JP4586254B2 - 電子内視鏡のケーブル構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子内視鏡のケーブル構造に係り、特に電子内視鏡に設けられた固体撮像素子(CCD)から出力される電気信号を、画像処理装置であるプロセッサに送信するためのケーブル構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子内視鏡は、挿入部先端硬質部の端面に対物光学系が配置され、この対物光学系の後方にCCDが設けられている。CCDは、セラミック等からなる基板に固着されており、この基板の多数の端子に多数本の心線が接続されている。
【0003】
前記心線は、導電性の編組シールドと非導電性のケーブル外皮とからなるケーブル内で結束され、多心ケーブルとして構成されている。この多心ケーブルは、電子内視鏡の電気コネクタに接続されており、電気コネクタがプロセッサに接続されることにより、CCDで光電変換された電気信号がプロセッサに出力される。プロセッサは、前記電気信号を映像信号に信号処理し、この映像信号をモニタ装置に出力する。これにより、モニタ装置に被写体像が写し出される。
【0004】
ところで、前記心線をCCDの基板に接続する方法として、例えば図6に示す方法がある。この方法によれば、まず、ケーブル外皮1の先端部を、心線2の先端部から所定量切除する。次に、ケーブル外皮1を切除した心線2に、可撓性を有する保護チューブ3を被せることにより心線2を保護するとともに、この保護チューブ3が電子内視鏡のアングル部に位置することによりアングル部の湾曲性を確保する。この場合、保護チューブ3を心線2に密着させて設けると、心線2の動きが規制され、アングル部の湾曲性を低下させる。このため、大口径の保護チューブ3を使用して心線2を保護チューブ3に緩く挿入(遊嵌)する。次いで、保護チューブ3が心線2に対して軸方向に動かないように、保護チューブ3の両端部3A、3Aからシリコン系やゴム系の接着剤を注入して固定する。以上が図6に示した固定方法である。なお、符号4は対物光学系であり、符号5はCCD、符号6はCCD基板、符号7は対物光学系4からの被写体像をCCD5に導くプリズムである。
【0005】
しかしながら、接着剤で固定する上記固定方法では、接着剤の管理が難しく、例えば保護チューブ3に注入する接着剤の量が多いと、接着剤が漏出して内視鏡に悪影響を与えることがあり、また、接着剤が保護チューブ3に侵入し過ぎて、接着剤によって硬くなる部分が長くなり、これもまた、アングル部の湾曲性を低下させるという欠点があった。
【0006】
この欠点を解決する方法として、図7に示すように、保護チューブ3の先端部に熱収縮チューブ8を外嵌させ、この熱収縮チューブ8を熱収縮させて保護チューブ3を固定する方法が考えられる。この固定方法は、保護チューブ3の固定位置を熱収縮チューブ8で規制できるので、接着剤を使用する図6の固定方法と比較して有効である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7に示す固定方法で保護チューブ3を固定すると、保護チューブ3に熱収縮性がないために、熱収縮チューブ8で覆われた保護チューブ3に皺や重なり部が発生するという問題が生じた。この結果、熱収縮チューブ8の収縮後の外形形状がいびつになり、熱収縮チューブ8が小径にならないという欠点があった。熱収縮チューブ8の大径化は、内視鏡の先端硬質部の大径化をまねく。先端硬質部は、体内に挿入されるものなので、先端硬質部の小径化が強く望まれている。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、熱収縮チューブを用いて保護チューブを心線に固定する構造において、熱収縮後の熱収縮チューブを細くすることができる電子内視鏡のケーブル構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、電子内視鏡の先端硬質部に設けられた固体撮像素子の基板に、多心ケーブルの多数本の心線を接続してなるケーブル構造であって、前記多数本の心線が遊嵌されるとともに端部外周面にV字溝が形成された熱収縮性のない柔軟性のある保護チューブと、前記保護チューブの端部と心線との間の隙間に嵌入される第1の熱収縮性チューブと、前記第1の熱収縮性チューブと前記保護チューブの端部を被うように被覆される第2の熱収縮性チューブと、を備え、前記第1の熱収縮性チューブの端部が熱収縮されることにより前記心線が第1の熱収縮性チューブによって結束され、前記第2の熱収縮性チューブが熱収縮されることにより、前記保護チューブの前記V字溝が閉じられて保護チューブが前記第1の熱収縮性チューブを介して多数本の心線に固定されてなることを特徴とする。
