JP4586201B2 - 回転研磨機用研磨盤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、金属その他の加工表面や塗装面の研磨や艶出しの際に使用する回転研磨機の回転軸に取り付ける研磨盤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転研磨機の回転軸に取り付ける研磨盤としては、例えば、実開平4−92769号公報に開示されているように、円板状で中心部に透孔を有する弾性板の下面に、弾性板と同一形状(円板状で中心部に透孔を有する)の研磨布を固着したものがある。前記弾性板をその上面側に備えられているベルベットファスナー材の固定手段によって回転研磨機に取り付け、前記研磨布に液体又は粉体のコンパウンドを付け、次いで、回転研磨機を駆動させて前記コンパウンドが付けられている研磨布を回転させつつ、金属等の加工表面や塗装面に当接、摺動させることにより、これらを研磨、つや出しをすることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記の研磨盤は、研磨盤の外周縁も研磨に利用することができ、研磨物表面に多少の凹凸があった場合であっても、弾性板が凹凸に応じて屈曲するため、研磨むらが生じないという利点がある。
【0004】
しかし、前記の研磨盤は、円板状の研磨部材であるため、回転研磨機によって回転された際に、円板状の研磨部材の外周側が内周側に比べより速い速度で金属等の加工表面に当接しつつ、摺動することから、円板状の研磨部材の内周側に粉体のコンパウンドが移動してしまい、研磨対象物の表面にあるコンパウンドがよどむことも生じ得る。ここで、このような現象が生じると、粉体のコンパウンドが集まってきた研磨部材の内周側が回転しつつ接触し、研磨するため、この部分が回転しつつ、接触・研磨する研磨対象物表面の仕上がりが悪くなり、最悪の場合には、研磨対象面にキズがついてしまうということもあった。
【0005】
本願発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、研磨作業や艶出し作業においてコンパウンドが研磨盤の回転中心部に集中した場合であっても、その部分が回転しつつ接触・研磨する研磨対象物の仕上がりが悪くなったり、研磨対象面にキズがつくおそれのない回転研磨機用研磨盤を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は、様々な検討を重ねた結果、研磨盤における弾性部材の内側中空部を研磨部材の内側中空部よりも大きくすることにより、上記課題を解決することができることを見い出し、本願発明をするに至った。
【0007】
即ち、本願発明の回転研磨機用研磨盤は、回転研磨機の回転軸に連結された回転板への固定手段を裏面に備えた環状の基板と、当該環状の基板の表面側にその裏面側が固着される環状の弾性部材と、当該環状の弾性部材の表面側にその裏面側が固着されている環状の研磨部材からなる回転研磨機用研磨盤であって、前記弾性部材はその裏面側と表面側との間を貫通して延びる内側中空部を径方向内側に備え、前記研磨部材は前記弾性部材が備えている内側中空部が延びる方向に前記研磨部材を貫通する内側中空部を径方向内側に備えていて、前記研磨部材が備えている内側中空部の径が、前記弾性部材が備えている内側中空部の径より小さいことにより、前記研磨部材の前記内側中空部の径方向外側に前記弾性部材の表面側に裏面側が固着していない部分が存在することを特徴とする。
【0008】
前記において、弾性部材の内側中空部を研磨部材の内側中空部より大きくしたとは、図4図示のように、弾性部材の内側中空部の口径が研磨部材の内側中空部の口径より大きいということである。
【0009】
本願発明の好適形態においては、弾性部材の内側中空部の内径(R1(図4))は、研磨部材の内側中空部の内径(R2(図4))を1とした場合において2〜3であり、研磨部材は、環状の弾性部材の表面側に裏面側が固着される基布の表面側に所定長さの繊維を所定巾ごとに間隙を設けて植設して構成され、固定手段は、ベルベットファスナー材である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本願発明の回転研磨機用研磨盤は、回転研磨機11の回転軸に連結された回転板12への固定手段を底面に備えた環状の基板2と、その環状の基板2の表面側に裏面側が固着される環状の弾性部材4と、その環状の弾性部材4の表面側に裏面側が固着される研磨部材6からなる。
