しかしながら、特許文献2に記載される電気泳動表示装置は、基板が撓曲されても隔壁が破損されることが防止できるが、柔軟な表面層を設ける工程があることによって製造工程が複雑化する上に、部品点数が増えることによって製造コストが増大するという問題点があった。
また、固体状の隔壁を設ける工程そのものが、一般的に多くの工程からなるために複雑なものであるという問題点がある。また、また、固体状の隔壁を基板上に一旦設けてしまうと、全ての画素に電気泳動流体を均一に充填することが困難になり、その結果として、色ムラがあったり、コントラストの低い画像表示媒体が得られるという問題点もある。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡便な方法により製造可能であり、色ムラの発生やコントラストの低下が抑制されて表示性能に優れた画像表示媒体、及び、その画像表示媒体の製造方法を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の画像表示媒体は、実質的に平行に離間されて配置される一対の基板と、帯電された粒子を含有し、前記一対の基板間に配置される電気泳動媒体とを備え、前記一対の基板間に発生される電界によって前記電気泳動媒体に含まれる前記帯電された粒子が移動されて表示状態を切り換えることが可能なものであり、前記電気泳動媒体に対して少なくとも室温で相分離し得る流動性物質であり、前記一対の基板間に配置されて前記電気泳動媒体と相分離した状態において、該電気泳動媒体を区画する位置に隔壁として配置される隔壁用媒体を備えている。
請求項2記載の画像表示媒体は、請求項1記載の画像表示媒体において、前記隔壁用媒体より前記電気泳動媒体に対してより親和性を有する第1表面処理部と、前記電気泳動媒体より前記隔壁用媒体に対してより親和性を有する第2表面処理部とを備え、その第2表面処理部は、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板における前記隔壁用媒体と接触する面に、前記隔壁の形状に応じて配置され、一方で、前記第1表面処理部は、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板における前記電気泳動媒体と接触する面における、該電気泳動媒体を配置させるべき位置に配置されている。
なお、請求項2において、「その第2表面処理部は、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板における前記隔壁用媒体と接触する面に、前記隔壁の形状に応じて配置され、一方で、前記第1表面処理部は、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板における前記電気泳動媒体と接触する面における、該電気泳動媒体を配置させるべき位置に配置されている」とは、第1表面処理部及び第2表面処理部の両方が一対の基板のうちの一方のみに配置されていてもよいし、第1表面処理部及び第2表面処理部の両方が両方の基板上に配置されていてもよいし、第1表面処理部と第2表面処理部とがそれぞれ異なる基板上に配置されていてもよいことを意味する。
請求項3記載の画像表示媒体は、請求項2記載の画像表示媒体において、前記第1表面処理部及び前記第2表面処理部は、透明であり、前記一対の基板のうち、ユーザによって表示が視認される側の基板に設けられている。
請求項4記載の画像表示媒体は、請求項1から3のいずれかに記載の画像表示媒体において、前記電気泳動媒体及び前記隔壁用媒体は、それぞれ、他方に対して不溶である溶媒又は他方に対して不溶である溶媒を含む溶液のいずれかである。
なお、請求項4において、「前記電気泳動媒体及び前記隔壁用媒体は、それぞれ、他方に対して不溶である溶媒又は他方に対して不溶である溶媒を含む溶液のいずれか」とは、電気泳動媒体と隔壁用媒体との組み合わせが、互い不溶である溶媒同士の組み合わせであるか、互いに不溶である溶媒を含む溶液同士の組み合わせであるか、互い不溶である溶媒と互いに不溶である溶媒を含む溶液との組み合わせであることを意味する。
請求項5記載の画像表示媒体は、請求項4記載の画像表示媒体において、前記電気泳動媒体又は前記隔壁用媒体の一方は、水又は水溶液であり、他方は、水に不溶な溶媒又はその溶媒を含む溶液である。
請求項6記載の画像表示媒体は、請求項4又は5記載の画像表示媒体において、前記隔壁用媒体は、水又は水溶液であり、前記電気泳動媒体は、水に不溶な溶媒又はその溶媒を含む溶液である。
請求項7記載の画像表示媒体は、請求項4から6のいずれかに記載の画像表示媒体において、前記水に不溶な溶媒は、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、シリコーンオイル、又は、高純度石油のいずれか単独、あるいは、これらの2種以上を含む混合物である。
請求項8記載の画像表示媒体は、請求項1から7のいずれかに記載の画像表示媒体において、前記隔壁用媒体は、無色又は白色である。
請求項9記載の画像表示媒体は、請求項1から8のいずれかに記載の画像表示媒体において、前記帯電された粒子は、前記隔壁用媒体より前記電気泳動媒体に対してより親和性を示す表面を有するものである。
請求項10記載の画像表示媒体は、請求項1から9のいずれかに記載の画像表示媒体において、前記一対の基板における互いに対向する側の面上に一対の電極がそれぞれ設けられ、前記一対の電極における各電極の表面に、耐液性の保護膜を備えている。
請求項11記載の画像表示媒体は、請求項10記載の画像表示媒体において、前記保護膜は、含フッ素化合物を含有する保護膜である。
請求項12記載の画像表示媒体は、請求項1から11のいずれかに記載の画像表示媒体において、前記一対の基板はそれぞれ可撓性を有する。
請求項13記載の画像表示媒体は、請求項1から12のいずれかに記載の画像表示媒体において、前記一対の基板間の距離を所定距離以上に保持するために、該一対の基板間に配置されるスペーサ粒子を備えている。
請求項14記載の画像表示媒体は、請求項13記載の画像表示媒体において、前記スペーサ粒子は、前記電気泳動媒体より前記隔壁用媒体に対してより親和性を示す表面を有するものである。
請求項15記載の画像表示媒体は、請求項1から14のいずれかに記載の画像表示媒体において、前記一対の基板の間に、該一対の基板における少なくとも一方の基板上に固定された塊状の固定隔壁を備えている。
請求項16記載の画像表示媒体は、請求項15記載の画像表示媒体において、前記固定隔壁は、前記一対の基板における一方の基板上に固定され、他方の基板とは離間されている。
請求項17記載の画像表示媒体は、請求項16記載の画像表示媒体において、前記固定隔壁とその固定隔壁と離間されている側の基板との間に、前記隔壁用媒体が配置されている。
請求項18記載の画像表示媒体は、請求項16又は17記載の画像表示媒体において、前記固定隔壁における前記基板と離間されている側を向く表面、又は、その表面に対応する、固定隔壁と離間されている側の基板の面は、前記電気泳動媒体より前記隔壁用媒体に対してより親和性を有する。
請求項19記載の画像表示媒体の製造方法は、実質的に平行に離間されて配置される一対の基板と、帯電された粒子を含有し、前記一対の基板間に配置される電気泳動媒体とを備え、前記一対の基板間に発生される電界によって前記電気泳動媒体に含まれる前記帯電された粒子が移動されて表示状態を切り換えることが可能な画像表示媒体の製造するための方法であり、前記電気泳動媒体とその電気泳動媒体に対して少なくとも室温で相分離し得る流動性物質である隔壁用媒体との混合物を、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板における他方の基板に対向する側の面上に配置する媒体配置工程と、その媒体配置工程によって前記基板上に配置された前記混合物における前記電気泳動媒体と前記隔壁用媒体とを互いに相分離させることによって、該隔壁用媒体を、該電気泳動媒体を区画する位置に隔壁として配置させる隔壁形成工程とを備えている。
