以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。それぞれの図面において、鉛直方向をZ方向とし、このZ方向に垂直な面をXY平面として定義する。なお、X方向とY方向は互いに垂直である。それぞれの図面において同一符号で示される方向は、同一方向を示すものとする。
図1は、本発明の実施形態に係る基板保持装置10の全体構成を示す正面図である。基板保持装置10は、フレーム11及び基板保持調整機構12を備えて構成されている。基板保持装置10は、例えば、基板の検査装置に設けられ、検査対象である基板を保持する装置である。基板保持装置10は、例えば、マスクに形成されたパターンを検査するマスク検査装置に適用することができる。検査装置においては、基板保持装置10に保持された基板13に対して、検査ヘッド7をY方向(矢印の方向)に相対移動させて基板13上に形成されたパターンを順次撮像していく。例えば、検査ヘッド7の位置(Z方向)を固定した状態で、基板13をY方向に移動させる。これにより、検査ヘッド7によって基板13のY方向の一端から他端までが撮像される。その後、検査ヘッド7のZ方向の位置を変え、検査ヘッド7の位置を固定する。そして、再び基板13をY方向に移動させる。このように、検査ヘッド7を固定し、基板13をY方向に移動させる動作を繰り返し、基板13に形成されたパターンを検査ヘッド7によってスキャンしていく。また、基板13の位置は移動させずに、基板13に対して平行に検査ヘッド7を二次元に移動させるよう構成してもよい。
保持される基板13は、矩形状に形成されている。基板13は、例えば、ガラス基板上にマスクパターンが形成されたフォトマスクである。フレーム11は、鉛直に保持された基板13の外周を囲むよう、枠状に形成されている。フレーム11及び基板13は、ZY平面に平行であり、フレーム11の正面側に基板13が配されている。フレーム11の側辺は、ZY平面において、一部が基板13の側縁と重複するよう配されている。例えば、マスクパターンが形成されたパターン形成領域の外側において、フレーム11と基板13が重複している。なお、基板13は、立てた状態であれば必ずしも厳密に鉛直保持されている必要はない。フレーム11の下方には、基板保持調整機構12が設置されている。基板保持調整機構12は、基板13の下辺を支持することで、基板13を保持するよう構成されている。フレーム11は、基板保持調整機構12によって支持された基板13の両側の側辺を補助的に支持する。フレーム11は、基板13のX方向の位置を規制するよう構成されている。
フレーム11は、複数のロック付シリンダ14を備えている。ロック付シリンダ14は、基板13の側辺と対向するフレーム11の両側に設けられている。ロック付シリンダ14は、基板13を両側から保持するよう構成されている。ロック付シリンダ14は、複数設けられ、Z方向に等間隔に並んで配されている。ロック付シリンダ14は、基板13のX方向及びY方向の位置を規制する側辺保持具であり、基板13の正面側の位置を規制している。すなわち、ロック付シリンダ14で基板13の側辺を保持することにより、基板13が前方に倒れるのを防いでいる。ロック付シリンダ14は、シリンダ内部のエアの状態により基板13の支持状態が異なる。
基板保持調整機構12は、フレーム11の下方に固定されて配置されている。基板保持調整機構12は、基板13の下辺を複数の支持点によって支持している。基板保持調整機構12は、荷重分散機構8、及びスキュー調整機構9を備えている。荷重分散機構8は、基板13の荷重を分散する機構である。これにより、複数の支持点によって均一の力で基板13を保持することができる。また、スキュー調整機構9は、X方向を回転軸とした基板13のθ方向の回転を制御する機構である。スキュー調整機構9は、基板を回転させることによって、基板上に形成されたパターンが水平方向及び鉛直方向に平行に配列されるよう調整することができる。
荷重分散機構8は、保持ユニット17、連結部材18、及びアクチュエータ19、30を備えている。保持ユニット17は、複数個ある。隣接する保持ユニット17は、その一部が連結部材18によって連結されている。保持ユニット17は、Y方向に等間隔に並ぶよう配置されている。保持ユニット17は、上面において基板13の下辺と接するよう構成されている。保持ユニット17の基板13との接触面には、弾性部材26が設けられている。弾性部材26としては、例えば、樹脂を用いることができる。弾性部材26は、基板13との接触によって基板13に欠損が生じるのを防ぐ。また、弾性部材26は、基板13の形状に沿って変形することで、基板13に沿った形状で基板13を支持することができる。保持ユニット17の一部は、例えば、ボルト(図示せず)によって背面側のフレーム11に固定されている。
スキュー調整機構9は、荷重分散機構8の下に配されている。スキュー調整機構9は、図示しない支持ブロックと、保持ユニット17によって構成されている。すなわち、スキュー調整機構9の一部が、荷重分散機構8として構成されている。
次に、荷重分散機構8及びスキュー調整機構9の詳細な構成について説明する。図2(a)は、基板保持調整機構12の更に詳細な構成を示す斜視図である。図2(b)は、連結部材18の詳細な構成を示す正面図である。基板保持調整機構12は、フレーム11に固定接続されている。基板保持調整機構12は、荷重分散機構8及びスキュー調整機構9を備えている。フレーム11は、ZX断面においてL字形状をしている。ZX断面においてX方向に延びる台座部材11aの上には、スキュー調整機構9が設置され、更にその上に荷重分散機構8が設置されている。
