JP4589763B2 - アスファルト組成物およびアスファルト混合物、並びにこれらの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アスファルト組成物に関し、さらに詳しくは、熱エネルギーを抑制したアスファルト舗装用組成物及びアスファルト混合物、並びにこれらの製造方法に関する。
アスファルト舗装は、適当な粒度分布を有する砕石、砂等の骨材に、バインダーとして、例えば、針入度40〜100のストレートアスファルトを加熱状態で混練して得たアスファルト混合物を道路基盤上に敷き均し、ローラーで転圧して施工される。アスファルト舗装用混合物は、砕石などの骨材とアスファルトを高温に加熱し、例えばストレートアスファルト60〜80のバインダーを使用して150〜160℃の混合温度で製造される。製造された混合物は140〜150℃の温度で締固めて構築される。
近年における交通量の増加、特に、重量車両の増加により、アスファルト舗装道路は過酷な使用状況になっている。このため、夏期において、アスファルト舗装道路面にアスファルト混合物の流動によるわだち掘れの現象が頻発している。わだち掘れは車の乗り心地を悪くするだけでなく、ハンドルの操作性を低下させ、また、わだち掘れ部分における降雨時の滞水がスリップの原因となり、交通安全上大きな問題となっている。
そこで、アスファルト舗装の流動防止対策として、ストレートアスファルトにゴムや熱可塑性エラストマー、樹脂等の改質材を添加した改質アスファルトをバインダーとして使用するケースが増えている。しかし、従来の改質アスファルトをバインダーとして使用する道路舗装は、わだち掘れが起きにくいが、高温で施工しなければならず、また少しでも冷めると急激に増粘するために敷き均し、ローラー転圧等の作業性が悪いと言う問題があった。
そのため、改質アスファルトはさらに混合温度を10〜30℃高めに設定せざるを得ないのが現状である。混合物の所要の性状を確保するためには所定の混合温度及び締固め温度を守る必要があり、不適切な温度管理を行うと所要の性状を有するアスファルト舗装が得られないことがあった。骨材と改質アスファルトを混合してアスファルト混合物を得る際に、原材料を高温に加熱すると、エネルギー消費が大きいばかりでなく、地球温暖化の原因である二酸化炭素ガスを大量に発生させることにもなる。高温加熱によるアスファルトの劣化も激しい。混合温度及び締固め温度を低下させることができるということは、例えば混合温度を30℃、或いは50℃低下させた場合には、例えば混合工程に使用される重油等の燃料使用量を低減できることを意味しており、その燃焼に関わる二酸化炭素(CO2)の排出量を削減でき、概算ではあるがそれぞれ排出量は約20%、30%の削減率となることが確認されている。したがって、地球温暖化防止に多大な貢献を果たすものである。また、例えば締固め温度を30℃低下させた場合には、施工直後の舗装体が保有している熱エネルギーが小さいために交通開放に至るまでの時間(舗装表面温度が50℃以下に低下するまでの時間)を短縮できることを意味しており、およその目安ではあるが約2時間程度短縮できることが確認されている。したがって、例えば道路施工者側には、工事手順、作業日程等の自由度の拡大、工事時間の短縮による就労者の拘束時間の低減、人件費の削減等に貢献し、また道路利用者側には、交通規制時間の短縮による混雑の緩和等に貢献し、種々の利点を奏することができる。
そこで、アスファルトに発泡剤及び発泡強化剤などを添加し、内部に微細な気泡を発生させる方法、アスファルトの粘度を低減させる添加剤を添加する方法、アスファルトを水又は水蒸気によって泡状化させ粘度を低下させるフォームドアスファルト工法を応用した方法、等が提案されている。
発泡剤及び発泡強化剤などを添加する方法は、混合物の性状は良好であるが、発泡が2時間程度で終了してしまうため、混合物貯蔵サイロでの長時間の貯蔵が難しいという問題があった。アスファルトの粘度を低減させる添加剤を添加する方法は、混合物貯蔵サイロでの貯蔵は可能であるが、混合物の供用温度領域の粘度までも低下してしまうため動的安定度が低下する傾向があった。また、フォームドアスファルト工法を応用した方法は、混合物の残留水分の影響が懸念され、製造に際しては、アスファルトプラント設備の改造が必要であった。
石油系または合成系ワックスを添加する方法があるが(特許文献1)、石油系または合成系ワックスについての詳細な開示はなされていない。また、石油系または合成系ワックスは多岐にわたり、アスファルト混合物の流動性を向上するような低分子量ワックスにおいては、アスファルト混合物の耐久性を損なう可能性がある。
特開2002−302905号公報
本発明は骨材とアスファルトを含む混合物に、ポリオレフィンワックスと樹脂からなる添加剤を添加、混合して混合物の所要の性状を確保しつつ、混合温度及び締固め温度を低下させたかつ十分な耐久性を持つことを特徴とするアスファルト舗装体が得られるようなアスファルト組成物およびアスファルト混合物、並びにこれらの製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、前記の課題について研究した結果、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、
(i)アスファルト100質量部、
(ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000の範囲にあり、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が65〜130℃の範囲にあり、密度勾配管法で測定した密度が850〜980kg/m3の範囲にあり、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc(℃)、降温速度2℃/分で測定)と、前記密度(D(kg/m3))との関係が下記式(I)