なお、請求項19において、「前記電気泳動媒体とその電気泳動媒体に対して少なくとも室温で相分離し得る流動性物質である隔壁用媒体との混合物を、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板における他方の基板に対向する側の面上に配置する」とは、一対の基板のうちの一方の基板の他方の基板に対向する側の面上に、電気泳動媒体とその電気泳動媒体に対して少なくとも室温で相分離し得る流動性物質である隔壁用媒体との混合物を配置することと、一対の基板間に電気泳動媒体を配置することとをいずれも含む。
請求項20記載の画像表示媒体の製造方法は、請求項19記載の画像表示媒体の製造方法において、前記隔壁用媒体より前記電気泳動媒体に対してより親和性を有する第1表面処理部を、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板における他方の基板に対向する側の面上の前記電気泳動媒体を配置させるべき位置に設け、一方で、前記電気泳動媒体より前記隔壁用媒体に対してより親和性を有する第2表面処理部を、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板における他方の基板に対向する側の面上の前記隔壁の形状に応じた位置に設ける表面処理工程を備えている。
請求項21記載の画像表示媒体の製造方法は、請求項19又は20記載の画像表示媒体の製造方法において、前記帯電された粒子は、前記隔壁用媒体より前記電気泳動媒体に対してより親和性を有する。
請求項22記載の画像表示媒体の製造方法は、請求項19から21のいずれかに記載の画像表示媒体の製造方法において、前記表面処理工程による表面処理の前に、含フッ素化合物を含有する液体を塗布することによって前記一対の電極のそれぞれの表面に耐液性の保護膜を形成する保護膜形成工程を備えている。
請求項1記載の画像表示媒体によれば、実質的に平行に離間されて配置される一対の基板の間に、帯電された粒子を含有する電気泳動媒体が配置されており、一対の基板間に電界が発生すると、該電気泳動媒体に含まれている帯電された粒子が移動し、それによって、表示状態が切り換えられる。そのような画像表示媒体において、電気泳動媒体に対して少なくとも室温で相分離し得る流動性物質である隔壁用媒体が、電気泳動媒体と相分離されると、該隔壁用媒体が、該電気泳動媒体を区画する位置に隔壁として配置される。
即ち、請求項1記載の画像表示媒体によれば、該電気泳動媒体を区画する隔壁が流動性物質により構成されている。よって、画像表示媒体全体が可撓性を有する場合に、画像表示媒体が撓曲されても、隔壁の破損が防止されるという効果がある。
また、電気泳動媒体と隔壁用媒体との相分離を利用して隔壁を形成するので、複雑な工程を必要とすることなく簡便に画像表示媒体を得ることができ、コストも安価であるという効果がある。
さらに、電気泳動媒体と隔壁用媒体との相分離を利用して隔壁を形成するので、隔壁の形成後に電気泳動流体(帯電された粒子を含む電気泳動媒体)が配置される場合に比べ、電気泳動流体が均一に配置されるので、色ムラが抑制され、コントラストの高い画像表示媒体を得ることができるという効果がある。
請求項2記載の画像表示媒体によれば、請求項1記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、一対の基板のうち少なくとも一方の基板における電気泳動媒体と接触する面における、該電気泳動媒体を配置させるべき位置に、隔壁用媒体より電気泳動媒体に対してより親和性を有する第1表面処理部が設けられ、一方で、一対の基板のうち少なくとも一方の基板における隔壁用媒体と接触する面に、隔壁の形状に応じて、電気泳動媒体より隔壁用媒体に対してより親和性を有する第2表面処理部が配置されているので、電気泳動媒体及び隔壁用媒体を、それぞれ、第1表面処理部及び第2表面処理部の設けられた位置に選択的に配置させることが容易であるという効果がある。
請求項3記載の画像表示媒体によれば、請求項2記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、第1表面処理部及び第2表面処理部は、透明であり、一対の基板のうち、ユーザによって表示が視認される側の基板に設けられているので、第1表面処理部及び第2表面処理部の存在によって画像の視認が妨げられることがない上に、視認される側に配置された第1表面処理部及び第2表面処理部の存在による電気泳動媒体の区画が精度よく行われるので、ユーザは品質の良い画像を視認することができるという効果がある。
請求項4記載の画像表示媒体によれば、請求項1から3のいずれかに記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、電気泳動媒体及び隔壁用媒体は、それぞれ、他方に対して不溶である溶媒又は他方に対して不溶である溶媒を含む溶液のいずれかであるので、これらの電気泳動媒体と隔壁用媒体とを容易に相分離できるという効果がある。
請求項5記載の画像表示媒体によれば、請求項4記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、電気泳動媒体又は隔壁用媒体の一方は、水又は水溶液であり、他方は、水に不溶な溶媒又はその溶媒を含む溶液であるので、これらの電気泳動媒体と隔壁用媒体とを容易に相分離できる上に、一方の媒体が水又は水溶液であるために利用し易いという効果がある。
請求項6記載の画像表示媒体によれば、請求項4又は5記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、隔壁用媒体は、水又は水溶液であり、電気泳動媒体は、水に不溶な溶媒又はその溶媒を含む溶液であるので、電気泳動媒体と隔壁用媒体とを相分離し易い上に、電気泳動媒体として、水に不溶な溶媒又はその溶媒を含む溶液を用いるので、絶縁性を必要とする電気泳動媒体として有利であり、画像表示媒体としての品質を高めることができるという効果がある。
請求項7記載の画像表示媒体によれば、請求項4から6のいずれかに記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、水に不溶な溶媒として、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、シリコーンオイル、又は、高純度石油のいずれか単独、あるいは、これらの2種以上を含む混合物を用いるので、絶縁性を必要とする電気泳動媒体として有利であり、画像表示媒体としての品質を高めることができるという効果がある。
請求項8記載の画像表示媒体は、請求項1から7のいずれかに記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、隔壁用媒体は、無色又は白色であるので、隔壁用媒体により形成された隔壁の色が、画像表示媒体によって表示される画像に対して悪影響を与えないという効果がある。
請求項9記載の画像表示媒体によれば、請求項1から8のいずれかに記載の画像表示媒体において、帯電された粒子の表面は、隔壁用媒体より電気泳動媒体に対してより親和性を示すものであるので、この帯電された粒子を、電気泳動媒体中に選択的に分散させることができるという効果がある。また、電気泳動媒体中に分散された粒子が、隔壁を形成する隔壁用媒体に移動したり、この隔壁を超えて他の領域の電気泳動媒体に移動することを防止できる。よって、色ムラの発生やコントラストの低下を防止するなど、画質の安定性を維持できるという効果がある。