スキュー調整機構9は、支持ブロック15、保持ユニット17及びアクチュエータ20を備えて構成されている。支持ブロック15は、複数個形成され、Y方向に等間隔に配されている。複数の支持ブロック15は、底面が基礎ブロック16に接続されている。この基礎ブロック16及び複数の支持ブロック15は、一体形成することができる。アクチュエータ20は、基礎ブロック16に取り付けられ、基礎ブロック16をY方向にスライド移動させるよう構成されている。これにより、各支持ブロック15は、フレーム11に対して同じ変位量dyでY方向にスライド移動することとなる。
アクチュエータ20は、例えば、ボールネジとこれを駆動するモーター等によって構成することができる。支持ブロック15は、保持ユニット17に対応する位置にそれぞれ設けられている。すなわち、保持ユニット17の直下に支持ブロック15が配置される。支持ブロック15の上面は、保持ユニット17を支持する支持面15aである。それぞれの支持ブロック15の支持面15aは、一定角度の傾斜を有している。支持面15aの斜面は、支持ブロック15毎にその傾斜角度が異なるよう構成されている。支持ブロック15の正面側には、この斜面に沿った溝15bが形成されている。なお、支持ブロック15の詳細な構成については後述する。
荷重分散機構8は、スキュー調整機構9の保持ユニット17に適用されている。荷重分散機構8は、保持ユニット17、連結部材18、及びアクチュエータ19を備えて構成されている。保持ユニット17は、Y方向に並んで配され、支持ブロック15に対応する位置にそれぞれ設けられている。複数の保持ユニット17は、全て同じ構成を有している。隣接する保持ユニット17の一部は、弾性的に変位する連結部材18によって連結されている。
保持ユニット17は、それぞれベースブロック21、くさびブロック22及びコンタクトブロック23を備えている。ベースブロック21、くさびブロック22及びコンタクトブロック23は、下から順に積層され、それぞれの部材同士は固定接続されていない。後述するように、下層のベースブロック21及び上層のコンタクトブロック23は、ガイドブロック24(図1)によってY方向の位置が固定されている。これに対し、くさびブロック22は、Y方向に変位することができる。すなわち、くさびブロック22は、ベースブロック21及びコンタクトブロック23に対してY方向に変位することができる。それぞれのくさびブロック22には、Y方向の一端から他端まで貫通する穴が形成されている。連結部材18は、複数のくさびブロック22に形成された穴を−Y方向のくさびブロック22から+Y方向のくさびブロック22まで貫通するように配されている。
図2(b)に、連結部材18の詳細な構成を示す。連結部材18は、リンク部材18a、関節部材18b、バネ18c及び円板部材18dを備えている。リンク部材18aは、棒状の部材であり、1本のリンク部材18aが1つのくさびブロック22に対応している。リンク部材18aは、くさびブロック22に形成された穴を貫通するよう配される。隣接するリンク部材18a同士は、関節部材18bによって連結されている。関節部材18bは、隣接するくさびブロック22の間に配される。リンク部材18aは、枢軸18eを介して関節部材18bに接続されている。関節部材18bは、リンク部材18aに対して枢軸18dを中心として回転可能である。これにより、関節部材18bは、両側に接続されたリンク部材18aのY方向の位置に関わらず両側のリンク部材18aを連結することができる。すなわち、関節部材18bは、両端に接続されたリンク部材18aのY方向の位置の差を吸収するよう構成されている。このように関節部材18bによって連結されたリンク部材18aは、−Y方向の端がアクチュエータ19に接続されている。
円板部材18dは、リンク部材18a毎に設けられ、リンク部材18aに固定接続されている。連結されたリンク部材18aがアクチュエータ19によって−Y方向に引っ張られると、すべての円板部材18dは、ほぼ同じ変位量で−Y方向に変位する。バネ18cは、くさびブロック22毎に設けられている。バネ18cは、−Y方向の端がくさびブロック22に接続され、+Y方向の端が円板部材18dに接続されている。すべての円板部材18dは、ほぼ同じ変位量で−Y方向に変位するため、すべてのバネ18cは円板部材18dからほぼ同じ力(N2)で−Y方向から押される。これによって、リンク部材18aがアクチュエータ19によって−Y方向に引っ張られると、バネ18cに接続されたくさびブロック22についても、バネ18cからほぼ同じ力(N2)で−Y方向に打ち込まれることとなる。このような構成により、連結部材18は、各くさびブロック22を打ち込む方向(−Y方向)に均一な力を負荷することができる。
連結部材18の−Y方向の端は、アクチュエータ19に接続されている。アクチュエータ19は、保持する基板13の重さに応じて連結部材18を−Y方向に引っ張ることで、複数のくさびブロック22に均一な力(N2)を加えるよう構成されている。アクチュエータ19は、例えば、ボールネジと、これを駆動するモーター等によって構成することができる。一方、連結部材18の+Y方向の端は、エアシリンダ6に接続されている。エアシリンダ6は、連結部材18を+Y方向に力Fで引っぱるよう構成されている。エアシリンダ6が連結部材18を+Y方向に一定の力Fで引っ張ることで、チェーン状に連結された連結部材18が、部材が連結された連結部分で撓むのを防止している。なお、エアシリンダ6に代わりにバネ定数の小さなバネを設け、連結部材18を+Y方向に引くよう構成してもよい。
