JP4588503B2 - 通信システム及び通信方法 - Google Patents

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Description

本発明は、通信システム及び通信方法に関し、特にネットワーク上で通信を行う通信システム及びRPR(Resilient Packet Ring)による冗長構成を持つリングネットワーク上で通信を行う通信方法に関する。
情報通信ネットワークは、家庭や企業のLAN(Local Area Network)から、都市圏全体のネットワークへとより広域のサービスへ移行しており、例えば、イーサネット(登録商標)のLAN環境を、レイヤ2スイッチを使って接続し、複数のLAN環境を1つに統合した広域イーサネット(10GbE:10Gigabit Ethernet)が広がりを見せている。
また、10GbEを含む広域ネットワークの情報伝送の中核技術にSONET/SDH(Synchronous Optical NETwork/Synchronous Digital Hierarchy)がある。SONET/SDHは、低速回線を階層的に積み上げて多重化して、回線の高速化を図り、各種の通信サービスを有効に多重化するためのインタフェースを規定するものであり、標準化されて開発が進んでいる。さらに、広域ネットワークのトポロジとしては、複数のノードをリング状に接続したリングネットワークが主に使用されている。
現在、長距離伝送を行う広域ネットワークの通信バックボーンは、これらSONET/SDHをベースにしたリングネットワークが主流となっているが、近年になって、SONET/SDHに代わるRPRと呼ばれる技術が注目されている。
RPRは、IEEE 802.17で標準化が進められている新しいMAC(Media Access Control)の伝送技術であり(プロトコルの位置づけは、イーサネットのようなLANと同様のレイヤ2のMACサブレイヤである)、レイヤ1には依存せずに(レイヤ1は既存技術を流用して)、リングトポロジを実現する。
RPRは、SONETのOC(Optical Carrier)−nやSDHのSTM(Synchronous Transport Module)−nの伝送レート系列、または10GbEなどが含まれるレイヤ1物理層を利用して、IEEE802.17 MACフレーム(RPRフレーム)をリングネットワーク上に伝送することが可能である(RPR over SONET/SDH、RPR over GbE等が可能)。
図12はRPRネットワークの構成を示す図である。ネットワーク100は、ノード101〜106を含み、光ファイバでノード101〜106がリング状に接続されたリングネットワークである。リングを巡る情報は、ノード101〜106を介して、トリビュタリ側へ分岐(Drop)したり、トリビュタリ側からリング内に情報が挿入(Add)したりする。
また、RPRの2重リングには、互いに逆向きとなるようにパケットが流れる。図では、リングルートF1は時計周り、リングルートF2は反時計周りにパケットが流れている。なお、SONET/SDHで伝送・分配される情報単位は、OCやSTMの複数チャネルからなるストリーム単位であったが、RPRではパケット単位で情報が伝送・分配される。
さらに、RPRは、Spatial Reuse(空間の再利用)によってパケット伝送を行う。ここで、従来のSONETリングの運用形態の1つであるUPSR(Unidirectional Path Switched Ring)と比較しながら、Spatial Reuseについて説明する。
図13はUPSRの動作を示す概念図である。ノード111〜114がリング状に接続してリングネットワークが構成されている。UPSRは、リングの一方向に現用系のデータを送信しながら、常に反対周りに予備系のデータを流しておき、現用系の障害発生時には予備系に切り替わることで、障害回避を行う運用形態である。
例えば、ノード114がノード111へデータ送信を行う場合は、現用系ラインWからデータを送信するのと同時に、反時計周りに同一データを、常に予備系ラインPrを通じてノード113、112を介して送信する(ノード111は、通常運用時、WEST方向からのデータを選択して受信する)。
このとき、現用系ラインWで回線障害が発生しても、予備系ラインPrに切り替わることで即時に障害を回避することができる。ただし、ノード113、112を介しての予備系ラインPrは、通常運用時には実際の通信には関係がないので、無駄に空間(伝送帯域)を使っていることになる(TDM(Time Division Multiplexing)伝送なので、通常運用時に使用可能なタイムスロットが減少してしまう)。
図14はSpatial Reuseを示す図である。Spatial Reuseとは、ネットワークの通常運用時、リング内の最短経路で伝送が行える機能のことである。ネットワーク100aに対して、ノード101〜106のそれぞれが、隣接ノードに対して通信を行う場合、図に示すように、送信側ノードと受信側ノードの間だけしか空間(スパンSp1〜Sp6)を利用しない。
例えば、ノード105からノード106へのパケット送信を見ると、ノード105は、スパンSp5のパスP1のみを使用してパケットを送信しており、UPSRのような冗長系ルートを用いて、パケットを1周させて伝送するようなことは行わない。つまり、スパンSp5と同じ伝送帯域を再利用して、他のノード間の通信(スパンSp1、スパンSp2、スパンSp3、スパンSp4、スパンSp6)を行うことができる。このようにRPRでは、必要な区間だけにしかパケットを流さないSpatial Reuseによる伝送を行うので、伝送帯域を有効活用することができる。
なお、RPRの障害救済方式としては、Wrapping救済及びSteering救済と呼ばれる2つの方式がIEEE 802.17で定義されており、SONET/SDH並みに、障害発生から復旧するまでの経路切り替え時間が、50msec以下となるように定められている。
一方、RPRでは、FairRate(Fairness)機能によって、各ノードの送信レートを動的に調整する機能を有している。
図15はFairRate機能を説明するための図である。FairRate機能は、リング全体のトラフィック状況に応じて、各ノードの送信レートを動的に調整し、各ノードが公平にリングの帯域を使用できるようにする機能である。
