JP4588770B2 - タンパク質溶液からアポリポタンパク質を除去する方法 - Google Patents

タンパク質溶液からアポリポタンパク質を除去する方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルファ−1−プロティナーゼ阻害剤(アルファ−1−アンチトリプシン)の精製の為の改良方法及びタンパク質溶液からアポリポタンパク質を除去する方法に関する。
アルファ−1−プロティナーゼ阻害剤(α−1−PI又はアルファ−1−PI)は、α−アンチトリプシンとしても知られている、分子量52,000の血清グリコプロテインである。アルファ−1−PIは、肝臓で合成され、プラズマ法で分析すると、150〜350mg/dl(30〜80μMに相当する)の水準で血清中に存在する。
アルファ−1−PIは肺において機能して、好中球エラスターゼ、大量の肺胞壁の破壊へ導くセリンプロテアーゼを抑制する。通常の肺では、アルファ−1−PIは、低気道において、90%より多い抗好中球エラスターゼ保護を与える。
アルファ−1−PI欠乏は、多数の対立遺伝子性変異体として示される、常染色性の、劣性の、遺伝性疾患であり、プロテアーゼ阻害剤(Pi)系と呼ばれる対立遺伝子配列としての特徴を有する。これらの対立遺伝子は、異なる個人の血清中に生起するアルファ−1−PI水準を基にして分類されている。正常な個人は、正常なアルファ−1−PIの血清水準を有する(正常な個人は、PiMM表現形を有すると呼ばれている)。欠乏性個人は、平均的正常水準の35%未満の血清アルファ−1−PI水準を有する(これらの個人は、PiZZ表現形を有すると呼ばれている)。全く無い個人は、それらの血清中に検出出来ないアルファ−1−PIタンパク質を有する(これらの個人は、Pi(null)(null)表現形を有すると呼ばれている)。
アルファ−1−PI欠乏は、アルファ−1−PIの低血清水準(平均的正常水準の35%未満)及び肺水準によって特徴付けられる。これらの欠乏性個人は、高い全葉性気腫の発生の危険性を有している。この気腫は、PiZZ、PiZ(null)、及びPi(null)(null)表現形を示す個人において支配的である。この状態の症状は、30〜40代で冒されている個人において著しい。
アルファ−1−PI欠乏に関わる気腫は、好中球エラスターゼを抑制する為に低気道における不十分なアルファ−1−PI濃度の結果として発生し、肺の実質組織の結合組織のフレームワークの破壊へと導く。アルファ−1−PI欠乏の個人は、彼等の低気道における好中球によって放出された好中球エラスターゼに対してはほとんど防御を持たない。アルファ−1−PI欠乏の個人におけるプロテアーゼ:プロテアーゼ阻害剤の不釣り合いは、慢性障害をもたらし、そして、最終的には、肺の実質組織及び肺胞壁の破壊をもたらす。
重症のアルファ−1−PI欠乏の個人は、一般に、通常の方法での決定で、50mg/dl未満の内因性の血清アルファ−1−PI水準を示す。これらの低血清アルファ−1−PI水準の個人は、生涯にわたって、80%より多い肺気腫の発生の危険性を有する。米国においては、少なくとも40,000人の患者は、或いは、肺気腫の患者全体の2%は、アルファ−1−PIをコードする為の遺伝子の欠如の結果としてこの病気を持っている。アルファ−1−PIの欠乏は、米国及びヨーロッパの白人の最も一般的な致命的遺伝性疾患の一つである。
アルファ−1−PI欠乏患者の治療は、血清中のアルファ−1−PI水準の置換又は増強に向けられている。アルファ−1−PIの血清水準が増加されれば、これは、肺における高濃度へと導くことが期待され、かくして、肺における好中球エラスターゼ:アルファ−1−PIの不釣り合いを是正し、肺組織の防御又は遅い破壊が期待される。正常及びアルファ−1−PI欠乏人口の研究は、最少の防御血清アルファ−1−PI水準が、80mg/dl又は11μM(約57mg/dl;純粋標準を使用して)であることを示唆している。従って、血清アルファ−1−PIは、肺胞アルファ−1−PIの源であるので、アルファ−1−PI欠乏患者の最大増強治療は、アルファ−1−PIの最少防御血清水準を用意することに向けられている。