ここで、アクチュエータ19によってくさびブロック22がベースブロック21及びコンタクトブロック23との間に引き抜かれた(+Y方向に移動した)後では、くさびブロック22の位置を所定の位置までリセットする必要がある。引き抜かれたくさびブロック22の位置をリセットする際には、くさびブロック22を−Y方向に打ち込まなければならない。そのため、くさびブロック22の位置をリセットするための構成として、荷重分散機構8には、更にアクチュエータ30が設けられている(図1)。アクチュエータ30は、連結された連結部材18の+Y側の端に接続されている(図2(b))。アクチュエータ30は、ボールネジとこれを駆動するモーターによって構成することができる。アクチュエータ30は、エアシリンダ6が所定の力で連結部材18を+Y方向に引っ張る力Fに反して、一気に連結部材18を押し込むことで、くさびブロック22を−Y方向に打ち込む。これにより、エアシリンダ6によって連結部材18を撓ませない状態で、アクチュエータ30によってくさびブロック22を所定の位置まで−Y方向に打ち込むことができる。
図2(a)に示すように、それぞれの保持ユニット17は、Z方向に積層された3つのブロックを備えている。それぞれのブロックの間には、潤滑油が介され、ブロック間の摩擦力が任意に調整されている。保持ユニット17は、下から順に、ベースブロック21、くさびブロック22、及びコンタクトブロック23を備えて構成されている。ベースブロック21は、支持ブロック15側に突出した部材を有し、この部材の底面において支持ブロック15の支持面15aと接している。すなわち、保持ユニット17は、支持ブロック15によって面保持されている。ベースブロック21の上面には、くさびブロック22が配されている。くさびブロック22の上面は、一端から他端までの高さ(Z方向の厚み)が次第に変化するよう形成されている。Z方向におけるくさびブロック22の厚みは、+Y側にいくにしたがって厚くなるよう形成されている。従って、すべてのくさびブロック22は、+Y側の端の厚みが最も厚く、−Y側の端の厚みが最も薄い。例えば、くさびブロック22は、傾斜が(Y方向:Z方向=10:1)となるよう形成されている。
隣接する保持ユニット17のくさびブロック22は、連結部材18のバネ18cによって連結されている。連結されたくさびブロック22は、アクチュエータ19によって−Y側に一斉に引き抜かれる。これにより、それぞれのくさびブロック22に、アクチュエータ19によって均一な−Y方向の外力が加えられる。なお、くさびブロック22は、必ずしも連結されている必要はなく、バネ18cの代わりにくさびブロック22毎にアクチュエータを設け、すべてのくさびブロック22を−Y側に移動させる力を発生させてもよい。
コンタクトブロック23は、くさびブロック22の上面に配されている。コンタクトブロック23は、くさびブロック22と接する面が、くさびブロック22の斜面に沿った形状をしている。すなわち、くさびブロック22の傾きが(Y方向:Z方向=10:1)であれば、コンタクトブロック23の底面は、(Y方向:Z方向=10:−1)の傾斜を有している。くさびブロック22の上面は、Y方向の位置に応じて高さが変化するよう構成されているため、コンタクトブロック23がくさびブロック22の上をY方向にスライドすると、これに伴ってコンタクトブロック23の上面の高さも変化する。くさびブロック22がコンタクトブロック23に対して−Y側に移動すると、コンタクトブロック23の高さが上方(dz)に移動する。一方、くさびブロック22がコンタクトブロック23に対して+Y側にスライド移動すると、コンタクトブロック23の高さが下方(−dz)に移動する。ただし、dz≧0とする。すなわち、くさびブロック22のY方向の移動(dy)が、コンタクトブロック23のZ方向の移動(dz)に変換される。
ベースブロック21及びコンタクトブロック23は、上方から見た外形が同じ形状に形成されている。ベースブロック21及びコンタクトブロック23の左右両側面は、テーパー状に形成されている。ベースブロック21及びコンタクトブロック23は、Y方向の両側が正面から背面になるに従って厚みが増えるような斜面を有している。図3に示すように、保持ユニット17は、更に、このベースブロック21及びコンタクトブロック23の斜面を保持するガイドブロック24を有している。ガイドブロック24は、ベースブロック21及びコンタクトブロック23の上下方向の移動をガイドするよう構成されている。なお、このベースブロック21、くさびブロック22及びコンタクトブロック23の上下方向の移動については後述するものとする。
図4は、保持ユニット17のXY断面図である。ガイドブロック24は、ベースブロック21及びコンタクトブロック23の斜面に接する斜面を有し、この斜面において、ベースブロック21及びコンタクトブロック23を背面側に押さえつけるよう構成されている。ガイドブロック24は、例えば、背面側のフレーム11にボルト25Bによって固定接続されている。これにより、くさびブロック22以外の保持ユニット17は、X方向及びY方向の位置がガイドブロック24によって規制されることとなる。なお、ガイドブロック24は、保持ユニット17のZ方向の位置は規制しておらず、コンタクトブロック23は上下方向にスライド移動することができる。一方、くさびブロック22は、ガイドブロック24によってY方向の位置が規定されておらず、保持ユニット17の本体(ベースブロック21、コンタクトブロック23等)に対してY方向にスライド移動可能に設置されている。
図5は、保持ユニット17のXY断面図である。保持ユニット17は、支持ブロック15の上に設置されている。保持ユニット17は、下から順にベースブロック21、くさびブロック22、及びコンタクトブロック23が重ねられて配されている。それぞれのブロックは、係止片によってZ方向において連結されている。保持ユニット17は、ベース側係止部材27を備えている。ベース側係止部材27は、保持ユニット17の正面側に配される。ベース側係止部材27は、支持ブロック15、ベースブロック21及びくさびブロック22が互いにZ方向に離散しないようZ方向の位置を規制する。ベース側係止部材27は、背面側に突出する、第1係止片27a、第2係止片27b、及び固定接続部27cを備えて構成されている。固定接続部27cは、ベースブロック21本体に固定接続されている。これにより、ベース側係止部材27は、ベースブロック21と一体動作する。