例えば、ネットワーク100に対して、ノード101内のバッファが輻輳レベルに達して、ノード101が輻輳を検知すると、輻輳状態に対して反対周りのリングを使って、1つ上流のノード102にどれだけ帯域の確保をしたいかを通知する。通知を受けたノード102は、これを超えないように自ノードの使用帯域を調整する。また、通知された帯域はさらに上流のノードへも通知される。このような制御がリング内の各ノードで行われることで、各ノードの送信レートが動的に調整され、帯域の公平性が維持される。
このように、RPRでは、Spatial Reuseによる帯域の有効活用、FairRate algorithmによる帯域公平性の確保、SONET/SDH並みの50msec以下の障害復旧能力といった特徴を有しており、多様なメディアをカバー可能な高品質で信頼性の高いネットワークを構築できるものとして、RPRへの期待が高まってきている。
ネットワークの帯域増加を図る従来技術としては、リングノードを別ネットワークの別経路に結合するように切り替えて、伝送容量を増大させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特表2002−510160号公報(段落番号〔0014〕〜〔0036〕,第1図)
IEEE802.17で定義されている標準化では、RPRリングネットワークの各ノードでは、同一伝送速度でパケットを送信する構成になっている。例えば、図12では、リングルートF1、F2共にパケット伝送速度が同じであるし、図14に対しても、各スパンSp1〜Sp6で通信されるパケット伝送速度はすべて同じである。
ところが、実際のネットワーク運用においては、必ずしも均一にトラフィックが転送されるような状況は少なく、例えば、サーバによって集中管理しているデータセンタがRPRリング上のノードに接続していたり、または、本社や大都市などがRPRリングの特定箇所に位置していたりすると、ある特定のノードへのトラフィック転送が集中することになる。
図16は特定ノードに負荷が集中しているネットワーク状態を示す図である。ネットワーク100bは、図12で示したネットワーク100に対して、集中管理を行うサーバ101aがノード101に接続している構成である。
ノード102〜106それぞれからAddされたパケットが、サーバ101aへ向かってすべてノード101へ転送されており、このとき、ノード101とノード106間のスパンSp6の光ファイバf1は、1つの光ファイバの中に3つのパスが張られて帯域が圧迫された状態となっている。
このような場合、RPRのリングネットワークは、すべて同じ伝送速度となるように構築されるので、局所的な帯域増加が発生しても、すべてのスパンにおいて同じように帯域を増加させなければならない。
例えば、元々100Mbpsの伝送容量でリングが構築されていた場合に、スパンSp6の時計周り方向の光ファイバf1において、200Mbpsの伝送容量が必要になった場合には、スパンSp1〜Sp5すべての光ファイバにおいても、200Mbpsとなるように帯域増加を行わなければならない(この場合、反時計周り方向も同様にして、200Mbpsに増加させなければならない)。
すると、例えば、スパンSp5のパスP2のように、100Mbpsで十分余裕がある箇所においても、200Mbpsの帯域増加を行うことになってしまうので、従来のRPRネットワーク運用は局所的な帯域増加に対して非効率的であった。
このような局所的な帯域増加の対策としては、リンク・アグリゲーション(Link Aggregation)を形成することが考えられる。リンク・アグリゲーションは、複数の物理リンクを仮想的な1つのリンクとみなす接続方式であり、局所的に帯域増加するスパンにおいて、リンク・アグリゲーションを形成することで、局所的なトラフィック伝送に対応することが可能になる。
しかし、リンク・アグリゲーションを構成する物理リンクに障害が発生したような場合に、RPRの標準化で定められた既存のWrapping救済やSteering救済を実行してしまうと、障害救済において非効率的であるといった問題があった。
図17はWrapping救済の状態を示す図である。ネットワーク100cに対して、通常運用時、ノード101からAddされた情報が、反時計周り方向に流れて、ノード106、ノード105を経由してノード104でDropされていたとする。このときに、ノード106とノード105間のリンクに回線障害が発生したとする。
すると、ノード101からAddされた情報は、ノード106で折り返されて、時計周り方向に流れてノード105へ到達し、ノード105で再び折り返されてノード104でDropされる。このように、Wrapping救済は、障害区間を発見すると、そこを避けて逆方向のリングにデータを折り返し送信して、障害の救済を行う。
図18はSteering救済の状態を示す図である。ネットワーク100dに対して、通常運用時、ノード101からAddされた情報が、反時計周り方向に流れて、ノード106、ノード105を経由してノード104でDropされていたとする。このときに、ノード106とノード105間のリンクに回線障害が発生したとする。
すると、ノード101からAddされた情報は、時計周り方向に流れて、ノード102、ノード103を経由してノード104へ到達しノード104でDropされる。このように、Steering救済では、障害区間を発見すると、各ノードが経路を再計算して障害を救済する。
リンク・アグリゲーションは、複数本の物理リンクで形成されて伝送帯域に余裕を持って信号伝送するのが一般的であり、物理リンクのいくつかに障害が発生したような場合でも、残りの物理リンクの伝送帯域で障害に対して十分対応可能であることが多く、このような場合に、図17、図18で上述したような、RPRシステム全体での障害救済であるWrapping救済やSteering救済の障害救済プロトコルを実行してしまうと、ネットワーク全体に重い制御負荷がかかり、運用性の低下を引き起こすことになる。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、障害発生箇所に対する救済処理をノード間で簡潔に行って、ネットワーク運用の効率性を高めた通信システムを提供することを目的とする。
らに、本発明の他の目的は、障害発生箇所に対する救済処理をノード間で簡潔に行って、ネットワーク運用の効率性を高めた通信方法を提供することである。
