JP4591528B2 - 金属鋳造方法および金属鋳造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主として、冷間鍛造、熱間鍛造、転造などに供される鍛造用素材を鋳造するための鋳造方法および鋳造装置に関するものである。
アルミニウムなどの軽金属からなる鍛造用素材は、一般に、押出しや連続鋳造などによって作製されたビレットを必要な寸法に切断して得られる。押出しにより得られたビレットは、通常、切断、ピーリング、均質化処理を経てから所定の寸法に切断して、鍛造に供される。素材に外形寸法精度を要する場合には、ピーリング後に引抜き加工を経てから所定の形状に切断し、鍛造に供される。また、連続鋳造により得られるビレットは、通常、熱処理してから外面を面削し、その後、所定の寸法に切断して、鍛造に供される。
上記の方法により得られる鍛造用素材は、内部欠陥が少なく内部品質に優れる反面、工程が複雑で加工工数が多いこと、さらには、ピーリングや切断の際に多くの金属屑が発生するため歩留まりが悪いことから、製造コストが高くなり、実用的ではない。
また、素材を得る他の方法として、金型鋳造、ダイカスト鋳造、低圧鋳造または高圧鋳造によりニア・ネットな素材を作製してから、低加工度で所定の形状の製品を得る方法もある。これらの方法によれば、工程が単純で製造コストは低廉である。しかしながら、素材内部の鋳巣、ピンホール、引け巣などの欠陥を完全に除去することが困難である場合が多い。これらの欠陥は、たとえば、鋳型のキャビティに充填された溶湯が、鋳型壁から抜熱されることによって壁面からキャビティの中心に向かって凝固界面が進行し、鋳物内部で凝固が終結するために、凝固界面で排出されたガスや凝固収縮による空隙が最終凝固部に残存してできる。このような欠陥は、後の塑性加工により完全に除去することが困難であり、製品の強度低下を引き起こす原因となる。
そこで、特許文献1には、内部品質が良好で、寸法精度と重量精度にも優れ、鋳造操作が容易な一方向凝固を用いた鋳造方法により、鍛造用素材を作製する鋳造方法および装置が開示されている。特許文献1では、下部を冷却する冷却板1をもつ鋳型2と、鋳型2の上部を閉塞するとともに鋳型2と注入口4を介して連通する溶湯受槽3と、注入口4を開閉する開閉栓5と、を備える装置(図1参照)を用いる。はじめに、閉塞された鋳型2に空隙を残すことなく、注入口4より金属溶湯を充填する。鋳型2に金属溶湯を満たした後、冷却板1を冷却することで、鋳型2に満たされた金属溶湯が、その下部から抜熱され、凝固を開始する。このとき、鋳型2からの抜熱が小さいため、金属溶湯の凝固は、冷却板1(下部)から注入口4側(上部)に向かって一方向に進行する。
特開平08−155627号公報
しかしながら、引用文献1に記載の一方向凝固による鋳造方法では、金属溶湯の注入時に、キャビティ内に存在するガスが巻き込まれやすい。また、ガスがキャビティ内に充満した状態で注入口から金属溶湯を充填すると、注入口にキャビティ内のガスが逆流することがあり、キャビティへ流入する金属溶湯の流れに乱れが生じ、ガスの巻き込みが助長される。金属溶湯へのガスの巻き込みは、鋳物内部に鋳巣が発生する原因となり、鋳物の内部品質が低下する。
さらに、引用文献1に記載の一方向凝固による鋳造方法では、金属溶湯が液相から固相に変化する際の収縮を緩和できず、最終凝固部である注入口側に位置する鋳物表面で面引けが発生する問題がある。
また、鋳造装置の構成によっては、冷却板近傍で凝固進行方向に柱状晶が成長しやすいため、鋳物の形状によっては組織が不均一となる問題もある。
本発明は、上記問題点に鑑み、一方向凝固を用いた新規の鋳造方法を提供することを目的とする。また、その金属鋳造方法に適した金属鋳造装置を提供することを目的とする。
本発明の金属鋳造方法は、閉塞された鋳型のキャビティ内に充填された金属溶湯を、該キャビティの底面を冷却することで該キャビティの底部から凝固させる金属鋳造方法であって、
前記キャビティ内に昇降可能に配設され該キャビティの前記底面を区画する冷却部材を冷却する冷却工程と、