第1係止片27aは、支持ブロック15側に突出するよう形成されている。第1係止片27aは、くさびブロック22の正面側に形成された溝22aにスライド可能に係合する。すなわち、第1係止片27aは、ベースブロック21に対して支持ブロック15をスライド可能な状態で、支持ブロック15がベースブロック21とZ方向に離散しないよう規制する。第2係止片27bは、正面側において、くさびブロック22側に突出するよう形成されている。第2係止片27bは、くさびブロック22に形成された正面側の溝22aに係合し、くさびブロック22をベースブロック21に対してY方向にスライド可能な状態で、Z方向において離散しないよう規制する。
保持ユニット17は、同様に、くさびブロック22とコンタクトブロック23をZ方向に離散しないよう規制するコンタクト側係止部材28を備えている。コンタクト側係止部材28は、保持ユニット17の背面側に取り付けられている。コンタクト側係止部材28は、固定接続部28a、及び係止片28bを有している。固定接続部28aは、コンタクトブロック23に埋め込まれ、コンタクトブロック23に固定接続されている。これにより、コンタクトブロック23とコンタクト側係止部材28とは一体動作することとなる。係止片28bは、背面側において、くさびブロック22側に突出するよう形成されている。係止片28bは、くさびブロック22の背面側に形成された溝22bに係合するよう構成されている。コンタクト側係止部材28は、くさびブロック22をコンタクトブロック23に対してスライド移動可能な状態で、かつZ方向に離散しないよう規制する。
このように、ベース側係止部材27、及びコンタクト側係止部材28は、支持ブロック15、ベースブロック21、くさびブロック22、及びコンタクトブロック23のそれぞれがZ方向に離散しないよう、且つ、くさびブロック22及び支持ブロック15が、ベースブロック21及びコンタクトブロック23に対してスライド移動可能に規制している。また、保持ユニット17の正面側には、カバー29が設けられ、それぞれのブロックの接合面を保護している。
図6は、保持ユニット17の上面部分を示すYZ平面図である。図6に示すように、保持ユニット17は、基板13に接する上面に弾性部材26が形成されている。この弾性部材26は、上に凸のR形状を有している。従って、弾性部材26は、Y方向の中央で最も高く、両端が最も低い。弾性部材26のX方向の厚みは、均一に構成されている。なお、弾性部材26は、上に凸の球面を有するよう構成することもできる。保持ユニット17は、このR形状の弾性部材26によって基板13を支持することにより、基板13を点支持することができる。これにより、支持点からの応力によって生じる基板13のひずみを低減することができる。また、前述したように、弾性部材26は、基板13の形状に沿って変形するため、基板13のY方向に加わるストレスを低減させることができる。このように、基板13の支持部分を、R形状及び弾性部材26を組み合わせて構成することにより、基板13に生じるひずみを低減したまま、弾性部材26の変形により安定して基板13に沿って保持することができる。
次に、スキュー調整機構9の動作について説明する。スキュー調整機構9では、支持ブロック15のY方向の変位量dyを、各支持点となる保持ユニット17のZ方向の変位量dzに変換するよう構成されている。図7は、支持ブロック15の全体構成を示すXY平面図である。図7では、説明の簡略化のため、5個の支持ブロック15を図示している。しかしながら、支持ブロック15の数はこれに限定されるものではなく任意の数の支持ブロック15を設けることができる。前述したように複数の支持ブロック15は、底面において基礎ブロック16に接続されている。支持ブロック15は、支持面15aがXY平面に対して傾斜角を有している。この斜面の傾斜角度は、それぞれの支持ブロック15で異なるよう形成されている。
中央の支持ブロック15は、支持面15aがXY平面に平行に形成されている。この中央の支持ブロック15の斜面の傾きを0とすると、複数の支持ブロック15は、−Y側から+Y側なるに従って支持面15aの傾斜角度が減少するよう構成されている。具体的には、隣接する支持ブロック15は、例えば、1°ずつ傾斜角度が異なるよう構成されている。具体的には、支持ブロックの傾斜角度は、中央の支持ブロック15の傾きを0°とすると、{+2°、+1、0、−1、−2}となるよう形成されている。すなわち、中央の支持ブロック15から+Y側の支持ブロック15になるにしたがって、斜面の傾斜角度が所定の角度ずつ増加する一方、中央の支持ブロック15から+Y側の支持ブロック15になるにしたがって傾斜角度が所定の角度ずつ減少している。
それぞれの支持ブロック15では、中央の支持ブロック15の支持面15aは水平(XY平面に平行)に形成され、中央よりも−Y側の支持ブロック15では−Y側の支持面15aの位置が高く、+Y側の支持ブロック15では、+Y側の支持面15aの位置が高い。換言すると、支持ブロック15の斜面は、中央の支持ブロック15に対して、左右対称に形成されている。それぞれの支持ブロック15の上には、同じ構成の保持ユニット17がそれぞれ配される。支持ブロック15は、保持ユニット17に対してY方向に移動することにより、それぞれの保持ユニット17の高さを変化させる。これにより、基板13の支持位置が変化し、スキュー調整を行うことができる。