記課題を解決するために、ネットワーク上で通信を行う通信システムが提供される。通信システムは、ネットワークの局所的なスパンに設置された複数の物理リンクを仮想的な1つのリンクとみなすリンク・アグリゲーションとし、負荷分散処理を行って前記物理リンクへデータを出力し、後段ノードから通知された障害情報を受信した場合には、正常通信可能な物理リンクに対する負荷分散計算をあらためて行って負荷分散処理を行う負荷分散部を含む第1の通信カードが実装された第1のノードと、複数の前記物理リンクを介して送信されたデータを集約し、宛先にしたがって出力する集約部と、前記リンク・アグリゲーションを構成する物理リンク上の障害を検出して前記障害情報を生成する障害検出部と、前記障害情報を前段ノードへ通知する障害情報通知部とを含む第2の通信カードが実装された第2のノードと、を備え、前記リンク・アグリゲーションを形成する前記物理リンクに障害が発生した場合であって、少なくとも1本の前記物理リンクが残存する場合は、前記負荷分散部は、前記リンク・アグリゲーションに対する前記負荷分散処理によって障害救済を行い、すべての前記物理リンクに障害が発生した場合は、前記第1の通信カードまたは前記第2の通信カードは、障害救済プロトコルにもとづき、障害区間を回避した折り返し送信による障害救済、または障害区間を回避するための経路再計算により求めた新たな経路による障害救済を行う。
リンク・アグリゲーションを形成する物理リンクに障害が発生した場合、少なくとも1本の物理リンクが残存する場合は、リンク・アグリゲーションに対する負荷分散処理によって障害救済を行い、すべての物理リンクに障害が発生した場合は、障害救済プロトコルにもとづき障害救済を行うとした切り分けを行うことにより、障害状態に対応した柔軟な障害救済処理を行うことができ、ネットワーク運用の効率を向上させることが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は通信システムの原理図である。通信システム1は、ノード20−1〜ノード20−4がリング状に接続され、時計周りのリングルートと、反時計周りのリングルートからなる2重リングのネットワークを構成する。また、ノード20−1〜ノード20−4にAddされた情報はDropすべきノード20−1〜ノード20−4に転送されて、情報の通信が行われる。
複数の物理リンク(光ファイバ)11−1〜物理リンク11−nは、ネットワークの局所的に伝送帯域が増加するスパンSpaに設置されて、増加した伝送帯域をカバー可能な物理リンクである。例えば、元々10Gbpsの1本の光ファイバであったものが、伝送帯域が増加して30Gbpsになったならば、3本の光ファイバが設置されることになる。本実施の形態ではノード20−1とノード20−4間のスパンSpaにおいて、時計周りのルート(ノード20−4からノード20−1方向のルート)に複数の物理リンクを有する構成となっている。
スパンSpaの送信側ノード、すなわち複数の物理リンクの前段ノードであるノード20−4には、通信カード30aが実装される。通信カード30aは、負荷分散部31を有する。負荷分散部31は、複数の物理リンク11−1〜物理リンク11−nをリンク・アグリゲーション(以降、LAと呼ぶ)とし、負荷分散を行って物理リンク11−1〜物理リンク11−nへデータを出力する。
また、複数の物理リンクの後段ノードであるノード20−1から通知された障害情報(例えば物理リンク11−1の障害情報)を受信した場合には、正常通信可能な物理リンク(障害が発生していない物理リンク11−2〜物理リンク11−n)に対する負荷分散計算をあらためて行って負荷分散処理を行う。なお、LAは、複数の物理リンクを仮想的な1つのリンクとみなす接続方式であり、IEEE.802.3adで規定されている。
スパンSpaの受信側ノード、すなわち複数の物理リンクの後段ノードであるノード20−1には、通信カード30bが実装される。通信カード30bは、集約部32、障害検出部33、障害情報通知部34を有する。集約部32は、複数の物理リンク11−1〜物理リンク11−nを介して送信されたデータを受信・集約し、宛先にしたがって出力する(例えば、ノード20−1でDropして、リング外にデータを転送したり、またはノード20−2へ送信したりする)。
障害検出部33は、LAを構成する物理リンクの障害を検出して(図では物理リンク11−1に障害が発生しているためこれを検出する)、どの物理リンクによるデータ受信が異常であるかを示す障害情報を生成する。障害情報通知部34は、障害情報を障害検出方向とは逆方向、すなわち反時計周りのリングルートを用いて、前段ノードであるノード20−4へ通知する。
なお、この障害情報は上記前段ノードに通知できれば良いので、障害検出方向と同じ方向である時計周りのリングルートを用いて転送されても良いし、通信システム1を管理するネットワーク管理システム(NMS)が設置されている場合にはNMS経由で転送されても良い。
また、上記では説明の便宜上、負荷分散部31をデータ送信側の通信カード30aに設け、集約部32、障害検出部33及び障害情報通知部34をデータ受信側の通信カード30bに設けたが、負荷分散部31、集約部32、障害検出部33及び障害情報通知部34を、1枚の通信カード(通信カード30とする)内に含まれる構成としても良い。
次に通信システム1の障害救済処理を説明する前に(障害救済処理については図5以降で後述)、RPRリングネットワークの局所的な帯域増加に対応するLA構築について図2〜図4を用いて説明する。
図2はRPRリングネットワーク上での局所的な帯域増加に対応するLA構築を説明するための図である。通信システム1aは、ノード20−1〜ノード20−6を含み、ノード20−1〜ノード20−6が2重リングで接続される。また、図には示さないが、データの集中処理を行うサーバ等がノード20−1へ接続され、このために、ノード20−2〜ノード20−6それぞれからAddされたパケットが、すべてノード20−1へ転送されている。
なお、ここでは、現在10Gbps(時計周り及び反時計周り共に10Gbpsのパケット伝送が行われる)のRPRが構成されていると想定し、帯域保証クラスではない非帯域保証クラス(例えば、classB-EIR、classC)のパケット伝送を行うとする。