本発明によれば、前記保護チューブに形成された前記V字溝は、該V字溝の全体が前記第2の熱収縮性チューブによって覆われていることが好ましい。
【0010】
本発明によれば、熱収縮性チューブが被覆される保護チューブの端部にV字溝を形成したので、熱収縮性チューブを収縮させると、その収縮力によって保護チューブのV字溝が閉じられる。これにより、熱収縮性チューブで固定された保護チューブの端部には皺が発生せず、いびつにならないので、熱収縮後の熱収縮チューブが細くなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る電子内視鏡のケーブル構造の好ましい実施の形態について詳述する。
【0012】
図1に示す実施の形態の電子内視鏡10は、手元操作部12、及び挿入部16等から構成される。挿入部16は、手元操作部12の処置具挿通口分岐部14に接続されるとともに、軟性部18、アングル部20、及び先端硬質部22から構成される。アングル部20は、軟性部18内に挿通された図示しないアングル操作用ワイヤを介して、手元操作部12に設けられた一対のアングル操作ツマミ24、24に連結されている。したがって、アングル操作ツマミ24、24が術者によって回動操作されると、アングル部20が湾曲操作され、先端硬質部22が所望の方向に向けられる。符号26は、処置具挿通口であり、この処置具挿通口26を介して生検鉗子、高周波スネア等の処置具が挿入部16に挿入される。
【0013】
先端硬質部22の端面には、不図示の処置具挿通チャンネル出口が形成されている。この処置具挿通チャンネル出口は、挿入部16内に配設された処置具挿通チャンネルを介して処置具挿通口26に連結されている。したがって、処置具挿通口26に挿入された処置具は、処置具挿通チャンネルを介して処置具挿通チャンネル出口に導かれ、処置具挿通チャンネル出口から前方に突出されて使用される。
【0014】
また、処置具挿通チャンネル出口の近傍には、不図示の送気・送水口、照明用レンズ、及び図2に示す対物光学系28等が設けられている。対物光学系28からの被観察体像は、光路変換用プリズム29によってCCD30に導かれ、CCD30の結像面に結像される。この被観察体像は、CCD30で画像信号に変換される。この画像信号は、図1の電気コネクタ32が接続される不図示のプロセッサ装置によって信号処理されてモニタ(不図示)に出力される。
【0015】
前記照明用レンズの後方には、図示しないライトガイドが設けられている。このライトガイドはアングル部20、軟性部18、手元操作部12、及び軟性ケーブル34に挿通され、この軟性ケーブル34に連結されたライトガイドコネクタ36のライトガイド棒38に接続されている。このライトガイド棒38が不図示の光源装置に接続されると、光源装置からの光がライトガイドを介して照明用レンズから被写体に向けて出射される。
【0016】
手元操作部12には、送気・送水バルブ40が設けられ、送気・送水バルブ40に隣接して吸引バルブ42、及びシャッタボタン44が並設されている。
【0017】
図2に示すように対物光学系28は先端部本体23内に配置され、CCD30はセラミック等からなる基板46に固着され、プリズム29とともに先端硬質部22を嵌挿するように設けられ、節輪56に接続されるスリーブ46内に配置される。先端部本体23とスリーブ46とによって先端硬質部22が構成されている。
【0018】
基板48の多数の端子には、多数本の心線50、50…が接続され、これらの心線50が、図1の電気コネクタ32の各コネクタピン(不図示)に接続されている。
【0019】
図2の心線50は、図1に示す軟性部18内において、導電性の編組シールドに覆われ、この編組シールドは、ケーブル外皮52で被覆されている。ケーブル外皮52は、可撓性のあるフッ素樹脂やポリ塩化ビニル等の非導電性材料によって作られている。
【0020】
ケーブル外皮52の先端部は、心線50の先端部から所定量切除されており、このケーブル外皮52を切除した部分の心線50に、柔軟性のあるシリコン系の保護チューブ54が被覆されている。この保護チューブ54が被覆された部分がアングル部20を構成する複数の節輪56、56…内に位置され、アングル部20の湾曲性を確保している。
【0021】
保護チューブ54の内面には、窒化硼素が塗布されている。窒化硼素は、潤滑性が高いだけではなく、融点が約3000℃と高温で耐酸化性も1000℃まで問題がなく化学的に安定している。したがって、内視鏡消毒に用いられる過酸化水素や過酢酸等の酸化消毒材に万が一触れた場合でも、有毒物質等を発生せず、長期にわたって潤滑性を維持できる。また、電気絶縁性が大きいので、内視鏡の挿入部に使用しても電気安全性が高い。このような窒化硼素を保護チューブ54の内面に塗布したことによって、保護チューブ54の内面と心線50との摩擦抵抗が減少し、アングル部20内での保護チューブ54の柔軟性が向上するとともに、心線50がアングル部20内で断線することも防止できる。
