JP4586882B2 - 車両の車速制御装置 - Google Patents
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本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、所定の設定速度に制御しつつ旋回限界を超えずに安定した旋回を確保可能な車両の車速制御装置を提供することを課題としている。
そして、上記第1の目標車速指令値と第2の目標車速指令値とがともに増加する際に第2の目標車速指令値が第1の目標車速指令値よりも低いときは上記第3の目標車速指令値が第2の目標車速指令値よりも低い値となるように車速の増加率を制限し、且つ、上記第3の目標車速指令値が第1の目標車速指令値であると判定した場合の上記車速の増加率は、第3の目標車速指令値が第2の目標車速指令値であると判定した場合の上記車速の増加率よりも大きい。
一方、旋回安定制御が作動して自動的に減速が掛かる状態であっても、設定速度とするための減速の方が大きいような第1の目標車速指令値であれば、その減速が確保されるように車速制御が行われて、所定の望ましい設定速度に制御することが可能となる。
本実施形態では、設定車速制御手段として先行車追従制御装置を例に挙げて説明する。
図1は、本実施形態のシステム構成を示す図である。すなわち、目標車速設定手段を構成する車間距離制御本体部1と、旋回安定速度設定手段を構成する旋回安定速度設定部2と、車速指令値演算手段を構成する車速指令値演算部3と、車速制御手段を構成する車速制御部部4と、を備える。
上記車間距離制御本体部1は、先行車認識部1A、車間距離指令値演算部1B、車両追随用目標車速演算部1C、及び車速設定部1Dを備える。
先行車認識部1Aは、車輪速センサからの信号に基づき自車両の速度を演算すると共に、車間距離センサからの信号に基づき、先行車両の有無や自車両と先行車両との車間距離を求める。
車両追随用目標車速演算部1Cは、相対速度などに基づき、車間距離を上記車間距離指令値に一致させるための第1の目標車速指令値Vacc を演算し、該第1の目標車速指令値Vacc を車速指令値演算部3に出力する。
また、上記旋回安定速度設定部2は、旋回状態量演算部2A、限界旋回状態量演算部2B、及び旋回限界目標車速演算部2Cを備える。
旋回状態量演算部2Aは、車速センサからの信号によって各輪の車輪速度を演算し、舵角センサからの信号に基づき操舵角を演算し、加速度センサからの信号に基づき前後・左右加速度を演算し、車輪速から車体速を演算すると共に、該車体速及び左右加速度から旋回半径を演算する。
RL = V2 /DDY1
VL =√(R・DDY1)
V >k・VL or R >h・RL (但しk、h <1)
車速制御部4は、車速サーボ演算部4A、トルク分配制御演算部4B、エンジントルクコントローラ4C、及びブレーキ液圧コントローラ4Dから構成されている。
ブレーキ液圧コントローラ4Dは、入力した制動指令値となるように各輪のブレーキの制動液圧を調整する。エンジントルクコントローラ4Cは、入力した駆動指令となるようにスロットル開度などによってエンジン出力を制御する。符号5は制御対象である車両を示す。
車速指令値演算部3は、所定のサンプリング時間毎に、図2に示す処理が行われる。
すなわち、まずステップS110にて車速設定部1Dから設定車速指令値Vset を入力する。設定車速指令値Vset とは、先行車が存在せず追従制御をしていない場合に定速走行する時の目標車速指令値である。続いて、ステップS120にて、安定した旋回を得るための第2の目標車速指令値Vcop を旋回限界目標車速演算部2Cから入力し、ステップS130にて、先行車に追従する為に必要とする第1の目標車速指令値Vacc を車両追従目標車速演算部1Cから入力する。
ステップS150では、前記3つの目標車速指令値Vset 、Vacc 、Vcop のセレクトローを行い、一番小さな値を第3の目標車速指令値Vt (n)としてステップS170に移行する。なお、第3の目標車速指令値Vt (n)の(n)は現在値を示す。
ステップS180では、第3の目標車速指令値の現在値Vt (n)、前回値Vt (n)、及び1サイクルの時間ステップ△tから、下記式に基づき、車両の加減速度DDXt を演算してステップS190に移行する。
Vt(n)−Vt(n−1)
DDXt = ───────────────────
Δt
ステップS210では、車速指令値の増加率を加速度制限値DDXa内に抑えるように、下記式のように、車速指令値の増加が限界値となるように変更してステップS230に移行する。なお、加速制限値DDXaを、第3の目標車速指令値Vt が第1の目標車速指令値Vacc と等しいか第2の目標車速指令値Vcop と等しいかによって変更するようにしても良い。
Vt (n) =Vt (n−1) +DDXa×Δt
ステップS220では、車速指令値の減少率を減速度制限値DDXd内に抑えるように、つまり下記式のように、車速指令値の減少が限界値となるように変更してステップS230に移行する。なお、減速度制限値DDXdを、第3の目標車速指令値Vt が、第1の目標車速指令値Vacc と等しいか第2の目標車速指令値Vcop と等しいかによって変更するようにしても良い。
Vt (n) =Vt (n−1) +DDXd×Δt
ステップS230では、現在の第3の目標車速指令値Vt (n)をメモリに保存した後、ステップS240にて、上記演算した第3の目標車速指令値Vt (n)を出力して処理を終了する。
ここで、ステップS190〜S220は、加速度制限手段及び減速度制限手段を構成する。
車両が直進走行中や、曲線路を走行中であっても安定した旋回が十分に可能な旋回車速状態の場合には、旋回安定制御の作動介入が無い。したがって、先行車との距離を安全車間距離とする設定車速となるように目標車速指令値が演算されて例えば先行車両と同一の速度で走行し、また、先行車両が無い状態では予め設定した設定車速値となるように制御される。