ここで、図2の説明の前に、帯域保証クラスと非帯域保証クラスにおけるパケット伝送の違いについて説明する。物理帯域の最大が10Gbpsとした場合に、時計周り方向に10Gbpsで伝送しているときに回線障害が発生し、反時計周り方向に回線を切り替えようとした場合、反時計周り方向でも10Gbpsの伝送が行われていると、反時計周り方向で伝送していた10Gbpsの情報がつぶされてしまうことになる。
したがって、帯域保証クラスでは、例えば、物理帯域の半分の帯域を用いるようにすることで、障害が発生した場合でも帯域を保証できるようにしておく。この例では、時計周り方向に5Gbpsで伝送しているときに回線障害が発生し、反時計周り方向に回線を切り替えた場合、反時計周り方向も5Gbpsの伝送が行われているならば、反時計周り方向に最大物理帯域の10Gbpsの情報が流れることになり、帯域が保証されることになる。逆に、帯域を保証しなくてもよい非帯域保証クラスでパケット伝送を行う場合には、最大物理帯域までパス設定することが許容される。非帯域保証クラスでは上述のような回線障害に伴う回線切り替えが発生すると、このクラスのパケットは転送が保証されない。
図2おいて、ノード20−6とノード20−1間のスパンSp6の時計周りリングルート(ノード20−6からノード20−1の方向)では、ノード20−4、ノード20−5、ノード20−6からのノード20−1宛のパスが流れている。このとき、パス帯域の合計が10Gbps以内である場合は問題ないが、それ以上の帯域を望む場合、ノード20−6からノード20−1への時計周りリングルートのリンクで物理的帯域が不足することになる。
例えば、ノード20−4から5Gbps、ノード20−5から4Gbpsのパスが、ノード20−1宛に時計回りリングルートに設定されていると、この時点でノード20−6からノード20−1への時計回りリングルートは9Gbpsの帯域を占有している。この時、ノード20−6からノード20−1宛に例えば、5Gbpsのパスを時計回りリングルートに設定したくても、時計周り方向のパス設定可能な帯域は1Gbps以内に制限される。
効率が悪くなることを承知で、反時計周り方向でノード20−1宛のパス設定も考えることができるが、その場合でも、ノード20−2、ノード20−3からノード20−1宛の反時計周り方向のパス合計帯域が10Gbpsであるならば、ノード20−2→ノード20−1間のリンクでやはり制限が発生し、パス設定できない。
したがって、このように伝送帯域が増加する場合、ノード20−6からノード20−1への右回りリングルートのリンクにおいて、あと4Gbps帯域が足りないので、10Gbpsのリンクを1本追加し20Gbpsリンク帯域のLAを構成する。
(構築手順1)
ノード20−6に10Gbpsの通信カード30a、ノード20−1に10Gbpsの通信カード30bを実装し、10Gbpsの光ファイバを追加接続する。なお、以降では通信カード30をLA over RPR対応カード30と呼ぶ。また、光ファイバf1が元からあったファイバであり、光ファイバf2が新規に追加されたものとする。
(構築手順2)
ノード20−6、ノード20−1にて、LA機能を有効にする。これにより、既存パス(ノード20−4、ノード20−5からノード20−1宛のパス)に対するLAハッシュ演算による負荷分散が行われる(光ファイバf1、光ファイバf2へ均等に負荷が分散されるようにする)。
(構築手順3)
ノード20−6にて、ノード20−6からノード20−1への右回りリングルートにおけるリンクの使用帯域の(FairRate)再計算が行われ、有効帯域が11Gbps(=20Gbps−(ノード20−4でパス設定した4Gbps)−(ノード20−5でパス設定した5Gbps))であることを認識し、ソースノード(ノード20−4、ノード20−5)へFairRate通知が行われる(光ファイバf2が追加されLA機能が実行することで、ノード20−4、ノード20−5に対して、あらためてFairRateがノード20−6で再計算されて通知されることで、ノード20−4、ノード20−5はそれぞれ、5Gbps、4Gbpsのパス設定が可能であることを認識する)。
(構築手順4)
ノード20−6からノード20−1宛に、5Gbpsのパス設定を行う。その結果、15Gbpsのパス帯域が、LAリンクであるノード20−6からノード20−1への右回りリングルートのリンクで伝送されることとなる。
上記構築手順では、ノード20−6からノード20−1宛のパス帯域を増加させることができるが、ノード20−4、20−5からノード20−1宛のパス帯域を増加させる場合は、ノード20−5→ノード20−6間でも帯域不足が発生する可能性があるが、LAリンク構築は、局所的な帯域増加に対応可能なので、ノード20−5→ノード20−6間リンクに対しても、上記と同様な手順で帯域増加を行うことが可能である。
次にプロトコル・スタックについて示す。図3はプロトコル・スタックを示す図である。通信システム1を実現するプロトコルであるRPR MACは、レイヤ2(L2)のMACサブレイヤに位置する。
レイヤ1(L1)には、例えば、SONET/SDH、WDM、GbEが位置する。MACサブレイヤにはIEEE802.3(イーサネット)が位置し、MACサブレイヤの中のRPR MACには、LAがあり、LAの上位にFairnessと、RPRのリングトポロジ及び障害救済のためのTopology and Protectionとがあり、さらにOAM(Operation and Maintenance)が位置する。また、MACサブレイヤの上位にLLC(Logical Link Control)サブレイヤがあり、レイヤ3(L3)はIP(Internet Protocol)となる。
次に片方向(unidirectional)のリングルート単位でのLA構築について説明する。図4は片方向のリングルート単位でのLA構築を説明するための図である。ネットワーク構成は図2と同じである。
LA over RPR対応カード30bは、反時計周りのリングルートを介して、物理リンク11−1〜物理リンク11−nの接続状態を通知するための接続状態通知を、LA over RPR対応カード30aへ送信する。この接続状態通知は、実際にはkeep aliveパケット(ネットワーク上で、接続が有効であることを確認するために定期的に送信されるパケット)を使用できる。
LA over RPR対応カード30a内の負荷分散部31は、接続状態通知にもとづいて、時計周りのリングルート上に形成された複数の物理リンク11−1〜物理リンク11−nに対する負荷分散制御を行う。
