JP4583994B2 - スクロール型流体機械 - Google Patents

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Description

本発明はスクロール型流体機械に係わり、特に電動モータを駆動源とした冷凍回路の圧縮機として好適したスクロール型流体機械に関する。
スクロール型流体機械は一般的に圧縮機として使用され、この種の圧縮機の中にはそのスクロールユニットの駆動源として電動モータを備えたものがあり(例えば、特許文献1,2)。これら特許文献1,2の圧縮機は何れも冷凍回路内を循環する冷媒を圧縮し、そして、圧縮機に戻される冷媒は電動モータの冷却にも使用される。即ち、特許文献1,2の圧縮機の場合、圧縮機に戻される冷媒は電動モータのモータハウジングに流入し、モータハウジングからスクロールユニット側の冷媒の吸入室に導かれるようになっている。
一方、特許文献1,2のスクロール圧縮機は何れも、電動モータの回転を制御するためのインバータ回路を備えており、これらインバータ回路はモータハウジングの外側に設けたカバー又はケーシング内に配置されている。
より詳しくは、インバータ回路を構成する部品のうち、発熱量が大であるパワートランジスタやコンデンサ等の発熱量が大となる発熱部品は、モータハウジングの外周面に形成した溝(特許文献1)や、その外周面に熱伝導シート(特許文献2)を介して側に取付けられている。それ故、発熱部品からの熱がモータハウジングの外周壁を介してモータハウジング内の冷媒中に放熱され、これにより、発熱部品の発熱量を抑制できるものと考えられる。
特開2003-222078号公報 特開2003-262187号公報
しかしながら、特許文献1,2のスクロール圧縮機は何れも、発熱部品から熱がモータハウジングの外周壁を通じて冷媒に放熱するものであるので、冷媒による冷却効果は薄い。
このため、特許文献1,2のインバータ回路は発熱部品自体の放熱能力、つまり、その表面積を増大させるため、発熱部品に大形のものを使用せねばならず、インバータ回路に要求される設置スペース、即ち、回路筐体全体が大形化してし、圧縮機の小形化を図ることができない。
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、インバータ回路に小形の発熱部品を使用でき、その全体の小形化を図ることができるスクロール型流体機械を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明のスクロール型流体機械は、作動流体の吸入口及び吐出口をそれぞれ有した円筒形状のハウジングと、このハウジング内に収容され、回転軸を有する電動子と、ハウジング内に電動子の回転軸に連結された状態で収容され、回転軸により駆動されたとき、作動流体の吸入から吐出までの一連のプロセスを実行するスクロールユニットと、ハウジング内に確保され、吸入口から流入した作動流体を電動子及びスクロールユニットの順に通過させ、この後、前記吐出口に導く流体経路とを具備し、作動流体である冷媒を圧縮する冷凍回路の圧縮機として使用されるスクロール型流体機械において、
ハウジングの外側に設けられ、吸入口に連なるスペースを確保し且つ前記スペースへの作動流体の流入孔を有したカバー部材と、スペースに配置され、電動子の回転を制御するインバータ回路とを更に備え、
カバー部材は、吸入口側のハウジングの端部を囲繞する有底角筒状の回路筐体であり、
スペースは回路筐体の角部とハウジングの外周面との間及び回路筐体の内底面とハウジングの端面との間にそれぞれ確保され、
インバータ回路及び電動子は、回路筐体がハウジングに外側から嵌め合わされたとき、インバータ回路及び電動子を互いに電気的に接続する雌雄のコネクタをそれぞれ含んでいる(請求項1)。
上述したスクロール型流体機械によれば、インバータ回路が配置されるスペースには流入孔を通じて作動流体である低温の冷媒が流入し、この冷媒がスペース内を流れるから、インバータ回路の発熱部品は冷媒に晒される。従って、発熱部品からの熱は冷媒に直接に放熱され、発熱部品の発熱が抑制される
また、冷媒はスペースから流体経路に沿って流れることで、電動子を通過し、電動子もまた冷却する。更に、上述の雌雄のコネクタはハウジングに対する回路筐体の取付けと同時に、インバータ回路と電動子との間の電気的な接続を達成する。