請求項10記載の画像表示媒体によれば、請求項1から9のいずれかに記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、一対の基板における互いに対向する側の面上に一対の電極がそれぞれ設けられており、これらの一対の電極における各電極の表面には、耐液性の保護膜が設けられているので、液体である電気泳動媒体と電極とが直接接触することが防止され、それによって、電極の劣化を防止することができるという効果がある。
請求項11記載の画像表示媒体によれば、請求項10記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、耐液性の保護膜として、含フッ素化合物を含有する保護膜を用いるので、液体である電気泳動媒体と電極とが直接接触することがより効果的に防止され、それによって、電極の劣化をより効果的に防止することができるという効果がある。
請求項12記載の画像表示媒体によれば、請求項1から11のいずれかに記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、一対の基板はそれぞれ可撓性を有するものであるので、画像表示媒体全体を可撓性に形成することができるという効果がある。
請求項13記載の画像表示媒体によれば、請求項1から12のいずれかに記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、スペーサ粒子によって一対の基板間の距離が所定距離以上に保持されるので、基板表面に力が付加された場合であっても、基板表面が過度に歪むことを確実に防止できるので、基板の破損を確実に防止できるという効果がある。特に、基板が可撓性を有する基板である場合には、基板の弛みによって基板と基板とが接触されることを防止できるので、画質劣化や画像表示媒体の破損をより確実に防止することができるという効果がある。
請求項14記載の画像表示装置によれば、請求項13記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、スペーサ粒子の表面は、電気泳動媒体より隔壁用媒体に対してより親和性を示すので、スペーサ粒子を隔壁用媒体中に選択的に配置させることができるという効果がある。また、隔壁用媒体中に分散されたスペーサ粒子が、電気泳動媒体に移動することを防止できるので、画質の安定性を維持できるという効果がある。
請求項15記載の画像表示媒体によれば、請求項1から14のいずれかに記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、塊状の固定隔壁が、一対の基板における少なくとも一方の基板上に固定されて設けられているので、基板表面に力が付加された場合であっても、基板表面が過度に歪むことを確実に防止できるので、基板の破損を確実に防止できる。特に、基板が可撓性を有する基板である場合には、基板の弛みによって基板と基板とが接触されることを防止できるので、画質劣化や画像表示媒体の破損をより確実に防止することができる。また、特に、塊状の固定隔壁が一方の基板に固定されて、他方の基板とは離間されている場合には、画像表示媒体が撓曲されても、隔壁が破損し難いという効果がある。
請求項16記載の画像表示媒体によれば、請求項15記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、固定隔壁は、一対の基板における一方の基板上に固定され、他方の基板とは離間されているので、画像表示媒体が撓曲されても、隔壁が破損し難いという効果がある。また、固定隔壁と基板とが離間されることによって生じた空間の存在によって、電気泳動流体(帯電された粒子を含む電気泳動媒体)の配置を均一に行い得るという効果がある。
請求項17記載の画像表示媒体によれば、請求項16記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、固定隔壁とその固定隔壁と離間されている側の基板との間には、隔壁用媒体が配置されているので、この隔壁用媒体から形成される隔壁の存在によって、電気泳動媒体中に分散された粒子が他の領域の電気泳動媒体に移動することを抑制できるという効果がある。
請求項18記載の画像表示媒体によれば、請求項16又17記載の画像表示媒体の奏する効果に加えて、固定隔壁における基板と離間されている側を向く表面、又は、その表面に対応する、固定隔壁と離間されている側の基板の面が、電気泳動媒体より隔壁用媒体に対してより親和性を有するので、電気泳動媒体と隔壁用媒体との相分離を利用する場合に、隔壁用媒体を、固定隔壁と基板とが離間されることによって生じた空間部分に選択的に配置できるという効果がある。固定隔壁とその固定隔壁と離間されている側の基板との間に、隔壁用媒体が配置されることにより、この隔壁用媒体から形成される隔壁の存在によって、電気泳動媒体中に分散された粒子が他の領域の電気泳動媒体に移動することを抑制できる。
請求項19記載の画像表示媒体の製造方法によれば、実質的に平行に離間されて配置される一対の基板の間に、帯電された粒子を含有する電気泳動媒体が配置されており、一対の基板間に電界が発生されると、該電気泳動媒体に含まれている帯電された粒子が移動し、それによって、表示状態が切り換えられる画像表示媒体を製造するために、電気泳動媒体と、その電気泳動媒体に対して少なくとも室温で相分離し得る流動性物質である隔壁用媒体との混合物が、媒体配置工程により、一対の基板のうち少なくとも一方の基板における他方の基板に対向する側の面上に配置される。そして、その媒体配置工程により配置された混合物における電気泳動媒体と隔壁用媒体とが、媒体分離工程により互いに相分離され、それによって、該隔壁用媒体が、該電気泳動媒体を区画する位置に隔壁として配置される。
即ち、請求項19記載の画像表示媒体の製造方法によれば、該電気泳動媒体を区画する隔壁は、流動性物質により構成されたものである。よって、画像表示媒体全体が可撓性を有する場合に、画像表示媒体が撓曲されても、隔壁の破損が防止されるという効果がある。
また、電気泳動媒体と隔壁用媒体との相分離を利用して隔壁を形成するので、複雑な工程を必要とすることなく簡便に画像表示媒体を製造することができ、コストも安価であるという効果がある。
さらに、電気泳動媒体と隔壁用媒体との相分離を利用して隔壁を形成するので、隔壁の形成後に電気泳動流体(帯電された粒子を含む電気泳動媒体)が配置される場合に比べ、電気泳動流体が均一に配置されるので、色ムラが抑制され、コントラストの高い画像表示媒体を得ることができるという効果がある。
請求項20記載の画像表示媒体の製造方法によれば、請求項19記載の画像表示媒体の製造方法の奏する効果に加えて、表面処理工程によって、一対の基板のうち少なくとも一方の基板における電気泳動媒体と接触する面における、該電気泳動媒体を配置させるべき位置に、隔壁用媒体より電気泳動媒体に対してより親和性を有する第1表面処理部が設けられ、一方で、一対の基板のうち少なくとも一方の基板における隔壁用媒体と接触する面に、隔壁の形状に応じて、電気泳動媒体より隔壁用媒体に対してより親和性を有する第2表面処理部が配置される。よって、電気泳動媒体及び隔壁用媒体を、それぞれ、第1表面処理部及び第2表面処理部の設けられた位置に選択的に配置させることが容易であるという効果がある。
請求項21記載の画像表示媒体は、請求項19又は20記載の画像表示媒体の製造方法の奏する効果に加えて、帯電された粒子が、隔壁用媒体より電気泳動媒体に対してより親和性を有するので、この帯電された粒子を、電気泳動媒体中に選択的に分散させることができるという効果がある。また、電気泳動媒体中に分散された粒子が、隔壁を形成する隔壁用媒体に移動したり、この隔壁を超えて他の領域の電気泳動媒体に移動することを防止できる。よって、色ムラの発生やコントラストの低下を防止するなど、画質の安定性を維持できるという効果がある。