図3に、本実施形態における、目標車速指令値のタイムチャート例を示す。図中、実線が第3の目標車速指令値Vt である。図4及び図6においても同様である。
一方で、先行車追従制御を考えると、目標とする車速に対し実車速が低い場合は、速やかに目標車速を達成するように、前記カーブ状態よりも大きな加速度で速度が上昇することが好ましい。したがって、第3の目標車速指令値Vt が第2の目標加速指令値の場合よりも、第3の目標車速指令値Vt が第1の目標加速指令値の場合の方が、上記加速制限値を大きく設定することが好ましい。このように加速制限に違いを設けることで、先行車追従制御の加速不良を抑えつつ、カーブ途中は効果的に加速度の制限を行うことが出来るようになる。
ここで、上記実施形態では、目標車速設定手段として先行車追従制御を例に挙げているがこれに限定されない。例えば、目標車速設定手段として、車両を一定速度に制御する定速走行制御であっても良い。
また、本実施形態では、先行車追従制御の車速サーボ部分と、安定旋回制御の車速サーボ部分とを共通化した場合を例示しているが、車速サーボ部分を、両制御で個別に持たせて、第1の目標車速指令値Vacc と第2の目標車速指令値Vcop の比較によって2つの車速サーボを排他的に作動するように構成しても良い。
第2実施形態の基本構成は、上記第1実施形態と同様であるが、上記車速指令値演算部3の処理の一部が異なる。
第2実施形態の車速指令値演算部3の処理について図5に基づき説明する。なお第1実施形態と同じ処理については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図5から分かるように、ステップS150とステップS170との間に、ステップS400〜ステップS480の処理を追加した点が、第1実施形態と異なる。なお、本第2実施形態では、図2におけるステップS140及びステップS160の処理を省略している。
すなわち、ステップS150で第3の目標車速指令値Vt をセレクトローで演算した後にステップS400に移行すると、当該ステップS400では、現在の第3の目標車速指令値Vt として第2の目標車速指令値Vcop が選択されたか否かを判定し、第2の目標車速指令値Vcop で選択された場合にはステップS410に移行し、その他が選択された場合にはステップS440に移行する。
一方、ステップS400にて、第3の目標車速指令値Vt が第2の目標車速指令値Vcop でないと判定された場合(例えば、第1の目標車速指令値Vacc が第2の目標車速指令値Vcopよりも小さいとき)にはステップS440に移行して、下記式に基づき加速度制限値DDXaを設定変更する。
DDXa =λ×DDXa-acc +(1−λ)×DDXa-cop
続いて、ステップS450にて、減速度制限値DDXdとして、先行車追随用の減速度制限値DDXd-acc を設定し、ステップS460にて、下記式のようにカウンタλに順次定数cを加算してステップS470に移行する。上記cは、演算する旋回半径Rや、その微分値dR/dtなどの関数としておいて、旋回状態量が小さいほど、cが大きくなるように設定しても良い。また、上記ステップS440及びステップS460の処理によって、第3の目標車速指令値Vt が第2の目標車速指令値Vcop から第1の目標車速指令値Vacc 側に切り替わっても、加速制限値は徐除に大きくなるように制御される。
λ =λ +c
ステップS170以降の処置は上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
本実施形態では、実際に採用される目標速度制限値に対する加速制限値を、安定旋回制御のための目標速度指令値に制御する場合に比べて、設定速度にするための目標速度指令値に制御する場合の方が大きく設定されることで、先行車追従制御のための加速不良を抑えつつ、カーブ途中は効果的に加速度の制限を行って安定した旋回走行が可能となる。
さらに、実際に採用される目標速度制限値は、安定旋回制御のための第2の目標車速指令値Vcop から設定速度にするための第1の目標車速指令値Vacc に切り替わったときには、徐徐に加速度制限値を大きくしている。
図6に、本第2実施形態での目標速度指令値の推移例を示す。
その他の構成や効果などについては上記第1実施形態と同様である。
2 旋回安定速度設定部
3 車速指令値演算部
4 車速制御部
Vacc 第1の目標車速指令値
Vcop 第2の目標車速指令値
Vt 第3の目標車速指令値
Claims (2)
- 所定の設定車速に応じた第1の目標車速指令値を演算若しくは決定する目標車速設定手段と、車両が安定して走行可能な限界旋回状態に近づいたと判定すると車両の安定した旋回走行を維持するために必要な目標減速度を演算しその目標減速度に応じた第2の目標車速指令値を演算する旋回安定速度設定手段と、上記第1の目標車速指令値と第2の目標車速指令値とのうち小さい方を第3の目標車速指令値として演算する車速指令値演算手段と、上記第3の目標車速指令値に応じた車速に車両の速度を制御する車速制御手段とを備え、
上記第1の目標車速指令値と第2の目標車速指令値とがともに増加する際に第2の目標車速指令値が第1の目標車速指令値よりも低いときは上記第3の目標車速指令値が第2の目標車速指令値よりも低い値となるように車速の増加率を制限し、且つ、上記第3の目標車速指令値が第1の目標車速指令値であると判定した場合の上記車速の増加率は、第3の目標車速指令値が第2の目標車速指令値であると判定した場合の上記車速の増加率よりも大きいことを特徴とする車両の車速制御装置。 - 第3の目標車速指令値が、第1の目標車速指令値から第2の車速指令値に切り替わると判定した場合には、車速の減少率を所定減速度以下に制限する減速制限手段を備えることを特徴とする請求項1に記載した車両の車速制御装置。
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