好ましくは、インバータ回路は、スペースに分散して配置された回路部品を含むことができる(請求項)。
また、回路部品は回路筐体の内面に取付けられ(請求項)、そして、インバータ回路は、ハウジングの一端面及び回路筐体の内底面の少なくとも一方に取付けられた回路部品のための基板を含んでいるのが好ましい(請求項
請求項1〜4のスクロール型流体機械は作動流体(低温の冷媒)が流入するスペース内にインバータ回路を配置してあるので、インバータ回路の発熱部品からの熱を作動流体に直接に放出でき、発熱部品の発熱量を効果的に抑制することができるばかりでなく、作動流体により電動子の冷却可能である。それ故、発熱部品に小形のものを使用可能となるから、インバータ回路の回路筐体、つまり、流体機械全体の小形化を図ることができる。
また、スクロール型流体機械はそのハウジングへの回路筐体の取付けと同時に、インバータ回路と電機子との間の電気的な接続が確立され、その組立性及び生産性が著しく向上する。
図1を参照すると、スクロール型流体機械として、車両の空調に使用される冷凍回路のためのスクロール圧縮機が概略的に示されている。
スクロール圧縮機は円筒形状のハウジング10を備え、このハウジング10はその内部に仕切壁12を有する。仕切壁12はハウジング10内をモータ室14及びスクロール収容室16に区画する。
モータ室14には電動子18が収容され、この電動子18はロータ20を備えた回転軸22と、ロータ20を囲むステータ24とを有する。回転軸22はロータ20の両側にそれぞれ突出し、ハウジング10の一端壁10a及び仕切壁12に軸受(図示しない)を介して回転自在に支持されている。従って、ハウジング10の一端壁10a側は電動モータを構成する。
一方、スクロール収容室16内にはスクロールユニット26が収容され、このスクロールユニット26は互いに噛み合う可動スクロール28及び固定スクロール30を有する。可動スクロール28は仕切壁12側に位置付けられ、仕切壁12からスクロール収容室16内に突出した回転軸22の端部にクランク機構を介して連結されている。また、仕切壁12と可動スクロール28との間はスラストベアリング32が配置され、このスラストベアリング32は可動スクロール28の自転を阻止し、且つ、可動スクロール28のスラスト力を支える。
一方、固定スクロール30内にはハウジング10の他端壁10bとの間に吐出室34が形成されており、この吐出室34には固定スクロール30の吐出孔を開閉する吐出弁が配置さている。図1中、吐出孔及び吐出弁は省略されている。
ハウジング10の外周壁にはその他端壁10bの近傍に吐出口36が形成され、この吐出口36は冷凍回路の冷媒循環経路に接続されている。冷媒循環経路には吐出口36側から凝縮器、レシーバ、膨張弁及び蒸発器等(何れも図示せず)が順次配置されている。
図1に示されるように、ハウジング10はその一端壁10a側の端部がカバー部材、即ち、回路筐体38により囲繞されている。この回路筐体38は一端が開口した有底角筒形状をなし、電動子18に対応したハウジング10の外周壁を覆う矩形壁40と、ハウジング10の一端壁10aを覆う底壁42とを有し、底壁42と一端壁10aとの間に所定のエンドスペースESが確保されている。
この第1実施例の場合、図2から明らかなように、矩形壁40はハウジング10の外周壁に上壁部分を除いて接するように大きさを有し、矩形壁40の各角部とハウジング10の外周壁との間にコーナスペースCS及び矩形壁40の上壁部分とハウジング10の外周壁との間にアキシャルスペースACが確保されている。
なお、回路筐体38の開口端は円形であり、ハウジング10における外周壁の外径と略同一の内径を有し、シール部材(図示しない)を介してハウジング10の外周壁に密着している。
図1に示されるように、回路筐体38の矩形壁40にはその上壁部分には冷媒流入孔44が形成され、この冷媒流入孔44は回路筐体38の底壁42の近傍に位置付けられている。冷媒流入孔44は前述した冷媒循環回路を介して冷凍回路の蒸発器に接続されている。
更に、ハウジング10の外周壁の上部には吸入口46が貫通して形成され、この吸入口46はハウジング10の一端壁10aの近傍にて、前述したアキシャルスペースACに開口している。