【0011】
本願発明に使用する環状の弾性部材4は、研磨対象物の凹凸に応じて屈曲するものであればよく、例えば、ゴム材、スポンジなどが挙げられるが、スポンジを好ましく使用することができる。弾性部材4にスポンジを用いれば、当該スポンジが水を吸収して常に濡れた状態を維持するため、研磨作業又は艶出し作業がしやすくなるからである。
【0012】
本願発明において、弾性部材4の内側中空部5は研磨部材6の内側中空部10より大きくなっている。弾性部材4の内側中空部5と研磨部材6の内側中空部10が同一形状・大きさであると、コンパウンドが研磨盤の内周側に集中した場合に生ずる弊害を防止することができないからである。
【0013】
ここで、弾性部材4の内側中空部5の内径R1は、研磨部材6の内側中空部10の内径R2を1とした場合において、2〜3であることが好ましい。弾性部材4の内側中空部5の内径R1が、研磨部材6の内側中空部10の内径R2を1とした場合に、2未満であると、コンパウンドが研磨部材6の内周側に集中した場合に生ずる弊害を完全に防止することができず、逆に、3を超えると、研磨盤の回転が不安定になりやすいため、好ましくないからである。
【0014】
本願発明に使用する研磨部材6としては、基布7に繊維8を取り付けたものや表面に細かい毛が起り立つ布を例示することができる。
【0015】
基布7に繊維8を取り付けたものを研磨部材とする場合には、基布7に一定長さの羊毛繊維又はこれと同様の研磨効果が得られる他の繊維が植設されるが、所定巾ごとに間隙9を設けるのが好ましい。所定巾ごとに間隙9を設けると、コンパウンドの流れがよくなるからである。
【0016】
本願発明に使用する基板2の底面には、回転研磨機11の回転軸に連結された回転板12への固定手段3が設けられている。ここにいう固定手段3は、研磨作業の前後には、研磨盤1と回転研磨機11の回転板12の結合及び分離が容易であり、かつ研磨作業の最中には、研磨盤1と回転研磨機11の回転板12が分離しないことが必要とされるが、この条件を満たせば、固定方法は特に限定されず、公知の手段を用いることができる。固定方法としては、例えば、研磨盤1の基板2の底部と回転研磨機11の回転板12にかぎ状の凹部と凸部を設ける方法、研磨盤1の基板2の底部と回転研磨機11の回転板12をベルベットファスナー材で固定する方法が挙げられるが、ベルベットファスナー材を用いて回転研磨機11の回転板12へ固定するのが好ましい。固定方法としてベルベットファスナー材を用いると、容易に研磨盤と回転研磨機の回転板を結合したり、分離したりすることができるだけでなく、一旦研磨盤1と回転研磨機11の回転板12を結合すれば、研磨作業中に研磨盤1と回転研磨機11の回転板12が分離することもないからである。
【0017】
基板2と弾性部材4及び弾性部材4と研磨部材6を固着する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、接着剤により接着面全体を接着することが好ましい。
【0018】
本願発明の回転研磨機用研磨盤は、基板2の底面に取り付けられた固定手段3を回転研磨機11の回転板12に取り付けられた固定手段13に嵌着し、研磨部材6に液体又は粉体のコンパウンドを付けた後、研磨盤1を回転させながら研磨部材6を研磨対象物に当接することにより、研磨対象物を研磨することができる。ここで、本願発明の回転研磨機用研磨盤は、図4図示のように、弾性部材4の内側中空部5の方が研磨部材6の内側中空部10より大きく、研磨部材6の内側中空部10の内周辺部に弾性部材4が固着されていないため、研磨作業や艶出し作業の際、コンパウンドが研磨盤1の回転中心部に集中しても、研磨部材6がへこんだり、研磨部材6の内側中空部10から弾性部材4の内側中空部5にコンパウンドが侵入したりするため、集中してきたコンパウンドを分散させることができることから、研磨盤1の回転中心部が当接している研磨対象物表面が前記のように集中してきたコンパウンドの存在によってキズつけられてしまうおそれがなく、研磨対象物の仕上がりもよくなる。