前記キャビティの上方から該キャビティへ前記金属溶湯を注湯する注湯工程と、
前記注湯工程中に、前記キャビティが注湯可能な空間をもたない状態から冷却された前記冷却部材の位置を下方へと移動させて、キャビティの容積を増加させる容積変更工程と、
からなることを特徴とする。
本発明の金属鋳造方法では、キャビティの底面を区画する冷却部材を降下させてキャビティの容積を増加させつつ、キャビティの上方から該キャビティに金属溶湯を注湯する。注湯工程における注湯開始時には、キャビティの容積は、得られる鋳物の体積よりも小さい。つまり、キャビティ内に元々存在するガス量は従来よりも少ないため、注湯時に発生するガスの巻き込みが抑制される。特に、キャビティが注湯可能な空間をもたない状態から冷却部材の位置を下方へと移動させることで、ガスの巻き込みは良好に抑制される。その結果、内部品質に優れた鋳物が得られる。
本発明の金属鋳造方法であっても、金属溶湯は、冷却部材側から順次凝固されて最終凝固部に収縮を生じる。しかしながら、冷却しながらの注湯を行うことにより、金属溶湯が収縮部位に順次補給されるため、鋳物の凝固収縮が緩和され、外観にも優れた鋳物が得られる。
また、本発明の金属鋳造方法によれば、キャビティ内に金属溶湯を完全に充填させてから冷却して凝固させる従来法に比べ、凝固界面における金属溶湯の熱容量が小さくなる。その結果、凝固速度が高められ、全体に微細組織をもつ鋳物が得られる。
すなわち、本発明の金属鋳造方法によれば、内部品質とともに外観に優れた鋳物を製造することができる。得られる鋳物は、鍛造用素材として鍛造に供する際、あるいは、製品として使用する際に、切削などの加工を施すことなくそのままの状態で提供することも可能である。
なお、引用文献1に記載されているような閉塞した鋳型を用いる場合には、キャビティ内で金属溶湯とガスとの置換が円滑に行われるように、キャビティ内のガスを抜く必要がある。そのため、ガス抜き用の通路をもつ鋳型や、ガスが抜けやすい材質の鋳型が採用される。しかし、本発明の金属鋳造方法では、キャビティの容積の増加分だけ金属溶湯を注湯することも可能であるため、キャビティからガスを抜く手段を必ずしも設ける必要はない。
また、本発明の金属鋳造装置は、上記本発明の金属鋳造方法に好適に用いられる鋳造装置である。すわち、本発明の金属鋳造装置は、閉塞された鋳型のキャビティ内に充填された金属溶湯を、該キャビティの底面を冷却することで該キャビティの底部から凝固させる金属鋳造装置であって、
前記キャビティ内に昇降可能に配設され該キャビティの前記底面を区画する冷却部材をもつ前記鋳型と、
前記冷却部材を冷却する冷却手段と、
前記キャビティの上方に位置し、該キャビティへ前記金属溶湯を注湯する注湯手段と、
前記金属溶湯を注湯中に、前記キャビティが注湯可能な空間をもたない状態から冷却された前記冷却部材の位置を下方へと移動させて、キャビティの容積を増加させる容積変更手段と、
を備えることを特徴とする。
以下に、本発明の金属鋳造方法および金属鋳造装置を実施するための最良の形態を説明する。
[金属鋳造方法]
本発明の金属鋳造方法は、閉塞された鋳型のキャビティ内に充填された金属溶湯を、キャビティの底面を冷却することで該キャビティの底部から凝固させる、いわゆる一方向凝固を用いた金属鋳造方法である。本発明の金属鋳造方法は、主として、冷却工程、注湯工程、および、注湯工程中に行われる容積変更工程、からなる。以下に、各工程を説明する。
冷却工程は、キャビティ内に昇降可能に配設され、キャビティの底面を区画する冷却部材を冷却する工程である。冷却部材を冷却する方法に特に限定はなく、たとえば、冷却部材に冷却剤を直接接触させることができる冷却手段を用いて冷却するとよい。なお、冷却部材および冷却手段の構成は、後の[金属鋳造装置]の欄で詳説する。
注湯工程は、キャビティの上方から該キャビティへ金属溶湯を注湯する工程である。また、容積変更工程は、注湯工程中に、冷却された冷却部材の位置を下方へと移動させて、キャビティの容積を増加させる工程である。本発明の金属鋳造方法は、注湯工程と容積変更工程とを協調して行うことで、従来品よりも、内部品質にも外観にも優れた鋳物が容易に得られる。
