JP4590633B2 - 磁性アルミニウム複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、磁性アルミニウム複合体に関する。
アルミニウム又はアルミニウム合金は、軽量であるという利点の他、熱伝導性および電気伝導性に優れているため、多くの分野で利用されている。しかしながら、磁性を要する電気機器分野においては、アルミニウムは非磁性材料であるため用いられておらず、磁性を有する低炭素鋼や合金鋼が用いられているのが現状である。
一方でかかる電気機器分野においては、近年、電子機器の軽量化、小型化の要請が強く、電気機器部材の軽量化が求められている。
そこで、磁性を有するアルミニウムの複合体についての研究が行われている。例えば、特許文献1には、アルミニウムまたはアルミニウム合金と磁性材料から構成され、磁性材料がネットワーク構造を呈する磁性アルミニウム複合材料が開示されている。
特開平01−290734号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の磁性アルミニウム複合材料は、アルミニウム粉末と磁性材料粉末との粉末同士を混合して固化成形するため、磁性材料粉末を均一に分散させることが困難であり、十分な磁性を得ることは困難である。
また、上記特許文献1には、アルミニウム粉末と磁性材料粉末の粒子径については、なんらの規定もなされておらず、アルミニウム粉末又は磁性材料粉末の粒子径が大きい場合には、アルミニウム粉末又は磁性材料粉末が変形したり、割れたりすることにより、アルミニウム粉末又は磁性材料粉末を均一に分散させることが困難となる場合がある。このような磁性アルミニウム複合体は、十分な磁性を示せなくなる傾向にある。
一方、十分な磁性を得るために磁性アルミニウム複合体中の磁性材料の含有率を増加させる方法も考えられるが、この場合は磁性アルミニウム複合体の重量が大きくなり、上記軽量化の要請に応えることができない問題がある。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、軽量でかつ十分な磁性を示す磁性アルミニウム複合体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の磁性アルミニウム複合体は、アルミニウム又はアルミニウム合金と、磁性材料と、を含有する磁性アルミニウム複合体であって、磁性材料からなる粒子がアルミニウム又はアルミニウム合金中で分散しており、粒子の平均粒径が0.8〜5μmであることを特徴とする。
本発明の磁性アルミニウム複合体は、アルミニウム又はアルミニウム合金(以下「アルミニウム等」という。)中で分散させる磁性材料からなる粒子の平均粒径を5μm以下とすることにより、磁性材料を均一に分散させることができ、十分な磁性を示す磁性アルミニウム複合体とすることができる。
また、本発明の磁性アルミニウム複合体は、磁性材料を均一に分散させることにより、磁性材料の含有率を低減させても十分な磁性を示すことが可能となることから、磁性アルミニウム複合体を十分に軽量とすることができる。
さらに、かかる磁性アルミニウム複合体は、アルミニウム由来の特性を失うことなく、電気伝導性、熱伝導性、加工性に優れ、切削加工も可能である。したがって、本発明の磁性アルミニウム複合体は、用途に応じて所望の形状とすることが可能となる。
上記磁性アルミニウム複合体において、磁性材料がストロンチウムフェライトであり、磁性材料の含有率が、磁性アルミニウム複合体の全量を基準として、30体積%〜60体積%である。
上記磁性アルミニウム複合体は、磁性材料がストロンチウムフェライトであると、少ない含有率でも十分に磁性を示すことができる。また、ストロンチウムフェライトは安価であるため、容易に入手することが可能である。また、磁性材料の含有率が、磁性アルミニウム複合体の全量を基準として、上記範囲であると、磁性アルミニウム複合体は、十分に磁性を示すことができ、且つ軽量化をより図ることができる。