このように、ノード間でネットワーク回線状態の送受信を行い、常時正常性の確認のやりとりを行うことで、リングネットワークの局所的に伝送帯域が増加するスパンに対して、片方向のリングルート単位にLAを生成(物理リンクの増減設)することができ(つまり、LAを構築する際には、時計周りまたは反時計周りのどちらか一方のルートにLAを構築でき、両方のルートに必ずしも構築する必要はないということ)、特定ノードに負荷が集中する場合のダイナミックな接続容量要求に対して、最小限の設備で対応可能となる。
次に通信システム1の障害救済処理(以降、LA救済処理とも呼ぶ)をRPRネットワーク上に適用した場合の詳細について説明する。
図5、図6はLA救済処理の動作状態を示す図である。
ノード20−1〜ノード20−5がリング状に接続されており、時計周りリングルートはノード20−1、ノード20−2、ノード20−3、ノード20−4、ノード20−5、ノード20−6の順に接続され、一周してノード20−1に戻るように構成されている。そして、ノード20−1〜ノード20−5にはそれぞれ、データn1〜データn5がAddされて、時計周り方向へ流れており、データn1〜データn3は、ノード20−4でDropされている。
また、リングの伝送帯域として1GbpsのRPRネットワークが構成され、帯域保証クラス(例えば、classA、classB-CIRなど)のデータ伝送が行われるとする。さらに、ノード20−3からノード20−4への時計周りリングルートには、4本の物理リンク11−1〜物理リンク11−4からなるLA(1本が1Gbpsであるので、最大4Gbpsの伝送可能)が形成されている。このとき、ノード20−3は複数の物理リンクの前段ノード、ノード20−4は後段ノードである。
図5において、RPRの帯域保証クラスでは、上述したように、パス設定の上限は一方のリングルートが有する物理帯域であるリング物理帯域の半分に制限される。この例では、リング物理帯域は1Gbpsなので、500Mbpsが上限値となる(時計周り、反時計周りのリングルートと共にデータ伝送帯域の上限値が500Mbpsとなる)。したがって、物理リンク11−1〜物理リンク11−4からなるLAでも帯域保証クラスとしては最大で500Mbpsの伝送が行われる(ノード20−1、ノード20−2、ノード20−3からノード20−4宛の帯域合計は500Mbps)。
LA over RPR対応カード30a内の負荷分散部31では、合計500Mbpsの帯域保証クラスのデータを物理リンク11−1〜物理リンク11−4へ負荷分散して出力する。LA over RPR対応カード30b内の集約部32は、物理リンク11−1〜物理リンク11−4から送信されたデータを集約する。
図6において、物理リンク11−1に障害が発生したとする。このとき、まず後段ノードであるノード20−4のLA over RPR対応カード30b内の障害検出部33にてリンク断を検出し、残りのリンク帯域にて帯域保証クラスの伝送を満足できることを認識し、LA救済処理を開始する。
そして、反時計周りリングルートを介して、後段ノードであるノード20−4から前段ノードであるノード20−3宛に送信される障害情報にて、リンク断のリンクを特定する情報を通知する。障害情報は、前段ノードであるノード20−3のLA over RPR対応カード30aにて検出され、複数の物理リンクのうち、物理リンク11−1に障害が発生したことを認識する。なお、障害情報は、KeepAliveを利用して通知することができる。
前段ノードであるノード20−3の負荷分散部31では、負荷分散先が4本から3本に減少したことを認識し、残る3本の物理リンク11−2〜物理リンク11−4で合計500Mbpsのデータを送出するように、あらたな負荷分散計算を行い、データを送出する。
このように、帯域保証クラスのデータがLAリンクを経由して伝送されているときに、LAを形成する物理リンクに障害が発生した場合は、基本的には、少なくとも1本の物理リンクが残存するならば、上記のようなLA救済処理によって対応する。これは、1本の物理リンクの伝送帯域が、リング物理帯域に相当するからである。また、LAを形成するすべての物理リンクに障害が発生した場合には、Wrapping救済またはSteering救済といった既存のRPRの救済処理が実行されることになる。
図7〜図9はLA救済処理の動作状態を示す図である。ノード20−1〜ノード20−5がこの順で時計周りリングルートを形成するようにリング状に接続されている。ノード20−1〜ノード20−5にはそれぞれ、データm1〜m5がAddされて、時計周り方向へ流れており、データm1〜m3は、ノード20−4でDropされている様子を示している。また、リングの伝送帯域が1GbpsのRPRネットワークが構成され、非帯域保証クラス(例えば、classB-EIR、classCなど)のデータ伝送が行われるとする。
図7において、データm1〜m3に対応するパスの伝送容量が増えて、ノード20−3とノード20−4間の時計周り方向のリンクで、局所的な帯域増加が発生したとする。すなわち、データm1〜m3に対応するパスの伝送帯域をそれぞれM1〜M3とし、ノード20−3とノード20−4間の時計周り方向のリンクが確保すべき伝送帯域をLink Rateとすれば、(M1+M2+M3)>Link Rateの状態になったとする。
図8において、ノード20−3とノード20−4間の時計周りのリングルートとして1Gbpsの物理リンク4本(物理リンク11−1〜物理リンク11−4)を形成する(3本の1Gbps物理リンクを増設)。
ノード20−1、ノード20−2からノード20−4宛のパス合計帯域(M1+M2)が1Gbps以内であるとすると、ノード20−3からノード20−4宛のパス帯域(M3)は、4GbpsのLAリンクが構成され、すべてが非帯域保証クラスであるとすると、3Gbpsまで使用可能となる。
ここでは例えば、M1=0.5Gbps、M2=0.5Gbps、M3=3Gbpsとする(このような設定は、Fairnessアルゴリズムにて、ノード20−3からノード20−4に向かうパスを、他のパスより重み付けを大に設定すること(unequal weighted shaper)により実現可能である)。
また、ノード20−3のLA over RPR対応カード30a内の負荷分散部31では、合計4Gbpsのデータを物理リンク11−1〜物理リンク11−4へ負荷分散して出力する。ノード20−4の集約部32は、物理リンク11−1〜物理リンク11−4から送信されたデータを集約する。なお、ここでの状態は(M1+M2+M3)≦Link Rateとなる。