アルファ−1−PI製剤は、1980年中頃から治療用として利用されてきている。その最大の用途は、先天性アルファ−1−PI欠乏の増強(置換)治療であった。In vivoでの人間のアルファ−1−PIの半減期は、1.27日の標準偏差で、4.38日である。現在、推奨されている投与量の週60mgアルファ−1−PI/kg体重は、アルファ−1−PIの低血清水準を、11μM又は80mg/dlの防御許容限界水準以上の水準にまで回復させようとするものである。
以前は、アルファ−1−PIは、種々の方法で精製されていた。その方法の一つは、アニオン交換クロマトグラフィー媒体のクロマトグラフィーと、それに続くPEG沈殿の組合せである。その他の精製方法は、PEG沈殿と、それに続くアニオン交換クロマトグラフィー、又は多段PEG沈殿工程と、それに続くアニオン交換クロマトグラフィーを使用するものである。その他には、PEG沈殿、一つ以上のアニオン交換クロマトグラフィー工程及び金属キレートクロマトグラフィー工程との組合せが使用されていた。尚その他の方法としては、アルファ−1−PIを精製する為の相分離方法が使用されていた。1.26単位/mgの比活性(specific activity)が、精製されたアルファ−1−PIに対して報告されている。
本発明は、アルファ−1−PIの精製の為の改良方法に関する。
本発明の目的は、タンパク質溶液からアポリポタンパク質を除去する方法を提供することである。
本発明方法は、不純タンパク質画分、好ましくは、アルファ−1−PIを含むコーン画分(Cohn Fraction)IV1+IV4ペーストを提供することを含む。不純タンパク質画分は、冷水に懸濁して、又は、約pH6の生理食塩水溶液に懸濁して、アルブミン、アルファ−2−グロブリン(アルファ−2−マクログロブリン及びハトグロブリン)及びベータ−グロブリン(トランスフェリン)を含む可溶性タンパク質を溶解する。この懸濁液を、次いで、濾過して、アルファ−1−PIを含む不溶性タンパク質を回収して、水(又は生理食塩水溶液)で洗浄する。洗浄された不溶性タンパク質画分を、次いで、水(又は、生理食塩水溶液)に再懸濁して、pHを約8.5に調整する。PEGが、アルファ−2−グロブリンを沈殿させる為に添加される。上澄み液を回収して、ZnCl2が、粗アルファ−1−PIを沈殿する為に添加される。次いで、粗アルファ−1−PIを、NaEDTA緩衝液に再溶解し、Tween80及びトリ−n−ブチルホスフェート(TNBP)で処理し、ウイルスを不活性化する。好ましくは、スクロース、マルトース、グルコース等の様な糖は、収量増加の為に、ウイルス不活性化中に、アルファ−1−PEの安定化の為に添加される。
この処理された溶液を、次いで、アニオン交換媒体に適用して、その他の残留タンパク質からアルファ−1−PIを分離する。アルファ−1−PIから成る画分は、次いで、回収され、好ましくは、ベントナイトで処理されて、末だ存在するアポリポタンパク質を除去する。得られる精製されたアルファ−1−PI溶液は、次いで、回収されて濃縮される。
本発明方法によって精製されたアルファ−1−PIは、1.0単位/OD280より大きい比活性を有する。本発明方法は、約1.0単位/gペーストより多い、好ましくは、約1.3単位/gペーストより多い収量を用意する。
本発明の使用によって、アルファ−1−PIの品質及び収量が改善される。更に、本発明の精製方法は、その他の方法に比較してその処理を短縮する。
本発明は、高収量、高比活性アルファ−1−PI製剤を製造する為の精製工程の新規な組合せを含む。
