JP4587485B2 - ブルッカイト型二酸化チタンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ブルッカイト型二酸化チタンの製造方法に関し、更に詳しくは、特定のチタン錯体を水熱処理するブルッカイト型二酸化チタンの製造方法に関する。
天然鉱物由来の二酸化チタンは、結晶構造として、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型を有している。その中において、鉱床としてはルチル型であり、アナターゼ型については散在しており、ブルッカイト型の含有量については極めて少ない。
ブルッカイト型二酸化チタンは、板状の形状を有するため、塗布性、密着性、製膜性等に優れ、また白色度が高いという特徴も有している。更に、光触媒として、特に高い活性を有することが知られている。
しかしながら、ブルッカイト型二酸化チタンの合成方法に関する報告は少なく、工業的な製造の可能性を充分満足する合成方法の報告はなかった。特に、ブルッカイト型二酸化チタンを単相として容易に製造し得る方法の報告例は非常に少ないのが現状であった。
すなわち、特許文献1には、水酸化ナトリウム水溶液に非晶質二酸化チタンを添加して水熱処理を行うブルッカイト型二酸化チタンの製造方法が記載されているが、この方法で得られたものは水酸化ナトリウムの残存が懸念され、また、高アルカリ性下で水熱処理を行わなければならない等の問題点があった。また、非特許文献1及び非特許文献2に記載の方法では、高酸性下で水熱処理を行わなければならない等の問題点があり、更に、非特許文献3に記載の方法では、有機溶剤中で、その有機溶媒の沸点を超える高温高圧下で反応(ソルボサーマル反応)を行わなければならない等の問題点があった。
また、特許文献2には、ペルオキソチタン酸溶液に有機塩基及び/又はアンモニアを添加し、特定の温度範囲で水熱処理をする方法が記載されているが、ペルオキソチタン酸は不安定であり、合成後数時間で分解してしまうため取り扱いが非常に難しいといった問題点があった。また、この方法では、ブルッカイト型二酸化チタンを単相で得ることはできなかった。
そこで、強酸性溶液も有機溶媒も使用せず、工業的製造に有利なブルッカイト型二酸化チタンの製造方法が望まれていた。更には、単相のブルッカイト型二酸化チタンの製造方法も望まれていた。
特開2000−095521号公報 特開2000−335919号公報 Mater.Sci.Eng.C,23(6-8),1033(2003) Mater.Lett.,57(5-6),1124(2003) Trans.Mater.Res.Soc.J.,29(5),2297(2004)
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、強酸性溶液や有機溶剤を使用せず環境負荷を低減することが可能であり、原料として安定なものを使用するため工業的製造に有利であり、他の結晶型を実質的に含まない単相のものも容易に得ることができるブルッカイト型二酸化チタンの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のチタン錯体を特定の条件で水熱処理することによって、上記課題が解決されることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ヒドロキシカルボン酸チタン錯体を含有する水溶液を、該水溶液のpHを8〜13に維持しながら、100℃〜300℃の温度範囲で水熱処理することを特徴とするブルッカイト型二酸化チタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記のブルッカイト型二酸化チタンの製造方法を使用して得られたことを特徴とするブルッカイト型二酸化チタンを提供するものである。
また、本発明は、上記のブルッカイト型二酸化チタンの製造方法を使用して得られたことを特徴とする単相ブルッカイト型二酸化チタンを提供するものである。
本発明によれば、強酸性溶液や有機溶剤を使用しないため取り扱いが比較的容易であり、また工業的にも環境負荷を低減することが可能なブルッカイト型二酸化チタンの製造方法を提供することができる。また、水熱処理される原料が化学的に安定である点でも工業的製造に有利である。また、本発明によれば、他の結晶型を実質的に含まない、すなわち単相のブルッカイト型二酸化チタンも容易に得ることができ、更には、ブルッカイト型二酸化チタン微粒子、特にナノ粒子も好適に得ることができる。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の具体的形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で任意に変形して実施することができる。