本発明の磁性アルミニウム複合体の製造方法は、磁性材料を押し固めて、磁性材料のプリフォームを形成するプリフォーム形成工程と、プリフォームに、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を、溶湯温度800℃以上で加圧鋳造により含浸させる溶湯含浸工程と、を備える。
この製造方法においては、プリフォームにアルミニウム等の溶湯(以下「アルミ溶湯」という。)を、溶湯温度800℃以上で加圧鋳造により含浸させるため、アルミ溶湯が磁性材料からなるプリフォームの内部にまで十分に浸透し、磁性材料がアルミ溶湯中に均一に分散された磁性アルミニウム複合体を製造することができる。したがって、得られる磁性アルミニウム複合体は、十分な磁性を示すこととなる。また、上記製造方法において、アルミ溶湯の温度を800℃以上とすることにより、歩留まりよくアルミニウム等と磁性材料との複合体を製造することが可能となる。
上記磁性アルミニウム複合体の製造方法において、溶湯含浸工程が、所定の金型に形成されたキャビティの特定部位にプリフォームを配置した後、該キャビティに溶湯を流入することにより、該溶湯をプリフォームに含浸させてなり、金型の温度が溶湯の温度よりも低く、かつ金型の温度と溶湯の温度との差が100℃〜200℃である。
このように金型を用いて磁性アルミニウム複合体を製造する場合において、金型の温度がアルミ溶湯の温度よりも低くすることにより、アルミニウム等が、金型を構成する金属、例えば鉄等と反応して磁性アルミニウム複合体中に不純物が含まれることを抑制することができる。
また、本発明によれば、金型の温度と溶湯の温度との差を100℃〜200℃とすることにより、アルミ溶湯が冷却され、プリフォームへの湯廻りが悪くなることを防止し、溶湯をより均一にプリフォーム内部にまで浸透させることができる。
本発明によれば、軽量でかつ十分な磁性を示す磁性アルミニウム複合体を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について更に詳細に説明する。
本発明の磁性アルミニウム複合体は、アルミニウム又はアルミニウム合金と、磁性材料と、を含有する磁性アルミニウム複合体である。
上記磁性アルミニウム複合体は、磁性材料を均一に分散させることができ、磁性材料の含有率を低減させることが可能である。したがって、軽量でかつ十分な磁性を示す磁性アルミニウム複合体とすることができる。
本発明の磁性アルミニウム複合体の密度は、3.5g/cm〜4.2g/cmであることが好ましい。磁性アルミニウム複合体の密度が、3.5g/cm未満であると、磁性アルミニウム複合体の密度が上記範囲にある場合と比較して、保磁力が弱くなる傾向にあり、4.2g/cmを超えると、磁性アルミニウム複合体の密度が上記範囲にある場合と比較して、磁性アルミニウム複合体の重量が大きくなりすぎ、軽量であるアルミニウムを用いる利点が失われてしまう傾向にある。
本発明の磁性アルミニウム複合体の硬度は、微小ビッカース硬度計による硬さ測定において、試料を機械研磨後、電解研磨にて鏡面とし、使用するダイヤモンド圧子の荷重を0.98N、保持時間15秒とした場合に、407.8HV〜615.1HVであることが好ましい。磁性アルミニウム複合体の硬度が、407.8HV未満であると、磁性アルミニウム複合体の硬度が上記範囲にある場合と比較して、磁性アルミニウム複合体の耐久性、耐磨耗性が低下する傾向にあり、磁性アルミニウム複合体の硬度が、615.1HVを超えると、磁性アルミニウム複合体の硬度が上記範囲にある場合と比較して、磁性アルミニウム複合体の加工性が低下する傾向にある。
