JP4588835B2 - リポ蛋白分離分析法、リポ蛋白分離分析装置、およびリポ蛋白分離分析システム - Google Patents

リポ蛋白分離分析法、リポ蛋白分離分析装置、およびリポ蛋白分離分析システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医学、生物学などの分野で用いられる血清、血漿などの試料中に含まれるリポ蛋白の分離分析に関する。特に、本発明は、電気泳動法を用いてリポ蛋白中のアポ蛋白の量的および質的異常からリポ蛋白の変性を推定するリポ蛋白分離分析法、リポ蛋白分離分析装置、およびリポ蛋白分離分析システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
血清または血漿中のリポ蛋白は脂質と蛋白質とが複合体を形成したものであって、リポ蛋白中にはコレステロール、リン脂質および中性脂肪が含まれている。したがって、リポ蛋白の異常は脂質代謝異常を反映しており、血清または血漿中に含まれるリポ蛋白を分画し、それをもとにしてリポ蛋白の量的および質的異常を検討することで脂質代謝異常を推定することができる。そのため、リポ蛋白分離分析法は、高脂血症、冠動脈硬化症、甲状腺機能低下症、閉塞性肝疾患、糖尿病、腎不全などの脂質代謝に影響を及ぼす疾患の診断や治療にとって大切な臨床検査の一つとなっている。
【0003】
リポ蛋白分画法としては、超遠心法や、アガロース膜、セルロース・アセテート膜またはポリアクリルアミドゲル(PAG)を支持体として用いた電気泳動法によるものが従来から知られている。
【0004】
超遠心法では、血清中のリポ蛋白は、該リポ蛋白の比重にもとづいて、HDL(高比重リポ蛋白)、LDL(低比重リポ蛋白)、VLDL(超低比重リポ蛋白)、およびCM(カイロミクロン)に分離される。しかし、超遠心法は、超遠心機にかける試料の調製などに手間がかかると共に分離に長時間要し、また分離状況を把握する際に試料をさらに細分画化させる必要がある。そのため、臨床検査の現場において、各分画の増減や特定の疾患に特有の分画の検出を目的とするルーチン検査として超遠心法によるリポ蛋白の分離分析を行うことは困難である。
【0005】
一方、溶液中のリポ蛋白を移動度の違いから分画する電気泳動法は、リポ蛋白の分離状況を視覚的に捕えることができる。そのため、日常の検査では多くの場合、電気泳動法を用いてリポ蛋白の分離分析を行っている。このような電気泳動法によるリポ蛋白の分離分析の結果と、上述の超遠心法による結果とは良い相関を示す。電気泳動法を用いてリポ蛋白を分画すると、α(HDL)、preβ(VLDL)、β(LDL)、および原点(カイロミクロン)に分離される。さらに、それらをファットレッド7Bなどの脂質染色剤で各分画に含まれる脂質を染色することにより、各分画の有無や濃度を測定することができる。なお、当業者の便宜を図るため、従来の超遠心法によって得られるリポ蛋白分画の各々の名称を、上記電気泳動の各分画名に添えた括弧内に記載した。
【0006】
リポ蛋白の基本構造は、中性脂肪(トリグリセライド)およびコレステロールエステルから形成された芯の部分と、リン脂質および遊離コレステロールから形成され、かつ前記芯の部分を覆う単層膜と、その膜の表面に付着した一種類以上のアポ蛋白とから構成される。アポ蛋白の種類は、リポ蛋白の各分画ごとに異なる。すなわち、主に、HDL中のアポ蛋白は、アポ蛋白A-I、A-II、A-IV、C-I、C-II、C-IIIおよびEである。VLDL中のアポ蛋白は、アポ蛋白C-I、C-II、C-III、E、B-100である。LDL中のアポ蛋白は、アポ蛋白B-100である。カイロミクロン中のアポ蛋白は、アポ蛋白A-I、A-II、A-IV、C-I、C-II、C-III、E、B-48である。電気泳動法では、リポ蛋白中に含まれる各アポ蛋白の等電点の違いが各分画の移動度の違いとして反映される。
【0007】
ところで、動脈硬化は冠動脈疾患などの成人病の原因となるため、動脈硬化を予防または治療することが基礎および臨床医学において大きな課題となっている。特に、若年者の動脈硬化の患者数が近年増大していること、および糖尿病患者も動脈硬化を起こし易いこと、などから血清中の脂質の管理がより厳密化されてきた。例えば、フラミンガム研究所などの疫学調査によって、冠動脈疾患の原因となる粥状動脈硬化症の最大の危険因子として、血清コレステロール値、特に低比重リポ蛋白(LDL)中のコレステロール値の関与が明らかにされている。LDL中のコレステロールが動脈硬化を引き起こす素因は、マクロファージが特異的なレセプターを介して変性LDLを取り込むことにより泡沫化し、その残骸が血管壁に付着することにある。それ故、変性LDLのスクリーニング検査が必要となる。
【0008】
ここで「変性LDL」とは、酸化LDL、アセチルLDL、糖化LDL、MDA−LDL(マロンジアルデヒドLDL)等、種々の修飾を受けたLDLの総称である。さらに、本明細書で使用される「変性」という用語は、当業者が脂質や蛋白質の変性について通常用いる広義の意味における「変性」である。例えば、血液試料に含まれるリポ蛋白質成分の場合、体内の脂質代謝異常等、in vivo系における物理的または化学的環境の変化に起因する変性のみならず、血液を採取した後のin vitro系における物理的または化学的環境の変化に起因する変性をも含むことは、具体例を挙げるまでもなく当業者に容易に理解されよう。
【0009】
一般に、小粒子化したLDLは酸化されやすいと言われている。そのため、変性LDLのスクリーニング検査として、リポ蛋白中の小粒子化したLDLの割合を検出する試みがなされている。その一例として、所定のポアサイズを有し、分子篩効果が高いポリアクリルアミドゲル(PAG)を用いた電気泳動法により、リポ蛋白分画を行う方法がある。この方法によれば、PAGの分子篩効果により、リポ蛋白は、粒子の最も小さい(最も移動度が大きくなる)HDLが先に分離され、次にLDL、VLDL、カイロミクロンの順で分離される。すなわち、PAG電気泳動法によるリポ蛋白分画では、リポ蛋白中の各粒子の等電点の違いというよりも、むしろリポ蛋白中の各粒子の大きさの違いにもとづいてリポ蛋白が分画されることになる。
【0010】
PAG電気泳動法を利用して小粒子化したLDLの割合を検出する具体的な方法として、VLDL分画の位置を基準にして各分画間の相対移動距離を用いるものが挙げられる。この方法は、PAGを用いて電気泳動を行い、VLDL分画の中心位置からLDL分画の中心位置までの泳動距離を(x)、VLDL分画の中心位置からHDL分画の中心位置までの泳動距離を(y)として、これらの比(x/y)から相対移動距離(Rf値またはRm値)を求める。そして、得られた値と、正常値とを比較することによって小粒子化したLDLの割合を求めるものである。なお、正常値とは、LDLが小粒子化していないリポ蛋白について、同様にして求めた相対移動距離の値を意味する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のPAG電気泳動法によるリポ蛋白の分離分析では、小粒子化したLDLの割合を求めることを目的としており、電気泳動後のVLDL分画およびHDL分画を基準にしてLDL分画の相対移動距離を求める。したがって、得られた相対移動距離はリポ蛋白中の各粒子の大きさの違いを反映したものとなるが、リポ蛋白中の各粒子が異なる種類や異なる数のアポ蛋白を持つことによる特定のアポ蛋白の質的異常または量的異常を反映したものとはならない。特に、アポ蛋白B−100が何らかの修飾を受けて変性したLDLの分画と、LDLが変性していない正常なLDLの分画との比較を行う上では、好ましい方法とはいえない。その一方で、リポ蛋白中のアポ蛋白は体内における脂質代謝に直接関与しているため、アポ蛋白の異常を捕らえることは臨床的に非常に有効であると考えられている。
【0012】
したがって、本発明の目的は上述の課題を解決し、リポ蛋白中のアポ蛋白の量的または質的異常および何らかの化学的修飾に起因する等電点の変化にもとづいてリポ蛋白の変性、特にLDLの変性の度合いを簡易に求めるためのリポ蛋白分離分析法、リポ蛋白分離分析装置、およびリポ蛋白分離分析システムを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明にもとづく第1の態様は、所定成分を有するリポ蛋白を含む標準試料の電気泳動図と、前記所定成分と同種の成分を有するリポ蛋白を含む検体試料の電気泳動図とを用いて、前記検体試料中の所定成分の変性の度合いを判断するリポ蛋白分離分析装置であって、
前記標準試料および前記検体試料の電気泳動を行い各試料のリポ蛋白を分画し、次いで前記各リポ蛋白中の各所定成分をそれぞれ染色により検出する試薬を用いて前記各所定成分を染色し、それにより前記各所定成分の可視化された各電気泳動図を作製する電気泳動図作製手段と、
前記各所定成分の可視化された各電気泳動図を光学的にスキャンして、該各電気泳動図を光学密度の波形に変換して前記各所定成分の各波形図を作製する波形図作製手段と、
前記各波形図を数学的に処理して前記検体試料中の所定成分の変性の度合いを判断する手段
とを備えてなり、
前記所定成分の変性の度合いを判断する手段が、
前記標準試料の所定成分の波形図から、該標準試料の塗布点と該標準試料中の所定成分に対応する分画の中心位置との距離(a)を求める第1の手段と、
前記検体試料の所定成分の波形図から、該検体試料の塗布点と該検体試料中の所定成分に対応する分画の中心位置との距離(b)を求める第2の手段と、
前記距離(a)と前記距離(b)とを比較し、前記標準試料に対する前記検体試料の相対移動率{z(=b/a)}を求める第3の手段