0.501×D−366 ≧ Tc …(I)
で示される関係を満たし、メタロセン系触媒を用いて製造されたポリオレフィンワックス0.5質量部〜10質量部、及び
(iii)樹脂0.5質量部〜10質量部
を含むアスファルト組成物、並びに、
前記のアスファルト組成物と骨材を含むアスファルト混合物
である。
また、本発明は、メタロセン系触媒を用いてポリオレフィンワックスを製造する工程と、前記ポリオレフィンワックス、アスファルト、及び樹脂を加熱混合する工程と、を有する前記アスファルト組成物の製造方法、並びに、
メタロセン系触媒を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000の範囲にあり、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が65〜130℃の範囲にあり、密度勾配管法で測定した密度が850〜980kg/m 3 の範囲にあり、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc(℃)、降温速度2℃/分で測定)と、前記密度(D(kg/m 3 ))との関係が下記式(I)
0.501×D−366 ≧ Tc …(I)
で示される関係を満たすポリオレフィンワックスを製造する工程と、前記製造されたポリオレフィンワックス0.5質量部〜10質量部と、アスファルト100質量部、樹脂0.5質量部〜10質量部、及び骨材とを加熱混合する工程と、を有するアスファルト混合物の製造方法である。
本発明によりアスファルト舗装において、アスファルト混合物の耐久性を向上または維持し、混合温度と締固め温度を低下させることができる添加剤を提供することができる。さらに混合温度と締固め温度が低下することにより、骨材の加熱に伴って発生する二酸化炭素の抑制、製造時の燃費の削減が可能となり、地球温暖化対策としての省エネルギー化を推進することができる。また、その施工に際しては、交通規制時間の短縮に伴う種々の利点を奏するものである。
(ポリオレフィンワックス)
本発明で用いられるポリオレフィンワックスは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エチレン−α−オレフィン共重合体などがあるが、エチレン単独重合体またはエチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。
ここでα−オレフィンとして好ましくは炭素原子数3〜10のα−オレフィンであり、より好ましくは炭素原子数3のプロピレン、炭素原子数4の1−ブテン、炭素原子数5の1−ペンテン、炭素原子数6の1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、炭素原子数8の1−オクテンなどが挙げられ、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンである。
ポリオレフィンワックスは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000、好ましくは1,000〜4,000、より好ましくは1,500〜4,000の範囲にある。
本発明のポリオレフィンワックスのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は通常1.1〜4.5であり、好ましくは1.2〜4.0、より好ましくは1.2〜3.5の範囲にある。
なお、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値であり、GPCによる測定は、温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼンの条件下で行われる。
ポリオレフィンワックスは、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.04〜0.47dl・g−1、好ましくは0.05〜0.47dl・g−1、より好ましくは0.07〜0.20dl・g−1、さらにより好ましくは0.08〜0.18dl・g−1の範囲にあることが望ましい。
ポリオレフィンワックスは、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が65〜130℃、好ましくは70〜120℃より好ましくは80〜110℃の範囲にある。
ポリオレフィンワックスは、密度勾配管法で測定した密度が850〜980kg/m3、好ましくは870〜970kg/m3、より好ましくは880〜960kg/m3の範囲にある。
ポリオレフィンワックスは、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc(℃)、降温速度2℃/分で測定。)と、密度勾配管法で測定した密度(D(kg/m3))との関係が下記式(I)
0.501×D−366 ≧ Tc …(I)
好ましくは、下記式(Ia)
0.501×D−366.5 ≧ Tc …(Ia)
より好ましくは、下記式(Ib)
0.501×D−367 ≧ Tc …(Ib)
を満たす。
ポリオレフィンワックスにおいて結晶化温度(Tc)と、密度(D)との関係が上記式を満たすと、ポリオレフィンワックスのコモノマー組成がより均一になる結果、ポリオレフィンワックスのベタつき成分が減少し、アスファルト混合物の強度が向上する。
ポリオレフィンワックスは針入度が30dmm以下、好ましくは25dmm以下、より好ましくは20dmm以下、さらにより好ましくは15dmm以下であることが望ましい。針入度はJIS K2207に準拠して測定することができる。