アルファ−1−PIは、不純タンパク質画分から精製される。不純タンパク質画分は、血漿、組み替え方法により製造されたアルファ−1−PI又は、アルファ−1−PIから成るその他の源であっても良い。好ましい実施態様においては、不純タンパク質画分は、コーン画分IV1+IV4ペーストであり、その調製は当該技術分野において周知である。
画分IV 1 +IV 4 ペーストの初期処理
画分IV1+IV4ペースト(又はその他の不純タンパク質画分)は、5±2部の水に又は生理食塩水溶液、即ち、画分IV1+IV4ペースト1部当たり、約0.05〜約0.15MNaClに、約15℃未満で、約6.0±0.2のpHで、少なくとも約1時間懸濁される。アルブミン、アルファ−2−グロブリン及びベータ−グロブリンを含む可溶性タンパク質は、次いで、アルファ−1−プロティナーゼ阻害剤を含む不溶性タンパク質から、フィルタープレス、遠心分離等によって分離される。残さを、15℃未満で、水又はpH6±0.2の生理食塩水溶液の約5オリジナルペースト容量で水洗し、不溶性ペースト中に物理的に補足された更なる可溶性タンパク質を除去する。
画分IV1+IV4ペーストの水又はpH6±0.2の生理食塩水溶液での懸濁、それに続く水洗によって、画分IV1+IV4沈殿物中の殆ど全てのアルブミンと、殆どのアルファ−2−及びベータタンパク質が除去されることが分かった。
PEG沈殿
不溶性タンパク質残さは、残さの1容量当たり約5±2容量の水に、pH8.5±0.5で、約15℃±5℃の温度で、短い時間或いは長い時間を使用しても良いが、好ましくは、約6時間再懸濁される。短い時間は、収量が時間が増加するにつれて改善されるところからして、好ましくない。処理時間と収量との最適な組合せとして、6時間が必然的に好ましい。固体Trisが、次いで、最終濃度10±5mMまで添加され、固体NaClが最終濃度150±20mMまで添加され、pHが8.0に調整される。ポリエチレングリコール3350(PEG)が、次いで、最終濃度15±5%wt/wtまで添加され、約15±5℃で、約1時間混合される。PEGは、アルファ−2−グロブリンを沈殿する為に添加される。
形成されるPEG沈殿物は、フィルタープレスによって除去される。フィルタープレスは、濾過の前後で、150±25mMNaClと15±5%wt/wtPEGを含む溶液で、pH8.0±0.5で洗浄される。或いは、沈殿物を、遠心分離によって除去しても良い。
ZnCl 2 沈殿
ZnCl2(100±10mM)を、PEG上澄み液に、最終濃度6±5mMまで添加し、溶液をpH7.5±0.5に調整する。溶液を約5±5℃に冷却し、少なくとも約1時間混合する。ZnCl2は、粗アルファ−1−PIを沈殿させる。粗アルファ−1−PIは、濾過によって、好ましくは、例えば、“Prostak Open-Channel Modules”by Millipore Corporationに開示されている(ここに参照として導入される)プロスタック(Prostak)濾過、或いは、遠心分離で濃縮され、ろ液が分離される。濃縮された懸濁液又は沈殿物は、更なる工程の為に冷凍されても良い。
溶剤−界面活性剤処理によるウイルス不活性化
粗アルファ−1−PIを、再循環によって、プロスタックを通して約50mMNaEDTAに再溶解する。糖、好ましくは、スクロースを約15±5%wt/wt(又は約0.25±0.05Mクエン酸三ナトリウム塩)の量で、ウイルス不活性化中に、安定剤として添加する。溶液を15±5℃で、スクロースが溶解するまで混合する。
アルファ−1−PI含有溶液は、溶剤−界面活性剤処理で不活性化されたウイルスである。10±1%wt/vのポリソルビタール80及び3±0.3%wt/wtのトリ−n−ブチルホスフェートの溶液を、アルファ−1−PI溶液に、1.0±0.5%wt/vポリソルビタール80と0.3±0.15%wt/wtトリ−n−ブチルホスフェートの最終濃度まで添加する。次いで、溶液を、27±3℃で、pH8±0.5で、6時間以上培養して、アルファ−1−PI中に存在するかも知れないウイルスを不活性化する。