請求項22記載の画像表示媒体は、請求項19から21のいずれかに記載の画像表示媒体の製造方法の奏する効果に加えて、表面処理工程による表面処理の前に、保護膜形成工程により、含フッ素化合物を含有する液体が塗布されて、一対の電極のそれぞれの表面に耐液性の保護膜が形成されるので、液体である電気泳動媒体と電極とが直接接触することがより効果的に防止され、それによって、電極の劣化をより効果的に防止することができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施例における画像表示媒体10を説明する図であり、図1(a)は、画像表示媒体10に画像を表示させる表示装置1全体の斜視図であり、図1(b)は、画像表示媒体10の構造を概略的に示す分解斜視図である。
図1(a)に示すように、表示装置1は、画像表示媒体10と本体20とから構成される装置であり、本体20に画像表示媒体10を配置した上で所定の操作を行うことにより、画像表示媒体10に画像を表示できるものである。
本体20は、画像表示媒体10の大きさより一回り大きい矩形状に形成されたベースプレート25と、そのベースプレート25の周縁に沿って取り付けられた枠体26とを備えている。枠体26は、ベースプレート25の周囲に、その一部(図1(a)ではベースプレート25の左方)が開口されて設けられている。枠体26が一部開口されて設けられていることにより、ユーザは、表示装置1への画像表示媒体10の挿入や、表示装置1からの画像表示媒体10の取り出しを容易に行い得る。この枠体26には、画像表示媒体10に備えられているX電極12a及びY電極13a(いずれも図1(b)参照)に印加する電気信号(電流、電圧、極性)を制御する駆動制御ユニット(非図示)が内包されている。
また、枠体26の表面には、電源スイッチ26aと、操作ボタン26bとが設けられている。電源スイッチ26aは、駆動制御ユニット(非図示)に含まれるCPU(非図示)によって管理されており、電源スイッチ26aがオンされたことがCPUにより検出されると、本体20に電源が供給される。操作ボタン26bは、画像表示媒体10に画像を表示させるために、ユーザにより操作されるボタンである。
画像表示媒体10が表示装置1に挿入されて、ベースプレート25上の所定位置に配置されると、画像表示媒体10のX電極12a及びY電極13a(いずれも図1(b)参照)が、枠体26に内包された駆動制御ユニット(非図示)に接続される。そして、ユーザが、操作ボタン26bを操作することにより、駆動制御ユニット(非図示)の制御により、所望の画像を画像表示媒体10に表示することができる。
画像表示媒体10は、図1(b)に示すように、第1基板12と、第2基板13と、その第2基板13と第1基板12との間に挟持されるギャップスペーサ17とを主に備えており、これらが積層されて構成されたものである。なお、詳しくは図2を参照しつつ後述するが、ギャップスペーサ17の介在によって離間される第1基板12と第2基板13との間には、帯電粒子31を含む電気泳動媒体30(いずれも図2参照)と隔壁の役割を果たす隔壁用媒体32(図2参照)とが充填されている。
第1基板12及び第2基板13は、いずれも、約20μm程度の厚さを有し、その材質として、ガラス、合成樹脂、天然樹脂、紙などが挙げられる。好ましい第1基板12及び第2基板13の材質は、可撓性を示す合成樹脂であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)やポリフェニレンサルファイド(PPS)などのポリエステル系樹脂、アラミド、ポリイミド、ナイロン、ポリプロピレン、硬質ポリエチレン(高密度ポリエチレン)などが挙げられる。これらの合成樹脂の中でも、透明性、強度、耐熱性の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイドが特に好ましい材質であり、最も好ましい材質は、ポリエチレンテレフタレートである。第1基板12及び第2基板13として、上記のような可撓性示す材質を用いることにより、画像表示媒体10全体が可撓性を示すものとなる。
第1基板12及び第2基板13には、画像表示媒体10において互いに対向する側の面上に、それぞれ、X電極12a及びY電極13aが設けられている。X電極12a及びY電極13aは、電気泳動媒体30(図2参照)に電界を与えるための極性を担うものである。X電極12a及びY電極13aは、いずれも、複数本の略平行なライン状に形成されている。また、X電極12aとY電極13aとは、画像表示媒体10において、互いに略直交するように構成されている。即ち、画像表示媒体10は、これらの電極12a,13aのオン又はオフを切り換える単純マトリックス駆動方式によって画像が表示されるものである。
X電極12a及びY電極13aはいずれも、導電性を有するものであれば、特にその材料には限定されず、金属、半導体、導電性樹脂、導電性塗料、導電性インクなどの材料により構成されている。X電極12a及びY電極13aは、上記のような材料を用い、周知の無電界メッキ法、スパッタ法、蒸着法、インクジェット法などの方法によって、それぞれ、第1基板12及び第2基板13上に形成することができる。特に、第1基板12及び第2基板13の材質が可撓性を示す合成樹脂である場合には、ポリチオフェン系導電性高分子などの導電性高分子を含むインクを用いるインクジェット法によって、基板(第1基板12及び第2基板13)を損傷することなく、X電極12a及びY電極13aを容易に形成できる。
ギャップスペーサ17は、第1基板12及び第2基板13の材質として上記で列挙した合成樹脂、天然樹脂、又はガラスなどから構成されるものであり、その中央部に開口部17aが開口されている。ギャップスペーサ17の厚さは約20μm程度である。
なお、第1基板12におけるX電極12aの形成面、及び、第2基板13におけるY電極13aの形成面には、耐液性の保護膜18(図2参照)や表面処理層19(図2参照)が設けられているが、図面が複雑化されることを防ぐために、図1(b)では保護膜18や表面処理層19の図示を省略している。
次に、図2を参照して、画像表示媒体10の構造についてより具体的に説明する。図2は、画像表示媒体10の模式的な断面図である。なお、図2の断面図は、第2基板13上に形成されたY電極13aのうちの1本を通り、且つ、第1基板12上に形成されたX電極12aのそれぞれに対して略直交する切断線で切断した場合の断面を図示したものである。
図2に示すように、画像表示媒体10における第1基板12と第2基板13との間には、正又は負に帯電された帯電粒子31を含む電気泳動媒体30と、その帯電粒子31を含む電気泳動媒体30を区画する隔壁としての役割を果たす隔壁用媒体32とがが充填されている。
電気泳動媒体30と隔壁用媒体32とは、それぞれ、1の画素に対応する領域と、隣接する画素を分離し、1の画素ごとに区画する仕切り線に対応する位置とに配置されている。なお、画像表示媒体10における「画素」は、格子状であるX電極12aとY電極13aとが交差する部分を中心とする領域であり、1つの交差するX電極12aとY電極13aとの間に他の領域とは独立して発生された電界によって、帯電粒子31が他の領域とは独立して移動する領域に相当する。