注湯工程では、冷却工程にて冷却された冷却部材で底面を区画されたキャビティに金属溶湯を注湯する。このとき、冷却部材の表面温度(キャビティの底面の温度)は、50℃以下さらには20℃以下に冷却されるのが望ましい。また、キャビティを区画する面のうち底面以外からの抜熱を抑制するため、鋳型の側面および/または上面を50℃以上とするのが望ましく、さらに望ましくは100℃以上、200℃以上である。50℃以上とすることで、鋳型の側面や上面からの凝固層の成長が抑制され、凝固界面が一方向に安定して移動する。
金属溶湯の注湯は、キャビティの上方から行われればよく、たとえば、冷却部材(キャビティの底面)と対向するキャビティの上面に開口する供給口を設け、その供給口から金属溶湯を供給するとよい。供給口が設けられる位置や数、供給口の断面形状や断面積は、キャビティの寸法および形状に応じて決定される。なお、供給口の好ましい形態に関しては、後の[金属鋳造装置]の欄で詳説する。
また、注湯工程では、金属溶湯をキャビティ全体に隙間無く行き渡らせるために、金属溶湯を加圧しながら注湯するとよい。
容積変更工程は、キャビティ内に昇降可能に配設された冷却部材の位置を下方へと移動させて、キャビティの容積を増加させる工程である。注湯工程における注湯開始時には、キャビティの容積は、得られる鋳物の体積よりも小さいため、前述のように、注湯時に発生するキャビティ内部のガスの巻き込みが抑制される。したがって、キャビティが注湯可能な空間をもたない、具体的には、キャビティの容積がゼロの状態から冷却部材の位置を下方へと移動させる。
容積変更工程および/または容積変更工程と協調して行われる注湯工程では、キャビティの容積の増加量、および、キャビティに金属溶湯を注湯する注湯条件、の一方または両方を調整することで、金属溶湯へのガスの巻き込みを大きく低減できる。たとえば、注湯工程および/または容積変更工程は、キャビティの容積増加量(mm/秒)に対する、注湯工程において注湯される金属溶湯の流量(mm/秒)を0.7〜1.1さらには0.8〜1.0にして行うのがよい。(金属溶湯の流量)/(キャビティの容積増加量)を0.7以上とすることで、キャビティへ流入する金属溶湯の流れが乱れのない層流となりやすい。また、(金属溶湯の流量)/(キャビティの容積増加量)が1.1を超えると、キャビティ内で液体状態の金属溶湯が留まることで鋳物の側面に面荒れが生じやすくなり、望ましくない。(金属溶湯の流量)/(キャビティの容積増加量)を好適な値に調整する方法としては、たとえば、注湯工程では、金属溶湯を供給する供給口の断面積を変更する、金属溶湯の流速を変更する、容積変更工程では、冷却部材の降下速度を変更する、等が挙げられる。
また、容積変更工程では、鋳物の寸法に応じた位置まで冷却部材を降下させたら、降下を停止する。冷却部材の降下は一定の速度で行うのが望ましいが、速度を変えてもよい。
本発明の金属鋳造方法には、以下に詳説する金属鋳造装置を好適に用いることができる。しかしながら、本発明の金属鋳造方法に用いられる鋳造装置は、下記に記載の形態に限定されない。
[金属鋳造装置]
本発明の金属鋳造装置は、上記本発明の金属鋳造方法に好適に用いられ、主として、鋳型、冷却手段、注湯手段および容積変更手段を備える。以下に、それぞれの構成を説明する。
鋳型は、閉塞性の鋳型であって、キャビティ内に昇降可能に配設され該キャビティの底面を区画する冷却部材をもつ。鋳型は、底面(冷却部材)が昇降可能であって、製造される鋳物の外形に対応した形状のキャビティを有すれば、特に限定はない。たとえば、一般的な閉塞性鋳型のキャビティ内に冷却部材を後述の冷却手段および容量変更手段とともに内蔵してもよいし、一般的な閉塞性鋳型の底面を取り外した状態で冷却部材を嵌め込んでもよい。