本発明の磁性アルミニウム複合体の電気伝導度は、0.055×10−6Ωm〜1.12×10−6Ωmであることが好ましい。電気伝導度が上記範囲であると、本発明の磁性アルミニウム複合体は、マルテンサイト系ステンレス鋼と電気的特性を同等のものとすることができる。すなわち、本発明の磁性アルミニウム複合体は、ステンレスと同様に使用することが可能となる。また、電気伝導度が、1.12×10−6Ωmを超えると、電気伝導度が上記範囲である場合と比較して、磁性アルミニウム複合体が割れやすくなったり、脆くなる傾向にある。
本発明の磁性アルミニウム複合体の熱伝導性は、29W/km〜37.61W/kmであることが好ましい。熱伝導性が上記範囲であると、本発明の磁性アルミニウム複合体は、マルテンサイト系ステンレス鋼と熱的接合性を同等のものとすることができる。すなわち、本発明の磁性アルミニウム複合体と鉄鋼材料等との溶接による接合を想定した場合、熱の流出がなく、入熱を効率よく母材の溶解に消費できるため、良好な溶接が可能となる。
本発明に用いるアルミニウムにおいて、アルミニウムの純度は特に限定されない。例えば高純度アルミニウムであってもよく、低純度アルミニウムであってもよい。また、本発明において、アルミニウム自体は軟らかく、展伸性に優れるものであるが、用途により、例えば、強度を高めるなどの性質を改善したい場合には、種々の元素を加えたアルミニウム合金として使用することができる。このアルミニウム合金としては、特に限定されないが、アルミニウム−マンガン系合金、アルミニウム−シリコン系合金、アルミニウム−マグネシウム系合金、アルミニウム−銅−マグネシウム系合金、アルミニウム−マグネシウム−シリコン系合金、アルミニウム−亜鉛−マグネシウム系合金、アルミニウム−銅−シリコン系合金、アルミニウム−銅−マグネシウム−シリコン系合金等が挙げられる。
本発明に用いる磁性材料としては、硬質磁性材料や軟質磁性材料が挙げられる。硬質磁性材料としては、サマリウム−コバルト系、ネオジム−鉄−ホウ素系等の希土類焼結磁石、バリウム系、ストロンチウム系等のフェライト焼結磁石、ネオジム−鉄−ホウ素系、サマリウム−鉄−窒素系等のボンド磁石、鉄−クロム−コバルト系、鉄−マンガン系等の鋳造磁石等が挙げられ、軟質磁性材料としては、鉄−コバルト合金(パーメンジュール)等が挙げられる。
この中でも、ストロンチウム系、サマリウムーコバルト系、パーメンジュールを用いることが好ましい。これらの磁性材料を用いると、高い磁性が得られるという利点がある。また、ストロンチウム系は、汎用性に優れ、容易に入手可能であることからより好適に用いることができる。
本発明の磁性アルミニウム複合体において、上記磁性材料からなる粒子の平均粒径は、0.8〜5μmである。上記粒子の平均粒径が5μmを超えると、粒子が変形したり、割れたりすることにより、アルミニウム等中に磁性材料からなる粒子を均一に分散させることが困難となる。また、粒径が0.8μm未満であると、粒径が0.8μm以上である場合と比較して、高い保磁力を保つことが困難となる。さらに、アルミ溶湯を磁性材料に注入し、加圧鋳造により磁性アルミニウム複合体を製造する場合には、粒子の平均粒径が小さくなることから、粒子間の空隙が小さくなり、アルミ溶湯を磁性材料の粒子間に浸透させることが困難となる傾向にある。
また、上記磁性材料がストロンチウムフェライトであり、かつストロンチウムフェライトの粒径が0.8μm〜3.5μmであることが好ましい。この場合、磁性アルミニウム複合体(複合材インゴット)を熱間押出し、熱間圧延することにより棒材や板材への加工ができるようになるという利点がある。また、上記磁性材料がストロンチウムフェライトであり、かつストロンチウムフェライトの粒径が3.5μm〜5μmであることが好ましい。この場合、磁性アルミニウム複合体が高い保磁力を保つことが可能となる。さらに、アルミ溶湯をストロンチウムフェライトに注入し、加圧鋳造により磁性アルミニウム複合体を製造する場合において、アルミ溶湯を磁性材料の粒子間に浸透させることが容易となる。したがって、磁性アルミニウム複合体を容易に製造することが可能となる。
