JP4585300B2 - ボンデ処理装置における水洗廃水の再利用方法 - Google Patents

ボンデ処理装置における水洗廃水の再利用方法 Download PDF

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Description

本発明はボンデ処理装置における水洗廃水の再利用方法に関し、特に、鋼板のボンデ処理において、水洗廃水中に含まれるリン酸等の有効成分を回収して再利用するために用いて好適な技術に関する。
従来、自動車、家電、建材等に用いられる亜鉛メッキ鋼板はボンデ処理(リン酸塩処理)を施し、更に用途に応じて有機被膜処理が施されて利用される。ボンデ処理により形成される被膜は、下地である金属表面やメッキ被膜との密着性に優れ、その上に形成される塗膜との密着性にも優れるため、耐腐食性を高める効果が期待されて広く利用されている。ボンデ処理では、リン酸化成処理液を被処理物にスプレー塗布したり、該液中に被処理物を浸漬して反応させた後に、複数段の水洗工程を経て金属表面に付着している余分のリン酸塩処理液が洗い流される。
ボンデ処理後の水洗工程は被膜形成反応を停止させるために重要であり、この水洗の実施が無い場合には、鋼板上に残存したリン酸化成処理液により部分的に反応が進行して、付着量が不均一になり、ムラが発生する。またリン酸化成処理液は腐食性を有するため、長時間の接触は好ましくない。
従来のボンデ処理ラインでは水洗廃液を系外へ排出していたために、環境問題や資源の有効利用上の問題があった。近年、このような問題を解決するために種々の提案が行われている。
例えば、金属の化成処理後の水洗により汚染した水洗廃水を、中和処理工程及び濾過工程を設けて処理し、濾滓は系外に排出し、濾液は脱脂後の水洗水として再利用するようにした例がある。
この例では、更に、蒸発法による濃縮装置で脱脂後の水洗廃水を新鮮水として化成処理後の水洗に再利用する化成処理ラインが提案されている。この化成処理ラインでは、汚染された水洗廃水を系外に排出せず、しかも節水が可能である(特許文献1)。
また、金属成型物に対して、薬液を使用して金属表面処理を行う際に、水洗工程の第1段目の水洗水を取り出し、次いで、逆浸透膜で処理を行い、薬液成分を回収する方法がある。この方法では、前記逆浸透膜処理に先だって、取り出した水洗水を帯状フィルター濾過装置で濾過することを特徴としている。
これは、リン酸塩処理液等の処理において逆浸透膜を用いる場合に、帯状フィルター濾過装置を事前に通過させることにより、有効成分を効率よく回収しようとするものである(特許文献2)。
また、閉鎖型多段式処理ラインに関する発明では、リン酸塩皮膜化成処理工程に複数段の向流水洗工程を設けて、汚染された洗浄水を逆浸透装置により処理し、ライン外に汚染水を持ち出すことなく水と薬液とを分離して再利用することが開示されている(特許文献3)。
また、特許文献4には、リン酸塩化成処理後の洗浄工程における排出水の処理方法において、洗浄排出水中に浸漬した陰陽両極間に陰イオン交換膜と陽イオン交換膜とを交互に多数配列し、これに直流電流を印加することにより、洗浄排出水をイオン交換膜電気透析層で濃縮液と良質水とに分離して再利用する方法が開示されている。
さらに、特許文献5には、被処理物を化成処理する化成処理工程と、化成処理された被処理物を水洗処理する1段以上の水洗工程とを備える塗装前処理方法において、化成処理槽に収容された化成処理液の一部、及び水洗槽に収容された水洗水の一部、を混合した混合液をフィルターにより透析処理して濃縮液及び透過液に分離し、得られた濃縮液を化成処理槽に送液し、また、得られた透過液を水洗槽に送液することを特徴とする塗装前処理方法が開示されている。この発明では、化成処理後の水洗水を系外に排出せずに、化成処理液及び水洗水として再利用することを可能として、環境問題を解決している。
ところで、化成処理液の水洗工程では、使用される大量の水洗水を節水するために、水洗槽を多段構造にして向流水洗する、所謂向流多段水洗法が用いられている。このような向流多段水洗法において、水洗水を補充する場合は、最終段の槽に水洗水を供給し、隣接する水洗槽間においては、後段の槽からオーバーフローした水洗廃水を前段の槽に順次流入させるようにしている。
該向流多段水洗における最前段の水洗槽の水洗廃水には、最終水洗槽から水洗廃水が前段送りされてくるために、水洗後の溶解成分には、例えば塩酸塩類、硝酸塩類等が多く含まれている。これらは、化成液の成分とは異なるため、化成槽には返液することができず、オーバーフロー水として系外の廃水処理工程にて処理後、廃棄しなければならなかった。
特許文献6では化成処理液の有効成分である亜鉛、ニッケルの重金属やリン酸、フッ素等の有効成分を含む濃縮液と、不要成分である硝酸、アンモニウム、ナトリウムイオン等を含む透過液とを分離する圧力透析装置を用いた圧透析法が記載されている。
この圧力透析装置にはスパイラル型イオン交換膜を用い、化成処理水洗廃水を透析圧で供給し、透過液と濃縮液とに分離するが、透過液中には不要成分である硝酸、アンモニウム、ナトリウムイオン等を含むので、イオン交換器を通してこれらを更に分離して廃棄することが開示されている。
