュリティメモリ216に格納されており、セキュリティメモリ216の格納データ(固有ID等)がIDプロパティRAM215にコピーされるようになっている。そして、ホール1に遊技機10が納入された後、PJ1が固有IDに基づいて正当な遊技用演算処理装置200であるか否かを判断できるように、LON通信網27に設定・検査装置23を接続し、当該遊技用演算処理装置200に予め格納されている固有IDと同一の情報(照合用ID)を、当該遊技機10が接続されるPJ1へ設定する。PJ1では所定間隔毎に遊技用演算処理装置200に固有ID読み出しコマンドを送信し、遊技用演算処理装置200はそれに応答すべくIDプロパティRAM215にコピーされている固有IDを含む情報をPJ1へ送信し、PJ1は受け取った情報に含まれている固有IDを設定・検査装置23により設定された照合用IDと比較することで、遊技用演算処理装置200の正当性を判断する。そして、特定の者(例えば、製造時に遊技用演算処理装置200に固有IDを格納し、管理している者)しか知り得ない固有IDが正当であれば、その正当な遊技用演算処理装置200に書き込まれている遊技プログラムは正当であると判断する。
なお、遊技用演算処理装置200における固有ID要求の受付けとその応答処理はCPUコア201の関与を受けることなく、管理ブロック200Bの動作のみで行われる。すなわち、管理ブロック200Bの外部通信回路219で固有ID要求を受付け、それに応答してIDプロパティRAM215にコピーされている固有IDを含む情報を外部に送信する。したがって、CPUコア201の動作に何ら影響を与えることなく、固有ID要求の受付けおよび応答処理を実行できる。このように、管理ブロック200Bが独立して固有ID要求に対する応答を行うことにより、例えば遊技プログラムの実行中(すなわち、遊技中)でも固有IDに基づくセキュリティチェックを実現することが可能になるという利点がある。
JR(およびJRs;以下JRで代表)では、PJ1から状態変化情報の通報を受けると、ステップS47でそれを取得し、ステップS48で各遊技機10毎に状態変化情報を整理して記録しルーチンを終了する。その後、CCよりの要求(所定間隔毎のポーリング要求)を受けると、整理した状態変化情報を送信することになる。
PJ1では、ステップS58で要求情報を送信した後、ステップS59で遊技用演算処理装置200から当該要求に対する応答を受信し、ステップS60で取得した情報を設定・検査装置23へ送信してルーチンを終了する。したがって、この場合のPJ1は遊技用演算処理装置200と設定・検査装置23との通信処理および設定・検査装置側23との通信処理を行う中継装置的な処理を行うものとなる。
PJ1では、前述したようにステップS87で遊技用演算処理装置200からの応答情報があるか否かを判別して待機しており、PJ1から設定変更完了という応答情報が送信されると、ステップS87の判別結果がYESとなってステップS88へ進む。ステップS88では応答情報を設定・検査装置23へ送信してルーチンを終了する。したがって、この場合のPJ1は遊技用演算処理装置200と設定・検査装置23との中継装置的な処理を行うものになる。設定・検査装置23では、ステップS76でPJ1を介して遊技用演算処理装置200から設定変更が完了したか否かの応答情報を待ち、応答があった場合はステップS77に進んで操作者に設定変更完了の報知を行いルーチンを終了する。このようにして、設定・検査装置23を使用して遊技用演算処理装置200へ要求指令するコマンドの変更が行われる。
次に、遊技用演算処理装置200のシステムリセット動作について説明する。図13は、遊技用演算処理装置200の状態遷移図であり、226〜229は状態、230〜239は遷移線である。まず、電源投入によってシステムリセットが発生(遷移線230)すると、管理ブロック200Bで自己診断と初期化処理を実行し(状態226)、その結果がNG(遷移線231)であれば、所要の警報等を発生して待機状態に移行し、OK(遷移線232、233)であれば、管理ブロック200Bをアイドル状態(遷移線234:管理情報要求の待ち受け状態)にするとともに、ブートROM212に格納されているブートプログラムを実行する(状態228)。
そして、ブート結果がNG(遷移線237)であれば、所要の警報等を発生して待機状態に移行し、OK(遷移線238)であれば、ブートリセット(遊技プログラムのスタートアドレス発生)を発生してプログラムROM202に格納されている遊技プログラムを実行し(状態229)、以降、ユーザ定期リセットが発生(遷移線239)する度に遊技プログラムを繰り返す。なお、遷移線235は、外部装置であるPJ1からの管理情報要求指令を表し、遷移線236はPJ1への管理情報応答を表す。