電気泳動媒体30と隔壁用媒体32とは、少なくとも、画像表示媒体10の操作される室温において互いに相分離されて、その相分離状態を保つことのできる液体(溶媒又は溶液)などの流動性物質である。なお、電気泳動媒体30と隔壁用媒体32とが相分離された場合において、両方の液体の境界が完全に分離されていることが最も好ましいが、見た目には両方の液体の境界が完全に分離されているように見えるが、境界領域において両方の液体が混合した「ほぼ相分離されている」状態であってもよい。なお、本明細書及び特許請求の範囲における「相分離」とは、両方の液体の境界が完全に分離されていることに限定されず、ほぼ相分離されている状態も含む。
好ましい電気泳動媒体30及び隔壁用媒体32としては、それらの組み合わせが、互い不溶である溶媒同士の組み合わせであるか、互いに不溶である溶媒を含む溶液同士の組み合わせであるか、互い不溶である溶媒と互いに不溶である溶媒を含む溶液との組み合わせとなるものである。特に、電気泳動媒体30に用いる液体は電気抵抗の大きい(絶縁性の高い)ものが好ましいので、電気泳動媒体30が、水に不溶である溶媒又は水に不溶である溶媒を含む溶液であり、隔壁用媒体32が水又は水溶液であることが好ましい。
電気泳動媒体30として水に不溶である溶媒を用いる場合には、電気抵抗が高い(絶縁性が高い)ものが好ましく、例えば、芳香族炭化水素溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、脂肪族炭化水素溶媒(例えば、ヘキサン、シクロヘキサンなどの直鎖又は環状パラフィン系炭化水素溶媒、イソパラフィン系炭化水素溶媒、ケロシンなど)、ハロゲン化炭化水素溶媒(例えば、クロロホルム、トリクロロエチレン、ジクロロメタン、トリクロロトリフルオロエチレン、臭化エチルなど)、シリコーンオイルのようなオイル状のポリシロキサン、又は、高純度石油などが挙げられる。特に好適な第2媒体30bは、脂肪族炭化水素溶媒である。好適な第2溶媒30bとしては、例えば、アイソパーG,H,M,L(いずれも、エクソンモービル製)、Shellsol(昭和シェルジャパン製)、IPソルベント1016,1620,2028,2835(いずれも、出光石油化学製)などが挙げられる。なお、本明細書及び特許請求の範囲における「水に不溶である溶媒」としては、先に列挙した有機溶媒のそれぞれ単独、及び、2種以上の有機溶媒の混合物のいずれも含まれるものとする。
なお、電気泳動媒体30として水や水溶液を用いる場合には、イオン性物質を含まず電気抵抗の大きい(絶縁性の高い)水を用いることが好ましく、蒸留水やイオン交換水の使用が特に好ましい。
上記のように、隔壁用媒体32は、少なくとも室温で電気泳動媒体30と相分離し得る流動性物質である。隔壁用媒体32としては、電気泳動媒体30として水に不溶である溶媒を用いる場合には、利用し易いという点から、水又は水溶液であることが好ましい。また、電気泳動媒体として水又は水溶液が用いられる場合には、隔壁用媒体32として、水に不溶である溶媒又は水に不溶である溶媒を含む溶液が好適に用いられる。この場合、水に不溶である溶媒としては、電気泳動媒体30を説明する際に、水に不溶である溶媒として列挙したものが好ましい。
隔壁用媒体32は、画像表示媒体10において、画素を区画する隔壁としての役割を果たすものである。即ち、本実施例の画像表示媒体10は、隔壁が流動性物質により形成されている。よって、画像表示媒体10が撓曲されても、隔壁の破損が生じ難い。
なお、隔壁用媒体32の色は、画像表示媒体10により表示される画像に悪影響を与えないように、無色又は白色であることが好ましい。
電気泳動媒体30に含まれる(分散される)帯電粒子31は、正に帯電されている白色の白色帯電粒子31aと、負に帯電されている黒色の黒色帯電粒子31bとから構成されている。これらの白色帯電粒子31a及び黒色帯電粒子31bは、それぞれ、画像表示媒体10における各画素毎に、X電極12aとY電極13aとの間に発生される電界に応じて、第1基板12側又は第2基板13側に泳動される。
より具体的には、1の画素において、Y電極13aがX電極12aに対して正となるように電界が形成された場合には、負に帯電されている黒色帯電粒子31bは、第2基板13側(Y電極13a側)に泳動し、一方で、正に帯電されている白色帯電粒子31aは、第1基板12側(X電極12a側)に泳動する。この場合、第2基板13が、ユーザにより視認される側の面(以下、「視認面」と称する。)であれば、ユーザは、この画素が黒色で表示されていることを視認することになる。なお、以下において、ユーザが視認面を視認した場合に、黒色であることが視認される画素の状態を「表示状態」と称する。
一方で、1の画素において、Y電極13aがX電極12aに対して負となるように電界が形成された場合には、正に帯電されている白色帯電粒子31aが、第2基板13側(Y電極13a側)に泳動し、一方で、負に帯電されている黒色帯電粒子31bは、第1基板12側(X電極12a側)に泳動する。この場合、第2基板13が視認面であれば、ユーザは、この画素が白色で表示されていることを視認することになる。なお、以下において、ユーザが視認面を視認した場合に、白色であることが視認される画素の状態を「非表示状態」と称する。
帯電粒子31(白色帯電粒子31a,黒色帯電粒子31b)は、いずれも、隔壁用媒体32より電気泳動媒体30に対してより親和性を示す表面を有している。よって、帯電粒子31は、隔壁用媒体32ではなく電気泳動媒体30に選択的に分散される。また、帯電粒子31がそのような表面を有することによって、電気泳動媒体30に分散された帯電粒子31が、隔壁用媒体32中に移動したり、この隔壁用媒体32を超えて他の領域の電気泳動媒体30に移動することが防止される。その結果として、画像表示媒体10において、色ムラの発生やコントラストの低下が防止されるなど、画質の安定性が維持される。
帯電粒子31である白色帯電粒子31aや黒色帯電粒子31bとしては、白色の二酸化チタンや黒色のカーボンブラックなどの顔料をポリマーにより被覆したものや、白色や黒色の染料で着色されたポリマー粒子などが挙げられる。
ここで、電気泳動媒体30が、水に不溶である溶媒又は水に不溶である溶媒を含む溶液であり、隔壁用媒体32が水又は水溶液である場合には、疎水性(親油性)を示す表面を有するポリマーを用いて帯電粒子31を作製すればよい。疎水性(親油性)を示す表面を有するポリマーとしては、例えば、疎水性表面を有するポリマーなどが挙げられる。疎水性表面を有するポリマーとしては、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル樹脂などが挙げられる。具体的には、ナトコスペーサ(ナトコ(株)製)、エポカラー((株)日本触媒化学製)、ケミスノー(総研化学(株)製)、トスパール(GE東芝シリコン(株)製)、テクポリマー(積水化成品工業(株)製)などが挙げられる。
また、電気泳動媒体30が、水又は水溶液であり、隔壁用媒体32が、水に不溶である溶媒又は水に不溶である溶媒を含む溶液である場合には、親水性を示す表面を有する帯電粒子31が用いられる。この場合、親水性を示す表面を有する帯電粒子31は、隔壁用媒体32より電気泳動媒体30に対してより親和性を示す疎水性表面を有するポリマーとして先に列挙したポリマーから形成され、着色又は顔料を内包する帯電粒子の表面に、二酸化チタンやシリカなどの親水性物質の微粒子を付着させたり、又は、これらの親水性物質による被膜を形成することによって得ることができる。あるいは、帯電粒子31を、親水性を示す表面を有するポリマーを用いて作製してもよい。親水性を示す表面を有するポリマーとしては、例えば、アクリルアミド及びヒドロキシメチルアクリレートをモノマーとして重合される共重合体や、ポリ(オキシエチレン)マクロモノマーを反応性分散安定剤として用いるメチルメタクリレートの分散重合により得られた粒子、親水性アクリル酸系モノマー又は親水性(メタ)アクリル酸系モノマーをポリマー粒子表面にグラフト重合することによって得られた粒子などが挙げられる。