特開昭50―153455号公報 特開2002―85942号公報 特開昭54―155135号公報 特開昭54―158061号公報 特開2002―102788号公報 特開2002―59162号公報
従来技術である向流多段水洗方式は、最終水洗槽に新鮮水を供給して順次前段の水洗槽へ水洗廃水をカスケードさせる方式であるが、系全体の水洗廃水を一括して取り扱うため水処理量が増加し、蒸発濃縮装置や逆浸透装置、交換膜電気透析装置などのコストが問題となっていた(特許文献1、特許文献3、特許文献4)。
また、特許文献2で提案されている水洗工程の第1段目の水洗水のみを処理する方式でも、第1水洗槽の薬液濃度が化成処理に用いられる薬液濃度の10倍希釈状態になるように、水洗水の供給量が設定されているため、水洗廃水を直接ボンデ処理槽に導入できず、帯状フィルター濾過装置と逆浸透膜を用いて薬液成分を高濃度にして回収する必要が生じている。
水洗水を濃縮する方法としては、ナノフィルター膜、逆浸透膜(RO膜)あるいは圧力透析膜を用いる方法等が考えられる。ナノフィルター膜、逆浸透膜及び圧力透析膜は、化成処理液成分の一部(特に不要蓄積成分)を除去し得る作用があるため、これらの装置を使用すれば水洗水の濃縮液を化成処理液に戻すことは可能である。
しかしながら閉鎖型多段処理ラインでは、これらの問題に加えて水バランスの問題を解決しなければならない。化成処理液はワーク(被処理物)による前工程の液(例えば、表面調整液)の持ち込みと、ワークによる化成処理液の持ち出しとが、一定容量でバランスされている。しかし省エネルギー型(低温型)の化成処理薬剤を用いた場合には、化成処理液の蒸発がほとんど計算できず、ナノフィルター膜や圧力透析膜を用いて得られる濃縮液(水洗水濃縮液)を化成処理液として利用すると、その分だけ化成処理液の量が増加し、化成処理槽がオーバーフローしてしまうという問題が生じてしまう。この問題を解決するためには、供給される水洗水濃縮液の分だけ化成処理液を蒸発させなければならなくなり、省エネルギー化の要求に反し、合理的でない。
また、低濃度の水洗水を高濃度化するためにはフィルター膜の負担を増大させなければならないが、装置の大型化、及び高コスト化を招来するとともに、目詰まり等の不具合も起こりやすく、フィルターを含む装置全体の信頼性にも影響を及ぼす問題があった。
これらの問題を解決する方法として、化成処理槽に収容された化成処理液の一部、及び水洗槽に収容された水洗水の一部を混合して混合液を調製し、該混合液をフィルターにより透析処理して濃縮液及び透過液に分離し、得られた濃縮液を化成処理槽に、また、得られた透過液を水洗槽に、それぞれ送液することを特徴とする全循環型クローズド方法も提案されている。しかし、この方法で透析処理装置の小型化が達成できたとしても、透析処理装置を使用することには変わりが無く、コストアップの課題を解決することはできなかった(特許文献5)。
また、向流多段水洗装置を用いて化成処理水洗廃水を系外に排出しないようにする、所謂クローズドシステムに応用可能な、水洗水を濃縮した時に蓄積する不要成分(硝酸、アンモニウム、ナトリウムイオン等)の除去方法が特許文献6で提案されているが、この方法も圧力透析処理装置を使用するためコストアップの課題を解決することはできない。
本発明は上述の問題点にかんがみ、鋼板をボンデ処理する際に必要な水洗水やリン酸塩皮膜形成用処理液を、大掛かりな設備を設けることなく節約できるようにするとともに、ランニングコストを低減できるようにすることを目的としている。
本発明のボンデ処理装置における水洗廃水の再利用方法は、リン酸塩皮膜を形成するためのリン酸塩皮膜形成用処理液を収容したボンデ溶液循環タンクと、リン酸塩皮膜を形成するボンデ処理槽と、上記ボンデ処理槽でリン酸塩皮膜が形成された鋼板を水洗いする水洗槽と、上記ボンデ処理槽と上記水洗槽との間に介設された上記ボンデ処理槽から持ち出されるリン酸塩皮膜形成用処理液を収容する処理液回収用水洗槽と、上記処理液回収用水洗槽から回収される水洗廃液を収容する処理液回収用タンクとを有するボンデ処理装置における水洗廃水の再利用方法において、上記処理液回収用水洗槽において、鋼板を水洗するために散布させる洗浄水の温度を60℃以下にするとともに、上記ボンデ処理槽中の化成処理溶液のTA(全酸度)をA、上記処理液回収用水洗槽中の化成処理溶液のTA(全酸度)をB、として、下記の式(1)、ボンデ溶液希釈率(%)=B/A×100・・・式(1)により、ボンデ希釈率を算出して、当該希釈率が30%を越える場合には、上記処理液回収用タンクに収容された水洗廃液を新鮮水タンクより供給される新鮮水により希釈した後、上記処理液回収用水洗槽に供給し、 当該希釈率が30%以下の場合には、上記処理液回収用タンクに収容された水洗廃液を処理せずに水洗廃液バッファタンクを経てボンデ溶液循環タンクに補給水として供給することを特徴とする。