とを備え、前記相対移動率(z)にもとづいて前記検体試料中の所定成分の変性の度合いを判断することを特徴とするリポ蛋白分離分析装置に関する。
【0014】
ここで、リポ蛋白分離分析装置は、前記所定成分の変性の度合いを判断する手段において、前記第3の手段によって求められた前記相対移動率{z(=b/a)}を式:
M= b/a − 1=(b−a)/a ・・・・・(1)
に代入することによって、前記所定成分の変性の度合いを前記所定成分の変性の割合(M)として求めることが好ましい。
【0015】
ここで、リポ蛋白分離分析装置は、前記所定成分の変性の度合いを判断する手段において、前記第3の手段によって求められた前記相対移動率{z(=b/a)}を式:
M’= k(b/a − 1)=k(b−a)/a ・・・・・(2)
[式中、kは定数(k>0)]
に代入することによって、前記所定成分の変性の度合いを前記所定成分の変性度数(M’)として求めることが好ましい。
【0016】
ここで、前記標準試料は標準血清であり、前記検体試料は血清であることが好ましい。
【0017】
ここで、前記所定成分は、低比重リポ蛋白であることが好ましい。
【0018】
ここで、前記所定成分は、脂質であることが好ましい。
【0019】
ここで、前記電気泳動は、アガロースゲルを主成分とする支持体を用いる電気泳動装置によって実施されることが好ましい。
【0020】
本発明にもとづく第2の態様は、所定成分を有するリポ蛋白を含む標準試料の電気泳動図と、前記所定成分と同種の成分を有するリポ蛋白を含む検体試料の電気泳動図と、前記所定成分の指標と成り得るマーカー成分を含む指標試料の電気泳動図とを用いて、前記検体試料中の所定成分の変性の度合いを判断するリポ蛋白分離分析装置であって、
前記標準試料と前記検体試料と前記指標試料との電気泳動をそれぞれ行って各試料を分画し、次いで前記標準および検体試料の各分画中の所定成分と前記指標試料の分画中のマーカー成分とをそれぞれ染色により検出する試薬を用いて各成分を染色し、それにより前記各成分の可視化された各電気泳動図を作製する電気泳動図作製手段と、
前記可視化された各電気泳動図を光学的にスキャンして各電気泳動図を光学密度の波形に変換して前記各所定成分および前記マーカー成分の各波形図を作製する波形図作製手段と、
前記各波形図を数学的に処理して前記検体試料中の所定成分の変性の度合いを判断する手段
とを備えてなり、
前記所定成分の変性の度合いを判断する手段は、第1の測定手段と第2の測定手段とを有し、これら2つの測定手段によって求めた前記検体試料の相対移動率にもとづいて前記検体試料中の所定成分の変性の度合いを判断する手段であり、
前記第1の測定手段は、
前記標準試料の波形図から、前記標準試料の塗布点と該標準試料中の所定成分に対応する分画の中心位置との距離(a)を求める第1の手段と、
前記指標試料の波形図から、前記指標試料の塗布点と該指標試料中のマーカー成分に対応する分画の中心位置との距離(c)を求める第2の手段と、
前記距離(a)と前記距離(c)とを比較し、前記標準試料に対する前記指標試料の相対移動率{z1(=c/a)}を求める第3の手段
とを備え、および
前記第2の測定手段は、
前記検体試料の波形図から、前記検体試料の塗布点と該検体試料中の所定成分に対応する分画の中心位置との距離(b)を求め、前記指標試料の波形図から、前記指標試料の塗布点と該指標試料中のマーカー成分に対応する分画の中心位置との距離(c)を求める第4の手段と、
前記第1の測定手段によって求められた相対移動率(z1)と、前記第2の測定手段によって求められた前記距離(b)と前記距離(c)とから、前記検体試料の前記標準試料に対する相対移動率{z2(=b/a=b・z1/c)}を求める第5の手段
とを備えることを特徴とするリポ蛋白分離分析装置に関する。
【0021】
ここで、リポ蛋白分離分析装置は、前記所定成分の変性の度合いを判断する手段において、前記第5の手段によって求められた前記相対移動率{z2(=b/a=b・z1/c)}を式:
M= b・z1/c − 1 ・・・(3)
に代入することによって、前記所定成分の変性の度合いを前記所定成分の変性の割合(M)として求めることが好ましい。
【0022】
ここで、リポ蛋白分離分析装置は、前記所定成分の変性の度合いを判断する手段において、前記第5の手段によって求められた前記相対移動率{z2(=b/a=b・z1/c)}を式:
M’= k(b・z1/c − 1) ・・・・・(4)
[式中、kは定数(k>0)]
に代入することによって、前記所定成分の変性の度合いを前記所定成分の変性度数(M’)として求めることが好ましい。
【0023】
ここで、前記標準試料は標準血清であり、前記検体試料は血清であり、前記指標試料は安定化剤を加えて保存されていた血清であることが好ましい。
【0024】
ここで、前記標準試料は標準血清であり、前記検体試料は血清であり、前記指標試料はマーカーと成り得るアルコール脱水素酵素を含むことが好ましい。
【0025】
ここで、前記第2の測定手段において、前記第4の手段が前記指標試料と前記検体試料とを混合してなる試料を電気泳動することにより前記距離(b)と前記距離(c)とを同時に求める手段であることが好ましい。
【0026】
ここで、前記第1の所定成分は、低比重リポ蛋白であることが好ましい。
【0027】
ここで、前記第1の所定成分は、脂質であることが好ましい。
【0028】
ここで、前記電気泳動は、アガロースゲルを主成分とする支持体を用いる電気泳動装置によって実施されることが好ましい。
【0029】
本発明にもとづく第3の態様は、所定成分を有するリポ蛋白を含む標準試料の電気泳動図と、前記所定成分と同種の成分を有するリポ蛋白を含む検体試料の電気泳動図とを用いて、前記検体試料中の所定成分の変性の度合いを判断するリポ蛋白分離分析法であって、
前記標準試料および前記検体試料の電気泳動を行い各試料のリポ蛋白を分画し、次いで前記各リポ蛋白中の各所定成分をそれぞれ染色により検出する試薬を用いて前記各所定成分を染色し、それにより前記各所定成分の可視化された各電気泳動図を作製する電気泳動図作製工程と、
前記各所定成分の可視化された各電気泳動図を光学的にスキャンして、該各電気泳動図を光学密度の波形に変換して前記各所定成分の各波形図を作製する波形図作製工程と、
前記各波形図を数学的に処理して前記検体試料中の所定成分の変性の度合いを判断する工程
とを有してなり、
前記所定成分の変性の度合いを判断する工程が、
前記標準試料の所定成分の波形図から、該標準試料の塗布点と該標準試料中の所定成分に対応する分画の中心位置との距離(a)を求める第1の工程と、
前記検体試料の所定成分の波形図から、該検体試料の塗布点と該検体試料中の所定成分に対応する分画の中心位置との距離(b)を求める第2の工程と、
前記距離(a)と前記距離(b)とを比較し、前記標準試料に対する前記検体試料の相対移動率{z(=b/a)}を求める第3の工程
とを有し、前記相対移動率(z)にもとづいて前記検体試料中の所定成分の変性の度合いを判断することを特徴とするリポ蛋白分離分析法に関する。
【0030】
ここで、リポ蛋白分離分析法は、前記所定成分の変性の度合いを判断する工程において、前記第3の工程によって求められた前記相対移動率{z(=b/a)}を式:
M= b/a − 1=(b−a)/a ・・・・・(1)
に代入することによって、前記所定成分の変性の度合いを前記所定成分の変性の割合(M)として求めることが好ましい。
【0031】
ここで、リポ蛋白分離分析法は、前記所定成分の変性の度合いを判断する工程において、前記第3の工程によって求められた前記相対移動率{z(=b/a)}を式:
M’= k(b/a − 1)=k(b−a)/a ・・・・・(2)
[式中、kは定数(k>0)]
に代入することによって、前記所定成分の変性の度合いを前記所定成分の変性度数(M’)として求めることが好ましい。
【0032】
ここで、前記標準試料は標準血清であり、前記検体試料は血清であることが好ましい。
【0033】
ここで、前記所定成分は、低比重リポ蛋白であることが好ましい。
【0034】
ここで、前記所定成分は、脂質であることが好ましい。
【0035】
ここで、前記電気泳動は、アガロースゲルを主成分とする支持体を用いる電気泳動装置によって実施されることが好ましい。
【0036】
本発明にもとづく第4の態様は、上述のリポ蛋白分離分析法を実行するためのプログラミングが格納されていることを特徴とする記録媒体に関する。
【0037】
本発明にもとづく第5の態様は、上述の記録媒体に格納されたプログラミングを実行するコンピュータと、該コンピュータからの前記プログラミングにもとづいた命令に従って動作するリポ蛋白分離分析装置とを有することを特徴とするリポ蛋白分離分析システムに関する。
【0038】
本発明にもとづく第6の態様は、所定成分を有するリポ蛋白を含む標準試料の電気泳動図と、前記所定成分と同種の成分を有するリポ蛋白を含む検体試料の電気泳動図と、前記所定成分の指標と成り得るマーカー成分を含む指標試料の電気泳動図とを用いて、前記検体試料中の所定成分の変性の度合いを判断するリポ蛋白分離分析法であって、
前記標準試料と前記検体試料と前記指標試料との電気泳動をそれぞれ行って各試料を分画し、次いで前記標準および検体試料の各分画中の所定成分と前記指標試料の分画中のマーカー成分とをそれぞれ染色により検出する試薬を用いて各成分を染色し、それにより前記各成分の可視化された各電気泳動図を作製する電気泳動図作製工程と、
前記可視化された各電気泳動図を光学的にスキャンして各電気泳動図を光学密度の波形に変換して前記各所定成分および前記マーカー成分の各波形図を作製する波形図作製工程と、
前記各波形図を数学的に処理して前記検体試料中の所定成分の変性の度合いを判断する工程
とを有してなり、