図2に示すように、画像表示媒体10におけるX電極12a及びY電極13aの表面には、保護膜18が設けられている。この保護膜18によって、液体である電気泳動媒体30と電極(X電極12a及びY電極13a)との直接接触が防止されるので、画像表示媒体10における電極(X電極12a及びY電極13a)の劣化を防止することができる。この保護膜18としては、撥水性、撥油性、耐食性、耐薬品性などに優れているという点から、含フッ素化合物を含有する膜であることが好ましい。
ここで、含フッ素化合物としては、所定の温度以上で液体状になる含フッ素化合物であることが好ましく、例えば、低分子量ポリテトラフルオロエチレン(低分子量PTFE)、低分子量ポリクロロトリフルオロエチレン(低分子量PCTFE)、低分子量テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(低分子量PFA)、低分子量テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(低分子量FEP)などが挙げられる。
保護膜18は、上記のような含フッ素化合物を所定の温度以上に加温することによって液体状にし、その液体を、基板(第1基板12又は第2基板13)上における電極(X電極12a又はY電極13a)の設けられた側の面に一様に塗布し、その後、乾燥させる工程(この工程を「保護膜形成工程」と称する)によって形成される。
保護膜形成工程において、含フッ素化合物を基板(第1基板12又は第2基板13)上に塗布する方法としては、ディッピング法、ゾルゲル法、スプレー法などの方法が利用できる。なお、保護膜18を形成するために用いられる含フッ素化合物は、溶媒中に溶解又は分散することによって塗布可能とされる含フッ素化合物であってもよく、その場合は、含フッ素化合物を溶解又は分散された液体を用いて、上記と同様の保護膜形成工程を実行すればよい。
図2に示すように、視認面となる基板である第1基板12には、電気泳動媒体30及び隔壁用媒体32と接触する層として、表面処理層19が設けられている。この表面処理層19は、第1表面処理層19bと第2表面処理層19aとから構成されている。
図2に示すように、第1表面処理層19b及び第2表面処理層19aの露出部分は、それぞれ、電気泳動媒体30及び隔壁用媒体32の配置される位置に相当する位置に配置されている。詳細については、図6を参照しつつ後述するが、第1表面処理層19bは、1の画素に対応する領域に設けられ、一方で、第2表面処理層19aは、画素を区画する隔壁の形成を意図する位置に設けられている。
第1表面処理層19bは、少なくともその表面が、隔壁用媒体32より電気泳動媒体30に対してより親和性を示す層であり、一方で、第2表面処理層19aは、少なくともその表面が、電気泳動媒体30より隔壁用媒体32に対してより親和性を示す層である。例えば、電気泳動媒体30が水に不溶な溶媒又はその溶媒を含む溶液であり、隔壁用媒体32がが水又は水溶液である場合には、第1表面処理層19bは、所謂「疎水性(又は新油性)」を示す表面を有する層であり、一方で、第2表面処理層19aは、所謂「親水性」を示す表面を有する層である。
よって、電気泳動媒体30と隔壁用媒体32とが相分離される場合には、第1表面処理層19b上に、隔壁用媒体32に比べてより高い親和性を示す電気泳動媒体30が配置されて、一方で、第2表面処理層19a上に、電気泳動媒体30に比べてより高い親和性を示す隔壁用媒体32が配置されることがエネルギー的に最も安定な状態である。従って、第1表面処理層19b及び第2表面処理層19aを設けることによって、互いに相分離する電気泳動媒体30及び隔壁用媒体32を、それぞれ、第1表面処理層19b及び第2表面処理層19a上に選択的に配置させることが容易となる。
表面処理部19(第1表面処理層19b,第2表面処理層19a)は、視認面である第1基板12側に設けることが好ましい。第1表面処理層19b及び第2表面処理層19aを視認面である第1基板12側に設けることによって、電気泳動媒体30によって形成される画素領域と隔壁用媒体32によって形成される隔壁とが明瞭に区分できる。なお、表面処理部19を、視認面側である第1基板12側に設ける場合には、画像表示の妨げにならないように透明であることが好ましい。
また、基板12,13間における所定の位置で相分離されていた電気泳動媒体30及び隔壁用媒体32が外的要因(例えば、基板12,13が押圧されること)によって再度混合された場合であっても、これらの媒体30,32は、それぞれ、第1表面処理層19b又は第2表面処理層19a上に再度配置される。
次に、図3及び図4を参照して、表面処理層19を形成する方法(これを「表面処理工程」と称する)について例示する。図3は、表面処理工程の第1の例を説明する図であり、図4は、表面処理工程の第2の例を説明する図である。
図3を参照して説明する表面処理工程の第1の例は、赤外線レーザーの照射によって、照射部が選択的に疎水性に変化する親水性ポリマー(以下、「感熱相変換型親水性ポリマー」と称する)を使用する方法である。なお、この方法は印刷業界でしばしば利用される公知の方法である(例えば、Creo社のSPプレートレスDOP技術など)。
図3(a)は、保護膜形成工程後、第2表面処理層19aが形成される前の状態を示す図であり、図3(b)は、第2表面処理層19aが保護層18の上に設けられた第1基板12を示す図である。第2表面処理層19aは、感熱相変換型親水性ポリマーをスプレー法などにより保護層18の上に塗布することによって形成される。
図3(c)〜(e)は、赤外線レーザーの照射による第1表面処理層19bの形成を説明する図である。第2表面処理層19aが保護層18の上に設けられると、図3(c)に示すように、画素に対応する形状(例えば、略矩形状や略六角形などの多角形状)の開口部40aが画素の配置に応じて複数設けられたメタルマスク40を、第2表面処理層19aの上方に配置する。その際、開口部40aが第1表面処理層19bの形成を所望する位置、即ち、開口部40aが画素に対応する位置となるように、メタルマスク40を配置する。
次に、図3(d)に示すように、赤外線レーザーを、矢印の向きにメタルマスク40を介して第2表面処理層19aに照射する。第2表面処理層19aが赤外線レーザーにより照射されると、開口部40aを介して露光された部分が、図3(e)に示すように、疎水性である第1表面処理層19bに相変化する。上記のように、メタルマスク40の開口部40aは、画素に対応する位置に配置されている。よって、赤外線レーザーが照射されると、X電極12a上の画素に対応する領域に第1表面処理層19bが形成され、第2表面処理層19aの露出部分が画素を区画する隔壁を設けるべき位置に残される。
図4を参照して説明する表面処理工程の第2の例は、赤外線レーザーの照射によって、層状体の親水性表層をアブレートして(焼き飛ばして)、疎水性層を露出させる方法である。なお、この方法もまた、印刷業界でしばしば利用される公知の方法である(例えば、Presstek社のREALwetなど)。
図4(a)は、保護膜形成工程後、アブレーション用の層状体が配置される前の状態を示す図である。また、図4(b)は、アブレーション用の層状体が保護膜18の上に配置された第1基板12を示す図である。なお、アブレーション用の層状体は、親水性ポリマーである第2表面処理層19aと、疎水性フィルムである第1表面処理層19bと、その第1表面処理層19bと第2表面処理層19aとの間に配置される金属剥膜層16との三層からなる層状体である。図4(b)に示すように、アブレーション用の層状体は、第1表面処理層19bが保護膜18の上となるように配置される。