本発明は、ヒドロキシカルボン酸チタン錯体を含有する水溶液を特定の条件下で水熱処理することを特徴とする。原料となるヒドロキシカルボン酸チタン錯体は、公知の方法(例えば、現代化学2000年3月号25ページ「環境調和機能をもつチタン化合物」垣花眞人著記載の方法)で調製することができ、これらは何れも原料として好適に使用できる。具体的には、ペルオキソチタン酸錯体水溶液にヒドロキシカルボン酸を加えることによって好適に調製することができる。
ここで、ペルオキソチタン酸錯体は、一般には例えば、下記の反応式によって合成される。
Ti+3H+NH → [Ti(OH)+HO+NH
特に限定されるわけではないが、具体的には、チタン粉末に過酸化水素水とアンモニア水を加え、チタン粉末を溶解させれば得られる。チタン1モルに対して、過酸化水素水(100%のHとして)10モル〜50モル、アンモニア水(NHとして)1モル〜20モルを加えて反応させることが好ましい。水溶液としての濃度は、合成されるペルオキソチタン酸錯体の濃度として、0.05モル/L〜5.0モル/Lになるように調整して反応させることが好ましい。
反応温度は特に限定はないが、0℃〜50℃が、チタンと過酸化水素の反応性の点で好ましい。発熱反応であるので、要すれば冷却をして上記温度に維持する。また、アンモニア水に代えて、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基化合物、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミンの様なアミン化合物等を用いることも可能である。
反応時のpHについては、通常8〜13の範囲、好ましくは8.5〜12.5の範囲、特に好ましくは9〜12の範囲、更に好ましくは9〜11である。pHが7以上で小さすぎると(中性に近いと)、チタンと過酸化水素の反応速度が非常に遅く長時間の反応が必要な場合があり、また、7より小さいとチタンと過酸化水素の反応速度が遅く反応が完結しない場合がある。一方、大きすぎると、反応の際、沈殿物が生ずる場合がある。
次いで、上記ペルオキソチタン酸錯体水溶液にヒドロキシカルボン酸を加えることによって、ヒドロキシカルボン酸チタン錯体を合成する。ここで、ヒドロキシカルボン酸チタン錯体は、例えば一例として、ヒドロキシカルボン酸としてクエン酸(C)を用いたときには、下記の反応式によって合成される。
4[Ti(OH)+4C
→ [Ti(C(O8−+8HO+4H
特に限定されるわけではないが、具体的には、上記したペルオキソチタン酸錯体水溶液にヒドロキシカルボン酸を加え反応後、水と余分な過酸化水素とアンモニアを蒸発乾固することによって得られる。ペルオキソチタン酸錯体1モルに対して、0.5モル〜4モルのヒドロキシカルボン酸を加えることが好ましい。反応温度は特に限定はないが、0℃〜150℃が、ヒドロキシカルボン酸との反応性の点で好ましい。また、攪拌条件は、特に限定はなく、撹拌子による撹拌、撹拌翼による撹拌等から自由に選択できる。
ヒドロキシカルボン酸としては、ペルオキソチタン酸錯体に加えることによってヒドロキシカルボン酸チタン錯体を形成するものであれば特に限定はないが、一般式(1)で表される化学構造を有するものが、ヒドロキシカルボン酸チタン錯体の安定性の点で好ましい。
[一般式(1)中、Zは、置換基を有していてもよいアルキレン基、芳香族環又は脂肪族環を示す。]
一般式(1)中、アルキレン基としては特に限定はないが、(分岐しているときは分岐の炭素数を含み)炭素数1個〜10個(特に好ましくは1個〜5個)の、直鎖の又は分岐のアルキレン基が、錯体形成の点で好ましい。また、該アルキレン基は置換基を有していてもよいが、その置換基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、フェニル基等が好ましい。なお、該アルキレン基は、置換基を有していてもよいアルキル置換基やアルキレン置換基を有していてもよいが、それらは、「分岐をしている該アルキレン置換基」と概念される。
置換基を有していてもよい芳香族環としては特に限定はないが、ベンゼン環、ナフタリン環等が好ましく、ベンゼン環が錯体形成の点で特に好ましい。その置換基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等が好ましい。これらの置換基は、直接該芳香族環に結合していることが好ましいが、アルキレン基等の2価の有機基を介して該芳香族環に結合していてもよい。
置換基を有していてもよい脂肪族環としては、特に限定はないが、5〜8員環が好ましく、6員環が特に好ましい。具体的には、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環等が挙げられる。その置換基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等が好ましい。これらの置換基は、直接該脂肪族環に結合していることが好ましいが、アルキレン基等の2価の有機基を介して該脂肪族環に結合していてもよい。また、一般式(1)中に表されている水酸基とカルボキシル基は脂肪族環を構成する同一炭素に結合していてもよい。