本発明によれば、処理液回収用水洗槽において、鋼板を水洗するために散布される洗浄水の温度を60℃以下にするとともに、ボンデ処理槽中の化成処理液の全酸度及び処理液回収用水洗槽中の化成処理液の全酸度よりボンデ溶液希釈率を算出し、算出された値を指標として次の工程を選択するようにしたので、回収したボンデ処理液(水洗廃液)を廃液処理装置を経由せずに実質的に未処理でボンデ循環タンクに戻すことができる。これにより、系外からボンデ処理ラインに供給される新鮮水を削減することが可能となり、環境問題や資源の有効利用を図ることができ、環境保全に寄与することができるとともに、ボンデ廃液の廃棄処分に必要であった廃棄コストを削減することができる。
また、蒸発器などの凝縮装置や浸透膜などの分離装置を用いることなくボンデ処理ラインを構成することができるので、水洗廃液中に含まれるリン酸処理液成分を回収する設備の投資額を低く抑えることができる。
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照しながら本発明の鋼板のボンデ処理装置及びボンデ処理装置における水洗廃水の再利用方法の第1の実施の形態を説明する。
第1の実施の形態の鋼板のボンデ処理装置及びボンデ処理装置における水洗廃水の再利用方法の特徴は、処理液回収用タンク6の廃水の一部を未処理でボンデ溶液循環タンク5に戻すことにある。ここで述べる未処理とは、濃縮処理や沈殿凝固処理などの成分変化を伴う特別な処理を行わないことを意味し、単純な濾過や加熱処理などは未処理として扱うことにする。
図1は、本実施の形態の鋼板のボンデ処理装置の全体構成を示すブロック図である。図1において、1はボンデ前処理セクションであり、2はボンデ処理槽、3は処理液回収用水洗槽、4は水洗槽である。
また、5はボンデ溶液循環タンク、6は処理液回収用タンク、7は新鮮水タンク、8はバッファタンク、9は廃液処理センター、10は浴濃度分析、制御系を示している。本実施の形態において、浴濃度分析、制御系10は浴濃度分析装置11、制御装置12、TA補給液貯蔵タンク13、FA調整液貯蔵タンク14、第1のポンプP1、第2のポンプP2、第3のポンプP3、第4のポンプP4等によって構成されている。
上記処理液回収用水洗槽3の処理槽と処理液回収用タンク6との間は戻り配管161により接続され、水洗廃液が処理液回収用タンク6内に回収される。また、上記処理液回収用タンク6と処理液回収用水洗槽3に設けられたスプレーノズル20との間が洗浄水供給配管162により接続され、上記処理液回収用タンク6内に回収された水洗廃液が、第5のポンプP5の吐出圧力により、処理液回収用水洗槽3のスプレーノズル20からリン酸亜鉛メッキ鋼板200の表裏面に吹き付けられるようになされている。
本実施の形態においては、水洗槽4の水洗廃液は廃液処理センター9に排出するようにしている。これにより、後述するように、処理液回収用水洗槽3の水洗廃液をボンデ溶液循環タンク5内に戻して使用しても不都合が発生しないようにしている。上記廃液処理センター9においては、中和処理及びスラッジ処理等を行い、スラッジと水分とを分離処理している。
ボンデ前処理セクション1は、良好なボンデ処理を行うために重要なセクションである。すなわち、リン酸塩処理は一種の腐食反応であり、重金属第三リン酸塩の析出が基本反応である。この腐食生成物である化成皮膜を金属表面に均一にかつ緻密に生成させるには、腐食反応を多数起こさせる必要がある。このためには、結晶生成の起点となる結晶核を鋼鈑表面に密に生成させればよい。この結晶核を鋼鈑表面に均一にかつ緻密に生成させる処理が、前処理の役割である。
本実施の形態で行う化成処理の目的は、鋼鈑に酸化膜や無機塩の皮膜(一種の腐食生成物)を、溶液を使用して化学的に生成させ、鋼鈑表面に防錆皮膜および塗装下地用皮膜を生成することにある。
ボンデ前処理セクション1には、処理槽の入り口側及び出口側にリンガーロール21が設けられている。また、処理槽内において前処理剤を亜鉛メッキ鋼板110に吹き付けるためのスプレーノズル20が配設されている。本実施の形態においては、前処理剤(Ti化成物コロイド系)の成分として、リン酸二ナトリウム(50〜55%)、ピロリン酸ナトリウム(20〜25%)、炭酸水素ナトリウム(5〜10%)、チタン化合物(1〜5%)、リン酸一ナトリウム(1〜5%)を用いている。
ボンデ処理槽2の構成も上記ボンデ前処理セクション1と同様な構成であり、ボンデ処理槽2においてはスプレーノズル20からボンデ処理液を亜鉛メッキ鋼板110に吹き付けて、亜鉛メッキ鋼板110の表面及び裏面上にリン酸塩皮膜を形成するようにしている。
上記スプレーノズル20から亜鉛メッキ鋼板110に吹き付けられるボンデ処理液は、ボンデ溶液循環タンク5に収容されている。上記ボンデ処理液は、亜鉛メッキ鋼板の表面にボンデ皮膜を生成するためのリン酸塩化成処理を行うために必要な複数の成分からなる処理液である。ボンデ溶液循環タンク5内の処理液は、例えば、特定量、特定比率で配合された硝酸Mg: 20〜25%、硝酸Ni: 5〜10%、リン酸: 1〜5%、リン酸Ni: 1〜5%、フッ化水素: 0.1%未満、硅フッ化水素酸: 0.1%未満とし、残りを水とした処理液であり、亜鉛メッキ鋼板110や使用環境などに対応して、リン酸塩処理液の構成及びその成分濃度を適切に調整するようにしている。