溶剤−界面活性剤処理によるウイルス不活性化中の安定剤としての糖、例えば、スクロースの存在は、対照、即ち、安定剤としての糖無しで溶剤洗浄によりウイルス不活性化されたアルファ−1−PI溶液に比較して、アルファ−1−PI単位の収量を増加する。収量増加は、好ましくは少なくとも10%であり、より好ましくは少なくとも20%であり、更に好ましくは30%である。
培養後、処理されたアルファ−1−PI溶液は、0〜10℃に冷却され、pHが8.0±0.1に調整される。
アニオン交換クロマトグラフィー
次いで、SD処理溶液を、SD処理溶液の1容量当たり約1容量の水で希釈する。希釈された溶液を、次いで、子め平衡化されたQAEクロマトグラフィー媒体、又は、アルファ−1−PIを結合し、その他のタンパク質をアルファ−1−PIから分離させることのできるその他のアニオン交換媒体に適用する。バッチ又はカラムクロマトグラフィーのいずれかを使用しても良い。アルファ−1−PIを媒体上に吸収した後、20±10mMNaCl及び20±10mMナトリウムホスフェート(NaH2PO4)を含む、pH8±1の緩衝液で洗浄して、ベータタンパク質を含む末結合物質を除去する。アルファ−1−PIは、次いで、アニオン交換クロマトグラフィー媒体から、100±50mMNaClと20±10mMナトリウムホスフェートを含む溶出洗浄と共に、pH8±1で溶出される。アルファ−1−PIを含む溶出液は、更なる処理の為に集められる。
アルファ−1−PIの除去後、アニオン交換媒体は、順次に、2±0.2MNaCl、20±10mMナトリウムホスフェートを含む、pH8±1の水溶液で、次いで、射出用の水(WFI)で、次いで、500mMNaOHを含む水溶液で、最後に、WFIで洗浄することによって清浄にされる。クロマトグラフィー媒体は、次いで、2±0.2MNaCl、20±10mMナトリウムホスフェートに、pH8±1で貯蔵される。
アルファ−1−PI含有溶出液の処理
アルファ−1−PI含有溶出液を一緒にして、0.1〜1.0%(wt/wt)のベントナイトで、約一時間以上処理して、アポリポタンパク質の量を、好ましくは、アポリポタンパク質Aを約0.01mg/ml未満まで及びアポリポタンパク質Bを約0.01mg/ml未満まで減少させる。ベントナイトは、濾過、好ましくは、例えば、“Zeta Plus C Series Filter Medium”by Cuno Inc.に開示の(ここに、参照として導入される)クーノ(Cuno)濾過によって除去される。得られる溶液は、アルファ−1−PI活性が、少なくとも10単位/mlになるまで、限外濾過膜で濃縮される。濃縮生成物は、次いで、0.45ミクロンフィルターで濾過され、粒状物を除去する。次いで、アルファ−1−PIは、プラノバ(Planova)濾過されてウイルスを除去し、0.22ミクロンフィルターで滅菌濾過されて、バイアルに入れて、貯蔵の為に凍結乾燥される。アルファ−1−PIは、2〜8℃で貯蔵される。
凍結乾燥されたアルファ−1−PIは、患者に投与する為に滅菌水に再溶解しても良い。
アルファ−1−PI活性アッセイ
再構成されたアルファ−1−PIのアルファ−1−PI活性を検出する為に、色素生産性アッセイ(chromogenic assay)を使用しても良い。このアッセイは、トリプシン(Sigma Chemical Co.of St.Louis,Missouriにより供給されたもの)の存在において、p−ニトロアニリンを放出する、トリプシン感応色素生産性物質を利用する。放出されたp−ニトロアニリンは、405nmで検出され、アルファ−1−PIは、この物質からのp−ニトロアニリンの放出を抑制する。生成物中のアルファ−1−PIの活性は、標準アルファ−1−PI活性カーブを参照することによって決定される。上記の方法により調製された再構成凍結乾燥アルファ−1−PIの色素生産性アッセイは、少なくと約1.0単位/OD280の比活性を示す。