前記所定成分の変性の度合いを判断する工程は、第1の測定工程と第2の測定工程とを有し、これら2つの測定工程によって求めた前記検体試料の相対移動率にもとづいて前記検体試料中の所定成分の変性の度合いを判断する工程であり、
前記第1の測定工程は、
前記標準試料の波形図から、前記標準試料の塗布点と該標準試料中の所定成分に対応する分画の中心位置との距離(a)を求める第1の工程と、
前記指標試料の波形図から、前記指標試料の塗布点と該指標試料中のマーカー成分に対応する分画の中心位置との距離(c)を求める第2の工程と、
前記距離(a)と前記距離(c)とを比較し、前記標準試料に対する前記指標試料の相対移動率{z1(=c/a)}を求める第3の工程
とを有し、および
前記第2の測定工程は、
前記検体試料の波形図から、前記検体試料の塗布点と該検体試料中の所定成分に対応する分画の中心位置との距離(b)を求める第4の工程と、
前記指標試料の波形図から、前記指標試料の塗布点と該指標試料中のマーカー成分に対応する分画の中心位置との距離(c)を求める第5の工程と、
前記第1の測定工程によって求められた相対移動率(z1)と、前記第2の測定工程によって求められた前記距離(b)と前記距離(c)とから、前記検体試料の前記標準試料に対する相対移動率{z2(=b/a=b・z1/c)}を求める第6の工程
とを有することを特徴とするリポ蛋白分離分析法に関する。
【0039】
ここで、リポ蛋白分離分析法は、前記所定成分の変性の度合いを判断する工程において、前記第6の工程によって求められた前記相対移動率{z2(=b/a=b・z1/c)}を式:
M= b・z1/c − 1 ・・・・・(3)
に代入することによって、前記所定成分の変性の度合いを前記所定成分の変性の割合(M)として求めることが好ましい。
【0040】
ここで、リポ蛋白分離分析法は、前記所定成分の変性の度合いを判断する工程において、前記第6の工程によって求められた前記相対移動率{z2(=b/a=b・z1/c)}を式:
M’= k(b・z1/c − 1) ・・・・・(4)
[式中、kは定数(k>0)]
に代入することによって、前記所定成分の変性の度合いを前記所定成分の変性度数(M’)として求めることが好ましい。
【0041】
ここで、前記標準試料は標準血清であり、前記検体試料は血清であり、前記指標試料は安定化剤を加えて保存されていた血清であることが好ましい。
【0042】
ここで、前記標準試料は標準血清であり、前記検体試料は血清であり、前記指標試料はマーカーと成り得るアルコール脱水素酵素を含むことが好ましい。
【0043】
ここで、前記第2の測定工程において、前記指標試料と前記検体試料とを混合した状態で電気泳動することにより、前記第4の工程と前記第5の工程とを同時に行うことが好ましい。
【0044】
ここで、前記第1の所定成分は、低比重リポ蛋白であることが好ましい。
【0045】
ここで、前記第1の所定成分は、脂質であることが好ましい。
【0046】
ここで、前記電気泳動は、アガロースゲルを主成分とする支持体を用いる電気泳動装置によって実施されることが好ましい。
【0047】
本発明にもとづく第7の態様は、上述のリポ蛋白分離分析法を実行するためのプログラミングが格納されていることを特徴とする記録媒体に関する。
【0048】
本発明にもとづく第8の態様は、上述の記録媒体に格納されたプログラミングを実行するコンピュータと、該コンピュータからの前記プログラミングにもとづいた命令に従って動作するリポ蛋白分離分析装置とを備えることを特徴とするリポ蛋白分離分析システムに関する。
【0049】
なお、上記リポ蛋白分離分析法および上記リポ蛋白分離分析装置において、アガロース支持体の電気泳動装置を利用する場合、支持体にはアガロース薄膜を使用する。また、支持体としてアガロースと寒天との混合物からなる薄膜を使用することもできる(このような支持体を以下、アガロースゲル薄膜ともいう。)。
【0050】
これらのアガロース支持体は、緩衝液に対してアガロースまたはアガロースゲルを0.4%(W/W)〜1.2%(W/W)、より好ましくは0.5%(W/W)〜0.8%(W/W)の濃度範囲で用いた溶液から作製することが好ましい。また、電気泳動の際の印加電圧は、長さ120mm、幅130mm、膜厚500μmのアガロース薄膜を使用した場合、200〜500Vとすることが好ましい。さらに、アガロース支持体には、0.01〜0.5%(W/W)程度の牛血清アルブミン(BSA)が含まれていることが好ましい。
【0051】
アガロース支持体のかわりに、セルロース・アセテート、寒天などを支持体とする電気泳動装置、あるいはキャピラリ電気泳動装置を用いることもできる。
【0052】
【発明の実施の形態】
本発明のリポ蛋白分離分析法は、電気泳動法を用い、リポ蛋白に含まれるアポ蛋白の量的および質的異常に起因する等電点の変化にもとづいてリポ蛋白の変性を検討する。ここでは、主に肝臓で合成されるコレステロールを他の組織に運ぶLDLを例に挙げて説明する。
【0053】
LDLは、動脈硬化性疾患(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞など)の危険因子であり、LDLの量的および質的異常を検討することは動脈硬化性疾患の診断および治療にとって重要である。すでに説明したように、LDLは、アポ蛋白がB-100のみであり、LDLを構成する脂質成分が変性を起こすとアポ蛋白B-100の陰性荷電の量が変化する。そのため、変性脂質を持つLDL(以下、変性LDLともいう)を含む試料を等電点で電気泳動し分離させると、変性LDLは標準試料(変性脂質を含まないと仮定する試料)のLDLと異なる移動度を示す。本発明者は、正常LDLと変性LDLとの移動度の違いに着目して、以下に説明するような電気泳動法を用いたリポ蛋白分離分析法を発明した。
【0054】
<電気泳動法を用いたリポ蛋白の分離および分析>
本発明にもとづくリポ蛋白分離分析法に適用される電気泳動法は、例えばアガロースまたはセルロース・アセテートを主成分とする支持体を用いることが可能である。ここでは、アガロースを支持体として用いる電気泳動法について説明する。アガロースは、分子が互いに水素結合して網目構造を持ち、溶液の調製が容易であること、無毒であること、泳動後の抽出操作が容易であること、などの理由から、核酸およびタンパク質の電気泳動における支持体として用いられている。
【0055】
本発明では、リポ蛋白の脂質分離を可能にする支持体のアガロース濃度を検討した結果として、トリス・バルビタール、バルビタールソーダ・トリシンなどの緩衝液にアガロースを0.5%(W/W)〜1.2%(W/W)までの濃度範囲で溶解させて作製した支持体を使用した。
【0056】
また、長さ120mm、幅130mm、膜厚500μmのアガロース薄膜を支持体として使用した場合、電気泳動の際の印加電圧は300〜500V、30〜70mA程度とする。ただし、電気泳動中のアガロース支持体の温度は、一般に10℃〜25℃の範囲において一定でなければならない。また、その支持体上の温度分布は、好ましくは±1℃以内、より好ましくは±0.5℃以内である。なぜなら、温度によって移動度が変化するためである。
【0057】
本発明で使用するアガロース支持体には、0.01%〜0.5%、好ましくは0.04%〜0.2%の牛血清アルブミン(BSA)が含まれる。なぜなら、血清中の遊離脂肪酸が一定量以上になると、HDL,VLDL,LDLなどの分離速度に影響を与えるが、BSAを支持体に含ませておくことにより、分離速度の変化を防ぐことができるからである。
【0058】
電気泳動装置の方式としては水平型と垂直型とが知られているが、どちらを使用してもよい。しかし、本発明では、水平型の電気泳動装置を用いた場合について説明する。なお、本発明では電気泳動装置として、HELENA LABORATORIES COPORATION(米国)のREPを使用したが、これに限定されるものではない。
【0059】
本発明にもとづくリポ蛋白分離分析法の原理について、図1を参照しながら説明する。図中、参照符号100はアガロース支持体上に形成された電気泳動図(以下、単に泳動図ともいう)、参照符号101は支持体に形成された試料孔(塗布点ともいう)、さらに参照符号102および103はデンシトメータ(これについては後述する)と支持体との位置合わせに利用されるセットピン穴である。この図では、5つの試料孔101に塗布されたそれぞれ異なる5種類の試料を電気泳動することによって得られた5通りの泳動パターンが示されている。
【0060】
まず、第1の試料と第2の試料とにもとづいたリポ蛋白分離分析の一例を説明する。第1の試料(以下、標準試料(1)ともいう)は、標準血清である。すなわち、心臓、血管疾患などの血清リポタンパクに影響を及ぼす病気を罹患していない健康な若年層から採取した平均的な血清であり、LDLの変性がないものと仮定する。図1では、この標準試料(1)を電気泳動して得られるLDL(低比重リポタンパク質)、VLDL(超低比重リポタンパク質)、およびHDL(高比重リポタンパク質)の各分画が示されている。なお、塗布点101からLDL分画の中心位置までの距離を(a)とする。
【0061】
第2の試料(以下、検体試料(2)ともいう)は、心臓、血管疾患などの血清リポ蛋白に影響を及ぼす病気に罹患している、またはその疑いがある患者から採取した血清である。この血清は、LDLが変性している可能性が高い。この検体試料(2)を電気泳動した場合も第1の試料と同様に、LDL、VLDL、およびHDLの各分画が得られる。しかし、図に示すように、検体試料(2)の各分画の移動度は標準試料(1)のものと異なる。ここでは、検体試料(2)の塗布点101からLDLに相当する分画(以下、単にLDL分画ともいう)104の中心位置までの距離を(b)とする。
【0062】