後述するように、本実施の形態においては、ボンデ溶液循環タンク5内のボンデ処理浴濃度調整は次の考え方に基づいて、自動で実施している。また自動測定、調整に加えて、2回/番のオフライン分析によりTA、FA、Zn、Ni、Mgの濃度を確認している。
次に、図9を参照しながら、ボンデ水洗廃液循環系の物質収支を説明する。
(1)ボンデ処理槽循環系の処理液収支
qTA:TA補給液の補給量
qFA:FA調整液の投入量
qY:ボンデ処理槽からの持ち出し量
qL1:蒸発損失量
qW:処理液回収量
qB1:オーバーフロー量

qTA+qFA+qW=qY+qL1+qB1----------------1式
(2)処理液回収用水洗槽系の処理液収支
qX:新鮮水の補給量
qY:ボンデ処理槽からの流入量
qL2:蒸発損失量
qZ:水洗槽への持ち出し量
qW:処理液の送出量
qB2:オーバーフロー量

qX+qY=qZ+qW+qL2+qB2--------------------2式
系外にボンデ処理液を排出せずに極力再利用する事が本願の目的であるから、オーバーフロー量(qB1、qB2)を零とする。qB2を零にするためには、処理液回収用タンクのレベル制御を行ってオーバー分を全量ボンデ溶液循環タンクに戻す操作を実施する。
蒸発損失量(qL1、qL2)を一定だと仮定すると、1式及び2式は、

qTA+qFA+qW=qY+K(const)------------------3式
qX+qY=qZ+qW+K(const)--------------------4式
(3)処理液回収用水洗槽の入出側には同形式のリンガーロールを使用しているため、鋼板に付着して随伴される液量はほぼ同量であるから、qY=qZとすると3、4式は、

qTA+qFA+qW=qZ+K(const)-------------------5式
qX=qW+K(const)-------------------------------6式
(4)5、6式より、

qTA+qFA+qX=qZ+K(const)--------------------7式
したがって、系全体の処理液バランスは、処理液回収用水洗槽から水洗槽へ持ち出される量(qZ)の変化分に追従して、「qTA+qFA+qX」の供給量を制御すればよいことになる。すなわち、処理液回収槽の回収液をボンデ循環タンクに直接全量戻す事により物質収支を単純化し、制御を簡素化している。
(5)リン酸処理液の各成分のバランス
鋼板表面に形成されるボンデ被膜の形成量は、ボンデ処理槽内に収容されているリン酸処理液の成分濃度に依存して、その形成量が変化する。
本実施の形態では、処理液回収用水洗槽を付加したボンデ処理設備においても、ボンデ処理槽内のリン酸処理液を組成する複数の成分の物質収支バランスを、安定に維持出来るという考えを提示する。
ボンデ処理液には、一般的に75%リン酸液からなるFA液と、リン酸を主体とし硝酸ニッケル、フッ酸、マグネシウム等を含んだTA液が混合されている。上記溶液のバランス式(7式)を用いて、リン酸処理液の成分の収支を取ると、下記の如くなる。
FA溶液の収支。
P1*qTA+P2*qFA=P3*qZ+R+K(const)------------8式
(P1、P2、P3は各溶液中のリン酸濃度、Rは鋼板表面に反応析出した量)
TA溶液の収支。
F1*qTA=F3*qZ+R+K(const)-----------------------9式
(F1、F3は各溶液中のリン酸以外の濃度、Rは鋼板表面に反応析出した量)
(6)qZとRについて
上記8,9式の右辺にあるqZ(処理液回収用水洗槽から水洗槽への持ち出し量)とR(反応析出量)は鋼板の単位時間内の処理量すなわちライン速度に依存する。したがって、8式、9式を基にして、ライン速度に応じた偏差補正を実施すればTAとFAの濃度調整が可能となる。
本実施の形態における浴濃度自動調整の考え方を以下に説明する。
まず、浴濃度分析装置11(オンライン分析装置)を用いて、TA濃度,FA濃度を測定する。そして、その測定結果に基づいてTA補給液、FA調整液投入量を自動調整する。
(1)TA調整:TA補給液と水洗廃液 を連続投入してTA濃度を調整する。
TA補給液投入量=(1+ΔTA偏差)*A*板幅*板厚*ライン速度
水洗廃液投入量=(1+ΔTA偏差)*B*板幅*板厚*ライン速度
である。但し、ΔTA偏差とは目標値と分析値のTA濃度の差を意味する。
(2)FA調整:閾値を超えた時にFA濃度を調整する。
FA調整液投入量=ΔFA偏差*C*タンクレベル
但し、ΔFA偏差とは目標値と分析値のFA濃度の差を意味する。
(3)タンクレベル調整: TA補給液と水洗廃液を比率一定で投入する。
(TA補給液+水洗廃液)投入量=Δタンクレベル偏差*D
但し、Δタンクレベル偏差とは目標レベルと実績レベルの差である。
なお、上記(1)〜(3)において、A、B、C、Dは定数(分析結果を参考にオペレータが変更する場合がある。)