ポリオレフィンワックスは、常温で固体であり、65〜130℃以上で、低粘度の液体となる。
上述したようなポリオレフィンワックスは、例えば周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなる以下のようなメタロセン系触媒を用いて製造することができる。
(メタロセン化合物)
メタロセン系触媒を形成するメタロセン化合物は、周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物であり、具体的な例としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
1Lx …(1)
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、xは遷移金属M1の原子価、Lは配位子である。
1で示される遷移金属の例としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウムなどがある。Lは遷移金属M1に配位する配位子であって、そのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であって、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子Lとしては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−またはi−プロピルシクロペンタジエニル基、n−、i−、sec−またはt−ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基等のアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基;さらにインデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子の水素は、ハロゲン原子またはトリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
上記のメタロセン化合物が、配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子同士が、エチレン、プロピレン等のアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基;シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配位子)Lとしては、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルフォン酸含有基(−SO31)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R1はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはアルキル基で置換されたアリール基である。)などが挙げられる。
(メタロセン化合物の例−1)
上記一般式(1)で表されるメタロセン化合物が、例えば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記一般式(2)で表される。
2 k3 l4 m5 n1 …(2)
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)、R3、R4およびR5はそれぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有するかまたは有しない基(配位子)である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
1がジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物の例を次に挙げる。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど。
上記の化合物の中で、1,3−位置換シクロペンタジエニル基を1,2−位置換シクロペンタジエニル基に置き換えた化合物も用いることができる。
またメタロセン化合物の別の例としては、上記一般式(2)において、R2、R3、R4およびR5の少なくとも2個、例えばR2およびR3がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2個の基がアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物を使用することもできる。このときR4およびR5は、それぞれ独立に、前述したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子Lと同様である。
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物としては、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