検体試料(2)のLDL分画104は、LDLが変性している場合、該変性LDLを構成するアポ蛋白B−100の陰性荷電が、標準試料(1)の正常LDLのものに比べて増加していると思われる。よって、変性LDLの分離速度は正常LDLの分離速度よりも速いため、距離(b)>距離(a)となる。したがって、例えば、距離(b)の距離(a)に対する相対移動率{z(=b/a)}を求め、距離(a)と距離(b)とを比較することにより、検体試料(2)に含まれるLDLの変性の度合いまたはLDL中に含まれる所定成分の変性の度合いを推定することができる。ここで、前記所定成分とは、リポ蛋白中に含まれるコレステロールなどの特定な脂質類、またはアポ蛋白などの蛋白質を意味する。
【0063】
LDLまたは該LDL中に含まれる所定成分の「変性の度合い」とは、LDLまたは脂質など所定成分の変性を後述する変性の割合、変数度数、分類記号、百分率などで示したものを含む。また、相対移動率そのもので表示したものも含まれる。
【0064】
変性の度合いの表示形式の一例を説明する。検体試料(2)に含まれるLDLが変性していない場合、(b)=(a)となり、相対移動率{z(=b/a)}は1である。したがって、相対移動率(z)から1を減ずることにより、検体試料の変性の割合(M)を求めることが可能である。すなわち、式:
M = b/a − 1=(b−a)/a ・・・・・(1)
に相対移動率(z)を代入することにより検体試料の変性の度合いを変性の割合(M)として表示することが可能となる。上式(1)によると、検体試料(2)が変性していない場合の相対移動率(z)は1であるため、検体試料の変性の割合(M)は0となる。(M)>0の場合、LDLは変性LDLと判断され、また(M)<0の場合も同様にLDLに何らかの異常が生じた変性LDLと判断される。一般に、Mの値が負になる場合は、肝・胆道疾患などの疑いがある。
【0065】
変性の度合いは、上記(1)に所定の定数(k)を適宜選択的に使用して、式:
M’= k(b/a − 1)=k(b−a)/a ・・・・(2)
[式中、kは定数(k>0)]
にしたがって、整数表示の変数度数(M’)で表示することもできる。
【0066】
その他、データを何段階に分類するかなどの適宜選択される処理方法に応じて、変性の度合いを大、中、小などの分類表示記号で表示することもできる。さらに別の表示形式として、百分率{(a)/(a+b)}によって表示する場合は、標準試料(1)の塗布点からLDLの距離(a)の割合からLDLの変性の度合いを見ることもできる。
【0067】
また、 肝・胆道疾患の疾患分別に、各疾患に対応した変性LDLを含む試料と標準試料(1)との相対移動度および変性の度合いに関するデータを、例えば後述するコンピュータの記憶装置に蓄積しておけば、検体試料(2)の距離(b)の値と標準試料(1)の距離(a)の値とをコンピュータに入力し、蓄積されたデータと比較することにより、検体試料(2)に対応する疾患の判断することが可能となる。
【0068】
次に、標準試料(1)の代わりに指標試料として第3の試料(以下、コントロール(3))を用いた場合について説明する。このコントロール(3)は、ヒト血清からなるもので、例えば、以下のようにして調製する。すなわち、総コレステロールと総トリグリセライド値とが正常範囲にある新鮮な血清を集め、安定化剤として100mgのEDTA・2Na・2H2Oと25gのサッカロースとの混合物を血清10ccに対して2.5gの割合で加える。次いで、これらを小分けして凍結乾燥して保存するか、−20℃で冷凍保存する。凍結乾燥して保存したコントロール(3)は、コントロール(3)と同体積の蒸留水または精製水などで溶かして使用する。また、冷凍保存したコントロール(3)は、室温で溶かして使用する。
【0069】
このようにして調製されたコントロール(3)を電気泳動すると図1に示すような泳動図が得られる。そこで、標準試料(1)が入手できなくても事前にコントロール(3)のLDLに相当する分画(以下、単にLDL分画ともいう)105の移動距離と試料(1)のLDL分画の移動距離との相対移動率を求めておくことにより、換算して変性の度合いを求めることもできる。
【0070】
例えば、塗布点からLDL分画の中心位置までの距離を標準試料(1)では(a)、検体試料(2)では(b)、さらにコントロール(3)では(c)とすれば、標準試料(1)に対するコントロール(3)の相対移動率(z1)は{z1(=c/a)}(すなわち、a=c/z1)で表される。一方、標準試料(1)に対する検体試料(2)の相対移動率(z2)は{z2(=b/a)}で表される。したがって、{z2(=b・z1/c)}となり、標準試料(1)の距離(a)が測定できなくても、コントロール(3)との相対移動率(z1)が予め分かっていれば、コントロール(3)の距離(c)と検体試料(2)の距離(b)とを測定することにより、相対移動率(z2)を求めることができる。また、得られた相対移動率(z2)を先に示したように任意に処理して、変性の度合いを求めることができる。
【0071】
次に、標準試料(1)またはコントロール(3)の代わりに、指標試料としてマーカーとなるアルコール脱水素酵素を用いた場合について説明する。
【0072】
図1において、第4の試料(以下、試料(4)ともいう)は、検体に馬由来のアルコール脱水素酵素からなるマーカー(指標試料)を添加し調製した試料である。また第5の試料(以下、試料(5)ともいう)は、検体に細菌由来のアルコール脱水素酵素からなるマーカーを添加し調製した試料である。
【0073】
馬または細菌由来のアルコール脱水素酵素からなるそれぞれのマーカーは、アルコール脱水素酵素を硫酸アンモニウム懸濁溶液として、試料50μLに対して1μLのアルコール脱水素酵素を加えた時にコレステロール濃度で80mg/dL程度の発色量となるように、それぞれの酵素と硫酸アンモニウムとの混合量を調整しておく。また、リポ蛋白中に含まれるコレステロールの変性の度合いを検討する場合において、アルコール脱水素酵素からなるマーカーを発色させるために、コレステロール測定試薬(例えば、K.K.HELENA KENKYUJYO(日本)から市販されているTITAN GEL S CHOLESTEROL.)1mLに、1μLのエタノールをアルコール脱水素酵素の基質として加えて使用する。その結果、コレステロール測定試薬中のエタノールおよびNADと、試料中のアルコール脱水素酵素とが反応することによって、NADがNADH+Hとなり、さらにコレステロール測定試薬中のジアホラーゼとテトラゾリウム塩とによって、コレステロール測定試薬とコレステロールとが反応した場合と同様にホルマザンを形成して発色する。なお、生成されるNADHは、蛍光測定試薬(例えば、Helena Laboratories Corporation(U.S.A.)のREP Flur Cholesterol Profile−Kit)を用いて蛍光測定することも可能である。
【0074】
このように調製された馬由来のアルコール脱水素酵素または細菌由来のアルコール脱水素酵素からなるマーカーと、検体とを混合して電気泳動すると、図1のような泳動図が得られる。マーカーと検体とからなる試料(4)を用いた場合、マーカーが検体から分離して、塗布点に対して検体に含まれるLDL分画104とは反対側に位置するマーカーに相当する分画106が得られる。この分画106を、すでに説明した標準試料(1)のLDL分画に相当する分画とみなす。試料(5)を用いた場合も同様に、VLDL分画とHDL分画との間に生じたマーカーに相当する分画107を標準試料(1)のLDL分画に相当する分画とみなす。
【0075】
どちらの場合も、事前に標準試料(1)の距離(a)と、試料(4)または(5)の塗布点からのマーカー分画の中心位置までの距離(c)との相対移動率を求めておくことによって、上記コントロール(3)を用いた場合と同様にして検体における変性LDLの変性の度合いを検討することができる。なお、試料(4)の場合は、マーカーに相当する分画を加算せずに、他の各分画の定量を容易に行うことができるといった長所がある。また、試料(5)の場合には、電気泳動中の温度管理を厳しく行わなくとも良いといった長所がある。
【0076】
なお、馬または細菌由来のアルコール脱水素酵素からなるマーカーを、コントロール(3)に加えて使用することもできる。
【0077】
以上、本発明にもとづくリポ蛋白分離分析法の原理について図1参照しながら説明した。しかし、変性の度合いは、標準試料または指標試料と検体試料との比較に限らず、同一試料間の変性の度合いについて検討することもできる。例えば、in vitroにおける検体試料の変性を元の同一検体試料に対する変性度として求める場合には、元の同一検体試料を標準試料として使用し、相対移動率の項に「1」を入力して測定すればよい。
【0078】
以上説明したアガロース支持体を用いた電気泳動法によるリポ蛋白分離分析法は、以下のように構成されるシステムによって実施することができる。
【0079】
<リポ蛋白分離分析システムの構成および動作>
図2は、本発明によるリポ蛋白分離分析システムの一構成例を示す図である。リポ蛋白分離分析システムは、リポ蛋白の分離を行う自動電気泳動装置201と、該自動電気泳動装置201によって得られた泳動図を読み取るデンシトメータ206と、自動電気泳動装置201およびデンシトメータ206の動作を制御し、かつデンシトメータ206からのデーターを本発明のリポ蛋白分離分析法にもとづいて処理し、その処理結果を表示画面、記憶媒体、記憶装置、プリンタなどに出力または格納するコンピュータ本体204とから概略構成される。
【0080】
自動電気泳動装置201は、一般に使用される電気泳動装置と同様の構成からなるもので、試料台214、アプリケータ212、試薬瓶立て218、および電気泳動槽216を有する。