図2は、亜鉛メッキ鋼板110の表面にボンデ皮膜が形成された状態の鋼鈑の断面を模式的に示した図である。例えば、上述した亜鉛イオン、リン酸イオン、マグネシウムイオン、硝酸イオン、及びニッケルイオン等を含有したリン酸塩処理液を用いたリン酸化成処理装置では、地鉄(Fe)層210の表面に所定量の亜鉛層220を電気メッキにより形成し、さらにリン酸、亜鉛、マグネシウムから構成されるボンデ皮膜230を形成してリン酸亜鉛メッキ鋼板200を製造するようにしている。このボンデ皮膜230は、具体的には例えば、Zn3(PO42・7H2O、Zn2・Mg(PO42・7H2Oである。
ボンデ処理槽内には、内部に搬入される亜鉛メッキ鋼板110に所定の厚さのボンデ皮膜230が形成されるようにするために、複数のスプレーノズル20が配設されており、上記複数のスプレーノズル20と上記ボンデ溶液循環タンク5との間がリン酸塩処理液供給配管150によって接続されている。
そして、上記リン酸塩処理液供給配管150には第1のポンプP1が介設されており、上記第1のポンプP1によって上記ボンデ溶液循環タンク5内に収容されているリン酸塩処理液を汲み上げて上記複数のスプレーノズル20から亜鉛メッキ鋼板110に吹き付けるようにしている。上記複数のスプレーノズル20、リン酸塩処理液供給配管150及び第1のポンプP1によりリン酸塩処理液吹き付け手段が構成されている。
また、上記亜鉛メッキ鋼板110に吹き付けられたリン酸塩処理液は、上記ボンデ処理スプレー槽の下部に接続された戻り配管151を通して上記ボンデ溶液循環タンク5に戻されるように構成されている。なお、図示しないスプレー制御装置が、上記リン酸塩処理液の吹き付け時間や吹き付け量を制御している。
本実施の形態の鋼板のボンデ処理装置においては、ボンデ溶液循環タンク5内のリン酸塩処理液の濃度を調整するために、TA補給液貯蔵タンク13、FA調整液貯蔵タンク14、及び水洗廃液バッファタンク8を設けて、ボンデ溶液循環タンク5内のリン酸塩処理液を組成する成分を所定の濃度となるように調整するようにしている。
TA補給液貯蔵タンク13には、リン酸を主として、硝酸ニッケル、フッ酸、及び微少量のマグネシウム等を含んだ混合溶液(以下、TA補給液ともいう)が収容されており、全酸度(TA:Total Acid、単位:ポイント)の調整のために用いられる。ここで、全酸度とは、ホールピペットを用いて化成処理液を10mL採取し、フェノールフタレインを指示薬として、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液でpHが8.3になるまで滴定し、これに要した上記水酸化ナトリウム水溶液の容量(mL)のことである。
また、FA調整液貯蔵タンク14には、75%リン酸液(以下、FA原液ともいう)が収容されており、遊離酸度(FA:Free Acid、単位:ポイント)の調整のために用いられる。ここで、遊離酸度とは、ホールピペットを用いて化成処理液を10mL採取し、ブロムフェノールブルーを指示薬として、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液でpHが3.8になるまで滴定し、これに要した上記水酸化ナトリウム水溶液の容量(mL)のことである。
上記遊離酸度(FA)は、リン酸化成処理を施す上で、亜鉛メッキ鋼板表面の初期反応であるリン酸亜鉛結晶核の生成密度および反応過程での皮膜析出速度に大きく影響し、リン酸亜鉛皮膜量を決定する成分である。遊離酸度(FA)は、これら反応により減少するが、鋼板表面性状およびリン酸塩処理液に含まれるスラッジの濃度によりその変化量は異なる。FA調整液貯蔵タンク14に収納されているFA調整液は、上記遊離酸度(FA)の濃度を上昇させることを主目的とした液である。
上記全酸度(TA)は、第一リン酸亜鉛濃度(H2PO4-)と遊離酸度(FA)を足し合わせた因子であり、リン酸亜鉛皮膜(Zn3PO4)のリン酸イオンの源となる成分である第一リン酸亜鉛の濃度を管理するための指標として用いる。TA補給液貯蔵タンク13に収納されるTA補給液は、皮膜生成により消費される第一リン酸亜鉛およびフッ酸、ニッケルイオン及びその他微量元素を定常的に補給することを目的として混合された液である。
なお、本実施の形態における遊離酸度、全酸度、及び酸比の調整は、特に限定するものではなく、リン酸塩処理液の組成やその濃度はリン酸亜鉛めっき鋼板200の用途によって適宜決定されるものである。
また、全酸度及び遊離酸度のポイントを高くするためには、リン酸や硝酸などの酸の割合を多くして酸の濃度を上げることが挙げられる。逆に、全酸度及び遊離酸度のポイントを低くするためには、特に限定するものではないが、例えば、水酸化ナトリウム水溶液もしくは水で希釈することが挙げられる。なお、水酸化ナトリウム水溶液を用いる際には、局所的な中和反応によるリン酸亜鉛スラッジの生成が起こりやすいため、0.01N程度に希釈した溶液を使用するのが望ましい。
水洗廃液バッファタンク8には、一次水洗循環タンク6から未処理で戻された水洗廃液が充填されている。ボンデ溶液循環タンク5内のリン酸塩処理液は水溶液であるため、ボンデ溶液循環タンク5とボンデ処理槽とを循環する間に水分が蒸発することから、その補給用として水洗廃液バッファタンク8を用意している。