ポリオレフィンワックスがポリプロピレンの場合、メタロセン触媒の存在下で得られるプロピレンの単独重合体またはプロピレンとエチレンまたはプロピレン以外の他のα-オレフィンとの共重合体である。α-オレフィンとしては炭素数4〜10の1−アルケンで具体的には1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等である。メタロセン触媒の存在下で得られるプロピレンの単独重合体または共重合体はアイソタクチック構造またはシンジオタクチック構造を有する。メタロセン触媒の存在下で得られるプロピレンの単独重合体または共重合体アイソタクチック構造の場合、13C-NMRで測定したアイソタクチックペンタッドmmmmが通常90〜99%、好ましくは93〜99%である。プロピレンとエチレンまたはプロピレン以外の他のα-オレフィンとの共重合体の場合、共重合体中のエチレンまたはプロピレン以外の他のα-オレフィンの含有量は通常1〜20モル%、好ましくは1〜10モル%である。アイソタクチック構造のプロピレンの単独重合体、またはプロピレンとエチレン若しくはプロピレン以外の他のα-オレフィンとの共重合体の製造に用いられるメタロセン触媒は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の周期律表第4〜6族遷移金属と、シクロペンタジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体基との錯体を使用した触媒である。メタロセン触媒において、シクロペンタジエニル誘導体基としては、ペンタメチルシクロペンタジエニル等のアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。また、複数のシクロペンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレン基等で結合したものも好ましく用いられる。
メタロセン触媒の存在下で得られるプロピレンの単独重合体または共重合体がシンジオタクチック構造の場合、シンジオタクチックペンタッド分率は通常0.6以上である。シンジオタクチックペンタッド分率が0.6以上の結晶性ポリプロピレンは、135℃の1,2,4−トリクロロベンゼン溶液で測定した13C−NMRスペクトルにおいてテトラメチルシランを基準として約20.3ppmに観測されるピーク強度をプロピレン単位のメチル基に帰属されるピーク強度の総和で除した値であるシンジオタクチックペンタッド分率が0.6以上のポリプロピレンである。シンジオタクチック構造のポリプロピレンの製造方法としては非対称な配位子を有する遷移金属化合物とアルミノキサンからなる触媒を用いてプロピレンを重合する方法(特開平2−41303号公報やJ.Am.Chem.Soc.,1988,110,6255-6256)が知られている。
(重合)
本発明で用いられるポリオレフィンワックスは、上記メタロセン系触媒の存在下に、エチレンを通常液相で単独重合するか、またはエチレンおよびα−オレフィンを共重合させることにより得られる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α−オレフィンを溶媒として用いてもよい。なお、ここで用いる各モノマーは、前述した通りである。
重合方法は、ポリオレフィンワックスがヘキサン等の溶媒中に粒子として存在する状態で重合する懸濁重合、溶媒を用いないで重合する気相重合、そして140℃以上の重合温度で、ポリオレフィンワックスが溶剤と共存または単独で溶融した状態で重合する溶液重合が可能であり、その中でも溶液重合が経済性と品質の両面で好ましい。
重合反応は、バッチ法あるいは連続法いずれの方法で行ってもよい。重合をバッチ法で実施するに際しては、前記の触媒成分は次に説明する濃度下で用いられる。
重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルである。
有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系内のメタロセン化合物中の遷移金属に対するアルミニウム原子のモル比(Al/遷移金属)で、1〜10000、好ましくは10〜5000の量で供給される。
イオン化イオン性化合物は、重合系内のメタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で表して、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
また有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、通常約0〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなるような量で用いられる。
重合反応は、通常温度が−20〜+200℃、好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは70〜180℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われる。
重合に際して、エチレンおよび必要に応じて用いられるα−オレフィンは、前記した特定組成のポリオレフィンワックス(ii)が得られるような量割合で重合系に供給される。また重合に際しては、水素などの分子量調節剤を添加することもできる。
このようにして重合させると、生成した重合体は通常これを含む重合液として得られるので、常法により処理するとポリオレフィンワックス(ii)が得られる。
(変性ポリオレフィンワックス)
本発明で用いられるポリオレフィンワックスは、未変性のポリオレフィンワックス(以下「原料ポリオレフィンワックス」ともいう。)が、酸化変性または酸グラフト変性された変性ポリオレフィンワックスであってもよい。
原料ポリオレフィンワックスとしては、変性後に上述したような性状のポリオレフィンワックスが得られるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体であれば特に限定されないが、好ましくは上述したようなメタロセン系触媒を用いて製造された、数平均分子量が400〜5000の範囲にあり、密度が850〜980kg/m3の範囲にあり、融点が60〜130℃の範囲にあるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体である。