吸入口46は、ハウジング10に確保された流体経路、即ち、冷媒経路を介して前述した吐出口36に接続されている。具体的には、冷媒経路は、モータ室14、電動子18内のギャップ(ロータ20とステータ24との間のギャップやステータ24内の軸方向ギャップ)、仕切壁12を貫通し、モータ室14とスクロール収容室16とを互いに連通させる複数の連通孔48、そして、スクロールユニット26内の圧縮室、吐出孔及び吐出室34等から形成される。
従って、冷媒循環経路の冷媒は冷媒流入孔44から回路筐体38内に流入した後、吸入口冷媒は、吸入口46から前述した冷媒経路の上流側部分を通じてスクロール収容室16に供給され、そして、スクロール収容室16からスクロールユニット26内に吸入される。即ち、スクロール収容室16は冷媒の吸入室としても機能する。この後、冷媒はスクロールユニット26の吐出孔から吐出室34に吐出され、そして、吐出室34から冷媒循環経路を介して冷凍回路の凝縮器に向けて供給される。
前述した回路筐体38内には電動子18の回転を制御するインバータ回路50が配置されている。このインバータ回路50は、パワートランジスタやコンデンサの発熱部品と、これら発熱部品に電気的に接続される制御基板とからなり、この制御基板に発熱部品以外の電気又は電子部品が実装されている。
図1から明らかなように制御基板52は回路筐体38内の前述したエンドスペースESに配置され、第1実施例の場合、ハウジング10における一端壁10aの外面に取付けられている。また、制御基板52は電動子18におけるステータ24のコイルにも電気的に接続されている。
そして、インバータ回路50の発熱部品54は図2から明らかなように、回路筐体38内のコーナスペースCSに分散して配置されている。第1実施例の場合、発熱部品54は、ハウジング10の外周壁に取付けられ、且つ、制御基板52に電気的に接続されている。
更に、制御基板52は雌型のコネクタ、即ち、ソケット56を有し、このソケット56は回路筐体38の底壁42に向けて突出している。一方、底壁42にはその内面に雄型のコネクタ、即ち、プラグ58を有し、このプラグ58がソケット56に差し込まれ、これらプラグ58及びソケット56は互いに電気的に接続されている。なお、プラグ58は回路筐体38から突出し、外部の給電回路に電気的に接続される。
上述したように制御回路52及び回路筐体38にソケット56及びプラグ58がそれぞれ備えられていれば、回路筐体38がハウジング10に外側から取付けられると同時に、プラグ58はソケット56を介して制御基板52に電気的に接続される。従って、上述した圧縮機の組立性や生産性が大幅に向上する。
電動子18がインバータ回路50を介して駆動されると、その回転軸22の回転がスクロールユニット26の可動スクロール28に伝達される。従って、可動スクロール28はその自転が阻止された状態で、固定スクロール30に対して旋回運動する。可動スクロール28の旋回運動に伴い、スクロール収容室16、即ち、吸入室からスクロールユニット26内の圧縮室に冷媒が吸入され、吸入された冷媒は圧縮された後、吐出孔から吐出室34に吐出される。この後、高圧の冷媒は吐出室34から冷媒循環経路を通じて凝縮器、レシーバ、膨張弁及び蒸発器を通過し、そして、蒸発器から回路筐体38の冷媒流入孔44に戻される。
そして、冷媒流入孔44から回路筐体38内に流入した冷媒は前述した冷媒経路の上流側部分を経て吸入室(スクロール収容室16)に導かれ、スクロールユニット26に再び吸入される。
蒸発器から冷媒流入孔44に戻される冷媒はその温度が低いので、冷媒が冷媒経路の上流部分を流れるとき、電動子18が冷却される。また、冷媒流入孔44から流入した冷媒は回路筐体38内、つまり、前述したエンドスペースEC及びコーナスペースCSに流れ込むので、コーナスペースCSに配置された発熱部品54は低温の冷媒に晒される。それ故、発熱部品54からの熱は低温の冷媒に直接的に放出され、発熱部品54の発熱量を効果的に抑制することができる。
この結果、発熱部品54に小形のものを使用できるから、コーナスペースCSを小さくし、回路筐体38、即ち、圧縮機全体の小形化を図ることができる。
本発明は、上述した第1実施例に制約されるものでなく、種々の変形が可能である。
例えば、図3及び図4は第2実施例のスクロール圧縮機を示す。
第2実施例の場合、図3及び図4から明らかなように、インバータ回路50の制御基板52は回路筐体38における底壁42の内底面に取付けられ、そして、その発熱部品54はコーナスペースCSに分散して配置された状態で、回路筐体38の内面に取付けられている。