【0081】
デンシトメータ206は、電気泳動によって分画された各成分の濃度を光の吸収と反射とを利用して測定する機器であり、コンピュータ本体204に接続されており、その動作はコンピュータによって制御されている。
【0082】
コンピュータは、コンピュータ本体204、入力装置(キーボード203、マウス208)、表示装置(CRT)202、および出力装置(プリンタ)205を備える。なお、図中の参照符号207は電気泳動装置201に電力を供給するための電源である。
【0083】
次に、上記のように構成されるリポ蛋白分離分析装置の動作について説明する。
【0084】
まず、はじめに自動電気泳動装置201を使用したリポ蛋白の分画化と該リポ蛋白の泳動図の作製を行う。なお、本発明に特徴的な点を除いて電気泳動法の一般的な操作は当業者によく知られたものであることから、説明を簡潔に行うことにする。
【0085】
試料の展開は、図1に示すように、標準試料(1)と検体試料(2)との組み合わせ、検体試料(2)とコントロール(3)との組み合わせで行うことができる。また、マーカを含む試料(4)あるいは試料(5)の場合は、それぞれ検体試料(2)と混合して単独で行うことができる。
【0086】
以下、図2に示すリポ蛋白分離分析装置システムを用いたリポ蛋白分離分析の一例を説明する。
【0087】
まず、所定量のアガロース溶液を固化させることで、電気泳動装置の支持体に用いるアガロース薄膜を作製する。この際、アガロース薄膜を所望の形状に作製するために、セットピン穴102および103(図1)に対応する穴が開けられたプラスチック薄膜と、これらの穴に対応し、かつ位置合わせを可能にするピンが設けられた金型とを使用する。この電気泳動装置では、アガロースの支持体が電気泳動用の緩衝液を保持できるような形状になっている。そのため、金型は、緩衝液を保持する電極部分は厚く、また試料塗布部に試料孔101が出来るようにパターン化されている。このような金型のピンに、上記プラスチック薄膜のセットピン穴102および103に対応する穴を合わせて、平板で上から押さえ、次いで金型にアガロース溶液を流し込み、固化させることによってアガロース薄膜が作製される。なお、アガロース薄膜は、予め作製して保存しておいたもの、またはK.K.HELENA KENKYUJYO(日本)から市販されているREP LIPO 30 PLATEなどの既製品を使用してもよい。
【0088】
次に、図2の電気泳動槽216において、分析に用いるアガロース薄膜の2カ所のセットピン穴102および103(図1)を、電気泳動槽216のセットピン(不図示)に差し込み、該電気泳動槽216の床に密着させる。両端が磁性体の試薬展開棒と電極棒とをアガロース薄膜(電気泳動用の支持体)に触れるようにして、磁石である電極に吸着させておき、電気泳動槽のドアを閉める。 試薬瓶立て218にコレステロール試薬瓶を準備して、試料台214に試料を採る。
【0089】
上述のように電気泳動の準備が終了した後、電気泳動が開始されて泳動図の作製が行われる。以下に泳動図の作製手順を、図3を参照しながら説明する。
【0090】
先ず、はじめにキーボード203から泳動開始の指示を入力する。そのことにより、コンピュータから電気泳動装置に泳動開始の指示が送られる。
【0091】
コンピュータ本体204から泳動開始の指示を自動電気泳動装置201が受けると、試料台214の試料が試料溝101に注入される(S301)。
【0092】
次に、アガロース薄膜に電圧が印加されて電気泳動が開始する(S302)。
【0093】
所定の時間が経過して、電気泳動が終了した後、コレステロール測定試薬などの発色試薬の展開を行い(S303)、アガロース薄膜に発色試薬を含ませ、所定の時間および所定の温度(例えば30℃)で反応させることにより、アガロース薄膜を染色する(S304)。なお、コレステロール成分を検出する発色試薬としては、K.K.HELENA KENKYUJYO(日本)から市販されているTITAN GEL S CHOLESTEROLなどのコレステロール測定試薬を使用することができる。
【0094】
次いで、染色されたアガロース薄膜を5パーセント酢酸で固定して(S305)、乾燥を行う(S306)。このような作業の結果、例えば図1に示すような泳動図が得られる。
【0095】
上述のような手順により泳動図を得た後、アガロース薄膜上に現れた泳動図を構成する各分画の濃度および位置をデンシトメータ206で読み取る。
【0096】
泳動図が描かれたアガロース薄膜をデンシトメータ206(図2)にセットする。すなわち、泳動図送り522(図5)のピンと、アガロース薄膜のセットピン穴102および103(図1)とを位置合わせする。泳動図の走査(スキャン)条件の設定は、コンピュータ本体204に接続されたCRT202に表示される画面上で行うことができる。そのような画面の一例を図4に示す。
コンピュータ本体204に格納されたプログラミング(所定のアプリケーション)を読み出し、図4に示すような走査条件設定画面(すなわち、スキャンパラメータ設定画面401)をCRT202(図2)に表示させる。スキャンパラメータ設定画面401において、項目名402から検査しようとする項目の名称を選択し、次いで、スキャン403を指示することにより測定が開始される。この画面上では、検査項目名402で「コレステロール」が選択されている。さらに詳しいスキャン条件の設定は、画面下部のパラメータ設定部404で行い、各パラメータ(条件)の入力には、マウス208およびキーボード203(図2)を利用する。予め設定されたデフォルトを用いてもよい。このデフォルトを変更する必要がない場合は、スキャンシークエンス(スキャンSeq.)405(図4)を入力するだけでよく、スキャン・ボタン403をマウス208(図2)でクリックするか、事前に定めたキーボード203上のショートカットキーを押す。
【0097】
デンシントメータ206(図2)による泳動図のスキャンを開始すると、泳動図がデンシトメータ内を搬送される速度のデータと、デンシトメータ206で検出される泳動図を透過する光量の変化のデータとがコンピュータ本体204に入力される。そして、それらのデータをもとにコンピュータ本体204によって泳動図を構成する各分画の相対位置および濃度が計算される。これらの過程について、図5を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0098】
図5は、デンシトメータおよびコンピュータの構成を説明するためのブロック図である。以下、説明を容易にするために、検体試料(2)とコントロール(3)とを組み合わせて電気泳動した場合について説明する。
【0099】
まず、はじめに、上記のように測定の準備が完了してスキャン・ボタン403が押されると測定が開始される。光学系524(図5)から発せられたビーム測定光(図中矢印B)はスリット(不図示)を通って泳動図100を通過する。ビーム測定光Bが泳動図100を通過することにより光量の一部が泳動図100に吸収され測定光Bが変化し、この変化量が起電力の変化として受光素子526で捕らえられる。受光素子526で捕らえた変化量を対数増幅器528で対数増幅して、A/D変換器530でデジタル値に変換し、コンピュータ204に内蔵された記録媒体(例えば、ハードディスク)に格納する。検査結果の出力を指示することにより、スキャン方向の横軸に対して積分値を縦軸としたグラフ532をCRT202上に表示したり、プリンタ205に出力することができる。また、コンピュータ204は、波形の積分値にもとづいて、各分画を百分率に変換して、すでに求められている総濃度から各分画の濃度を求めることもできる。なお、泳動図送り522のピンと泳動図のセットピン穴102,103(図1)とは一致しており、かつ試料の塗布位置はセットピン穴102,103で規定されるので、試料の塗布点は常に同じ位置に設定される。
【0100】
コレステロール測定試薬によって染色された、コレステロールを含むリポ蛋白の各分画は、発色試薬に依存する特定の吸光スペクトルを示すようになる。例えば、K.K.HELENA KENKYUJYO(日本)から市販されているTITAN GEL S CHOLESTEROLなどのコレステロール測定試薬を用いてコレステロールを検出すると、リポ蛋白中のコレステロール成分とコレステロール測定試薬中の成分とが反応してホルマザンが形成される。したがって、ホルマザンの吸収スペクトルに相当する570nmの波長で泳動図をスキャンすることができる。得られたリポ蛋白分画(コレステロール)に関するグラフは、ハードディスクなどの記録媒体に格納される。このようにして記録媒体に格納されたリポ蛋白分画に関するグラフの一例を、図10から図12に示す(これらについては後述する)。
【0101】
コンピュータ本体204は、泳動図送り522と同期がとれており、泳動図送りの位置情報を得ている。 キーボード203はコンピュータ本体204への指示またはデータの入力を行う際に使用される。プリンター205は、検査結果の報告書作成時に使用される。I/O変換器534は、外部コンピュータの端末機器とのデータのやりとりなどの交信のために使用される。
【0102】
図6および図7は、コンピュータに接続されたCRT202上に表示される画面であり、塗布位置、コントロール値(データ)などの入力や登録を行う画面である。
【0103】