なお、上述したTA補給液貯蔵タンク13、FA調整液貯蔵タンク14、水洗廃液バッファタンク8のように、これらの液タンクは必ずしも3個に限定する必要はない。また、上記水洗廃液バッファタンク8に収容されている水をTA補給液貯蔵タンク13の混合溶液と一緒に収容して、合計2個の液タンクで構成するようにしてもよい。
浴濃度分析装置11は、ボンデ溶液循環タンク5内の処理液の成分濃度を分析するための分析装置である。具体的には、一定量の処理液に重量ビュレットを使って所定の溶液(NaOH)を順次滴下していったときの液中のpH変動を検出して、処理液のpHが特定値に到達した時点までに要した上記所定の溶液(NaOH)量から、処理液の濃度を決定している。濃度分析の処理を開始する時間間隔をあらかじめ設定しておくことにより、浴濃度分析装置11は設定した時間毎に処理液の成分濃度の分析を自動的に行う。
制御装置12は、浴濃度分析装置11が分析した処理液の成分濃度の分析結果に基づき、ボンデ溶液循環タンク5内のリン酸塩処理液の補給調整を行うことが必要となる成分を特定したり、その補給量を算出したりする。
さらに、所定の補給液タンク(特定した成分が収容された補給液タンク)13、14、8からボンデ溶液循環タンク5内に、上記算出した量の補給液が補給されるように、制御装置12は、対応する補給液タンクに付設されたポンプP2〜P4の動作の制御指令を出力する。
以上のような化成処理ラインによりリン酸塩皮膜が表裏面に形成されたリン酸亜鉛メッキ鋼板200は、次の水洗工程において、その表面に付着しているリン酸塩処理液が水洗される。本実施の形態の鋼板のボンデ処理装置は、ボンデ処理槽2から外部に持ち出されるリン酸塩処理液をできる限り回収するようにしている。
すなわち、図1に示すように、水洗工程を処理液回収用水洗槽3と水洗槽4とに分割し、処理液回収用水洗槽3においては主としてリン酸塩処理液を回収するようにし、水洗槽4において本格的な水洗を行ってリン酸亜鉛メッキ鋼板200表面の腐食反応を伴うボンデ処理を停止させるようにしている。
このような目的を達成するために、上記処理液回収用水洗槽3で使用した洗浄水を戻り配管161を介して処理液回収用タンク6に戻すとともに、上記処理液回収用タンク6内の洗浄水を、洗浄水供給配管162に介設された循環用のポンプP5を使用して、処理液回収用水洗槽3内に配設されたスプレーノズル20からリン酸亜鉛メッキ鋼板200の表裏面に吹き付けるようにしている。
上記リン酸亜鉛メッキ鋼板200の表裏面に付着したリン酸塩処理液を、ボンデセクション2の出口側に配設したリンガーロール21によって拭い取ることにより、外部に持ち出されるリン酸塩処理液をできるだけ少なくするようにしている。しかしながら、ボンデ処理を高速で行っていることにより、リン酸亜鉛メッキ鋼板200の表裏面にはかなり多くのリン酸塩処理液が付着した状態でボンデ処理槽2を出て行く。
そこで、上述したように本実施の形態においては、水洗工程の最初で使用する洗浄水を回収して循環使用することにより、一次水洗水中にリン酸塩処理液を回収するようにしている。そして、上記回収することによりリン酸塩処理液の濃度が向上した一次水洗水を水洗廃液バッファタンク8に戻し、水洗廃液バッファタンク8からボンデ溶液循環タンク5に戻すようにしている。本実施の形態においては、「5リットル/分」の洗浄水を処理液回収用タンク6から水洗廃液バッファタンク8へ戻すようにしている。また、「80リットル/分」の洗浄水を処理液回収用タンク6から処理液回収用水洗槽3へ供給している。なお、新鮮水タンク7から水洗槽4へは、「300リットル/分」の新鮮水が供給されている。
上述のように、本格的な水洗を行う水洗槽4と、ボンデ処理槽2との間に、リン酸塩処理液を回収するための処理液回収用水洗槽3をカスケード接続することにより、本実施の形態の鋼板のボンデ処理装置においては、ボンデ薬品の使用量を大幅に削減することができた。図3にその一例を示す。この例の場合は、処理液回収用水洗槽3を設けてリン酸塩処理液を回収するように設備変更する事により、ボンデ薬品原単位を52%に削減することができている。
図4は、化成処理中の処理液回収用水洗槽における水洗廃液の希釈率推移の例を示している。図4(a)は、液回収全量適用開始後約40時間の通板で一次水洗水ボンデ溶液希釈率が25%に達することを示している。なお、図4(a)において、黒丸印はICP分析結果を示し、実線は流量測定によりボンデ溶液割合を求めた実績を示している。
また、図4(b)は処理液回収用水洗槽における水洗廃液のボンデ溶液希釈率を約25%に維持し定常操業をしている状態を示している。なお、図4(b)において、黒三角印はICP分析結果を示し、実線は流量測定によりボンデ溶液割合を求めた実績を示している。
図5は、ライン速度とボンデラインタンクからの持ち出し量との関係を示した特性図である。
図5(a)は、処理液回収用水洗槽3を設けた場合のライン速度と単位幅当たり持ち出し量との関係を示し、図5(b)は処理液回収用水洗槽3を設けていない場合のライン速度と単位幅当たり持ち出し量との関係を示している。これらの特性図から明らかなように、処理液回収用水洗槽3を設けることにより、リン酸塩処理液の持ち出し量を大幅に減少させることができる。