次に、このように構成されたスキュー調整機構9の具体的な動作について説明する。保持対象となる基板13は、基板13の製造精度や基板13の材質による特性等により、必ずしも厳密な矩形ではない。例えば、基板13の底辺が図8に示すように、+Y側になるに従って、Z方向の幅が広くなっているような場合には、底辺に沿って基板13を保持した場合、基板13に形成されているパターン13aは、フレーム11に対して+θだけ傾いた状態で保持されることとなる。スキュー調整機構9は、このように、フレーム11に対して基板13の底辺が傾いて設置されたような場合に、基板13を多点保持したまま、X方向を回転軸として基板13を回転させるよう構成されている。このスキュー調整によって、検査ヘッド7(図1)に対して基板13上に形成されたパターン13aが水平となるよう調整した後に、基板13上のパターン13aを検査ヘッド7でスキャンしていく。これにより、基板13に形成されたパターン13aに対して、検査ヘッド7を水平に相対移動させながら基板13の検査を行うことができる。
図8及び図9を用いて、フレーム11に対して基板13がX方向を回転軸として+θだけ回転した状態で取り付けられ場合のスキュー調整機構9の動作について説明する。はじめに、スキュー調整を行う前の状態では、それぞれの支持ブロック15の中央に保持ユニット17が位置している。図8に示すように、基板13がX方向を回転軸として+θだけ回転した状態の場合には、図9に示すように、支持ブロック15をフレーム11に対して+Y側に変位量dyだけスライド移動させる。これにより、それぞれの保持ユニット17が接する支持ブロック15の支持面15aの位置が、−Y側に変位量dyだけ移動する。ここで、支持ブロック15の支持面15aは、Y方向の位置に応じて高さが変化するよう構成されている(図7)。そのため、支持ブロック15が+Y側に移動すると、図8に示す移動前と比べ、それぞれの支持ブロック15が保持ユニット17を保持する高さが変化することとなる。具体的には、中央の支持ブロック15より−Y側の支持ブロック15になるほど支持位置が高くなり、+Y側の支持ブロック15になるほど支持位置が低くなる。
ここで、複数の保持ユニット17は、すべて同じ構成であるため、保持ユニット17のZ方向の大きさはすべて等しい。そのため、基板13を保持する保持ユニット17の上面の高さは、支持ブロック15の支持位置に応じて変化する。ここで、保持ユニット17の高さ方向の変位量dzを、−Y側の保持ユニット17から順に、dz1、dz2、dz3、dz4、dz5と定義すると、それぞれの変位量dzの関係は、{dz1>dz2>dz3>dz4>dz5}となる。ここで、dz1、dz2>0、dz3=0、dz4、dz5<0である。この結果、基板13の−Y側の支持ユニット17になるに従って基板13の支持位置が高くなり、基板13の+Y側の支持ユニット17になるにしたがって基板13の支持位置が低くなる。この結果、基板13がフレーム11に対してX軸を回転軸とし、負の方向に回転する。ここで、基板13を−θだけ回転させるように支持ブロック15をY方向に移動させれば、フレーム11(検査ヘッド7)に対して、基板13に形成されたパターン13aを平行にすることができる。このように、スキュー調整機構9では、支持ブロック15をY方向にスライドさせることにより、基板13のスキュー調整を行うことができる。
同様に、図10及び図11を用いて、フレーム11に対して基板13がX方向を回転軸として−θだけ回転した状態で取り付けられ場合のスキュー調整機構9の動作について説明する。はじめに、スキュー調整を行う前の状態では、それぞれの支持ブロック15の中央に保持ユニット17が位置している。図10に示すように、基板13がX方向を回転軸として−θだけ回転している場合には、図11に示すように、支持ブロック15をフレーム11に対して−Y側に変位量dyだけスライド移動させる。これにより、それぞれの保持ユニット17が接する支持ブロック15の支持面15aの位置が、+Y側に変位量dyだけ変化する。ここで、支持ブロック15の支持面15aは、Y方向の位置に応じて高さが変化するよう構成されている(図7)。そのため、支持ブロック15が−Y側に移動すると、それぞれの支持ブロック15が保持ユニット17を保持する高さが変化する。具体的には、中央の支持ブロック15より+Y側の支持ブロック15になるほど支持位置が高くなり、−Y側の支持ブロック15になるほど支持位置が低くなる。
ここで、複数の保持ユニット17は、すべて同じ構成であるため、保持ユニット17の支持位置は、支持ブロック15の支持位置に応じて変化する。それぞれの変位量dzの関係は、{dz1<dz2<dz3<dz4<dz5}となる。この結果、基板13がフレーム11に対してX軸を回転軸とし、正方向に回転する。そこで、基板13をX方向を回転軸として+θだけ回転させるように支持ブロック15をY方向に移動させれば、フレーム11に対して、基板13に形成されたパターン13aを平行にすることができる。このように、スキュー調整機構9では、支持ブロック15をY方向にスライドさせることにより、多点保持したまま基板13を回転させることができる。
このように、支持ブロック15の支持面15aの高さがY方向において異なる高さに形成されているので、支持ブロック15をフレーム11に対してY方向にスライド移動させることで、基板13のZ方向の保持位置を変化させることができる。これにより、基板13を多点保持した状態で、基板13のスキュー調整することができる。保持ユニット17と支持ブロック15は面接触しているため、更に、安定した状態でスキューを調整することができる。