塗布位置604(図6)をマウス208(図2)でクリックして電気泳動用の支持体における試料の塗布点を設定する。 例えば、リポ蛋白分画としてコレステロールの分画測定を行う場合には、項目名601で「コレステロール」を指示する。次いで、スキャン開始(begin)602、スキャン終了(end)603にデータを入力する。光学系のスリット状ビーム光を泳動図100の塗布点101(図1)と一致させ、塗布位置604をマウス208(図2)でクリックすると、塗布位置607(図6)に塗布位置のデータ、例えば数字「1590」が表示される。ただし、塗布位置607に表示される数字(ここでは「1590」)は、スキャン開始602に表示される数字「2003」とスキャン終了603に表示される数字「1535」との間に入る数字でなければならない。
【0104】
同一項目について同一の設定位置を採用する場合には、ステップコピー606をマウス208(図2)でクリックして全ステップ番号を指示し、登録608(図6)をクリックして登録を指示する。かかる操作によりコンピュータの記録媒体にデータが記録されるので、その後、同一項目、ここでは「コレステロール」の分画測定を行う場合には、再度の入力は不要である。確認ボタン605をマウス208(図2)でクリックすると、スリット状ビーム光が塗布点位置に移動して、正確に塗布位置を捕らえているか否かが確認できる。
【0105】
コントロール登録609(図6)をマウス208(図2)でクリックすると、図7のコントロール値入力メニューが開く。
【0106】
次に、図7で示される画面に相対移動率701(図7)のデータ(ここでは「1.125」)、およびLDLの距離702(ここでは「64」)を入力する。ここで、相対移動率701は、予め求められた、標準試料(1)における値(a)に対するコントロール(3)における値(c)の比を示す。また、LDLの距離702は、コントロール(3)の塗布点からLDL分画の中心位置までの距離(c)を示すものである。このLDLの距離702は電気泳動用の支持体として使用可能な各種薄膜間の微妙な違いを補正する目的のためにも使用される。それぞれの値を入力した後に、登録703をマウス208(図2)でクリックすれば、コンピューター本体204にデータが登録され、変性度数が求められる。
【0107】
次に、LDLの変性度数を求める2つの方法について具体的に説明する。
【0108】
第1の方法を図8に示したフローチャートにしたがって説明する。例えば、標準試料(1)の塗布点からのLDL分画の中心位置までの移動距離(a)が(a)=55ドッド(S801)、検体の塗布点からのLDL分画の中心位置までの移動距離(b)が(b)=70ドッド(S802)であるとする。この場合、検体の相対移動率(z)は{z(=b/a)}=1.273となる(S803)。なお、本明細書中で使用する「ドット」という用語は、例えば、測定範囲(走査範囲)が256ドットと定められていれば、測定範囲を256分割することを意味する。
【0109】
LDLが変性されていない検体の相対移動率は「1」であるから、変性の割合は「1.273−1=0.273」となる。この値「0.273」を所定の数値で割り算することにより、変性度数を求めることができる(S804)。ただし、この変性の割合「0.273」を変性度数で表すのために何段階に分割するのが適当であるかを予め定めておき、1分割当たりの範囲を所定の数値としてプログラムに組み込んでおく必要がある。例えば、1分割当たりの範囲を「0.1」とすれば、変性の割合「0.273」は変性度数「2.73」と表される(S805)。
【0110】
また、例えば大、中、小などの適当な分類表示記号を用い、これらの記号に対応する数値範囲をそれぞれ適宜定めておくことによって、先に得られた数値(ここでは「0.273」)をその数値が該当する、大、中、または小の記号で表示することもできる。また、得られた数値を百分率として表示することもできる。
【0111】
次に、第2の方法を図9に示したフローチャートにしたがって説明する。例えば、検体の塗布点からのLDL分画の中心位置までの距離(b)が(b)=70ドット(S901)、コントロール(3)の塗布点からのLDL分画の中心位置までの距離(c)が(c)=60ドット(S902)、コントロール(3)の相対移動率(z1)が{z1(=c/a)}=1.125(S903)である場合について、検体のLDLの変性度数を求める。
【0112】
標準試料の塗布点からのLDL分画の中心位置までの距離(a)は、{a(=c/1.125)}=53ドット、検体試料と標準試料の相対移動率(z2)は{z2(=b/a=b・z1/c)}=70/53=1.32となる。したがって、変性LDLを含まない検体試料の相対移動率は1であるから、変性の割合は「1.32−1=0.32」となる(S904)。この後、上記第1の方法と同様にして検体試料の変性の割合を変性度数に変換する(図中、S905に対応)。1分割当たりの範囲を「0.08」とすれば、変性度数「4」と表される(S906)。
【0113】
なお、上述した例示は一例であり、適当な条件を定めることにより、いかなる表示をすることも可能である。
【0114】
図10から図12は、デンシトメータで得られた情報をコンピュータによって分析した結果を示すグラフ(コレステロールの濃度および位置分布)が表示されたCRT画面を示す図である。図中のグラフでは、横軸は分画展開位置を表し、縦軸は光学密度または吸光度を表す。また、画面上のグラフに隣接する部分には、コレステロールを含むHDL、VLDL、LDLなどの割合と濃度の分析結果が表示されており、その下部には、HDLとLDLとの比が示されている。
【0115】
まず、図10について説明する。この図は、検体試料(2)に変性LDLが含まれない(標準試料(1)に相当する)場合を示す。図中、グラフ1004中の直線1001は塗布点の位置を示し、直線1002は変性のない標準試料(1)のLDL分画の中心位置(波形のピーク位置)、および検体試料(2)のLDL分画の中心位置(波形のピーク位置)を示す。1003には変性度数が表示されるが、図10においては標準試料(1)LDL分画の中心位置と検体試料のLDL分画の中心位置とが重なっているので、変性度数はゼロを示している。
【0116】
次に、図11は検体試料(2)に変性LDLが含まれる場合を示す。図中、グラフ1105中の直線1101は塗布点の位置を示し、直線1102は標準試料(1)のLDL分画の中心位置(波形のピーク位置)を示し、直線1103は検体試料(2)のLDL分画の中心位置(波形のピーク位置)を示す。変性度数1104は、「+86」と表示されているため、LDLは変性されていることが分かる。
【0117】
さらに、図12は検体試料に変性LDLが含まれ、さらにその変性度数が負の値となる場合を示す。図中、グラフ1205中の直線1201は塗布点の位置を示し、直線1202は標準試料(1)のLDL分画の中心位置(波形のピーク位置)を示し、直線1203は検体試料(2)のLDL分画の中心位置(波形のピーク位置)を示す。検体試料(2)のLDL分画の中心位置よりも標準試料(1)におけるLDL分画の中心位置の方が左側にある。すなわち、塗布点からその中心位置までの距離が長いので、変性度数1204は、「−42」と負の値になっている。変数度数の負の値は、検体試料(2)のLDLの泳動速度が、標準試料(1)のLDLの泳動速度よりも遅い事を示しており、肝・胆道疾患などで出現する異常LDLの検出に役立つ。
【0118】
このように電気泳動によるリポ蛋白の分離分析結果を用いて自動的にLDLの変性度数が求められると、診断やそれに応じた食事療法や薬物療法の方針がたてやすい。
【0119】
なお、上記の画面に表示されたグラフは、オペレータの指示によりプリンタ205(図2)から出力することができる。
上述の説明では、血清中のリポ蛋白分離分析法を、該リポ蛋白に含まれるコレステロールの分画位置および濃度に着目して説明した。しかし、本発明はコレステロールに限定されるものではなく、他の脂質成分あるいはタンパク質成分に着目することが可能であることはいうまでもない。
【0120】
また、本明細書では、アガロース電気泳動法による血清試料の分離分析に関する事例により、本発明のリポ蛋白分離分析法について説明した。しかし、本発明のリポ蛋白分離分析法を、セルロース・アセテート、寒天などの、支持体となり得る種々の薄膜を用いた電気泳動装置により分離された試料などに対しても適用できる。
【0121】
また本発明のリポ蛋白分離分析法は、各種薄膜を用いた電気泳動のみならず、キャピラリ電気泳動装置を使用した場合についても適用することができる。キャピラリ電気泳動装置を使用する場合は、標準試料または指標試料の分離を検体試料の分離の前または後に行い、各試料の塗布位置からLDL分画の中心位置までの距離または分離時間から相対移動度を求め、次いで、先に説明したような手順にしたがってリポ蛋白の分離分析を実施することが可能である。また、通常、キャピラリ電気泳動法で用いられる標準物質をマーカーとして使用し、該標準物質と検体試料とを混合して電気泳動を行い、先に説明したような手順にしたがってリポ蛋白の分離分析を実施することも可能である。
【0122】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にもとづくリポ蛋白分離分析法、リポ蛋白分離分析装置、およびリポ蛋白分離分析システムによれば、アポ蛋白の等電点の違いに着目したリポ蛋白の電気泳動の結果から、リポ蛋白中の所定成分、特に動脈硬化に関与する変性LDLの変性の度合いを求めることができ、リポ蛋白中の所定成分の量的または質的異常を容易かつ効果的に検討することができる。すなわち、再現性、定量性に優れ、操作法が簡便で大量の検体を効率よく測定できる、臨床的に非常に有効なリポ蛋白分離分析法、リポ蛋白分離分析装置、およびリポ蛋白分離分析システムを提供することが可能となる。さらに、本発明の分析結果を抗酸化剤の薬効の経過観察に役立て治療効果を観察できるので治療方針が立て易くなると共に医療費の削減に貢献することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明する図であって、電気泳動法により得られた血清中のリポ蛋白の模式的泳動図である。