また、上記磁性材料の粒度分布は、5μm未満が30%、及び5μm以上が70%であることが好ましい。この場合、磁性アルミニウム複合体が高い保磁力を保つことができ、さらに、アルミ溶湯を磁性材料に注入し、加圧鋳造により磁性アルミニウム複合体を製造する場合において、アルミ溶湯が粒子間に浸透しやすくなり、良好な磁性アルミニウム複合体が製造できる。
また、上記磁性材料の形状は、特に限定されないが、球状であることが好ましい。磁性材料が球状であると、アルミニウム等中に磁性材料をより均一に分散させることが可能となる。
本発明の磁性アルミニウム複合体の磁性材料の含有率は、磁性アルミニウム複合体の全量を基準として、30体積%〜60体積%でる。磁性材料の含有率が60体積%を超えると、磁性材料の含有率が上記範囲内にある場合と比較して、アルミニウム等中に磁性材料を均一に分散させることが困難となり、磁性アルミニウム複合体自体の重量も大きくなる傾向にある。
また、磁性材料ストロンチウムフェライトであ、磁性材料の含有率は、磁性アルミニウム複合体の全量を基準として、30体積%〜60体積%である。このように磁性材料がストロンチウム系である場合、磁性材料の含有率が30体積%未満であると、含有率が上記範囲にある場合と比較して、磁性アルミニウム複合体の保磁力が弱くなる傾向にあり、磁性材料の含有率が60体積%を超えると、含有率が上記範囲にある場合と比較して、磁性アルミニウム複合体の軽量化を図ることが困難となる傾向にある。
なお、本発明の磁性アルミニウム複合体には、アルミニウム等と、磁性材料の他にもマグネシウムなどの比較的融点の低い金属、酸化チタン等の金属酸化物、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のケイ素化合物等を含有させることが可能である。この場合、モーターなどに使用した際のモーターの強度を増加させることができる。
こうして得られる本発明の磁性アルミニウム複合体は、磁性を有し、軽量であるのみならず、電気伝導性、熱伝導性、加工性にも優れるものとなる。したがって、本発明の磁性アルミニウム複合体は、モーター用磁石、電磁弁、磁気シールド材等の電子・電気機器部材として幅広く用いることができる。
次に、本発明の磁性アルミニウム複合体の製造方法について説明する。
本発明の磁性アルミニウム複合体の製造方法は、磁性材料を押し固め、プリフォームを形成するプリフォーム形成工程と、プリフォームに、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を、溶湯温度800℃以上で加圧鋳造により含浸させる溶湯含浸工程とを備える。
(プリフォーム形成工程)
プリフォーム形成工程は、磁性材料を押し固め、磁性材料を一定の形状を有する成形体とする工程である。
図1は、プリフォームを製造する工程図である。まず、図1に示すように、磁性材料1を筒状のプリフォーム作成用容器2に充填し、その上からシリンダ3をプリフォーム作成用容器に挿入して該磁性材料1を押し固めることにより、磁性材料1のプリフォームを形成する。この押し固めるときの圧力は、4×10−3MPa〜6×10−3MPaが好ましい。押し固めるときの圧力が、4×10―3MPa未満であると、押し固めるときの圧力が上記範囲にある場合と比較して、アルミ溶融をプリフォームに含浸させる場合に、プリフォームの強度が弱いため、アルミ溶融の圧力でプリフォームが分断して、プリフォームを構成する磁性材料粒子が偏在してしまう傾向にある。また、押し固めるときの圧力が6×10―3MPaを超えると、押し固めるときの圧力が上記範囲にある場合と比較して、アルミ溶融をプリフォームに含浸させる場合に、プリフォームの強度が強いため、換言すると、プリフォームを構成する磁性材料粒子間の密着性が強すぎるため、アルミ溶湯が粒子間の空隙に入り込めなくなり、アルミニウム等とプリフォーム(磁性材料)との複合化が困難となる傾向にある。なお、形成されるプリフォームの形状は特に限定されない。