次に、基板13の荷重を複数の支持点に均一に分散する荷重分散機構8の動作について説明する。基板13は、保持される底辺が必ずしも直線状に形成されているわけではない。基板13の底辺は、場所によって+Z方向に凹んでいたり、−Z方向に突出している場合がある。このような場合に、同じ高さで基板13の底辺を保持すると、+Z方向に凹んだ部分を支持する支持点には荷重がかからず、−Z方向に突出している部分を保持する支持点には大きな荷重が負荷される。この結果、基板13側においては、−Z方向に突出した部分では支持点から集中荷重が負荷され大きなひずみが発生することとなる。このような、集中荷重による基板13に発生するひずみを低減するため、荷重分散機構8は、基板13から基板保持装置10に負荷される荷重を複数の支持点に分散させるよう構成されている。
図12は、荷重分散機構8の動作を示すXZ平面図である。図12(A)は、基板保持装置10に基板13が設置されたばかりの状態を示している。基板13は、例えば、ガラス基板であり、そのエッジは撓みを有しているものとする。基板13の−Y側が−Z方向に突出し(H1)、基板13の+Y側が+Z方向に窪んでいる(H2)とする。それぞれのくさびブロック22には、バネ18cが接続されている。バネ18c同士は、リンク部材18a、関節部材18b及び円板部材18dを介して接続されているが、ここでは、説明のためバネ18cをそれぞれ独立させて示している。基板13が設置された瞬間では、基板13が−Z方向に突出した部分(H1)に対応する保持ユニットU1は、基板13に接している。そのため、保持ユニットU1には、大きな集中荷重が負荷される。一方、基板13が+Z方向に凹んだ部分(H2)に対応する保持ユニットU2は、基板13に接触しておらず荷重は負荷されていない。
そこで、荷重分散機構8は、基板保持装置10に基板13が設置された瞬間に、連結部材18を−Y側に引っ張る。この結果、すべてのくさびブロック22は、ほぼ同じ力で−Y側に打ち込まれることとなる。ここで、連結部材18を引っ張る力の算出方法について説明する。基板13を保持する保持ユニット17の数を10個とする。また、保持する基板13の重さを100kgとする。基板13の荷重を10個の支持点に分散するためには、基板13の荷重がそれぞれの保持ユニット17にそれぞれ10kgずつ分散されればよい。くさびブロック22の斜面の傾きを、(Y方向:Z方向=10:1)とする。この場合、連結部材18を水平方向に1kgの力で引っ張れば、バネ18cがくさびブロック22を打ち込む力(N2)と、基板13から負荷される分散荷重が10kgであるときのくさびブロック22に負荷される垂直抗力の水平成分(N1)によってくさびブロック22を引き抜く力とがつり合うことが分かる。
そこで、荷重分散機構8は、基板13が基板保持装置10に設置された瞬間に、連結部材18を−Y側に1kgで引っ張る。これにより、すべてのくさびブロック22は、1kgの力(N2)でバネ18cの復元力によって−Y側に打ち込まれる。図12(B)は、連結部材18を−Y側に引っ張った後の状態を示している。基板13の突出した部分(H1)に対応する保持ユニットU1では、バネ18cの復元力によってくさびブロック22が−Y側に打ち込まれる力N2に比べ、基板13から負荷される垂直効力の水平成分N1が大きい。そのため、くさびブロック22は、+Y側に引き抜かれるか、又はくさびブロック22とベースブロック21、コンタクトブロック23の摩擦によってくさびブロック22は移動しない。
一方、凹んだ部分(H2)に対応する保持ユニットU2では、荷重によって+Y側にくさびブロック22を引き抜く力(N1)が働いていないため、バネ18cの復元力によってくさびブロック22が−Y側に打ち込まれ、くさびブロック22が−Y側に移動する。これにより、くさびブロック22とコンタクトブロック23との当接面が変化し、コンタクトブロック23は、くさびブロック22の+Y側で保持される。ここで、くさびブロック22は、+Y側になるにしたがって、Z方向の厚みが厚くなるよう形成されている。そのため、くさびブロック22の移動によって、コンタクトブロック23の上面の高さは高くなり、コンタクトブロック23が基板13に接する状態となる。そして、基板13から負荷される荷重の水平成分N1による、くさびブロック22を引き抜く力と、バネ18cの復元力よるくさびブロック22を打ち込む力N2がつり合う位置までくさびブロック22が移動する。すなわち、摩擦力を考慮した上で、それぞれの保持ユニット17において、バネ18cによってくさびブロック22を引き抜く力N2と、荷重の水平成分N1によるくさびブロック22を打ち込む力とがつり合う位置までくさびブロック22が移動する。
それぞれのくさびブロック22がY方向に移動すると、それぞれのくさびブロック22に接続されたバネ18cの長さが変化する。保持ユニットU1のくさびブロック22は、Y方向に移動していないため、保持ユニットU1に接続されたバネ18cは伸縮しない。一方、保持ユニットU2のくさびブロック22は、−Y側に移動しているため、保持ユニットU2に接続されたバネ18cはこれに伴って縮む。すなわち、バネ18cは、分散された荷重の大きさに応じて保持ユニット17毎に異なる長さに縮むことで、各保持ユニット17間に負荷される荷重を均一に分散する。
このように、連結部材18を−Y側に引っ張ることで、すべてのくさびブロック22に均一な外力(N2)を加え、くさびブロック22を移動させる。これにより、くさびブロック22は、−Y側に打ち込む力N2と、荷重の水平成分N1による引き抜く力とがつり合う位置まで移動した後、移動を停止する。これにより、すべての保持ユニット17が、基板13の荷重をほぼ10kgずつ受ける位置まで移動する。これにより、複数の保持ユニット17に基板13の荷重を均一に分散することができる。この結果、基板13のエッジの形状が、凹凸を有していた場合にあっても、エッジの形状に関わらず、複数の支持点によって均一な力で基板13を保持することができる。