図4(c)〜(e)は、赤外線レーザーの照射による表面処理層19の形成を説明する図である。アブレーション用の層状体が保護膜18の上に配置されると、図4(c)に示すように、画素に対応する形状(例えば、略矩形状や略六角形などの多角形状)の開口部40aが画素の配置に応じて複数設けられたメタルマスク40を、第1表面処理層19aの上方に配置する。その際、開口部40aが第1表面処理層19aの形成を所望する位置、即ち、開口部40aが画素に対応する位置となるように、メタルマスク40を配置する。
次に、図4(d)に示すように、赤外線レーザーを、矢印の向きにメタルマスク40を介してアブレーション用の層状体に照射する。アブレーション用の層状体が赤外線レーザーにより照射されると、開口部40aを介して露光された部分の第2表面処理層19aと金属剥膜層16とがアブレートされ(焼き飛ばされ)、図4(e)に示すように、疎水性である第1表面処理層19bが露出する。上記のように、メタルマスク40の開口部40aは、画素に対応する位置に配置されている。よって、赤外線レーザーが照射されると、X電極12a上の画素に対応する領域に第1表面処理層19bが形成され、第2表面処理層19aが画素を区画する隔壁を設けるべき位置に残される。
上記のような図3又は図4に示した方法によれば、メタルマスク40の開口部40aの形状及び位置を変えることによって、第1表面処理層19bと第2表面処理層19aのパターン(形状及び配置)を必要に応じて容易に変更することができる。即ち、隔壁用媒体32による電気泳動媒体30の区画は、電気泳動媒体30の区画される形状や、区画の大きさなどを自在に変化させることが可能である。
なお、表面処理層19を設ける方法としては、上記のような方法に限られるものではない。例えば、隔壁用媒体32より電気泳動媒体30に対してより親和性を有するポリマーを、ローラーなどを用いて画素に対応する位置に塗布し、一方で、電気泳動媒体30よりも隔壁媒体32に対してより高い親和性を有するポリマーを、ローラーなどを用いて、画素を区画する隔壁を設けるべき位置に塗布する方法、あるいは、隔壁用媒体32より電気泳動媒体30に対してより親和性を有するポリマーを、スプレーなどを用いて第1基板12全体に塗布し、その後に、電気泳動媒体30よりも隔壁媒体32に対してより高い親和性を有するポリマーを、ローラーなどを用いて、画素を区画する隔壁を設けるべき位置に塗布する方法など、種々の方法により表面処理層19を設けることもできる。
次に、図5及び図6を参照して、画像表示媒体10に電気泳動媒体30及び隔壁用媒体32を配置する方法について説明する。図5は、帯電粒子31を含む電気泳動媒体30と隔壁用媒体32との混合物の調製を模式的に示す図であり、図6は、隔壁用媒体32による隔壁が形成される工程を説明する図である。
本実施例で用いられる、帯電粒子31を含む電気泳動媒体30と隔壁用媒体32との混合物を調製するためには、まず、隔壁用媒体32より電気泳動媒体30に対してより親和性を示す表面を有する帯電粒子31(白色帯電粒子31a,黒色帯電粒子31b)が分散された電気泳動媒体30(以下、この分散液を「電気泳動流体D」と称する)を調製する。次いで、電気泳動流体Dと隔壁用媒体32とを混合し、十分に攪拌することによって、図5の下方に示すように、電気泳動媒体30に隔壁用媒体32が分散されたエマルジョン(以下、このエマルジョンを「エマルジョンE」と称する)が生じる。
このエマルジョンEを、図6を参照しつつ後述するように、表面処理層19を有する第1基板12上に配置する。なお、図5には、エマルジョンEとして、電気泳動媒体30に隔壁用媒体32が分散されたエマルジョンを示したが、隔壁用媒体32に電気泳動媒体30が分散されたエマルジョンであってもよい。
上記のように調製されたエマルジョンEは、図6の中段に示すように、表面処理工程後ギャップスペーサ17を積層した第1基板12上にドクターブレード法などによって塗布される(これを「媒体配置工程」と称する)。なお、図6では、図面の簡略化のためにエマルジョンE中に分散される帯電粒子31や、第1基板12上に積層されたギャップスペーサ17の図示を省略している。
媒体配置工程後、図6の下段に示すように、第1基板12上に塗布されたエマルジョンEを自発的に分離させて、隔壁用媒体32を隔壁として所定の位置に配置させる(これを「隔壁配置工程」と称する)。この隔壁配置工程による隔壁(隔壁用媒体32)の配置は、表面処理工程により第1基板12上に形成された表面処理層19(図6の上段)と隔壁用媒体32又は電気泳動媒体30との親和性に応じて選択的に配置される。具体的には、エマルジョンEが相分離することにより、隔壁用媒体32より電気泳動媒体30に対してより親和性を示す第1表面処理部19b上には、電気泳動媒体30が選択的に配置され、一方で、電気泳動媒体30より隔壁用媒体32に対してより親和性を示す第2表面処理部19a上には、隔壁用媒体32が選択的に配置される。
なお、エマルジョンEが電気泳動媒体30と隔壁用媒体32とに相分離されると、隔壁用媒体32に比べて電気泳動媒体30に対してより高い親和性を示す表面を有する帯電粒子31は、電気泳動媒体30中に選択的に分散される。
媒体配置工程後、第2基板13を気泡が入らないように重ねて、その周囲を封止し、画像表示媒体10とする。
なお、図6では、媒体配置工程として、一対の基板のうちの一方の基板(第1基板12)上にエマルジョンEを塗布する方法を例示したが、第1基板12とギャップスペーサ17と第2基板13とを予め組み立てたセルに、ディスペンサーなどを用いて注入する方法であってもよい。セルに注入されたエマルジョンEは、隔壁配置工程により、第1基板12上に形成されている表面処理層19のパターンに応じて、隔壁(隔壁用媒体32)が第2表面処理層19a上に選択的に配置される。
よって、本実施例の方法によれば、電気泳動媒体30と隔壁用媒体32との自発的な相分離、並びに、第1表面処理層19b又は第2表面処理層19aとの親和性の差を利用した選択的な電気泳動媒体30及び隔壁用媒体32の配置を利用するので、固体状の隔壁を形成する際の工程の複雑さや、固体状の隔壁が形成された後の電気泳動媒体の注入の困難さなどが解消され、画像表示媒体10を容易に製造することができる。
以上説明した通り、第1実施例の画像表示媒体10では、電気泳動媒体30と隔壁用媒体32とが少なくとも室温で相分離し得るので、これらが相分離した状態において、隔壁用媒体32の占める領域により電気泳動媒体30が区画される。即ち、流動性物質である隔壁用媒体32が、隔壁としての役割を果たす。よって、可撓性の画像表示媒体10が撓曲された場合であっても、隔壁の破損が抑制される。また、電気泳動媒体30と隔壁用媒体32との相分離を利用して隔壁を形成するので、簡便な方法によって画像表示媒体10を製造することができる。
この場合に、第1基板12における電気泳動媒体30と接触する面における、電気泳動媒体30を配置させるべき位置に、隔壁用媒体32より電気泳動媒体30に対してより親和性を有する第1表面処理層19bが設けられ、一方で、第1基板12における隔壁用媒体32と接触する面に、隔壁の形状に応じて、電気泳動媒体30より隔壁用媒体32に対してより親和性を有する第2表面処理層19aが配置されていることにより、電気泳動媒体30及び隔壁用媒体32を、それぞれ、第1表面処理層19b及び第2表面処理層19aの設けられた位置に選択的に配置させることができる。
さらに、隔壁用媒体32より電気泳動媒体30に対して親和性を示す表面を有する帯電粒子31を用いることにより、隔壁用媒体32により区画された電気泳動媒体30に分散された帯電粒子31が、隔壁用媒体32に移動したり、隔壁用媒体32を超えて他の電気泳動媒体32へ移動することが防止される。よって、画像表示媒体10において色ムラの発生やコントラストの低下などが防止され、画質の安定性が維持される。