(酸化変性)
酸化変性された変性ポリオレフィンワックスは、原料ポリオレフィンワックスを溶融状態で攪拌下に酸素または酸素含有ガスと接触させることにより得られる。
原料ポリオレフィンワックスは、通常130〜200℃、好ましくは140〜170℃の温度で溶融状態にする。
酸化変性する際には、原料ポリオレフィンワックスを溶融状態で攪拌下に酸素または酸素含有ガスと接触させて酸化反応を行うが、「酸素または酸素含有ガス」という語は、純酸素(通常の液体空気分留や水の電解によって得られる酸素であって、他成分を不純物程度含んでいても差し支えない)、純酸素と他のガスとの混合ガス、例えば空気、およびオゾンを含んで用いられる。
原料ポリオレフィンワックスと酸素等との接触方法としては、具体的には、酸素含有ガスを反応器下部より連続的に供給して、原料ポリオレフィンワックスと接触させる方法が好ましい。またこの場合、酸素含有ガスは、原料混合物1kgに対して1分間当たり1.0〜8.0NL相当の酸素(O2)量となるように供給することが好ましい。
このようにして得られる変性ポリオレフィンワックスの酸価(JIS K5902)は、1〜100mgKOH/g、好ましくは6〜60mgKOH/g、より好ましくは10〜50mgKOH/gであることが望ましい。
ここで、酸価とは、試料1g当たりの中和に要する水酸化カリウムのmg数を指す。
(酸グラフト変性)
酸グラフト変性された変性ポリオレフィンワックスは、従来公知の方法で調製することができ、例えば、原料ポリオレフィンワックスと、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体またはスルフォン酸塩とを、有機過酸化物などの重合開始剤の存在下に溶融混練するか、あるいは、原料ポリオレフィンワックスと、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体またはスルフォン酸塩とを、有機溶媒に溶解させ、有機過酸化物などの重合開始剤を添加してグラフと反応させることにより得られる。
酸グラフト変性に用いられる不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−sec−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−2−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸イソヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸−2−クロロフェニル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸−3−メトキシブチル、アクリル酸ジエチレングリコールエトキシレート、アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−sec−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−2−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸−2−クロロヘキシル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸−2−ヘキシルエチル、メタクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチル等のメタクリル酸エステル類:マレイン酸エチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類:フマル酸エチル、フマル酸ブチル、フマル酸ジブチル等のフマル酸エステル類;マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、クロトン酸、ナジック酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アリルコハク酸、無水グルタコン酸、無水ナジック酸などの無水物などが挙げられる。
酸グラフト変性された変性ポリオレフィンワックスは、不飽和カルボン酸またはその誘導体での変性量が、KOH滴定換算した酸価で、1〜100mgKOH/g、好ましくは6〜60mgKOH/g、より好ましくは10〜50mgKOH/gであることが望ましい。
変性量が上記範囲内にあると、変性ポリオレフィンワックスと骨材との接着強度が向上するため、強度が高いアスファルト混合物が得られる傾向がある。
ポリオレフィンワックスはアスファルト100質量部に対して、0.5〜10.0質量部、好ましくは0.5〜7.0質量部、より好ましくは1.0〜5.0質量部の範囲にある。
本発明における締固め度とは、(社)日本道路協会編「舗装試験法便覧」(昭和63年11月発行)に記載されるマーシャル安定度試験方法による粘度を指す。また、動的安定度とは、同じく「舗装試験法便覧」に記載されるホイールトラッキング試験方法による動的安定度を指す。本発明のアスファルト混合物は、耐久性の指標である動的安定度(DS)の条件を十分に満たす。動的安定度は、具体的には、アスファルト混合物(改質材とアスファルトと骨材とを含む混合物)のホイールトラッキング試験において、60℃に設定された供試体が1mmの変形をするのに要する車輪の通過回数を表す。従って、動的安定度の値が大きいということは、供試体を1mm変形させるために、車輪をより多くの回数分通過させたということであるので、それだけ供試体ならびに舗装体が耐久性に優れていることを表している。試験は車輪が1分間に供試体上を42回(21往復)通過する速度で行い、変形増加率がほぼ一定化した45分と60分の15分間の変形量を測定して、求められる。供試体に用いられるアスファルト混合物は、最大粒径が13mmの密粒度アスファルト混合物とする。