ヒドロキシカルボン酸チタン錯体としては、特に好ましくは一般式(1)において、Zが置換基を有していてもよいメチレン基のものである。一般式(2)で表される化学構造を有するものが、ヒドロキシカルボン酸チタン錯体の安定性の点で好ましい。
[一般式(2)中、X及びYは、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し、X及びYが一緒になって脂肪族環を形成していてもよい。]
一般式(2)中、X及びYは、互いに同一又は異なって、水素原子又は「置換基を有していてもよいアルキル基」を示すが、該アルキル基としては(置換基を有しているときは置換基の炭素数は含まず)、炭素数1個〜8個(特に好ましくは1個〜4個)の、直鎖の又は分岐のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が特に好ましい。X及びYが一緒になって形成する脂肪族環は特に限定はないが、シクロヘキサン環が好ましい。また、該置換基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、フェニル基等が好ましい。
上記ヒドロキシカルボン酸として好ましいものとしては、具体的には、例えば、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸(α−ヒドロキシ−n−酪酸)、2−ヒドロキシイソ酪酸(α−ヒドロキシイソ酪酸)、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グリセリン酸、クエン酸、イソクエン酸、マンデル酸、キナ酸等の一般式(2)で表される化合物;メバロン酸等の一般式(1)でZが置換基を有しているアルキレン基である化合物;サリチル酸、没食子酸等の一般式(1)でZが芳香族環である化合物;シキミ酸等の一般式(1)でZが脂肪族環である化合物等が挙げられる。このうち、特に好ましくは、チタン錯体の安定性の点で、グリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸又は酒石酸である。
本発明のブルッカイト型二酸化チタンの製造方法の原料となるヒドロキシカルボン酸チタン錯体の構造は特に限定はなく、ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシル基とカルボキシル基の両方のプロトンを脱離してチタン原子に配位していても、片方の又は一部のプロトンを脱離してチタン原子に配位していてもよい。また、チタン原子1個を含む単核錯体でも、チタン原子2個以上を含む多核錯体でもよい(チタン原子4個を含む4核錯体でもよい)。更に、該ヒドロキシカルボン酸チタン錯体は、ペルオキソ基を含むものでもペルオキソ基を含まないものでもよいが、ペルオキソ基を含むペルオキソヒドロキシカルボン酸チタン錯体であることが好ましい。
本発明は、ヒドロキシカルボン酸チタン錯体を含有する水溶液を、該水溶液のpHを8〜13に維持しながら、100℃〜300℃の温度範囲で水熱処理することを特徴とする。
本発明においては、該水溶液のpHは8〜13の範囲に調整して水熱処理を行うことが必須であるが、好ましくは8.5〜12.5の範囲、特に好ましくは9〜12の範囲、更に好ましくは9〜11である。pHが8以下であるとブルッカイト型二酸化チタンが得られない場合がある。一方、アルカリ性でpHが大きすぎると、水酸化チタンが沈殿してしまう場合がある。本発明では、水熱処理される水溶液に対して、強アルカリ性や強酸性を要求しない点にも本発明の優れた効果が存在する。
本発明においては、100℃〜300℃の温度範囲で水熱処理することが必須であるが、好ましくは100〜250℃の範囲、特に好ましくは100〜200℃の範囲である。温度が高すぎる場合は、結晶化が速くなりすぎるため反応の制御が難しい場合があり、低すぎる場合は、結晶の成長が遅く、結晶化するまでに非常に時間がかかる場合がある。
水熱処理される「ヒドロキシカルボン酸チタン錯体を含有する水溶液」の濃度は特に限定はなく、含有するチタンのモル濃度によって定められるが、好ましくは0.01モル/L〜10モル/Lの範囲、特に好ましくは1モル/L〜5モル/Lの範囲である。また、反応圧力は特に限定はなく、上記した所定の温度における水の蒸気圧によって定められるが、好ましくは1〜90気圧の範囲、特に好ましくは1〜45気圧の範囲である。また、反応時間は特に限定はなく、ブルッカイト型二酸化チタンの生成量によって定められるが、好ましくは1〜72時間の範囲、特に好ましくは1〜48時間の範囲である。