リン酸塩処理液の持ち出し量を削減するには、処理液回収用水洗槽の槽長を2m以下とするのが好ましい。処理液回収用水洗槽は鋼板の入側と出側に液絞り用のリンガーロールを設置しているが、槽長を短くし、入出のリンガーロールの間隔を短くすると、鋼板の形状強制効果が強化されて、液絞り性能が飛躍的に向上する。
図6は、上記持ち出し量の関係を使用して、実際のコイル通板サイズにて回収処理液中ボンデ溶液希釈率の変化をシミュレーションした結果を示す特性図である。図6に示すように、ボンデ溶液希釈率は約25%付近で飽和することが分かる。
ボンデ溶液希釈率は主にボンデ処理槽から処理液回収用水洗槽に持ち出されるリン酸塩処理液量と新鮮水量のバランスによって決まる。もしもボンデ希釈率が30%を超える場合には、図8に示す如く、ボンデ付着量への影響が出てくるので、ボンデ希釈率を低下させなければならない。ボンデ希釈率を低下させるには、処理液回収用タンクの回収液の一部を廃液として系外に取り出すとともに新鮮水の量を増加させるなどの方法を採用する。
次に、図7のフローチャートを参照しながら、FA調整液及びTA補給液を対象としたオンライン濃度制御を行う一例を説明する。
図7に示すように、まず、ボンデ処理スプレー槽内へ亜鉛メッキ鋼板110が搬入されると(ステップS300)、亜鉛メッキ鋼板110に対する処理液の吹き付けが開始される(ステップS301)。なお、上記ステップS300とステップS301の順序を逆にし、処理液の吹き付けがあらかじめ開始された後に(ステップS301)、亜鉛メッキ鋼板がボンデスプレー槽内へ搬入されるように(ステップS300)、動作制御されるようにしてもよい。
次に、ステップS3011に進み、所定時間(例えば3時間)ごとに処理液回収用水洗槽中のボンデ廃液の全酸度(TA)を測定し、ボンデ溶液希釈率を計算する。
その後、ステップS3012において、ボンデ溶液希釈率が30%以下か判断する。この判断の結果、ボンデ溶液希釈率が30%以下の場合は次のステップS302へ進む。また、ステップS3012の判断の結果、ボンデ溶液希釈率が30%を超える場合はステップS3013に進み、廃液濃度調整処理を行う。これは、処理液回収用タンクの液面レベルは一定に維持し、新鮮水を追加供給することによりタンク内の回収廃液の一部をオーバーフローさせて行う。
本実施の形態のオンラインによる濃度制御では、上述した処理液の吹き付けが所定時間(例えば、15分)経過か否かを監視しており(ステップS302)、上記所定の時間が経過すると浴濃度分析装置11によって全酸度(TA)及び遊離酸度(FA)各々の測定が行われる(ステップS303及びステップS304)。
これらの測定により、ボンデ溶液循環タンク5とボンデ処理スプレー槽との間を循環する処理液のFA成分濃度及びTA成分濃度の実測値が、浴濃度分析装置11による分析結果として出力される。
次に、制御装置12には、浴濃度分析装置11から15分毎に出力されるFA及びTA成分の濃度値(現在のFA及びTA成分の濃度値)が入力され、上記入力された現在のFA成分及びTA成分の濃度値と、所定の厚さのボンデ皮膜230を形成するために適切なFA成分及びTA成分の濃度値(目標のFA成分及びTA成分の濃度値)とを比較する。
この比較処理は下記のステップS3041で実施される。これから処理する予定の鋼板(亜鉛めっき鋼板)の目標リン酸処理付着量、板厚、板幅、ライン速度の情報を取り込む。
鋼板の板幅Wと鋼板の走行速度LSとの代数積(W×LS)は、単位時間あたりのボンデ被膜処理面積に相当する。この反応面積(W×LS)と目標リン酸処理付着量から必要とされるFA液、TA液の量が予測できる。また板厚はリンガーロールの液随伴量に影響を与えるのでライン速度と合わせて重要な情報となる。
次に、ステップS3042に進み、制御装置12は、現在のFA成分及びTA成分の濃度値が目標のFA成分及びTA成分の濃度値に対して、どの程度の増減を示しているのかを算出する。
上記算出した各成分における濃度値の増減が、濃度一定値とみなせる所定の変動範囲を越えている場合には、現在のボンデ溶液循環タンク5内に存在するリン酸塩処理液量、ボンデ処理スプレー槽内で吹き付けに使用しているリン酸塩処理液量、及びポンプP1で循環途中にあるリン酸塩処理液量を考慮して、現在のFA成分及びTA成分の濃度が目標の濃度値になるためには、どのくらいの補給量が必要となるのかを、TA成分及びFA成分、水、のそれぞれについて、制御装置12により算出する(ステップS305及びステップS306)。
次に、上記算出した補給量の補給液を、FA調整液貯蔵タンク14及びTA補給液貯蔵タンク13からボンデ溶液循環タンク5内へ投入するために、制御装置12は、上記FA調整液貯蔵タンク14と上記ボンデ溶液循環タンク5との間を接続している液補給用管に介設されている第3のポンプP3、及び上記TA補給液貯蔵タンク13と上記ボンデ溶液循環タンク5との間を接続している液補給用管に介設されている第2のポンプP2の動作時間を設定する(ステップS307)。
そして、制御装置12から上記第2のポンプP2、及び第3のポンプP3の動作制御指令が行われると、上記TA補給液貯蔵タンク13、及びFA調整液貯蔵タンク14からボンデ溶液循環タンク5へと実際の補給液の供給が行われる(ステップS308)。