また、鋳型は、キャビティの底面を区画する冷却部材と、他の面を区画する断熱部材と、からなるのが好ましい。断熱部材は、その熱伝導率が0.5W/m・K以下さらには0.3W/m・K以下の材料からなるのが好ましい。具体的には、ケイ酸系、カルシア系、アルミナ系、マグネシア系の耐火物が挙げられる。全体が耐火物からなる断熱部材の他、金属の表面に耐火物を被覆してなる断熱部材を用いてもよい。断熱部材は、底面以外からの抜熱を低減するために、加熱手段を備えてもよい。熱伝導率の高い材質からなる断熱部材を用いる場合に、特に効果的である。
冷却部材は、金属溶湯からの抜熱を高めるために熱伝導性に優れた材料を用いるとよい。冷却部材としては、純銅、銅合金、純アルミニウム、アルミニウム合金などの耐火性に優れ、かつ熱伝導率の高い金属材料からなるのが好ましい。冷却部材は、キャビティの側面(上記断熱部材の内側面)に摺接するように、キャビティ内に配設されるとよい。
冷却部材は、キャビティの底面を区画する面と背向する背面側から、冷却手段により冷却される。冷却手段は、冷却部材をその背面側から強制的に冷却するとよい。冷却手段は、たとえば、冷却剤を循環させる冷却配管、冷却剤を冷却部材の背面に吹き付けるノズル、等であるのが好ましい。
注湯手段は、キャビティの上方に位置し、該キャビティへ金属溶湯を注湯する手段である。注湯手段としては、たとえば、キャビティの上方に、金属溶湯を貯留するとともにキャビティと連通する溶湯槽を配設するとよい。溶湯槽とキャビティとの連通を開閉することで、所望のタイミングでキャビティ内に金属溶湯を注湯できる。このとき、鋳型は、冷却部材(キャビティの底面)と対向するキャビティの上面に開口する供給口をもつとよい。
たとえば、図1は、後述の実施例において用いられる金属鋳造装置の断面図である。鋳型1には、溶湯槽21が載置されている。鋳型1のキャビティ10cと溶湯槽21とは、キャビティ10cの上面に開口する供給口15を介して互いに連通する。供給口15は、金属溶湯Mが流れる流路22の一端に位置し、流路22に抜き差し可能な開閉栓23により、注湯を開始させたり停止させたりすることができる。
また、キャビティの形状が複雑であったり、大型であったりする場合には、1つのキャビティに対して複数の供給口を形成するのが好ましい。図2は、A型断面を有する鋳物を製造する際の金属溶湯の流れ(矢印)を模式的に示す斜視図である。図2において、流路91、92および93からなる3つの流路からA型断面を有するキャビティ90cに金属溶湯が供給される。1つのキャビティに対して複数の供給口を形成する場合には、供給口の中心からの距離が45mm以下さらには35〜45mmの範囲を1つの供給口で充填するように、キャビティの上面に供給口を配置するとよい。つまり、図2では、キャビティ90cを所定の大きさの円により3つの部分91c〜93cに便宜上分割し、それぞれの部分に流路91〜93から金属溶湯を供給すればよい。なお、図2では、供給口の断面形状は円形であるが、その形状に特に限定はなく、供給口から吐出する金属溶湯の流れが層流となるような整流手段を設けてもよい。
注湯手段は、溶湯槽に貯留された金属溶湯を加圧する手段を有してもよい。たとえば、図1に示す金属鋳造装置であれば、溶湯槽21における金属溶湯Mの湯面に対して加圧を行うことで、金属溶湯Mをキャビティ10c全体に隙間無く行き渡らせることができる。ただし、キャビティ10c内の液面から溶湯槽21の液面までにある程度の距離Dをもたせれば、加圧手段を設けなくてもよい。距離Dは、注湯開始から終了までの間35mm以上に保たれるのが好ましく、さらに好ましくは40mm以上である。35mm未満では、キャビティの形状によっては角部への充填不良が起きることがあるため、好ましくない。また、傾動炉を用い、傾動炉から溶湯槽21に樋を介して連続的に溶湯を供給することにより、35mm以上の距離Dを確保してもよい。
また、金属溶湯が注湯される供給口の断面積(mm)は、キャビティの底面の面積(mm)に対して0.0025〜0.035であるのが好ましく、さらに好ましくは0.004〜0.026である。(供給口の断面積)/(キャビティの底面積)が0.0025未満であると、溶湯の湯周り不良による欠肉を生じやすい。また、0.035を超えると、凝固収縮による面引け量が増加する傾向がある。なお、1つのキャビティに対して供給口が複数形成されている場合には、(供給口の断面積の合計)/(キャビティの底面積)の値を採用する。