水熱処理に供される「ヒドロキシカルボン酸チタン錯体を含有する水溶液」は、水溶液のため、コーティング等にて工業的に使用できるので、その点で本発明は優れている。すなわち、本発明は、原料となる物質が化学的に安定であることに発明の効果があり、予め合成され保存されている固体又は液体のヒドロキシカルボン酸チタン錯体を、水熱処理をする時点で水に溶解して用いることができるので工業的にも有利である。
水熱処理後、要すれば反応液を冷却させ、生じた沈殿を濾過、遠心分離等の手段で分離して、ブルッカイト型二酸化チタンを得る。本発明の製造方法は、単相ブルッカイト型二酸化チタンの製造方法に限定されるものではないが、本発明の製造方法によれば、好適にブルッカイト型二酸化チタンを単相で得ることができる。従って、本発明の製造方法は、単相ブルッカイト型二酸化チタンの製造方法用に使用されることが好ましい。「単相」とは、単一の結晶構造を有する事であり、本発明においては、ブルッカイト型の結晶構造以外の結晶構造であるアナターゼ型、ルチル型等の結晶構造の含有がない結晶と定義される。
本発明の製造方法によって製造されるブルッカイト型二酸化チタンの形状は特に限定はないが、好適に平均粒径5nm〜300nmのブルッカイト型二酸化チタン微粒子を得ることができる。従って、本発明の製造方法は、かかるブルッカイト型二酸化チタン微粒子の製造方法用に使用されることが好ましい。特に好ましくは平均粒径50nm〜250nm、更に好ましくは平均粒径100nm〜200nmのブルッカイト型二酸化チタン微粒子製造用である。本発明において、「平均粒径」とは、10万倍の透過型電子顕微鏡写真から、ブルッカイト型二酸化チタン微粒子20個を無作為に選択し、1粒子毎にその差し渡し長さの平均(すなわち、短径と長径の平均)を計測し、該20個について相加平均をとったものとして定義される。
本発明の製造方法で製造されたブルッカイト型二酸化チタンは、NOx分解等の光触媒、高屈折率膜形成材料、色素増感型太陽電池における酸化チタン層、化粧品、塗料等への添加剤に好適に用いられる。このうち、ブルッカイト型二酸化チタンは高い光触媒活性を有するので、光触媒用に用いられることが特に好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
<ペルオキソチタン酸錯体水溶液の調製>
チタン粉末10mmol(0.479g)を秤量し、ここへ過酸化水素水(濃度30質量%)40gとアンモニア水(濃度30質量%)10gを加える。チタン粉末が完全に溶解するまで2時間以上攪拌しないで静置し、ペルオキソチタン酸錯体水溶液を調製した。このときチタンは発熱を伴って溶解するのでビーカーを水冷した。
<ヒドロキシカルボン酸チタン錯体(グリコール酸チタン錯体)の調製>
チタンが完全に溶解したことを確認した後、グリコール酸15mmol(1.141g)を添加・溶解させ、20℃で12時間静置した。静置後、80℃で蒸発乾固させ余分な過酸化水素とアンモニアを除去し、グリコール酸チタン錯体を得た。
<水熱処理>
乾固物を蒸留水に再溶解させ、グリコール酸チタン錯体水溶液とし、この水溶液にアンモニア水(濃度30質量%)を、それぞれ2.0g、4.0g、10.0g添加し、pHを9以上に調整した。フッ素樹脂容器にこの水溶液を封入し、水熱処理用オートクレーブを用いて、200℃で24時間の加熱を行った。反応容器を冷却させた後、生じた沈殿をろ過又は遠心分離することにより取り出した。ろ過物を蒸留水で、洗浄液のpHが中性になるまで洗浄した後、乾燥させ、ブルッカイト型二酸化チタンを得た。加えた濃度30質量%のアンモニア水の量に対応して、得られたブルッカイト型二酸化チタンを、それぞれTiO(2g、200℃)、TiO(4g、200℃)、TiO(10g、200℃)とする。
濃度30質量%のアンモニア水を2.0g加え、水熱処理の温度を、200℃に代えて、160℃、230℃とした以外は上記と同様にして水熱処理を行い、ブルッカイト型二酸化チタンを得た。温度に対応して、得られたブルッカイト型二酸化チタンを、それぞれTiO(2g、160℃)、TiO(2g、230℃)とする。
<ブルッカイト型二酸化チタンが得られたことの証明>
得られた試料を、常法に従って、銅Kαを用いた粉末X線回折パターンを測定した。結果を図2及び図3に示す。図2から分かるように、TiO(2g、200℃)、TiO(4g、200℃)、TiO(10g、200℃)は、ICSD#036411のブルッカイト型二酸化チタンの構造よりシミュレーションによって作成した回折パターンと全て一致しており、それ以外のピークは観察されなかった。また、図2から分かるように、TiO(2g、160℃)、TiO(2g、200℃)、TiO(2g、230℃)も、ICSD#036411のブルッカイト型二酸化チタンの構造よりシミュレーションによって作成した回折パターンと全て一致しており、それ以外のピークは観察されなかった。
<粒子径測定>