図9は図8において、物理リンク11−1に障害が発生した状態を説明する図である。物理リンク11−1に障害が発生すると、LAでの伝送可能帯域は3Gbpsとなる。ノード20−3は、ノード20−3、ノード20−4間リンクのfairRate再計算処理を行い、ノード20−3とノード20−4間の時計回りリングルートの帯域分配におけるソースノード(ノード20−1〜ノード20−3)に対して、帯域再分配処理が行われる。
ここで、M1、M2の重み(この例では各々0.5Gbps shaper)の6倍をM3に設定(3Gbps shaper)するとすれば、M1:M2:M3=1:1:6の重み比率となるので、M1:M2:M3=0.375Gbps:0.375Gbps:2.25Gbpsとなる。
その結果、ノード20−3とノード20−4間の時計周りリングルートのリンクは正常な物理リンク3本の帯域である3Gbpsが最大まで利用され、ノード20−3からアップストリーム(upstream)のノード(反時計周り方向のノード)へのfairRate通知は、0.375Gbpsとなる。ノード20−1、20−2は、この帯域再分配のfairRate通知を受け、各々の帯域設定を障害発生前の0.5Gbps から0.375Gbps に変更する。
このように、非帯域保証クラスがLAリンクを経由して伝送されているときに、LAを形成する物理リンクに障害が発生した場合は、基本的には、少なくとも1本の物理リンクが残存するならば、上記のようなLA救済処理によって対応し、その都度、fairRate再計算結果にもとづいた帯域再分配を行うことになる。また、LAを形成するすべての物理リンクに障害が発生した場合には、Wrapping救済またはSteering救済といった既存のRPRの救済処理が実行されることになる。
次にLA over RPRカード30について説明する。
図10はLA over RPR対応カード30の機能構成を示す図である。LA over RPR対応カード30は、Hash Algorithm & LA KeepAlive Packet生成部31a、31b、パケット受信・Alarm検出部32a、32b、Drop Path33a、33b、Through Path34a、34b、Wrap SW35a、35b、Add Path36a、36b、EAST側伝送路と接続されるE/O O/E37−1、WEST側伝送路と接続されるE/O O/E37−2、Link BW(Band Width) Monitor entity38a、38b、EAST/WEST Ringlet Selection39から構成される。
E/O O/E37−1、37−2は、他ノードから送信された光信号を電気信号に変換し、自ノードで処理された電気信号を光信号に変換して出力する。Hash Algorithm & LA KeepAlive Packet生成部31a、31bは、負荷分散部31の機能を含み、LAを構成する複数の物理リンクに対し、均一な負荷が割り当てられるように、転送すべきパケットに対してハッシュ演算を行って送出すべき物理リンクを決定し、負荷を分散させる。この場合、パケット受信・Alarm検出部32a、32bからのアラーム情報を受けた場合は、正常な物理リンクだけにパケットが送出されるようにハッシュ演算を再度計算し直して負荷分散させる。また、keep aliveパケットの送出及び受信機能を有する。
パケット受信・Alarm検出部32a、32bは、集約部32の機能を含む。また、回線障害アラームを検出し、アラーム情報をHash Algorithm & LA KeepAlive Packet生成部31a、31bへ通知する。
Drop Path33a、33bは、受信パケットからDropすべきパスを選択し、選択したパスはトリビュタリ側へDropし、それ以外のパケットはThrough Path34a、34bへそれぞれ送信する。
Through Path34a、34bは、受信パケットをそれぞれAdd Path36a、36bへ送信する。Wrap SW35aは、障害救済時に、WESTから流れてきた、例えば反時計周りリングルートのパケットを時計周りリングルートに折り返してWESTから出力するように、WESTから流れてきたパケットをThrough Path34aへ送信する。Wrap SW35bは、障害救済時に、EASTから流れてきた、時計周りリングルートのパケットを反時計周りリングルートに折り返してEASTから出力するように、EASTから流れてきたパケットをThrough Path34bへ送信する。
Add Path36aは、Through Path34aから送信されたパケットにEAST/WEST Ringlet Selection39から送信されたWEST Ringlet 向けパケットをAddし、Hash Algorithm & LA KeepAlive Packet生成部31a及びLink BW Monitor entity38aへ送信する。
Add Path36bは、Through Path34bから送信されたパケットにEAST/WEST Ringlet Selection39から送信されたEAST Ringlet 向けパケットをAddし、Hash Algorithm & LA KeepAlive Packet生成部31b及びLink BW Monitor entity38bへ送信する。
Link BW Monitor entity38a、38bは、それぞれWEST Ringlet向けパケット、EAST Ringlet向けパケットの伝送帯域をモニタし、モニタ結果をノード内の図示しないCongestion Control部(輻輳制御部)へ通知する(モニタ結果はFairRate計算に利用する)。
EAST/WEST Ringlet Selection39は、トリビュタリ側からAddされたパケットをEAST方向へのパスにAdd(送出)するのか、WEST方向へのパスにAdd(送出)するのかを選択し、Add Path36a、36bのいずれかに送信する。