そして、第2実施例の場合、ハウジング10の一端壁10aにソケット60が取付けられ、そして、制御基板52にソケット60に差し込まれるプラグ62が取付けられている。このプラグ62は回路筐体38の底壁42を貫通して回路筐体38の外部に露出し、給電回路に電気的に接続される。
上述したように第2実施例のスクロール圧縮機にあっては、インバータ回路50の構成要素が全て回路筐体38の内面に取付けられているので、制御基板52と発熱部品54との間の電気接続が容易になり、しかも、この電気接続がハウジング10に対する回路筐体38の取付け時、回路筐体38と干渉することはなく、スクロール圧縮機の組立性及び生産性が更に向上する。
また、上述の実施例において、制御基板52やハウジング10の一端壁10aに設けられるソケットをプラグとし、回路筐体38や制御基板52に設けられるプラグをソケットとしてもよい。
更に、ハウジング10の一端壁10aに別の吸入口を貫通して形成し、冷媒流入孔44から流入する冷媒が回路筐体38内にて滞留することなく、回路筐体38内を流れるようにすれば、発熱部品54の冷却効果を一層高めることができる。
また、上述の実施例では、各コーナスペースCSの全てに発熱部品54が配置されているが、少なくとも1つのコーナスペースに発熱部品が配置されていてもよいし、回路筐体38は5角形以上の多角形状をなしていてもよい。更には、回路筐体38は吸入口46を有したハウジング10の外周壁又は一端壁10aの一部のみを覆うものであってよい
第1実施例のスクロール圧縮機を示した概略縦断面図である。 図2の圧縮機の横断面図である。 第2実施例のスクロール圧縮機を示した概略縦断面図である。 図3の圧縮機の横断面図である。
符号の説明
10 ハウジング
18 電動子
14 モータ室(流体経路)
16 スクロール収容室(流体経路)
22 回転軸
26 スクロールユニット
34 吐出室(流体経路)
36 吐出口
38 回路筐体(カバー部材)
44 冷媒流入孔(流入孔
46 吸入口
48 連通孔(流体経路)
50 インバータ回路
52 制御基板
54 発熱部品(回路部品)
56,60 ソケット(雌コネクタ)
58,62 プラグ(雄コネクタ)
AS アキシャルスペース
CS コーナースペース
ES エンドスペース

Claims (4)

  1. 作動流体の吸入口及び吐出口をそれぞれ有した円筒形状のハウジングと、
    前記ハウジング内に収容され、回転軸を有する電動子と、
    前記ハウジング内に前記回転軸に連結された状態で収容され、前記回転軸により駆動されたとき、作動流体の吸入から吐出までの一連のプロセスを実行するスクロールユニットと、
    前記ハウジング内に確保され、前記吸入口から流入した作動流体を前記電動子及び前記スクロールユニットの順に通過させ、この後、前記吐出口に導く流体経路と
    を具備し、作動流体である冷媒を圧縮する冷凍回路の圧縮機として使用されるスクロール型流体機械において、
    前記ハウジングの外側に設けられ、前記吸入口に連なるスペースを確保し且つ前記スペースへの作動流体の流入孔を有したカバー部材と、
    前記スペースに配置され、前記電動子の回転を制御するインバータ回路と
    更に備え、
    前記カバー部材は、前記吸入口側の前記ハウジングの端部を囲繞する有底角筒状の回路筐体であり、
    前記スペースは回路筐体の角部と前記ハウジングの外周面との間及び前記回路筐体の内底面と前記ハウジングの端面との間にそれぞれ確保され、
    前記インバータ回路及び前記電動子は、前記回路筐体が前記ハウジングに外側から嵌め合わされたとき、前記インバータ回路及び前記電動子を互いに電気的に接続する雌雄のコネクタをそれぞれ含む
    ことを特徴とするスクロール型流体機械。
  2. 前記インバータ回路は、前記スペースに分散して配置された回路部品を含むことを特徴とする請求項に記載のスクロール型流体機械。
  3. 前記回路部品は前記回路筐体の内面に取付けられていることを特徴とする請求項に記載のスクロール型流体機械。
  4. 前記インバータ回路は、前記ハウジングの一端面及び前記回路筐体の内底面の少なくとも一方に取付けられた前記回路部品のための基板を含むことを特徴とする請求項に記載のスクロール型流体機械。
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