本発明のアスファルト混合物に用いられる骨材とアスファルトを主とする混合物は、特に限定するものではなく、従来より使用されている各種のアスファルト混合物に適用できる。勿論、改質アスファルトI型、II型及び高粘度改質アスファルトにも適用できる。
道路舗装用の改質アスファルト組成物では、ゴム及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一つを改質材として、ストレートアスファルト等のアスファルトが混合されている。
アスファルト混合物においてストレートアスファルトと骨材の配合比は、特に制限はないが、アスファルト1〜6質量部に対して骨材99〜94質量部の範囲にあることが好ましい。
アスファルト混合物において改質アスファルトと骨材の配合比は、特に制限はないが、アスファルト1〜6質量部に対して骨材99〜94質量部、好ましくは改質アスファルト3〜10質量部に対して骨材97〜90質量部の範囲にあると、耐久性が十分で経済性も良い。
改質アスファルトに使用されるゴムとしては、特に限定されるものではないが、天然ゴムやスチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム等の合成ゴムが挙げられ、これらのうちの1種もしくは2種以上が混合して使用してもよい。
改質アスファルトに使用される熱可塑性エラストマーは、特に限定されるものではないが、スチレン−ブタジエンブロック共重合物、スチレン−イソプレンブロック共重合物、エチレン−酢酸ビニル共重合物、エチレン−エチルアクリレートの共重合物、あるいは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンの単独重合物あるいはこれらを組み合わせた共重合物等が挙げられ、これらのうちの1種もしくは2種以上が混合して使用してもよい。
本発明で使用する樹脂としては、天然系樹脂及び合成系樹脂のいずれをも使用することができるが、天然系樹脂ではテルペン樹脂を、また、合成系樹脂では石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂などの重合系樹脂を使用するのが良い。石油樹脂としては、ナフサ分解生成物の蒸留により分離される沸点が20〜60℃の留分(C5留分)を主成分とする脂肪族系(C5系)石油樹脂、同じくナフサ分解生成物の蒸留により分離される沸点が160〜260℃の留分(C9留分)を主成分とする芳香族系(C9系)石油樹脂、これらC5系及びC9系石油樹脂を共重合させた脂肪族/芳香族共重合系(C5/C9系)石油樹脂、及び、主としてナフサ分解生成物の蒸留により分離される高純度のジシクロペンタジエンを主成分とする脂環族系(DCPD系)石油樹脂テルペン類とフェノール類を共重合させたテルペンフェノール樹脂などがあり、これらのうちの1種もしくは2種以上が混合して使用してもよい。
樹脂はアスファルト100質量部に対して、0.5〜10.0質量部、好ましくは0.5〜7.0質量部、より好ましくは1.0〜5.0質量部の範囲にある。
本発明におけるアスファルト組成物およびアスファルト混合物には、その性能に悪い影響を及ばさない範囲で、本発明のポリオレフィンワックス以外のワックス類、オイル類などの各種添加物が少量含まれていてもよい。本発明において用いられるアスファルトの種類としては、レイクアスファルト、ギルソナイト等の天然アスファルトや、ストレートアスファルト、セミブローンアスファルトおよびブローンアスファルト等の石油アスファルトのいずれでも用いることができる。
本発明におけるアスファルト組成物およびアスファルト混合物は、他の添加物が含まれていてもよい。配合する添加剤は特に限定はなく、一般に使用されている添加剤の中から適宣選択される。
添加剤としては、石粉、タルク、炭酸カルシウム等のフィラー、消石灰、アミン類、アミド類、リン酸類等の剥離防止剤、メチルセルロース、ポリビニルアルコール等の繊維質補強材、粘度低下剤、粘度向上剤、軟化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。例えば、砕石、鉄鋼スラグ、砂等の骨材と石粉、消石灰等のフィラーを含む、密粒度、細粒度、開粒度の各種アスファルト混合物や各種ギャップアスファルト混合物のいずれにも適応できる。従って、本発明のアスファルト混合物は、通常の舗装のみならず、透水性舗装、排水性舗装および半たわみ性舗装などにも用いることができる。
本発明においてアスファルト組成物およびアスファルト混合物の製造方法は、特に限定はされず、ポリオレフィンワックスと樹脂、または、ポリオレフィンワックスと樹脂からなるポリオレフィンワックス組成物を前もって添加したアスファルト組成物と骨材と必要に応じその他の添加剤とを混合する方法(いわゆるプレミックス法)であってもよく、ポリオレフィンワックスと樹脂、または、ポリオレフィンワックスと樹脂からなるポリオレフィンワックス組成物とアスファルトと骨材と必要に応じその他の添加剤とを混合する方法(いわゆるプラントミックス法)であってもよい。ポリオレフィンワックスと樹脂、または、ポリオレフィンワックスと樹脂からなるポリオレフィンワックス組成物は、骨材と前もって混合した後、アスファルトを添加してアスファルト混合物を製造してもよい。また、骨材とアスファルトを主とする混合物を一次混合し、十分に練り混ぜた状態で、ポリオレフィンワックスと樹脂、または、ポリオレフィンワックスと樹脂からなるポリオレフィンワックス組成物を添加して二次混合して製造してもよい。ポリオレフィンワックスと樹脂、または、ポリオレフィンワックスと樹脂からなるポリオレフィンワックス組成物は、アスファルト組成物およびアスファルト混合物を製造するいずれの段階で添加してもよい。