(溶湯含浸工程)
溶湯含浸工程は、上述のようにして得られた磁性材料1のプリフォーム1aに、アルミ溶湯を含浸させる工程である。なお、このアルミ溶湯は、アルミニウム等を加熱し溶融させることにより、得ることができる。
図2は、プリフォームに溶湯を含浸させる溶湯含浸装置を示す模式断面図である。図2に示すように、溶湯含浸装置10は、キャビティ11を有する金型12を、電気炉13に設置したものである。この金型12のキャビティ11に、上述したプリフォーム1aを配置する。さらに、キャビティ11内において、該プリフォーム1aの上部には、溶湯が浸透可能な黒鉛内蓋14を配置し、当該黒鉛内蓋14の上部には、絞り板15を配置する。
そして、予め金型12を電気炉13で十分に加熱した後、絞り板15の上部に十分に加熱したアルミ溶湯16を注入する。そして、黒鉛外蓋17で上記キャビティ11に蓋をし、キャビティ11内部を密封する。
このような配置とした後、黒鉛外蓋17を図示しない高圧鋳造用の油圧プレス機等により押圧することにより、アルミ溶湯16が、黒鉛内蓋14及び絞り部15により、黒鉛内蓋14と、キャビティ11の内壁面11bとの間を伝って浸入する。すなわち、上記黒鉛内蓋14と絞り部15は、アルミ溶湯16がプレフォーム1aの周りから内側に向かって均一に浸透するように規制するために設けられている。こうしてプリフォーム1aは、アルミ溶湯16に含浸された状態となる。
このとき、黒鉛外蓋17を押圧する圧力は、2MPa〜5MPaであることが好ましい。押圧する圧力が、2MPa未満であると、押圧する圧力が上記範囲にある場合と比較して、アルミ溶融をプリフォームに含浸させる場合に、アルミ溶湯がプリフォームを構成する磁性材料粒子間の空隙に入り込めなくなり、アルミニウム等とプリフォーム(磁性材料)との複合化が困難となる傾向にある。また、押圧する圧力が、5MPaを超えると、押圧する圧力が上記範囲にある場合と比較して、アルミ溶融をプリフォームに含浸させる場合に、押圧する圧力が強すぎるため、アルミ溶湯がプリフォーム中に含浸するよりも、金型と金型上部に置いた黒鉛外蓋との隙間から噴出してしまう場合がある。
また、上述の黒鉛外蓋17を押圧する際には、金型12を金型12の温度が低下しないように電気炉13で加熱しながら押圧することが好ましい。金型を加熱しながら押圧すると、金型が冷えるのを抑制することができることから、アルミ溶湯が固まり、プリフォームへの湯廻りが悪くなることを防止することができる。
そして、金型12を冷却することにより、磁性アルミニウム複合体を得ることができる。この金型12を冷却する手段は、水冷等による強制冷却でもよく、放冷等による自然冷却でもよい。また、金型12の下側にシールジャケット18等を設け、金型の下側から冷却することが好ましい。この場合、アルミニウム中の粒子の分布を所望の分布状態に制御できるという利点がある。なお、冷却は、上記押圧と同時に行うことも可能である。
このとき、用いるアルミ溶湯16の温度は、800℃以上であることが好ましく、830℃〜870℃であることがより好ましい。アルミ溶湯の温度が800℃未満であると、アルミ溶湯の温度が800℃以上である場合と比較して、磁性材料1のプリフォーム1aをアルミ溶湯16に十分に含浸させることが困難となり、アルミニウム複合体が得られない場合がある。
また、上記金型12を加熱したときの金型12の温度は、アルミ溶湯16の温度よりも低いことが好ましい。金型12を加熱したとき金型12の温度が、アルミ溶湯16の温度よりも高いと、アルミニウム等が金型12を構成する金属、例えば鉄等と反応し、磁性アルミニウム複合体に不純物が含まれる場合がある。