図11はLA over RPR対応カード30のLA救済処理の動作を説明するための図である。EAST側LA障害救済処理部300Eは、Hash Algorithm & LA KeepAlive Packet生成部31bとパケット受信・Alarm検出部32aの機能を含み、WEST側LA障害救済処理部300Wは、Hash Algorithm & LA KeepAlive Packet生成部31aとパケット受信・Alarm検出部32bの機能を含む。なお、EAST、WESTとも機能・動作は同じなので、EAST側LA障害救済処理部300Eについて説明する。
EAST側LA障害救済処理部300Eは、L1アラーム検出部3a、RPR MACアラーム検出部3b、mask部3c、LA救済エンジン3d、LA KeepAlive送信部3eから構成される。
L1アラーム検出部3aは、EAST側からの信号を受信し、物理レイヤにおけるアラームを検出する。物理レイヤにおけるアラームとしては、例えば、SONET/SDHならLOS(Loss Of Signal)やSF(Signal Failure)などのアラームであり、GbEならLOS、L.D.(Link Down)、C.V.(Code Violation)などがある。
RPR MACアラーム検出部3bは、RPR MACレイヤにおけるアラームを検出する。RPR MACレイヤにおけるアラームとしては、例えば、RPR KeepAlive Failure、RPR Ringlet Identifier Mismatchなどがある。
mask部3cは、LA救済エンジン3dからのmask指示にもとづき、RPR救済プロトコル(Wrapping/Steering)の起動がかからないように、アラーム情報のmask処理を行う。すなわち、LA救済処理で障害救済可能な場合は、Wrapping/Steeringといった、RPRにおける救済処理が行われないように上位制御部に対するアラーム通知をmaskし、Wrapping/Steeringによる障害救済を行う場合には、maskを解除してアラーム情報を上位のRPR救済プロトコルエンジン301へ通知する(EAST側からのアラーム検出なので、RPR救済プロトコルエンジン301のEAST受信側へ通知する)。
LA救済エンジン3dは、LAを構成している複数の物理リンクのアラームの入力と、LA KeepAliveパケットの終端処理を行い、LAリンク上で伝送している保証帯域情報を守れるかどうかの判断を行っている。
LA救済エンジン3dでは、保証帯域情報、LAリンクの障害情報をインプットとしており、保証帯域を満足できない障害が発生したと判断した場合は、RPR救済プロトコルエンジン301へのアラーム通知maskを解除するようmask部3cを制御し、RPR救済トリガを起動させる。
また、物理リンク上で回線障害が検出された場合、LA救済エンジン3dは保証帯域を満足できていると認識した場合、RPRでの救済処理に頼ることなくLAで救済すると判断し、RPR救済プロトコルエンジン301へのアラーム通知をmaskするようにmask部3cを制御するとともに、障害回線のポート番号情報をLA KeepAlive送信部3eに通知し、LA KeepAlive送信部3eは、送信元ノードへ障害情報を伝達する。
また、LA KeepAlive送信部3eは、RPR救済プロトコルエンジン301でWrapping/Steeringによる障害救済を行う場合には、RPR救済プロトコルエンジン301のEAST送信部からその旨の情報を受けて、その情報を含むLA KeepAliveパケットを送信元ノードへ伝達する。
なお、障害回線を送信物理リンクとして使用していた前段ノード側では、LA障害情報を含むLA KeepAliveパケットを受信すると、障害回線を認識し、LA振り分け部(LA Hash Algorithm)で障害回線を有効回線の選択から排除することにより、残る有効なLA回線だけを利用してトラフィック伝送を実施することになる。
以上説明したように、本発明に係る通信システム及び通信方法では、リンクの両端ノードに、LA over RPR対応カード30を実装してそのリンクの伝送帯域増加を図ることができ、LAを形成する物理リンクに障害が発生した場合には、帯域保証クラスとして設定された帯域と、LAを形成する物理リンクの帯域とに応じて、RPR救済プロトコル(Wrapping/Steering)を起動せずに、LA救済処理によって簡潔にトラフィックを救済することにより、高速かつ効率的に障害救済を行うことが可能になる。
(付記1) ネットワーク上で通信を行う通信システムにおいて、
ネットワークの局所的なスパンに設置された複数の物理リンクと、
複数の前記物理リンクを仮想的な1つのリンクとみなすリンク・アグリゲーションとし、負荷分散処理を行って前記物理リンクへデータを出力し、後段ノードから通知された障害情報を受信した場合には、正常通信可能な物理リンクに対する負荷分散計算をあらためて行って負荷分散処理を行う負荷分散部を含む第1の通信カードが実装された第1のノードと、
複数の前記物理リンクを介して送信されたデータを集約し、宛先にしたがって出力する集約部と、前記リンク・アグリゲーションを構成する物理リンク上の障害を検出して前記障害情報を生成する障害検出部と、前記障害情報を前段ノードへ通知する障害情報通知部とを含む第2の通信カードが実装された第2のノードと、
を有することを特徴とする通信システム。
(付記2) 前記第1の通信カードは、前記リンク・アグリゲーションを構成する物理リンク上で障害が発生して、前記障害情報を受信した場合、前記リンク・アグリゲーションへ向けてデータを送信しているソースノードに対して、帯域最分配処理を促す帯域最分配処理指示部をさらに有することを特徴とする付記1記載の通信システム。
(付記3) ネットワーク上で通信を行う通信カードにおいて、
局所的なスパンに設置された複数の物理リンクを仮想的な1つのリンクとみなすリンク・アグリゲーションとし、負荷分散処理を行って前記物理リンクへデータを出力し、後段ノードから通知された障害情報を受信した場合には、正常通信可能な物理リンクに対する負荷分散計算をあらためて行って負荷分散処理を行う負荷分散部と、
複数の前記物理リンクを介して送信されたデータを集約し、宛先にしたがって出力する集約部と、
前記リンク・アグリゲーションを構成する物理リンク上の障害を検出して前記障害情報を生成する障害検出部と、
前記障害情報を前段ノードへ通知する障害情報通知部と、
を有することを特徴とする通信カード。
(付記4) 前記リンク・アグリゲーションを構成する物理リンク上で障害が発生して、前記障害情報を受信した場合、前記リンク・アグリゲーションへ向けてデータを送信しているソースノードに対して、帯域最分配処理を促す帯域最分配処理指示部をさらに有することを特徴とする付記3記載の通信カード。