以下、本発明の優れた効果を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例においてワックスの物性は次のようにして測定した。
(分子量)
ワックスの分子量および分子量分布の測定は、GPCを用いて求めたものである。測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行った。
装置 : Waters社製 (150C-ALC/GPC)
溶剤 : o-ジクロルベンゼン
カラム: 東ソー社製(CMタイプ)
流速 : 1.0 ml/分
試料 : 0.10 %o-ジクロルベンゼン溶液
温度 : 140℃
(溶融粘度)
ブルックフィールド粘度計を用いて140℃で測定した。
(極限粘度[η])
ASTM D1601に従って測定した。
(密度)
JIS K6760に従って測定した。
(軟化点)
JIS K2207に従って測定した。
(酸価)
JIS K5902に従って測定した。
(針入度)
JIS K2207に従って測定した。
[合成例1]
(ポリオレフィンワックス(1)の合成)
メタロセン触媒を用いて、次のようにしてポリオレフィンワックス(1)を合成した。
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン920mlおよびプロピレン 80mlを装入し、水素を0.5Mpa(ゲージ圧)導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム 0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート 0.04ミリモル、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.002ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9Mpa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。
少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびプロピレンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。その結果、[η]が0.06dl/gであり、溶融粘度が10mPa・sであり、Mnが500であり、Mwが950であり、密度が904kg/m3であり、融点が95℃であり、軟化点が98℃であり、針入度が15dmmであるメタロセン系ワックスを24.3g得た。
上記の合成作業を必要量採取できるまで繰り返し、合成したメタロセン系ワックスを溶融混合した後、冷却しポリオレフィンワックス(1)とした。
[合成例2]
200gのポリオレフィンワックス()をトルエン1000ml中に入れ、160℃で耐圧オートクレーブ中で完全に溶解後、70℃の無水マレイン酸7.0gおよび常温のジターシャリーブチルパーオキサイド(日本油脂社製、パーブチルD)12.0gを別個に3時間でフィードし、1時間熟成後、1mmHgの真空度で溶剤を除去した。得られた生成物は溶融粘度が18mPa・sであり、Mnが700であり、Mwが1600であり、密度が915kg/m3であり、融点が92℃であり、軟化点が95℃であり、針入度が9dmmであり、酸価が34.9KOHmg/gであるポリオレフィンワックス(2)を得た。
[比較ワックス]
溶融粘度が70mPa・sであり、Mnが1200であり、Mwが3000であり、密度が920kg/m3であり、融点が110℃であり、軟化点が113℃であり、針入度が13dmm三井ハイワックス220Pを使用した。
[ポリオレフィンワックス組成物(1)]
ストレートアスファルト60/80(ニチレキ社製)を100質量部にポリオレフィンワックス(1)を100質量部とペトロジンPR140(三井化学社製)を100質量部加えて150℃で10分加熱混合し、ポリオレフィンワックス組成物(1)を作製した。
[ポリオレフィンワックス組成物(2)〜(6)]
表1に示したポリオレフィンワックスと樹脂との配合比にてワックス/樹脂組成物(1)と同様の方法にてポリオレフィンワックスとPR140を混合しポリオレフィンワックス組成物(2)〜(6)を作製した。
[ポリオレフィンワックス組成物(7)]
ストレートアスファルト60/80を100質量部にポリオレフィンワックス(1)を100質量部とロジンエステル系樹脂ベンセルD‐135(荒川化学工業社製)を100質量部加えて150℃で10分加熱混合し、ポリオレフィンワックス組成物(7)を作製した。
[アスファルト組成物1]
ストレートアスファルト60/80を100質量部にポリオレフィンワックス(1)を100質量部とPR140を100質量部加えて150℃で10分加熱混合し、アスファルト組成物(1)を作製した。
[アスファルト組成物2]
ストレートアスファルト60/80を100質量部にハイワックス220Pを100質量部とPR140を100質量部加えて150℃で10分加熱混合し、アスファルト組成物(2)を作製した。
[実施例1〜6]
(社)日本道路協会発行の舗装要綱に規定されている方法の密粒度(13)アスファルト混合物にポリオレフィンワックス組成物(1)を加熱混合して、マーシャル特性値試験用の試験体やホイールトラッキングによる動的安定度用試験体を作製し、評価試験に供した。その配合量および結果を表2に示す。アスファルトにはストレートアスファルト60/80を使用し、混合温度を115℃〜120℃、締固め温度を105〜110℃とした。