投与
アルファ−1−PIは、最初の10分間は、毎分約0.08ml/kg体重の割合で患者に注入しても良い。患者が何ら不快感を経験しない場合は、この割合を、許容限度まで増加しても良い。若し許容されるならば、同じ患者へのその後の注入は、高い割合で行っても良い。若し有害な事態が発生した場合は、その割合を減らすべきであり、或いは、その注入を、症状が静まるまで中断すべきである。次いで、注入は、患者によって許容される割合で再開しても良い。
大量の投与量が投与される場合は、アルファ−1−PIの幾つかの再構成バイアルを、無菌方法を使用して、空の滅菌I.V注入容器にプールしても良い。
実施例1
コーン画分化スキームからの画分IV1+IV4ペーストを、5℃で、pH6.0で、滴定無しに一時間、1800mlの水に懸濁した。懸濁が完了したら、懸濁液を、フィルタープレスで、10CPフィルター(Cuno)で濾過した。ろ液を集め、アッセイに掛けて、アルファ−1−PI(A1PI)比活性(S.A)及び280nmでの光学濃度(OD280nm)を測定した。フィルタープレス中のペーストを、5℃の水600mlで洗浄し、ろ液を集めた。この方法を四回以上繰返し、全てのろ液を収集して、アッセイに掛けて、A1PI比活性(S.A)及びOD280nmを測定した。350gのペーストが得られた。全ての処理サンプルのA1PI活性及びOD280nmは、次の表1に開示される。
表1:水洗浄画分のA1PI活性及びOD280nm

サンプル 容量(ml) A1PI(u/ml) 全A1PI(u) OD280nm S.A.(u/OD)
洗浄0 1450 0.06 87 22.2 0.003
洗浄1 600 0.1 60 29.9 0.003
洗浄2 600 0.08 48 25.5 0.003
洗浄3 600 0.04 24 13.0 0.003
洗浄4 600 0 0 4.8 0
洗浄5 600 0 0 3.0 0
実施例2
実施例1から得られた350gのペーストを、pH8.5で、18℃の温度で、6時間、1050mlの水に再懸濁した。固体Trisを、10mMの最終濃度まで添加し、固体NaClを150mMの最終濃度まで添加し、pHを8.0に調整した。ポリエチレングリコール(PEG3350)を最終濃度15%(wt/wt)まで添加し、18℃で1時間混合した。得られた沈殿物を、10CPフィルターのフィルタープレスで除去し、上澄み液を回収した。フィルタープレス中のペーストを15%wt/wtPEG3350、10mMTris及び150mMNaClを含む溶液で後洗浄した。ろ液と後洗浄ろ液とを一緒にした。結果は次の表2に纏められる。
表2:PEG3350沈殿

サンプル 容量(ml) A1PI(u/ml) 全A1PI(u) OD280nm S.A.(u/OD)
再構成 1400 1.063 1488 13.32 0.0798
PEG 2465 0.513 1265 2.16 0.2375
ろ液
実施例3
実施例2から回収したPEG3350ろ液に、ZnCl2を、最終濃度2mMまで添加し、pHを7.5に調整し、温度を5℃に冷却して、粗A1PIを沈殿させた。一時間の混合後、粗A1PIを、プロスタック濾過で濾過し、濃縮し、得られ懸濁液を、NaEDTA溶液で再溶解した。結果は、次の表3に纏められる。
表3:ZnCl2沈殿

サンプル 容量(ml) A1PI(u/ml) 全A1PI(u) OD280nm S.A.(u/OD)
プロスタック
ろ液 2200 0.0159 35 0.15 0.106
NaEDTA
再構成 264 4.305 1065 13.72 0.3138
実施例4