次に、ステップS309において、処理の終了か否かを判断し、処理を続行する場合にはステップS302に戻って上述した処理を繰り返し行う。
図8は、処理液回収用タンク中のボンデ溶液希釈率を変化させて、化成処理製品への影響を調査した結果を示す特性図である。
ボンデ溶液希釈率とは処理液回収用タンク中の水洗廃液に含まれる化成処理溶液の混合割合を示し、以下の如く定義される。ボンデ処理槽中の化成処理溶液のTA(全酸度)をA、処理液回収用水洗槽中の化成処理溶液のTA(全酸度)をB、とすると、
ボンデ溶液希釈率(%)=B/A×100である。
したがって、ボンデ溶液希釈率が30%の水洗廃液では、ボンデ溶液は30%濃度に希釈されている事になる。
発明者らは、図8に示すように、処理液回収用水洗槽のボンデ溶液希釈率を30%以上、そのときの液温を60℃以上にすると、鋼板上の化成処理反応が完全に停止せずに、不均一に進行する事を確認した。この様な状態では製品の表面清浄が悪化するため、ボンデ溶液希釈率は高すぎても良くない。ボンデ溶液希釈率の上限は、製品の要求品質、ボンデ溶液の液組成などによって変化するが、通常の化成処理においては、30%以下、液温を60℃以下とするのが好ましいことを確認した。
本発明の鋼板のボンデ処理装置の実施の形態を示し、主要部の構成を示す構成図である。 亜鉛メッキ鋼板の表面にボンデ皮膜が形成された状態の鋼板の断面を模式的に示した図である。 ボンデ薬品の使用量が減少した例を示す特性図である。 ボンデ溶液希釈率と通板速度との関係を示す特性図である。 ライン速度と単位幅当たりの持ち出し量との関係を示す特性図である。 回収処理液中ボンデ溶液希釈率と通板時間との関係を示す特性図である。 FA調整液及びTA補給液を対象としたオンライン濃度制御を行う一例を説明するフローチャートである。 ボンデ溶液希釈率と付着量変化との関係を示す特性図である。 ボンデ水洗廃液循環系の物質収支を説明するための図である。
符号の説明
1 ボンデ前処理セクション
2 ボンデ処理槽
3 処理液回収用水洗槽
4 水洗槽
5 ボンデ溶液循環タンク
6 処理液回収用タンク
7 新鮮水タンク
8 水洗廃液バッファタンク
9 廃液処理センター
10 浴濃度分析、制御系
11 浴濃度分析装置
12 制御装置
13 TA補給液貯蔵タンク
14 FA調整液貯蔵タンク
15 廃液回収装置
20 スプレーノズル
21 リンガーロール
110 亜鉛メッキ鋼板
150 リン酸塩処理液供給配管
151 戻り配管
161 戻り配管
162 洗浄水供給配管
200 リン酸亜鉛メッキ鋼板

Claims (4)

  1. リン酸塩皮膜を形成するためのリン酸塩皮膜形成用処理液を収容したボンデ溶液循環タンクと、リン酸塩皮膜を形成するボンデ処理槽と、上記ボンデ処理槽でリン酸塩皮膜が形成された鋼板を水洗いする水洗槽と、上記ボンデ処理槽と上記水洗槽との間に介設された上記ボンデ処理槽から持ち出されるリン酸塩皮膜形成用処理液を収容する処理液回収用水洗槽と、上記処理液回収用水洗槽から回収される水洗廃液を収容する処理液回収用タンクとを有するボンデ処理装置における水洗廃水の再利用方法において、
    上記処理液回収用水洗槽において、鋼板を水洗するために散布させる洗浄水の温度を60℃以下にするとともに、
    上記ボンデ処理槽中の化成処理溶液のTA(全酸度)をA、上記処理液回収用水洗槽中の化成処理溶液のTA(全酸度)をB、として、下記の式(1)、
    ボンデ溶液希釈率(%)=B/A×100・・・式(1)
    により、ボンデ希釈率を算出して、当該希釈率が30%を越える場合には、上記処理液回収用タンクに収容された水洗廃液を新鮮水タンクより供給される新鮮水により希釈した後、上記処理液回収用水洗槽に供給し、
    当該希釈率が30%以下の場合には、上記処理液回収用タンクに収容された水洗廃液を処理せずに水洗廃液バッファタンクを経てボンデ溶液循環タンクに補給水として供給することを特徴とするボンデ処理装置における水洗廃水の再利用方法。
  2. 上記ボンデ処理槽及び上記処理液回収用水洗槽から持ち出されるリン酸塩皮膜形成用処理液を補給するための補給水として処理液回収用タンク内の水洗廃水を、溶液循環タンクに供給するとともに、リン酸塩皮膜形成用処理液の全酸度および遊離酸度を一定に維持するためのTA補給液及びFA調整液を上記ボンデ溶液循環タンクに供給して成分調整することを特徴とする請求項1に記載のボンデ処理装置における水洗廃水の再利用方法。
  3. 上記処理液回収用水洗槽に供給する補給水の量をライン速度に基づいて決定することを特徴とする請求項またはに記載のボンデ処理装置における水洗廃水の再利用方法。
  4. 上記ボンデ溶液循環タンクヘ供給するTA補給液、FA調整液、水洗廃液の量を上記ボンデ溶液循環タンクにおける物質収支を基に計算して決定することを特徴とする請求項の何れか1項に記載のボンデ処理装置における水洗廃水の再利用方法。
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