ところで、鋳造終了後の最終的なキャビティの寸法(得られる素材の寸法に相当)に特に限定はないが、キャビティの底面から上面までの距離(キャビティの上下方向の高さ)をH、キャビティの底面(あるいは上面)を平面視したときの供給口の中心からキャビティの側面までの距離(溶湯が充填される距離)をL、としたとき、H/Lが0.9以下、0.8以下さらには0.7以下であるのがよい。なお、供給口が複数ある場合には、距離Lを、隣接する供給口の中心から注湯される溶湯が互いに合流する位置までの距離とする。H/Lを0.9以下とすることで、品質の高い素材が得られる。図1および図2に距離Hおよび距離Lを示す。なお、図2では、面91p、面92p、面93pにおいて、流路91と流路92、流路92と流路93、流路93と流路91、のそれぞれから注湯される溶湯が互いに合流する。
なお、溶湯槽や開閉栓についても、先に述べた耐火物を用いると保温効果が高く良好である。また、溶湯槽は、電気炉などにより加熱されるとよい。
容積変更手段は、金属溶湯を注湯中に、冷却された冷却部材の位置を下方へと移動させて、キャビティの容積を増加させる。すなわち、容積変更手段は、注湯手段と協調する。容積変更手段は、冷却部材の位置を少なくともキャビティの下方へ移動させられる駆動手段であればよい。容積変更手段により、注湯開始前には、注湯される位置(供給口)からキャビティの底面(冷却部材)までが、従来よりも近く配置される。このとき、冷却部材は、キャビティが注湯可能な空間をもたない状態、たとえば、供給口が冷却部材の表面で塞がれた状態、に配置される。注湯手段により注湯が開始されると、容積変更手段は、冷却部材をキャビティの下方へ移動させる。冷却部材の降下は一定の速度で行うのが望ましいが、速度を変えてもよい。その後、容積変更手段は、鋳物の寸法に応じた位置まで冷却部材を降下させたら、降下を停止する。
本発明の金属鋳造装置は、さらに、容量変更手段によるキャビティの容積増加量(mm/秒)に対する、注湯手段により注湯される金属溶湯の流量(mm/秒)を所定の値とする制御手段を備えるとよい。望ましい(金属溶湯の流量)/(キャビティの容積増加量)の値は、前述の通りである。
以上、本発明の金属鋳造方法および金属鋳造装置の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、本発明の金属鋳造方法および金属鋳造装置の実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
[金属鋳造装置]
金属鋳造装置の断面図を図1に示す。金属鋳造装置は、鋳型1、注湯手段2、冷却手段3および容積変更手段(図示せず)を備える。
鋳型1は、ケイ酸カルシウム製の断熱部材10と純銅製の冷却部材11とからなり、円形の底面11s、側面12sおよび円形の上面13sで区画された円柱形状のキャビティ10cをもつ。断熱部材10は、側型12と上型13とからなる。側型12は、厚肉の円筒形状であって、その内周面が側面12sとなる。側型12の厚肉部には、キャビティ10cを螺旋状に取り囲む差込ヒータ10hが埋設されている。上型13は、円形の板状体であって、板状体と中心を同じくする円形の貫通孔をもつ。上型13は、側型12の軸方向の一端面に互いに同軸的に設置され、側型12側の表面の一部が上面13sとなる。
冷却部材11は、円柱形状の銅ブロックの中央に円柱形状の凹部11cを形成してなる。冷却部材11は、その外周面が、キャビティ10cの側面12sと摺接するように、互いに同軸的にキャビティ10c内に収容される。このとき、冷却部材11は、凹部11cが開口する面と背向する面が底面11sとなる。