16.7%(wt/wt)の量で、スクロースを、実施例3のNaEDTA再溶解溶液に添加し、18℃で混合し、スクロースを完全に溶解した。この溶液に、ポリソルベート80を最終濃度1.0%まで、及びトリ−n−ブチルホスフェートを最終濃度0.3%まで添加した。この溶液を、27.5℃で6時間以上培養し、存在し得る汚染性脂質包膜ウイルスを不活性化した。培養後、溶液を5℃に冷却し、pHを8.0に調整した。対照として、上記方法を、スクロースの添加無しで繰返した。16.7%のスクロースの存在と、スクロース無し(対照)での溶剤−界面活性剤(SD)処理中のA1PIの安定性は、次の表4に示される。
表4:スクロースの存在でのSD処理中のA1PIの安定性

サンプル 容量(ml) A1PI(u/ml) 全A1PI(u) NaEDTAからのA1PI(%)
SD A1PI 311 3.35 1042 97.8
対照 293 2.13 624 58.6
実施例5
実施例4で得られたSD−AIPI溶液に、QAEカラムに掛ける前にイオン強度を下げる為に、311gの蒸留水を添加した。この溶液を、12ml/分の流量で、300mlの、予め平衡化したQAEイオン交換カラムに導入した。このカラムを、6リットルの生理食塩水ホスフェートバッファー(20mMNaCl、20mMNaH2PO4、pH8.0)で洗浄した。A1PIは、1.8リットルの生理食塩水ホスフェートバッファー(100mMNaCl、20mMNaH2PO4、pH8.0)と共に溶出した。
イオン交換媒体を、順次に、2MNaCl、20mMNaH2PO4、pH8.
0、500mMNaOH及び蒸留水で洗浄して清浄にした。A1PIを含有する貯蔵画分を、アッセイに掛けた。結果を、次の表5に示す。
表5:QAEイオンクロマトグラフィー

サンプル 容量(ml) A1PI(u/ml) 全A1PI(u) OD280nm S.A.(u/OD)
溶出液 1500 0.62 930 0.58 1.058
実施例6
実施例5から得られた貯蔵溶出液に、3.0gの末焼成ベントナイトを添加し、20℃で、一時間混合した。ベントナイトをクーノ(Cuno)濾過で除去し、そのろ液を限外濾過で濃縮した。濃縮物を、連続で、プラノバ濾過と滅菌濾過を行った。ろ液をバイアル中に入れ、貯蔵の為に凍結乾燥した。全ての処理サンプルをアッセイに掛けた。結果を、次の表6に示す。
表6

サンプル 容量(ml) A1PI(u/ml) 全A1PI(u) OD280nm S.A.(u/OD)
クーノ濾過 1710 0.52 885 0.385 1.351
濃縮物 75 11.6 870 8.092 1.434
最終バルク 92 9.4 865 6.225 1.510
本発明は、上記の特定の実施態様に限定されるものではない。ここに開示の好ましい実施態様において開示されたものの材料、工程、及び処理パラメーターの変更したものは、本発明の実施から逸脱すること無しに使用できることは、当業者にとって自明であろう。従って、本発明を、上記の実施例に限定しようとするものではない。本発明の範囲は、以下のクレームにおいて定義される。

Claims (4)

  1. タンパク質溶液からアポリポタンパク質を除去する方法であって、
    (1)ベントナイトをタンパク質溶液に添加し、
    (2)該ベントナイトを、ベントナイトがアポリポタンパク質を吸収するのに十分な時間、該溶液と接触させ、及び、
    (3)該ベントナイトを該タンパク質溶液から除去する、
    事を特徴とする方法。
  2. ベントナイトを、少なくとも一時間、タンパク質溶液と接触させる、請求項1に記載の方法。
  3. タンパク質溶液に添加されるベントナイトの量が、0.1〜1.0%wt/wtである、請求項1に記載の方法。
  4. ベントナイトの除去後にタンパク質溶液に残留するアポリポタンパク質Aとアポリポタンパク質Bとのそれぞれの量が、0.01mg/ml未満である、請求項1に記載の方法。
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