基板13側では、複数の支持点において保持ユニット17から均一の外力が負荷されることとなり、基板13に生じるひずみが複数の箇所に分散されることとなる。この結果、−Z方向に突出している部分(H1)に負荷される集中荷重を分散することができる。これにより、基板13のそれぞれの支持点周辺にひずみの発生を分散することができ、ひずみが生じる領域を基板13の終端部に止めることができる。パターン形成領域に生じるひずみの影響を低減することができ、基板13の検査精度を向上させることができる。
続いて、基板保持装置10の他の構成要素について説明する。図13は、フレーム11、基板13、及びロック付シリンダ14の位置関係を示すXY断面図である。基板13には、正面側にパターン13aが形成されている。基板13は、正面側の位置がロック付シリンダ14によって規制され、背面側の位置がフレーム11によって規制されている。基板13の両側の側辺は、Y方向においてフレーム11とわずかに重なる位置に配されている。これにより、基板13の背面は、フレーム11の枠によって保持される。すなわち、基板13の背面はフレーム11によって面拘束されている。
基板13は、割れ・欠けを防止するために、その周囲に面取り部13bが形成されている。ロック付シリンダ14の先端は、XY断面において傾斜を有しており、例えば、基板13のエッジに対して10°前後傾くよう形成されている。ロック付シリンダ14は、この斜面で基板13の面取り部13bを斜め前方から押さえる。ロック付シリンダ14は、基板13の面取り部13bを支持することにより、基板13のY方向のエッジを支持するのに比べて、支持によって生じる基板13のひずみを低減することができる。
ロック付シリンダ14は、シリンダ内部のエアの状態により、3つの状態を有している。ロック付シリンダ14は、Y方向(矢印で示す方向)に移動可能である。基板13を挟み込むように位置する、対向するロック付シリンダ14の距離(位置A、B、C)が変化することにより、ロック付シリンダ14による基板13の保持状態が変化する。第1状態は、ロック付シリンダ14の先端はAに位置し、対向するロック付シリンダ14は最も近づいている状態である。第1状態では、ロック付シリンダ14のシリンダ内のエアが抜かれ、ロック状態となる。ロック状態では、ロック付シリンダ14は、基板13が外力によって移動しない力で基板13を両側から支持する。第2状態は、ロック付シリンダ14の先端はBに位置し、対向するロック付シリンダ14は、第1状態よりもやや離れた状態である。
第2状態では、シリンダ内に一定量のエアが封入され、仮ロック状態となる。仮ロック状態では、ロック付シリンダ14は、基板13が正面側へ倒れない強さ以上で、且つ、基板13に加えられた外力によって基板13がYZ平面で移動可能な強さで基板13を支持する。基板13を支持しない第3状態は、ロック付シリンダ14の先端はCに位置し、対向するロック付シリンダ14は、最も離れた位置にある。第3状態では、ロック付シリンダ14のシリンダ内に十分には、エアが封入され、ロック解除状態となる。ロック解除状態では、ロック付シリンダ14は基板13に接触せず、基板13はYZ平面で自由に移動可能である。ロック付シリンダ14の先端部には、弾性部材14aが設けられている。この弾性部材14aは、基板13の側面の自然の撓みに合わせて変形することで基板13を保護する。
図14は、基板保持装置10のシーケンスを示すフローチャートである。はじめに、保持する基板13の荷重を設定する(S1)。設定された荷重に基づいて、前述した方法により連結部材18を引っ張る力を算出する(S2)。基板13を挟んで対向する両側のロック付シリンダ14の距離は、基板13の設置前においては最も離れている(図13の位置C)。すなわち、ロック付シリンダ14は、第3状態であるロック解除状態に設定されている。この状態において、作業用ロボット等を用い、ロボットアームに保持された基板13を、正面側から基板保持装置10に近づける。そして、基板13の背面側がフレーム11の内側に接すると共に、複数の保持ユニット17の上に基板13が乗る位置に基板13を設置する(S3)。そして、基板13がフレーム11にセットされる瞬間に、ステップS2において算出された力N2で連結部材18を引っ張る(S4)。すなわち、ステップS4において、連結部材18を引っ張ることで、くさびブロック22に均一に−Y方向に打ち込む力N2が負荷される。この結果、くさびブロック22は、荷重の水平成分N1による引き抜く力とバネ18cの復元力によって打ち込むN2とがつり合う位置まで移動する。これにより、すべての保持ユニット17には、均一な荷重が負荷される。
そして、ロック付シリンダ14を第2状態とし、仮ロック状態に設定する(S5)。基板13を挟むように対向するロック付シリンダ14の距離を近づけ、ロック付シリンダ14を位置B(図13)まで移動させる。ここで、ロック付シリンダ14は、基板13に形成された面取り部13bを正面から押さえつけるように基板13を保持する。この状態では、基板13の背面側はフレーム11に支持され、側面及び正面側はロック付シリンダ14によって保持されているため、基板13が倒れることはない。
次に、スキュー調整機構9によって支持ブロック15をフレーム11に対して移動させ、フレーム11(検査ヘッド7)に対してパターン13aが平行になるようスキュー調整を行う(S6)。具体的には、フレーム11に対するパターン13aの傾き(θ)を測定し、パターン13aとフレーム11とが平行になるように、アクチュエータ20を駆動する。フレーム11に対して基板13が+θ(θ>0)だけ傾いている場合では(図8)、支持ブロック15を保持ユニット17に対して+Y方向にスライド移動させる(図9)。また、フレーム11に対して基板13が−θ(θ<0)だけ傾いた場合では(図10)、支持ブロック15を保持ユニット17に対して−Y方向にスライド移動させる(図11)。