【図2】本発明にもとづくリポ蛋白分離分析法に適用される電気泳動装置、デンシトメータ、およびコンピュータから構成されるリポ蛋白分離分析システムを説明するための模式図である。
【図3】本発明にもとづくリポ蛋白分離分析法に適用される電気泳動法による泳動図の作製過程を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明にもとづくリポ蛋白分離分析システムに具備されたCRTに表示される測定条件設定画面の模式図である。
【図5】本発明にもとづくリポ蛋白分離分析システムに具備されたデンシトメータおよびコンピュータの構成を説明するブロック図である。
【図6】本発明にもとづくリポ蛋白分離分析システムに具備されたCRTに表示される画面の一例として、塗布位置を表示設定するのに必要な条件を入力するCRT画面を示す模式図である。
【図7】本発明にもとづくリポ蛋白分離分析システムに具備されたCRTに表示される画面の一例として、マーカーのデータを入力するCRT画面を示す模式図である。
【図8】本発明にもとづく第1のリポ蛋白分離分析法を説明するフローチャートである。
【図9】本発明にもとづく第2のリポ蛋白分離分析法を説明するフローチャートである。
【図10】本発明にもとづくリポ蛋白分離分析システムに具備されたデンシトメータにより得られた結果を、コンピュータを介してグラフ化および数値化して表示したCRT画面を示す模式図である。
【図11】本発明にもとづくリポ蛋白分離分析システムに具備されたデンシトメータにより得られた結果を、コンピュータを介してグラフ化および数値化して表示したCRT画面を示す模式図である。
【図12】本発明にもとづくリポ蛋白分離分析システムに具備されたデンシトメータにより得られた結果を、コンピュータを介してグラフ化および数値化して表示したCRT画面を示す模式図である。
【符号の説明】
100 電気泳動図
101 塗布点、試料溝
102 セットピン穴
103 セットピン穴
104 LDLに相当する分画
105 LDLに相当する分画
106 マーカーに相当する分画
107 マーカーに相当する分画
201 自動電気泳動装置
202 表示装置(CRT)
203 キーボード
204 コンピュータ
205 プリンタ
206 デンシトメータ
207 電源
208 マウス
212 アプリケータ
214 試料台
216 電気泳動槽
218 試薬瓶立て
522 泳動図送り
524 光学系
526 受光素子
528 対数増幅器
530 A/D変換器
532 グラフ
534 I/O変換器

Claims (22)

  1. 所定成分を有するリポ蛋白を含む標準試料の電気泳動図と、前記所定成分と同種の成分を有するリポ蛋白を含む検体試料の電気泳動図とを用いて、前記検体試料中の低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断するリポ蛋白分離分析装置であって、前記標準試料および前記検体試料の電気泳動を行い各試料のリポ蛋白を分画し、次いで前記各リポ蛋白中の各所定成分をそれぞれ染色により検出する試薬を用いて前記各所定成分を染色し、それにより前記各所定成分の可視化された各電気泳動図を作製する電気泳動図作製手段と、前記各所定成分の可視化された各電気泳動図を光学的にスキャンして、該各電気泳動図を光学密度の波形に変換して前記各所定成分の各波形図を作製する波形図作製手段と、前記各波形図を数学的に処理して前記検体試料中の低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する手段とを備えてなり、前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する手段が、前記標準試料の所定成分の波形図から、該標準試料の塗布点と該標準試料中の低比重リポ蛋白成分に対応する分画の中心位置との距離(a)を求める第1の手段と、前記検体試料の所定成分の波形図から、該検体試料の塗布点と該検体試料中の低比重リポ蛋白成分に対応する分画の中心位置との距離(b)を求める第2の手段と、前記距離(a)と前記距離(b)とを比較し、前記標準試料に対する前記検体試料の相対移動率{z(=b/a)}を求める第3の手段とを備え、前記相対移動率(z)にもとづいて前記検体試料中の低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断することを特徴とするリポ蛋白分離分析装置。
  2. 前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する手段において、前記第3の手段によって求められた前記相対移動率{z(=b/a)}を式:
    M = b/a − 1=(b−a)/a ・・・・・(1)
    に代入することによって、前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを前記低比重リポ蛋白成分の変性の割合(M)として求めることを特徴とする請求項1に記載のリポ蛋白分離分析装置。
  3. 前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する手段において、前記第3の手段によって求められた前記相対移動率{z(=b/a)}を式:
    M’= k(b/a − 1)=k(b−a)/a ・・・・・(2)
    [式中、kは定数(k>0)]に代入することによって、前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを前記低比重リポ蛋白成分の変性度数(M’)として求めることを特徴とする請求項1に記載のリポ蛋白分離分析装置。
  4. 前記電気泳動は、アガロースゲルを主成分とする支持体を用いる電気泳動装置によって実施されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のリポ蛋白分離分析装置。
  5. 所定成分を有するリポ蛋白を含む標準試料の電気泳動図と、前記所定成分と同種の成分を有するリポ蛋白を含む検体試料の電気泳動図と、前記所定成分の指標と成り得るマーカー成分を含む指標試料の電気泳動図とを用いて、前記検体試料中の低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断するリポ蛋白分離分析装置であって、前記標準試料と前記検体試料と前記指標試料との電気泳動をそれぞれ行って各試料を分画し、次いで前記標準および検体試料の各分画中の所定成分と前記指標試料の分画中のマーカー成分とをそれぞれ染色により検出する試薬を用いて各成分を染色し、それにより前記各成分の可視化された各電気泳動図を作製する電気泳動図作製手段と、前記可視化された各電気泳動図を光学的にスキャンして各電気泳動図を光学密度の波形に変換して前記各所定成分および前記マーカー成分の各波形図を作製する波形図作製手段と、前記各波形図を数学的に処理して前記検体試料中の低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する手段とを備えてなり、前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する手段は、第1の測定手段と第2の測定手段とを有し、これら2つの測定手段によって求めた前記検体試料の相対移動率にもとづいて前記検体試料中の低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する手段であり、前記第1の測定手段は、前記標準試料の波形図から、前記標準試料の塗布点と該標準試料中の低比重リポ蛋白成分に対応する分画の中心位置との距離(a)を求める第1の手段と、前記指標試料の波形図から、前記指標試料の塗布点と該指標試料中のマーカー成分に対応する分画の中心位置との距離(c)を求める第2の手段と、前記距離(a)と前記距離(c)とを比較し、前記標準試料に対する前記指標試料の相対移動率{(z1(=c/a)}を求める第3の手段とを備え、および前記第2の測定手段は、前記検体試料の波形図から、前記検体試料の塗布点と該検体試料中の低比重リポ蛋白成分に対応する分画の中心位置との距離(b)を求め、前記指標試料の波形図から、前記指標試料の塗布点と該指標試料中のマーカー成分に対応する分画の中心位置との距離(c)を求める第4の手段と、前記第1の測定手段によって求められた相対移動率(z1)と、前記第4の手段によって求められた前記距離(b)と前記距離(c)とから、前記検体試料の前記標準試料に対する相対移動率{z2(=b/a=b・z1/c)}を求める第5の手段とを備えることを特徴とするリポ蛋白分離分析装置。
  6. 前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する手段において、前記第5の手段によって求められた前記相対移動率{z2(=b/a=b・z1/c)}を式:
    M= b・z1/c − 1 ・・・・・(3)
    に代入することによって、前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを前記低比重リポ蛋白成分の変性の割合(M)として求めることを特徴とする請求項5に記載のリポ蛋白分離分析装置。
  7. 前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する手段において、前記第5の手段によって求められた前記相対移動率{z2(=b/a=b・z1/c)}を式:
    M’= k(b・z1/c − 1) ・・・・・(4)