このため、ワンタイムPROMで構成されたセキュリティメモリ216によって、固有IDの不正な書き換えを防止することができるとともに、動作速度の早いIDプロパティRAM215によって、外部からのアクセス速度の向上を図ることができるから、本発明の第一の課題、すなわち、固有IDの保全と高速アクセスを共に達成することができる。
また、本実施の形態では、IDプロパティRAM215を電源バックアップ可能としたので、電源電圧ドロップ等の電源不安定時におけるIDプロパティRAM215の記憶内容の変化(ビット化け)を防止できるから、本発明の第三の課題、すなわち、第一の課題を達成しつつ、電源の不安定時におけるビット化けを防止することができる。
また、本実施の形態では、遊技用演算処理装置200の特定の端子(VCAP1)を用いて、IDプロパティRAM215に対する電源バックアップ機能の付与/非付与を容易に選択できるようにしたので、ホール毎のシステム構成の違いに柔軟に対処することができ、例えば、PJ1を含む監視装置を有するホールにあっては電源バックアップ機能を付与して固有IDに基づく遊技用演算処理装置200の正当性評価をすることができ、または、上記監視装置を有しないホールにあっては電源バックアップ機能を非付与にして閉店後の不要な固有IDの保持をしないようにでき、その結果、様々なシステム構成の違いに柔軟に対応することができるから、本発明の第四の課題、すなわち、第三の課題を達成しつつ、ホール閉店後の情報消去または固有IDの照合を行わないホールへの適用を可能にすることができる。
(a)遊技装置としての遊技機はパチンコ遊技機に限らず、スロットマシンであってもよい。
(b)本発明における遊技装置はパチンコ遊技機でなく、例えば映像式ゲーム機のようなものにも適用できる。
(c)遊技装置としての遊技機は実球式に限るものではなく、封入球式の遊技機であってもよい。また、本発明の適用対象となる遊技装置としての遊技機は、どのような種類の遊技機でも本発明を適用できる。例えば、磁気カードで玉貸しを行うもの、ICカードで玉貸しを行う等の遊技機のタイプに限定されずに、本発明を適用することができる。
(d)遊技店内の通信網は遊技情報等の転送が可能なものであれば、光通信方式、LAN、LON、無線方式、赤外線方式、有線方式等の種類に限らず、どのようなネットワークシステムを使用してもよい。
C2 コンデンサ(電源バックアップ手段、第2の電源バックアップ手段)
VCAP0、VCAP1 特定の端子
10 遊技機
200 遊技用演算処理装置
201 CPUコア(遊技制御手段、書込み手段、禁止手段、照合手段、異常対応手段)
202 プログラムROM(不揮発性記憶手段)
203 ユーザワークRAM(第3の記憶手段)
211 パラメータメモリ(書込終了コード記憶手段)
215 IDプロパティRAM(第2の記憶手段)
216 セキュリティメモリ(第1の記憶手段)
219 外部通信回路(出力手段)
Claims (4)
- 遊技プログラムを収めた不揮発性記憶手段と、
前記遊技プログラムを実行して遊技機の遊技制御を行う遊技制御手段と、を備えた 遊技用演算処理装置において
外部から入力される遊技プログラムを前記不揮発性記憶手段に書き込む書込み手段と
前記書き込み手段による遊技プログラムの書き込み終了時に、書込終了コードを記録する書込終了コード記憶手段と、
前記書込終了コード記録手段によって前記書込終了コードが記録されている場合に、前記書込み手段による新たな遊技プログラムの書き込みを禁止する書き込み禁止手段と、
前記遊技制御手段に割り当てられたユニークな識別情報を書き換え不能かつ不揮発的に記憶する第1の記憶手段と、
前記遊技制御手段で利用可能なリソースに含まれず、かつ、前記第1の記憶手段の記憶内容を電源投入時またはシステムリセット時にコピーして揮発的に記憶する第2の記憶手段と、
前記遊技制御手段のワークエリアとして利用される第3の記憶手段と、
外部からの要求に応答して前記第2の記憶手段の記憶内容を要求先に出力する出力手段と、
前記第2の記憶手段を電源バックアップする第1の電源バックアップ手段と、
前記第3の記憶手段を電源バックアップする第2の電源バックアップ手段と、
電源投入時またはシステムリセット時に、前記第1の記憶手段の記憶内容と前記第2の記憶手段の記憶内容とを照合する照合手段と、
前記照合手段による照合結果が異常な場合に所要の異常対応を行う異常対応手段と、
を備えたことを特徴とする遊技用演算処理装置。 - 前記異常対応処理は、前記遊技制御手段を不能動化させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の遊技用演算処理装置。
- 前記異常対応処理は、報知表示または報知音を出力する処理を含むことを特徴とする請求項1記載の遊技用演算処理装置。
- 前記異常対応処理は、異常を示す信号を外部に出力する処理を含むことを特徴とする請求項1記載の遊技用演算処理装置。
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