このように、設置された基板13の状態に応じて支持ブロック15をY方向にスライドさせることで、保持ユニット17を保持する支持ブロック15の支持面15aの位置を変化させる。支持面15aの傾斜角度は、支持ブロック15毎に異なるよう形成されているため、支持ブロック15によって支持される保持ユニット17毎に高さの変位量dzも変化する。この結果、中央の支持ブロック15を中心として、基板13が回転し、スキュー調整を行うことができる。これにより、スキュー調整後では、基板13上に形成されたパターン13aとフレーム11(検査ヘッド7)を平行とすることができる。
スキュー調整が完了した後に、ロック付シリンダ14を第1状態に設定し、基板13をロックする(S7)。このとき、基板13を介して対向するロック付シリンダ14は、最も接近した状態となり(図13の位置A)、基板13にある程度の外力が加えられても基板13は滑らず移動しない。このように、ロック付シリンダ14によって両側が固定された状態で、基板13上を検査ヘッド7によってスキャンしていく(S8)。例えば、検査ヘッド7の位置(Z方向)を固定した状態で、基板13をY方向に移動させる。その後、検査ヘッド7のZ方向の位置を変え、再び基板13をY方向に移動させる。このように、検査ヘッド7を固定し、基板13をY方向に移動させる動作を繰り返し、基板13に形成されたパターンを検査ヘッド7によってスキャンしていく。このように、スキュー調整後の基板13を固定した状態で、基板13の検査を行うことで、パターン13aと検査ヘッド7が平行な状態に保たれ、正確なパターン13a検査を行うことができる。
このように、本実施形態によれば、スキュー調整機構9において、支持ブロック15の支持面15aの高さをスライド方向(Y方向)に従って変化させ、フレーム11に対して支持ブロック15をY方向にスライド移動させることで、複数の支持面15aで基板13を支えながら安定した状態でスキュー調整をすることができる。また、荷重分散機構8において、上面の高さが変化するくさびブロック22を用い、このくさびブロック22を複数の保持ユニット17において均一な力で打ち込むことで、基板13の下辺の形状に関わらず複数の支持点に均一に荷重を分散することができる。これにより、基板13に生じるひずみを基板13の終端部に止め、パターン形成領域へのひずみの影響を低減することができる。この結果、精度よく基板13を保持することができ、基板13の検査精度を向上させることができる。
図15は、支持ブロック15の他の実施例について示した図である。支持ブロック15は、Y方向において支持面15aの高さが変化していれば他の構成としてもよい。例えば、支持面15aは、図15(A)に示すようR形状に形成することができる。複数の支持ブロック15Aは、ある1つの回転中心に対して、全ての支持ブロック15Aの支持面15Aaがその回転中心から等距離にあるよう構成されている。このような構成としても、Y方向において支持面の高さが変化するよう構成されているため、保持ユニット17に対して支持ブロック15AをY方向にスライド移動させれば、それぞれの支持ブロック15Aに対応する保持ユニット17の高さを変化させることができる。
なお、支持ブロック15Aは、複数の支持ブロック15Aとして形成されているが、1つのブロックで、一端から他端まで高さが変化する一連の支持面15Aaを有しているように構成することもできる。また、複数の支持ブロック15Aは等間隔に形成されているが、支持ブロック15Aの間隔は任意に設定することができる。この場合、dz2/dy=2yとなるよう構成すればよい。なお、支持ブロック15Aは基礎ブロック16に一体形成されている必要はなく、フレーム11に対してスライド移動する際に、複数の支持ブロック15が同じ変位量dyでY方向に移動できればそれぞれが分離されていてもよい。
また、基準となる支持ブロック15は、中央の支持ブロック15とする必要はない。例えば、基準となる支持ブロック15を図15(B)に示すように、最も−Y側に位置する支持ブロック15Bとし、+Y側の支持ブロック15Bになるにしたがってその斜面15Baの傾斜角度を一定量ずつ変化させるよう構成することができる。このように、基準となる支持ブロック15Bを任意の位置に配することにより、スキュー調整を行う回転中心の位置を任意に設定することができる。図15(B)のように、支持ブロック15のZ方向の高さが−Y側から+Y側に向かって次第に小さくなる場合には、支持ブロック15Bに対応する保持ユニット17は、−Y側から+Y側に向かって、Z方向の大きさを次第に大きくするよう構成することが好ましい。これにより、スキュー調整前の基板13の底面の傾きをほぼ水平とすることができる。このように、支持ブロック15の形状は、Y方向においてその支持面15aの高さが変化するよう構成すれば、種種に設計変更可能である。
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
8…荷重分散機構 9…スキュー調整機構 10…基板保持装置 11…フレーム 12…基板保持調整機構 13…基板 13a…パターン 13b…面取り部 14…ロック付シリンダ 14a…弾性部材 15…支持ブロック 15a…支持面 15a…支持面 15b…溝 16…基礎ブロック 17…保持ユニット 18…連結部材 18a…リンク部材 18b…関節部材 18c…バネ 18d…円板部材 18e…枢軸 19…アクチュエータ 20…アクチュエータ 21…ベースブロック 22…くさびブロック 22a…溝 22b…溝 23…コンタクトブロック 24…ガイドブロック 25…ボルト 26…弾性部材 27…ベース側係止部材 27a…係止片 27b…係止片 27c…固定接続部 28…コンタクト側係止部材 28a…固定接続部 28b…係止片 29…カバー 30…アクチュエータ N1…水平成分(引き抜く力) N2…打ち込む力 U1…保持ユニット U2…保持ユニット