【0022】
保護チューブ54の両端部は、保護チューブ54が軸方向にずれるのを防止するため、熱収縮チューブ58、60を用いて固定されている。熱収縮チューブ58は、ケーブル外皮52の図2における左端部と保護チューブ54の右端部とを固定する。
【0023】
熱収縮チューブ60は、保護チューブ54の左端部を心線50に固定するものである。熱収縮チューブ60による保護チューブ54の左端部の固定方法は、図3〜図5に示すように、まず、心線50に熱収縮性の結束チューブ62を外嵌するとともに、結束チューブ62の端部を保護チューブ54と心線50との間の隙間に嵌入する。次に、この結束チューブ62の左端部を熱収縮することによって心線50を結束チューブ62で結束する。
【0024】
次いで、結束チューブ62と保護チューブ54の左端部を被うように、熱収縮チューブ60を被覆する。この後、熱収縮チューブ60を熱収縮させて、保護チューブ54で心線50を結束チューブ62を介して固定する。
【0025】
保護チューブ54の左端部外周面には、V字溝64が切り込み形成されており、このV字溝64が熱収縮チューブ60の熱収縮時に以下の如く作用する。
【0026】
すなわち、熱収縮チューブ60を収縮させると、熱収縮チューブ60の収縮力によって、保護チューブ54のV字溝64が図5の如く閉じる。これにより、熱収縮性チューブ60で固定された保護チューブ54の左端部外周面は、先が細くなるように変形する。したがって、保護チューブ54の左端部には皺が発生せず、いびつにならない。よって、熱収縮後の熱収縮チューブ60の外径Aが、熱収縮前の熱収縮チューブ60の外径Bよりも小径になる。
【0027】
これにより、熱収縮チューブ60を用いて保護チューブ54を固定する場合において、熱収縮後の熱収縮チューブ60を細くすることができる。
【0028】
なお、V字溝64の大きさは、大き過ぎると、心線50に対する保護チューブ54の固定力が低下するので、その固定力が維持できる大きさに設定されている。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る電子内視鏡のケーブル構造によれば、熱収縮性チューブが被覆される保護チューブの端部外周面にV字溝を形成したので、熱収縮性チューブを収縮させると、その収縮力によって保護チューブのV字溝が閉じる。これにより、保護チューブの端部には皺が発生せず、いびつにならないので、熱収縮後の熱収縮チューブが細くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るケーブル構造が採用された電子内視鏡を示す全体図
【図2】本発明に係るケーブル構造を示す要部拡大図
【図3】保護チューブに熱収縮チューブを被覆した状態を示す要部拡大図
【図4】保護チューブに熱収縮チューブを被覆する前状態を示す説明図
【図5】熱収縮チューブを熱収縮させた状態を示す要部拡大図
【図6】従来のケーブル構造を示す要部拡大図
【図7】従来のケーブル構造を示す要部拡大図
【符号の説明】
10…電子内視鏡、12…手元操作部、16…挿入部、20…アングル部、22…先端硬質部、50…心線、52…ケーブル外皮、54…保護チューブ、60…熱収縮チューブ、62…結束チューブ、64…V字溝

Claims (2)

  1. 電子内視鏡の先端硬質部に設けられた固体撮像素子の基板に、多心ケーブルの多数本の心線を接続してなるケーブル構造であって、
    前記多数本の心線が遊嵌されるとともに端部外周面にV字溝が形成された熱収縮性のない柔軟性のある保護チューブと、
    前記保護チューブの端部と心線との間の隙間に嵌入される第1の熱収縮性チューブと、
    前記第1の熱収縮性チューブと前記保護チューブの端部を被うように被覆される第2の熱収縮性チューブと、を備え、
    前記第1の熱収縮性チューブの端部が熱収縮されることにより前記心線が第1の熱収縮性チューブによって結束され、
    前記第2の熱収縮性チューブが熱収縮されることにより、前記保護チューブの前記V字溝が閉じられて保護チューブが前記第1の熱収縮性チューブを介して多数本の心線に固定されてなることを特徴とする電子内視鏡のケーブル構造。
  2. 前記保護チューブに形成された前記V字溝は、該V字溝の全体が前記第2の熱収縮性チューブによって覆われている請求項1に記載の電子内視鏡のケーブル構造。
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