(付記5) RPRによる冗長構成を持つリングネットワーク上で通信を行う通信方法において、
局所的なスパンに対して複数の物理リンクを設置し、
第1の通信カードをデータ送信側のノードに実装して、前記第1の通信カードは、複数の前記物理リンクを仮想的な1つのリンクとみなすリンク・アグリゲーションに対して、負荷分散処理を行って前記物理リンクへデータを出力し、後段ノードから通知された障害情報を受信した場合には、正常通信可能な物理リンクに対する負荷分散計算をあらためて行って負荷分散処理を行い、
第2の通信カードをデータ受信側のノードに実装して、前記第2の通信カードは、複数の前記物理リンクを介して送信されたデータを集約して、宛先にしたがって出力し、前記リンク・アグリゲーションを構成する物理リンク上の障害を検出した際は前記障害情報を生成して、前記障害情報を前段ノードへ通知することで、
前記リンク・アグリゲーションを構成する物理リンクに障害が発生した場合に、RPRプロトコルの障害救済プロトコルを起動せずに、前記リンク・アグリゲーションを構成しているノード間でのみ障害救済を行うことを特徴とする通信方法。
(付記6) 前記リンク・アグリゲーションを構成する物理リンク上で障害が発生して、前記障害情報を受信した場合、前記第1の通信カードは、前記リンク・アグリゲーションへ向けてデータを送信しているソースノードに対して、帯域最分配処理を促すことを特徴とする付記5記載の通信方法。
通信システムの原理図である。 RPRリングネットワーク上での局所的な帯域増加に対応するLA構築を説明するための図である。 プロトコル・スタックを示す図である。 片方向のリングルート単位でのLA構築を説明するための図である。 LA救済処理の動作状態を示す図である。 LA救済処理の動作状態を示す図である。 LA救済処理の動作状態を示す図である。 LA救済処理の動作状態を示す図である。 LA救済処理の動作状態を示す図である。 LA over RPR対応カードの機能構成を示す図である。 LA over RPR対応カードのLA救済処理の動作を説明するための図である。 RPRネットワークの構成を示す図である。 UPSRの動作を示す概念図である。 Spatial Reuseを示す図である。 FairRate機能を説明するための図である。 特定ノードに負荷が集中しているネットワーク状態を示す図である。 Wrapping救済の状態を示す図である。 Steering救済の状態を示す図である。
符号の説明
1 通信システム
11−1〜11−n 物理リンク
20−1〜20−4 ノード
30a、30b 通信カード
31 負荷分散部
32 集約部
33 障害検出部
34 障害情報通知部
Spa 伝送帯域が増加したスパン

Claims (3)

  1. ネットワーク上で通信を行う通信システムにおいて、
    ネットワークの局所的なスパンに設置された複数の物理リンクを仮想的な1つのリンクとみなすリンク・アグリゲーションとし、負荷分散処理を行って前記物理リンクへデータを出力し、後段ノードから通知された障害情報を受信した場合には、正常通信可能な物理リンクに対する負荷分散計算をあらためて行って負荷分散処理を行う負荷分散部を含む第1の通信カードが実装された第1のノードと、
    複数の前記物理リンクを介して送信されたデータを集約し、宛先にしたがって出力する集約部と、前記リンク・アグリゲーションを構成する物理リンク上の障害を検出して前記障害情報を生成する障害検出部と、前記障害情報を前段ノードへ通知する障害情報通知部とを含む第2の通信カードが実装された第2のノードと、
    を備え、
    前記リンク・アグリゲーションを形成する前記物理リンクに障害が発生した場合であって、
    少なくとも1本の前記物理リンクが残存する場合は、前記負荷分散部は、前記リンク・アグリゲーションに対する前記負荷分散処理によって障害救済を行い、
    すべての前記物理リンクに障害が発生した場合は、前記第1の通信カードまたは前記第2の通信カードは、障害救済プロトコルにもとづき、障害区間を回避した折り返し送信による障害救済、または障害区間を回避するための経路再計算により求めた新たな経路による障害救済を行う、
    ことを特徴とする通信システム。
  2. 前記第1の通信カードは、前記リンク・アグリゲーションを構成する物理リンク上で障害が発生して、前記障害情報を受信した場合、前記リンク・アグリゲーションへ向けてデータを送信しているソースノードに対して、帯域最分配処理を促す帯域最分配処理指示部をさらに有することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
  3. RPRによる冗長構成を持つリングネットワーク上で通信を行う通信方法において、
    第1の通信カードをデータ送信側のノードに実装して、前記第1の通信カードは、局所的なスパンに設置された複数の物理リンクを仮想的な1つのリンクとみなすリンク・アグリゲーションに対して、負荷分散処理を行って前記物理リンクへデータを出力し、後段ノードから通知された障害情報を受信した場合には、正常通信可能な物理リンクに対する負荷分散計算をあらためて行って負荷分散処理を行い、
    第2の通信カードをデータ受信側のノードに実装して、前記第2の通信カードは、複数の前記物理リンクを介して送信されたデータを集約して、宛先にしたがって出力し、前記リンク・アグリゲーションを構成する物理リンク上の障害を検出した際は前記障害情報を生成して、前記障害情報を前段ノードへ通知し、
    前記リンク・アグリゲーションを形成する前記物理リンクに障害が発生した場合であって、
    少なくとも1本の前記物理リンクが残存する場合は、前記負荷分散部は、前記リンク・アグリゲーションに対する前記負荷分散処理によって障害救済を行い、
    すべての前記物理リンクに障害が発生した場合は、前記第1の通信カードまたは前記第2の通信カードは、障害救済プロトコルにもとづき、障害区間を回避した折り返し送信による障害救済、または障害区間を回避するための経路再計算により求めた新たな経路による障害救済を行う、
    ことを特徴とする通信方法。
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