上記方法で製造したTiO(2g、200℃)を、透過型電子顕微鏡画像を図4に示す。平均粒径約100nmの凝集のない微粒子が得られたことが分かった。
<NO分解試験(光触媒活性の評価)>
上記の合成法で得られたブルッカイト型二酸化チタン(TiO(2g、200℃))を図5に示す装置を用いて、NO分解による光触媒活性試験を行った。2ppmのNOガスと乾燥空気を100mLずつ混合し、初期NO濃度1.00ppm、流量200mL/分として反応器内に流通させた。試料は20×15×0.5mmのガラス製試料ホルダに充填し、反応器に設置した。光非照射下においてNO濃度が1.00ppmであることを確認した後、450Wの高圧水銀灯を光源として光を照射した。高圧水銀灯には冷却水を流した。
光源と試料の間には、それぞれ400nm以下、510nm以下の波長の光を遮断するカットオフフィルターを設置した。光源は290nm以下の光を遮断するパイレックス製ガラスジャケットで覆われている。試料に光が照射された時点を0分とし10分毎に、510nm以下のカットオフフィルター、400nm以下のカットオフフィルターの順で、カットオフフィルターを取り除くことで、それぞれ、510nm以上の波長、400nm以上の波長、290nm以上の波長で光照射された状態でのNOの減少率を測定した。
上記の合成法で得られたブルッカイト型二酸化チタン(TiO(2g、200℃))に代えて、市販の光触媒用酸化チタンであるDegussa社製P25(アナターゼ型/ルチル型=4/1(質量比))を試料として用いた以外は、上記方法と同様にしてNOの減少率を測定した。
結果を図6に示す。本発明の製造方法で製造されたブルッカイト型二酸化チタンは、市販の光触媒用酸化チタンであるP25と比べて、照射する光の波長290nm以上ではやや上回り、400nm以上ではほぼ同等、510nm以上ではかなり高い活性を示した。
現在、利用されているチタン溶液は強酸性溶液又は有機溶媒を必要とし環境負荷が高いが、本合成法では水を溶媒とすることでこの問題が解決された。チタンの持つ強い加水分解能のため、チタン溶液は塩基性にすることができなかったが、塩基性でも沈殿を生じない安定な水溶性チタン錯体を用いることでこの問題が解決され、二酸化チタン(TiO)の多型のうち、単相での合成例がほとんどないブルッカイト型をシンプルな方法で、単相で合成が可能であるため工業的に極めて有用である。また、得られたブルッカイト型二酸化チタンは、化粧品、塗料等の添加剤や光触媒用等に広く用いることができる。
本発明のブルッカイト型二酸化チタンの製造方法の一例を示すフローチャートである。 アンモニア水の添加量を変化させて実施例で得られた試料の、CuKαを用いた粉末X線回折パターンである。 アンモニア水2.0g添加時に、水熱処理温度を変化させて実施例で得られた試料の、CuKαを用いた粉末X線回折パターンである。 実施例で得られたブルッカイト型二酸化チタン微粒子の透過型電子顕微鏡画像である。 実施例で用いたNO分解試験に用いた装置(光触媒活性の評価評価装置)の一例を示す模式図である。 実施例で得られたブルッカイト型二酸化チタンのNO分解試験(光触媒活性の評価)の結果を示すグラフである。

Claims (6)

  1. ヒドロキシカルボン酸チタン錯体を含有する水溶液を、該水溶液のpHを8〜13に維持しながら、100℃〜300℃の温度範囲で水熱処理することを特徴とするブルッカイト型二酸化チタンの製造方法。
  2. 該ヒドロキシカルボン酸チタン錯体が、ペルオキソチタン酸錯体にヒドロキシカルボン酸を反応させて得られたものである請求項1に記載のブルッカイト型二酸化チタンの製造方法。
  3. 該ヒドロキシカルボン酸チタン錯体中のヒドロキシカルボン酸部分が、一般式(1)で表されるものである請求項1又は請求項2に記載のブルッカイト型二酸化チタンの製造方法。
    [一般式(1)中、Zは、置換基を有していてもよいアルキレン基、芳香族環又は脂肪族環を示す。]
  4. 該ヒドロキシカルボン酸チタン錯体が、ペルオキソヒドロキシカルボン酸チタン錯体である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載のブルッカイト型二酸化チタンの製造方法。
  5. 製造されるブルッカイト型二酸化チタンが、単相ブルッカイト型二酸化チタンである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載のブルッカイト型二酸化チタンの製造方法。
  6. 製造されるブルッカイト型二酸化チタンが、平均粒径5nm〜300nmの微粒子状のものである請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載のブルッカイト型二酸化チタンの製造方法。
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