さらに、上記金型12の温度と上記アルミ溶湯16の温度との差が100℃〜200℃であることが好ましく、140℃〜160℃であることがより好ましい。上記温度の差が100℃未満であると、温度の差が上記範囲にある場合と比較して、アルミニウム等が金型12を構成する金属、例えば鉄等と反応し、磁性アルミニウム複合体に不純物が含まれる傾向にあり、上記温度の差が200℃を超えると、温度の差が上記範囲にある場合と比較して、アルミ溶湯16が冷却され、プリフォームへの湯廻りが悪くなる傾向にある。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、金型12を加熱する装置は、電気炉13に限定されず、ガスバーナー、高周波誘導加熱炉等を用いることができる。また、黒鉛外蓋17を押圧する装置も高圧鋳造用の油圧プレス機に限定されず、サーボモータや水圧ポンプ等を用いることができる。
なお、金型12の材質は、本発明の磁性アルミニウム複合体を製造する過程において、金型12とアルミ溶湯16とで金属間化合物を形成しないものであれば特に限定されない。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<プリフォームの形成>
図1に示すプリフォーム作成用容器2を用いてプリフォームの形成を行った。まず、平均粒径3.5μm、真密度5.05mg/mのストロンチウムフェライト仮焼粉末((株)NEOMAX社製)55gを円柱形状の収容部を有するプリフォーム作成用容器に充填した。そして、この収容部に対応する形状のシリンダを用いて4×10−3MPaで押し固めることにより、直径が30mmで高さが47mmの円柱形状のプリフォームを形成した。
<溶湯の作製>
純度99.99%のアルミニウム地金250g((株)住友金属社製)を加熱溶融し、溶湯温度850℃の溶湯とした。
<磁性アルミニウム複合体の作製>
図2に示す溶湯含浸装置10を用いてプリフォームをアルミ溶湯に含浸させた。すなわち、キャビティに上記プリフォームを収容し、黒鉛内蓋、絞り板を入れ、金型の温度が700℃になるまで加熱した。そして、金型の温度が700℃に到達したら、上記アルミニウムの溶湯(850℃)を注ぎ、黒鉛外蓋で密封し、上部より高圧鋳造用の油圧プレス機にて押圧(4.5MPa)してプリフォーム中にアルミ溶湯を2分間浸透させた。
そして、冷却水にて金型の下側からシールジャケットを用いて冷却することにより、アルミニウムを固化させ、磁性アルミニウム複合体とした。得られた磁性アルミニウム複合体の物性を下記表1に示す。
(実施例2)
<プリフォームの形成>
図1に示すプリフォーム作成用容器2を用いてプリフォームの形成を行った。まず、平均粒径3.5μm、真密度5.05mg/mのストロンチウムフェライト仮焼粉末((株)NEOMAX社製)55gを円柱形状の収容部を有するプリフォーム作成用容器に充填した。そして、この収容部に対応する形状のシリンダを用いて6×10−3MPaで押し固めることにより、直径が30mmで高さが47mmの円柱形状のプリフォームを形成した。
その他の工程は、実施例1と同様にして、磁性アルミニウム複合体とした。得られた磁性アルミニウム複合体の物性を下記表1に示す。
Figure 0004590633
(磁性アルミニウム複合体の評価)
<外観>
実施例1で得られた磁性アルミニウム複合体を目視にて評価した。実施例1にかかる磁性アルミニウム複合体の外観を図3に示す。
図3に示すように、本発明による磁性アルミニウム複合体は、磁性材料が均一にアルミニウム中に分散されている。
<磁性アルミニウム複合体の磁気測定>