    [式中、kは定数(k>0)]に代入することによって、前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを前記低比重リポ蛋白成分の変性度数(M’)として求めることを特徴とする請求項5に記載のリポ蛋白分離分析装置。
  8. 前記指標試料はマーカーと成り得るアルコール脱水素酵素を含むことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載のリポ蛋白分離分析装置。
  9. 前記第2の測定手段において、前記第4の手段が前記指標試料と前記検体試料とを混合してなる試料を電気泳動することにより前記距離(b)と前記距離(c)とを同時に求める手段であることを特徴とする請求項8に記載のリポ蛋白分離分析装置。
  10. 前記電気泳動は、アガロースゲルを主成分とする支持体を用いる電気泳動装置によって実施されることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載のリポ蛋白分離分析装置。
  11. 所定成分を有するリポ蛋白を含む標準試料の電気泳動図と、前記所定成分と同種の成分を有するリポ蛋白を含む検体試料の電気泳動図とを用いて、前記検体試料中の低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断するリポ蛋白分離分析法であって、前記標準試料および前記検体試料の電気泳動を行い各試料のリポ蛋白を分画し、次いで前記各リポ蛋白中の各所定成分をそれぞれ染色により検出する試薬を用いて前記各所定成分を染色し、それにより前記各所定成分の可視化された各電気泳動図を作製する電気泳動図作製工程と、前記各所定成分の可視化された各電気泳動図を光学的にスキャンして、該各電気泳動図を光学密度の波形に変換して前記各所定成分の各波形図を作製する波形図作製工程と、前記各波形図を数学的に処理して前記検体試料中の低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する工程とを有してなり、前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する工程が、前記標準試料の所定成分の波形図から、該標準試料の塗布点と該標準試料中の低比重リポ蛋白成分に対応する分画の中心位置との距離(a)を求める第1の工程と、前記検体試料の所定成分の波形図から、該検体試料の塗布点と該検体試料中の低比重リポ蛋白成分に対応する分画の中心位置との距離(b)を求める第2の工程と、前記距離(a)と前記距離(b)とを比較し、前記標準試料に対する前記検体試料の相対移動率{z(=b/a)}を求める第3の工程とを有し、前記相対移動率(z)にもとづいて前記検体試料中の低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断することを特徴とするリポ蛋白分離分析法。
  12. 前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する工程において、前記第3の工程によって求められた前記相対移動率{z(=b/a)}を式:
    M= b/a − 1=(b−a)/a ・・・・・(1)
    に代入することによって、前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを前記低比重リポ蛋白成分の変性の割合(M)として求めることを特徴とする請求項11に記載のリポ蛋白分離分析法。
  13. 前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する工程において、前記第3の工程によって求められた前記相対移動率{z(=b/a)}を式:
    M’= k(b/a − 1)=k(b−a)/a ・・・・・(2)
    [式中、kは定数(k>0)]に代入することによって、前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを前記低比重リポ蛋白成分の変性度数(M’)として求めることを特徴とする請求項11に記載のリポ蛋白分離分析法。
  14. 前記電気泳動は、アガロースゲルを主成分とする支持体を用いる電気泳動装置によって実施されることを特徴とする請求項11から13のいずれかに記載のリポ蛋白分離分析法。
  15. 請求項11から14のいずれかに記載のリポ蛋白分離分析法を実行するためのプログラミングが格納されている記録媒体に格納されたプログラミングを実行するコンピュータと、該コンピュータからの前記プログラミングにもとづいた命令に従って動作するリポ蛋白分離分析装置とを備えることを特徴とするリポ蛋白分離分析システム。
  16. 所定成分を有するリポ蛋白を含む標準試料の電気泳動図と、前記所定成分と同種の成分を有するリポ蛋白を含む検体試料の電気泳動図と、前記所定成分の指標と成り得るマーカー成分を含む指標試料の電気泳動図とを用いて、前記検体試料中の低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断するリポ蛋白分離分析法であって、前記標準試料と前記検体試料と前記指標試料との電気泳動をそれぞれ行って各試料を分画し、次いで前記標準および検体試料の各分画中の所定成分と前記指標試料の分画中のマーカー成分とをそれぞれ染色により検出する試薬を用いて各成分を染色し、それにより前記各成分の可視化された各電気泳動図を作製する電気泳動図作製工程と、前記可視化された各電気泳動図を光学的にスキャンして各電気泳動図を光学密度の波形に変換して前記各所定成分および前記マーカー成分の各波形図を作製する波形図作製工程と、前記各波形図を数学的に処理して前記検体試料中の低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する工程とを有してなり、前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する工程は、第1の測定工程と第2の測定工程とを有し、これら2つの測定工程によって求めた前記検体試料の相対移動率にもとづいて前記検体試料中の低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する工程であり、前記第1の測定工程は、前記標準試料の波形図から、前記標準試料の塗布点と該標準試料中の低比重リポ蛋白成分に対応する分画の中心位置との距離(a)を求める第1の工程と、前記指標試料の波形図から、前記指標試料の塗布点と該指標試料中のマーカー成分に対応する分画の中心位置との距離(c)を求める第2の工程と、前記距離(a)と前記距離(c)とを比較し、前記標準試料に対する前記指標試料の相対移動率{z1(=c/a)}を求める第3の工程とを有し、および前記第2の測定工程は、前記検体試料の波形図から、前記検体試料の塗布点と該検体試料中の低比重リポ蛋白成分に対応する分画の中心位置との距離(b)を求める第4の工程と、前記指標試料の波形図から、前記指標試料の塗布点と該指標試料中のマーカー成分に対応する分画の中心位置との距離(c)を求める第5の工程と、前記第1の測定工程によって求められた相対移動率(z1)と、前記第4の工程によって求められた前記距離(b)と前記第5の工程によって求められた前記距離(c)とから、前記検体試料の前記標準試料に対する相対移動率{z2(=b/a=b・z1/c)}を求める第6の工程とを有することを特徴とするリポ蛋白分離分析法。
  17. 前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する工程において、前記第6の工程によって求められた前記相対移動率
    {z2(=b/a=b・z1/c)}を式:
    M= b・z1/c − 1 ・・・・・(3)
    に代入することによって、前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを前記低比重リポ蛋白成分の変性の割合(M)として求めることを特徴とする請求項16に記載のリポ蛋白分離分析法。
  18. 前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを判断する工程において、前記第6の工程によって求められた前記相対移動率
    {z2(=b/a=b・z1/c)}を式:
    M’= k(b・z1/c − 1) ・・・・・(4)
    [式中、kは定数(k>0)]に代入することによって、前記低比重リポ蛋白成分の変性の度合いを前記低比重リポ蛋白成分の変性度数(M’)として求めることを特徴とする請求項16に記載のリポ蛋白分離分析法。
  19. 前記指標試料はマーカーと成り得るアルコール脱水素酵素を含むことを特徴とする請求項16から18のいずれかに記載のリポ蛋白分離分析法。
  20. 前記第2の測定工程において、前記指標試料と前記検体試料とを混合した状態で電気泳動することにより、前記第4の工程と前記第5の工程とを同時に行うことを特徴とする請求項19に記載のリポ蛋白分離分析法。
  21. 前記電気泳動は、アガロースゲルを主成分とする支持体を用いる電気泳動装置によって実施されることを特徴とする請求項16から20のいずれかに記載のリポ蛋白分離分析法。
  22. 請求項16から20のいずれかに記載のリポ蛋白分離分析法を実行するためのプログラミングが格納されている記録媒体に格納されたプログラミングを実行するコンピュータと、該コンピュータからの前記プログラミングにもとづいた命令に従って動作するリポ蛋白分離分析装置とを備えることを特徴とするリポ蛋白分離分析システム。
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