[実施例7]
アスファルト組成物(1)を用いて骨材と加熱混合して、密粒度(13)アスファルト混合物を作製し、評価試験に供した。その結果を表2に示す。混合温度を115℃〜120℃、締固め温度を105〜110℃とした。
[比較例1]
混合温度を152℃〜157℃、締固め温度を140℃〜145℃にて密粒度(13)アスファルト混合物を作製し、マーシャル特性値試験および動的安定度用試験を行った。
[比較例2]
混合温度を115℃〜120℃、締固め温度を105〜110℃にて密粒度(13)アスファルト混合物を作製し、マーシャル特性値試験および動的安定度用試験を行った。
[比較例3〜6]
混合温度を115℃〜120℃、締固め温度を105〜110℃にて密粒度(13)アスファルト混合物を作製し、マーシャル特性値試験および動的安定度用試験を行った。その配合量および結果を表3に示す。
[比較例7]
アスファルト組成物(2)を用いて骨材と加熱混合して、密粒度(13)アスファルト混合物を作製し、評価試験に供した。その結果を表2に示す。混合温度を115℃〜120℃、締固め温度を105〜110℃とした。
Figure 0004589763
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本発明のアスファルト混合物を用いることにより、熱エネルギーを抑制したアスファルト舗装を得ることができる。また、施工温度が低減できるため作業性の改善や工事期間の短縮にも有用である。

Claims (11)

  1. (i)アスファルト100質量部、
    (ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000の範囲にあり、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が65〜130℃の範囲にあり、密度勾配管法で測定した密度が850〜980kg/m3の範囲にあり、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc(℃)、降温速度2℃/分で測定)と、前記密度(D(kg/m3))との関係が下記式(I)
    0.501×D−366 ≧ Tc …(I)
    で示される関係を満たし、メタロセン系触媒を用いて製造されたポリオレフィンワックス0.5質量部〜10質量部、及び
    (iii)樹脂0.5質量部〜10質量部
    を含むアスファルト組成物。
  2. ポリオレフィンワックスが、ポリオレフィンワックスを酸化変性または酸グラフト変性した変性ポリオレフィンワックスである請求項1に記載のアスファルト組成物。
  3. 樹脂が、天然系樹脂または合成系樹脂である請求項1または請求項2に記載のアスファルト組成物。
  4. (i)アスファルト100質量部及び
    (ii)ポリオレフィンワックスと樹脂の合計量1質量部〜15質量部
    を含む請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のアスファルト組成物。
  5. ポリオレフィンワックスと樹脂の質量比が5/95〜95/5の範囲である請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のアスファルト組成物。
  6. 少なくとも、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のアスファルト組成物と骨材を含むアスファルト混合物。
  7. メタロセン系触媒を用いてポリオレフィンワックスを製造する工程と、
    前記ポリオレフィンワックス、アスファルト、及び樹脂を加熱混合する工程と、
    を有する請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のアスファルト組成物の製造方法。
  8. メタロセン系触媒を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000の範囲にあり、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が65〜130℃の範囲にあり、密度勾配管法で測定した密度が850〜980kg/m 3 の範囲にあり、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc(℃)、降温速度2℃/分で測定)と、前記密度(D(kg/m 3 ))との関係が下記式(I)
    0.501×D−366 ≧ Tc …(I)
    で示される関係を満たすポリオレフィンワックスを製造する工程と、
    前記製造されたポリオレフィンワックス0.5質量部〜10質量部と、アスファルト100質量部、樹脂0.5質量部〜10質量部、及び骨材とを加熱混合する工程と、
    を有するアスファルト混合物の製造方法。
  9. ポリオレフィンワックスが、ポリオレフィンワックスを酸化変性または酸グラフト変性した変性ポリオレフィンワックスである請求項8に記載のアスファルト混合物の製造方法。
  10. 樹脂が、天然系樹脂または合成系樹脂である請求項8または請求項9に記載のアスファルト混合物の製造方法。
  11. 前記加熱混合する工程が、前記製造されたポリオレフィンワックス、アスファルト、及び樹脂を加熱混合して、アスファルト組成物を製造する工程と、前記製造されたアスファルト組成物、及び骨材を加熱混合する工程と、を含む請求項8〜請求項10の何れか1項に記載のアスファルト混合物の製造方法。
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