注湯手段2は、鋳型1(上型13)に載置され、金属溶湯Mを貯留する耐火レンガB類製の溶湯槽21を備える。溶湯槽21は、有底円筒形状で、底面に貫通孔をもつ。この貫通孔は、上型13がもつ貫通孔と一致し、溶湯槽21とキャビティ10cとを互いに連通させる。すなわち、これらの貫通孔は、金属溶湯Mの流路22となり、キャビティ10cの上面13sに形成された開口は、金属溶湯の供給口15である。また、注湯手段2は、流路22に抜き差し可能な開閉栓23をもつ。開閉栓23は、ケイ酸カルシウム製の棒状体である。開閉栓23を軸方向に移動させて流路22に抜き差しすることにより、注湯の開始と停止を行う。また、鋳型1には、溶湯槽21を取り囲む電気炉25が載置されている。
冷却手段3は、冷却部材11の凹部11c側に取り付けられる。冷却手段3は、冷却水槽31と、冷却水槽31から延出する冷水供給管32と、排水管33と、を有する。冷却水槽31および排水管33は、凹部11cと連通する。つまり、冷水供給管32へ外部より供給された冷水は、冷却水槽31に送られるとともに冷却部材11の凹部11cへ到達する。冷水は、凹部11cにて冷却部材11の熱を奪って温度が上昇したのち、排水管33より排水される。
容積変更手段(図示せず)は、冷却部材11および冷却手段3を軸方向に昇降する。容積変更手段を駆動させて、キャビティ10cの底面11sの位置が下方に移動すると(矢印4)、キャビティ10cの容積は増加する。
[金属鋳造方法]
上記の金属鋳造装置を用い、以下の手順でディスク状(80mmφ×30mm)のアルミニウム合金素材を作製した。
[実施例1]
はじめに、容積変更手段により冷却部材11を上方に移動させて、底面11sと上面13sとが当接した状態で停止させた。すなわち、キャビティ10cの容積をゼロとした。次に、冷却手段3により冷水を循環(毎分6リットル)させて、冷却部材11の冷却を開始した。また、側型12に埋設された差込ヒータ10hを作動させて、鋳型温度を100℃に保った。
溶解炉にてアルミニウム合金(AC4C:JIS規格)を溶解し、フラックスによる介在物除去処理、脱ガス処理を経て金属溶湯を得た。なお、用いたアルミニウム合金の溶解温度は750℃であった。この金属溶湯を、開閉栓23により流路22を閉状態とした溶湯槽21に入れた。
溶湯温度が720℃に達したら、開閉栓23を流路22から抜くことで注湯を開始するとともに、容積変更手段により冷却部材11を降下させた。このとき、冷却部材11の降下速度は15mm/秒(単位時間当たりのキャビティの容積増加量C:75360mm/秒)とした。冷却部材11が30mm移動した位置で、冷却部材11の移動および注湯を停止させた。金属溶湯が完全に凝固したら、冷却部材11をさらに降下させ、キャビティ10cより鋳物を取り出した。
供給口の断面積を変更して、#11〜#15の5種類のアルミニウム合金素材を作製した。供給口の断面積:Sおよび(供給口の断面積:S)/(キャビティの底面の面積:S)を表1に示す。なお、注湯開始から停止までの間、キャビティ10c内の液面から溶湯槽21の液面までの距離Dは、35mm以上に保たれた。
[比較例1]
あらかじめ底面11sから上面13sまでの距離を30mmで固定するとともに、注湯終了後に冷却部材11の冷却を開始した他は、実施例1と同様にしてアルミニウム合金素材#C1を作製した。
[アルミニウム合金素材の評価I]
得られたアルミニウム合金素材の内部品質および外観を評価した。アルキメデス法により、得られたアルミニウム合金素材の密度と、別途作製した欠陥を含まないアルミニウム合金素材の密度と、を測定し、両者の密度の差から内部欠陥の体積を算出して内部品質を評価した。なお、欠陥を含まないアルミニウム合金素材は、銅製金型に注湯した後、急冷して作製した。また、アルミニウム合金素材の上面を目視観察することにより、面引けの有無を確認した。結果を表1に示す。
Figure 0004591528
素材#C1は、従来法により作製された素材であるが、内部欠陥が100gあたり0.2ccを超え、凝固収縮による面引けも顕著であった。素材#11は、素材#C1に比べ、面引けは見られたものの小さく抑制された。また、素材#12〜#14は、内部欠陥が低減されるとともに、面引けも見られなかった。ところが、素材#15のように供給口の断面積がキャビティの底面積に対して極端に小さい場合には、キャビティの角部にまで金属溶湯がまわらず、所望の形状の素材が得られなかった。そのため、素材#15については、内部欠陥の体積および面引けの有無が不明であるが、キャビティが小型であれば素材#C1よりも内部欠陥や面引けは抑制されたと推測される。