実施例1で得られた磁性アルミニウム複合体を1×1×1(mm)の試料とし、温度−268℃及び27℃の環境下で、試料の外部に磁場を加え、そのときの試料の磁化を物理特性測定システム(PPMS、カスタムデザイン社製)で測定した。得られた結果を図4に示す。なお、縦軸は磁化を示し、横軸は外部磁場を示す。
<磁性アルミニウム複合体の電気抵抗率の測定>
実施例1で得られた磁性アルミニウム複合体を1×1×1(mm)の試料とし、この試料に1mAの電流を流し、そのときの電圧より電気抵抗率を物理特性測定システム(PPMS、カスタムデザイン社製)で測定した。得られた結果を図5に示す。なお、縦軸は電気抵抗率を示し、横軸は試料温度を示す。
<磁性アルミニウム複合体の熱伝導率の測定>
実施例1で得られた磁性アルミニウム複合体を1×1×1(mm)の試料とし、この試料に一定の熱量を与え、そのときの温度変化により、熱伝導率を物理特性測定システム(PPMS、カスタムデザイン社製)で測定した。得られた結果を図6に示す。なお、縦軸は熱伝導率を示し、横軸は試料温度を示す。
<磁性アルミニウム複合体の熱電能の測定>
実施例1で得られた磁性アルミニウム複合体を1×1×1(mm)の試料とし、この試料に温度変化を加え、そのときの電圧の変化量により、熱電能を物理特性測定システム(PPMS、カスタムデザイン社製)で測定した。得られた結果を図7に示す。なお、縦軸は熱電能を示し、横軸は試料温度を示す。
以上より、本発明によれば、アルミニウム由来の特性を失うことなく、軽量でかつ十分な磁性を示す磁性アルミニウム複合体が得られることが確認された。
図1は、プリフォームを製造する工程図である。 図2は、プリフォームに溶湯を含浸させる溶湯含浸装置を示す模式断面図である。 図3は、実施例1における磁性アルミニウム複合体の外観である。 図4は、実施例1における磁性アルミニウム複合体の磁気測定の結果を示すグラフである。 図5は、実施例1における磁性アルミニウム複合体の電気抵抗率を示すグラフである。 図6は、実施例1における磁性アルミニウム複合体の熱伝導率を示すグラフである。 図7は、実施例1における磁性アルミニウム複合体の熱電能を示すグラフである。
符号の説明
1・・・磁性材料、1a・・・プリフォーム、2・・・プリフォーム形成用容器、3・・・シリンダ、10・・・溶湯含浸装置、11・・・キャビティ、11b・・・内壁面、12・・・金型、13・・・電気炉、14・・・黒鉛内蓋、15・・・絞り版、16・・・アルミ溶湯、17・・・黒鉛外蓋。

Claims (2)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金と、磁性材料と、を含有し、前記磁性材料がストロンチウムフェライトである磁性アルミニウム複合体であって、
    前記ストロンチウムフェライトからなる粒子が前記アルミニウム又はアルミニウム合金中で分散しており、
    前記粒子の平均粒径が0.8〜5μmであり、
    前記ストロンチウムフェライトの含有率が、前記磁性アルミニウム複合体の全量を基準として、30体積%〜60体積%であることを特徴とする磁性アルミニウム複合体。
  2. 磁性材料を押し固めて、前記磁性材料のプリフォームを形成するプリフォーム形成工程と、
    所定の金型に形成されたキャビティの特定部位に前記プリフォームを配置した後、該キャビティにアルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を、溶湯温度800℃以上で流入し、該溶湯を加圧鋳造により前記プリフォームに含浸させる溶湯含浸工程と、
    を備え、
    前記溶湯含浸工程において、前記金型の温度が前記溶湯の温度よりも低く、かつ前記金型の温度と前記溶湯の温度との差が100℃〜200℃であることを特徴とする、請求項1に記載の磁性アルミニウム複合体の製造方法。
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