【0019】
【実施例】
本願発明の実施例を図面について説明する。図1〜図3は、本願発明の回転研磨機用研磨盤の一実施例を示したものである。
【0020】
図において、弾性部材4はスポンジである。弾性部材4には、内径7センチメートルの内側中空部5が設けられている。弾性部材4の研磨部材6への固着面4aの外径は17センチメートルである。研磨部材6は、基布7の表面側に5ミリメートルの羊毛繊維8が、縦横1ミリメートル間隔で多数植設され、3列毎に3ミリメートルの間隙9がある。また、研磨部材6の内周中空部10の内径は、2.5センチメートルである。基板2の底面には、ベルベットファスナー材3が取り付けられている。基板2の表面側と弾性部材4の裏面側及び弾性部材4の表面側と基布7の裏面側は、接着剤で固着されている。
【0021】
図5は、本願発明の回転研磨機用研磨盤の一実施例の使用例を示す斜視図である。研磨盤1は、基板2の底面に取り付けられたベルベットファスナー材3を回転研磨機11の回転板12に取り付けられたベルベットファスナー材13に嵌着することにより、回転研磨機11に固定される。
【0022】
【発明の効果】
本願発明の回転研磨機用研磨盤によれば、コンパウンドが研磨部材の内周側に集中した場合であっても、研磨部材の内周側によって研磨されている研磨対象物表面が集中してきたコンパウンドによりキズつけられてしまうおそれがなく、研磨対象物の仕上がりも良好であるという効果がある。
【0023】
また、研磨部材を基布の表面側に所定長さの繊維が所定巾ごとに間隙を設けて植設して構成されるものとすれば、コンパウンドの流れがよりよくなるという効果がある。
【0024】
更に、研磨盤と回転研磨機の回転板の固定手段がベルベットファスナー材であれば、研磨盤が汚れた場合等に研磨盤の交換が非常に容易であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の回転研磨機用研磨盤の一実施例を示す底面図。
【図2】本願発明の回転研磨機用研磨盤の一実施例を示す平面図。
【図3】本願発明の回転研磨機用研磨盤の一実施例を示す右側面図。
【図4】本願発明の回転研磨機用研磨盤の一実施例のAA’断面図。
【図5】本願発明の回転研磨機用研磨盤の一実施例の使用例を示す斜視図。
【符号の説明】
1 研磨盤
2 基板
3 固定手段(ベルベットファスナー材)
4 弾性部材
4a 研磨部材への固着面
5 弾性部材の内側中空部
6 研磨部材
7 基布
8 繊維
9 間隙
10 研磨部材の内側中空部
11 回転研磨機
12 回転板
13 固定手段(ベルベットファスナー材)
Claims (4)
- 回転研磨機の回転軸に連結された回転板への固定手段を裏面に備えた環状の基板と、当該環状の基板の表面側にその裏面側が固着される環状の弾性部材と、当該環状の弾性部材の表面側にその裏面側が固着されている環状の研磨部材からなる回転研磨機用研磨盤であって、
前記弾性部材はその裏面側と表面側との間を貫通して延びる内側中空部を径方向内側に備え、
前記研磨部材は前記弾性部材が備えている内側中空部が延びる方向に前記研磨部材を貫通する内側中空部を径方向内側に備えていて、
前記研磨部材が備えている内側中空部の径が、前記弾性部材が備えている内側中空部の径より小さいことにより、前記研磨部材の前記内側中空部の径方向外側に前記弾性部材の表面側に裏面側が固着していない部分が存在する
ことを特徴とする回転研磨機用研磨盤。 - 該弾性部材の内側中空部の内径は、該研磨部材の内側中空部の内径を1とした場合において2〜3であることを特徴とする請求項1記載の回転研磨機用研磨盤。
- 該研磨部材は、該環状の弾性部材の表面側に裏面側が固着される基布の表面側に所定長さの繊維を所定巾ごとに間隙を設けて植設して構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の回転研磨機用研磨盤。
- 該固定手段は、ベルベットファスナー材としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の回転研磨機用研磨盤。
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