[実施例2]
供給口の断面積を75.5mmとし、供給口から供給される金属溶湯の流量を変更して、#21〜#25の5種類のアルミニウム合金素材を作製した。金属溶湯の流量:Cおよび(金属溶湯の流量:C)/(キャビティの容積増加量:C)を表2に示す。
なお、作製手順は、実施例1と同様とした。
[アルミニウム合金素材の評価II]
得られたアルミニウム合金素材の内部品質および外観を評価した。内部品質は、上記の手順により算出した内部欠陥の体積で評価した。また、アルミニウム合金素材を目視観察することにより、素材上面の面引けおよび素材側面の面荒れの有無を確認した。結果を表2に示す。
Figure 0004591528
/Cの値が大きいほど、キャビティに供給される金属溶湯の流れが乱れにくくなり、内部欠陥や面引けは抑制される。しかし、C/Cの値が大きいと、金属溶湯は液体の状態でキャビティ内に溜まりやすくなるため、面荒れが発生しやすくなる。そのため、素材#21には、側面に面荒れが確認された。また、素材#25は、面荒れは抑制されるものの、他の素材よりも内部欠陥の体積や面引けの程度が大きくなった。
本発明の金属鋳造装置の一例を示す断面図である。 A型断面を有する鋳物を製造する際の金属溶湯の流れ(矢印)を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1:鋳型 11:冷却部材 11s底面 10c:キャビティ
2:注湯手段
3:冷却手段
4:容積変更手段

Claims (6)

  1. 閉塞された鋳型のキャビティ内に充填された金属溶湯を、該キャビティの底面を冷却することで該キャビティの底部から凝固させる金属鋳造方法であって、
    前記キャビティ内に昇降可能に配設され該キャビティの前記底面を区画する冷却部材を冷却する冷却工程と、
    前記キャビティの上方から該キャビティへ前記金属溶湯を注湯する注湯工程と、
    前記注湯工程中に、前記キャビティが注湯可能な空間をもたない状態から冷却された前記冷却部材の位置を下方へと移動させて、キャビティの容積を増加させる容積変更工程と、
    からなることを特徴とする金属鋳造方法。
  2. 前記注湯工程および/または前記容積変更工程は、前記キャビティの容積増加量(mm/秒)に対する、前記注湯工程において注湯される前記金属溶湯の流量(mm/秒)を0.7〜1.1にして行う工程である請求項1記載の金属鋳造方法。
  3. 前記キャビティの前記底面の面積(mm)に対する、前記金属溶湯が注湯される供給口の断面積(mm)は、0.0025〜0.035である請求項1または2記載の金属鋳造方法。
  4. 閉塞された鋳型のキャビティ内に充填された金属溶湯を、該キャビティの底面を冷却することで該キャビティの底部から凝固させる金属鋳造装置であって、
    前記キャビティ内に昇降可能に配設され該キャビティの前記底面を区画する冷却部材をもつ前記鋳型と、
    前記冷却部材を冷却する冷却手段と、
    前記キャビティの上方に位置し、該キャビティへ前記金属溶湯を注湯する注湯手段と、
    前記金属溶湯を注湯中に、前記キャビティが注湯可能な空間をもたない状態から冷却された前記冷却部材の位置を下方へと移動させて、キャビティの容積を増加させる容積変更手段と、
    を備えることを特徴とする金属鋳造装置。
  5. さらに、前記容量変更手段による前記キャビティの容積増加量(mm/秒)に対する、前記注湯手段により注湯される前記金属溶湯の流量(mm/秒)を0.7〜1.1とする制御手段を備える請求項記載の金属鋳造装置。
  6. 前記キャビティの前記底面の面積(mm)に対する、前記金属溶湯が注湯される供給口の断面積(mm)は、0.0025〜0.035である請求項4または5記載の金属鋳造装置。
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