次に、図7を参照して、第2実施例における画像表示媒体10について説明する。なお、この第2実施例において、上記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
第1実施例の画像表示10は、流動性物質である隔壁用媒体32のみによって隔壁が形成されるものであったが、第2実施例の画像表示媒体10は、図7に示すように、スペーサ粒子34を含む隔壁用媒体32により隔壁が形成されるものである。
第2実施例の画像表示媒体10は、スペーサ粒子34の存在により、一対の基板(第1基板12,第2基板13)間の距離が所定距離以上に保持される。よって、第1基板12又は第2基板13の表面に力が付加された場合であっても、その表面が過度に歪むことを確実に防止できるので、第1基板12又は第2基板13が破損することを確実に防止できる。特に、第1基板12及び第2基板13が可撓性を有するものである場合には、基板の弛みによって第1基板12と第2基板13とが接触されることを確実に防止できるので、画質劣化や画像表示媒体の破損を確実に防止することができる。
スペーサ粒子34は、ガラスなどの無機材料もしくはポリマー材料からなる所定の径の粒子である。スペーサ粒子34の表面は、電気泳動媒体30より隔壁媒体32に対してより親和性を示すもの、又は、そのような親和性を示すように処理されていることが好ましい。例えば、ポリマー粒子の表面に帯電粒子31の説明において列挙された親水性物質を付着させたり、その親水性物質によりポリマー粒子を被覆することなどによって得られたスペーサ粒子34が好ましい。その表面が電気泳動媒体30より隔壁媒体32に対してより親和性を示すスペーサ粒子34を用いることにより、スペーサ粒子34を隔壁媒体32に選択的に配置させることが容易となる。
次に、図8を参照して、第3実施例における画像表示媒体10について説明する。なお、この第3実施例において、上記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
第3実施例の画像表示媒体10は、図8に示すように、一端が第1基板12に固定され、第2基板13とは離間されている固定隔壁14が形成されたものである。固定隔壁14は、第1基板12と第2基板13との間の距離より薄く、1の画素に対応する形状(略矩形や略六角形などの多角形など)の貫通孔の設けられた板状のガラス又は樹脂などを、第1基板12上に固定するか、あるいは、感光性樹脂とフォトマスクを用いる公知の方法によって第1基板12上に形成するかなどの方法によって設けられる。なお、固定隔壁14は、電気泳動媒体30を明瞭に区画できるので、視認面となる第1基板12側に固定されるのが好ましい。
固定隔壁14の存在によって、一対の基板(第1基板12,第2基板13)間の距離を所定距離以上に保持できる上に、固定隔壁14が第2基板13とは離間されているので、可撓性を有する画像表示媒体10が撓曲されても、隔壁の破損が生じ難い。
また、図8に示すように、固定隔壁14と第2基板13との間の空間には、隔壁用媒体32が満たされている。よって、隔壁用媒体32の存在によって、電気泳動媒体30中に分散された帯電粒子31が他の領域の電気泳動媒体30に移動することを防止できる。よって、両端が基板に固定された従来の固体状の隔壁と同様の役割を果たすにもかかわらず、上記のように固定隔壁14と第2基板13とが離間されているので、画像表示媒体10が撓曲されても、隔壁の破損が生じ難い。
図8に示すように、第3実施例の画像表示媒体10において、固定隔壁14と離間されている第2基板13には、X電極12aに対応する位置に第1表面処理部19bが設けられ、固定隔壁14における第2基板13と対向する面に対応する位置に第2表面処理部19aが設けられている。第1表面処理部19b及び第2表面処理部19aの存在によって、固定隔壁14と第2基板13との間の空間に、隔壁用媒体32を選択的に配置させることができる。
図8に示すように、第2基板13側に表面処理部19を設ける場合には、媒体配置工程として、予め第1基板12とギャップスペーサ17と第2基板13とを組み立てたセルに、ディスペンサーなどを用いてエマルジョンEを注入する方法を用いることが好ましい。このように、予め組み立てられたセルにエマルジョンEを注入する方法を採用したとしても、固定隔壁14と第2基板13との間が離間されているので、エマルジョンEの注入が容易であり、電気泳動流体Dを各画素に均一に配置し得る。
なお、第2基板13側に表面処理部19を設けることに換えて、図示はしないが、第1基板12の保護層18におけるX電極12aに対応する位置に、第1表面処理部19bを設け、一方で、固定隔壁14における第2基板13と対向する側の面に、第2表面処理部19aを設けるようにしてもよい。この場合、第1表面処理部19bは、上記したような熱相変化型親水性ポリマーを用いる方法や、隔壁用媒体32より電気泳動媒体30に対してより親和性を有するポリマーを、ローラーなどを用いて塗布する方法などによって形成し、一方で、第2表面処理部19aは、電気泳動媒体30より隔壁用媒体32に対してより親和性を有するポリマーの溶液(例えば、隔壁用媒体32が水又は水溶液である場合には、ポリビニルアルコール溶液)を塗布することなどによって形成できる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施例では、画像表示媒体10に設けられた電極が単純マトリックス駆動方式のものであったが、各画素ごとに半導体のスイッチを設けて直接電圧をかける方式であるアクティブマトリックス駆動方式に適用させてもよい。
また、上記実施例では、表面処理部19は、片方の基板(第1基板12)にのみ設けるように構成したが、両方の基板(第1基板12及び第2基板13)に設けるようにしてもよい。また、第1基板12には第1表面処理部19aを設け、第2基板13には第2表面処理部19bを設けるなど、第1表面処理部19aと第2表面処理部19bとが別々の基板上に設けられるように構成してもよい。
また、本実施例では、表面処理部19は、視認面である第1基板12に設けるように構成したが、第2基板13に設けるように構成してもよい。
また、上記実施例では、第1基板12と第2基板13とにおける対向する側の面にX電極12a及びY電極13aが設けられるように構成したが、画像表示媒体10にX電極12a及びY電極13aを設けないように構成してもよい。この場合、X電極12a及びY電極13aに相当する一対の電極を本体20側に設け、表示装置1において、本体20側に設けられた一対の電極で、X電極12a及びY電極13aの設けられていない画像表示媒体10を挟み込むことによって画像を表示させるように構成すればよい。
また、上記実施例では、画像表示媒体10は、表示装置1の本体20とが分離可能であるものとして説明したが、画像表示媒体10が、本体20と一体的に構成されて表示装置1となっているものであってもよい。
また、上記実施例では、第1媒体30aが水又は水溶液であり、第2媒体30bが水に不溶な溶媒又はその溶媒を含む溶液であるものとして主に説明したが、少なくとも室温で相分離するものであれば、第1媒体30a及び第2媒体30bがいずれも水に不溶な溶媒又はその溶媒を含む溶液であってもよい。
また、上記実施例では、隔壁用媒体32により1の画素を囲む隔壁が形成されるように構成したが、隔壁用媒体32により複数の画素を囲む隔壁が形成されるものであってもよい。
また、上記第3実施例では、固定隔壁14が、1の画素を囲むように設けられているものとしたが、画像表示媒体10における表示領域内における画素を避けた位置に、部分的に島状に設けられていてもよい。この場合、固定隔壁14と固定隔壁14の設けられていない部分に満たされる隔壁用媒体32との両方によって隔壁が形成されて、それによって画素が区画される。